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幼稚園・保育所における表現領域の活動に対応した保育者養成教育のあり方 : 京都府南部の幼稚園・保育所へのアンケート調査からの検討

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Ⅰ 本研究の目的・意義 認定こども園の制度の導入により保育の制度が多様 な保育ニーズに対応すべく大きく変革しつつある今 日、保育内容、保育者の質の充実が重要になってきて いる。幼稚園教諭・保育士には各種の領域の専門的な 知識・技能は言うまでもなく、多領域にわたる総合的 な実践力が求められている。しかし、従来の保育者養 成校のカリキュラムはそのような総合力を養成するの には十分とは言えない。子どもの思いを的確に受け止 め、保育を様々に展開できる実践力を備えた保育者を 養成するために各科目の専門性に重点を置きつつ、科 目を横断的に連携させたクロスカリキュラムでの活動 を実践することは、保育における総合的な実践力養成 の観点から重要であると考えられる。 そこで、保育者養成校でのクロスカリキュラムの指導 に反映させるために、表現領域の活動について保育現 場の実態や保育者養成に対する要請を知ることを目的と し、現場での表現活動の実態および保育者として求め られる表現領域に関しての知識・技能・総合的実践力 について調査を実施したので、調査結果の検討から明 らかになったことを報告する。なお、本調査は、調査概 要において、調査の目的と方法、データの処理方法、結 果の扱いについて明記し、同意を得た上で実施した。 Ⅱ 研究方法 平成 26 年 10 月に、京都市内及び京都府下南部の幼 稚園(国公立 50 園・私立 50 園)・保育所(公立 50 園・ 私立 50 園)計 200 園を対象とし、アンケート調査を 郵送方式で実施し、5 歳児クラスの担任教諭または保 育士に回答を依頼した。 アンケート調査は「幼稚園・保育所における『表現』 領域の活動に関する調査」と題し、幼稚園・保育所で 実施している表現領域にかかわる活動と、保育におい て表現活動を実施する際に必要となる保育者の資質や 知識・技能の 2 つの観点から調査用紙を作成した。主 として次の 3 つの内容について尋ねた(アンケート調 査用紙は資料参照)。 ①  幼稚園・保育所での保育において、表現活動とし てとらえて実施している活動は何か。 ②  保育者として求められる表現領域に関する知識・ 技能・総合的実践力とは何か。 ③ 保育者養成校学生に期待することは何か。 Ⅲ アンケート調査結果および考察 1.回答を得た園・保育者について 平成 26 年 10 月末までに 69 園より回答を得た(回 収率 34.5%)。内訳は幼稚園 33 園(公立 10 園・私立 23 園)、保育所 35 園(公立 14 園・私立 21 園)、認定 こども園 1 園(公立)であった(質問 1.および質問 2.)。 また、5 歳児クラス担任として回答した保育者の年齢 ( 質 問 8.) は、20 代 17 名、30 代 30 名、40 代 7 名、 50 代 11 名、60 代 4 名であった。 質問 3. ∼ 7. および質問 9. ∼ 11. については、表現 領域の活動に関する検討内容には直接関係する内容で はないので、今回の報告からは割愛する。

幼稚園・保育所における表現領域の活動に対応した

保育者養成教育のあり方

−京都府南部の幼稚園・保育所へのアンケート調査からの検討−

智 原 江 美

鍋 島 惠 美

和 田 幸 子

下 口 美 帆

田 中 慈 子

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2.園での表現活動について まず、質問 12. から質問 15.において、各園で実施 されている音楽、造形、身体、言語の表現活動につい て尋ねた。 園で実施されている表現領域にかかわる行事として は、運動会 69 園、生活発表会 63 園、音楽会 30 園、 絵画展 53 園で実施されていた(表 3、図 1)。これら 以外にはクリスマス会、お店やさんごっこ、七夕・夏 祭り、園外保育、こどもフェスティバルなどが表現領 域に関する行事として捉えて実施されていた。また、 日常の保育で実施している表現活動としては、絵画製 作(67 園)、歌唱(65 園)、手遊び(62 園)、運動遊 び(62 園)、劇遊び(60 園)、工作(58 園)、リズム 遊び(58 園)、粘土(53 園)、合奏(52 園)、ダンス(48 園)、模倣遊び(40 園)があがった。質問 13.で尋ね た表現領域にかかわる各行事の実施の頻度は、毎日 行っている歌唱・手遊び・運動遊びなどから学期に 1 回程度の実施となる合奏・劇遊びまで、実施頻度には 大きな差がみられた。また、上記以外の活動として、 表 3.日常の保育の中での表現活動について (複数回答可)(質問 13) n= 69 表現活動の種類 件数 絵画制作 67 歌唱 65 手遊び 62 運動遊び 62 劇遊び 60 工作 58 リズム遊び 58 粘土 53 合奏 52 ダンス 48 模倣遊び 40 表 1.回答のあった園の内訳 (質問 1、質問 2) n= 69 種別 園数 運営主体 園数 幼稚園 33 公立 10 私立 23 保育所 35 公立 14 私立 21 認定こども園 1 公立 1 私立 0 その他 0 0 表 2.回答者の年代別内訳 (質問 8) n= 69 年齢 人数 20 歳代 17 30 歳代 30 40 歳代 7 50 歳代 11 60 歳以上 4 5 0 5 1 60 21 15

