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発達障害のある児童の実行機能のアセスメント : 実行機能の評価と介入が一体化した支援プログラムを用いて

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(1)Title. 発達障害のある児童の実行機能のアセスメント : 実行機能の評価と介入 が一体化した支援プログラムを用いて. Author(s). 加藤, 順也; 北村, 博幸. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 65(2): 375-388. Issue Date. 2015-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7689. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第 6 5巻 第 2号 J o u r n a lo fHokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n( E d u c a t i o n ) Vo . l6 5,N O . 2. 平成 2 7年 2 月. 0 1 5 Fehruary,2. 発達障害のある児童の実行機能のアセスメント 実行機能の評価と介入が一体化した支援プログラムを用いて. 加藤順也・北村博幸*. 北海道森高等学校 *北海道教育大学函館校障害児臨床教室. Assessmento nE x e c u t i v eF u n c t i o n so fC h i l d r e nw i t hD e v e l o p m e n t a lD i s a b i l i t i e s U t i l i z i n gt h es u p p o r tprogramf o rAssessmentandI n t e r v e n t i o no fE x e c u t i v eF u n c t i o n s. unyaandKITAMURAH i r o y u k i * KATOJ HokkaidoMoriHighS c h o o l ' D e p a r t r n e n to fS p e c i a lE d u c a t i o n,HakodateC a r n p u s,HokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n. キ. 概要 本研究では,実行機能の評価と介入が一体化した支援プログラム(加藤ら, 2013b) を実行 1 )実行機能の 機能のアセスメントとして活用することの有効性を検討した。アセスメントには (. 2 )WCSTパソコン版(小林, 2 0 0 3 ),( 3 )ハノイの塔 評価と介入が一体化した支援プログラム, (. 課題が用いられた。対象は発達障害児 2名と健常児 1名であった。その結果,対象であった発. iyakeと Friedmanらの実行機能モデル ( M i y a k eら , 2 0 1 2 ) における 達障害児はそれぞれ M commonEFと U p d a t i n gs p e c i f i cに障害があると考えられた。支援プログラムをアセスメント として活用することの有効性に関しては,実行機能を測定する他の検査課題の結果や子どもの 臨床像と昭らし合わせることで,アセスメントとして活用することが有効である可能性が示唆 された。また,各実行機能課題で算出される指標について適切に理解していること,算出され た数値を絶対視せずに子どもの臨床像に合わせた解釈をすることが重要であると考えられた。. 1.問題と目的. 能J ( L e z a kら , 2004;山口, 2 0 0 8 )と定義される。 実行機能は,知的に遅れはないものの学習面や行. 学習や行動の基盤となる心理機能として,実行. 動面で著しい困難を示す発達障害児を対象とした. 機能という概念がある。実行機能は「目的をもっ. 研究の中でも検討されている。先行研究では. た一連の認知活動を効果的に遂行するための機. ADHD (注意欠陥多動性障害)児には実行機能. 3 7 5.

(3) 加藤順也・北村博幸. の抑制能力に障害があり. (Ozonoffら , 1 999;. , 2 006;青木ら, 2 0 1 2 ),PDD (広汎性 Happeら 発達障害)児には実行機能のセットの転換に障害. I I .方 法. 1.対象児. Ozonoffら , 1 999;L i s sら , 2 0 0 1 ) と考 がある (. 小学校の特別支援学級に在籍している発達障害. えられているが,研究で用いる実行機能課題の違. 児 2名と,通常学級に在籍している健常児 1名を. いや分析対象とする指標の違いによって異なる結. , B 対象とした。発達障害児 2名をそれぞれ A児. 果が示されることも多く,発達障害と実行機能の. 児とし,健常児を C児とした。. 障害の関連についての知見は一致していない。. 対象児の学校での様子を把握するにため,各対. しかし,実行機能の障害は日常生活の困難と関. 象児の学級担任に「児童の困難の状況に関する. 係しているとされる。実行機能の障害は計画性の. 0 1 2 ) を配布し チェックリスト J (文部科学省, 2. なさ,見通しをもつことの困難さ,一貫性を欠い. て記入してもらった。このチェックリストは学習. た思いつきの行動といった臨床症状を生じさせる. 面 (1聞く J 1話す J 1読む J 1書く J 1計算する J 1推. 0 0 8 )0 W i l l n e rら ( 2 0 1 0 ) 要因でもある(加戸, 2. 論する J),行動面 (1不注意 J1多 動 性 衝 動 性 J1対. は,デイセンターに通う学習障害者の示す困難さ. ) の領域について定量的な 人関係やこだわり等 J. は 1Qによって特徴づけられるのではなく,実行. 評価ができるように構成されている。チェックリ. 機能の障害によって特徴づけられると断定的では. ストの各領域にはそれぞれ基準値が設定されてお. ないが考察している。また,いわゆる「問題児. り,その数値以上であれば学校場面で困難を示し. (hard-to-managec h i l d r e n )J とされる子どもた. ているとされる。本研究では,チェックリストで. ちは実行機能課題で低い成績を示すことが報告さ. 定められた基準値以上の数値であった場合を「著. れている (Dunnら , 2 001; Hughesら , 1 9 9 8 )。. しい困難を示す」とし,基準値の三分の二以上の. これらの先行研究からも,実行機能の障害が学校. 数値であった場合を「困難を示す」とした。基準. での学習面や行動面の困難のー要因であると考え. 値の三分の二未満の数値であった場合は「困難な. られ,実行機能のアセスメントを行うことは重要. し」とした。対象児のプロフィールを表 1に示す。. であると考えられる。. 2 0 1 3 a ;2 0 1 3 b ) は,発達障害児を対 加藤ら (. ( 1 ) A児. 象とした実行機能研究の今後の課題のーっとし. ①成育歴. て,実行機能の障害の評価と介入が一体化された. 父,母,弟の 4人家族である。幼稚園の入固ま. 支援の検討が必要であることを挙げ,実行機能の. 0カ月時に高 で療育センターに通っていた。 3歳 1. 評価と介入が一体化した支援プログラムを開発し. 機能自閉症の診断を受ける。幼稚園に入国後は,. r i e d ている。この支援プログラムは Miyakeと F. 友達に嫌なことをされたり自分の作った作品を触. manの 実 行 機 能 モ デ ル お よ び 実 行 機 能 コ ン ポ ー. られたりすると,その友達を叩いてしまうことも. Miyakeら , 2 0 1 2 )が理論的な基盤となっ ネント (. あり,別室での個別の対応となることもあった。. ている。また,この支援プログラムは発達障害児. 年長時には集団活動に参加する機会も増え,運動. の実行機能のアセスメントとしても活用できるよ. 会やお遊戯会などに参加することができていた. うに考案されたが,その有効性はまだ検討されて. しかし,負けたくない,負けそうだからやりたく. いない。. ない,という気持ちが強く,勝ち負けが関わる出. O. そこで,本研究では実行機能の評価と介入が一. 来事への参加に強い抵抗感を示すことがあった。. 体化した支援プログラムを実施した事例を通し. 小学校は特別支援学級(情緒障害)に入学した。. て,支援プログラムを実行機能のアセスメントと. 現在は学校での集団活動に参加できているが,落. して活用することの有効性の検討を目的とする。. ち着いて活動に参加することが難しいときもあ. 376.

