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電子ジャーナルコンソーシアム : これまでの実績と今後の取り組み (特集 注目の電子情報サービス)

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病院図書館2002;22(2):44-47

園特集注目の電子情報サービス

電子ジャーナルコンソーシアム

−これまでの実績と今後の取り組み一

1.電子ジャーナルの普及とコンソーシアムの 成 立 日本の学術・研究図書館における電子ジャー ナルの導入は、過去数年のあいだに驚くべき速 度と規模をもって進んだ。当初は出版社の多く も試験的に電子ジャーナルを提供するというス タンスをとっており、冊子体購読者に対する無 料アクセス権の付与、あるいは長期にわたる無 料 ト ラ イ ア ル の 実 施 と い っ た 事 例 が 少 な く な か っ た 。 し か し 、 こ の 2 年 ほ ど の 間 に 、 電 子 ジャーナルを有料化する出版社の数も急速に 増加し、冊子体価格に対する一定の追加料金支 払い(アドオン)方式、あるいは電子ジャーナ ル単体での購読といった多様な契約形態が見ら れるようになっている。このことは、電子ジャー ナルの存在が広く認知されるに至ったこと、ま た他方においては有料化に価するレベルにまで 各出版社の電子ジャーナルの機能や利便性が高 まったことを如実に示しているであろう。 とはいえ、電子ジャーナルの利便性がいかに 広く認められようとも、この有効なリソースを 無制限に導入するのは、現実的に不可能である というのが多くの図書館ユーザーから聞かれる 声である。景気低迷や学生減などに起因する図 書館予算の削減、年々値上がりする外国雑誌原 価、さらに2002年度についていえば雑誌年間購 読契約期において急激に進行した円安といった お お く ま た か あ き : 丸 善 株 式 会 社 学 術 楕 報 ナ ピ ケ ー シ ョ ン 事業部e-プロダクツ部 mzepro@maruzen.co,jp −44−

大 熊 高 明

さまざまな問題が、電子ジャーナルを含む外国 雑誌の購読数拡大に歯止めをかけている。 このような実状にあって、最近とりわけ注目 を集め、実際に参加する機関も増えている契約 形態がコンソーシアムである。コンソーシアム は、ある一定の数の機関が、特定の出版社やア グリゲーターの提供するコンテンツに対して集 合的に契約を行う方式であり、米国のOhio LINK等が国外では存在し、さらに世界各国の 図書館コンソーシアムによって構成される連合 体ICOLCもすでに設立されている。 コンソーシアムの利点はさまざまな観点から 言及されているが、特に現在の日本の学術・研 究図書館の置かれている状況に立つならば、図 書予算が年々減少するなかで複数の機関が結集 することにより、通常よりもはるかに抑制され た価格体系で多くのリソースにアクセスできる という「規模のメリット」を第一に挙げること ができるであろう。他方において、出版社やア グリケーターの側においても、コンソーシアム 設立にあたって一定の条件を顧客側に求めるこ とにより、歯止めのかからない購読キャンセル に伴う収益の減少を抑制しうる点がメリットと なっている。 こうした趨勢の中で、弊社も外国雑誌の国内 販売代理店として、日本の図書館界が抱える問 題とニーズを出版社に伝えながらコンソーシア ムの実現に務めてきた。弊社が関わるコンソー シアム設立例は年々増加し、そのパターンも多 様 化 し て い る 。 こ こ で は 日 本 医 学 図 書 館 協 会 (以下、医図協)の加盟館を中心に設立された

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BlackwellScience/Munksgaardコンソーシア ム、および日本薬学図書館協議会(以下、薬図 協)の加盟館により設立されたAmerican ChemicalSocietyコンソーシアムを紹介した い。 Ⅱ、コンソーシアム設立事例

1.医図協BlackwellScience/Munksgaard

コ ン ソ ー シ ア ム 本コンソーシアムは、BlackwellScience/ Munksgaardが提供する理工医学系の電子 ジャーナル(ScienceandMedicineCollection) を医図協加盟館に包括的に提供すべ<2001年度 に設立され、初年度には13大学図書館が参加 し、さらに2002年度には、薬図協加盟館からの 合流分も含めて22大学図書館の参加をみた。 本コンソーシアム設立にあたっての価格体系 は初年度より一貫しており、①コンソーシアム 設立料金(一定の固定料金を参加館の間で均等 割り)、②各参加館に所属する教職員・学生数 (FIE=FullTimeEnrollment)の多寡に応じ て3段階に区分されたアクセス料金、という2 種類の料金の合算で構成される(表1)。 この価格体系では、参加館数が増えるほどコ ンソーシアム設立料金の各館負担額が少なくな る点、また図書予算が相対的に少ない小規模館 ほどアクセス料金が低くなる点が特徴となって いる。つまり個々の図書館の負担しうる予算に 配慮しつつ、コンソーシアム全体の観点からも、 規模が大きくなるほど参加館のメリットが増す 仕組みとなっているのである。22館が参加した 病院図諜館2002;22(2) 2002年度について言えば、提供される331タイ トルの冊子体価格総額に比して、小規模図書館 のコンソーシアム参加料金は僅か1.6%程度に 過ぎず、大規模図書館の参加料金でもその比率 は約4.5%にとどまっており、参加のメリット は非常に大きいと言えよう。他方、コンソーシ アムに参加するにあたって、各図書館は前年度 に購読していたすべての冊子体タイトルを継続 購読することが条件となっており、これが出版 社サイドにとってのメリットとなっている。

