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会話文における「~のだ」

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Academic year: 2021

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(1)会話文における「∼のだ」 酒. 井 悠. 美. [ キーワード ]. 体言化、 たばね、 説明、 説明され、 自己主張、 わくづけ. はじめに. 文の中で主語や 補語は基本的にくもの もっともなじむ をあ. な も. 、 つまり、. をあ らうす部分であ る。 この部分に. 「体言」であ る。. 述語は基本的にく. 動き ). らうす部分であ る。 この部分にもっともなじむ 品詞が動詞であ る。 規定 詰. ( 連休修飾語 ) と. 古言司 が名言 司. 古. ). は、 基本的にく性質. じむ品詞が形容詞であ る。. をあ られす部分であ る。 この部分にもっ. ) く. 動き・性質 ) などを. く属 ,牲 ). とよんで、 こ. れをあ られす動詞・ 形容詞を「用言」といっている。 文の分割構造の 存在とそ れに適合する 単語とが存在するわけで、 一方では文のタイプが、 他方では単語 が 品詞としてパラディバ マ をなしているといえる。 したがって、 この適合に反して、 動詞や形容詞が 、 文の分割構造の 中で主語 や 補語としてはたらくときには、. く. 体言化 ) の手続きをふまなければならなく. なる。 「歩くのは体にいい」とか「おいしいのに 驚いた」「元気なのが 一番だ」 のように、 動詞や形容詞の 連体形にともなう「∼の」はく 体言化 ) の手続きの ひとつであ る。 「の」は「山を 歩くのが好きだ」のように 単語だけでなく 連語 も、. さらに、 「田中さんが 来てくれたのは 好都合だ」「この 機械がこんなに 便利. なのを知らなかった」のように 主語・述語のくみるわせをふくむ 文相当のひと かたまり. (節 ). をもく体言化 ) する。. 単語には、 民族の共有する 知識がやきつけられている。 なかでも名詞は 共有 する概念を物なみにしてやきつけた 単語であ る。 名詞は「もの」をあ られす 単 語 であ る、 というときの「もの」は 単に、 人、 物、 生き物だけでなく、 自然 現 象や社会現象などのような 抽象概念もふくみこんでいろ。 「読み書きに っかぅ 台 」を「 づ くえ」、 「ボールをうちあ うゲーム」を「テニス」と 名づけた よう. 一 16-.

(2) に、. 「よろこび」. 「 レ. 、 かり」. 「民主主義」. 「平和」. 「過労死」. 「. ね まわし」. な. ど、 人々は共通にもっ 概念を名詞にやきつける。 名詞にやきつけられることに よって概念がひとまとまりの「もの」に 束ねられたと 言ってもいい。 名詞は個 人 が勝手にっくることのできない、 あ. くもの ィひ. されて共有する 社会的な産物で. る。 「山を歩くのは 気持がいい」というとき「山を 歩くの」のかわりに「山歩き」. という名詞を 使うことができる。 「山歩き」はくもの 化 ) された共有する 概念 を 示す。. しかし「鳥の 声をききながら 歌を歌って山を 歩くのは気持がいい」. の. 「鳥の声をききながら 歌を歌って山を 歩くの」にかわる 名詞は今のところない。 人々に共有され、 もの化されたひとまとまりの 概念として名詞にやきつけられ るまで、 一般化されていないからであ る。 しかし、 特定個人の頭の 中で、 既製の単語を 使ってひとまとまりの 概念をつ. {. をもたせて文の 部分としてさしなすことができる。 これが. くものャ生). り. 「の」などによるく 体言 ひであ る。 概念のくひとまとまりのもの ィ. 性 ) が 社会. 的に認められたものとして 単語の形で保証しているのが「名詞」で、. 話し手 個. 人 が既製の単語をくみるわせて 一時的にひとまとまりの 概念をつくりあ げる (. たばね ) がく体言. ィ. ひであ ると考える。. 「私のクラスの 子供が家出したのは 事実です」「私のクラスの 子供が家出。 し たのを知っていますか」のように、 (節 ). く. 体言化 ) された文相当のひとかたまり. が 、 文の中で主語や 補語としてはたらくとき、 「の」が文の 構造上、 不可. 欠 であ ることはあ きらかであ る。 しかし、 文相当のひとまとまりが 主語や補語ではなく、 述語のすがたではた らくばあ り、 なぜ. く. 体言化 ) が必要なのか、 という疑問が 生じる。 述語がく 体. 言化 ) されている文と 、. く. 体言化 > されていない 文とを. 上ヒ. べてみる。. 「私のクラスの 子供が家出したのです」 「私のクラスの 子供が家出しました」 前者は、. 「∼のだ」. っ かわれる。. (. 文 と よ ばれ、 「のだ」は 、. よ. く文末表現のひとっとしてあ. 「∼のだ」「∼のです」は 、 話しことばでは「∼んだ」「∼ ん. @. 17. 一.