26

0 41 8 25 65 62 28

51

0 10 20 30 40 50 60 70 㐠ື఍ ⏕άⓎ⾲఍ 㡢ᴦ఍ ⤮⏬ᒎ ᖺ㛫 3Ꮫᮇ 2Ꮫᮇ 1Ꮫᮇ 図 1.5 歳児クラスにおける表現領域の行事(質問 12)

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リトミック、体育指導、折り紙製作、園外活動などが あがった。回答を得た園では、年間の行事として、ま た日常の保育においても表現領域にかかわる活動を重 要な保育活動と位置付けて積極的に実施していること がわかった。 3.多領域を関連させた活動のとらえ方 質問 14. では、各園の表現活動について、単独領域 の活動(音楽表現、造形表現、身体表現、言語表現)、 2 領域の重複と考えられる活動、3 領域の重複と考え られる活動、4 領域の重複と考えられる活動、それぞ れの実施を尋ね、活動例を挙げてもらった。 単独領域の活動として音楽表現、造形表現にかかわ る活動が多く見られるものの、4 領域の活動内で偏重 なく行われていると考えられる(図 2、複数回答可)。 ここでは具体的な活動内容の記入欄を設けなかったた め、内容は確認できていない。 まず、2 領域の重複について回答の多かったものは、 音楽表現と身体表現を重複した活動(41 園)であり、 その内容は、リトミック、リズム表現、劇遊びが挙げ 52 52 50 48 46 47 48 49 50 51 52 53 㡢ᴦ⾲⌧࡟࠿࠿ࢃࡿάື 㐀ᙧ⾲⌧࡟࠿࠿ࢃࡿάື ㌟య⾲⌧࡟࠿࠿ࢃࡿάື ゝㄒ⾲⌧࡟࠿࠿ࢃࡿάື ᅇ⟅ᅬᩘ 図 2.単独領域の活動(質問 14-a) 8 41 37 12 16 20 0 10 20 30 40 50 㡢ᴦ⾲⌧࡜㐀ᙧ⾲⌧ࢆ㔜」ࡋࡓάື 㡢ᴦ⾲⌧࡜㌟య⾲⌧ࢆ㔜」ࡋࡓάື 㡢ᴦ⾲⌧࡜ゝㄒ⾲⌧ࢆ㔜」ࡋࡓάື 㐀ᙧ⾲⌧࡜㌟య⾲⌧ࢆ㔜」ࡋࡓάື 㐀ᙧ⾲⌧࡜ゝㄒ⾲⌧ࢆ㔜」ࡋࡓάື ㌟య⾲⌧࡜ゝㄒ⾲⌧ࢆ㔜」ࡋࡓάື ᅇ⟅ᅬᩘ 図 3.2 領域が重複したと考えられる活動(質問 14-b)

