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大阪商業大学開学七十周年記念講演より、新学習指導要領から見えてくるこれからの商業教育

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Academic year: 2021

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1.はじめに

 貴大学が、創立70周年を迎えられましたことを心からお祝い申し上げます。  大阪城東大学として開学以来、幅広い分野で活躍する優秀な人材を輩出されてきた貴大学 に敬意を表しますとともに、感謝を申し上げます。これからも、society5.0の到来による変 化の激しい社会を牽引する人材や、グローバル化に対応した人材を育成する教育に期待いた しますとともに、貴大学の更なる御発展を心からお祈り申し上げます。  このたびは、教職課程を履修している学生を対象とした講演の御依頼をいただき、本当に ありがとうございました。これからの高校教育を担う学生に対する講演の機会をいただいた ことは、大変光栄であるとともに、責任の重さを感じ、身の引き締まる思いがいたしました。  講演内容がふさわしいものであったかどうかは不安ですが、少しでも教職を目指されてい る学生にとって参考となることがあればと思い、講演をさせていただきました。  その講演内容をまとめたものを執筆させていただきましたので、参考にしていただければ 幸いです。  教職を目指されている学生の皆さんが教師となり、学校現場で活躍され、将来の日本を担 う人材の育成に御尽力していただけることを期待しております。

2.教職を目指している学生の皆さんへの期待

⑴ 教職の魅力とは  私は、学校現場にいた頃、3年生の担任を多く経験した。3年生の担任は、生徒の進路相 談や進路希望に沿った願書、調査書作成、小論文や面接指導など、1・2年生の担任よりも

新学習指導要領から見えてくる

これからの商業教育

田 中   圭

1.はじめに 2.教職を目指している学生の皆さんへの期待 3.商業科教員を目指している学生の皆さんへの期待 4.高等学校学習指導要領の改訂の概要 5.高等学校学習指導要領商業の改訂の概要

大阪商業大学開学七十周年記念講演より

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業務が多く多忙な日々を送ることになるが、生徒の夢の実現に携われるやりがいのある仕事 である。  私自身の夢は、限られているが、教師は生徒の夢を共有することができる。生徒との面談 を通して、夢を共有し、その実現に向けて進路指導を行う。そして、生徒の卒業時にその夢 をタイムカプセルに入れ(実際に入れるわけではないが入れたような気持ち)、5年後、10 年後の卒業生の同窓会に参加した時に、卒業生からの近況報告を受け、そのタイムカプセル が一つずつ開いていく。忙しい思いもしたが、卒業生の満面の笑顔や自分の夢が実現したこ とを堂々と語る成長した姿を拝見し、この生徒たちの担任で良かったと心から感じるととも に、教職に携われたことを幸せに感じる瞬間である。  私は、学校現場を離れて12年目になるので、そのタイムカプセルのほとんどが開いてしまっ たが、今では、卒業生が自分の子どもの成長を報告してくれる機会が増えた。私にとっては、 孫の成長を見るようで、その報告を受けるのを楽しみにしている。  現在の社会には職業が多くあるが、このように教職という職業は、一生涯に渡って「人の 財産」が得られるやりがいのある職業ではないかと感じる。教職を目指している学生の皆さ んには、採用試験の突破は大変ではあるが、自信を持って勧められる魅力的な職業である。 ⑵ 教師の仕事とは  教師の仕事を一言で言えば、「教育のプロ」となるのではないか。プロの定義は難しいが、 私は、相手を感動させる力を持っている人のことではないかと思う。相手を感動させるには、 その職業の使命、責任を明確に理解し、自分自身を表現できなければならない。つまり、自 分の役割を真摯に果たして行く人のことで、そのための努力を惜しまない人のことだと思う。 例えば、私たちは、プロ野球の試合やコンサートを対価を払って見る。野球選手はバッティ ングや華麗な守備などのプレーで、歌手は歌を歌うなどの歌唱力で自分自身の個性を表現し て、観客を感動させている。教師の仕事も生徒に感動の体験の場を与えることだと考える。 教師として、生徒を感動させるために、何をしなければならないのか、何を身に付けていか なければならないのか、このようなことが考えられる教師を目指していただきたい。  また、イギリスの哲学者ウィリアム・ワードは、「凡庸な教師はしゃべる。良い教師は説 明する。優れた教師は示す。偉大な教師は心に火をつける。」と述べている。「示す」は、自 らやってみせること、「心に火をつける」は、生徒のチャレンジ精神を引き出すという意味 だと思うが、「生徒の心に火をつける」ことができる教師になってほしい。