(3) です」. のか ?. 「∼の」の形をとることが 多い。 ) なぜ「の」をつけてく 体言化 ) する 同じ現実をめっかった 後者の動詞 立 とどういう違いがあ るのか ?. と. いうことを明らかにするのが、 本稿のねらいであ る。 以下、 「∼のだ」文を、 ( 説明の文 >. 自己主張の文 >. <. (. わくづけの「の」. ). 03 つに分けて述べていくことにする。 なお、 「∼のだった」については、. 今回の報告の 対象からはずした。. 1. 説明の文 「私のクラスの 子供が家出したのです」 「私のクラスの 子供が家出しました」. 両者は、 対象にした現実はおなじであ る。 後者は、 話し手が、 その現実を 「子供」と「家出した」とに. 分析し、 主語・述語の 構造でひとっの 出来事とし. てうつ しだしてさしだす 文であ る。 会話の始めにも、 単独の文としてもあ れる。 一方、 前者は、. らわ. 「どうかしましたか。 ばかに考えていますね」「ええ、. 私のクラスの 子供が、 家出したんです」のような 会話の中で、 状況を説明する ときに っ かわれる。 ここでは「私のクラスの 子供が家出した」ことを「自分が. 考えこんでいる」ことと 関連づけて、 その理由の説明としてセットにしてさし だしている。 く. 説明 ) の文で、. 2. つの出来事をセットに 束ねているのは「話し 手」であ る。. 「話し手」は「聞き 手」に対して、 ことによってその 存在や理由を. く. 2. つがかかわりあ ったものとして 手渡す ). ( 説明 ). する。 ここでは話し 手によって概念と. 概念の結合がなされ、 話し手の頭の 中でひとまとまりになっているものとして、 出来事を聞き 手に手渡していて、 単なる客観描写とはちがい、 話し手の主観性 がつきまとうことになる。 「私のクラスの 子供が家出しました」のような「描写. 文 」を、 現実の出来事. を分析し うつ しだす客観的な モ ダリティの 立 だとすれば、 「私のクラスの 子供 が 家出したんです」のような「説明文」は. 、 話し手の頭に 投影された出来事を. 話し手がくみたてた 論理としてさしだす 主観的な モ ダリティの 文 だということ. 一. Ⅰ. 8. 一.

(4) て、 ㍉. 刊あ こく し 吻わ. やが. ﹁ く. ﹁ 舌 さ 一口 る る. てな. 知っ. の来. を歴 在経 存、. てそ由. そ. Ⅱ聞の. I. 一-19 一.

(5) かにする「∼のだ」文があ る。 ・. 「教育 塔 って 、 知らんですか」 「知りませんね」. るんですよ。 僕はまだ行ってみたことはないんだが、 教. 「大阪にあ. 育 関係の事故で 死んだ生徒や 教師だけを祭ってあ. るんです」. ( 人間の壁 ). 「実はさつき、 小坂さんにお 手紙をお返しいたしました。 この三年. 程の間に小坂さんからりただ い たものなんです」. ( 氷壁 ). ・床の間のあ る方で、 ふた組みの老人が 碁を打っていた。 パチリ 、 パ. チリと碁石が 鳴る。 腕を組んで長考している 老人がいろ。 「あ の方、. 今年九十歳なんですよ。 毎日のように い らしては相手を. 探して碁を打っていらっしゃるんです。 頭もはっきりしてますしね え 、 おっしやることもしっかりしてますよ」 と ( 説明され ). ( 説明 ). の両者がひとつの 丈の中にさしだされる「∼のだ」. 文も少なくない。 「∼は∼のだ」の 形で、 主語が 語 がそれを. ( 説明 ). ( 胱惚 の 人 ). ( 説明され ). をさしだし、 述. する。. ・浅井吉男君は 大変かわいそうな 子供だったのです。 お父さんが早く 亡くなり、 兄弟も何もなくて、 お母さんも病気で 死んでしまった ん. です。 ( 人間の壁 ) 「おかしいねえ、 先生はきらりだなんて。. この人は高等学校の. 先生なんだよ。 お父さんのお 友達で梶野さんて、 知ってるだ る. の方からのお 話でね」. ……あ. 1-2. ?. ( 人間の壁 ). 出来事や状況を 説明する 文. あ る出来事や状況を 相手にくわしくわからせ 26 とするとき、 それにかかわ るもうひとつの 出来事を、 る。. その. ( 説明 ). 場合が多いが、. は、 く. ( 説明 ). として、 「∼のだ」文でさしだすことがあ. ( 説明される ). 解説 ) であ ったり、. 一. 出来事や状況が 存在するく理由 く. 20. ). であ る. 時間、 空間、 出来事の側面や 周辺 ) で. 一.

(6) あ. ったり、 また聞き手が 知りたがっているく 出来事そのもの. る。 以下、 a.. ( 説明 ). ). であ ったりもす. の内容ごとに 例をあ げながら論じてみよう。. [ 理由 ]. 「∼のだ」文による 出来事の説明の 中でもっとも 多いのは、 その出来事がな ぜ 生じたのかという 理由の説明であ る。 とくに、 話し手自身の 行動や状態に 対. する自己釈明が 多い。 次の例では、. ( 説明され ). は話し手自身の 行動で、. 手はその行動を 見たり聞いたりしているが、 なぜそ ていない。 話し手はなぜ. ( 私). がその行動をとる. (. う. する. とった. ( した ) ). 聞き. のか、 わかっ. のか、 聞き手にわ. かるよう に話してきかせる。 「酒田行きは 取りやめました」 「どうして ?. 」. 常盤は大きな 目を光らせた。 「向こうの親戚の 中に 、 僕がザイルを 切ったんじやないかと 疑って いる者があ. るらしいんです。 そんなわけで 遺骨を持っていく. 慮 することにしたんです。. 」. 役は遠. ( 氷壁 ). ・突然、 茂 造 がしゃくりあ げてなき泣き 始めた。 「ど う. したんです、 お父さん」. 「腹 が空いた ( 説明され ). ょォ、 腹 が減って動けんのですよ ォ. 」. ( 胱惚 の 人 ). が先行する会話や 地の文で示されない 場合もあ るが、 その場合. は 、 そこにあ るく私の状況 ) そのものが説明されている。 ・小坂は驚いてふり. 向くと、 「よう」と声をだして、. 「お双か」と. 言っ. -Ⅰ。. え. 「そんなあ 「. b.. 小さっがあ るか い 」魚津が傍の 椅子に腰を降ろすと、. い や、 ここで人を待 づ てるんだ」. ( 氷壁 ). [ 解説 ]. a の [ 理由 ] では ( 説明され ) が話し手自身に 関することがらであ ることが. 多いのに対し、. ( 説明され ). 状態であ る「∼のだ」文もあ. の出来事も、 ( 説明 ) の出来事も、 第 3 者の行為、 る。 聞き手は ( 説明され ) の出来事を見たり、 聞 一 21 一.