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られた。リズムは身体の動きにより生み出されるもの であり、またリズムにより身体表現に秩序が生まれ伸 びやかさが増すなど、音楽表現と身体表現は密接な関 係がある。このような内容が音楽と身体表現の重複し た活動であると意識されていることがわかった。 音楽表現と言語表現を重複した活動(37 園)では、 劇遊び、発表会、という回答にみられるような演じる 活動と、言葉遊び、わらべうたのように日常生活の中 で行われる活動が挙げられた。身体表現と言語表現を 重複した活動(20 園)でも、同じく劇遊び、発表会 という演じる状況での活動内容が挙げられている。 造形表現との重複についての回答をみると、言語表 現との重複(16 園)、身体表現との重複(12 園)、音 楽表現との重複(8 園)と、意識される活動が少なく なっていることに気づく。その活動内容はそれぞれ、 ごっこ遊び、運動会、劇遊びや発表会とあり、演じる ために見立てたり、役になりきるための道具作りを指 していると考えられる。一方、造形表現と身体表現の 重複した活動として、ボディペインティングも挙げら れている。造形活動そのものが素材に手で触れ形を変 えていくという身体感覚で行う行為であることを意識 していく必要はあるであろう(図 3)。  3 領域の重複した活動についての回答では、音楽、 身体、言語表現の重複を挙げた回答(13 園)があった。 その内容はオペレッタ(5 園)、発表会、劇であり、 その他、手遊び、わらべうた遊びもあった。造形表現 を含む 3 領域の活動と意識されている回答は少なく、 その内容は、運動会、劇、ままごとであった(図 4)。 4 領域の重複した活動についての回答は 11 園あっ た(図 5)。その内容は発表会、劇、オペレッタ、の 11 0 2 4 6 8 10 12 㡢ᴦ⾲⌧ࠊ㐀ᙧ⾲⌧ࠊ㌟య⾲⌧ࠊ ゝㄒ⾲⌧ࢆ㔜」ࡋࡓάື ᅇ⟅ᅬᩘ 図 5.4 領域が重複したと考えられる活動(質問 14-d) 13 2 2 1 0 5 10 15 㡢ᴦ⾲⌧ࠊ㌟య⾲⌧ࠊゝㄒ⾲⌧ࢆ㔜」ࡋࡓάື 㐀ᙧ⾲⌧ࠊ㌟య⾲⌧ࠊゝㄒ⾲⌧ࢆ㔜」ࡋࡓάື 㡢ᴦ⾲⌧ࠊ㐀ᙧ⾲⌧ࠊゝㄒ⾲⌧ࢆ㔜」ࡋࡓάື 㡢ᴦ⾲⌧ࠊ㐀ᙧ⾲⌧ࠊ㌟య⾲⌧ࢆ㔜」ࡋࡓάື ᅇ⟅ᅬᩘ 図 4.3 領域が重複したと考えられる活動(質問 14-c)

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ように演じて発表するというものであった。 次に、質問 15. において、「表現活動を実施する際 に重点をおいていること」について、記述式の回答を 得る形で尋ねた。多くの回答に共通していたことは、 「子どもが『楽しむ』ことに重点をおいている」こと がわかった。 子どもの姿として、子どもの素直な表現や子ども自 身が思いを自由に、自分なりに表現できることを基本 とし、子どもが自ら主体的に意欲を持って取り組むこ と大切にしている。また、保育者の援助としての観点 からは、環境構成・導入の仕方・教材の選択・発達段 階に適合しているかどうかの重要性、子どもに自信を 持たせたりイメージしやすくするための援助の工夫、 子どもの発見や気づきを認めることの大切さなどが、 子どもが楽しめる活動を行うための保育者の援助とし てあげている。 4. 保育者として求められる表現領域に関する能力に ついて 質問 16. では表現活動を指導する際に保育者の資質 として重要だと思われる 6 項目をあげ、その重要度を 尋ねた。非常に重要と考える回答が一番多かった項目 は「身体・音楽・造形・言語等の表現活動に関する豊 かな『感性』」(40 名)であった。以下、「表現活動の 観点から『子どもの発達をとらえ、具体的な表現活動 に結びつけることのできる能力』」(38 名)、「保育の ねらいに則し、子どもの遊びを豊かに『展開するため の技術』の習得」(34 名)と続く(表 4)。ただし、選 択肢として挙げた 6 項目ほぼすべてにおいて、60 名 以上が「重要である」または、「非常に重要である」 と回答した。 質問 18.は、表現活動を実施する際、各領域の活 動で重要と考えられる保育者の知識・技能について領 域ごとに選択肢をあげ、もっとも重要だと思うもの 3 つを選んで回答をしてもらう形式をとった。 ①音楽表現領域 質問 18-A.においては、表現活動を実施する際に 重要であると考えられる保育者の知識・技能のなかで、 特に音楽表現分野について尋ねた。 まず、音楽表現活動にかかわる、もっとも重要であ ると思われる保育者の知識・技能として、10 項目に ついて、重要と思われるもの 3 つを選んで回答して もらった。 結果は、「弾き歌いをする」が 36 名で最も多く、次 いで「身体表現を引き出すピアノ演奏をする」と「音 程、発声よく歌う」が同数の 34 名、以下「音楽表現 活動の指導法」が 30 名、「幼児歌曲を知っている」が 25 名、「楽譜を読む」が 20 名と続いた。(図 6) 次に、幼児歌曲の選曲の際にレパートリーとして重 要と思われる曲目を尋ねたところ、複数挙げられた 「チューリップ」、「さんぽ」、「きらきらぼし」を始め として、「こいのぼり」、「たなばたさま」、「ジングル ベル」、「うれしいひなまつり」、「どんぐりころころ」、 「ゆき」、「いぬのおまわりさん」、「アンパンマンのう た」、「おひさまになりたい」、「しょうじょうじのたぬ きばやし」等、季節や行事の曲、昔ながらの歌、こど もが好きな歌、わらべうたなどがあげられた。 表 4.表現活動を指導する保育者の資質として重要な事柄 (質問 16.) n= 69 重要でない あまり重要 でない どちらでも ない 重要 非常に重要 身体・音楽・造形・言語等の表現活動に関する豊かな 感性 1 0 3 24 40 身体・音楽・造形・言語等の表現活動に関する技能 1 1 7 44 16 身体・音楽・造形・言語等の表現活動にかかわる教材 などを子どもの発達に合わせて作成・活用する能力 1 1 4 30 32 身体・音楽・造形・言語等の表現活動の指導法の習得 1 1 8 35 24 保育のねらいに則し、子どもの遊びを豊かに展開する ための技術の習得 1 1 2 31 34 表現活動の観点から子どもの発達をとらえ、具体的な 表現活動に結び付けることのできる能力 1 1 2 27 38

