中 学 生 の 情 動 知 能 が 授 業 内 逸 脱 行 動 に 及 ぼ す 影 響
│
― 攻撃性 を媒介 として一
人 間発 達 教 育 専 攻
臨床 心理 学 コー ス
第
1章
第2章
第3章
第4章
引 用 文 献 付 録 序 論 第1節
第2節
方 法 第1節
第2節
第3節
結 果 第1節
第2節
第3節
第4節
第5節
第6節
考 察 目 次 は じ め に 研 究 の 目的 と仮 説 研 究 方 法 調 査 手 続 き 調 査 内 容 尺 度 の 検 討 情 動 知 能 と授 業 内 逸 脱 行 動 との 関 連 各 指 標 の 相 関 分 析 情 動 知 能 が 授 業 内 逸 脱 行 動 に 及 ぼ す 影 響 他 の 変 数 と の 関 連 か らの 検 討 情 動 知 能 と攻 撃 性 と の 関 連 頁 1 1 4 5 5 5 5 7 7 911
12 1314
15 19第
1章
序 論 第 1節 は じめに 不登校 。い じめ・校 内暴力や授業崩壊等,教
育現場 では さま ざまな問題 が深刻化 してい る。この よ うな,子
どもた ちの学校不適応 の問題 に対 して,「感情」との関わ りが研究 され てい る。大対 。大竹 。松見(2007)は
先行研 究 をま とめ,子
どもたちの感情 に関わる行動 の統制 は,外
在化 問題行動や 向社会的行動 に大 きな影 響 を及 ぼ し,感
情理解 は社会的ス キ ルや仲間か らの人気 を有効 に予測す ると指摘 してい る。近年,こ
の よ うな感情 の統制や感 情 の理解 といった,感
情 の適応的機 能 が注 目され始 め,少
しずつ研究が行われ ている (大 竹・ 島井 。内山・宇津木,2001;森
口,2009)。感 情の適応的機能 を表す指標 として
,情
動知能 (Emotional lnte■igence)と い う概念 が ある。情動知能 とは,自
己や他者 の感情 を正確 に評価す る,
自己の感 情 を適切 に表現 し た り制御 した りす る,そ
して,こ
れ ら感情 についての情報 を 自分 の行動や意思決定に禾J用す る能力 の こ とで ある
(Salovey&Maye■
1990)。 情動知能 には,以
下の4つ
の働 きがあ る (Mayer&Salovey 1997)。1つ
めは 「情動 の知覚 (perce市ing emotion)」 であ り, 自 己な らび に他者 の感情 に気づ く能力 である。2つ
めは 「情動 を利用す ること (using emotion)」 である。 これ は,認
知的活動 に感情 を生かす能力 で ある。3つ
めは 「情動 を理 解 す るこ と (understanding emotion)」,4つ
めは 「情動 を管理す ること(managing
emotion)」 で
,こ
れ は 自分 自身や他者 にお ける情動反応 を減少 させ た り高めた り,和
らげ た りす る能力である。 山田・神 山・栗原(2009)は
情動知能 が児童の学校適応感 に及 ぼす影響 を調 べた研 究 に おいて,情
動知能 は向社会 的行動・反社会 的行動 。攻撃的行動 を含 む 「行動 的機能」 に影 響 を及 ぼす かにつ いて検討 してい る。 その結果,情
動知能 は向社会 的行動 を促 進す るこ と が実証 された。 しか しなが ら,山
田 ら(2009)の
研 究では,「行動 的機 能」の指標 として 測 定 され たのが向社会 的行動 のみであ り,攻
撃的行動や反社会 的行動 と情動知能 との関連については検討 されていない。 これ までの情動知能 の研究 は
,尺
度 の作成や 心理的適応 に 及 ぼす影響 を検討 した ものがほ とん どで,非
行 。逸脱行動や反社会的行動 との関連 を調 べ た ものは見 当た らない。 非行・逸脱行動 については,こ
れ まで初発型非行 と呼ばれ る行動 を中心に研 究が多 く行 われ てい るが,本
研 究で対象 とす るのは,教
師へ の反抗や か らかい,授
業 を妨 害す るよ う な行動 である。秦(2000)は
中学校 の教師 のお よそ7割
が,程
度 の差 はあるものの授業妨 害 を受 けてい ると述べてい る。授業妨害 の形態 としては,「教 師の言葉 に反抗 す る」「教 師 の言葉 を無視す る」「ゲームな どして遊ぶ」「授業 を抜 け出す」な どが挙 げ られ ている。 ま た,近
年,授
業 中の逸脱行動 が特 定の生徒 に留ま らず,他
の生徒 に波及 し,授
業が成 り立 たな くな ることが問題視 され てお り,学
級崩壊や,新
しい荒れ な どと呼ばれてい る0日藤・ 大久保 ,2006)。 この よ うな逸脱行動 に関す る研究 は,ス
トレス (岡安 。高 山,2000)や
攻撃性 (嶋田・ 吉川・戸 ヶ崎,2002),親
や友人 との信頼 関係 (酒井 ・菅原・ 員榮城・ 菅 原 。北村,2002)な
どの変数 との関連 が調べ られて きた。 攻撃性 (aggression)と は,他
者 に身体的 または心理的に危 害 を与 える行動,あ
るいは 他者 に危 害 を与 えよ うと意 図 した り願望 した りす る内的状態 で あ り,怒
りや敵意 を伴 う破 壊 的傾 向を指す とされ る (曽我・ 島井 。大竹,2002)。 攻撃性 は多 くの側 面か ら成 る複合 的 な概念であ り,情
緒的側 面 として 「怒 り」,認
知的側 面 として 「敵意」,そ
して道具的側 面 として 「攻撃行動」が含 まれ ると考 えられ てい る (安藤・ 曽我 ・ 山崎 。島井・ 嶋 田・ 宇津 木 。大芦・坂井,1999)。 子 どもの攻撃性 は,非
行や反社会的行動,行
為障害 な どの社会 的 機 能や適応 にお ける諸 問題 を予測す る変数 である と考 え られ てい る (Coie&Dodge,1998)。 情動知能 との関連 では,Moskat&Sorensen(2012)が
,情
動知能 と攻撃性 との関係 につ いて検討 している。少年院 に収容 されてい る12∼17歳
の男女 の攻撃性 と情動知能を測 定 し,情
動知能 と攻撃性 との関係 を調べ た結果,非
行少年 において,情
動知能 と攻撃性 との 間 に強い負 の相 関があるこ とが分 かつた。 よつて,情
動知能 は攻撃性 を抑制す る影響 を持 つ と考 え られ る。Moskat&Sorensen(2012)は
,こ れ まであま り研究 されてい なかった,情動知能 と非行・攻撃性 との関連 の検討 を試 みた重要 な研 究で ある とい える。 これまでの先行研究の知見を踏まえて
,情
動知能・授業 内逸脱行動・攻 撃性 の関連 につ い て,Fig.1(4頁
参照)の