(4) 発達障害のある児童の実行機能のアセスメント. 表. 1 対象児のプロフイール B児. 男 8 3 小2 高機能自閉症. 男. 生活年齢 学年 診断. 聞く. 8 0 小2 自閉症スペクトラム障害 困難を示す. ﹁. A児. 性別. 児342L 7 5 、ご L:8.4右. 対象児. 学習面. 話す 読む. 困難を示す. 書く. 困難を示す 困難を示す. 計算する 推論する 行動面. 困難を示す. 不注意 多動性衝動性. 対人関係やこだわり. 著しい困難を示す :困難なし. る。また,自分が納得できないことや友人とのト. 検査レベルでのディスクレパンシー比較では[数. ラブルなどがあると,自分で気持ちを落ち着かせ. <[語音整列 J , [符号 J <[絵の抹消 J , [記号探 唱J. ることが難しく,教室で泣いてしまうことがある。. <[絵の抹消]において有意差が認められた。 しJ. ②心理検査の結果と解釈. プロセス分析については,いずれも有意差は認め. 1 ) WISC-N. られなかった。 VCIが他の指標に比べ有意に高. 8歳 4ヵ月時に実施した WISC 町の結果を図. いこと, [数唱]に比べ[語音整列]が高いことから,. 1に 示 す 。 全 検 査 IQ (FSIQ) は 1 0 7(90% :. 言語的な情報処理が得意であると考えられた。. 1 0 1 1 1 2 )で「平均から平均の上」の知能水準に分. VCIの下位検査[理解]が他の VCIの下位検査に. V C I ) が1 1 7, 類された。合成得点、は言語理解 (. 比べて有意に低いことから,自分の経験に基づく. 知覚推理 ( PR I ) が1 0 4,ワーキングメモリー (WM I ). 言語的な知識の利用や推論が得意な一方で,社会. 0 6, 処 理 速 度 ( PSI)が 9 1であった。指標レ が1. 的な常識に対して偏った,もしくは主観的な理解. VCI>. をしている可能性が示唆された。[絵の概念 J ,[ 絵. , I VCI> W M , I VCI> PSI, PRI> PSI, PR. , [絵の抹消]に比べ, [積木模様J , [行列 の完成 J. WMI> PSIにおいて有意差が認められた。下位. 推 理J ,[符号 J ,[記号探し]が低かったことから,. ベルでのディスクレパンシー比較では,. 視覚的な有意味刺激の処理に比べ無意味刺激の処 理が苦手であると考えられた。. 18 16. 2) DN-CAS. 14 …. 8歳 2カ月時に実施した DN-CASの結果を図. 12 10. 2に示す。全検査標準得点は 1 0 9で,「平均」の知 能水準に分類された。 PASS標準得点はプラン ニングが 1 1 1,同時処理が 1 1 3,注意が 9 3,継次処. 。. 理が1 0 8であった。 PASS尺度聞での比較では, 注意の標準得点が有意に低かった。同時処理と継 次処理には,それぞれの尺度に含まれる下位検査. 】:廿f 唱 力 平. 言語理解 トキンクメモト. 117 106. 知覚推理 処理速度. 104 91 全 検 査. 107( 101-112). 図 1 A児の WISC-Nの結果. に有意な個人内差が認められ,特に同時処理[図 形の記憶]は出現率が 5%で有意に弱いという結. 377.

(5) 加藤順也・北村博幸. 嫌味を言われでも分からず,言葉通りに受け止め てしまうことがある J,1"言葉を組み合わせて,自 分にしかわからないような造語を作る J,1"誰かに 何かを伝える目的がなくても,場面に関係なく声 を出す J,1"とても得意なことがある一方で,極端 に不得手なものがある J,I"いろいろな事を話すが, その時の場面や相手の感情や立場を理解しない J, 「共感性が乏しい J,1"独特な目つきをすることが プランニング 注意. 111. 93. 同時処理 継次処理. 113. 108. 全検査. 109. 図 2 A児の DN-CASの結果. ある J,1"友達と仲良くしたいという気持ちはある けれど,友達関係をうまく築けない J,1"友達のそ ばには居るが,一人で遊んでいる J,1"仲の良い友. 果であった。全般的な認知能力は平均の範囲内に. 人がいない J,1"球技やゲームをする時,仲間と協. あるが,注意に認知的な弱さが認められた。同時. 力 す る こ と に 考 え が 及 ば な い J, 1"動作やジ、ェス. 処理[図形の記憶]では,図版を提示する 5秒の聞. " 意 チャーが不器用で,ぎこちないことがある J,1. に図版から日をそらしたり,検査者に話しかけた. 図的ではなく,顔や体を動かすことがある J,1 " あ. りする様子がみられた。そのため, [図形の記憶]. る行動や考えに強くこだわることによって,簡単. の評価点が特に低かったことについては,記憶や. な日常の活動ができなくなることがある J,1"特定. 同時処理の弱さだけではなく,持続性注意の困難. の物に執着がある J,1"独特な表情をしていること. も影響していると考えられた。. がある J,1"独特な姿勢をしていることがある」で. ③児童の困難の状況に関するチェックリスト. あった。. 学習面では書く領域での困難があり,行動面で は不注意に関する困難,対人関係やこだわりに関. ( 2 ) B児. する著しい困難があると認められた。. ①成育歴. 書く領域での質問でチェックされた項目は,「読. 父,母,姉の 4人家族である。 1歳半のときに. みにくい宇を書く J,1"独特の筆順で書く J,1"漢字. 保健師から対話における返答が上手くできていな. の細かい部分を書き間違える J,1"限られた量の作. いと指摘される。 3歳児健診でことばの遅れを指. 文や,決まったパターンの文章しか書けない」で. 摘され,その後は医療機関内にあることばの教室. あった。. に 2週間に 1度の頻度で通所している。 4歳 8カ. 不注意に関する困難での質問でチェックされた. 月時に自閉症スペクトラム障害の診断を受ける。. 項目は,「課題または遊びの活動で注意を集中し. 現在は特別支援学級に在籍しているが,教科学習. 続けることが難しい J,1"課題や活動に必要なもの. の授業は全て通常学級で受けている。学習面では. をなくしてしまう J,1"気が散りやすい J,1"日々の. 国語教科が苦手で,教科書の読みでは行を飛ばし. 活動で、忘れっぽい」であった。. て読んだり,勝手読みをしたりすることもある。. 対人関係やこだわりに関する困難での質問で. 一方で,算数教科での計算は自信をもって取り組. チェックされた項目は,「大人びている J, 1"みん. める。算数の文章問題では,問題文の読みと理解. 博士, なから 00. 00 教授と思われている J,1 " 他. でつまずくこともある。対人関係では,同じ特別. の子どもは興味を持たないようなことに興味があ. 支援学級に在籍している友達と遊んだりすること. り,自分だけの知識世界をもっている J,1"特定の. が多くトラブルは少ない。. 分野の知識を蓄えているが,丸暗記であり,意味 をきちんと理解していない J,1"含みのある言葉や. 378.

