Structured Clinical Examination)の有用性と今後
の課題:実習後の学習者によるアンケート調査から
著者
上原 明子
雑誌名
佐久大学看護研究雑誌
巻
11
号
1
ページ
73-81
発行年
2019-03
URL
http://id.nii.ac.jp/1050/00000232/
助産学実習前客観的臨床能力試験
(Objective Structured Clinical
Examination)の有用性と今後の課題
―実習後の学習者によるアンケート調査から―
The Usefulness of Objective Structured Clinical Examination before
Clinical Practice and Future Issues
上原 明子
Akiko Uehara
キーワード: 助産学実習,客観的臨床能力試験,OSCE,分娩期,助産学生
Key words : midwifery clinical practice,Objective Structured Clinical Examination,OSCE, delivery stage,nurse-midwifery students
要旨
佐久大学別科助産専攻で、2017 年度前期に開講された科目名「分娩期の診断とケア」におい て、形成的評価の 1 つとして実習前客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination;以下 OSCE)を実施した。実習終了後に学習者による実習前 OSCE の有用性を調 査した結果、学生 14 名中 11 名(78.6%)が「とても役立った」、「やや役立った」と回答し、理由 として記述されていた内容をカテゴリー化したところ、【実習のイメージ化】、【状況判断の重 要性への気づき】、【自己評価の機会】の 3 カテゴリーが抽出された。一方、3 名(21.4%)が「どち らとも言えない」、「あまりそう思わない」と回答し、理由として、【OSCE 場面の想起の困難 さ】、【わからない】の 2 カテゴリーが抽出された。実習前 OSCE の臨床課題として経験したかっ た内容を技能別に分類した結果、知的技能 6 カテゴリー、運動技能 3 カテゴリー、態度技能 1 カテゴリーが抽出された。実習前 OSCE は助産学生にとって有用である一方、臨床課題の設定 や難易度への課題が示唆された。 受付日 2018 年 10 月 1 日 受理日 2019 年 1 月 21 日
Ⅰ.緒言
教育の質的保証の観点から、教育活動の評 価が重要となっている。特に、医療者教育に おいて、評価の位置づけは、専門職として一 定の要件を満たすことを担保する国家資格の 取得に関わることから、その社会的インパク トは大きい。教育活動の一環として、学習者 評価のあり方を模索することは、社会的責任 を果たす一部と言える。 近 年 の 医 療 者 教 育 に お い て は、 能 力 (competence)を基盤とした教育、すなわち Competency-Based Education が 注 目 さ れ、 能力獲得を目指した教育体制の構築が始まり つつある(Harden, Crosby and Davis, 1999; Fullerton, Thompson, and Johnson;2013)。 中でも、Miller(1990)は、医療者の臨床能力 を評価する際に、評価対象となる能力を 4 層 に区分し(図 1)、能力別の評価方法を提示し ている。 筆者は、佐久大学別科助産専攻(以下、本 学別科助産専攻)で 2017 年度前期に開講され た科目において、2017 年度の助産学実習前 に客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination; 以 下、OSCE)を 実 施 した。これは、前述の Miller による評価区分 の「Performance」に該当する評価方法である。 本 稿 で は、 実 習 後 の 学 習 者 か ら の 実 習 前 OSCE の評価を踏まえ、実習前 OSCE の有用 性と今後の課題について報告する。Ⅱ.実習前OSCEの組み立て