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最後に、もっとも重要であると思われる保育者の知 識・技能として、弾き歌いをする、幼児歌曲にコード 伴奏をつける、身体表現を引き出すピアノ演奏をする、 を重要と挙げた人を対象に、どれくらいのレベルのピ アノ技術が必要であるか、3 項目の中から 1 つ選択し て貰った。結果は、上位から「ブルグミュラー終了程 度」が 23 名、「ソナチネ程度」が 19 名、「バイエル終 了程度」が 16 名となった。 ②造形表現領域 質問 18-B.では造形表現分野について尋ねた。 まず、造形表現活動にかかわる、もっとも重要であ ると思われる保育者の知識・技能として、9 項目につ いて、重要と思われるもの 3 つを選んで回答しても らった。結果(図 7)は、「自然やものの色や形、感触、 イメージ等に親しむ経験」が 43 名で最も多く、次い で「子どもの経験や表現活動と造形表現を結びつける 遊びの展開」が 36 名であり、この 2 項目が特に多かっ た。 この結果を「質問 16.保育の専門性として重要と 考えられる項目」、「質問 17.大学で学んでほしいと 思われるもの」の回答結果において、「感性」が最も 多く、次いで 2 番目「活用能力」が挙げられている事 と照らし合わせると、造形表現分野においても、「自 然やものの色や形、感触、イメージ等に親しむ体験」 を通して保育者自身の「感性を豊かに持つ」こと、「子 0 3 3 18 20 25 30 34 34 36 0 5 10 15 20 25 30 35 40 ᪥ᮏఏ⤫ⱁ⬟ࡢ⤒㦂ࡀ࠶ࡿ ᗂඣḷ᭤࡟ࢥ࣮ࢻకዌࢆࡘࡅࡿ ࣆ࢔ࣀ௨እࡢᴦჾࢆ₇ዌࡍࡿ Ꮚ࡝ࡶࡢ㡢ᴦⓗⓎ㐩࡟ࡘ࠸࡚ࡢ▱㆑ ᴦ㆕ࢆㄞࡴ ᗂඣḷ᭤ࢆ▱ࡗ࡚࠸ࡿ 㡢ᴦ⾲⌧άືࡢᣦᑟἲ 㡢⛬ࠊⓎኌࡼࡃḷ࠺ ㌟య⾲⌧ࢆᘬࡁฟࡍࣆ࢔ࣀ₇ዌࢆࡍࡿ ᙎࡁḷ࠸ࢆࡍࡿ 図 6.もっとも重要であると思われる保育者の知識・技能(音楽領域)(質問 18-A) 13 14 19 21 22 22 23 36 43 0 10 20 30 40 50 ⣲ᮦ࣭ᢏἲࢆ⤌ࡳྜࢃࡏࡿຊ ⏝ලࡢ౑⏝ἲ 㐀ᙧ⾲⌧άືࡢᣦᑟἲ ⾲⌧᪉ἲ࡟ࡘ࠸࡚ࡢ▱㆑࣭⌮ゎ ⣲ᮦ࡟ᑐࡍࡿ▱㆑࣭⌮ゎ ᚰ㌟ࡢⓎ㐩࡜㐀ᙧᢏ⬟ࡢⓎ㐩࡟ࡘ࠸࡚ࡢ▱㆑ 㐀ᙧ⾲⌧ࡢⅭࡢ⎔ቃᵓᡂ Ꮚ࡝ࡶࡢ⤒㦂ࡸ⾲⌧࡜㐀ᙧ⾲⌧ࢆ⤖ࡧࡘࡅࡿ㐟ࡧࡢᒎ㛤 ⮬↛࣭Ⰽ࣭ᙧ࣭ឤゐ࣭࢖࣓࣮ࢪ➼࡟ぶࡋࡴయ㦂 図 7.もっとも重要であると思われる保育者の知識・技能(造形領域)(質問 18-B)