(6) 発達障害のある児童の実行機能のアセスメント. 認められた。. ②心理検査の結果と解釈. 1 ) WISC-N. 全般的な認知能力は平均の範囲内にあるが,プ. 8歳 1カ月時に実施した WISC一町の結果を図. ランニングと注意に比べ継次処理が有意に低く,. 3に示す。全検査 IQ ( F S I Q ) は87(90%:82-93). 継次処理の認知的な弱さがあると考えられた。し. で「平均の下から平均」の知能水準に分類された。. かし,プランニング下位検査の中で継次処理への. 合成得点は言語理解 ( V C I )が 82,知覚推理 ( P R I ). 負荷が大きいと考えられる[系列つなぎ]の評価点. が1 0 2,ワーキングメモリー (WMI) が 7 6,処理. が高かった。そのため,継次処理の標準得点には. 速度 ( P S I ) が9 6であった。指標レベルでのディ. 聴覚的なワーキングメモリーの弱さも影響してい. スクレパンシー比較では,. VCI<PRI, PRI>. ると考えられた。また, [系列つなぎ]の評価点が. WMI, VCI<PSI, WMI<PSIにおいて有意. 高かったことについては,ワークシートには情報. 差が認められた。下位検査レベルでのディスクレ. が常に提示されているためワーキングメモリーへ. <[算数 J , [語音整列 J < パンシー比較では[数唱 J. の負荷が少なかったことと,. [算数 J , [符号 J <[記号探し]において有意差が認. れた処理速度の強さが反映されたためであると考. められた。プロセス分析については,いずれも有. えられた。. 意差は認められなかった。. PRIと PSIが高く. WISC-町で認めら. ③児童の困難の状況に関するチェックリスト. VCIと WMIが低いことから,視覚的な情報処理. 学習面において聞く,読む,書く領域での困難. が得意で,聴覚的な情報処理が苦手であると考え. があると認められた。行動面での困難は認められ. られた。特に,聴覚的な情報処理ではワーキング. なかった。. メモリーの弱さがあると考えられた。. 2) DN-CAS. 聞く領域での質問でチェックされた項目は,「聞 き間違いがある J,,-聞きもらしがある J,,-個別に. 8歳 5カ月時に実施した DN-CASの結果を図 4に示す。全検査標準得点は 9 4で,「平均」の知. 能水準に分類された。 PASS標準得点はプラン ニングが 1 1 1,同時処理が9 1,注意が 1 0 6,継次処. 言われると聞き取れるが,集団場面では難しい J, 「指示の理解が難しい J,,-話し合いが難しい」で あった。 読む領域での質問でチェックされた項目は,「初. 理 が7 5であった。 PASS尺度聞での比較では,. めて出てきた語や,普段あまり使わない語などを. プランニングと注意の標準得点が有意に高く,継. 読み間違える J,,-文中の語句や行を抜かしたり,. 次処理の標準得点が有意に低いことが認められ. または繰り返し読んだりする J,,-音読が遅い J,, 勝. た。プランニングと注意には,それぞれ[数の対. 手読みがある J,,-文章の要点を正しく読み取るこ. 探し]と[形と名前]が個人内で有意に低いことが. とが難しい」であった。 書く領域での質問でチェックされた項目は,「読. 1R. Q06420 11111. 16 14 12 10. 4. 4. At. n u. 査 検 全. Qdη'. 15. 処処. 理理. 同継. 時次. 16 10 11. ン. 図 3 B児の WISC-Nの結果. グ. 8 7 ( 8 2 9 3 ). ン. 96 全検査. /}フ膏品. 102. 川プ注. 知覚推理 処理速度. 一 ブ. プ. 82 76. ン. 言語理解 トキンfメモト. 図 4 B児の DN-CASの結果. 379.

(7) 加藤順也・北村博幸. みにくい宇を書く j, i独特の筆順で書く j, i漢字. 支援プログラムの指標として A n t i s a c c a d eでは. の細かい部分を書き間違える j, i句読点が抜けた. 正反応率を算出した。正反応率が高ければ妨害刺. り,正しく打つことができない j, i限られた量の. 激への反応を抑制する能力が高いことを示す。. 作文や,決まったパターンの文章しか書けない」. Stroopでは,中立刺激条件での平均 RTと不一. であった。. 致刺激条件での平均 RTを算出した。その数値を 基に,不一致刺激に生じる競合を解消するための. 2 .時 期. 能力を反映するコンフリクト効果を算出した。コ. 平成 2 5年の 9月に行った。週に 1回 1時間程度. ンフリクト効果は, [コンフリクト効果=不一致. の実施で,複数回に分けて全てのアセスメントを. 刺激条件での平均 RT 中立刺激条件での平均. 実施した。. RTJによって算出した。この値が低ければ,不適 切な知覚情報から受ける干渉を制御する能力が高. 3 . 手続き. いことを示す。 S t o p s i g n a lの代わりに実施した. 実行機能のアセスメントとして(1)実行機能の評. STOP-IT で は Verbruggen ら ( 2 0 0 8 ) が. 価と介入が一体化した支援プログラム, ( 2 )Wis-. STOP-ITの反応を分析するために開発したフ. consincardsortingt e s tパソコン版(小林,. リーソフトウェア ANALYZE-ITを用いて分析. 2 0 0 3 ),( 3 )ハノイの塔課題を実施した。対象児の. した。. 負担を考慮し,複数回に分けてアセスメントを実. STOP-ITの 指 標 は 停 止 信 号 反 応 時 間. ( s t o ps i g n a lr e a c t i o nt i m e:SSRT) であった。 SSRTは生じ始めた反応を抑制するまでにかかる. 施した。. 0 0 3 ),この値が低け 時間と定義され(西岸ら, 2 れば,生じ始めた反応を抑制する能力が高いこと. ( 1 ) 支援プログラム. r i e d 支援プログラムの 9つの実行機能課題は F 2 0 0 8 ) に従い, manら (. を示す。. Antisaccade,Letter. L e t t e rmemory,S p a t i a l2-backでは正反応率. o l o rshape,Numberl e t t e r,Stroop, memory,C. r a c kでは反応を得点化して を算出した。 Keept. Keept r a c k,S p a t i a l2-back,Categoryswitch,. 全試行での得点率を算出した。得点化に関しては,. S t o p s i g n a lの順で実施した(各課題の詳細につい. 標的カテゴリーに含まれる最後の単語を復唱した. 0 1 3 bを参照)。なお,支援プログ ては加藤ら, 2. 場合 2点,標的カテゴリーに含まれるが最後では. t o p s i g n a lはより高田かな言平佃1 を1 1"うた ラムの S. ない出現した単語を復唱した場合 1点,標的カテ. Verbruggenら ( 2 0 0 8 ) によって開発され. ゴリーに含まれない単語,もしくは出現していな. め ,. た STOP-ITを代用して実施した。 STOP-ITは. S t o p s i g n a l課題をパーソナルコンビュータで実. い単語を復唱した場合 0点とした。. S h i f t i n gs p e c i f i cの実行機能課題では, Miyake. 施するためのフリーソフトウェアであるo. ら ( 2 0 0 0 ) に従い,課題開始直後の第 1試行,. STOP-ITは全体の 75%が基本課題で 25%が停止. RTが 200ms以下の試行,誤反応および誤反応直. 課題になっている。基本課題では標的刺激が丸か. 後の試行を分析から除外した。また,. 四角形かを判断してキーボードで反応する。試行. Categorys w i t c hでは,難易度ごとの分析 Shape,. 回数は,練習を 3 2試行してから本試行を 64試行 3. と全体で、の分析を行った。まず,反応の判断基準. ブロック行うことになっている。停止信号の遅延. が継続しセットの転換が必要のない「シフトなし. 時間はトラッキング法によって決定される。ト. 試行」と,判断基準が変更されセットの転換が必. ラッキング法における最初の遅延時間は 250ms. 要な「シフトあり試行」の平均 RTを算出した。. になっており,反応の正誤に基づき 50msずつ変. その数値を基に,反応の判断基準を柔軟に変更す. 動するように設定されている。. る能力を表すセットの転換を算出した。セットの. 3 8 0. Color.