3.商業科教員を目指している学生の皆さんへの期待

⑴ 商業科教員の使命と責任  教育再生実行会議が、令和元年5月17日付けで「技術の進展に応じた教育の革新、新時代 に対応した高等学校改革について(第十一次提言)」を公開している。特に、高校生の7割 が通う普通科の改革を求め、普通科は、教育内容が画一的で、生徒の意欲が高まる内容になっ ていないと指摘している。そこで、将来のキャリアを設計する能力の育成、国際的なリーダー

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の養成、地域課題の解決等を通じた探究的な学びの重視などのタイプを示し、教育内容に特 色を持たせるよう促している。これらのタイプは、以前から商業科が目指してきた資質・能 力の育成と同様であり、今後、これらの教育内容が普通科で行われるようになる。  このような、商業科の学習内容が、普通科での学びにつながったことは、以前にもあった。 それは、平成11年3月に告示された学習指導要領で、教科「情報」が新設されたことである。 商業科の科目「情報処理」の内容が、高校生全員が学ぶ教科「情報」へと拡大したのである。  このように、以前から、教科「商業」の学習内容が、将来の高校生全員の学びにつながっ ていることを考えると、商業科は、高校教育におけるトップランナーであると考えても過言 ではない。つまり、商業科教員の教育実践が、将来の高校教育の改善に生かされる可能性が あるのである。商業科教員を目指している学生の皆さんには、商業科教員が高校教育のトッ プランナーであることを意識し、それぞれがお持ちの教育理念の下、優れた見識と指導力を 発揮され、自信を持って生徒たちを導いてくださることを期待している。 ⑵ 商業科教員の課題  新しい学習指導要領が告示され、将来の子どもたちに求められるのは、コンピュータでは 解決できない問題を解決する力、高度な思考力・判断力、クリエイティブな力であることは、 研修会等で伝えられているが、現在は、意識して授業改善に取り組もうとしている商業科の 先生方は、一部ではないかと感じる。商業科の先生方の意識が変わらないのは、時代が変わ るのはなんとなく分かるが、現在は、ワープロ、表計算等の情報処理、電卓、簿記等の検定 を取得させ、進学や就職に役立っており、進路実現をするためには、今の体制が必要不可欠 であるからではないかと思う。  商業科の卒業生に関係する職業で考えてみると、例えば、ワープロや表計算機能を使って 仕事をする事務職の仕事は、全ての電化製品にAIが導入されると、全て音声入力、音声操 作が可能となり、多くの人材が必要でなくなるかもしれない。また、販売職については、ど うだろうか。ある店では、商品を全て自動販売で行っており、購入者が、欲しい商品のボタ ンを押すと、アームが動き、商品を運んでくる。また、無人の店舗に入り、欲しい商品をとっ て店の外に出ると支払いが完了することも考えられる。代金は、当然、スマホ等の電子決済 である。また、店舗すらいらなくなる可能性がある。インターネットで注文すると、ドロー ンが配達してくれるようになるかもしれない。このように、現在ある仕事の多くをAIが行 うようになると、人の行う仕事は変わらざるを得なくなる。このような社会が現実味を帯び ている。社会が劇的に急速に変化する時代であることを考えると、当然、商業科での授業に ついても改善していかなければならない。この先、10年後を見据えたときに、学校や生徒を どのように変えていくかを、私たち商業科教員は真剣に考えなければならない。将来は、A Iを使いこなす人材が求められている。このように考えると、もう、個人の知識だけで仕事 が成り立つことは少なく、様々な形で深い思考力や他者や集団と協働することが求められて いる。検定指導だけでなく、主体的・対話的で深い学びを実現する授業を実現し、生徒に豊 かな感性と創造力を育むことができる商業科教員を目指していただきたい。  講演では時間がなく、話せなかった内容を、参考に記載する。