(7) いたりして事実としては 知っているが、 その出来事の 本質を知らない。 話し手 はその本質としての 出来事を聞き 手に説明し、 解説するのであ る。. 事を結びつけ、 ( 私の論理 ). ( 説明 ). しているのは 話し手であ. によるものであ る。 このとき、. る (私). ( 説明 ). であ り、. は第. 3. 2. つの出来. ( 説明 ) は. 者的なく解説 ) に. なる。 次の例では、 父親の異常な 行動について、 聞き手であ る妹に 、 話し手で る兄が解説者となってその 出来事の本質を、 つまり、 父親が自分の 娘を認知. あ. できないほど 惚けてしまったことを 教えている。 ・部屋の片隅で、 端然と正座していた 浅道 は、 覗きこむようにしてい る. 京子の顔をこのときまじまじと 眺めてから、 言った。. 「あ なたは、. どなたでしたかな」. 腫れた瞼の下で 細くなっていた 京子の眼が、 まるで飛出したように 丸く. 、 黒くなった。 喉の奥で息が 詰り、 ロを動かしても 声が出ない。. 「分からなくなっているんだよ」. 信利が言. うと. 「嘘でしょう. c.. [ 時間、. 聞き手が、. 、 京子は首を振る ?. よ. うにして 兄 と父を交互に 見較べ、. 」顔を歪めていた。. 空間、 出来事の側面. ( 胱惚 の 人 ). ]. 出来事や状況そのものは. 漠然と知っているが、. その状況や出来事. の細かな側面、 つまり、. 「いつ」. に 」「どんな」……などを. 知りたがっているとき、 出来事を構成する 要素. 間. 「どこで」. 「だれが」. 「なにを」. 「どのよう (時. ・空間・主体・ 対象・道具・ 手段など ) を説明するために、 「∼のだ」文が. 使われることがあ る。 「いつだったんだ」. 「今のさつき、. お 爺 ちやんが僕らんとこへ. 入ってきて、. お 婆 ちやん. が起きないって 言うから来てみたら、 そこんとこへ 倒れてたんだ. ょ」. 敏が小さな玄関のあ がり植を指さして 説明した。 ( 胱惚 の 九 ) ・建一郎は寝ころんだまま、 下から妻の姿を 見上げ、 わざとらしい 冷 淡な声で「どこへ 行ったんだ」と 言った。 ( 中略 ) 「生徒のうちで 大変なことがあ ったのよ。. 一 22 一. あ とで話すわ」. ( 人間 ).

(8) 「どんな風に 異常なんですか」. ・. 「自分を目立たせよ う. として、 一生懸命なんです。. みんなの注意を. 自分に集めたいんですわね。 みんな坐っている 時に不意に立ち 上が. ったり、 奇声を発したり、 机のふたをがたがたさせたり、. ちっとも. 落ち着かない 子です。 わざと悪 い 事をして人を 笑わせようとしたり するんです」 ( 人間の壁 ). d.. [ 出来事そのもの 1. 何かあ る出来事がおこっていることを 察知しているが、 何があ ったのかはっ きりわからず 知りたがっている 相手. ( 聞き手 ). に対して、 話し手がおこった. 来 事をくまるごと ) さしだす「∼のだ」文があ る。. このとき、. 出. ( 説明され ) は. 状況そのものであ る。 ・昭子の口調の 激しさに、 信利はあ っけにとられていた。 「どうしたんだ」. 「お母さん、 亡くなってたんですよ。 ずっと前によ、. あ なた !. 」. ( 胱惚 の 八 ). 「なにガタガタやってんだ. 1-3. やかましいぞ. !. 」. 話し手の気持・ 考えを説明する 文. ( 説明され ). はこれまで見てきたような 客観的に存在する 物や出来事や 状況 やく希望 ). ばかりではない。 話し手のく意志 ) 想). !. など、 話し手の頭の. たとえば、. く. 要求 ). く. 判断 ). く. 評価 ). く. 感. 中に作りだされるものであ る場合もあ る。. 話し手が自分の 行動への意志や. 希望をのべたり、. 聞き手の行動へ. の要求をさしだしたりする 場合、 話し手は、 さらに、 「∼のだ」文によって、 なぜ自分がその 行動をするのか、. あ. るいは相手. になぜその 26. ( 聞き手 ). な要. やく理由》をさしだし、 相手 ( 聞き手 ) の納得を る。 このとき、 ( 説明され ) は話し手の行動へのく 意志 ). 求をするのかというく 動機 ) う. く. あ. ながすことがあ. 希望 ) 、. り、. あ. るいは聞き手の 行動へのく要求 ). ( 説明 ). はそのく動機 ). く. く. 理由 ) であ る。. 一 23 一. 依頼 ). く. 命令 ) のさしだしで.

