財団法人福岡県産業・技術振興財団

財団法人福岡県産業・科学技術振興財団

産 学 官 共 同 研 究 開 発 事 業

研究成果報告書

乳酸菌と福岡県特産野菜の出会い～

高速・高効率乳酸発酵技術を用いた

多機能性食品の開発

（平成

14 年度～平成 16 年度）

目 次

【研究総括】 乳酸菌と福岡県特産野菜の出会い～ 高速・高効率乳酸発酵技術を用いた多機能性食品の開発 九州大学大学院農学研究院 教授 園元謙二 【研究報告】 １．アブラナ科野菜を用いた乳酸発酵液の開発 １－１ 野菜由来有用乳酸菌の分離・同定 九州大学大学院農学研究院生物機能科学部門 １－２ アブラナ科野菜の品種比較・選定 福岡県農業総合試験場食品流通部 １－３ 乳酸発酵液の抗酸化性 株式会社九州メディカル １－４ 乳酸発酵液のアンギオテンシンⅠ変換酵素阻害能 福岡県農業総合試験場食品流通部 １－５ 乳酸発酵液のγ－アミノ酪酸含有量 福岡県農業総合試験場食品流通部 １－６ 乳酸発酵液の動物実験 一番食品株式会社

１－７ 乳酸発酵条件の検討 九州大学大学院農学研究院生物機能科学部門 株式会社九州メディカル １－８ 原料野菜および乳酸発酵液の安定性 福岡県農業総合試験場食品流通部 ２．乳酸発酵液を利用した機能性食品の開発 ２－１ 機能性食品の製造技術の確立 株式会社やまやコミュニケーションズ 一番食品株式会社 ２－２ 機能性食品の機能性評価 福岡県農業総合試験場食品流通部 【成果実績】

研究総括

九 州 大 学 大 学 院 農 学 研 究 院 教 授 園 元 謙 二 １ ． 研 究 開 発 の 目 的 １ － １ 研 究 開 発 の 概 要 機 能 性 成 分 を 豊 富 に 含 む 福 岡 県 特 産 野 菜 を 用 い た 、新 奇 な 乳 酸 菌 に よ る 高 速 ・ 高 効 率 乳 酸 発 酵 技 術 を 確 立 し 、 抗 ガ ン 作 用 、 血 圧 降 下 作 用 な ど の 生 体 調 節 機 能 を 強 化 し た ユ ニ ー ク で 美 味 し い 食 品 の 開 発 を 行 う 。 プ ロ ジ ェ ク ト 連 携 図 １ － ２ 達 成 目 標  機 能 性 を 指 標 と し た 新 奇 乳 酸 菌 の 選 抜 ・ 同 定  発 酵 に 用 い る 福 岡 県 産 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の 品 種 比 較 ・ 選 定  福 岡 県 特 産 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の 乳 酸 発 酵 液 の γ -ア ミ ノ 酪 酸（ GABA）含 有 量 お よ び 機 能 性 評 価  福 岡 県 特 産 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の 乳 酸 発 酵 液 を 用 い た 食 品 試 作 と 機 能 性 評 価 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の 選 定 機 能 性 食 品 開 発 高 速 ・ 高 効 率 な 乳 酸 発 酵 シ ス テ ム 事 業 化 抗 酸 化 性 血 圧 降 下 作 用 G A B A 含 量 ・ 知 的 所 有 権 の 取 得 ・ 製 品 の 製 造 販 売 ・ 発 酵 シ ス テ ム の 応 用 展 開 ふ く れ ん 原 料 九 州 大 学 委 託 動 物 実 験 一 番 食 品 九 州 メ デ ィ カ ル 福 岡 農 総 試 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 を 用 い た 乳 酸 発 酵 液 の 開 発 高 速 ・ 高 効 率 乳 酸 発 酵 シ ス テ ム の 構 築 乳 酸 発 酵 液 を 利 用 し た 機 能 性 食 品 の 開 発 機 能 性 評 価

