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Academic year: 2021

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(1)

論 文

再帰形フィルタによるマルチチャンネル画像復元

小山充芳 大木真 周欣欣 橋口住久

(平成7年8月31日受理)

Multi-Channel Image Restoration by Recursive Filters

MitsuyoshiKOYAMA MakotoOHKI XinxinZHOU SumihisaHASHIGUCHI       Abstract  When multi−channe1 images such as color images are degTaded,there are interferences be− tween channels.Therefore the multi−channel re8toration filter,which take into account between− channel information,is needed for the optimal restoration of multi−channel images,  This paper proposes a multi.channel re8toration method by recursive regularization丘lters. In this method,2−D recursive regularization filters are implemented by the combined DFT/LDE approach.In order to demonstrate the proposed method,the restoration result of a color image i8 shown.

1 はじめに

 カラー・一・・画像の復元を行なう場合,従来は赤・ 緑・青の各色を個々に復元するシングルチャン ネル画像復元が考えられていた.しかし,カ ラー画像の劣化過程においては各色がそれぞれ 単独に劣化を受けるのではなく,各色間に相互 作用が存在するため,劣化した画像には単にぼ けやぶれだけではなく,槌色や色ずれを伴った 複雑な劣化を生じる.このため,シングルチャ ンネル画像復元では最適な画像復元を行なうこ とができない.そこで,最近,劣化の際に生じ る各色の間の相関を考慮に入れ色情報も復元す るマルチチャンネル画像復元1)の問題が考えら れている.  本研究では,計算方法として行列演算を用い る方法や反復計算による方法よりも再帰形フィ ルタを用いる復元法の方が計算回数が少なく済 むと考え,再帰形の正則化フィルタを用いたマ ルチチャンネル画像復元を提案する.  2次元の再帰形正則化フィルタを実現するた めには,2次元の伝達関数を因数分解する必 要があるが,2次元の伝達関数は必ずしも因 数分解が可能とは限らない.そこで本研究で は,Combined DFT/LDE (Discrete Fourier *電子情報工学科,Department of Electrical Engineering and Computer Science Transform/Linear Difference Equation)法4) を用いることによって2次元の因数分解を1次 元の因数分解に帰着させ,マルチチャンネル画 像復元を再帰形フィルタとして実現している.

2 画像復元問題

 原画像∫(Ml,M2)が劣化して観測画像

g(m1,m2)が得られる過程は以下のように表 わされる.なお,M1,M2はそれぞれ画像上の 水平,垂直方向の位置を表わす整数である. 9(Ml,M2)=ん(Ml,m2)*∫(Ml,肌2)+n(Ml・,肌2)(1)  ただし,n(m1,m2)は観測雑音やディジタル 化を行なうときに生じた誤差等を含めた雑音ベ クトルであり,ん(m1,M2)は信号の劣化(ぼけ やぶれなど)を表わすインパルス応答である. 画像復元問題は劣化画像g(ml,M2)から原画 像∫(Ml,M2)を推定する問題である.復元画 像∫(M1,M2)は,復元フィルタW(m1,m2)を 用いて    ∫(7γじ1,γγL2)=uノ(γγ↓1,γγじ2)*9(7γじ1,M2)    (2) と表わせる.  復元フィルタw(m1, M2)を設計するために, 原画像f(Ml,M2)と復元画像∫(Ml, M2)との 誤差を評価する基準を考える.しかし,原画 像の情報が得られないため実際にこれらの値

(2)

平成7年12月 山梨大学工学部研究報告 第46号 を計算することはできない.したがって,復元 画像を再びイメージングシステムに通して得 られた画像ん(M1,M2)*f(m1,m2)と劣化画像 g(M1,M2)を比較する.すなわち,評価基準を  J=lig(m、,m、)一ん(m、,m・)・∫(m・,m・)ll2(3) と定義する.ただし,1川1はユークリッドノ ルムである.  この評価基準を最小にする復元フィルタが一 般逆フィルタ(GIF:generalized inverse filter) であり,雑音が存在しない場合には,このフィ ルタを設計することにより最適な復元画像を得 ることができる.しかし,この評価基準は雑音 を考慮しない劣化モデルに対して得られたもの であるため,実際の雑音成分の含まれる観測過 程に適用するためには,正則化(regularization) の操作が必要になる.  復元画像の高周波域には,雑音が復元フィル タによって増幅された成分が多く含まれている. これらの成分を制限するような復元フィルタが 正則化フィルタである.正則化フィルタの評価 基準は,  」=ll9(Ml,M2)−h(m、,M2)・∫(m・,m・)ll2        +λ 11・(m、,M2)・∫(m、,M2)ll2(4) となる.ここで,c(ml,m2)は高域通過特性 を持つ正則化演算子,λは正則化の程度を調 整するパラメータである.最初の項は,劣化 画像と復元画像に劣化を表わすインパルス応 答を掛けたものの誤差を示し,第2項は,復 元画像の高周波域に生じる雑音が復元フィルタ によって増幅された成分を示す.なお,正則化 演算子c(m1,m2)には原画像および雑音の性 質に依存した最適な特性が存在するはずであ る.しかし,画像復元問題では実際に得られる ものは劣化過程を表わすん(Ml,m2)と劣化画 像g(Ml,m2)のみであり,劣化画像から正則 化演算子c(ml,m2)の最適な特性を推定する ことは非常に困難である.そこで,正則化演算 子c(M1,M2)としては単純な高域通過フィルタ (ラプラシアンフィルタなど)を用いるのが普通 である.また,正則化パラメータλについても 原画像と雑音の性質に依存して最適値が存在す る.λの最適値にっいては,劣化画像のみから これを推定する方法がいくつか提案されている 6).本報告では,マルチチャンネル画像復元に 議論を集中するために,λの推定法にっいては 深入りせず,以下の議論では,λの最適値が分 かっているものと仮定する.  最適な復元画像を得るために,式(4)の評価 基準を最小にするような問題を考える.式(4) を∫(m1,M2)で偏微分したものを0とおき,こ れをz変換してF(Z1,Z2)にっいて解くと,以 下の式が得られる.     F(z1,z2):=W(z1,z2)G(Zl,z2)       (5) w(Zl,z2)=        H( 一1 −1Zl ,z2)        (6)H(・・,・・)H(・1㍉・;1)+λσ(・・1・・)o(・r1,・;1) W(Z1,Z2)は,復元フィルタの伝達関数を示し, このフィルタを正則化フィルタと呼ぶ.正則化 フィルタの伝達関数は.遅れ要素( 一1 −1Zl ,Z2)の みならず進み要素(z1, z2)も含み,非因果的な 伝達関数である.