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どもの経験や表現活動と造形表現を結びつけ」て、「遊 び」へと「展開」する、いわば「活用能力」の重要性 が示されており、「保育者の専門性ならびに大学で必 要とされる学び」と「造形の分野で重視される知識・ 技能」が合致する結果となった。3 ∼ 7 番目に重要と 回答された要素については、環境構成 23 名、発達の 知識 22 名、素材の知識理解 22 名、表現方法の知識理 解 21 名、指導法 19 名と重要度に大きな差はみられな かった。 次に、造形表現分野では、素材と技法、用具が活動 と密接に関わっていることから、小項目として設問 b-1 素材、b-2 表現技法、b-3 用具についてそれぞれの 重要性について尋ねた。 設問 b−1 では、素材特性に関する知識・理解を重 要と挙げた人を対象に、特に重要な素材について、6 項目の選択肢から 1 つ選択して貰った。結果(図 8)は、 身の回りのもの(※牛乳パックや空き箱、ペットボ トルなどの生活上子ども達の身の回りにあり、保育の 場で造形素材として使用されるもの)が 12 名、絵の 具が 10 名で多く、次いで紙が 5 名、粘土、その他(自 然物 1 名、未記入 1 名)であった。 設問 b−2 では、表現技法についての知識・理解で 特に重要なものについて、8 項目の中から 1 つ選択し て貰った。結果(図 9)は描画 17 名、身の回りの物、 自然物が 2 名、紙工作、3. 版画、粘土が 1 名、と描画 についてが圧倒的に多かった。 設問 b−3 では、用具の使用法についての知識・理 解で特に重要なものについて、11 項目の中から一つ を選んで貰った。結果(図 10)はパス・クレヨンと ハサミが 5 名、筆が 4 名、のりが 2 名、粘土べらが 1 名、 その他として用具を使いこなすための手先の器用さ、 身体の土台作りが重要との意見があった。 0 2 2 5 10 12 0 5 10 15 ᮌ ࡑࡢ௚ ⢓ᅵ ⣬ ⤮ࡢල ㌟ࡢᅇࡾࡢࡶࡢ ⮬↛≀㸦1㸧 図 8.素材特性に関する知識・理解で特に重要なもの(質問 18-b-1) 0 0 1 1 1 2 2 17 0 10 20 ࡑࡢ௚ ᮌᕤ ⣬ᕤస ∧⏬ ⢓ᅵ ㌟ࡢᅇࡾࡢ≀ࢆ౑ࡗࡓไస ⮬↛≀ࢆ౑ࡗࡓไస ᥥ⏬ 図 9.表現技法についての知識・理解で特に重要なもの(質問 18-b-2)