２ ． 成 果 概 要  野 菜 を 分 離 源 と し て カ タ ラ ー ゼ 陰 性 ・ 酸 生 成 能 を 有 す る 263 菌 株 を 分 離 し た 。 福 岡 県 特 産 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 培 地 を 用 い て 発 酵 さ せ た 検 体 1078 サ ン プ ル の 抗 酸 化 活 性 を 評 価 し た 結 果 、標 準 乳 酸 菌 株(Lactobacillus plantarum JCM1057 株 )と 同 等 あ る い は そ れ 以 上 の 抗 酸 化 活 性 を 持 つ 147 サ ン プ ル 73 菌 株 を 選 抜 し た 。73 株 中 52 菌 株 が 対 糖 乳 酸 収 率 50%以 上 で あ り 、一 次 候 補 乳 酸 菌 と し た 。そ れ ら の 菌 株 か ら 、ア ン ジ オ テ ン シ ン Ⅰ 変 換 酵 素（ACE） 活 性 阻 害 能 が 高 く 、GABA 生 産 性 に 優 れ た 6 菌 株 を 選 抜 し た 。16S rDNA シ ー ケ ン ス 解 析 及 び 糖 類 発 酵 性 試 験 を 行 っ た 結 果 、Enterococcus 属 3 株 、 Lactobacillus brevis 2 株 、 Carnobacterium 属 1 株 を 同 定 し た 。 試 作 品 開 発 に あ た っ て は 食 品 へ の 適 用 面 か ら Lb. brevis を 中 心 に 試 験 を 進 め た 。  GABA 及 び そ の 前 駆 物 質 で あ る グ ル タ ミ ン 酸 の 含 有 量 が 多 く 、 ACE 活 性 阻 害 能 が 高 い 、 か つ お 菜 、山 汐 菜 、三 池 高 菜 の 3 品 種 を 選 定 し 、乳 酸 発 酵 に よ る GABA 増 加 率 の 高 い 三 池 高 菜 、 次 い で 山 汐 菜 の 2 品 種 を 最 終 選 定 し た 。  抗 酸 化 性 に よ り 一 次 選 抜 さ れ た 73 菌 株 中 、か つ お 菜 で 24 菌 株 、山 汐 菜 で 21 菌 株 、三 池 高 菜 で 28 菌 株 の GABA 生 産 能 が 高 く 、 か つ ACE 阻 害 能 が 高 い こ と が 明 ら か と な っ た 。  野 菜 の 乳 酸 発 酵 液 へ の 加 熱 処 理 及 び 甘 味 と 旨 味 に よ る 調 整 が 発 酵 液 の 酸 味 ・ 苦 味 ・ 青 臭 み を 抑 え る こ と が 明 ら か と な っ た 。 野 菜 の 乳 酸 発 酵 液 を 添 加 し た 食 品 （ ﾄﾞﾚｯｼﾝｸﾞ・ ス ー プ ）を 試 作 し た と こ ろ 、最 大 70％ ま で 発 酵 液 添 加 が 可 能 で あ っ た 。乳 酸 発 酵 液 を 添 加 し た ス ー プ 試 作 品 の 機 能 性 評 価 を 行 っ た と こ ろ 、発 酵 液 の 添 加 割 合 が 高 い ほ ど ACE 阻 害 能 が 高 く 、 機 能 性 が 維 持 さ れ る 事 が 示 さ れ た 。  三 池 高 菜 の 乳 酸 発 酵 液 の 特 長 を 活 か し た 「 高 菜 ピ ラ フ 用 混 ぜ ご 飯 の 素 」 と 発 酵 臭 や え ぐ み を マ ス キ ン グ し た「 高 菜 ド ラ イ カ レ ー 」を 開 発 し た 。こ れ ら の 試 作 品 は 発 酵 液 を 25～ 30％ 程 度 配 合 し て お り 、 GABA 量 と し て 一 食 あ た り 15～ 35 mg を 含 有 し 、 血 圧 降 下 作 用 が 期 待 さ れ る 。乳 酸 発 酵 物 を 直 接 添 加 し た こ と に よ り 発 酵 残 渣 中 の GABA や 他 の 新 規 機 能 性 物 質 に よ る 効 果 も 期 待 さ れ る 。  乳 酸 発 酵 液 を 添 加 し た ド ラ イ カ レ ー 試 作 品 は 、 発 酵 液 を 添 加 し て い な い も の よ り も GABA 含 有 量 お よ び ACE 活 性 阻 害 能 が 高 く 、機 能 性 が 維 持 さ れ る こ と が 明 ら か と な っ た 。 ３ ． 事 業 化 に 向 け た 取 り 組 み （ 今 後 の 展 望 ） 福 岡 県 特 産 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 を 加 工 用 原 料 と し て 契 約 栽 培 す る こ と で 、輸 入 農 産 物 や 産 地 間 競 争 に 負 け な い 産 地 化 を 行 う 。 ま た 、 乳 酸 発 酵 を 行 う こ と に よ り ブ ラ ン ド 化 を 目 指 す 。 本 成 果 を も と に 通 信 販 売 に て テ ス ト 販 売 を 行 い 、 味 の 改 良 、 市 場 性 の 調 査 を 行 う 。 各 製 品 と も に １ 年 後 に は 年 間 １ 万 食 の 販 売 を 目 指 す 。 ま た 、 平 成 １ ４ 年 ～ １ ５ 年 度 の プ ロ ジ ェ ク ト メ ン バ ー で あ る 「 ㈱ や ま や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ 」 に よ る 店 舗 販 売 、 通 信 販 売 に よ る 市 選 定 さ れ た 福 岡 県 特 産 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 か つ お 菜 山 汐 菜 三 池 高 菜