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4.高等学校学習指導要領の改訂の概要

 我が国の児童生徒の学力については、TIMSSやPISAといった国際的な調査において、持 ち直しの傾向が見られる。しかし、その一方で、約4割の高校3年生が、平日学校の授業以 外に、全く又はほとんど勉強していないという統計や、我が国の生徒がアメリカ、中国、韓 国の生徒に比べて、自尊心や社会参画の意識の面で課題があるとの指摘もあり、今後が懸念 されるところである。我が国の未来については、人口減少社会の到来による生産力の低下や、 国際的地位の低下の懸念、産業構造の変化に伴う職業の変化が予測されており、こうした変 化の激しい未来の社会を生き抜く力を育成することが、喫緊の課題となっている。  このような中、中央教育審議会が、学習指導要領改訂の方向性について審議を重ね、平成 28年12月に答申が出された。内容は、次のとおりである。  ○ 人工知能がいかに進化しようとも、それが行っているのは与えられた目的の中での処 理である。一方で人間は、感性を豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくの か、どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかという目的を自ら考え出すこ とができる。多様な文脈が複雑に入り交じった環境の中でも、場面や状況を理解して自 ら目的を設定し、その目的に応じて必要な情報を見いだし、情報を基に深く理解して自 分の考えをまとめたり、相手にふさわしい表現を工夫したり、答えのない課題に対して、 多様な他者と協働しながら目的に応じた納得解を見いだしたりすることができるという 強みを持っている。  ○ 社会や産業の構造が変化し、質的な豊かさが成長を支える成熟社会に移行していく中 で、特定の既存組織のこれまでの在り方を前提としてどのように生きるかだけではなく、 様々な情報や出来事を受け止め、主体的に判断しながら、自分を社会の中でどのように 位置付け、社会をどう描くかを考え、他者と一緒に生き、課題を解決していくための力 の育成が社会的な要請となっている。  このような内容に、子どもたちに身に付けさせたい力が現れている。そこで、学習指導要 領改訂の考え方として、「社会に開かれた教育課程」、「主体的・対話的で深い学び」いわゆ るアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善、「カリキュラム・マネジメント」という 考え方が打ち出されている。

5.高等学校学習指導要領商業の改訂の概要

⑴ 改訂の基本的な考え方  平成28年12月の中央教育審議会答申を踏まえ、職業に関する専門教科全体の改善方針に加 え、教科「商業」においては、グローバル化の進展、情報技術の進歩に対応するとともに、 観光産業の振興、地域におけるビジネスの推進、ビジネスにおけるコミュニケーション能力、 マネジメント能力の向上など、社会の要請に応える視点から、科目の新設、再編成、指導項 目の見直しなどの改善を図った。

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⑵ 目標の改善    商業の見方・考え方を働かせ、実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して、 ビジネスを通じ、地域産業をはじめ経済社会の健全で持続的な発展を担う職業人として 必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。  (1)商業の各分野について体系的・系統的に理解するとともに、関連する技術を身に 付けるようにする。  (2)ビジネスに関する課題を発見し、職業人に求められる倫理観を踏まえ合理的かつ 創造的に解決する力を養う。  (3)職業人として必要な豊かな人間性を育み、よりよい社会の構築を目指して自ら学び、 ビジネスの創造と発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。    教科及び科目の目標については、産業界で必要とされる資質・能力を見据えて、三つの柱 に沿って整理し、育成を目指す資質・能力のうち、(1)に「知識及び技術」、(2)に「思考力、 判断力、表現力等」、(3)に「学びに向かう力、人間性等」を示した。  商業科の目標の主な改善点としては、次の四つが挙げられる。  ① 生徒や学校の実態、指導の内容に応じ、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授 業改善を図り、実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して資質・能力の育成を 目指すため、「商業の見方・考え方を働かせ、実践的・体験的な学習活動を行うことなど」 を示した。また、商業科で育成を目指す人材像を「ビジネスを通じ、地域産業をはじめ 経済社会の健全で持続的な発展を担う職業人」とし、その職業人として必要な資質・能 力の育成を目指すことを示した。  ② ビジネスに関する個別の事実的な知識、一定の手順や段階を追って身に付く個別の技 術だけでなく、それらが相互に関連付けられるとともに、具体的なビジネスと結び付く など、ビジネスの様々な場面で役に立つ知識、技術などを身に付けるようにするため、「商 業の各分野について体系的・系統的に理解するとともに、関連する技術を身に付けるよ うにする」ことを示した。  ③ 唯一絶対の答えがないことの多い経済社会にあって、地域産業をはじめとする経済社 会が健全で持続的に発展する上での具体的な課題を発見し、単に利益だけを優先するの ではなく、企業活動が社会に及ぼす影響などを踏まえ、科学的な根拠に基づいて工夫し てよりよく解決する力を養うために「ビジネスに関する課題を発見し、職業人に求めら れる倫理観を踏まえ、合理的かつ創造的に解決する力を養う」ことを示した。  ④ 職業人に求められる倫理観などを育み、ビジネスを通じ、地域産業をはじめ経済社会 の健全で持続的な発展を目指して主体的に学ぶ態度及び組織の一員として自己の役割を 認識し、他者と積極的に関わるなどして、ビジネスの創造と発展に責任をもって取り組 む態度を養うことから、「職業人として必要な豊かな人間性を育み、よりよい社会の構 築を目指して自ら学び、ビジネスの創造と発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養 う」ことを示した。  各科目の目標については、教科の目標を踏まえるとともに、ビジネスで必要とされる資質・ 能力を見据えて改善を図った。