3 シングルチャンネル復元フィルタ

 カラー画像は赤・緑・青(R,G,B)の3チャ ンネルからなるマルチチャンネル画像である,  カラー画像の劣化を考える場合,各色ごとに 独立に劣化が生じると考えると,劣化を表わす 式は以下のようになる.

ぽii}iii}]一[簿蕊』

      闇iiiii}]+[iiiiiiii](7) この場合,画像復元も各色ごとに独立に行なえ ぱよい(シングルチャンネル復元)ため,誤差 の評価基準としては以下の式を用いることがで きる.    J,=llG,(・、,・2)−H,(・、,・2)民(・、,・2川2  十λlic,(Zl,z2)民(Zl,z2)ll2  (i=R,G,B)(8) 復元フィルタの伝達関数は各色共に 1,Vl(Zl,z2)ニ        H,(zii,zii)        (9) H,(・、,・、)疏(・r㍉・;1)+λα(・・,・・)0,(・こ1,・;1) となり,この場合の復元のブロックダイアグラ ムを図一1に示す.  しかし,カラー画像においては,劣化の際に 各色の間に相関が生ずるため,相関がないと仮 定しているシングルチャンネル画像復元では最 適な復元が可能でない.したがって,各色の間 の相関を考えて復元を行なうマルチチャンネル 画像復元を考える必要がある.

(3)

雑音 π 復元 π

赤緑青

H

赤緑青 復元

/π 画像∫ 復元

   A

恁ウ画像∫      劣化  図一1:シングルチャンネル画像復元 Fig.1 Single channel image restoration.

4 マルチチヤンネル復元フィルタ

劣化の際に生じる各色の間の相関を考慮した 場合,劣化過程は以下のようになる.

[麗iil]一

麟㌶lii誤ii{三劃

      ・[舞剰+[§iiiiii](1・)  これに対して最適な復元を行なうためには, 復元過程も各色の間の相関を考慮したものでな ければならない(図一2). 雑音 /η 赤 /π

H

赤緑青

〆η 原画像∫ 青      劣化     復元  図一2:マルチチャンネル画像復元 Fig.2 Multi channe}image restoration.  」R=llGR−(HRR1㌔+HRG良〕+HRB #B)ll2       +λllσRR良ll2  JG=llσG・一(HGR塩+HGG17G+HGB1㌔)112        +λllσGG1㌔ll2  」B=llσB−(HBR良+HBG瓦+HBB島川2       +λllOBB1㌔ll2        (13)  復元フィルタの伝達関数 慨」 (Zl,Z2) (i“’=R,G,B)の具体的な式は極めて繁雑と なるので省略する.これは,進み要素,遅れ要 素を含む2次元の再帰形のフィルタである.  画像復元フィルタを再帰形で実現するために は,伝達関数のスペクトル因数分解が必要に なる.しかし,2次元の場合の伝達関数は因数 分解が一般的には可能でない.そこで,Com− bined DFT/LDE法4)を用いることによって 2次元のスペクトル因数分解を1次元の因数分 解に帰着させ,マルチチャンネル画像復元を再 帰形フィルタによって実現する.  具体的な処理手順は,以下のようになる. 1.各行毎に1次元のFFTを行なう. 9(M1,7η2)  したがって,例えば,赤成分の復元画像 FR(Z1,Z2)は,    Fh(・・,・2)=WRR(・・,Z2)GR(・・,Z2)         +WRG(Zl,Z2)GG(Zl,Z2)         +WRB(Zl,z2)GB(z1,・2) (11) 2.各列毎に1次元のフィルタをかける. ↓↓ 9(m1,ε冷1・)

一↓↓

となる.同様に,G,B成分も求まる.  ここで,正則化フィルタ慨」(↓,」=R,G,B) は,次の評価基準を最小にするように設計さ れる.       J ・JR+JG+JB    (12) f(m1,e弔1・) 3,各行毎に1次元のIFFTを行なう.       ∫(m・,・η2)     図一3:実現の過程 Fig.3 Combined DFT/LDE method L観測画像g(Ml,M2)の各行毎に離散フー  リエ変換をし,g(M1,♂誓12)を求める.

