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健康文化 49 号 2014 年 12 月発行 1 放射線科学

市中病院の中年放射線診断医のぼやき

伊藤 茂樹 名古屋第一赤十字病院に拾って頂き今年の暮れで 4 年になります。勤め始め た当初、日常臨床において放射線診断医のレポートをあてにしている医師は、 特に画像が大きなウエイトを占める科では決して多くないのが現状でした。こ のような状況で、放射線診断医を認知してもらうのはどうすればいいかを考え てきました。 優れた放射線診断医とされる「豊富な知識を基づいて、画像所見を詳細かつ 正確に分析して正しい診断に到達する」能力は、この点において重要だと思い ます。しかしながら、凡人の私にはそのような能力はなく、また、そのような 難解な症例は頻繁にはありません。現在、日々の診療で、1)臨床医が画像を 見る時にレポートがついていることと2)少なくとも臨床医が検査目的とした 事項については自分の判断を明確に記載することに心がけるようにしています。 当たり前のことと言われると思いますが、これが、なかなか難しく、以下に 1) について述べます。 私の若い頃のようにフィルム読影の時代には、原則として、現像されたフィ ルムは依頼科にまわる前に放射線診断医が目にして読影する時間がありました (時にレポートはいらないので、フィルムだけ至急下さいという苦々しい電話 もありましたが)。しかしながら、フィルムレスの時代になり、放射線診断医 も依頼医も同じタイミングで画像にアクセスできますので、画像が PACS に転送 されてから依頼医が画像を見るまでをレポートの賞味期限とすると、この期限 が検査により様々であり、また、予測がつきません。一応、緊急読影の指定は 作成しましたが、この利用も様々であり、何でも緊急にする医師もいれば、ほ とんど使わない医師もいます。 例えば、典型的な急性虫垂炎の症例でレポートが遅れて、レポート作成時に 依頼医が手術の決定をしていれば、当院では、恐らくレポートは読まれること はありません。診療上問題がなければ、それで問題はないとする考えもあると 思いますが、私は、そのような際にもレポートがついているようにすることが、 当院の日常診療、特に急性疾患の診療で放射線診断医を認知してもらうには必

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健康文化 49 号 2014 年 12 月発行 2 要だと思います。この努力を続けることにより、依頼医が常にレポートを見る ようになり、非典型的な症例や誤診した症例についての discussion ができる環 境を作りたいと思っています。極論すれば、依頼医が見る時にレポートがつい ていないのは、見逃しや誤診をするのと同等にまずいと思っています。 しかしながら、急性疾患の症例では、この賞味期限が極めて短い上に、フィ ルムレスのため依頼医がいつ画像を見るかわからない状況であり、PACS は放射 線診断医の敵だとさえ思えてきます。慌てて思い込みから誤診したり、重要な 副所見を見落としたりすることが稀ではなく反省の日々です。限られた時間内 で正確に画像所見を読み取り解析し記載する能力の不足を感じています。この 時間制限を認識した上での臨機応変な読影能力が、活発な市中病院の放射線診 断医には求められるのだと思います。そのためには回転の速い頭脳と緊張を維 持する体力が必要ですが、50 の半ばを過ぎた私には厳しいものがあります。市 中病院の放射線診断医には旬があり、自分はそのピークを過ぎてしまったなと いささか寂しく感じている今日この頃です。 (名古屋第一赤十字病院 放射線診断科部長)

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