(9) a.. [ 行動の動機・. 理由. 1. ・魚津はそんな 二人の会話をきくと、 すぐ立ち上がって. 「僕は失敬する。. 疲れてるんだ」そ. う. 小坂に言った。. ( 氷壁 ). 「オレ、 大学ゆくの、 やめるよ」. 周平は、 極度の興奮のせいだろう、 散歩から帰った 犬のように、 ハ アハア あ えぎながら「 オ レ、 結婚したり人が 、 いろんだ ょ. b.. [ 要求の理由 ] 「. 敬 さん、 敏 。 起きて 頂 ない。. ( 胱惚 の. c.. 」. お 爺 ちやんがまた. 飛出したの. ょ」. 八). [ 判断の根拠 ]. 話し手によってなされた 判断をさしだすとき、 「∼のだ」文で、 その判断の よりどころとなるく 根拠》を提示することによって、 聞き手にその 判断の正当 性を示す。 「僕が代るわけにはいかないじゃないか」 「どうしてですか」. 「親爺は僕が 誰か分からなくなっているんだぜ。 夜中に僕を見て 、. 暴漢だと言ったことがあ ったじゃないか」 「それじゃ、 私がずうっとこんな 状態で我慢しなきゃいけないって 一、 んですか」 一つ一一口. d.. [ 評価の具体的な ( 説明され ). く. ( 胱惚 の 八 ). 根拠 ]. が話し手のく 評価 ) やく感想. ). で、. (. 説明. ). がその具体的な. 根拠 ) となる出来事をさしなす 説明のしかたがあ る。 ・. 「それにしても 東京の人ってこわいほど 薄情ね、 振向いて見る 人は あ. っても、 どうしたんですかって. を 一台とめて、. 訊く. 人がないの。 やっとタクシー. 運転手に事情を 話して、 手を貸して下さいって 頼ん. で、 お爺ちゃんに 飛びついて 操 みあ ってて、 ひょいと振返ったら. タ. クシ一行っちやったのよ。 東京の人って 親切もないのね。 田舎だつ たら、 ともかく人たかりがして、 誰かが手を貸してくれます. 一 24 一. ょ。. 本.

(10) 当 にひどいと 思、っ たわ」 e.. ( 胱惚 の 人 ). 出来事の解釈 ]. 反対に、. ( 説明され ). 話し手の『解釈. ]. が具体的な出来事で、. とか『意味づけ』 、. ・あ の口喧しいお. ( 説明 ). がその出来事に 対する. [ 結論Ⅱをさしだす. 説明のしかたもあ る。. 父さんに一言も 反抗しないで、 まるで奴隷みたいに. して仕えてきたのよ。 ( 中略 ) お父さんは胃が 痛い、 やれ腹 を下し たって朝も最もそんなことばっかり 言ってた人でしょう してたみたいなもの. ょ、. ?. 病人と暮. お母さんは。 その上お父さんは 痛 痛持ちで. 詰らないことで 鬼 みたいに怒り 猛って 、 何もかもお母さんのせ い み. たいに言って、. あ. げくは熱が出たとか、 咳が出たとかで 大騒ぎして. たでしょう。 よく我慢したと 思うわ。 明治の女だったのよ。 私たち なら三日で離婚してると 思うわ。 ( 胱惚 の 人 ). 以上のべてきたように、 を、. ( 説明 ). は 、 話し手の知っているものごとや 出来事. あ るいは話し手の 気持や判断を 、 聞き手に納得のいくようにわからせるた. めに、 もうひとっの 出来事をその 特性、 理由、 具体例、 その本質などとしてさ しだすものであ る。 つまり、 別の出来事と 結びつけることによって、 ひとつの ものごとや出来事をあ きらかに浮かび 上がらせることであ る。 このとき ことを結びつけているのは、 話し手であ. る (私). の セットを づ くりだしているのは. の頭のなかであ る。. の頭のなかで. ( 説明され ). のだ」の説明文は 、. 2. (私). とセットにされた. つのことを「の」で. (. であ り、 ( 説明され >. ( 私の論理 ). ( 説明 ). 2. つの. < 説明 ). は. (私). の産物であ る。. たばね ) 、 話し手であ る. ( 私). 「∼. の. 主観的な論理というオブラートで 包みこんで相手に 伝えるという 意味で、 主観 的な モ ダリティをもつ 文 だといえるだ る. 新聞、 テレビ、 ラジオなどのニュースで、 この「∼のだ」文が 使われること が少ないのは、 このためだろう。. 「∼のだ」. 「∼のです」. 「∼んです」の 文体. にすると、 客観的な報道ではなく、 主観をまじえたニュース 解説になってしま. 一 25 一 -.