(4)

平成7年12月 山梨大学工学部研究報告 第46号 2,9(ml,♂■2)の各列毎に1次元のフィル  タをかけ,∫(m、,・ゴ辞1・)を求める. 3,∫(m、,e冷1・)の各行毎に離散逆フーリエ        の  変換をし,復元画像∫(M1,M2)を求める. 使用している復元フィルタは,36次のものを 2次の縦続形で実現している.  観測画像には,SNR=21dBとなるようにR ,G,B各色ごとに白色ガウス雑音を加える. ただし,観測画像のSNRを次式で定義する.      劣化画像の分散 SNR=1010g       ノイズの分散 (15)

5 シミュレーション結果

 256×256画素24bit/pixel8のカラー画像 mandrillを用いて,マルチチャンネル画像復元 フィルタによる画像復元のシミュレーションを 行なった.劣化の特性としては,円形のぼけが 生じるものを用い,劣化の際,各色間には以下 のような相関が存在するものとする1).  H(Zl,z2)=

竃iii闇iiiii}曇ii勤

[O.5HR(Zl,z2)  O.3HR(z1,z2)  O.2HR(z1,z2)O.25HG(zl,z2) O.5HG(z1,z2) 0.25HG(zl,z20.2HB(zl,z2)  O、3HB(zl,z2)  O,5HB(z1,z2))] HR(Z1,Z2)は以下のインパルス応答を持っ1/9 の重みつき3×3畳み込みオペレータのz変換 である. hR(M・,M2)=

m÷i溺

HG(Zl,Z2)は以下のインパルス応答を持っ1/25 の重みつき5×5畳み込みオペレータのz変換 である.  んG伽1,πL2)=

隆§曇li籔司

HB(Z1,Z2)は以下のインパルス応答を持っ1/49 の重みつき7×7畳み込みオペレータのz変換 である.  んB(Ml,m2)= 0 0 0 0.04 0 0 0 0     0   0.04   0    0 0   0.04  0,04  0.04   0 0.04  0.04  0.04  0.04  0.04 0.04  0.04  0.04  0.04  0.04 0.04  0.04  0.04  0.04  0.04 0   0.04  0.04  0.04   0 0   0  0.04  0   0 0 0 0 O.04 0 0 0  また正則化演算子には,次式に示すラプラシ アンフィルタを用いる. 烏=

、二1::判G=輌μ)

 マルチチャンネル復元,シングルチャンネル 復元法を用いた画像復元結果の比較を表1に 示す. 表一1:各色における平均2乗誤差(MSE)  Table−1 MSE of Restored images. 赤 緑 青

劣化画像のMSE

1191 586 1060 マルチチャンネル復元法 λ 0,010 0,005 0,010

MSE

97 348 186 シングルチャンネル復元法 λ 1,000 0,200 0,010

MSE

1182 500 693  平均2乗誤差(MSE)は,以下の式で定義さ れる.    Σ㍍。Σ㍍。(∫(m・,肌・)−f(肌・Trn・))2

MSE=

       N2        (16) ここで,f(m1,M2)は原画像, f(M1,m2)は 復元画像,Nは画像の大きさである、  λの値は,本来は劣化画像からλの最適値を 推定して,その推定値を用いるべきであるが, ここでは簡単のため,λを変化させながら画像 復元を繰り返して,MSEを最小にするλを求 め,そのλの値を用いて表一1のデータを計算し ている.  原画像を図4,観測画像を図5,マルチチャ ンネル復元の復元画像を図6,シングルチャン ネル復元の復元画像を図7に示す.  表一1,図4∼7よりマルチチャンネル復元は シングルチャンネル復元より優れていることが 確認できる.

6 むすび

 本研究では,再帰形フィルタを用いたマルチ チャンネル画像復元法を提案した.再帰形フィ

(5)

ルタの実現にはCombined DFT/LDE法を用 いた.  シングルチャンネル復元と比較することによ り,マルチチャンネル復元の方が良好な復元画 像を得ることができることをシミュレーション により確認した.

参考文献

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(6)

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 図一4 原画像 Fig.40riginal image. 土』  . lttt, 図一6 復元画像(マルチチャンネル)  Fig.6 Restored image.(Multi・channel)

tt.t. ,・ ・s,. 図一5 劣化画像 Fig.5 0bserved ilnage, ロン

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輸題

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図一7 復元画像(シングルチャンネル)  Fig.7 Restored image.(Single−channe])

参照

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