よ うなモデル を考 える。情動知能 は授業内逸脱行動 に対 して直接 的 に抑制 し,ま
た同様 に攻撃性 も抑制す る効果 を持つ と考 える。また,攻
撃性 を抑制す る こ とで授業内逸脱行動 を抑制す る とい う間接的な効果 があるのではないか と予測す る。秦(2000)は
近年 の子 どもたちの非行・逸脱行動 の増加 とともに,規
範意識 の低 下,罪
悪 感 の欠如 を指摘 してい る。逸脱行動 を 「絶対 に してはい けない こと」 と考 える子 どもたちの 割合 が減少 し,逸
脱行動 を行 った理 由 として 「したか ったか ら」「流行 つてい る」な ど曖味 な ものが多い な ど,子
どもた ちが逸脱行動 を許容 し「悪い こと」 として捉 えていない こ と を問題視 している。実際に逸脱行動 として行動化す る生徒 はご く一部 である可能性が考 え られ るが,行
動化 され ていない として も,逸
脱行動 を許容す る傾 向が強 けれ ば,逸
脱行動 を行 う予備 軍 となった り,授
業 内で逸脱行動 が広が ってい く原 因 とな る。 したがつて,授
業 内逸脱行動 について考 える際,逸
脱行動 の経験頻度 だけを問題 にす るのではな く,逸
脱 行動 を どれ ほ ど許容す るのか とい った認知面 について も検討 す る必要 が ある。 よつて、本 研 究 では,授
業 内逸脱行動 につい ては,逸
脱行動 の経験頻度 とその行動 を どれ ほ ど許容 し てい るかの2つ
の指標 を設定す る。 また,Htthann(2002)は
これ までの研 究か ら逸脱行動 に影響 を与 えると実証 され て い る変数 を,非
行 を捉 える理論 に基づいてい くつか挙 げてい る。社会 的統制論 に基づ く変 数 で ある,両
親へ の愛着 と家庭での監督 (2つ の変数 をま とめて「両親 との関係 」とす る) や,分
化的接触理論 に基づ く変数 で ある不 良交友 な どがある。既 に,先
行研究 において逸 脱行動 を規定す る要因 とされ てい る変数 との関連 について検討 す るこ とは,授
業内逸脱行 動 を研 究の対象 とす る上で非 常に重要 である。 よつて,本
研 究 では,Htthann(2002)
とともに,大
学生の教室内逸脱行動 について研究 をお こなった遊間(2008)の
研 究や 中学 生 を対象 に逸脱行動 の研究 をお こなつた,西野・氏家 。二官・五十嵐・井上・山本 (2009) や小保方・無籐(2006)の
研 究 を参考 に,不
良交友 。両親 との関係 。学業成績・性別 。学年 を授業 内逸脱行動 に影響 を与 える説 明変数 として選択 し
,情
動知能や攻撃性 との関連 を 検討 す ることとした。 第2節
研 究 の 目的 と仮説 本研 究では,中
学生 を対象 とす る質 問紙調査 に よ り,Fig。1に示 したモデル を仮定 し, 以下 を検討す るこ とを 目的 とす る。1つめは 「情動知能が授業 内逸脱行動 に及 ぼす影響 を 検討す ること」である。 これ について次 の2つ
の仮説 を検証す る。(a)情
動知 能 の得点 の 高い ものは授業 内逸脱行動 の得点 が低 く,情
動知能 の得点の低 い ものは授業 内逸脱行動 の 得 点が高 くなる。(b)情
動知能 は逸脱行動 の経験回数 と逸脱行動 の許容 に対 して,影
響力 をもつ。2つ
めの 目的は,情
動知能 と攻撃性 との関連 を検討 す るこ とである。 これ については次 の2つ
の仮説 を検証す る。(c)情動知能 の得 点の高い ものは攻撃性 の得 点が低 く,情
動知 能 の得 点の低 い ものは攻撃性 の得 点が高 くな る。(d)情
動知能 は攻撃性 に対 して抑制す る 影響 を持つ。 最後 に3つ
めの 目的は,こ
れ まで逸脱行動 を規定す る要 因 と言 われ た変数 (不良交友・ 両親 との関係 。学業成績 。性別 。学年)と
,情
動知能 の関連 を検討 す ることで ある。 これ については,情
動知能 とこれ らの変数 とを組み合わせ たモデル の検討 を行 う。 情動知能 Fig。1本
研究 で想 定す る授業 内逸脱行動 。情動知 能・攻撃性 に よるモデル.第
2章
方
法 第1節
研 究方法 質 問紙 に よる調査研 究 第2節
調査手続 き 近畿地方A県
内の公 立 中学校4校
に在籍す る中学 1∼3年
生870名
に対 して,2013年
10月 中旬か ら2013年
11月 初旬 の期 間に実施 した。調査 は各校,担
任 によ リクラス ご と に実施 された。調査実施時、調査票はクラスの担任 によつて対象者 へ配布 され,記
入後, また担任 によつて回収 された。回収の際は秘密保持 のため,担
任 は集 めた調査票 を対象者 の前 でクラスに1部
用意 した封筒 の中に入 れて封 をす るよ うに し,回
答 内容 を見ない こ と を対象者 に示す よ うに した。回収率 は88.62%の 771名 (男性 350名,女
性419名,不
明 2名)で
,そ
の中か ら調査票 に記入漏れ のない,647名
(1年 生:男子89名,女
子 111名 。2年
生 :男子49名,女
子86名・3年
生 :男 子 156名,女
子 156名)分
のデー タを分析 に 使用 した。 第3節
調査 内容 フェイスシー ト 性別・学年 。学業成績 について記入 を求 めた。学業成績 については,「あ なたの成績 は学年 の中で どの程度だ と思いますか?」の質問に対 し、「良い方だ と思 う」。「真 ん 中 ぐらいだ と思 う」。「下の方だ と思 う」の3件
法 で回答 を求 めた。 情動知能 中学生用情動知能尺度 (豊田・桜井,2007)を
用いた。 これは,「情動の表現 と命名」「情動の認識 と理解」「情動の制御 と調節」の3因子か ら構成 されてい る尺度であ る。本研究では,回
答者の負担 を軽減するため項 目数の削減 をおこな うために,各
因子 を 構成す る項 目か ら,因
子負荷量が 0.5以 上の質問項 目を抜粋 した。よつて,「情動の表現 と命名 」 よ り
6項
目,「情動 の認識 と理解 」 よ り7項
目,「情動 の制御 と調節」 よ り4項
目の全
17項
目を調査 に用い るこ ととした。 回答方法 は(1:全
く当てはま らない∼4:か
な り 当てはま る)の 4件
法 であつた。攻撃性 日本版Buss‐
Perry攻
撃質 問紙(BAQ)(安
藤・ 曽我・ 山崎・ 島井・嶋 田・宇津 木 。大芦・坂井,1999)を
用いた。「身体的攻撃」「短気」「敵意」「言語的攻撃」の4因
子 か ら構成 され た尺度 である。 この項 目について も回答者 の負担 を軽減す るため,因