(11) 1. 自己主張の文. 話し手が分析し、 対象化したひとまとまりの. 出来事とそれに 対する気持とを、. 自分の論理や 感情として ( たばね ). 、. す ( 自己主張 ) の「∼のだ」文があ. る。 ここでは、. 聞き手に強いおしだしをともなって 手渡 ( 説明の文 ). れ ) と ( 説明 ) を取り結んで い た話し手が双面にすすめでて、. では ( 説明さ ( 説明の構造 ). はとりこおされ、 主観性のより 強い文になる。 「おれは映画館を 建てるんだ」 「おれは映画館を 建てる」. 後者はく. 1. 人称・未来・ 意志 ) の文であ って、 意志する動作をそのままさし. だしている。 これに対して、 前者は、 その意志を一度、 自分の頭の中でひとま. とまりの概念として、 とを、. く私) の頭の中にはこのようなく 意志》があ るというこ. 強いおしだしをもって. 聞き手に手渡している。 「私、 歩きたいんです」. のような「∼のだ」文はくⅠ人称・ 未来・まちのぞみ》の. 概念として、. 希望を頭の中でひとまとまりの く. 希望》があ. るということを、. 文にみえても、 その. 今 ( 私 ) の頭の中にはこのような. 強い主張をともなって. 聞き手に手渡している。. 後者は独り言でもかまわないが、 前者の「∼のだ」文は 、 聞き手を必要とする 「話し合いの 構造」の中におかれる。 話し手のく主張》を 前面におしだして. くところから、. ぶことにする。. ぃ. (. 自己主張の文 ). 1. 人称 文 をその典型とするが、 人称・テンポラリティ. これらを. とよ. これも主観的な. モ ダリティの 立 といえる。 (. 自己主張の文 ) は、. その他のちがいによって く. 、. く. 意志》やく希望》. 感想 ) などさまざまなタイプの 文への分化が. I 意志・希望・. a. く. 1. く. 命令》. く. 意見 ). く. 説得 ). 観察できる。. 態度 ]. 人称・未来・ 意志. ( 希望 ) >. の「∼のだ」文は 、 話し手の現在の 強い意. 志、 強い主張の存在を 聞き手に顕示するく 決意表明 ) の文になる。 「ふ か 、 そうか。 ・…‥君たちはお い 。 ・…‥お金もちになったら、. 金もちになりた いか 。 ・… " なりた. そのお金で何をする」. 一 26 一.

(12) 「ぜいたくする。. うまいもの食って」. 「おれは自動車に 乗って、 それからロンドン ヘ 行く」 「ばか、 ニューヨークの 方が大きいぞ」 「おれは映画館を 建てるんだ。 そしたら毎日ただで 映画見られるも んな」 ( 人間の壁 ). ・タクシーが 魚津の合図で 二人の双へとまったとき、. 「歩きたいんです、. わたし」. 美那子は言った。 自分でも自分の 顔のゆがんでいることが 判った。 げ1」@R 壁) く. Ⅰ人称・現在・ 感情. ( 態度 ) >. の「∼のだ」文は 、 話し手の現在の 気持の. 存在を聞き手にく 強いおしだし ) をともなって 手渡す ・. (. 自己主張の文 ). になる。. 「オレそういうの 嫌なんだよⅡ. 「目が合ってしまったのよ。 放っておけないじゃないの」 「一一そんな、 一一足の悪い 人間が足の悪い 犬を引っぱって 歩くな んて、 悪趣味だよ ・. !. 」. ( 寺内貫太郎一家 ). 「私は反対なんです」と 彼女は思い切って 言った。 すると隣の席で 一条先生が 、 声をたてて笑った。. 「あ んたはとにかく、. 僕の言. うこ. とには全部反対なんだね。 要するに、 犬猿の仲だよ。 は ッ は、 面白 いじゃないか」 b,. ( 人間の壁 ). [ 希望・判断・はたらきかけ ] く. 2. 人称・未来・ 希望 ) の「∼のだ」文も 、 話し手の現在のく 強いおしだし. ). をともなって 手渡すく自己主張の 文 ) であ る。 動作の実現は 未来のことであ り、 まちのぞむ心理活動は 話し手であ し 手は一度、 (私). る ( 私). の現在のことであ る。 このことを 話. 頭の中でひとまとまりに 概念化し、 その. ょ. うなくもの》が、 今、. の頭のなかにあ るということを 相手に強くおしだし、 手渡す。 したがっ. て、 まちのぞみの 気持をストレートにさしだす「∼してほしい」の 文 より、 「∼してほしいんです」のほうがくはたらきかけ》 ,性が 色 こく表されることに なる。. 一 27 一.

(13) 「君に頼みがあ るんだ. ょ」. 「よほど重大なことみたいね」と 彼女は言った。 「重大なことだよ。 まじめに一 つ 考えてほしいんだ」. ( 人間の壁 ). 「文部大臣、 お願いします。 われわれは S 数 組のものです。 ぜひ 話 を. 聞いていただきたいんです。. ・・,三十分でいいです。 会って 下. さい。 文部大臣、 お願いです。 会 うて 下さい。 ・…‥文部大臣……」 ( 人間の壁 ) く. 2. 人称・未来・ 許容 ) の「∼のだ」文も 、 話し手の考えを. をともなって 手渡すことから く. く. 強いおしだし ). 自己主張の文 ) であ るといえる。 動作の実現は. (. 未来 ) のことであ り、 話し手であ. る (私). がく現在 ) それを許容している。. このことを話し 手は一度頭の 中でひとまとまりに 概念化し、. そのようなくもの》. が 、 今、 く私) の頭のなかにあ るということを 相手に強くおしだし、 手渡す。 したがって、 同時にくはたらきかけ》の 機能をはたす。 終助詞「 ぅ. よ 」をともな. ことが多い。 ・議員はじっと 与田を見おろしていたが、 「本当のことを 言ってもいいんだよ」と 言った。 与田大二郎は 黙っていた。 ( 人間の壁 ) 「年が半端なんでしょ. ? これといたった 特技もないし・. 「ゆっくり探しゃいいんだよ。 親戚なんだから。 何日いたって…… なあ. 」. ( 寺内貫太郎一家 ). [ 命令 ]. c. く. 2 人称・未来・ 述べたて ) の「∼のだ」文も 、 話し手の現在のく 強 い おし. だし ) をともなって 手渡す. (. 自己主張の文 ) であ る。 動作の実現は 未来、 の べ. たては現在だが、 このことを話し 手は一度頭の 中で聞き手の 行うべき正当な 行 動 としてひとまとまりに. 概念化し、. とによって 、 聞き手に行動を. う. そうしたくもの》を 聞き手におしつけるこ. ながす。 したがって 、 つ よい命令のくはたらき. かけ ) という機能をはたす。. 一 28 一.