場 拡 大 も 行 い 、 年 間 １ ０ 万 食 の 販 売 を 目 指 す 。 ド ラ イ カ レ ー （ 左 ） と 高 菜 ピ ラ フ （ 右 ） ４ ． 成 果 の 市 場 性 ・ 優 位 性 本 事 業 の 成 果 で 得 ら れ る 、新 奇 で 優 れ た 特 性 を も つ 乳 酸 菌 や 新 た な 機 能 性 を 示 す 生 理 活 性 物 質 は「 健 康・自 然 志 向 」「 効 果 が 明 確 」「 多 機 能 性 」「 汎 用 性 が 広 い 」な ど の 数 々 の 利 点 を 持 つ 事 か ら 、 レ ト ル ト 食 品 の 市 場 の み な ら ず 他 食 品 分 野 へ の 技 術 移 転 に よ っ て 大 き な 利 益 を 生 む こ と が 期 待 さ れ る 。 ５ ． 成 果 の 地 域 経 済 及 び 関 連 分 野 へ の 波 及 効 果 市 場 規 模 が 大 き な 機 能 性 食 品 の 原 料 と し て 大 量 の ア ブ ラ ナ 科 野 菜 が 必 要 と な る た め 、 地 域 農 業 の 活 性 化 と 産 地 化 が 可 能 と な る 。 本 事 業 の 成 果 物 で あ る 乳 酸 発 酵 液 、 あ る い は 発 酵 物 を 利 用 し て 、 地 場 産 業 が 食 品 開 発 を 積 極 展 開 す る こ と に よ り 、 福 岡 県 独 自 の 加 工 食 品 の 創 出 ・ 地 域 産 業 の 活 性 化 を 促 す 事 が 出 来 る 。 更 に 本 成 果 物 は 幅 広 い 食 品 分 野 へ の 技 術 移 転 が 可 能 で あ る 事 か ら 、新 規 の 機 能 性 健 康 食 品・飲 料 と し て 多 岐 に 渡 り 利 益 獲 得 が 可 能 と な る 。 事 業 化 計 画 の ス キ ー ム 通 信 販 売 事 業 で の 展 開 広 告 媒 体 イ ン タ ー ネ ッ ト 店 舗 販 売 広 告 ・ 販 売 媒 体 一 番 食 品 製 造 工 場 一 番 食 品 通 信 販 売 事 業 部 や ま や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ 商 品 開 発 ・ 製 造 ユ ー ザ ー の 動 向 一 般 消 費 者 ・ 食 品 業 界 商 品 注 文 商 品 発 送 商 品 購 入 九 州 大 学 福 岡 県 農 総 合 試 験 場 商 品 開 発 支 援 技 術 ア ド バ イ ス 九 州 メ デ ィ カ ル 原 料 供 給

１．アブラナ科野菜を用いた乳酸発酵液の開発

１－１野菜由来有用乳酸菌の分離・同定

九 州 大 学 大 学 院 農 学 研 究 院 生 物 機 能 科 学 部 門 助 手 小 林 元 太 １ － １ － １ プ ロ ジ ェ ク ト 全 体 に 於 け る 本 研 究 開 発 部 分 の 位 置 付 け と 目 的 乳 酸 菌 の 生 理 作 用 に つ い て は 、 整 腸 作 用 、 免 疫 機 能 の 向 上 、 抗 が ん 作 用 、 血 圧 降 下 作 用 な ど が 、ア ブ ラ ナ 科 野 菜 に つ い て は 各 種 ビ タ ミ ン や 豊 富 な ア ミ ノ 酸 含 量 、抗 酸 化 作 用 、 抗 が ん 作 用 を 持 つ 事 が 知 ら れ て い る 。 本 課 題 で は 福 岡 県 特 産 野 菜 を 原 料 と し て 発 酵 し 、 か つ 機 能 性 が 高 い 発 酵 液 を 得 る こ と が 可 能 で 安 全 な 乳 酸 菌 の ス ク リ ー ニ ン グ を 行 い 、 そ の 同 定 を 行 っ た 。 １ － １ － ２ 目 的 と 目 標 福 岡 県 農 業 総 合 試 験 場 に て 選 定 さ れ た 、 福 岡 県 特 産 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 を 分 離 源 及 び 発 酵 原 料 と し て 用 い 、 効 率 的 な 乳 酸 発 酵 を 行 う 事 が 可 能 な 乳 酸 菌 を 探 索 す る 事 を 目 的 と し 、 ス ク リ ー ニ ン グ を 実 施 、 そ の 同 定 及 び 溶 血 性 試 験 に よ る 安 全 性 評 価 を 行 っ た 。 １ － １ － ３ 実 験 方 法 及 び 実 験 条 件 (1)酸 生 成 菌 の 集 積 培 養 分 離 源 で あ る 野 菜 を MRS 液 体 培 地 に 浸 し 、 30℃ で 2-3 日 間 、 集 積 培 養 を 行 い 、 更 に そ の 培 養 液 を CaCO3含 有 MRS 平 板 培 地 上 に 接 種 し 30℃ で 2-3 日 間 培 養 を 行 っ た 。 更 に ク リ ア ゾ ー ン 形 成 コ ロ ニ ー を 釣 菌 し MRS 液 体 培 地 に て 30℃ で 2-3 日 間 培 養 を 行 い 、 遠 心 分 離 処 理 に よ り 上 清 を 取 り 除 い た 後 、 菌 体 に 3％ 過 酸 化 水 素 水 を 滴 下 し カ タ ラ ー ゼ 試 験 を 行 っ た 。 (2)乳 酸 菌 と し て の 判 別 選 抜 し た 菌 株 を MRS 培 地 に て 発 酵 さ せ た 後 に 、 消 費 糖 量 と 生 成 乳 酸 量 か ら 対 糖 乳 酸 収 率 を 算 出 し 、 50％ 以 上 の も の を 乳 酸 菌 と 判 別 し た 。 (3)糖 濃 度 と 生 産 物 濃 度 測 定 糖 お よ び 発 酵 物 濃 度 は 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に て 測 定 し た 。 測 定 条 件 は 以 下 の 通 り で あ る 。 カ ラ ム ： Shodex Sugar SH1011 移 動 相 ： 3mM HClO4 流 速 ： 1.0 ml/min 温 度 ： 50℃ (4)菌 株 の 同 定 糖 発 酵 性 試 験 API50 キ ッ ト と 16S rDNA シ ー ケ ン ス 解 析 に よ り 菌 株 の 同 定 を 行 っ た 。

