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画期的な電解質材料の開発に成功

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Academic year: 2021

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同時発表: 筑波研究学園都市記者会(資料配布) 文部科学記者会(資料配布) 科学記者会(資料配布) 1

画期的な電解質材料の開発に成功

-固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進-

平成22年11月18日 独立行政法人 物質・材料研究機構 独立行政法人 物質・材料研究機構(理事長:潮田資勝)国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(拠点 長:青野正和)のナノ燃料電池材料グループ(グループリーダー:TRAVERSA Enrico)は、固体酸化物 燃料電池(SOFC)用として2種類の新しい電解質材料の開発に成功した。この材料を電解質に適用する ことにより、中温度域(500-650°C)で作動する固体酸化物燃料電池の実用化が視野に入ってきた。 固体酸化物燃料電池は環境にやさしく、効率的にエネルギーを生産するデバイスである。SOFC では高 温で高いイオン伝導率が得られるが、SOFC を広く実用化するためには作動温度を 700℃以下にする必要 がある。イットリウム添加ジルコン酸バリウム(BZY)は、低温で高いプロトン伝導率を実現できると いう利点があり、従来 SOFC に用いられてきた酸素イオン伝導体(固体電解質)の代替材料として期待 されている。しかしながら、BZY は優れた化学安定性を有するにもかかわらず、セラミック多結晶体と して製造する場合、焼結性が悪く、また焼結によって生じる結晶粒界がプロトン伝導率を低下させるた め、これまではその性能を十分に生かされることがなかった。 本研究では、電解質材料に必要とされる三つの要件、イオン伝導性、化学的安定性、焼結性のすべて を高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功した。 ひとつは、10%のプラセオジムを含むイットリウム添加ジルコン酸バリウム(BZPY)である。プラセ オジムの添加は焼結性を改善させ、1500℃の焼結で高密度の試料が得られた。その結果、プロトンの伝 導を妨げる結晶粒界の生成を抑制し、600˚C で 0.01S/cm 以上の高いプロトン伝導率が得られた。この値 は、現在有望とされているプロトン伝導体電解質(BCZY)とほぼ同等であるが、化学的安定性が格段に 優れていることから BZPY は燃料電池用電解質材料としてより適している。 左図:燃料電池テスト後の BZPY セル断面。 4層が明確に観察される。左より負極層(支持部)、負極 層(反応部)(約22μm)、BZPY 電解質(約 20μm)、正極層(複合材)。 右図:加湿水素環境の大気燃料電池試験において 550°C、600°C、650°C で測定した BZPY 基燃料電池の 電流-電圧、及び電力密度曲線。

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2 もうひとつは、NiO と BZY の混合粉末を固めた基板上にプレス成形されたインジウム添加ジルコン酸 バリウム(BZI)である。1450℃で焼結することによって、インジウムが蒸発してイットリウムに置換さ れ、従来の製法では得られなかった高密度の BZY 電解質膜が NiO-BZY 基板上に生成する。この電解質 膜を使用した SOFC は、600℃で 0.169W/cm2というこれまで報告された BZY 電解質膜の中で最大の電気 出力を示した。BZY 膜は化学的安定性にも優れており、長時間の運転に耐える可能性を持つ材料である。 左上図:イオン拡散による BZY 電解質膜の生成過程。 左下図: セル断面の元素マッピング(上部:電解質、下部:基板)。In は蒸発して観察されず、Y は一 様に分布しており Y が基板から電解質層に移動し In サイトを埋めた様子が確認できる。 右図:異なる方法によって作られた BZY 電解質を用いた燃料電池の 600℃における性能比較(スピンコー ティングのみ 800℃)。本研究による BZY 膜セル(右側)は最大電気出力密度を記録した。 本開発材料は、いずれも中温度域(500-650°C)で作動する SOFC の電解質材料として有望である。本 材料を適用することによって、SOFC の製造コストと運転コストを下げることが可能となり、SOFC の商 業化を加速することが期待できる。Nature Materials に 9 月 20 日に発表した論文では、パルスレーザー堆 積法という特殊な製造法を用いてより低温で高いプロトン伝導率を示す材料を紹介したが、本研究では、 汎用のプレス機でグリーン体を作成し大気中で焼結するという量産に適したプロセスによって高性能の 電解質材料を創製しており、SOFC の商用化を加速する可能性があると考えられる。

本研究成果は、日本時間 11 月 18 日 14 時に Advanced Functional Materials のオンライン版で、また日本 時間 11 月 18 日 18 時に Energy & Environmental Science のオンライン版で、それぞれ発表される予定であ る。 [用語解説] 1)プロトン伝導率 水素原子から電子 e-が取れた水素イオン H+がプロトンであり、その伝導率のこと 2)S/cm 電気伝導度(ジーメンス毎センチメートル)。S はジーメンスと呼び、電気抵抗 Ω の逆数

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3 問い合わせ先: 独立行政法人 物質・材料研究機構 広報室 〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 TEL:029-859-2026 FAX:029-859-2017 研究内容に関すること: (英語) 独立行政法人物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 ナノグリーン分野ナノ燃料電池材料グループ グループリーダー TRAVERSA Enrico(トラベルサ エンリコ) E-mail:[email protected] TEL:029-860-4891 (日本語通訳) 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 事務部門 事務部門長 藤田高弘 E-mail:[email protected] TEL:029-859-2016

参照

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