(8) 発達障害のある児童の実行機能のアセスメント. 転換は[セットの転換=シフトあり平均 RTーシ. ( 3 ) ハノイの塔課題. フトなし平均 RTJにより算出した。この値が小. 1 9 9 9 ) 鹿島ら (. さければ反応の判断基準が変わった際の構え. で示されている実. (セット)を切り換える能力が高いことを示す。. 施手順を参考に問. 次に,正しい分類反応をした正反応率を算出した。. 題を実施した。問. 最後に,分析から除外した試行を含む全試行の. 題で使用するデイ. (4). RTの標準偏差と平均を算出し,それを基に反応. スクの枚数や初期. 問題2. 時間の変動係数を算出した。変動係数は[変動係. 位置は渡遺ら. 目標位置. 思 問題番号 (最少移動回数) 問題 1. (5). 問題 3. 初期位置. ム. 告 思 高 害. 数=全試行 RT標準偏差/全試行平均 RTJによ. ( 2 0 0 1 ) を参考に. り算出した(青木ら, 2 0 1 2 )。この値が小さければ,. した。実施した問. 課題遂行中の反応の安定度が高いことを示す o. 題の初期位置と日. Numberl e t t e rでは,「シフトなし試行」のみで. 標位置を図 5に示. 構成されている Block1と Block2における平均. す。具体的な手順. RTと,「シフトあり試行」が含まれる Block3の. としては,まず 2 図 5 ハノイの塔課題における 初期位置と目標位置 枚のディスクを用. 平均 RTの差を算出した。また,. Block3では. ( 6 ) 問題4 (7). 問題 5 (7). ColorShape, Categoryswitchと同様の方法で. いてディスクの操. セットの転換,正反応率,反応時間の変動係数を. 作方法とルールについて教示をした。対象児が. 算出した。. ルールを理解できたと判断できれば,. 3枚のディ. スクを用いて問題 1から実施した。対象児はなる. ( 2 ) Wisconsincards o r t i n gt e s tパソコン版 (小林, 2 0 0 3 ). から目標位置に移動するように求められた。各問. 課題はパーソナルコンビュータを用いて実施し. 2 0 0 8 ) を参考に, た。指標は加戸 (. べく少ない移動回数で全てのディスクを初期位置. 6枚連続正答. が達成された達成カテゴリー数 (CA),直前の誤. 題の制限時間は 2分であった。ハノイの塔課題の 指標は,問題 1から問題 5までの所要時間の合計 と移動回数の合計とした。. elson型保 反応と同じカテゴリーに分類を行う N 続性誤反応 (PEN), 2枚以上 5枚以下の連続正 答後に誤反応を生じるセットの維持困難 (DMS), 第 1カテゴリー達成所要数 (NUCA),全誤反応. i l l .結 果 ( 1 ) 支援プログラム. 数 (TE),非保続性誤反応 (NPEN) とした。. 対象児の支援プログラムの結果を表 2に示す。. CAは検査の総体としての成績を示している. 分析のため,実行機能課題の指標ごとに 3名の成. O. PENは直前の誤反応と同じカテゴリーに続けて. 績の標準偏差を算出した。そして, C児の成績と. 分類された誤反応数を示しており,前反応の抑制. 2標準偏差 (SD) 以上の希離がみられた指標に. の困難もしくは保続傾向の程度を定量的に示して. 対し,その指標がもっ意味に沿って「低い(↓ ) J. いる。 DMSは 2以上 5以下の連続した正反応の. または「高い(↑ ) J と判断した。. 後に,誤反応が生じた数を示しており,現在の準. Antisaccadeでは A児の成績が低かった。. 拠している概念を見失った程度を定量的に示して. Stroopでは B児の成績が低かった。 STOP-IT. いる。 NUCAは第 1カテゴリーの達成となる 6. では A児の成績が低かった。 L e t t e rmemoryで. 間連続正答が形成されるまでの試行錯誤の段階が. は B児の成績が低かった。 Keept r a c kでは A児. どの程度続いたのかを定量的に示している o. の成績が低かった。 S p a t i a l2-backでは全ての対. NPENは保続によらない誤反応数を示している。. 象児が課題理解に困難を示したため,どの対象児. 3 8 1.

(9) 加藤順也・北村博幸. も正反応率が低かったが,特に B児の成績が低. 成績が低かった。 Totalのセットの転換では B児. かった。 Colorshapeの Lv1条件におけるセット. の成績が低かった。正反応率では A児の成績が低. の転換で、は A児の成績が低かった。正反応率では. かった。変動係数では B児の成績が低かった o. B児の成績が低かった。変動係数では B児の成績. Numberl e t t e rにおける Block1と Block2の平均. が高かった。 Lv2条件におけるセットの転換では. R Tと Block3の平均 R Tの差では B児の成績が高. B児の成績が高かった。正反応率では B児の成績. かった。 Block3におけるセットの転換では B児. が低かった。変動係数では差はみられなかった。. の成績が高かった。正反応率では B児の成績が低. Totalのセットの転換では差はみられなかった。. , B児ともに C児より かった。変動係数では A児. 正反応率では B児の成績が低かった。変動係数で. も成績が低かった。. は B 児の成績が高かった。 Categoryswitchの Lv1条件におけるセットの転換と正反応率では A. ( 2 ) Wisconsincards o r t i n gt e s tパソコン版. 児の成績が低かった。変動係数では差はみられな. 各対象児の WCSTパソコン版の結果を表 3に. かった。 Lv2条件におけるセットの転換では差は. 示す。分析には加戸 (2008) が示している 8歳か. みられなかった。正反応率と変動係数では A児の. ら10歳の健常児 51名の WCSTの成績の平均値を. 表 2 支援プログラムの結果. i 。 、 ロ. F 町j. 官吾. A n t i s a c c a d e S t r o o p STOP-IT ( S t o ps i g n a l ) L e t t e rmemory Keept r a c k S p a t i a 1 2 b a c k. 正反応率 コンフリクト効果 停止反応時間 ( SSRT) 正反応率 得点率 正反応率. A児 64% (↓) 390ms. B児 7 9 1 1 2 4 (↓). C児 8 6 4 2 4. 2SD 1 8 6 7 7. 3 3 5ms (↓). 3 2 6. 2 6 5. 6 2. 77% 50% (↓) 39%. 3 3 (↓) 6 4 3 4 (↓). 8 3 9 2 3 9. 4 5 3 5 5. 4 1 3ms (↓) 94% 0 . 5 0. 4 6 7 (↓) 0 . 3 6 (↑). 2 6 3 9 8 0 . 5 9. 5 5 6 2 8 0 . 1 9. 350ms 85% 0 . 5 5. 2 1 (↑) 7 1 (↓) 0 . 1 8. 3 7 9 9 6 0 . 5 0. 3 6 4 2 0 0 . 3 3. 382ms 90% 0 . 5 4. 9 71(↓) 0 . 2 9 (↑). 5 8 9 7 0 . 5 6. 3 4 1 2 2 0 . 2 5. 750ms (↓) 56% (↓) 0 . 5 8. 1 0 5 7 5 0 . 9 9. 2 4 4 9 8 0 . 7 5. 8 2 4 3 4 0 . 3 4. 2 4 3ms 68% (↓) 0,鮒(↓). 8 1 9 7 9 0 . 8 5. 4 8 6 9 8 0 . 5 3. 8 8 7 2 5 0 . 3 8. 4 1 9ms 68% (↓) 0 . 8 5 1 8 1ms. 4 6 2 (↓) 7 9 0 . 9 2 (↓) 1 4 0 (↑). 1 2 1 9 8 0 . 6 5 3 6 1. 3 0 3 2 9 0 . 2 3 4 1 4. 190ms 77% 0 . 5 6( ↓j. 7 2 (↑) 5 3 (↓) 句 。5 7 (↓). 7 5 0 1 0 0 0 . 3 9. 6 8 6 3 8 0 . 1 7. Lv1 セットの転換 正反応率 反応時間の変動係数. Lv2 C o l o rs h a p e. セットの転換 正反応率 反応時間の変動係数. T o t a l. ∞. セットの転換 正反応率 反応時間の変動係数. }HH][. 巴ロ向田℃巾白出円. Lv1 セットの転換 正反応率 反応時間の変動係数. Lv2 C a t e g o r ys w i t c h. セットの車反t 集 正反応率 反応時間の変動係数. T o t a l セットの車反t 集 正反応率 反応時間の変動係数 l o c k 2-B l o c k 3 B l o c k 1, B. B l o c k 3 Numberl e t t e r. 3 8 2. セットの転換 正反応率 反応時間の変動係数.