(5)溶 血 性 試 験 緬 羊 血 液 平 板 培 地 及 び 馬 血 液 平 板 培 地 上 に 各 菌 株 を 穿 刺 し 、37℃ で 48 時 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し て ク リ ア ゾ ー ン の 有 無 に よ る 溶 血 性 を 判 断 し た 。 １ － １ － ４ 実 験 結 果 (1)野 菜 を 分 離 源 と し た 乳 酸 菌 の 分 離 野 菜 を 分 離 源 と し て 、 炭 酸 カ ル シ ウ ム 含 有 MRS 培 地 上 に ク リ ア ゾ ー ン を 形 成 す る 菌 株 を 選 抜 し 、 過 酸 化 水 素 水 に よ る カ タ ラ ー ゼ 試 験 を 行 っ た 結 果 、 カ タ ラ ー ゼ 陰 性 ・ 酸 生 成 能 を 有 す る 263 菌 株 を 分 離 し た 。 (2)発 酵 液 の 機 能 性 評 価 福 岡 県 特 産 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 で あ る 山 汐 菜 、 か つ お 菜 、 三 池 高 菜 、 大 児 菜 、 ぴ り か ら 菜 を 原 料 と し て 培 地 を 調 製 し 、 分 離 菌 263 株 に よ る 発 酵 液 を 作 成 、 抗 酸 化 活 性 を 九 州 メ デ ィ カ ル に 測 定 依 頼 し た 。 そ の 結 果 、 標 準 菌 株 で あ る Lactobacillus plantarum JCM 1057 と 同 等 か そ れ 以 上 の 抗 酸 化 活 性 を 示 す 147 サ ン プ ル・73 菌 株 を 選 抜 し た（ １ － ２ 章 を 参 照 ）。 (3)対 グ ル コ ー ス 乳 酸 収 率 評 価 上 記 73 菌 株 中 52 菌 株 が 50%以 上 の 対 グ ル コ ー ス 乳 酸 収 率 で あ っ た 。 (4)分 離 菌 株 の 絞 り 込 み 分 離 し た 52 株 の 乳 酸 菌 の う ち 、 血 圧 降 下 作 用 （ ア ン ジ オ テ ン シ ン Ⅰ 変 換 酵 素 阻 害 活 性 ） 及 び γ-ア ミ ノ 酪 酸 生 産 能 か ら 、 球 菌 ya2、 球 菌 d3-10、 球 菌 ps2-3、 桿 菌 sh7、 桿 菌 km1-7、 桿 菌 kk1 を 選 抜 し た （ １ － ３ 章 を 参 照 ）。 (5)菌 株 の 同 定 球 菌 ya2 株 、 球 菌 d3-10、 球 菌 ps2-3、 桿 菌 sh7、 桿 菌 km1-7、 桿 菌 kk1 の 6 株 の 同 定 を 行 っ た と こ ろ 以 下 の 表 に 示 す よ う に Enterococcus 属 、 Lactobacillus 属 、 Carnobacterium 属 で あ っ た 。 （ 表 １ － １ － １ ） 選 抜 菌 株 の 同 定 分 離 菌 属 ・ 種 形 状

ya2 Enterococcus asseliflavus 球 菌

d3-10 Enterococcus gallinarum 球 菌 ps2-3 Enterococcus gallinarum 球 菌 sh7 Lactobacillus brevis 桿 菌 km1-7 Lactobacillus brevis 桿 菌 kk1 Carnobacterium sp. 桿 菌 (6)分 離 菌 株 の 溶 血 性 試 験 下 表 及 び 写 真 １ － １ － １ に 示 す よ う に Lactobacillus brevis で あ る sh7 株 、 km1-7 株