1.位置付け 実習前 OSCE は、筆者が科目責任者を務め る前期開講の科目名「分娩期の診断とケア」 (必修・2 単位 60 時間)で実施された。本科目 は、分娩期で助産過程を展開する能力である 知識・技術・態度を養うことを目的として、 5 つの学習目標(1.分娩の 4 要素[産道、娩出 力、娩出物、産婦の精神状態]と 4 要素への 影響因子から、分娩機転を説明できる。2. 模擬事例を用い、分娩期の助産過程が展開で きる。3.分娩介助に必要な環境整備を実行 できる。4.仰臥位分娩介助を手順通りに実 行できる。5.シミュレーションにおいて、 図1 Miller のピラミッド <ビ౮ᑊ㇗䛮䛟䜑⬗ງ> <ビ౮᪁Ἢ> Mini-CEX, タ⒢䛴䝗䝋䜮ビ౮, DOES (Action) , , 䝡䞀䝌䝙䜭䝮䜮, PRIME䛰䛯 SHOWS HOW (Performance) ᐁᢇム㥺, OSCE, SP, 䜻䝣䝩䝰䞀䝃䞀䛰䛯 (Performance) KNOWS HOW ➱エム㥺䜊CBT䛴ౚၡ㢗, (Competence) 䜷䝷䝘䝩䞀䝃䜻䝣䝩䝰䞀䜻䝫䝷䛰䛯 KNOWS (Knowledge) ➱エム㥺, CBT䛰䛯 ฝ䠌ኬ⣟ྒྷ⥽䟺2007䟻. OSCE䛴⌦ㄵ䛮ᐁ㝷, 4, ⠓ཋฝ∟᩺♣; ᮶ா.状況認識・実践できる)を掲げていた。実習 前 OSCE は、学習目標 5.「シミュレーション において、状況認識・実践できる」がどの程 度達成されているかについて測定するための 形成的評価として実施された。実施時期は、 実習前の 8 月下旬であった。 2.臨床課題の設定 医学教育で展開される OSCE の臨床課題は、 試験目的や、保健サービス統計のデータを基 に作成された配分比率などから作成される、 いわゆるブループリントに基づき設定される。 しかし、我が国において、助産領域における ブループリントは作成されていない。そこで、 科目責任者を含む本学別科助産専攻専任教員 4 名で、臨床課題の検討を重ねた。臨床課題 を設定するにあたり、3 つの視点からの設定 を試みた。1 つ目は、全学生が助産学実習を 通じて経験し得る状況設定であること、2 つ 目は、形成的評価の観点から、助産学実習前 の学生として、何をどの程度実践できること が望ましいのか、という視点からである。3 つ目は、実行可能性という観点から、時間数 や模擬患者の用意等から検討した。その結果、 臨床課題として、「外診から内診の必要性を 判断する」場面を抽出し、臨床設定として、 「初産婦、分娩第 1 期から第 2 期移行期におけ る子宮口全開大と分娩室入室判断の必要性の 予測」とした。当該科目のシナリオシミュレ ーション演習で学習した臨床課題を基盤とし て、一部シナリオに修正を行う形で臨床事例 を作成した。具体的な臨床事例の内容を図 2 に示す。 3.評価指標とフィードバックの設定 評価指標は、当該科目のシナリオシミュレ ーション演習で学生に提示した学習目標に基 づく評価指標の表現を一部修正した形で作成 した。また、各学習目標および各評価指標に 基づき、フィードバック内容を事前に設定し た。学習目標、フィードバックを表 1 に、評 価指標を表 2 に示す。 4.実習前 OSCE のスケジュール 1)学生への事前周知 実習前 OSCE の実施については、合計 2 回 図2 臨床事例と課題 【産婦情報】 【状況設定】 この施設では、陣痛室と分娩室が別室になっています。 あなたは、陣痛開始から継続して受け持ちしており、実習の受け入れは良好です。現在、浅田さんは、陣痛室にいます。 家族の付き添いはありません。臨床指導者はナースステーションにいて、これからあなたは 1 人で浅田さんのベッドサイドに行きます。 現在、陣痛開始から 14 時間経過しています。これまでの経過は母子ともに順調です。 バイタルサインも正常に経過しており、15 分前のバイタルサインも正常でした。 2 時間前の陣痛発作 60 秒、陣痛間欠 1 分 30 秒、内診所見は、子宮口 8 ㎝開大、eff90%、st+1、前方、軟、血性分泌物は増量し、 未破水の状態でした。 