(10) 発達障害のある児童の実行機能のアセスメント. 表 3 WCSTパソコン版の結果 A ! ) [ ' ,. 5. 1 1. 1 4 1 4. 1(↓) 1 0(↓) 4 (↓) 8 2 4(↓) 1 4(↓). i 0 0 0 0 円/﹁、υ 円. , 。. 1. 2 3 3 2 1 2 4 (↓) 0 (↓) 1 6 (↓) 2. •••. 戸. 。. 5 7 (↓). 8 歳 ~10歳の. 健常児の平均値. 。. 4 4. 1 (↓). N e l s o n型保続性誤反応、 ( P E N ) セットの維持困難 ( DMS) 第 1カテゴリー達成所要数 (NUCA) 全誤反応数 ( T E ) 非保続性誤反応 ( NPEN) 第 2段 階 CA PEN D孔1 S NUCA TE NPEN. C児. ︼ れ つ U2 315 2 ω ワ ︼ 11. 第 1段 階 達成カテゴリー数 ( C A ). B ! ) [ ' ,. 4 . 0 2 . 5. 2 . 3 8 . 6 1 3 . 8 1 1 . 3. 表 4 ハノイの塔課題の結果 B ! ) [ ' ,. A児 合計所要時間. 1 3 2 s e c. 合計移動回数. 己斗 _ j. 内容・様子. ι. 全問達成. 8 8 (↓) 4 4. 全問達成. C児. 2SD. 1 7 5 4 0. 9 . 1. 7 1. 4問日はタイム オーバー. ※表 2~4 では成績が低いと判断された指標を薄いグレーで,高いと判断された指標を. 枠で囲み示した。. 用いた。対象児の成績と,示された平均値を比較. 方 , B児は C児よりも合計所要時聞が短かった。. して,その指標がもっ意味に沿って「低い(↓ ) J. C児は 4問目でタイムオーバーになったため合計. と判断した。. , B児よりも長かったが合計移動 所要時間は A児. 第 1段階において A児は CA, DMS, NPEN. 回数は一番少なかった。. で低い成績を示した。また, A児の CAは 4未満 であったため第 2段階の実施となった。第 2段階 では CA, PEN, DMS, TE, NPENにおいて. N .考. 察. 低い成績を示した。 B児は TEと NPENで低い. アセスメントの結果から A児と B児の実行機能. C児は全ての指標について成績の. について考察する。また, A児と B児の実行機能. 成績を示した。. 低下はみられなかった。. のアセスメントを通して,支援プログラムを実行 機能のアセスメントとして活用することの有効性. ( 3 ) ハノイの塔課題. を+食言すする。. 各対象児のハノイの塔課題の結果を表 4に示 す。分析のため,指標ごとに対象児 3名の成績の 標準偏差を算出した。そして, C児の成績と 2標 準偏差 (SD)以上の希離がみられた指標に対し「少. 1 . A児の実行機能のアセスメント ( 1 ) 支援プログラムの結果の解釈. 支 援 プ ロ グ ラ ム に お け る Antisaccade,. J または「多い・長い(↑ ) Jと ない・短い(↓ ). STOP-IT, Keept r a c k, C o l o rshape, Category. 判断した。. switch,NumberleUerに成績の低下がみられた。. A児は C児よりも合計移動回数が多かった。一. Antisaccadeの結果から瞬間的に呈示される妨. 3 8 3.

(11) 加藤順也・北村博幸. 害刺激への抑制の弱さがあると考えられた。また,. ( 2 ) WCSTパソコン版の結果の解釈. 課題遂行中にスクリーンから視線を逸らしてしま. DMSと NPENの高さから,カテゴリー達成に. うこともあり,注意を持続できなかったことも成. 至る前の試行錯誤の多さが CAを引き下げている. 績の低下に影響していると考えられた。. 2 0 0 8 ) が示す平 と考えられた。 NUCAは加戸 (. STOP-ITでは C児の成績と 2SD以上の希離が. 均値と同程度の成績であったが,他の 2名の対象. みられたが, B児の成績と比較すると 9ms ( 0 .. 児よりも多く,試行錯誤の多さを反映していると. 0 0 9秒)という僅かな差であった。そのため,. 考えられた。また,第 2段階では DMSによる誤. STOP-ITの成績に関しては慎重に解釈していく. 答が減少し,. 必要があるが,. A児の抑制の弱さを反映している. と考えられた。. PENによる誤答が増加していた O. PENは保続性の程度を示す指標であるが,第 1 段階では平均値よりも低い値を示していることか. Keept r a c kでは B児と C児よりも得点率が低. ら,第 2段階での PENの多さは保続性の強さを. かった。反応の傾向としては,誤答ではなく無反. 示すものではないと考えられた。また,第 1段階. 応が多かった。課題遂行中の様子としては,スク. と第 2段階で一貫した結果を示さなかったという. リーンから視線を逸らすことが多く,注意を持続. ことから, A児は課題遂行過中に達成カテゴリー. できなかったことも成績の低下に影響していると. に関する概念形成ができず,試行錯誤を繰り返し. 考えられた。そのため,. Keept r a c kで多かった. ていたと考えられた。. 無反応は標的刺激の見逃しによるものであると考. ( 3 ). えられた。. C o l o rshapeでは,. ハノイの塔課題の結果の解釈. Lv1条件におけるセットの. C児に比べ合計移動回数が多く,合計所要時間. 転換でのみ成績の低下を示した。 Lv2条件および. も2SD以内ではあったが C児より短かった。こ. Lv1条件と Lv2条件を統合した Totalにおける. の結果から,. セットの転換は B児と C児よりも高い値である. 短かったと考えられた。ハノイの塔課題を解決す. が,差はないと判断された。そのため,. Color. 1回のディスク移動に費やす時聞が. るには,課題解決のための下位目標を設定するこ. shapeの結果からシフティング能力の弱さは認め. とが有効である(近藤, 1 9 8 9 )。課題達成のため. られないと考えられた。. に下位目標を把握して課題に取り組んでいる者. Categoryswitchのセットの転換の成績は Lv1. は,下位目標を把握していない者に比べて課題解. 条件では非常に低く Lv2条件で、は逆に高くなって. 決開始から第 1移動を開始するまでに要する時聞. いた o Lv1条件で、はセットの転換と正反応率で成. が有意に長い(渡遺ら, 2 0 0 1 )。これは,逆に言. 績の低下がみられたことから,セットの転換に要. えば第 1移動を開始するまでに要する時聞が短い. した時間が B児と C児よりも長く,さらに,安定. 場合,適切な下位目標を把握せずに試行錯誤的に. した正確な分類反応ができなかったと考えられ. 課題に取り組んでいる可能性が高いことを示唆し. た 。 Lv2条件で、はセットの転換で非常に高い成績. ている。また,課題遂行中に課題解決のための下. を示し,正反応率と変動係数の成績が低かったこ. 位目標を設定するには,ディスク移動を伴わない. とから,分類反応そのものが不安定であったと考. 思考時聞が必要であると考えられる。そのため,. w i t c hに えられた。これらの結果から Categorys. 下位目標を設定して課題に取り組むためには,. おいては,まず分類反応が不安定であったことを. 回のディスク移動に費やす時間が長くなることが. 考慮してシフティング能力について考察していく. 予想される。. e t t e rでは 必要があると考えられた。 Numberl. 1. 本研究では課題開始から第 1移動を開始するま. B l o c k 3の変動係数に成績の低下がみられたため,. でに要した時間を測定していないため詳細な検討. B l o c k 3での反応が不安定で、あったと考えられた。. はできないが,. 384. A児は課題解決のための下位目標.