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③身体表現領域 質問 18-C においては身体表現活動を行う際に重要 と思われる保育者の知識・技能について尋ねた。10 項目の選択肢をあげ、重要と思われるもの 3 つを選ん で回答する形をとった。その結果、もっとも重要とさ れたのは、鬼ごっこ、わらべうた遊びなどの「身体活 動を伴った遊びの経験」(52 名)であり、以下、スキッ プやギャロップ、バランス感覚などの「子どもの身体 表現にかかわる身体能力の発達についての知識」(43 名)、「体力」(36 名)、「リズム感」(35 名)と続く(図 11)。「身体表現の指導法」も 20 名が重要とあげており、 次に球技、陸上競技、水泳などの「スポーツなどの運 動経験」4 名、走能力、跳躍力、投球能力などの「運 動を行う身体能力」が 3 名、フォークダンス、ジャズ ダンス、バレエなどの「ダンスの経験」、「創作ダンス の経験」、盆踊りなどの「日本伝統芸能の経験」はそ れぞれ 2 名が重要とあげていた。 ④言語表現領域 質問 18-D. においては、表現活動を実施する際に重 0 0 0 0 0 1 1 2 4 5 5 0 2 4 6 ࢭࣟࣁࣥࢸ࣮ࣉ ࣍ࢳ࢟ࢫ 㖄➹࣭Ⰽ㖄➹ ẁ࣮࣎ࣝࡢࡇࡂࡾ 㔠ᵔ ࡑࡢ௚ ⢓ᅵ࡭ࡽ ࡢࡾ ➹ ࣁࢧ࣑ ࣃࢫ࣭ࢡࣞࣚࣥ ᡭඛࡢჾ⏝ࡉࠊ㌟ యࡢᅵྎ࡙ࡃࡾ 図 10.用具の使用法についての知識・理解で特に重要なもの(質問 18-b-3) 36 3 4 52 2 2 35 20 2 43 0 10 20 30 40 50 60 యຊ 㐠ືࢆ⾜࠺⬟ຊ ࢫ࣏࣮ࢶ࡞࡝ࡢ㐠ື⤒㦂 ㌟యάືࢆకࡗࡓ㐟ࡧࡢ⤒㦂 ࢲࣥࢫࡢ⤒㦂 ๰సࢲࣥࢫࡢ⤒㦂 ࣜࢬ࣒ឤ ㌟య⾲⌧ࡢᣦᑟἲ ᪥ᮏఏ⤫ⱁ⬟ࡢ⤒㦂 ㌟య⬟ຊࡢⓎ㐩ࡢ▱㆑ 図 11.身体表現にかかわる知識・技能で重要なこと(質問 18-C)

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要であると考えられる保育者の知識・技能のなかで、 言語表現分野について尋ねた。この調査項目の選定に 関しては、保育所保育指針・幼稚園教育要領に明記さ れている、言葉の獲得に関する領域「言葉」を鑑みて、 保育現場で子どもの活動(遊び)として取り上げられ ている保育内容や教材・子どもにとってふさわしい保 育者の語り・伝え合いの言葉に関するものを取り上げ た。以下、言語表現活動にかかわる、もっとも重要で あると思われる保育者の知識・技能として、9 項目に ついて、5 歳児担任の保育者に重要と思われるもの 3 つを選んで回答してもらった。 その結果(図 12)は、「子どもや保護者や教職員と コミュニケーションをとる知識・技能」が 50 名で最 も多く、次いで「絵本、紙芝居、パネルシアター、ペー プサートなどの文化財の知識・技能」が 38 名であり、 「ことばのリズム、ことば遊び、わらべうた遊びの知識・ 技能」が 30 名、「ことばに関する感性を磨く知識・技 能」が 29 名、「非言語的コミュニケーション(表情、 しぐさなど)の知識・技能」が 20 名、「声色や声量を 調整する知識・技能」が 18 名、「素話の知識・技能」 が 12 名、「日本伝統芸能の知識・技能」が 0 名、その 他「言葉にならない子どもの思いを言葉で返す」との 回答が 1 名であった。 質問 19.では、「保育者が実習生に伝えたい表現活 動の面白さ」を、質問 20.では「保育者が実習生に 伝えたい表現活動の困難さ」について記述形式で尋ね た。回答はおおよそ「子ども自身に関すること」、「保 育者の援助に関すること」、「保育者自身に関すること」 の 3 つの内容に分類できた。 5.表現活動を実施する際に重点をおいていること 表現活動で子どもと関わる中で保育者が感じている 面白さは、「表現の意外性(発想の豊かさ、個性、自由、 無限)や予想外の活動」がみられること、「子ども同 士の関わりの深まりや協力」がみられること、「なり きる、感動する」姿、「個々の感性の違い」や「イメー ジの膨らみ」が感じられること、「子どもの生き生き した表情、思い、満足げな表情」を見せ、子ども自ら が作りだすエネルギーに満ち れていることが上がっ た。一方、困難さとしては、「個人差があること」、「表 現することに苦手意識を持っている」こと、「イメー ジが湧きにくい子どもがいる」ことなどであった。 保育者の援助に関しては、「過程を受容すること」、 「自信につながる言葉がけ」、「子どもとともに創る(保 育者自身がなりきる、共感、達成感、わくわく感)こ と」、「目線を低くして、表情や言葉の響きを意識する こと」、「子どもの表現を引き出す、表現を形にしてい く、意図した環境などに工夫をすること」などを自ら 1 38 30 12 0 29 18 50 20 0 10 20 30 40 50 60 ࡑࡢ௚ ⤮ᮏ࣭⣬Ⱚᒃ➼ࡢᩥ໬㈈ ゝⴥ㐟ࡧ࣭ࢃࡽ࡭࠺ࡓ㐟ࡧ࡞࡝ ⣲ヰ ᪥ᮏࡢఏ⤫ⱁ⬟ ឤᛶࢆ☻ࡃ ኌⰍ࣭ኌ㔞ࡢㄪ⠇ ࢥ࣑ࣗࢽࢣ࣮ࢩࣙࣥ⬟ຊ 㠀ゝㄒࢥ࣑ࣗࢽࢣ࣮ࢩࣙࣥ⬟ຊ 図 12.身体表現にかかわる知識・技能で重要なこと(質問 18-D)