浅田さんは、1 時間前にトイレ歩行し、その後CTGにて継続モニタリングが行われています。CTG所見:別添。 【課題1】 5 分間で、以下のことを行いなさい(デスクワーク)。 1.上記の情報から、現在のベッドサイドにおける浅田さんの状態(分娩進行状態)を予測しなさい。 2.上記 1 で予測した状態から、ベッドサイドにおけるあなたの行動計画を立案しなさい。 【課題2】 5 分間の試験時間中に、以下のことを行いなさい(シミュレーション)。 1.浅田さんの状態に合わせて、優先順位に沿って行動しなさい。 浅田街子さん、34 歳。1 妊 0 産、既往歴:喘息。感染症なし。妊娠経過異常なし。身長 158 ㎝、非妊時体重 52 ㎏、 妊娠中の体重増加量 +10 ㎏、最終EFBW2894g(39 週 0 日)。本日 39 週 2 日、陣痛開始にて入院しています。
表2 評価指標 □優先順位を用いて、産婦の外診ができる(以下の優先順位で外診しているか否か) 1.表情―苦悶様表情であることを産婦に伝えている □ □ 2.呼吸―努責感の有無を産婦に伝えている □ □ 3.肛門圧迫感―肛門部を触診している(衣類の上からで良い) □ □ 4.血性分泌物―左側臥位の状態でパット内を視診している □ □ 5.陣痛―陣痛発作・間欠について腹壁を触診している(直接腹壁の触診) □ □ □胎児心音聴取し、評価できる 6.胎児心音―CTG 音を聴診し、産婦に胎児の健康状態を伝えている □ □ □外診結果(母児)から、内診の必要性を判断できる 7.内診の必要性があることを産婦に伝えている □ □ □その場を離れずに、ナースコールで臨床指導者を呼ぶことができる 8.ナースコールで臨床指導者を呼んでいる □ □ □陣痛周期のある産婦へ配慮できる 9.産痛に配慮している □ □ 10.肯定的な声掛けを行っている □ □ できた 1点 できない 0点 点 合計10点満点 表1 実習前 OSCE における学習目標とフィードバックガイド 【臨床課題】 外診から内診の必要性の判断(初産婦:分娩第 1 期∼第 2 期移行期における子宮口全開大・分娩室入室の必要性 の予測) ●目標行動 ●フィードバックガイド 1.これまでの経過から分娩進行状態 を予測できる □ これまでの経過から今現在、産婦がどのようになっていると予測しましたか? □ なぜそのような予測になりましたか? □ うまくいったと思う予測は何でしたか? □ どんな予測が必要だったと思いますか? 2.予測に基づく行動計画を優先順位 を用いて立案できる □ 予測を踏まえて、ベッドサイドでの行動計画をどのように立てましたか? □ なぜその優先順位になると考えましたか? 3.優先順位を用いて、産婦の外診が できる □ 実際にベッドサイドへ行った時、浅田さんはどんな状態でしたか? □ あなたは、浅田さんのその状態をどの優先順位で観察しましたか? □ 事前に自分が立てた予測と比較して、ベッドサイドにおける浅田さんの状態は どうでしたか? □ 行動を修正した点は何ですか? □ 外診で上手くいったところはどこですか? □ どこを改善すれば次回はもっとよくなりますか? 4.胎児心音聴取し、評価できる □ ベッドサイドにおける胎児の健康状態はどんな状態でしたか? □ 胎児のその状態から、何を考えましたか? □ 胎児のその健康状態から、何を判断しましたか? 5.外診結果(母児)から、内診の必要 性を判断できる □ 得られた情報を統合して、あなたは何を考えましたか? □ 得られた情報を統合して、あなたは何を判断しましたか? 6.その場を離れずに、ナースコール で臨床指導者を呼ぶことができる □ あなたはその判断から何を行いましたか? □ なぜ、その行動をとりましたか? □ どこがうまくいきましたか? □ どの行動を改善すれば、次回はもっとよくなりますか? 7.陣痛周期のある産婦へ配慮できる □ ベッドサイドに行ってみて、浅田さんにどんな配慮が必要だと考えましたか? □ あなたは浅田さんにどのような配慮をしながら情報収集を行いましたか? □ 分娩進行状態を判断しながら、産婦に対してどのような配慮ができますか? □ 産婦役の人は、助産学生に対してどのようなことを感じましたか?