子負荷 量 0.5以 上 を基準 として,質
問項 目の抜粋 をお こなった。その結果,「身体的攻 撃」よ り 4 項 目,「短気」 よ り3項
目,「敵意」 よ り2項
目,「言語 的攻撃」 よ り3項
目の計13項
目を 調査 に用 いた。回答方法 は(1:全
く当てはま らない∼5:非
常 によ く当てはま る)の
5件
法 で あつた。 授 業 内逸脱行動 秦 (2000)と金子 (2011)を参考 に して,新
たに授業 中に見 られる逸脱 行動 についての質 問項 目を6項
目作成 した。各質問項 目は,「先生 をか らかつた り反抗 的 な 口調で話 をす る」「先生の指示 をきかない」「授業 が始 まって も教科書や ノー トを出 さな い」「授業 中、 自分の席 を立 って歩 きまわつた り教室か ら出ていつた りす る」「授業 中、授 業 と関係 ない作業 をす る」「授業 中、授業 と関係 のないお しゃべ りをす る」 の6項
目で あ った。「4月 か ら現在 までで次 のこ とを どの程度行いま したか?」 と尋 ね,(1:全
くない∼4:何
度 もある)の 4件
法 で回答 を求 めた。 逸脱行動の許容 逸脱行動の6項
目について,「あなた自身は次のことをどのように思つ ていますか」と問い,(1:と
ても悪いことだ と思 う∼5:全
く悪いことだ と思わない)の
5 件法で回答を求めた。 不 良交友 逸脱行動 の6項
目について,「あなたの仲 の良い友達 は次 の ことを どのよ うに思つていると思いますか」 と尋ね
,(1:と
ても悪いことだ と思 う∼5:全
く悪いことだ と 思わない)の
5件
法で回答 を求めた。 両親 との関係H」
han(2002)の
「両親 との関係」 と「家庭での監督」を参考にして, 項 目については,西
野 ら (2009)と 小保方 。無藤(2006)よ
り11項
目引用 した。「あな たは以下のことをどう思いますか?」 と尋ね,11項
目に対 して (1:全 くそ う思わない∼4: かな りそ う思 う)の
4件
法で回答 を求めた。 第3章
結 果 第1節
尺度 の検討 各 尺度 の記述統計量 をTable l(8頁参照)に
示 した。また、調査 で使用 した各項 目の因 子構 造 を明 らかにす るために,各
項 目の粗点 に基づいて,最
尤法,プ
ロマ ックス回転 に よ る因子分析 をお こなった。 情動知能 固有値 1以上 の基準 を設 け、最尤法,プ
ロマ ックス回転 に よる因子分析 をお こ なつた。3因
子17項
目が抽 出 され た。 α=.89で
あつた。豊 田・桜井 (2007)と 同様 の因 子数 と、項 目が抽 出 され たので,各
因子 の命名 は先行研 究 と同様 に,第
1因 子 を “情動 の 表現 と命名",第2因
子 を “情動 の認識 と理解",第3因
子 を “情動 の制御 と調節 "と した。 第 1因子 α=.90,第 2因
子 α=85,第
3因
子 α=.56で
あつた (Table 2(8頁参照))。 攻撃性 攻撃性尺度 は,固有値 1以上 の基準 を設 け因子分析 をお こない,4因
子13項
目が 抽 出 され た。F.83で
あつた。安藤 ら (1999)と 同様 の因子構 造が得 られたので,安
藤 ら (1999)と同様 に,第
1因子 を“身体的攻撃",第
2因
子 を“短気",第 3因
子 を“敵意",第
4 因子 を“言語的攻撃"と した。第 1因子 はF。81,第
2因
子 はF.74,第
3因子 はF.69,第
4因
子 は α=.42で
あった (Table 3(9頁参 照))。 授 業 内逸脱行動 固有値1以
上 の基 準を設 け、1因子 が抽出 され た。α=.81で あつた。Table l各尺度の記述統計量. 男性 平均
"
女性 平均"
最
大
値
取
り
鯰
畠
値
の
最小値 学業成績 情動知能 攻撃性 逸脱行動 逸脱行動の許容 不良交友 両親 との関係 191 4605 3887 11.95 10.27 12.14 3119 .73 8.05 797 428 447 5.71 6.6 1.83 4579 3806 11.70 10.09 11.44 33.27 .71 744 817 412 362 473 7.26 1-3 17-68 13-65 6-24 6-30 6-30 11-44 1 18 13 6 6 6 11 3 64 65 24 30 30 4 逸脱行動 の許容 固有値1以
上 の基準 を設 け,1因
子 が抽 出 された。α=.89であつた。 不 良交友 固有値 1以上 の基準 を設 け,1因
子 が抽 出 された。Q=.95であつた。 両親 との関係 固有値1以
上 の基準 を設 け,2因
子11項
目が抽 出 され た。 α=.89であつ た。第1因子 を “親 への愛着",第
2因
子 を “家庭での監督"と した。第 1因子 は α=.89, 第2因
子 は α=.70であつた (Table 4(9頁参照))。 Table 2情動知能 の因子分析結果. 項 目 第1因子 第2因子 15。自分の今の気持ちを うま く言葉にすることができる 17.今の自分の気持ちや感情をす ぐに言葉 に言い表す ことができる 13。今 自分が感 じている気持ちを うま く表す ことができる 10・今の自分が どのよ うに感 じているかを簡単に言葉で言い表す ことができる 5.自分の感情を うま く言葉や態度で表す ことができる 2.自分が今 どんな風に感 じているかを表す ことができる 1・私は、友達が嫌な気持 ちを隠そ うと.していても、それに気づ く 12.私は、友達が思っていることを隠そ うとしていても、それに気づ く 16.私は、友達が うれ しい時や、嫌 な気持ちになった時の気持 ちの変化に気づ く 14.私は、友達が他の誰か と一緒にいる時の様子を見て、その友達が楽 しんでいるとか、退屈 しているとか、 どんな気持 ちでいるのかがわかる 7.私は、友達の顔の表情か ら、その友達の気持ちがわか り、 どんな気持ちなのか言葉にす る ことができる 9・私は、友達が落ち込んでいる時には、それ に気づ く 4.私は、友津が 「悪い事をして しまったなぁ」 と、罪悪感を感 じている時には、それに気づ 8.嫌な気持ち (例えば、腹が立つ とか、つ らいな どの気持 ち)を抑 えて、前向きに考えよ う とす る 6.誰かに誉め られ ると、もつと熱心にがんばろ うとす る 3.自分の気持 ちが良い状態で続 くように心がけている 11・気分が良い時には勉強がはか どり、頭 にもよく入 る 3 1 4 2 4 7 8 8 4 4 4 9 ・ 6 ・ 5 ・ 4 ・4 ・5 ・ 4 ・ 5 ・4 ・5 ・6 4 2 7 8 .655 .651 645 .360 571 .739 .495 7 6 7 因子間相 関 第2因 子 第3因子 .485 .412Table 3攻撃性 の因子分析結果. 項 目 第1因子