(12) 発達障害のある児童の実行機能のアセスメント. を設定せずに,試行錯誤しながら課題を解決して. WCSTパソコン版とハノイの塔課題でみられた. いた可能性があると考えられた。. 試行錯誤の多さも,. commonEFの障害によって. 適切に目標を維持できなかったためによると考え ( 4 ) 総合解釈. られた。. WCSTパソコン版,ハノイ. C o l o rs h a p eと C a t e g o r ys w i t c hの結果からは,. A児には実行機能の障害が あると考えられた。また, A児 は 実 行 機 能 の. シフテイング能力の弱さを示すセットの転換の成 績の低下よりも,分類反応が不安定であったこと. commonEFに障害があると考えられた。 com-. を示す正反応率と変動係数において成績の低下が. monEFは,目標や課題関連情報の管理と調整を. みられた。 Miyakeら ( 2 0 1 2 ) によれば,. 担い,抑制能力と強い関連がある ( Miyakeら ,. i n gs p e c i f i cと commonEFは,それぞれシフティ. 2 0 1 2 )。. ング能力における「柔軟性」と「安定性」という. 支援プログラム, の塔課題の成績から,. S h i f t. commonEFはもともと I n h i b i t i o nという実行. 性質を示すとされる。これは,課題遂行中の柔軟. Friedmanら , 2 0 0 8 ) 機能コンポーネントであり (. かっ安定したパフォーマンスを維持するために. commonEFの障害は抑制能力の弱さとしてあら. は ,. われやすいと考えられる。抑制能力の弱さは. 切に機能している必要があることを示唆している. A n t i s a c c a d eと STOP-ITの結果からも認められ. と考えられる。つまり,. S h i f t i n gs p e c i f i cと commonEFの両方が適 commonEFの障害は,. DN-CASでは注意の認知的弱さが認. セットの転換の成績にみられる「柔軟な反応」に. められ,チェックリストにおいても不注意による. 関する指標の成績を低下させないが,正反応率や. 困難が示されている。抑制能力とは,支配的,自. 変動係数のような「安定した反応」に関する指標. 動的,慢性的な反応を,必要な時に意図的に抑制. の成績を引き下げる可能性があると考えられた。. , 2 0 0 0 ) 能力のことであり, する (Miyake ら. このことから,分類反応の不安定さは common. DN-CASの注意とも関連付けられる能力である. EFの障害によるものであると考えられた。. た。また,. と考えられる。チェックリストで評価される不注 意の程度は,例えば「気が散りやすい J, i課題ま. 2 . B児の実行機能のアセスメント. たは遊びの活動で注意を集中し続けることが難し. ( 1 ) 支援プログラムの結果の解釈. い」のように,行動レベルで評価されるため,そ. t r o o p, L e t t e rmem支援プログラムにおける S. の行動の背景にどのような認知的要因が関与して. ory, S p a t i a l2-back, C o l o rshape, Category. いるかは推定できない。しかし,その質問項目に. e U e rに成績の低下がみられた。 s w i t c h,Numberl. 挙げられた行動には,抑制能力や持続性注意が少. Stroopの結果から反応に必要ない不適切な知. なからず関連していると予想される。そのため,. 覚情報への抑制能力の弱さがあると考えられた。. チェックリストで困難を示すと記された行動の背. L e t t e rmemoryの課題遂行中の様子としては,. 景には, commonEFの障害があると考えられた。. 練習試行において呈示される標的刺激を全て覚え. Keept r a c kの成績の. ようと復唱していた。課題の教示を再度行い,呈. 低下はアップデート能力の弱さではなく,持続性. 示された標的刺激の最後の 3文字だけを答える様. 注意の問題によるものであると考えられた。持続. に求めると,課題内容は理解しているようであっ. 性注意の問題は A n t i s a c c a d eでも同様に確認され. たが,全ての標的刺激を復唱する様子は変わらな. 課題遂行中の様子から,. た。これは課題開始から終了までの間,. com-. かった。課題達成に不必要となった刺激情報を. monEFの障害によって「課題を遂行するために. ワーキングメモリーから削除することに困難があ. 注意を向け続ける」という目標を維持できなかっ. るようであった。これらのことから,アップデー. たために生じた問題であると考えられた。また,. テイング能力の弱さがあると考えられた。. 3 8 5.