学生に周知した。1 回目は、当該科目の第 1 回開講時の科目オリエンテーション時に文書 および口頭にて、実施目的を説明した。2 回 目の周知は、実習前 OSCE 実施の 3 週間前に 行い、試験目的と評価の視点、出題範囲、評 価者、試験時間の説明を文書および口頭で行 った。 2)当日 試験時間は、1 人合計 30 分とし、内訳とし て、設定の読解とアセスメント 5 分、シミュ レーション 5 分、フィードバック 10 分、片付 け・準備 10 分を設定した。学生人数が 14 名 であり、時間的制限の都合上、1 日で実施す ることが困難であった。したがって、同一条 件下で 2 日間にわたり各 7 名ずつの試験を実 施した。
Ⅲ. 実習後の学習者による実習前OSCE
に対するアンケート調査
1.アンケート調査の実施概要 1)実施方法 助産学実習の全科目終了後に、文書および 口頭にてアンケート協力を依頼した。その際、 アンケートへの協力は個人の自由意思に基づ き、個人が特定されることはなく、回答の有 無や回答内容は成績評価に一切影響しないこ とを説明した。回答方法は、オンライン回答 または調査用紙への記入とした。調査期間は 2017 年 12 月 11 日から 12 月 14 日までとした。 2)調査項目 調査項目は、実習前 OSCE の有用性として、 「実習前 OSCE は実習に役立ったと思うか?」 を「とてもそう思う(5)」から「まったくそう思 わない(1)」の 5 段階評価を用いて問い、その 回答理由を尋ねた。また、「実習を終えてみ て、OSCE で取り上げて欲しかったと思う場 面は何か」を自由記述で尋ねた。 3)分析方法 分析方法は、実習前 OSCE の有用性につい ては、5 点から 1 点として、記述統計量を算 出した。自由記述については、意味内容別に 分類した。「実習を終えてみて、OSCE で取 り上げて欲しかったと思う場面」については、 ガニエによる技能分類別に分類した。 2.アンケート調査の結果 14 名全員から回答を得た。以下に、実習 前 OSCE の有用性と実習前 OSCE で経験した かった臨床課題の結果を示す。 1)実習前 OSCE の有用性 実習前 OSCE の有用性についての回答の平 均値は 5 点満点中 3.93±1.00 点で、11 名(78.6 %)が「とても役立った」、「やや役立った」と 回答し、3 名(21.4%)は「どちらともいえな い」、「あまり役立たなかった」と回答してい た。 それぞれの回答理由として、13 名の記述 を認め、1 名は記述を認めなかった。記述内 容を【カテゴリー別(抽出コード数)】に分類し た結果を表 3 に示す。「とても役立った」、「や や役立った」と回答した理由では、【実習のイ メージ化(3)】、【状況判断の重要性への気づ き(3)】、【自己評価の機会(4)】の 3 つのカテ ゴリーが抽出された。「どちらとも言えない」、 「あまりそう思わない」に回答した理由では、 【OSCE 場面の想起の困難さ(2)】、【わからな い(1)】の 2 つのカテゴリーが抽出された。 2)実習前 OSCE で経験したかった臨床課題 実習終了時点において、実習前 OSCE で経 験したかったと思う臨床課題の回答では、14 名全員が記述していた。記述内容を技能別・ 【カテゴリー別(抽出コード数)】に分類した結 果を表 4 に示す。知的技能には、【受け持ち 開始時の判断(2)】、【内診時期の判断(4)】、 【分娩物品展開時期の判断(3)】、【分娩室移室 時期の判断(2)】、【呼吸法選択の判断(1)】、 【外陰部消毒時期の判断(2)】の 6 カテゴリー が分類された。運動技能には、【呼吸法の実 践(1)】、【臍帯巻絡時の実践方法(2)】、【異常表3 実習前 OSCE の有用性に関する回答理由 実習前では思い付かないような産婦さん役で実習に行く前にイメージを付けることができた。 実際の場面を想像できた。 実習の場でも 、 その場でアセスメントを求められた 。 