第2因子 第4因子 11.な ぐられたら、なぐり返すと思う 7.JL発 されたら、相手を殴りたくなるかもしれない 9。 人をなぐりたいという気持ちになることがある 2 相手が先に手をだしたとしても、やり返さない 10 権利を守るためには、暴力もやむをえないと思う 4 ばかにされると、すぐに頭に血がのぼる 3かっとなることをおさえるのが難しいときがある 6ぃらいらしていると、すぐ顔にでる 12 自分の権利は遠慮しないで主張する 5友達の意見に賛成できないときには、はつきり言う 1意見が対立したときは、議論しないと気がすまない 8私を嫌っている人は結構いると思う 13.友人の中には、私のことをかげであれこれ言つている人がいるかもしれない
7 7 6
6 6 7
6 6 4
側
6 0 6
737 735 477 因子間相関 第2因子 第3因子 第4因子 Table 4両親 との関係 の因子分析結果. 項 目 第1因子 第2因子 5.親 のよ うな人であ りたい と思 う 6.親 を信頼 している 3.親は普段か らあなたの気持 ちをよく分かって くれている 4.親には気軽 に何でも話せ る 8.親 は私の悪い ところも良い ところもすべて認 めて くれている 1.親と一緒にいろいろなことをするのが楽 しい 2親は 自分が悪 い事をした ら悲 しんだ り泣いた りして くれる 7.親 を悲 しませ るようなことは したくない 10.親 は私の羮\ 関係 を知 っている 9・親は私が放課後や休 日どこで何 をしているのか知っている 11.親 は私が今までに持つていなかった ものを持 っていると、す ぐに気づ く 817 813 782 .743 .719 .719 .684 .655 因子間相関 第2因子 第2節
情動知能 と授業 内逸脱行動 との関連 情動知能 の得点 に よ り,授
業 内逸脱行動 の得′点に差 が見 られ るか ど うかを検討 した。情 動知 能得 点は,平
均値 ±lSDを
基準 として3群
に分 け,平
均値+lSDの
得点群 を情動知能 高群,平
均値-lSDの
得点群 を情動知能低群,平
均値+lSD未
満 で平均値-lSDを
超 える 得 点群 を情動知能 中群 とした。 それぞれ の群 にお け る,逸
脱行 動得点 と逸脱行動 の許容得 点,攻
撃性得 点の平均値,標
準偏差 を Table 5に 示 した (10頁参照)。 授 業内逸脱行動 は, 実際 の逸脱行動 の経験 を示す逸脱行動得点 と,逸
脱行動 に対 して どれ ほ ど許容 す るか とい う認 知的側面 を示す,逸
脱行動 の許容得点 を用いた。 情動知能得点 に よ り,授
業 内逸脱行 動 を示す2つ
の変数 の得点 に差があるかを検討す るため,独 立変数 を情動知能得′点(高群 。 9Table5
情動知能高 。中・低群における平均値 と標準偏差. 情動 知能 高群 情動 知 能 中群 情 動 知 能 低 群 平 均 平 均 平 均 逸 脱 行 動 逸 脱 行 動 の 許 容 攻 撃 性 1084 966 39.86 4.07 4.56 9.55 11.86 10.01 38.37 4.08 3.74 7.64 12.56 11.25 37.32 8 8 6 5 3 0 4 4 8 109 431 107 中群・低群)と し,従
属変数 を逸脱行動得 点 として,被
験者 間 1要因分散分析 を行 つた。 そ の結果,情
動知能得点に よる逸脱行動得 点の差 は統計的 に有意 な ものであ ることが確認 され た(F=4.73,p<.01,あ
←2)。Tukeyに
よる多重比較 を行 な うと,高
群 と低群の間 に 差がみ られ た (ι =2.98,′<.01,凌
牲 213.29)。 さらに,従
属変数 を逸脱行動 の許容得 ′点 と して同様 に分散分析 を行 なつた。逸脱行動 の許容得 点は情動知能得 点 による差が見 られ (F=5.25,′<.01,渉
2),Tukeyに
よる多重比較 を行 った結果,高
群 と中群 の間に有意 な差は見 られなかった0=.703,コ
.3)も
のの,高
群 と低群の間 (′ =2.62,′<.05,渉
214.01),中群 と低群の間 (`=2.74,ρ<.05,″
牲152.01)に差が見 られた。 これ らのこ とか ら,情
動知能得′点が高い と逸脱行動得点,逸
脱行動の許容得′点が低 く,情
動知能得′像 が低 い と逸脱行動得′点, 14.00 12.00 10.00 8∞ 6.∞ 400 2.00 0.00 能低群 Fig。2
情動知能 の高 さに よる逸脱行動得点 の差.向
卿
脱 粥 逸 情 る 一 群 α 一 0 ・ 一 日9
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一 品 一 < .︲ 蜘 勧 ま 一 p 動 情 劇 一 情 の許 容得 こ とが一︱
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︵ 長 ︶ 収 昨 雲 辟 耐 に 霞 製 一∞ ・00 ・0。 ・∞ ・∞ ∞ m m 4 2 0 8 6 4 2 0 ︵ 疑 ︶ 襄 昨 雲 眸 檸 枯 e 翻 に 霞 悧 情 動 知 能 低 群
情 動 知 能 中群
情 動 知 能 高 群 情 動 知 能
Fig.3
情動知能の高 さによる逸脱行動の許容得点の差. 第3節
各指標 間の相 関分析 各指標 間の関連 を調べ るため,相
関分析 を実施 した (Table 6)。 情動知能 は攻撃性・ 両 親 との関係 と正 の相 関,逸 脱行動 。逸脱行動 の許容・不 良交友 とは負 の相関が確認 され た。 攻撃性 は,逸
脱行動・ 逸脱行動 の許容・ 不 良交友 と正 の相 関が確認 され た。 また,逸
脱行 動 の許容 と不 良交友 は逸脱行動 と中程度 の正の相 関が確認 され,逸
脱行動 の許容 と不 良交 友 は高い正の相 関が確認 され た。 Table 6相関分析 の結果. pく.05 1.学業成績 ― 2. I生男嗜 ―.059 3.情動知能 169*** -017 _ 4.攻撃性 ―.075 -050 106オ* 5.逸脱行動 -240'おオ ー029 -165*** 6.逸脱行動の許容 -063 -022 -.147'オ' 7.不良交友 -047 -066 -132・ * 8.両親 との関係 .132お* 147'オ * 300*需 9 学年3 .054 -088 104'お 10. 学年2 -008 094オ ー 014 271*** _ 174*** 396苦*オ _ 141*オ' 317*`¨ 624丼*' ―-158*** -208・丼* -249'おオ .121'' -005 004 -.054 .017 .036 -228オ** 037 .060 ―.027 -015 -496・=* 丼**p<.001**p<.01'p<.05