(13) 加藤順也・北村博幸. S p a t i a l2-backは , A児 , C児と同様に課題理. の塔課題の成績から,. B児には実行機能の障害が. あると考えられた。また, B児は実行機能の Up-. 解で困難を示し,成績が低下した。. S h i f t i n gs p e c i f i cの実行機能課題では共通して. d a t i n gs p e c i f i cに障害があると考えられた。 Up-. 正反応率で低い成績を示した。 Colorshapeと. d a t i n gs p e c i f i cは,ワーキングメモリー内の情報. Numberl e t t e rのセットの転換では A児と C児よ. の絶え間ないモニタリングと素早い追加と消去を. りも高い成績を示した。この結果から,シフテイ. 担い (Miyakeら , 2 0 1 2 ),課題に関連した入力. ング能力の弱さは認められないと考えられた。変. 情報のモニタリングと符号化を要求する. 動 係 数 で は Colorshapeで高い成績を示し,. Categorys w i t c hと Numberl e t t e rで低い成績を o l o rshapeで求められる分類反応は, 示した。 C 「色」と「形」という直接的な知覚情報に基づく 分類であるのに対し,. Categorys w i t c hと Num-. (Miyakeら , 2 0 0 0 )。 L e t t e rmemoryで課題達成に不必要となった 刺激情報の削除に困難を示していたことから,. Updatings p e c i f i cにおける情報の削除が適切に 機能していないと考えられた。また,. Updating. berl e t t e rの分類反応には「サッカーボールより. s p e c i f i cと関連強いワーキングメモリーの弱さは. 大きいか小さいか」や「奇数か偶数か」などの簡. WISC 町や DN-CASにおいても認められた。. 単な意思決定が含まれている。 Categorys w i t c h. Categorys w i t c hと Numberl e t t e rにみられた意. と Numberl e t t e rの変動係数の成績の低下は,意. 思決定に関する困難は,分類反応の判断基準のモ. 思決定の困難もしくは意思決定のための判断基準. ニタリングの困難に由来すると考えられた。次々. の持続的なモニタリングの困難によるものである. と呈示される標的刺激を判断基準に従って分類す. と考えられた。. るためには,ワーキングメモリー内に保持された 判断基準への絶え間ないモニタリングが必要とな. ( 2 ) WCSTパソコン版の結果の解釈. る。本来であれば絶え間なく行われるモニタリン. NPENと TEの成荷主カ王低;かった。 NPENは. グであるが,. Updatings p e c i f i cが適切に機能し. TEから PENをヲ│いて算出される。そのため,. ていなければ,標的刺激が呈示される毎にモニタ. TEの多さは NPENの多さを反映していると考. リングをすることが必要となり,その結果,分類. NPENについての詳細な分. 反応が不安定になったのではないかと考えられ. えられた。しかし,. 析をしている先行研究は見当たらないため,. B児. た 。. の NPENの成績については,他の検査結果と併. チェックリストでは行動面での困難は示され. せて慎重に解釈していく必要があると考えられ. 2 0 0 6 ) ず,学習面での困難が示された。 Helenら (. た 。. は , 1 1歳から 1 2歳 の 児 童 を 対 象 に Miyake ら. ( 2 0 0 0 ) と同様の実行機能課題を実施し,その成. ( 3 ) ハノイの塔課題の結果の解釈. 績と英語,算数,理科の学業成績の関係を検討し. A児と C児よりも合計所要時間が短く,合計移. ている。その結果,実行機能コンポーネントとし. 動回数では C児と差はみられなかった。この結果. て Updatingと I n h i b i t i o nが出現し,学業成績と. から,課題達成のための下位目標を設定するのが. 強い相関関係にあったのは Updatingであったと. 速い,もしくは,課題を遂行しながら下位目標を. 示している。特に Updatingは算数よりも英語の. 設定したり,修正したりすることができていたと. 学業成績と強い相関を示した。 Helenらで用い. 考えられた。. られた英語の学業成績のテストは読み,書き,ス ペリング,ハンドライテイングが含まれる標準化 されたテストであった。これは,実行機能の Up. ( 4 ) 総合解釈 支援プログラム,. 386. WCSTパソコン版,ハノイ. d a t i n gs p e c i f i cの障害が,学校での読み書きの困.

(14) 発達障害のある児童の実行機能のアセスメント. 難につながりやすい可能性を示唆している。その. という前提があったと考えられる。しかし,本研. ため, B児の学習面における読み書きの困難の背. 究のように対象が小学生であると正反応率や反応. Updatings p e c i f i cの障害が関与してい. 時間の変動係数などに特徴があらわれる可能性も. 景には,. ある。そのため,. ると考えられた。. Friedmanらが分析対象とした. また,抑制能力に関して S troopで成績の低下. 指標のみならず,その他の指標についても数値が. がみられたが,他の commonEF課題での成績に. もっ意味について,更に検討をする必要があると. WCSTパソコン版やハノイの. 考えられた。しかしその場合,新たに加えられた. 塔課題でも commonEFの障害を特徴づける反応. 指標が実行機能モデルのどの部分に関係している. はみられなかった。. のか明らかにする必要がある。また,. 低下はみられず,. Updating. s p e c i f i cの S p a t i a l2-backでは全ての対象児が教. 3 . 支援プログラムをアセスメントとして活用す. 示理解に困難を示した。そのため,実行機能課題. ることの有効性. の教示の仕方,課題の難易度,試行数や呈示する. A児と B児の実行機能のアセスメントを通し. 標的刺激について小学生を対象とすることを想定. て,支援プログラムを実行機能のアセスメントと. した更なる改善が必要であると考えられた。 次に,支援プログラムの成績を「高い」もしく. して活用することの有効性を検討する。. A児と B児のどちらも,支援プログラムの結果. は「低い」と判断するための基準値の設定が必要. と他の検査結果を併せて解釈することで,. である。本研究ではケース数が少なし成績の高. Miyakeと Friedmanの実行機能モデルにおけ. 低を判断する基準値が確立しているとは言い難. る,どのコンポーネントが障害されているのかを. い。そのため, A児と B児の実行機能のアセスメ. 同定することができた。また,障害された実行機. ントを進めるためには,支援プログラムでの成績. 能コンポーネントは対象児の示す困難や臨床像に. のみならず他の検査結果や臨床像と照らし合わせ. 結びっく部分もあり,実行機能のアセスメントが. て解釈する必要があった。今後はケース数を増や. 対象児理解を深めることに貢献できる可能性が示. し,統計的な手法に基づいて支援プログラムの基. 唆された。しかし,更に検討すべき点として次の. 準値を設定する必要があると考えられた。. 課題点が考えられた。. 以上のように,検討すべき課題点が残っている. まず,支援プログラムの実行機能課題について. ものの,本研究で開発した実行機能の評価と介入. の更なる検討が必要である。本研究の分析の対象. が一体化した支援プログラムは,他の検査課題の. とした実行機能課題の指標は,. Friedman ら. ( 2 0 0 8 )が用いている指標とは異なるものもある。 特に,. S h i f t i n gs p e c i f i cの実行機能課題では,. 結果や子どもの臨床像と照らし合わせることで, 実行機能のアセスメントとして活用することが有 効である可能性が示唆された。しかし,支援プロ. Friedmanらが Lv2条件のセットの転換のみを分. グラムを実行機能のアセスメントとして活用する. 析対象としているのに対し,本研究では Lv1条件. ためには,各実行機能課題で算出される指標につ. のセットの転換や正反応率,反応時間の変動係数. いて適切に理解していること,算出された数値を. を分析対象に加えている。 Friedmanらが正反応. 絶対視せずに子どもの臨床像に合わせて解釈をす. 率や反応時間の変動係数を分析対象に含めなかっ. ることが重要であると考えられた。. たのは,研究に参加した対象者の年齢が比較的高 かったためであると考えられる。つまり,. F r i e d -. manらの研究対象者は平均 1 7歳 ( S D = O .6,R = 1 6 .. 引用文献. S h i f t i n gs p e c i f i cの実. 青木真純・岡崎慎治・前Jll 久男 ( 2 0 1 2 ) :注意欠陥多動性. 行機能課題では基本的に安定した正反応ができる. 障害児における干渉課題遂行中の認知的制御に関する. 1~20. 1 1 ) の健常者で,. 387.