その時その時の考えを瞬時にまとめ伝え実践していかねばならないため 、 OSCE の経験を持って実習場に行ったことは、流れのイメージをつかめてたのでやりやすかった。 実習中に必ず経験する内容であり、とても勉強になった。しかし、その場面のみで判断するのは実習前の段階ではちょっと難しか った。 演習なども行なったが、実際に臨床に近い母体を目にしたら、また状況や判断の仕方も全く異なるし、できなかったにしても得ら れるものも非常に多くあった。 演習では、 例えば分娩進行を判断するのに色々確認して項目すべてが揃ったら内診することを判断するように練習を重ねてきたが、 OSCE で臨床の瞬時の判断の大切さを知ることができた。 自分がどういう傾向に陥りやすいのかを知るのに役立った。 自分のアセスメント力が明らかになり実習に向けての課題は何か考えるきっかけだった。OSCE が何かも解らなかったレベルの私 には、緊張もあり、興味深く、楽しかった。分娩介助技術の基本をイヤと言うほど練習出来た。 臨床に行く前に、自分の不足や実習における態度など、指摘を受けることで、改善して臨めるので良いと思った。 臨床に近いことを体験し、 “試験に受からなきゃいけない” という緊張感でより自分自身ががんばれた。 OSCE でやった場面を実習でほとんど経験しなかった。OSCE で取り上げなくても 10 例の中で経験して判断できるようになれば 良いのではないかと思った。 似たような事例には当たってはいたけど、思い出さなかったから。 試験に向け、練習をしなければならないと、切羽詰まりつつ、練習ができるが、実際の試験を受けて、実習に関連付けて、イメー ジできたかと言われると、分からなかった。 わからない OSCE場面の想起の困難さ 実習のイメージ化 状況判断の重要性への気づき 自己評価の機会 回答理由 カテゴリー ﹁とてもそう思う﹂・﹁ややそう思う﹂の回答理由 ﹁どちらとも言えない﹂・ ﹁あまりそう思わない﹂ の回答理由 内容 (原文を常体文に統一した)
表4 技能別・カテゴリー別に分類した実習前 OSCE で経験したかった臨床課題 内容 (原文を常体文に統一し、 一部の表現を追記した) カテゴリー 技能 電話対応から入院してきた時点での情報収集を何からするのか、 初期計画の立て方など。 入院時の判断 内診の判断時期 経過を踏まえた内診のタイミング 内診のタイミング 内診のタイミング 物品展開のタイミング 経過を踏まえた物品の展開の判断 物品展開の判断 (分娩室) 移室の判断 移室のタイミング 呼吸法選択の判断 正常心拍のときの呼吸法を変える判断 外陰部消毒の判断時期判断 外陰部消毒の判断 努責の支援 呼吸法の実践 臍帯巻絡あり 臍帯巻絡 (の対応) 回旋異常や会陰切開時 (の対応) 回旋異常や胎児心音の低下など、 異常な状態の具体的な対応方法 (パニックで) 説明が伝わらない人への対応 パニックの人 (への対応) 休息は十分にとっていて、 運動などの促進を行なっていきたいが、 母親が痛がって動きたがらない時の対応など 分娩体位を取った後、 腰痛の訴えが強く発作時に体が上に上がり、 腰が浮いてしまい怒責が上手にかけられず、 うまく努責がかけられないことを申し訳ないと謝り続ける産婦 (への対応) 態度技能 運動技能 受け持ち開始時の判断 内診時期の判断 分娩物品展開時期の判断 分娩室移室時期の判断 外陰部消毒時期の判断 臍帯巻絡時の実践方法 異常時対応の実践 様々な産婦への対応 知的技能
時対応の実践(2)】の 3 カテゴリーが分類され た。態度技能には、【様々な産婦への対応 (4)】の 1 カテゴリーが分類された。
Ⅳ.考察