11第
4節
情動知能が授業内逸脱行動 に及 ぼす影響 分散分析 の結果か ら,情動知能得点の程度 に よつて授業内逸脱行動 に差がある ことが確認 され,ま
た相 関分析 よ り2つ
の指標 に関連 があることが確認 されたので,情
動 知能が授 業 内逸脱行動 に及 ぼす影響力 を,重
回帰分析 に よつて検討 した。従属変数 を逸脱行動 とし, 説 明変数 には,学
年・ 性別・ 学業成績・ 情動知能・攻撃性・逸脱 の許容・不 良交友 。両親 との関係 の8つ
の変数 を投入 して重回帰分析 を実施 した。赤池情報量基準(AIC)を
元 に して最適モデルの選択 を行 なった結果,最
終的 にTable7(12頁
参 照)の
よ うなモデル と なった。逸脱行動 についての説 明変数 として,学
業成績・情動 知能 。攻撃性・ 逸脱行動 の 許容 ・不良交友 の5つ
の説 明変数 が挙げ られた。学業成績 (θ=―
.18,′ <。001)と
情動 知能 (′=一
。10,′<.01)は
逸脱行動 を抑制 し,攻
撃性 (β=.20,′<.001)と
逸脱行動 の 許 容 (θ=.27,′<.001),不
良交友 (β=.009,′<.05)は
逸脱行動 を促進す る こ とが分 か った。 このモデル のAICの
値 は1658.402であつた。 次 に,逸
脱行動 と同様 に して,逸
脱行動 の許容 に対す る情動知能 の影響力 を検討 した。AICに
よる最適モデルの選択 によつて最終決定 したモデル を上記 と同 じTable7(12頁
参 照)に
示す。攻撃性 (θ=.11,′<.001)と
不 良交友 (β=.58,′<.001)は
逸脱行動 の許 Table 7逸脱行動・逸脱行動の許容 を従属変数 とした重回帰分析の結果. 独 立 変 数 逸 脱 行 動 標 準 偏 回 帰 係 数 β 標 準誤 差 逸 脱 行 動 の許 容 標 準 偏 回 帰 係 数 β標 準誤 差 学 業 成 績 情 動 知 能 攻 撃 性 逸 脱 行 動 の許 容 不 良 交 友 両 親 との 関係 ―.18*== ―.10=*オ .21・=* .27'** .09 .034 .035 .035 .044 043 .031 .031 .031 .032 ―.06 .11'*' .58・** ―.08' R′ 調 整 済 みR2 Ⅳ 1 0 4 4 6 5 2 2 647 647
容 に対 して促進す るよ う働 き
,両
親 との関係 (θ=―
.08,′<.05)は
抑制す る よ う働 いて い ることが分かつた。情動知能か ら逸脱行動 の許容 へは,影
響力 が見 られ なか つた (′=
―.06,コ.s.)。 最終モデル のAICの
値 は,1525.141で
あつた。 第5節
情動知能が授業 内逸脱行動 に及 ぼす影響 (他の変数 との関連 か ら) 情動知能 が,他
の変数 (逸脱行動 の許容,不
良交友,両
親 との関係)に
影響 し,間
接 的 に授業内逸脱行動 に影響 してい る可能性 を検討す るため,共
分散構造分析 をお こなった。 分析 モデル については,情
動知能 か ら 「情動 の制御 と調節 」,「逸脱行動 の許容 」,「不 良交 友 」,「攻撃性」,「逸脱行動 」,「両親 との関係 」の6つ
の指標 を顕在変数 として投入 して分 析 を実施 した。分析 の結果,パ
ス係数 が有意 でなかったパスを修正 し,最
終的 にFig.3(13 頁参照)の
モデル を採用 した (ノ⑥ =54.037,′<.001,GFI=.973,AGFI=.904,CFI
=.921,R1/1SEA=.111,N=647)。
「両親 との関係」は「情動 の制御 と調節」に影響 し(β=.28, 逸月え行動の許容Fig.3
情動知能 (情動の制御 と調節)と
他の変数の関連を示すモデル. 13′<.05),「情動の制御 と調節」は
,逸
脱行動に対 して影響をもつ 「攻撃性」(β=―
.12,P <.05)「不良交友」(β=一
。15,′<.05)「逸脱行動の許容」(β=一
。10,′<.05)の 3つ
の 変数に,抑
制効果 を持つことが確認 された。 第6節
情動知能 と攻撃性 との関連 情動知能得点によつて,攻
撃性得点に差があるかを検討するため,独
立変数 を情動知能 得点 (高群 。中群・低群)と
し,従
属変数 を攻撃性得点 として,被
験者 間1要
因分散分析 を行 つた。 しか し,情
動知能得点の違いによつて,攻
撃性得点に差は見 られなかつた(F
(2)=2.722,コ.3)。 情動知能 と攻撃性 をそれぞれ の下位 因子 に分 けて,そ
れぞれ の変数 の関連 と授業内逸脱 行動(逸脱行動・逸脱行動 の許容)との関連 を相 関分析 によつて検討 した。その結果 を Table8に
示 した。 この結果 か らは,情
動 の認識 と理解 は逸脱行動 (2・=―
.155,′ <.001)と 逸 脱 の許容(r=一
.139,P<.001)と
に負の相 関が確認 された。情動の制御 と調節 は,逸
脱 行動(r=―
.197,′ <.001)と逸脱 の許容(F=―
.196,′<.001)に
負 の相 関が確認 され た。 また,情
動 の制御 と調節 は身体的攻撃(r=一
。131,′<.001),短
気(r=一
.163, Table 8情動知能 。攻撃性 の各 因子 と逸脱行動・逸脱行動 の許容 との相 関分析 の結果. 1.逸脱行動得点 2 逸脱行動の許容得点 3 情動の表現と命名 4 情動の認識と理解 5.情動の制御と調節 6 身体的攻撃 7 短気 8 言語的攻撃 9.敵意 .396需 _ ―.060 -.062 -―.155**メ ー.139■ '* ―.197・=哄 ―。196■** .256*** .218*=* .207'** .098* .129'オ .067 .137■** .060 .359=*' _ ―.025 -。131'* .045 -.163'オ キ ー.016 -.150'求* .274**十 .122'■ .329*** _ .343**¨ .112・= .510■*求 .379'オ* .056 .099' ―。119'= .356*'■ .492*** .349■■* .298*** ***p<.001**pく .01*p<.05′
<.001),敵
意 (■・=―
.150,′ <.001)と 負 の相 関が あつた。情動 の表現 と命名 は,敵