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が楽しんで活動していることが分かった。一方、保育 者の援助で困難に感じていることとしては、「環境構 成、言葉かけ、導入」に難しさを感じ、「子どものイメー ジを引き出すこと」、「保育者の知識、技能、感性を押 し付けてはいないか」について不安を感じたり、「子 どもとともに創ったり、楽しむこと」ができていない のではないかという反省が見られた。 さらに保育者自身に関することでは、面白さとして、 「教材研究をする中で新たな発見があったり、発達に ふさわしい表現」に気づくこと、「普段とは異なる子 どもの一面」や「集中力の高まり(特に音楽活動)」 が感じられ、「保育者自身が豊かである」ことを意識 したり、「子どもの内面が見えてくる」ことにやりが いを感じたりしている。一方、保育者自身の問題点と して、「保育者が表現活動に苦手意識」を感じていたり、 「保育者自身の知識・技能が乏しく、子どもの表現を 引き出せないこと」に苦痛に思っているようである。 また、「マニュアル通りにはいかない」ことで自身の 保育の実践力を見直す必要を感じることもあるようで ある。 5.養成校学生に関して求めること アンケート調査の最終部分では、保育者が養成校学 生に対して求めることについて尋ねた。 質問 17.では、表現活動に必要な専門性として保 育者養成校学生に学んで欲しい知識・技能について尋 ねたところ、表 5 のような結果となり、保育者自身の 資質として重要と感じている「感性」の習得を重要と 考える回答が非常に多かった。次いで「身体・音楽・ 造形・言葉表現にかかわる教材などを子どもの発達に 合わせて作成・活用する能力」が上がった。 質問 21.では表現活動を実践するために養成校在 学中に経験しておくことが望ましい事柄として以下の ようなことが上がった。 指導内容にかかわることとして、 ・子ども役、保育者役になりきる ・いろいろなものを見て感じる(本物の観劇や鑑賞) ・描画の技法、画材の使用法、ピアノの初見演奏技 術、編曲・転調・コード、絵本、手遊びの習得 ・絵本や紙芝居の作成、創作ダンス(グループ製作、 ミュージカル)、リトミック、パネルシアターの 経験 ・自然と出会う ・創作(シナリオ製作から演じるまで)、共同制作、 劇遊びや歌唱の指導法 などの、感性を磨いて個々の教材につながるような活 動の経験と、 ・子どもと活動する(できれば週 1 回程度の頻度で 授業として)、子どもありきの表現 ・さまざまな園行事(発表会など)に参加 ・実習での設定保育 等の現場経験の重要性の指摘も見られた。 さらに指導方法にかかわる項目として、 ・観劇、鑑賞、自然とのふれあいを通して感性を磨く ・物事を受けとめる感性や感受性、心を動かす経験 や感情の豊かさを身に付ける ・相手の表現に興味を持ち、受け入れる ・自分自身を表現する能力 ・社会人としての社会性、コミュニケーション能力 ・子どもの目線で遊ぶ 等が挙げられた。 表 5.表現活動を指導するうえで保育者養成校学生が習得しておくことが望ましい知識・技能(質問 17) n= 69 項目 件数 身体・音楽・造形・言語等の表現活動に関する豊かな感性 41 身体・音楽・造形・言語等の表現活動に関する技能 28 身体・音楽・造形・言語等の表現活動にかかわる教材などを子どもの発達に合わせて作成・活用する能力 35 身体・音楽・造形・言語等の表現活動の指導法の習得 29 保育のねらいに則し、子どもの遊びを豊かに展開するための技術の習得 25 表現活動の観点から子どもの発達をとらえ、具体的は表現活動に結び付けることのできる能力 23 その他 10

