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実践編Ⅶ 保健体育科 課題に応じて、互いの技能を高め合い運動に親しめる生徒の育成

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Academic year: 2021

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Ⅶ 保健体育科 齋藤 晴紀 榊原 彬子 課題に応じて、互いの技能を高め合い運動に親しめる生徒の育成 1 研究の概要 (1) 生徒の実態 保健体育科では、生徒の現状を次のようにとらえている。 (2) 目指す生徒像 保健体育科では、生徒の実態をふまえ目指す生徒像を次のように設定した。 ① 仲間と共に運動に親しめる生徒 ② 仲間と協力して課題に応じた作戦や演技を考えられる生徒 ③ 集団技能を高め、互いに個の技能を向上させることができる生徒 ①仲間と共に運動に親しむことによって、自己の生活を明るく豊かにできる。そのような生活を継 続して送るために、自分の体力や技能を把握し、能力に応じて仲間と協力して運動に親しんだり、特 性を理解して運動したりできる生徒を育む。 ②仲間と協力しながら、作戦を考えたり練習をしたりする中で課題を設定し、その課題を仲間と一

ただ楽しいだけではなく、

できた喜びを味わいた

い!!

仲間と作戦を立てたり練

習をしたりして技術を向

上させたい!!

・技の方法が分からない。

・ボールが当たると痛い。

・疲れることがいやと感じ

ている。

実態調査

教師の見とり

左の調査や日頃の観察から、仲間

と協力してやりたいと感じている生

徒は多い。しかし、運動特性や技

能を理解し、有効な練習方法考え

出せる生徒は少ない。

以上のことから、仲間と共に作戦を立てたり練習を工夫したりするなかで、それまでできなかったことが

できる喜びを味わわせたり、運動特性を理解させたりして、仲間と一つのものを作り上げる喜びや運動

の楽しさを伝える必要がある。

(2)

緒に克服する経験をしたり、集団演技の構成を考える中で、仲間と共に一つのものを作り上げるとい う経験をしたりできる生徒である。また、「個の課題が克服できた」「めあてが達成できた」という経 験ができる生徒である。これらの経験を通して、仲間と協力して課題に応じた作戦や演技を考えられ る生徒を育む。 ③集団技能を高めていく際、仲間同士で互いに教え合いながら個人技能を高めていける生徒である。 また、話合いや練習の中で他者から技能を学べる生徒を育む。 (3) 研究の構想 本校生徒の実態と、本校保健体育科が目指す生徒像をふまえて、以下のような構想で研究を進めてい く。 (4) 重点的に取り組む手だてについて 本校生徒の実態と、本校保健体育科が目指す生徒像とをつなぐ手だてを次のように考え、授業実践を 進めていく。 ① 集団で課題解決をするための話合いの場や練習時間の設定 ② 集団演技を構成する際のモデルの提示 ③ 話合い活動を充実させるためのワークシート ①集団の技能を向上させるためには、集団としての課題を明確にし、その課題を解決していくこと が必要である。また、課題解決をするためには、どのようにしたら課題が解決できるのか話合いをし て、話し合われたことを考えながら練習をする必要もある。そのため、話合いと練習を短いスパンで 保健体育科

課題に応じて、互いの技能を高め合い運動に親しめる生徒の育成

球 技 ゴ ール型、ネット型、ベ ースボール型 水 泳 器械運動 マッ ト運動 育む態度 ・フェアプレイの遵守、役割、話 し合いなどへの意欲的な取り 組み ・健康、安全への配慮 高める技能 ・ボールや用具の操作 ・様々な動きによる攻防 ・集団演技に必要な多様な動き 培う知識、思考・判断 ・運動特性や成り立ち、技能の名称や行い 方、関連して高まる体力などの理解 ・課題に応じた取り組み方の工夫 ・集団演技に必要な動きや空間の構成の 工夫

① 集団で課題解決をするための話合いの場や練習時間の設定

② 集団演技を構成する際のモデルの提示

③ 話合い活動を充実させるためのワークシート

・仲間と共に運動に親しめる生徒

・仲間と協力して課題に応じた作戦や演技を考えられる生徒

・集団技能を高め、互いに個の技能を向上させることができる生徒

目 指 す 生 徒 像

(3)

更なる個の技能の高まりが必要となる。そこで、互いに個の技能を教え合い向上させることができる 生徒を育てることが期待できる。 ②集団演技の構成を仲間と共に考えていくことで、仲間と一つのものを作り上げる喜びが生まれる。 また、現時点でできる技能を基に構成を考えることで、自己の役割がはっきりして、より意欲的に取 り組むことができる。例えば、集団演技を構成させるためにVTRを使用し、モデルとして先輩の示範の 演技を見せて単元末の姿をイメージさせることで、単元の見通しをもつことができる。また、話合い の中で思考の手助けをしたり、グループでの話合いの共通材料になったり、集団での課題追究を促した りすることが期待できる。 ③話合い活動を充実させることで、仲間と協力して作戦や練習方法、演技等を考えることができる。 自分たちで考えた作戦や練習方法、演技等を行うことによって、仲間と共に運動に親しめる生徒を育 てる。そのための手だてとして、ワークシートを工夫する。ワークシートの作成のポイントは、「生徒 の主体的な学習を促す」「思考を記録したり整理したりできる」「解決方法の吟味ができる」「新たな課 題の発見ができる」ことである。そして、つまずきを解決するためのヒントを図や文章など多様な形 式で盛り込むようにする。このようなワークシートを工夫することによって、生徒が主体的に課題を 解決し、自分たちの変容に気付き、技能を向上することができるようになる。 2 実践例 「集団で課題解決をするための話合いの場や練習時間」を設定して実践した授業の流れは、第3学 年の題材「集団マット」を例にすると、以下のようになる。