意 との間に正 の相 関が確認 され た (■・ =.356,′ <.001)。第
4章
考
察 本研 究では,中
学生 を対象 に した質 問紙調査 に よって,情
動知能が攻撃性 と授業内逸脱 行動 に及 ぼす影響 を検討 した。 情動知能 の得′点に よって3群
(情動知能高群・情動知能 中群・情動知能低群)に
分 け, 逸脱行動,逸
脱行動 の許容 の得 点 について分散分析 をお こなった結果 に よる と,情
動知能 高群 と低群 との間に逸脱行動得 点・逸脱行動 の許容得′点の差 が見 られ た。情動知能が高 い 生徒 は低 い生徒 に比べ,逸
脱行動 の経験回数 が少 な く,逸
脱行動 を 「悪 い こ と」 として捉 えてい る。 また,情
動知能 が低い生徒 は高い生徒 に比べて,逸
脱行動 の経験回数 が多いだ けで な く,逸
脱行動 を「悪い と思わない」傾 向が強い とい うこ とが明 らか となった。また, 重 回帰分析 の結果か らも,情
動知能 は逸脱行動 に負 の影響 をもた らす変数で あ るとい うこ とが分かつた。 しか しなが ら,逸
脱行動 の許容 を従属変数 とした重 回帰分析 で は,情
動知 能 は影響力 を持 たない とい うこ とが示 され た。情動知能得 点 に よつて,逸
脱行 動 と逸脱行 動 の許容 の得 点に差 が見 られ た こ とについては,感
情理解 のス キル が社会的 スキルの高 さ を予測 し (大対 ら,2007),情
動知能が向社会的行動 を促進す る (山 田 ら,2008)と
い う 先行研 究か らの知 見 を考慮す る と,情
動知能 の高い生徒 は,向
社会的行動 を行 う傾 向が強 いために,相
対的 に逸脱行動 を行 いに くい傾 向があ るためではないか と考 える。 しか しな が ら,重
回帰分析 の結果 か らは,情
動知能 が逸脱行動 に直接 的 に及 ぼす影響力 は少 な く, また逸脱行動 を許容す る傾 向 を有効 に予測す る変数 ではない とい うこ とが分 か り,情
動知 能 が授業 内逸脱行動 を抑制す る とい う因果 関係 を規定す るこ とはで きなかった。 次 に,情
動知能 と他 の変数 との関連 について考察す る。相 関分析 の結果か ら,情
動知 能 は両親 との関係や学業成績,不
良交友 と相 関が確認 された。皆りII(2011)は
情動知能 を規 15定す る要 因を検討 した研究 におい て
,両
親 との愛着 関係 が情動知能 に影響 を与 える要 因 と な るこ とを実証 してい る。また,山
田 ら(2008)の
研 究では,情
動知能 が学業 的機能 を予 測す るこ とを明 らかに してい る。 よって,両
親 との関係 。学業成績 にお いては,先
行 研究 と同 じ知見 を得 ることができた とい える。 このことか ら,こ
れ まで逸脱行動 を規定す る要 因 とされ てきた両親 との関係 。学業成績 は,情
動知能 との関連 がある こ とが実証 され た。 両親 との関係 については,情
動知能 を媒介 として逸脱行動 に影 響 を与 えてい る可能性 も考 えるこ とができ,今
後詳 しく検討 してい く必要 がある。 また,共
分散構 造分析 の結果 か ら は,情
動知能 の 「情動 の制御 と調節」 とい う一部 のスキル が,攻
撃性・ 不良交友・逸脱行 動 の許容 に影響力 を持つモデル が得 られた。 自分の感 情 を適応 的 に コン トロールす るこ と が,攻
撃性や逸脱行動 を許 容す る傾 向,逸
脱行動 を許容す る友人 と付 き合 う傾 向を抑制す るよ うに働 くことが分かつた。 次 に,情
動知能 と攻撃性 の関連 については,仮
説 とは異な る結果が得 られ た。本研 究で は,弱
い正 の相関があるとい う結果 が得 られた。 この ことについて さらに詳 しく検討す る ため,情動知能 と攻撃性 をそれ ぞれ 下位 因子 に分 けて因子 ご との関連 を調べた結果か らは, 「情動 の表現 と命名」は 「身体的攻撃」「短気」「敵意」に正の影響 を持つ ことや、情動知 能 の3つ
の下位 因子 はすべ て 「敵意」に対 して正の影響 をもつ ことが分かつた。負の影響 を持つ因子 と正 の影響 を及 ぼす因子 とい つた よ うな,相
反す る影響力 を持つ因子 が1つ
の 概 念 に含 まれ てい るために この よ うな結果 となつた可能性 が ある。情動知能 と攻撃性 に強 い負 の相 関があるとい うMoskat(2012)の
結果 と異 なった理 由 としては,研
究対象者 の 違 いや情動知能の測 定方法 の違 いが挙 げ られ る。研 究対象者 については,Moskat(2012)
で は犯罪 をお こなった非行少年 であつたが,本
研 究では対象者 は一般 中学生で あつた。 ま た,情
動知能 の測 定方法 について もMoskat(2012)は
課題遂行型検査 であったのに対 し て,本
研究での情動知能 の測 定方法 は,研
究対象者 の 自己評価 であった。本研 究だけで な く,日本 で作成 され てい る情動知能 の尺度 については,すべ て 自己評価方式のものである。 しか しなが ら,Mayet Salovey&Carso(2002)が
課題遂行型検査 を作成 し,海
外で の研究で多 く利用 され てい ることを考慮す る と
,
日本 の情動知能 の測定方法 については, 自己 評価 に よつて情動知能が正確 に測定で きるか とい う疑 間が指摘 され る。 本研 究の結果 か ら,情
動知能 は授業 内逸脱行動 に影響 を及 ぼす こ とが分か つたが,そ
の 影響力 の小 ささを無視す ることはで きない。分散分析 の結果 では,情
動知能 の高 さに よ り 授業 内逸脱行動 を行 う回数や どの程度許容す るかに差 が見 られ たのに も関わ らず,情
動知 能 が授業 内逸脱行動 を抑制す る影響力が少 なかったのはなぜ か。 この こ とについては,ま
ず1つ
めの考察点 として,「関係性攻撃 」 とい う概念 を挙 げ る。 関係 性攻撃 (relational aggression)と は,意
図的 に仲 間関係 または仲間意識 を操作す ることに よつて,他
者 を傷 つ けよ うとす る行為 である (Crick,1997)。 本研 究で取 り上 げた授業 内逸脱行動 は,教
師 に対す る関係性攻撃 の一種 として捉 えることもできる。勝間・ 山崎(2008)は
,関
係性攻 撃 を行 う傾 向の高い児童 は,相
手 の役割や置かれ てい る立場 を予想す ることはできるが, 相手 の感 情 内容 を弁別 した り適切 なラベ リングを行 うこと,ま