株 、kk1 株 、 ps2-3 株 、 d3-10 株 に つ い て は α ヘ モ リ シ ン の 活 性 が 確 認 さ れ た 。 （ 表 １ － １ － ２ ） 選 抜 菌 株 の 溶 血 活 性 選 抜 株 血 液 ya2 sh7 km1-7 kk1 ps2-3 d3-10 緬 羊 血 液 α － － － α α 馬 血 液 α － － α α α α ： α ヘ モ リ シ ン 活 性 （ 写 真 １ － １ － １ ） 選 抜 菌 株 の 溶 血 性 試 験 （ 左 ： 馬 血 液 右 ： 緬 羊 血 液 ） （ 写 真 １ － １ － ２ ） sh7 株 の 位 相 差 顕 微 鏡 像 １ － １ － ５ 研 究 成 果 野 菜 を 分 離 源 と し て 、 炭 酸 カ ル シ ウ ム 含 有 MRS 培 地 上 に ク リ ア ゾ ー ン を 形 成 す る 菌 株 を 選 抜 し 、 過 酸 化 水 素 水 に よ る カ タ ラ ー ゼ 試 験 を 行 っ た 結 果 、 カ タ ラ ー ゼ 陰 性 ・ 酸 生 成 能 を 有 す る 263 菌 株 を 分 離 し 、 更 に 標 準 菌 株 で あ る Lactobacillus plantarum JCM 1057 と 同 等 か そ れ 以 上 の 抗 酸 化 活 性 を 示 す 73 菌 株 を 選 抜 し た 。 そ の う ち 52 菌 株 が 50%以 上 の 対 糖 乳 酸 収 率 で あ り 、 乳 酸 菌 で あ る と 判 断 し た 。 さ ら に 血 圧 降 下 作 用 （ ア ン ジ オ テ ン シ ン Ⅰ 変 換 酵 素 阻 害 活 性 ）及 び γ-ア ミ ノ 酪 酸 生 産 能 か ら 絞 り 込 ん だ 6 菌 株 の 同 定 を 行 っ た と こ ろ Enterococcus 属 ３ 株 、 Lactobacillus 属 ２ 株 、 Carnobacterium 属 １ 株 で あ っ た 。

１－２ アブラナ科野菜の品種比較・選定

福 岡 県 農 業 総 合 試 験 場 食 品 流 通 部 主 任 技 師 法 村 奈 保 子 １ － ２ － １ プ ロ ジ ェ ク ト 全 体 に 於 け る 本 研 究 開 発 部 分 の 位 置 付 け と 目 的 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 は 抗 酸 化 性１ ）_{や 抗 ガ ン 性 な ど の 機 能 性 が 高 い 事 が 報 告 さ れ 大 変 注 目} さ れ て い る 農 産 物 で あ る 。 ま た 、 筆 者 ら は こ れ ま で 、 福 岡 県 特 産 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の 一 つ で あ る か つ お 菜 が グ ル タ ミ ン 酸 な ど の ア ミ ノ 酸 を 豊 富 に 含 む こ と を 明 ら か に し た２ ）_。 一 方 、ア ミ ノ 酸 の 一 つ で あ る γ -ア ミ ノ 酪 酸（ GABA）に は 血 圧 降 下 作 用 が あ る 事 が 解 明 さ れ て い る 。グ ル タ ミ ン 酸 は GABA の 前 駆 物 質 で あ る あ る こ と か ら 、か つ お 菜 の よ う に グ ル タ ミ ン 酸 を 多 く 含 む 野 菜 を 乳 酸 発 酵 さ せ る こ と に よ り 、GABA を 豊 富 に 含 む 食 品 素 材 の 開 発 が 期 待 で き る 。 そ こ で 、 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の ア ミ ノ 酸 （ GABA、 グ ル タ ミ ン 酸 ） 及 び 糖 含 有 量 、 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 抽 出 物 の ア ン ギ オ テ ン シ ン Ⅰ 変 換 酵 素 （ ACE） 活 性 阻 害 能 に つ い て 明 ら か に し た 。 こ れ に よ り 、 機 能 性 の 高 い 乳 酸 発 酵 液 の 製 造 に 適 し た 原 料 野 菜 が 選 定 で き た 。 ※ ACE 活 性 阻 害 能 は 、血 圧 降 下 作 用 を 評 価 す る 手 法 の 一 つ で あ り 、ACE 活 性 阻 害 能 が 高 い ほ ど 血 圧 降 下 作 用 が 高 い と さ れ て い る 。 １ － ２ － ２ 目 的 と 目 標 三 池 高 菜 、 山 潮 菜 、 か つ お 菜 な ど の 福 岡 県 特 産 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の ア ミ ノ 酸 （ GABA、 グ ル タ ミ ン 酸 ） 及 び 糖 の 含 有 量 、 ACE 活 性 阻 害 能 を 明 ら か に す る 事 で 、 よ り 機 能 性 の 高 い 乳 酸 発 酵 液 を 得 る た め の 原 料 を 選 定 す る 事 を 目 的 と し た 。 １ － ２ － ３ 実 験 方 法 及 び 実 験 条 件 (1)ア ミ ノ 酸 の 分 析 方 法 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の 凍 結 乾 燥 粉 末 を 80%エ タ ノ ー ル で 抽 出 し 、 減 圧 乾 固 さ せ た 後 、 移 動 相 に 溶 解 し て 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー （ 島 津 製 作 所 製 ） で 測 定 し た 。 (2)糖 の 分 析 方 法 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の 凍 結 乾 燥 粉 末 を 80%エ タ ノ ー ル で 抽 出 し 、 減 圧 乾 固 さ せ た 後 、 蒸 留 水 に 溶 解 し て 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー （ 島 津 製 作 所 製 ） で 測 定 し た 。 (3)ACE 活 性 の 測 定 方 法 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 凍 結 乾 燥 粉 末 の リ ン 酸 緩 衝 液 (pH8.5) 抽 出 物 に ACE 及 び そ の 基 質 （ HHL）を 添 加 し 、37℃ で 30 分 間 反 応 後 、OPA 試 薬 で 発 色 さ せ 、蛍 光 分 光 光 度 計（ Ex:340nm、 Em:455nm） で 測 定 し た 。 １ － ２ － ４ 実 験 結 果 (1)ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の ア ミ ノ 酸 含 有 量 11 品 種 の ア ブ ラ ナ 科 野 菜 で 、 GABA 含 有 量 が 多 か っ た の は 、 こ ぶ 高 菜 、 山 潮 菜 、 大