本稿の目的は、本学別科助産専攻 2017 年 度前期開講科目の「分娩期の診断とケア」にお いて実施された実習前 OSCE に対する評価と して、実習後の学習者にアンケート調査を行 い、実習前 OSCE の有用性と今後の課題につ いて報告することであった。実習前 OSCE の 有用性については、78.6%の学習者が有用で あったと回答しており、実習前 OSCE の有用 性が示唆された。この要因として、形成的評 価の位置づけとして実施された実習前 OSCE は、学生にとって実習そのものをイメージす る機会となり得たこと、また、自己評価の機 会となり得たことが挙げられる。一方で、 「難しかった」と難易度についての回答や、状 況設定についての回答が得られた。また、実 習前 OSCE で経験したかった臨床課題として、 多岐に渡る内容が記述されていたことから、 今後の課題として、以下 2 点から考察する。 1.臨床課題の精緻化 医学教育で OSCE を設定する際に用いられ ているブループリントは、助産領域において は存在しないことから、今回筆者は、専任教 員同士による検討から臨床課題を設定した。 しかし、今後は、助産領域におけるブループ リントを作成し、客観的データに基づく、臨 床課題を設定する必要性がある。ブループリ ント作成においては、保健統計データのみな らず、学生が実習中に経験した分娩介助実習 の状況を量的および質的に把握することが重 要であると考えらえる。加えて、日本の助産 師が必須の能力として身につけておくべきも のとして示されるコア・コンピテンシー(日 本助産師会, 2012)や助産師教育のコア内容 におけるミニマム・リクワイアメンツの項目 と例示(全国助産師教育協議会, 2012)、さら には本学別科助産専攻におけるカリキュラ ム・ポリシーやディプロマ・ポリシーとの位 置づけを検討してく必要があると考えられる。 2.試験運営の組織化 実習後の学習者は、実習前 OSCE において、 多岐に渡った設定を望んでおり、多くの技能 についての評価を望んでいることが示唆され た。多くの臨床課題を設定する場合、OSCE のシナリオや評価指標の作成、より多くの評 価者や模擬患者が必要となることから、組織 的に OSCE を運営していくことが必須となる。 加えて、2017 年度においては、筆者が科目 責任者を務めた科目でのみ OSCE を実施した が、カリキュラム全体の中で実習前 OSCE の 位置づけを検討した上で、遂行のための役割 等をさらに検討していく必要がある。謝辞
アンケートにご協力いただきました助産学 生の皆様と模擬産婦役の皆様に深謝致します。 本稿の一部は、第 59 回日本母性衛生学会総 会・学術集会において発表した。本稿におい て開示すべき COI はない。文献
Fullerton J.T., Thompson J., and Johnson P. (2013). Competency-based education:The essential basis of pre-service education for the professional midwifery workforce. Midwifery, 29, 1129-1136.
Harden R.M., Crosby J.R., and Davis M.H. (1999). AMEE Guide
NO.14:Outcome-based education:Part1-An introduction to Outcome-based education. Medical Teacher, 21(1), 7-14.
Miller GE.(1999). The assessment of clinical s k i l l s / c o m p e t e n c e / p e r f o r m a n c e . Academic Medicine 65(9), 63-67. 日本助産師会(2012).助産師の声明/コア・ コンピテンシー.日本助産師会出版;東京. 全国助産師教育協議会(2012).助産師教育の コア内容におけるミニマム・リクワイアメ ンツの項目と例示 Vol.2(2012-),2018/10/ 01,http://www.zenjomid.org/activities/ img/min_require_h25.pdf