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Ⅳ まとめ 今回の調査により現場での表現領域の実態や多様性 および保育者にどのような具体的なスキルを求めてい るのかが明らかになり、保育者養成におけるクロスカ リキュラム策定の大きな参考になると考えられる。 園での表現活動の実態についてはおよそ以下のよう にまとめられる。 保育現場では多様な表現活動が行われており、音楽・ 身体・言葉表現の活動は関連させて実施されているこ とが多いことが分かった。一方、造形表現は単独で実 施されていることが多く、他の表現活動との関連が弱 いことが明らかとなった。表現活動を実施する際、保 育者は幼児自らの主体的な取り組みや自由な発想を受 けとめつつ、「楽しむ」ことに重点を置いていること が明らかとなった。 次に、保育者に求められる表現領域に関する知識・ 技能・総合的実践力について、現場の保育者が保育者 の資質として必要な事柄として最も多くあげたのは、 豊かな感性であった。領域別にみると、音楽表現領域 では弾き歌いが、造形表現領域では自然・色・形・感 触・イメージ等に親しむ体験が、身体表現領域では身 体活動を伴った遊びの体験が、言葉表現領域ではコ ミュニケーション能力が保育者に求められる知識・技 能として挙がった。そして、保育者は子どもの内面や 姿が見えた時に表現活動に面白さを感じており、それ ゆえに子どもの発達に則した指導力の重要さを指摘し ている。 さらに、表現活動を実施するにあたり、養成校学生 に望むこととしては次のような事柄が上がった。養成 校在学中に習得すべき事柄として、保育者の資質とし て重要であるとあげられた、感性・子ども理解(発達)・ 領域の総合性理解が求められている。そのためには日 ごろから芸術や自然環境に触れる機会を持つことや、 実践現場での保育体験(ボランティア)が重要である という回答が多く見られた。 Ⅴ 総括と今後の展望 今回の調査では、表現活動の実施においては保育者 にとっても、養成校学生にとっても豊かな感性が非常 に重要であるとの結果を得た。養成校学生が豊かな感 性を習得できるような授業を実施するためには、養成 校教員自らも絶えず自身の感性を磨く努力が重要であ るといえる。そのためには、授業の中で自らが使う言 葉の感覚を研ぎ澄ませる姿勢が必要であると考えられ る。  また、養成校在学生が総合的な活動に取り組む中で、 領域の総合性を実感して指導の知識・技能を理論的に 習得するとともに、保育現場での実践の中での学びと 往還しつつ、保育者と養成校教員が連携して学生を育 てることが自明のことではあるが重要となるであろ う。 今回の調査で明らかになった、単独で実施されるこ との多い造形表現活動と他の領域を関連させた、たと えば感触・形・色のイメージを言葉・動きなどで総合 的に表現できるような活動など、養成校学生が豊かな 感性を習得できるような授業の開発を試み、現場の求 める表現活動に生かせるクロスカリキュラムの試案を 作成して授業展開しつつ検討していきたいと考える。 本稿は第 68 回日本保育学会大会において行ったポ スター発表「幼稚園・保育所における表現領域の活動 と保育者の専門性」(智原・鍋島・和田・下口・田中) に加筆したものである。 また、本研究は文部科学省科学研究費補助金〈基盤 研 究(C)26381297( 平 成 26 年 度 ∼ 平 成 28 年 度 )〉 の助成を得て実施した。 参考・引用文献 岩田純一,「子どもの友だちづくりの世界」2014, 金子 書房 松岡享子,「お話を語る」1994, 日本エディタースクー ル出版部 文部科学省,「幼稚園教育要領解説」2008, フレーベル館 厚生労働省編,「保育所保育指針解説書」2008, フレー ベル館 全国保育士養成協議会,「保育者の専門性についての 調査―養成課程から現場へとつながる保育者の専門 性の育ちのプロセスと専門性向上のための取り組み ―」2012,全国保育士養成協議会平成 24 年度専門 委員会課題研究報告書 全国保育士養成協議会,「保育者の専門性についての

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調査―養成課程から現場へとつながる保育者の専門 性の育ちのプロセスと専門性向上のための取り組み (第 2 報)―」2013,全国保育士養成協議会平成 25

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参照

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