児 菜 、柳 川 青 高 菜 、か つ お 菜 、三 池 高 菜 で あ っ た 。ま た 、GABA の 前 駆 物 質 で あ る グ ル タ ミ ン 酸 は 、 赤 大 葉 高 菜 、 あ ぎ お ち 菜 、 晩 抽 青 高 菜 、 三 池 高 菜 、 こ ぶ 高 菜 で 高 い 値 を 示 し た （ 図 １ － ２ － １ ）。 0 100 200 300 400 500 三 池 高 菜 か つ お 菜 山 潮 菜 ぴ り か ら 菜 あ ぎ お ち 菜 柳 川 青 高 菜 晩 抽 青 高 菜 赤 大 葉 高 菜 大 児 菜 こ ぶ 高 菜 あ ざ め 菜 グルタミン酸(Glu)含有量 γ -アミノ酪酸(GABA)含有量 G AB A及び G lu 含有量（ ｍ ｇ／１０ ０ ｇF .W ) （図１－２－１）　アブラナ科野菜のGABA及びグルタミン酸含有量 (2)ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の 糖 含 有 量 乳 酸 菌 が 資 化 す る 糖 類 と し て は 、 グ ル コ ー ス 、 ラ ク ト ー ス 、 D-キ シ ロ ー ス な ど が あ げ ら れ る 。 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 で は 、 各 品 種 と も グ ル コ ー ス は 多 く 含 む が 、 ラ ク ト ー ス と D-キ シ ロ ー ス は 検 出 さ れ な か っ た 。 そ の 他 の 糖 類 で は 、 ス ク ロ ー ス の 含 有 量 が 多 く 、 フ ル ク ト ー ス は 少 な か っ た （ 図 １ － ２ － ２ ）。 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 三 池 高 菜 か つ お 菜 山 潮 菜 ぴ り か ら 菜 あ ぎ お ち 菜 柳 川 青 高 菜 晩 抽 青 高 菜 赤 大 葉 高 菜 大 児 菜 こ ぶ 高 菜 あ ざ め 菜 スクロース グルコース フルクトース （図１－２－２）　アブラナ科野菜の糖含有量 糖含有量（ mg/ 1 0 0 gF. W .）

(3)ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の ACE 活 性 阻 害 能 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の 抽 出 物 は 、 各 品 種 と も ACE 活 性 を 50％ 以 上 阻 害 し た 。 ま た 、 ACE 活 性 阻 害 能 は 、 三 池 高 菜 、 か つ お 菜 、 山 潮 菜 の 順 に 高 か っ た （ 図 １ － ２ － ３ ）。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 三 池 高 菜 か つ お 菜 山 潮 菜 ぴ り か ら 菜 あ ぎ お ち 菜 柳 川 青 高 菜 晩 抽 青 高 菜 赤 大 葉 高 菜 大 児 菜 こ ぶ 高 菜 あ ざ め 菜 AC E活性阻害能( ％) （図１－２－３）　アブラナ科野菜のACE活性阻害能 １ － ２ － ５ 研 究 成 果 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 は 、 品 種 に よ り ア ミ ノ 酸 及 び 糖 含 有 量 、 ACE 活 性 阻 害 能 が 異 な る 事 が 明 ら か と な っ た 。本 プ ロ ジ ェ ク ト で は 、特 に 福 岡 県 の 地 域 性 が 強 く 、GABA 及 び グ ル タ ミ ン 酸 含 有 量 、 ACE 活 性 阻 害 能 が 高 か っ た 三 池 高 菜 、 か つ お 菜 、 山 潮 菜 が 乳 酸 発 酵 原 料 と し て 適 し て い る と 判 断 し た 。 参 考 文 献 ・ 引 用 文 献 1)「 か つ お 菜 」 法 村 奈 保 子 地 域 特 産 農 産 物 の 生 理 機 能 ・ 活 用 便 覧 第 7 章 九 州 ・ 沖 縄 の 地 域 特 産 物 第 1 節 福 岡 県 、 サ イ エ ン ス フ ォ ー ラ ム （ 2004） 2)「 か つ お 菜 」 葉 身 中 の 部 位 別 内 容 成 分 組 成 法 村 奈 保 子 、 山 下 純 隆 九 州 農 業 研 究 ， 62， 201(2000)