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⑶ 科目構成の改訂  従前と同様、20科目で構成している。 ⑷ 学習内容の充実・改善 ア グローバル化の進展への対応  従前の「ビジネス経済」及び「ビジネス経済応用」の経済に関する指導項目について、「グ ローバル経済」に整理統合し、グローバル化の動向・課題、企業活動のグローバル化に関す る指導項目を取り入れるなどの改善を図った。 イ 情報技術への進歩への対応  「簿記」について、コンピュータを活用した会計処理が普及している状況を踏まえ、会計 ソフトウェアの活用に関する指導項目を、従前の「ビジネス実務」から移行するなどの改善 を図った。  また、従前の「電子商取引」を「ネットワーク活用」に再構成し、インターネットを活用 したビジネスの創造に関する指導項目を取り入れるなどの改善を図った。  さらに、従前の「ビジネス情報管理」の情報通信ネットワークに関する指導項目について、 「ネットワーク管理」に分離し、情報セキュリティ管理に関する指導項目の充実を図るなど の改善を図った。 ウ 観光産業の振興への対応  地域の活性化を担うよう、観光ビジネスの展開に必要な資質・能力を育成する視点から、「観 <新旧科目対照表> 改   訂 ビジネス基礎 課題研究 総合実践 ビジネス・コミュニケーション マーケティング 商品開発と流通 観光ビジネス ビジネス・マネジメント グローバル経済 ビジネス法規 簿記 財務会計Ⅰ 財務会計Ⅱ 原価計算 管理会計 情報処理 ソフトウェア活用 プログラミング ネットワーク活用 ネットワーク管理 ビジネス基礎 課題研究 総合実践 ビジネス実務 マーケティング 広告と販売促進 商品開発 ビジネス経済応用 ビジネス経済 経済活動と法 簿記 財務会計Ⅰ 財務会計Ⅱ 原価計算 管理会計 情報処理 ビジネス情報 プログラミング 電子商取引 ビジネス情報管理 再構成 整理統合 名称変更 新設 分離 整理統合 名称変更 名称変更 整理統合 再構成 分離 改 訂 前 備 考

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光ビジネス」を新設し、観光資源と観光政策、観光ビジネスとマーケティングなどの指導項 目で構成した。 エ 地域におけるビジネスの推進への対応  「ビジネス基礎」について、地域のビジネスを担う資質・能力を育成する視点から、国内 の身近な地域のビジネスに関する指導項目を取り入れるなどの改善を図った。 オ ビジネスにおけるコミュニケーション能力の向上への対応  従前の「ビジネス実務」を「ビジネス・コミュニケーション」に再構成し、ビジネスにお ける思考の方法とコミュニケーションに関する指導項目を取り入れるなどの改善を図った。 カ ビジネスにおけるマネジメント能力の向上への対応  従前の「ビジネス経済応用」の企業経営、ビジネスの創造などに関する指導項目を「ビジ ネス・マネジメント」に分離し、人的資源、物的資源など経営資源のマネジメントに関する 指導項目を取り入れるなどの改善を図った。 ⑸ 学習指導の改善・充実  ビジネスの動向・課題を捉える学習活動及びビジネスに関する具体的な事例について、多 面的・多角的に分析し、考察や討論を行う学習活動を充実させるとともに、ビジネスに関す る理論を実験などにより確認する学習活動及びビジネスに関する具体的な課題を設定し、科 学的な根拠に基づいてビジネスに関する計画を立案し提案を行う学習活動を取り入れるなど の改善・充実を図った。 ⑹ 分野構成の改善  今回の改訂では、ビジネスで必要とされる資質・能力を見据え、ビジネス経済分野をマネ ジメント分野に改めた。 <分野構成> 分  野 各分野の科目 基礎的科目分野共通の科目総合的科目 マーケティング分野 マネジメント分野 会計分野 ビジネス情報分野 マーケティング 商品開発と流通 観光ビジネス ビジネス・マネジメント グローバル経済 ビジネス法規 簿記 財務会計Ⅰ 財務会計Ⅱ 原価計算 管理会計 情報処理 ソフトウェア活用 プログラミング ネットワーク活用 ネットワーク管理 ビジネス基礎* ビジネス・コミュ ニケーション 課題研究* 総合実践 *は、商業に関する学科における原則履修科目を表す。