(15) 加藤順也・北村博幸 1 (4 ),4 6 0 4 6 9 . 検討. LD研究 2. Dunn.] . .& Hughes.C .( 2 0 0 1 ):" 1GotSomeSwordsand. F u n c t i o n s: FourG e n e r a lC o n c l u s i o n s .C u r r e n tD i r e c. t i o ni nP s y c h o l o g i c a lS c i e n c e2 1 ( 1 ) . 8 1 4 .. Y o u ' r eD e a d ! ":V i o l e n tF a n t a s y .A n t i s o c i a lB e h a v i o r .. . .F riedman.N .P . .Emerson.M.] . .A l e x a n d e r . M i y a k e .A. F r i e n d s h i p .and孔1 0 r a lS e n s i b i l i t yi nYoungC h i l d r e n .. 日.W . .& H o w e r t e r .A.( 2 0 0 0 ):TheU n i t yandD i v e r s i -. C h i l dD e v e l o ρment7 2 .4 9 1 5 0 5. t yo fE x e c u t i v eF u n c t i o n sandT h e i rC o n t r i b u t i o n st o. Friedman.N .P . .Miyake.A . .S usan.E .Y . .] o h n .C .D . . Robin.P .C . .& ]ohn.K .H .( 2 0 0 8 ) :1ndividuald i f. Complex“F r o n t a lLobe"Tasks:A LatentV a r i a b l e A n a l y s i s .] o u r n a l01C o g n i t i v eP s y c h o l o g y4 1 .4 9 1 0 0. f e r e n c e si ne x e c u t i v ef u n c t i o n sa r ealmoste n t i r e l y. 文部科学省 ( 2 0 1 2 ) :通常の学級に在籍する発達障害の可. g e n e t i ci no r i g i n .] o u r n a l01E~ρerimental P s y c h o l o g y. 能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に. 1 3 7 ( 2 ) .2 0 1 2 2 5 . Happe,F .,Booth,R . ,C h a r l t o n .R . .& Hughes.C .( 2 0 0 6 ): Executivef u n c t i o nd e f i c i t si nautismspectrumd i s o r d e r sanda t t e n t i o n d e f i c i t l h y p e r a c t i v i t yd i s o r d e r:. 関する調査結果について.. 2 0 0 3 ) :停止信号課題を用いた注意 西洋優子・小松仲ー ( 0 8,1 0ト 1 11 . 機能研究の展望.信州大学教育学部紀要 1 O z o n o f f .S .,] e n s e n,] .( 1 9 9 9 ):B r i e fr e p o r : tS p e c i f i ce x e c u -. Examiningp r o f i l e sa c r o s sdomainsanda g e s .Brain. t i v ef u n c t i o np r o f i l e si nt h r e en e u r o d e v e l o p m e n t a ld i s -. andC o g n i t i o n6 1 .2 5 3 9 .. orders.]ournal01AutismandDevelo ρmentalD i s -. Helen,L .S tClair-Thompson..& Susan.E .G .( 2 0 0 6 ): Executivef u n c t i o n sandachievementsi ns c h o o l:. o r d e r s2 9 .1 7 1 17 7 . Verbruggen.F .,Logan,G .D . .& Stevens,M.A .( 2 0 0 8 ):. S h i f t i n g,u p d a t i n g .i n h i b i t i o n,andworkingmemory. STOP-1T:Windowsexecutablesoftwaref o rthe. TheQ u a r t e r l y]ournal01Ex ρerimentalPsychology. e h a v i o rR e s e a r c hMethods40 , s t o p s i g n a lp a r a d i g m .B. 5 9 ( 4 ) . 7 4 5 7 5 9 .. 4 7 9 4 8 3 .. Hughes.C . .Dunn.]..& White.A. ( 1 9 9 8 ) : Trickor. i 度漫雅俊・梅谷忠勇 ( 2 0 0 1 ) :知的障害児の問題解決にお. t r e a t ? :unevenunderstandingo fmindandemotion. ける方略使用の特徴に関する研究ハノイの塔課題によ. ande x e c u t i v ed y s f u n c t i o ni n"hard-to-manage"p r e -. る手段目標分析の使用に及ぼす要因の検討.特殊教育. s c h o o l e r s .] o u r n a l01C h i l dP s y c h o l o g yandP s y c h i a t r y. 研究 3 9 ( 3 ), 11 0 .. 3 9 .9 8 1 9 8 4 . 鹿島晴雄・加藤元一郎・本田哲三 ( 1 9 9 9 ) :認知リハビリ テーション.医学書院.. 2 0 0 8 ) :発達障害をともなう子どもへの神経心 加戸陽子 ( 理学的検査.関西大学出版部.. 2 0 1 3 a ) :発達障害時の実行機能の 加藤順也・北村博幸 (. . .P a r r y .R . .& Dymond.S .( 2 0 1 0 ): W i l l n e r .P . .B a i l e y .R E v a l u a t i o no fe x e c u t i v ef u n c t i o n i n gi np e o p l ew i t hi n t e l l e c t u a ld i s a b i l i t i e s . ] o u r n a lo l I n t e l l e c t u a lD i s a b i l i t y 4 ( 4 ) .3 6 6 3 7 9 R e s e a r c h5 山口修平 ( 2 0 0 8 ) :遂行機能障害と前頭葉ネットワーク.. 0( 3・4 ), 2 8 4 2 8 9 . 認知神経科学 1. 評価と介入の現状と課題.北海道教育大学紀要(教育. 3 ( 2 ) .2 7 3 2 8 3 科学編) 6 加藤順也・北村博幸 ( 2 0 1 3 b ) :実行機能の評価と介入の ための支援プログラムの開発小学校に在籍する学習 面及ぴ行動面に著しい困難を示す児童を対象として一.. 4 ( 1J,3 6 5 3 8 0 . 北海道教育大学紀要(教育科学編) 6 小林祥泰 ( 2 0 0 3 ) W i s c o n s i nc a r ds o r t i n gt e s t(WCST). 日本臨床痴呆症学 6 1 ( 1 ) , 3 4 4 3 4 9 . 近藤文里 ( 1 9 8 9 ) :プランする子ども.青木書庖.. L e z a k .M.D . .Howieson.D .B . , &L o r i n g .D .W.( 2 0 0 4 ): N e u r o p s y c h o l o g i c a lAssessment,4 t he d .OxfordU n i v e r s i t yP r e s s L i s s .M . .F e i n,D .,A l l e n .D . .Dunn.M . .F e i n s t e i n .c .Mor.,Waterhouse,L . , &Rapin, 1 .( 2 0 0 1 ):Executive r i s,R f u n c t i o n i n gi nh i g h f u n c t i o n i n gc h i l d r e nwitha u t i s m .. ]ournal01ChildPsychologyandPsychiatry4 2 . 2 6 1 2 7 0 . Miyake.A . .Friedman.N .P .( 2 0 1 2 ) :TheNatureand O r g a n i z a t i o no f1 n d i v i d u a lD i f f e r e n c e si nExecutive. 3 8 8. (加藤順也北海道森高等学校教諭) (北村博幸函館校准教授).

(16)

表 1 対象児のプロフイール A児 男 8  3  小 2 高機能自閉症 学習面 対象児性別 生活年齢学年診 断聞く話す 読む 書く 計算する 推論する 不注意 多 動 性 衝 動 性 対人関係やこだわり 著しい困難を示す :困難なし困難を示す困難を示す行動面 る。また,自分が納得できないことや友人とのト ラブルなどがあると,自分で気持ちを落ち着かせ ることが難しく,教室で泣いてしまうことがある。 ②心理検査の結果と解釈 1 )   WISC‑N  8歳 4 ヵ月時に実施した WISC 町の結果を図 1に
表 3 WCST パソコン版の結果 A ! ) [ ' ,  8 歳 ~10歳の 健常児の平均値B!)[', C児 第 1 段 階 達成カテゴリー数 ( C A ) 1  (↓)  4  5  N e l s o n 型保続性誤反応、 ( P E N ) 5  4  。 セットの維持困難 (DMS) 7  (↓)  。 1  第 1 カテゴリー達成所要数 (NUCA) 2 3  3  1 1  全誤反応数 ( T E ) 2 1  2 4  (↓)  1 4  非保続性誤反応 (NPEN) 1 6  (↓)

参照

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