(14) 「ちょっと、 みんな自習していてちょうだい。 鐘が鳴ったらおしま い にして いい よろしいから、 教室の中で静かに 遊ぶんですよ。 わか っ たわね」 ( 人間の壁 ). d,. [ 説教 ]. 一般人称の文で、 世間一般の常識的なことであ. ( 説明 ). ると. するかのように. みせながら、 実は 、 話し手が自分の 論理を聞き手におしっける「∼のだ」文も あ. る。 このとき、. く. 説明 ) というよりおしっけがましい、 説教的な調子をおび. てくる。 クラス一般のことについて 語る「∼ものだ」に 近い。 ・すると、 父は手酌で小さな 杯を満たしながら、 重 い ロ調で言 うのだ った 。 「若い. う. ちならどんなわがままを 言ってもいいが. になった女は、 三十にもなれば、. あ. が、 一度不縁. とは一年毎に 縁が遠くなるんだ。. これから先、 まじめな良 い 縁談なんか、. といって、. るぅ. そ. う. 幾つ. もあ る 訳 じゃない。. 生涯ひとりで 暮 せる訳のものでもないだろう。 いくら 新. しい時代になったからって 、 女は女だからな。 男 とは違うんだ」 ( 人間の壁 ) [ 意見 ]. e. く. 3. 人称・現在. イル をとりながら. ( 過去 ) (. , 述べたて》の「∼のだ」文には、. く. 説明 ) の スタ. 自己主張 ) の面をおしだしているものがあ る。 客観的な出. 来 事の説明のように 語っているが、 そのことを話し 手は一度頭の 中で聞き手の 理解すべきこととしてひとまとめに. 概念化し、. しつける。 このことによって 、 話し手の意見・ ・. そうしたくもの. ). を聞き手にお. 主張が前面にでている。. 「お双もすこし 冷静に考えてみろ。 有馬なんて、 赤の他人じゃな い か 。 ・… " そいつの言うこととおれのいうことと、. んだ。. ・…‥向こうは. どっちを信用する. 何か計画をもって、 おれを陥れようとしている. んだ。 負けるもんか、. あ んなやっに……. ( 人間の壁 ). 「本当に切れたか、 どうかは、 君、 そりゃ判らんよ」. 時 岡は言った。 すると常盤大作は 暫く大きな眼をむいて 時岡を 見つ. 一 29 一.

(15) めていたが、 やがて、. う. 一むと捻り声を 出すと、. 「いや、 ザイルは切れたんだよ。 魚津は嘘を言. う. は、 僕が多年下で 使っているからよく 知っとる」. 男ではない。 それ ( 氷壁 ). やたらに「∼のだ」「∼んです」を 連発する文章は「自分の 気持ちを聞き 手. にわからせた い 」という話し 手の気持ちが 先行して、 主観的すぎたり、 多少弁 解 がましかったり、 一方的だったり、 子供っぽかったりすることになる。. f.. I 感想リ. 状態をしめす. く. 来 事を自分の頭の に 概念化して、. 2. 、. 3. 人称・現在・のべたて》の「∼のだ」文は、. 目前の出. 中に投影しながら、 誰もが理解すべきこととしてひとまとめ. そうしたくもの. ). を自分と聞き 手に確認させる。 したがって 、. 話し手は目の 前にあ る現実についてのく 感想 ) をのべることになる。 終助詞 「. な 」や「ね」をともな. う. ことが多い。. ・フォークとナイフを 動かしながら、 常盤は 、. 「ほかに何か 食べないか」と、 メニューを目でさし 示した。 「も う 充分です」. 「充分 ?@. やに小食なんだな」. ( 氷壁 ). 「へええ、 練馬区ねえ。 私はもう多摩の 方かと思ってたわ。 東京 っ て 広いのねえ。 まあ 見つかって本当によかった」. ここにきて、. 話し手の気持や 判断・情報などを. て、 聞き手に手渡す という ょ. (. 自己主張の文 ). ( 胱惚 の 人 ). ( 強 い おしだし ). は、 一転する。 情報を 、. をともなっ. 聞き手に手渡す. り、 自分自身に確かめるほうが 主要な機能になる。 道路がぬれている. のを見て 、. 「あ あ 、. 雨がふったんだ」といったり、 窓から外のようすを 見て 、. 「雪がふっているんだ」といったりするとき、 話し手は単に 現実の分析をして いるのではなく、 自分の頭の中に 投影されたひとまとまりの 出来事を. ( 私のも. の ) として確認している。 9.. [ 驚きⅠ. 現実を前にしてその 出来事が成立したことを 確認しながら、 たずねる文があ る。. これは質問の 形をしているが、 たずねているのではなく、 話し手のく驚き. 一 30 一.