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 「ビジネス基礎」、「課題研究」、「総合実践」及び「ビジネス・コミュニケーション」については、 分野共通の科目とするとともに、その中の「ビジネス基礎」、「ビジネス・コミュニケーショ ン」は基礎的科目、「課題研究」、「総合実践」は総合的科目とした。 ア 分野共通  ビジネスを通じ、地域産業をはじめ経済社会の健全で持続的な発展を担うことができる力 を育成することとした。学習活動の例は、次のとおりである。  ○ 各種メディアの情報を活用するなどして経済社会の動向を捉える。  ○ 商業の各分野に関する適切な課題を設定し、主体的かつ協働的に取り組む。  ○ 職業や業務に関して、地域や産業界等と連携して具体的な実務について理解を深める。  ○ 実務に即して知識、技術などを総合的に活用する。  ○ コミュニケーションに関する知識、技術などを様々な学習活動の中で活用する。 イ マーケティング分野  効果的にマーケティングを展開する力及び顧客を理解し、マーケティングの考え方を踏ま えてビジネスを展開する力を育成することとした。学習活動の例は、次のとおりである。  ○ マーケティングの動向・課題を捉える。  ○ 具体的な事例について多面的・多角的に分析し、考察や討論を行う。  ○ 理論を実験などにより確認する。  ○ 科学的な根拠に基づいてマーケティング計画を立案して提案などを行う。 ウ マネジメント分野  経済社会の動向や法規などを踏まえて経営資源を最適に組み合わせてビジネスを展開する 力を育成することとした。学習活動の例は、次のとおりである。  ○ 適切なマネジメントの重要性について企業の社会的責任や企業倫理との関連から捉え る。  ○ マネジメントに関する具体的な事例について多面的・多角的に分析し、考察や討論を 行う。  ○ 具体的な課題を設定し、科学的な根拠に基づいて、ビジネスアイデアなどを考案する。  ○ 経営資源を効果的に活用した事業計画を立案して提案などを行う。 エ 会計分野  企業会計に関する法規と基準に基づき適正な会計処理を行い、利害関係者(ステークホル ダー)に会計情報を提供する力及び会計情報をビジネスに効果的に活用する力を育成するこ ととした。学習活動の例は、次のとおりである。  ○ 実務に即した例題に取り組む。  ○ 会計処理の方法などについて考察や討論を行う。  ○ 取引の記録と財務諸表の作成の方法について考察や討論を行う。  ○ 企業の経営判断に関する具体的な事例について、企業に及ぼす影響を会計的側面から 分析し、考察や討論を行う。 オ ビジネス情報分野  適切な情報を提供する力及び情報や情報技術をビジネスに効果的に活用する力を育成する こととした。学習活動の例は、次のとおりである。

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 ○ 企業における情報の管理と活用に関する具体的な事例について多面的・多角的に分析 し、考察や討論を行う。  ○ 表現の方法や伝え方などの工夫について考察や討論を行う。  ○ 企業において情報を扱う具体的な場面を想定した実習を行う。

参考文献

文部科学省『高等学校学習指導要領(平成三十年告示)解説 商業編』実教出版、2019年 文部科学省 教育再生実行会議第十一次提言概要、2019年 文部科学省 幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必 要な方策等について(答申)、2017年

参照

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