１－３ 乳酸発酵液の抗酸化性

株 式 会 社 九 州 メ デ ィ カ ル バ イ オ 事 業 部 研 究 所 長 前 田 稔 研 究 員 小 松 豊 １ － ３ － １ プ ロ ジ ェ ク ト 全 体 に 於 け る 本 研 究 開 発 部 分 の 位 置 付 け と 目 的 乳 酸 菌 の 生 理 作 用 に つ い て は 、 整 腸 作 用 、 免 疫 機 能 の 向 上 、 抗 ガ ン 作 用 、 血 圧 降 下 作 用 な ど が 、ア ブ ラ ナ 科 野 菜 に つ い て は 各 種 ビ タ ミ ン や 豊 富 な ア ミ ノ 酸 含 量 、抗 酸 化 作 用 、 抗 ガ ン 作 用 を 持 つ 事 が 知 ら れ て い る 。 本 課 題 に 於 い て 、 菌 株 の 選 抜 と 野 菜 の 組 み 合 わ せ を 見 出 し 、優 れ た 機 能 性 食 品 を 開 発 す る た め の 1 次 ス ク リ ー ニ ン グ と し て 、β -カ ロ テ ン 退 色 法 に よ る 抗 酸 化 性 評 価 を 実 施 し た 。 １ － ３ － ２ 目 的 と 目 標 先 に 選 定 さ れ た 3 品 種 の 福 岡 県 特 産 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 （ か つ お 菜 、 山 汐 菜 、 三 池 高 菜 ） を 中 心 に 、 ぴ り か ら 菜 及 び 大 児 菜 を 加 え た 計 5 品 種 を 利 用 し 、 野 菜 を 分 離 源 と し た 新 奇 乳 酸 菌 株 に よ っ て 乳 酸 発 酵 す る 事 で 、 抗 酸 化 性 に 優 れ た 野 菜 と 菌 株 の 組 み 合 わ せ を 選 抜 す る 事 を 目 的 と し た 。 １ － ３ － ３ 実 験 方 法 及 び 実 験 条 件 (1)供 試 試 料 各 種 植 物 を 分 離 源 と す る 乳 酸 菌 株 を 、 5 品 種 の 福 岡 県 特 産 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 を 基 材 と し て 30℃ で 72 時 間 乳 酸 発 酵 さ せ た 。 同 発 酵 液 を 遠 心 処 理 、 上 清 成 分 を 調 製 し た 。 な お 、 試 験 試 料 は 使 用 直 前 ま で -20℃ 下 に て 冷 凍 保 存 し た 。 (2)β -カ ロ テ ン 退 色 法 に よ る 抗 酸 化 性 評 価 β - カ ロ テ ン を 1mg/ml の 割 合 で ク ロ ロ ホ ル ム に 溶 解 。 同 様 に リ ノ ー ル 酸 及 び Tween-80 を ク ロ ロ ホ ル ム に て 5 倍 希 釈 し 、 そ れ ぞ れ 0.1ml、 0.5ml を 分 取 し た 。 同 混 合 液 に β カ ロ テ ン 溶 液 0.1ml を 加 え 、 十 分 に 混 和 さ せ た 後 真 空 ポ ン プ に て ク ロ ロ ホ ル ム を 減 圧 除 去 。氷 冷 し た 20mM リ ン 酸 緩 衝 液（ pH6.8）を 50ml 加 え 、黄 色 の 付 着 物 が 無 く な る ま で 緩 や か に 混 和 し 、反 応 液 と し た 。ス タ ン ダ ー ド に は 合 成 抗 酸 化 剤 で あ る BHA （ tert-Butylhydroxyanisole） を 用 い た 。 BHA を 80％ メ タ ノ ー ル に 溶 解 し 、 10mg/ml 溶 液 を 調 製 、 以 降 は 蒸 留 水 に て 1μ g/ml～ 50μ g/ml の 範 囲 に 希 釈 調 製 し た 。 上 記 反 応 液 786μ l に 対 し 、 蒸 留 水 に て 10～ 20 倍 希 釈 し た 発 酵 液 及 び BHA 標 準 液 14μ l を 加 え シ ェ ー カ ー に て 撹 拌 し た 後 、 96 ウ ェ ル プ レ ー ト に 200μ l ず つ 分 注 。 室 温 に 戻 し 、 開 始 0 分 の 450nm に 於 け る 吸 光 度 を 測 定 し た 後 、 40℃ に 加 温 し た イ ン キ ュ ベ ー タ ー 内 で 反 応 を 開 始 。30 分 後 に 於 け る 吸 光 度 を 測 定 し 、30 分 間 の 吸 光 度 変 化 か ら 抗 酸 化 性 を 求 め た 。