た相手 の有す る感情を 自ら も持 ち,その ことか ら相手 を励 ま してあげるといつた行動 に至 らない ことを指摘 してい る。 本研 究で用い た情動知能 の指標 にお ける 「情動 の認識 と理解 」 では 「ある特定 の状況 にお ける相手 のポジテ ィブな感 情,ネ
ガテ ィブな感情 を理解できるか ど うか」を測 定す るもの に とどま り,相
手 の感情 を 自らも体験 し,そ
こか ら得 られ る情報 を次 の意思決定や行動 に 利用す るこ とができるか,に
ついては測定できてい ない。また,相
手 が有す る感情 を 自ら も持 つ こ とができていて も,そ
の情報 を,相
手 を傷つ けるた めに利 用す る可能性 もある と 考 えるこ とができる。 よつて,相
手 の情動 を理解 した上で,そ
の情報 を 自分の行動に どの よ うに生かすのかについて測定す ることが必要だ と考 える。 次 に2つ
日の考察点 としては,授
業 内逸脱行動 と,生
徒 の学級や仲 間の雰囲気 との関連 である。加藤 。大久保(2006)は
,授
業 内逸脱行動 にあてはま るよ うな問題行動 を,学
級 の雰囲気 との関連 か ら検討 してい る。加藤 。大久保 (2006)は問題行動 を行 うこ とは児童・ 生徒 の側 か ら考 えると状況 に合 わせた適応的な行動 にな り得 ることを指摘 している。情動 知能が高い生徒 は,仲
間の感情や考 えを理解 し,自
らの感情 を制御 ・調節す ることができ 17る
,
と仮定す る。す ると,そ
の よ うな生徒 は仲間への適応能力 が高 くな り,そ
の ときの状 況 に合 わせ た適応 的行動 を とるこ とができ る と考 え られ る。 それが仲 間や クラスに中にお いて,授
業 中の逸脱行動 であった として も,そ
の時の適応的行動 として周 りの生徒に合 わ せ る可能性 は十分 に考 え られ る。 この こ とを考慮す る と,情
動知能 が授 業内逸脱行動 に及 ぼす影響 を検討す るには,
どの よ うな友人 と付 き合 つてい るか とい う不 良交友 の要因にカロ え,ク
ラスの雰 囲気 の要因について も測 定 を行い,こ
れ らの要 因 と生徒 の情動知能 とが ど の よ うに関わつて,授
業 内逸脱行動 に影響 を及 ぼす か とい う,交
互作用 の検討 が必要では ないか と考 える。また,本
研 究では “情動知能→不 良交友"の
み を検討 したが,“不良交友 →情動知能",“学級 の雰 囲気→情動知能"と
い う向きのパス を仮定 して検討す ることも必 要 だ ろ う。 本研 究 は,こ
れ までの 日本 の情動知能研究では検討 されてい なかった,情
動 知能が攻撃 性や反社会 的行動 に どの よ うな影響 を及 ぼす のか とい うことについて,中
学生 の授業 内逸 脱行動 と攻撃性 を取 りあげて検討 した。 中学生 の逸脱行動 に関す る研 究 におい て も,こ
れ まではあま り検討 されて こなかつた感情の統制や感情 の理解 とい う感情 を扱 う力 と逸脱行 動 について検討 した新 たな試 みであつた といえる。研 究結果 は,情動知能 の高 さによつて, 授業 内逸脱行動 の経験頻度や逸脱行動 の許容 に違いが見 られ,2つ
の間に関連 があ りそ う だ とわか つたが,「情動知能 が授業 内逸脱行動 を抑制す る」とい う因果 関係 を規 定す るこ と はで きなか った。情動知能 の指標 についての さらな る改良の必要性 とともに,生
徒 が逸 脱 行動 に至 るまでの認知過程 との関連 を検討 してい く必要性,ま
た,情
動知能 が 「学級 の雰 囲気 」や 「友人 との関係」 な どの変数 か ら影響 を受 けて,次
の行動 を規定す るのに どの よ うに働 くのか,と
いった他 の変数か ら情動知能への影響 について検討 してい く必要性が指 摘 された。引 用 文 献
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理 学 研 究,79,224…231
付
録
学 校 ご と 。学 年 ご との 記 述 統 計
学校 ご と 。学年 ご との記述統計 Tablel各尺度 の学校 ごとの平均値 と標準偏差. a中学校
b中
学校 平均SD
平均SD
c中学校 平 均SD
d中 学 校 平 均SD
学 業 成 績 情 動 知 能 攻 撃 性 逸 脱 行 動 逸 脱 行 動 の許 容 不 良 交 友 両親 との 関係 1.86 .73 46.01 7.59 38.08 8.07 11.32 3.69 10.46 3.83 1166 5.05 32.44 7.34 1.88 .76 46.02 7.26 38.06 8.25 11.76 4.52 9.87 3.98 11.32 5.06 33.05 6.85 1.81 .71 45.17 8.18 39.18 8.17 12.66 4.35 10.44 4.37 12.08 5.31 31.76 7.21 1.98 .59 46.81 8.16 38.74 7.57 11.52 4.04 9.62 3.87 12.3 568 31 Fo5 6.33 193Table2
各尺度 の学年 ごとの平均値 と標準偏差. 1年生 平 均SD
2年生 平 均SD
3年生 平 均 学 業 成 績 情 動 知 能 攻 撃 性 逸 脱 行 動 逸 脱 行 動 の許 容 不 良交 友 両 親 との 関係 1.82 .71 44.76 7.84 37.43 8.56 11.76 4.19 9.95 3.96 11.03 5.05 32.34 7.23 1.86 .78 45。70 7.46 37.59 7.10 11.95 4.35 10.44 3.89 12.36 5.27 32.54 7.35 1.91 .70 46.74 7.68 39.44 7.69 11.79 4.13 10.20 4.13 11.96 5.24 32.14 6.79 135 312中学生の対人関係こ学校生活に関するアンケート
このアンケート調査は調査者の修士論文研 究の一環としておこなうものです。 ◎ このアンケート調査は、中学生のみなさんの対人口係に対する意識と学校生活について調べるという ものです。 みな さんには、普段人 と接す る際に思 つてい ることや学校生活 の様子 についてお尋ね します。 ◎ 本調査へ の参加 はみな さんの 自由です。 回答 しない、途 中でや める といつた ことが あつて も 問題 はあ りませ ん。 舗10分