(16) ・意外なきもち》を 「あ ら、. ・. 「. 表現している。 敏 、 帰ってたの. ?. 」. う ん」. 「菓子パン買ってきてあ. るけど」. ( 胱惚 の. 人). ・タメ公は浮かれながら、 G パン姿の 2 ョ子に気がっいた。 「あ. れ、 ミョちゃん、. 浴 着きないの」. ( 寺内貫太郎一家 ). 「これはこれは、 お待ち い ただ い ていたんですか。 さあ 、 どうぞ」 ( 氷壁 ). h.. [ 質問・非難 ]. また、 次の例のように、 疑問詞を伴ってたずねてはいても、 相手に理由や 時 間などを質問しているだけではない。 強 い 調子のく非難. ). をこめてき い ている。. ふつうのたずねる 文とはイントネーションもことなってくる。 ・「私はもう. 嫌やです。 昨夜は私の上に 馬乗りになってきたんだし、. また始まったのよ。 薬が効かなくなったのよ。 どうしてあ なた診療 所で 訪 いてきて下さらなかったんですか」. 「今日は会議会議で、. 歯医者に行くひまもなかったんだ」. ( 胱惚 の 八 ). i.. [ 抗議 ]. さらに、 たずねる要素は 後退して、 聞き手に抗議をあ びせる文になる。 ・京子が茂造の 皿から. ( 蟹の ). 脚を一本とると、. 「何をするんです。 返して下さい」浅道 が 鋭く言った。 ( 胱惚 の 人 ). ・「だって、. 九十九匹の羊を. 山に残し置き、 迷える一匹を 探すという. 話 があ るじゃないの」 「お双はキリストのつもりか い 。 いつからそんなに 偉くなったんだⅡ ( 人間の壁 ). これらも話し 手のく気持 ) を強調して表現しているということから. 張 の 文 ) のひとつのタイプとして 考えられる。. 一3 一 Ⅰ. (. 自己主.

(17) m. わく づけの「の」 「. 親 とけんかしたから 家出したのではない」. 「. 親 とけんかしたから 家出しなかった」. 両者とも「否定」をあ らうす文であ るが、 前者の文で話し 手が否定している のは、 親 とけんかしたこと」でも「家出したこと」でもなく、 「. 「. 親 とけんかし. たから家出したこと」であ る。 話し手は現実に 実現した「 親 とけんかしたこと」. と「家出したこと」をセットにして「の」でたばね、 して聞き手に 手渡している。 これにはく体言化. そのく因果関係 ) を否定. の「の」による. ). (. たばね. ). の. 機能がはたらいていると 考えられる。 後者の否定文「 親 とけんかしたから 家出 しなかった」とは 対象的な内容があ きらかに異なる。 後者は「家出」行為の 不 成立とその理由であ る。 「推量」をあ られす文の場合にも、. 「の」に よ る ( たばね ). の機能が ぅかび. あ がる。 「. 親 とけんかしたから 家出したのだろう」. 「. 親 とけんかしたから 家出しただろう」. 前者の文で、 話し手がおしはかっているのは、 現実に実現した 二つの出来事 の あ い だの因果関係であ る。. 「の」は、 「否定」したり「推量」したりする 概念を わりの部分を 文の中でしるしづけるはたらきをしている。. (. たばね ) て 、 その 終 概念を. ( たばね ). て. その終わりの 部分を文のなかでしるしづけるということは、 「否定」したり. の. 「推量」したりする 対象をくわくにはめこむ の「の」と. 「の」を ( わくづけ ). 文末の「∼んだって」、 ね、 は. く. 伝聞》. く. 否定 ). く. ことであ る。 このため、 この種. ). よ んでお. く. 「∼んじゃない」、. 「∼んじゃないか」は、 それぞ. 推量》の文であ ることをあ らうす形であ る。 「の. ( ん )」. 、 これらの形の 部分としてはたらき、 話し手が 、 伝え聞いたり、 否定した. あ るいは、. おしはかったりする 対象を、 ひとまとまりの 概念として束ね、 その. 終わりの部分を 文の中でしるしづけるはたらきをする。 つまり、 それらを 聞). く. り. 否定 ). く. 推量 ) の. ( わく ). にはめこむ機能をもつ。 この. 一 32 一. (. く伝. わくづけ ) の.

(18) 「の」は、 これらの文に 必須の要素であ って、 これなしには 文の意味と構造が 保たれない。 [ 伝聞 ]. a.. 「∼んだって」 「あ なた、. 警察の人が会いたいんですって」女房は. ら 顔を出して、. 唐紙のあ いだか. 子供たちに聞えないように 小さい声で言った。. ( 人間の壁 ). ・「大変なことって 何だ」. 去りにして、 母親が駆け落ちしたんですって。 かわい. 「子供を置き. そうで見ていられなかったわ」 b.. [ 否定 1. ( 人間の壁 ). 「∼んじゃない」. 「お父さんはな、 あ んな男にくれるために 二十三年もお 前を育てた. んじゃない. ! 」「あ. んな男なんて 言い方、 しないで」. ( 寺内貫太郎一家 ). ・沢田君は超過勤務手当がほしくて 提案されたんじゃない。 過重労働 は 解りきったはなしだ。 しかし、. そんな事を言っておられない。 い. まあ の子に学問をさせてやらなかったら、 一生学問の機会を 失うじ や ないか。 ・…‥それが 見ていられないから、 沢田君は提案している. んだ。. ( 人間の壁 ). これらの否定文は 、 「お双を育てなかった」「提案されなかった」のように 「. ん 」の双の動詞を 否定形にすると、 文の意味が変わってしまう。. うに、 この「の」は、 否定されるべきセットの 関係を 定め. (. 前述したよ. たばね ) 、 文の中で否. にはめこんでいるからであ る。 次の例も同様であ る。. ( わく ). 「上条さん、 お 佳いは 」日下手な上条をかば ぅよう に静江が答えた。 「. 池/. 端の」. 「お双に聞いてるんじゃない. !. 」. 貫太郎の怒声に 、 マモルは目を 丸くしている。 ( 寺内貫太郎一家 ・第二点は PTA. ). の皆さんに対してであ ります。 私たちの抵抗運動は 、. 一つの組織としてやっているのであ. 一 33 一. りまして、 個人個人でやって い.

