図画工作科表現領域におけるインクルーシブ教育の実践と考察:発達障害のある児童を含む通常学級を対象として
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(2) 3.研究の概要. ある。さらに,発達障害を有する児童の中で学. 本研究は図画工作科インクルーシブ教育の実. 年のレベルを超える得意な能力を持つ児童や独. 現のために通常学級で行われる特別支援のあり. 特な習慣等を持つ児童はその特徴を考慮した学. 方を提案し,実践でその提案の活用を試みたも. 習機会を与えることにも注目する必要がある。. のである。. 第4章では、図画工作科の教育目標や特性か. 授業の中でインクルーシブ教育を図る時、考. らインクルーシブ教育の実現を図った。図画工. 慮されるべきいくつかの視点の中で、その理念. 作科教育のキーワードである感性や個性、非言. と関わる視点が二つある。一つは全ての児童が. 語的コミュニケーション等がインクルーシブ教. 個別の必要に応じた学習の機会を持つことであ. 育の実現に非常に有効な視点を与えることが見. る。もう一つは,障害を要因で差別されず,児. え取れた。そして、図画工作科とインクルーシ. 童同士交流しながら共に生きることを学ぶ機会. ブ教育の関係を押える上で、図画工作科の表現. を作ることである。そのためには,インクルー. 領域におけるインクルーシブ教育の授業の実践. シブ教育と特別支援の関係を明確にすることと. 方法を見出した。このような内容に基づいて、. ,各教科の特徴に合わせた実践方法を研究する. 第5章では、図画工作科の表現領域でインクル. ことが必要とされる。. ーシブ教育の実践とその考察を行った。ここで. こうした視点に立ち,発達障害の児童を含む. は、提案した図画工作科の表現領域におけるイ. 小学校通常学級で行われるインクルーシブ教育. ンクルーシブ教育のための授業のあり方と実践. の実現のために,第2章ではインクルーシブ教. 方法の有効性を確認することができた。. 育に関わる様々な課題を取り上げ,第3章で問. 今後の研究では、これからの通常学級におけ. 題解決のための課題別方法を整理した。. る図画工作科の可能性を更に深く考察すること. その中で解決の中心にある問題が、インクル. 、ピア・ラーニングや複数教員の協力などを考. ーシブ教育と特別支援をどのように認識するか. 慮した授業提案を考えること、鑑賞領域におけ. というものであることが見えてきた。これまで. る実践方法を考えることやインクルーシブな図. の特別支援のあり方では、障害児と健常児の間. 画工作科の授業構想に関わる諸視点を明確にす. に隔たりが生じることがあり、インクルーシブ. ることなどが課題である。. 教育の実現に限界があった。従って、インクル. 4.主要参考文献. ーシブ教育のための実践方法を考える以前に,. ・r共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システ. 現在の特別支援に対する見直しが必要である。. ム構築のための特別支援教育の推進」文部科学省,2012. インクルーシブ教育の理念を基に,特別支援の. ・「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とす. 目的を見直すことでr特別」な対象はr障害の. る児童生徒に関する全国実態調査」,文部科学省,20ユ2. ある児童」ではなく, 「特別支援を要する状況. ・渡邊健治r特別支援教育からインクルーシブ教育への. 」であること,そしてr特別支援」はr障害と. 展望」クリエイツかもがわ,2012. 関わる支援」だけではなく, 「特別な状況にい. ・r小学校学習指導要領解説 図画工作料編」文部科学省、20!2. る全ての児童に必要とする支援」であることが. ・「教師用指導書 美術」,教育科学技術部,2010. 明らかになった。ここでr特別な状況」とは、. ・上野一彦・花熊 曉, 「経度発達障害の教育」日本文. 障害からくる困難,事件や出来事による心身的. 化科学杜,2006. 不安,苦手な分野の学習,発達過程上の一時的. 主任指導教員 福本 謹一. つまずきや,学校生活の不適応等を含むもので. ◎指導教員 前芝 武史.
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