間でできる内容です。 アンケー ト用紙は必ず他人に見 られないよ う回収 します。みなさんの名前や回答した内害が 先生や他の人 に知れることはありません。自分が感 じたとおりに、正 直にお答えください。 この調査は、みなさんの積極的なご協力で成 り立っています。 どうぞご協力のほど、よろしくお願い申し上げます ◎ ◎ 兵庫教育 大学 学校教育研究科 人間発達教育専攻 臨床心理学 コー ス 原 田香菜子記 入上の注意 回答は、質問をよく読んで、鉛筆、または黒のボールベンで、あてはまる答えに
Oを
つけてください。 答え方の例 以下のように、回答 して ください。 (例 1) あ│なたは、スポーッをするのが好きですか。①は
い
2.い
いえ (例2)
1.以下のことは普段のあなたにどの程度あてはまりますか。あてはまる数字な つ0でかこんでくプ要ざい。 私は、スポーツをすることが好きだあなた自身についてお聞きします。当てはまるものをひとつ、○で囲んでください。
1.性
別1.男
性2.女
性2.学
年か な り あ て は ま る 少 し あ て は ま る あ ま り あ て は ま ら な い ま っ た ぐ あ て は ま ら な い 1.以 下のことは普段のあなたにどの程度あてはまりますか。あてはまる数字を一つOでかこんでください。
1.私
は、友達 が嫌な気持ちを隠そうとしていても、それ に気づく2.自
分が今どんな風に感じているかを表すことができる3.自
分の気持ちが良い状態で続くように心がけている4.私
は、友達が「悪い事をしてしまつたなぁ」と、罪悪感を感じている時には、それに気づく5
自分の感情をうまく言葉や態度で表すことができる 1 1 1 2 3‐4
2 3 4
2 3 4
2 3 4
2 3 4
6 7 誰 かに誉 められると、もっと熱心にがんばろうとする 私 は、友達の顔の表情 から、その友達 の気持ちがわか り、どんな気持ちなのか言 葉 にすること ができる 嫌な気持ち(例えば、腹 が立つとか 、つらいなどの気持ち)を抑えて、前 向きに考 えようとする 私 は、友達 が落ち込んでいる時には、それ に気づく 今の 自分がどのように感 じているかを簡単 に言葉で言 い表すことができる 2 2 2 2 23 4
3 4
3 4
3 4
3 4
8 9 0 11. 12. 13.14
15. 気分が 良い時 には勉強が はか どり、頭 にもよく入る 私 は、友達 が思つていることを隠そうとしていても、それ に気づく 今 自分が感 じている気持ちをうまく表すことができる 私 は、友達 が他 の誰かと一緒 にいる時の様子 を見て、その友達 が楽しんでいるとか 、退屈 して いるとか 、どんな気持ちでいるのかがわかる 自分 の今の気持ちをうまく言葉 にすることができる 2 2 2 2 23 4
3 4
3 4
3 4
3 4
16.17
私 は、友達がうれ しい時や 、嫌な気持ちになつた時の気持ちの 変化に気づく 今 の 自分の気持ちや感情 をすぐに言 葉に言い表すことができる 3 3 2 2非 常 に よ く あ て は ま る だ い た い あ て は ま る ど ち ら と も い え な い あ ま り あ て は ま ら な い ま っ た く あ て は ま ら な い 2.以下のことは普段のあなたにどの程度あてはまりますか。あてはまる数字をひとつOでかこんでください。
1.意
見が対立したときは、議論しないと気がすまない2.相
手が先に手をだしたとしても、やりかえさない3.か
っとなることをおさえるのが難しいときがある4.ば
かにされると、すぐ頭に血がのばる5
友達の意見に賛成できないときには、はっきり言う2 3 4
2 3 4
2 3 4
2 3 4
2‐3 4
5 5 5 5 5 6 7 いらいらしていると、すぐ顔 に出る 挑発されたら、相手をなぐりたくなるかもしれない 私を嫌つている人 は結構 いると思う 人をなぐりたいという気持ちになることがある 権 利を守 るためには暴 力もやむをえないと思う 8 9 02345
2 31 4 5
2 3‐4 5
2345
2345
4 4 4 3 3 3 2 2 2 1 2 3 なぐられたら、なぐり返すと思う 自分の権利は遠慮しないで主張する 友人の中には、私のことをかげであれこれ言つている人がいるかもしれない 5 5 53あ
なたの学校生活についてお聞きします。 (1)4月 か ら 現 在 ま で のあいだに、以下のことをどの程度おこないましたか。 あてはまる数字をひとつ、Oでかこんでください。 何 度 も あ っ た 数 回 あ っ た 1 度 だ け あ っ た ま っ た く な か っ た1
先生をからかつたり反抗的な口調で話をする2.先
生の指示を聞かない3.授
業が始まつても教科書やノートを出さない 4 4 4 3 3 3 2 2 2 4 4 4 3 3 3 2 2 2 4 5 6 授 業 中、自分 の席を立って歩きまわったり教室 から出ていつたりする 授 業中、授 業と関係ない作 業をする全 く 悪 い こ と だ と 思 わ な い あ ま り 悪 い こ と だ と 思 わ な い ど ち ら と も い え な い 少 し 悪 い こ と だ と 思 う と て も 悪 い こ と だ と 思 う (2)あ
なた 自身は、以下のことをどう思つていますか。
あてはまる数字ひとつを○でかこんでください。 3. 先生をからかつたり反抗的な口調で話をする 先生の指示を聞かない 授業が始まつても教科書やノートを出さない2345
2
‐3 4
2 ,3 4
4. 授 業中 、自分 の席を立って歩きまわつたり教室 か ら出ていつたりする 授 業中 、授 業と関係ない作 業をする 授 業 中、授 業の内容と関係 のないおしゃべ りをする2 3 4
2 3 4
2 3 4
全 く 悪 い こ と だ と 思 わ な い あ ま り 悪 い こ と だ と 思 わ な い ど ち ら と も い え な い 一 少 し 悪 い こ と だ と 思 う と て も 悪 い こ と だ と 思 う (3)あなたの仲 の良い友達 は以下のことをどう思つていますか。
あてはまる数字ひとつを○でかこんでください。 2. 3. 先生をか らかつたり反抗的な 口調 で話をする 先生の指示を聞かない 授 業が始まつても教 科書やノートを出さない234‐
52345
2345
4_ 5. 授 業中、自分 の席を立って歩きまわったり教室 から出ていつたりする 授 業中 、授業と関係ない作 業をする 授 業 中、授業 の内容と関係 のないおしゃべ りをする2345
2345
2345
6. Vllか な り そ う 思 う 少 し そ う 思 う あ ま り そ う 思 わ な い 全 ぐ そ う .思 わ な 一 い 一 4.あなたの家庭についてお聞きします。 あなたは以下のことをどう思いますか。当てはまる数字をひとつ、Oでかこんでください。