①ウォーミング

アップ

⑤集団練習

④個人練習

③演技構成の

話し合い・確認

②課題の確認・発表

⑥振り返り

「2人で跳び前転をす るところで距離の差が 生じるので、そこを改 善したいです」 流れの 確認中 どうしたら 最後のと ころが合 うかな? 僕が真ん中を 倒立前転する から2人は前方 倒立回転跳び やってみて

(4)

3 省察と展望 (1) 実践例について 重視した具体策については、生徒から次のような感想を得た。 ①集団で課題解決をするための話合いの場や練習時間の設定について 生徒の感想中の赤色下線にもあるように、協力することで仲間と共に運動に親しめることができたと 感じている生徒が多い。また、班のみんなで話し合うことで、「案をいっぱい出せ、よい演技ができた」 と感じている生徒も多くいた。他班の演技を見たり、アドバイスをもらったりすることで、集団技能及 び個人技能が高まったとの記述もあった。「チーム内で練習方法や戦術を話し合ったり、協力して練習 したりすることは、集団技能を高めたり、個人技能を高めたりできたか」という手だてについての意識 調査から、以下の表のような結果も得られた。 できた どちらとも言えない できない 集団技能 94.9% 5.1% 0% 個人技能 73.4% 24.1% 2.5% 以上のことから、集団で練習方法や戦術を話し合ったことは、仲間と協力して課題に応じた作戦や 演技を考えることができ、さらに集団技能の向上にも有効であったと考えられる。また、仲間と共に 運動に親しむこともできた。他にも他班からの学びも技能向上に有効であったと考えられる。

他にも「最初できなかった側転ができるようになった。」「構成を考えるのは難しいけど、班

の人と協力してできた」「他の班の演技などを見て、揃っているときれいだと感じた」などの

感想もあった。

集団マット

生徒A 生徒D 生徒C 生徒B 他 班 か ら の 学 び 意 欲 の 高 ま り 話合い 揃っていなかったのが、揃うようになった!!

(5)

②集団演技を構成する際の生徒の反応について 〈集団マット ワークシート提示の例〉 この他にもビデオを使用し示範演技を見せたり、教師が示範したりして、生徒が演技構成を考える際 のモデルを提示した。示範演技を見て「おお、すごい」「あれやってみたい」「あんなふうにやるんだ」 等の感想が得られた。また、構成を考える場面で、ワークシートで提示したモデルは、話合いの際に必 ず見るように促していったことで、上の図のように、多様なアイデアが出てきた。 ③話合い活動を充実させるためのワークシートについて ワークシートについては、1時間で1枚 を基本に、めあてや課題の記入欄、現状の 把握欄、モデルの提示、振り返り欄等を設 けた。その結果、練習時も1枚見れば話合 いの内容が確認できるため、時間の有効活 用ができた。教師の見とりから、仲間と協 力して課題に応じた作戦や演技を意欲的に 考えることはできたが、内容とチームの課 題に多少のずれが生じた班もあったので、 課題解決のための話合いをより効果的にす るためには、話し合う前に課題克服のため の解決練習の例示をしたり、ワークシート の中に、つまずきを解決するためのヒントを盛り込んだりするなどの工夫をしていく必要がある。 (2) 今後の展望 研究主題「課題に応じて、互いの技能を高め合い運動に親しめる生徒の育成」を目指し、1年目の 研究を進めてきた。課題に応じた作戦や演技を考えられること、仲間と共に運動に親しむこと、集団 技能を高めることについて、ある一定の成果が得られた。しかし、技能面で、個の技能が高まった生 徒も多数いたが、個の技能を互いに高め合うという点では、課題が残る。また、手だてについて、集 団演技を構成する際のモデルの提示の仕方や話合い活動を充実させるためのワークシートの工夫には、 まだ課題が残った。 〈参考文献〉 1)杉山重利 (2004) 『中学校体育の授業(上巻)』 大修館書店 2)杉山重利 (2004) 『中学校体育の授業(下巻)』 大修館書店 3)高橋健夫 (2006) 『体育科教育学入門』 大修館書店 できる技 の把握 モデル の提示 振り返り 課題に対し ての練習 内容記入 作戦表 チームの課題

生徒のアイデア

モデルを参考にし

たり、新たな構成を

考え出したりした。

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