(19) るのではあ りません。 したがって、 明日から後の 闘争に参加するか しないかという 事について、 個々に返事を 求められることには、 お 答えできません。 ( 人間の壁 ) c.. [ 遠慮がちな推量. ] 「∼んじゃないか」. 「お母さんたちは」. 「駅双まで買物だけど、 もう帰るんじゃないかな」. ( 寺内貫太郎 ). 「未亡人会は 男子禁制ですけどね、 私は梅里の老人クラブの 会員で. ・. すからね、 お誘 い して出かけてみましょうかね。 いいえ 、 町内です ょ。. すぐそこですもの、 心配あ りません. ょ。. でも、 初七日がすんだ. ばかりでそんなことをしたら 奥さんが焼餅やくんじゃないでしょう かねえ」. ( 胱惚 の 人 ). 上の例では、 話し手が「の」で. (. わくづけ ) された対象的な 出来事の成立を. 不確かながら 予想、していることを 表現しているのであ って、 否定の意味はない。 「母親がもうすぐ 帰ると思う」「奥さんが 焼餅やくと思う」と 同義であ る。. d.. [推理 ]. 次の「の」も. (. わくづけ ) のはたらきをしていて、 これなしには 文の構造が. 保たれない。 話し手の「推理」のわくづけとでもいったら 「あ の、. いい だろうか。. 奥様は家出をなさったのでしょうか、. われて行方がわからなくなったのでしょうか. それともだれかに 誘 ?. 」. (渦 ). ・人間は、 左右には眼を 配るが、 上へはあ まり注意しないものだ。 窓 からのぞかれ、 見下ろされていたのをこっちが 注意しなかったので. はないか。 ( 渦 ) このほかに、 推量の「∼のだろう」も 同じように話し 手の推量の部分をわ く. づけてさしだすが、 「の」がなくても 文 として成立する。. 「あ した雨がふるんで. しょうか」と「あ した雨がふるでしょうか」にはどんな 違いがあ るの た ろ. 「∼のかもしれない」と「∼かもしれない」、. 「∼のにちがいない」と「∼にち. がいない」にも 同じことがいえる。 この問題はおそらく 話し手の頭の 中でひと. まとめの概念を. (. たばね ). る. 「の」と関連があ りそうだ。 この点については 今. 一 34 一.

(20) 後の課題としたい。 おわりに これまで一枚岩にあ っかわれることの 多かった「のだ」文を、 野田春美は 、. 「ムードの「の た ] 」と「スコープの『の た 』」の らためた。 城. 無、. く. 2. つ にわけ、 従来の認識をあ. 本稿は 、 「ムードの「の た ] 」をさらに、. 説明の構造 ) 0 タイプ、. 「∼のだ」. 文 やく説明され. イプ、 人称性、 テンス、 モダリティなどの 観点から、. く. ). 説明の構造 ) の 有. の文の陳述的な. ( 説明の文 ). と (. タ. 自己主. 張の文 ) にわけ、 それぞれの文の「のだ」の 機能を、 より具体的に 明らかにし. う したものであ よ. と. る。 また、. くわくづけ. ). の「のだ」文は 、 「スコープの. 『のだ』」の 考えに近い。 しかし、 冒頭にのべた. るかは異なっていても、. よ. うに、 これら. 「の」の. (. 3. つの「のだ」文の「の」が 何を束ね. たばれろ. ). というはたらきは、 なんらかの. 形で、 これらすべての「∼のだ」文にのこっていると. (注 ) ". く. 考える。. 説明 ) と ( 説明され ) および ( 説明の構造 ) については、. 奥田靖雄 (1990) 「説明. ( その. 1) 一のだ、 のであ る、 のです. 一」. か. ら 学んだ。. ""Ⅱ、金丸. ( 野田 ). 春美 (1990) 「ムードの「の. 丁日本語学 J 1gg0 vol.9. 一 35 一. た』. と スコープの「の た Ⅱ.

(21) [ 参考文献 ]. 奥田靖雄 (1990). 「説明 ( その. 1) 一のだ、 のであ る、 のです. 『ことばの科学 4J むぎ書房 高木一彦 (1991) 『現代日本語文法論』遣明堂 小金丸春美 (1990) 「ムードの『の 『日本語学』. と スコープの「の た Ⅱ. だ』. 9 一3. 小金丸春美 (1990) 「作文における『の 『日本語教育』. 7 1. た]. の誤用例分析」. 号. 野田春美 (1993) 「『のだ』と 終助詞『の』の 境界をめぐって」 『日本語学』. 1 2 一. 1 0. [ 用例出典 ]. 有吉佐和子「 胱惚 の 人 石川達三「人間の 井上. 」. 壁」. 靖「氷壁」. 向田邦子「寺内貫太郎一家」. 長谷 健. 「あ さくさの子供」. 松本清張「 渦. 」. 一 36 一. 一」.

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参照

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