2.薬図協AmericanChemicalSocietyコン

ソ ー シ ア ム 本コンソーシアムは2002年度に初めて設立さ れ、薬図協に加盟する企業および大学図書館11 機関が参加した。本コンソーシアムの場合、加 盟館が購読する冊子体価格総額(当該図書館だ けでなく、同一法人内の全部門の購読冊子体を カウント)の15%相当額を上乗せすることに よって、AmericanChemicalSocietyが発行す る24タイトルの電子ジャーナルへのマルチサイ ト・アクセスが可能になる。 AmericanChemicalSocietyが提供する電子 ジャーナルの契約形態は通常、シングルサイト でのアクセスを前提とするOptionAと、マル チサイトでのアクセスを前提とするOptionB に大別される。OptionAの場合、冊子体との セット購読か否か、IPアドレスの指定範囲が ClassBかClassCかによって異なる価格体系 が用意されている。ClassCまでIPアドレス を絞り込めば、冊子体とセットにしても通常冊 子体価格の120%で契約が可能であるが(電子 表1.2002年度BIackweIlScience/Munksgaardコンソーシアム価格体系 コンソーシアム設立料金(参加館で均等割り) ¥1,117,000 + FIE 7,000人以下 7,001人∼15,000人 15,001人以上 ア ク セ ス 料 金 ¥350,000 ¥702,000 例)コンソーシアムに20館が参加した場合に、FTE7,000人以下の機関が支払う料金 (¥1,117,000÷20)+¥350,000=¥408,500 −45− ¥1,054,000

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病院図書館2002;22(2) ジャーナルのみを購読する場合には通常冊子体 価格の110%)、ClassBまで範囲を広げて冊子 体とセット契約する場合には通常冊子体価格の 190%を支払わなくてはならない(同165%)。 他方、OptionBの場合は、すべてのサイトで 購読している冊子体が価格算出時の対象となる が、アドオン率は15%に低減される。 本コンソーシアムの価格体系はOptionBの それを基本とするものだが、通常のOptionB でアクセスできる電子ジャーナルが、自館の冊 子体購読タイトルに限定されるのに対し、コン ソーシアム参加館は自館で購読しているか否か を問わず、ひとしく24タイトルの電子ジャーナ ルにアクセスすることができる。したがって、 予算規模が総体的に小さく、支払額が少ない図 書館にとっては、特にメリットのあるモデルと 言うことができよう。 Ⅲ.より良いサービスの実現に向けて ここに紹介したコンソーシアムの実例は、い ずれも理想的な最終モデルというわけではな い。近隣のアジア諸国で実現しているような国 家政策的コンソーシアム(コンテンツに対する 特別予算も含め)とは異なり、さまざまな団体 がそれぞれに異なる規模のコンソーシアムを形 成し、その一方で出版社サイドにおいてもおの おのが独自の(性々にして複雑な)モデルを構 築している現状にあっては、今後に向けて多く の変更や改善の余地が認められる。そして、弊 社のような販売代理店は、自らの顧客の直面す る実状を十分に把握しつつ、出版社との長期に わたる煩雑な交渉を通じたより良いモデルの構 −46− 築、無料トライアルをはじめとする円滑な導入 の推進、契約後のアフターケアなどを適切に行 っていくことが求められていると考える。 ただし、電子ジャーナル利用の将来的な発展 を考えれば、個々の出版社ごとにコンソーシア ム契約を成立させるだけでなく、異なる出版社 のコンテンツをより効率的に利用できる環境を 創出していく努力もまた欠かせないであろう。 弊社の提供するプラットフォームKnowledge WOrkerでは、上述のBlackwell/Munksgaard、 AmericanChemicalSocietyはもちろんのこ と、ElsevierScience(CrossRef経由)、John Wiley&Sons,SpringerVerlag、Lippincott Williams&Wilkinsなど17の主要出版社が提供 する電子ジャーナルについて(2002年4月現 在)、弊社受注分のタイトルへのフルテキスト リンクを実現している(図1)。したがって、 KnowledgeWorkerのユーザーは、複数の出版 社のホームページヘ別個にアクセスし、同じ検 索を繰り返すことなく、一度の検索でさまざま な出版社の電子ジャーナル・フルテキストヘア クセスすることができる')。 今後もこのようにさまざまな観点から、利用 者にとってより有効な電子ジャーナルのサービ スを実現すべく努めていきたい。 参考文献 l)篠田かずえ:KnowledgeWorker病院図書 室の電子利用のためのサポート.ほすぴた るらいぶらりあん.2001;26(4):294-298.

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