１ － ３ － ４ 実 験 結 果 標 準 菌 株 （Lactobacillus plantarum JCM1057 株 ） の 抗 酸 化 性 を 1 と し た 場 合 の 、 同 一 培 養 条 件 に 於 け る 試 験 サ ン プ ル を 比 較 し た 結 果 を 図 １ － ３ － １ に 示 し た 。 こ れ よ り 標 準 菌 株 と 同 等 あ る い は そ れ 以 上 の 抗 酸 化 性 を 保 持 し た 分 離 菌 株 の 野 菜 乳 酸 発 酵 液 は 、 1078 サ ン プ ル 中 147 サ ン プ ル 、 菌 株 数 に し て 73 菌 株 で あ っ た 。 ま た 、 こ れ ら サ ン プ ル の 菌 株 分 離 源 を み る と ア ブ ラ ナ 科 植 物 や セ リ 科 植 物 を 中 心 に 広 く 分 布 し て い た 。 野 菜 培 地 に 関 し て も ぴ り か ら 菜 で 若 干 低 い も の の ほ ぼ 同 じ 分 布 を 示 し た （ 表 １ － ３ － １ ）。 0 50 100 150 200 250 300 350 サンプル数 ～0.399 0.400～0.499 0.500～0.599 0.600～0.699 0.700～0.799 0.800～0.899 0.900～0.999 1.000～1.099 1.100～1.199 1.200～1.299 1.300～ 低← 　標準 菌株 に 対する比活 性　→ 高 選抜サンプル （図１－３－１）　標準菌株に対する比活性の分布 （ 表 １ － ３ － １ ） 選 抜 サ ン プ ル の 菌 株 分 離 源 と 用 い た 野 菜 培 地 培 地 分 離 源 か つ お 菜 大 児 菜 ぴ り か ら 菜 三 池 高 菜 山 汐 菜 ア ブ ラ ナ 科 9 5 9 6 4 セ リ 科 4 11 1 9 14 ム ラ サ キ 科 4 3 2 4 1 ア カ ザ 科 2 6 3 2 6 ナ ス 科 1 0 1 1 0 ユ リ 科 1 6 1 1 6 ア オ イ 科 0 2 0 0 2 ヒ ル ガ オ 科 3 9 0 3 9 合 計 24 42 17 26 42 １ － ３ － ５ 研 究 成 果 抗 酸 化 性 を 調 査 し た 結 果 、263 菌 株 、検 体 数 に し て 1078 サ ン プ ル の 野 菜 乳 酸 発 酵 液 よ り 147 サ ン プ ル 、 73 菌 株 が 標 準 菌 株 と 同 等 か そ れ 以 上 の 活 性 を 有 し て い た 。 こ の 1 次 ス ク リ

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 L. P n r7 n r1 1 ok3 ok5 d3 -1 0 mr 1 9 tm9 sh1 sh3 sh5 sｒ 2 -1 sｒ 2 -2 sｒ 2 -3 sｒ 2 -4 sｒ 2 -6 sｒ 2 -7 sｒ 2 -8 sｒ 2 -9 sｒ 2 -1 0

かつお菜

山潮菜

三池高菜

相 対 値 （図１－４－１）　分離菌株による乳酸発酵液のACE活性阻害能 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 L. P ku 1 ku 2 ku 3 ku 4 ku 5 ku 6 ku 7 ku 8 ku 9 ku 1 0 n r6 _nr8 _nr9 n r1 0 mk2 0 sr 8

ya2 ya3 ya9 _d3-3

かつお菜

山潮菜

三池高菜

相 対 値

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 L. P ｍｒ 2 -1 ｍｒ 2 -6 ｍｒ 2 -7 ＫＫ1 ＫＫ2 ｋ ｍ2 2 ① ｋ ｍ2 2 ② ｋ ｍ1 -1 ｋ ｍ1 -2 ｋ ｍ1 -3 ｋ ｍ1 -4 ｋ ｍ1 -5 ｋ ｍ1 -6 ｋ ｍ1 -9 ｋ ｍ1 -1 0 ｓｈ 6 ① ｓｈ 6 ② ｓｈ 7 ｓｈ 1 0 ① ｓｈ 1 0 ②

かつお菜

山潮菜

三池高菜

相 対 値 （図１－４－３）　分離菌株による乳酸発酵液のACE活性阻害能 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 L. P ｈ ｔ1 1 ｈ ｔ1 4 ｐ ｓ1 -1 ① ｐ ｓ1 -1 ② ｐ ｓ1 -2 ② ｐ ｓ1 -3 ① ｐ ｓ1 -3 ② ｐ ｓ1 -4 ① ｐ ｓ1 -4 ② ｋ ｍ1 -7 ｋ ｍ2 3 ｍｒ 2 -5 ｍｒ 2 -8 ｍｒ 2 -9 ｐ ｓ2 -3

かつお菜

山潮菜

三池高菜

相 対 値 （図１－４－４）　分離菌株による乳酸発酵液のACE活性阻害能 （ 表 １ － ４ － １ ） 分 離 菌 株 及 び 対 照 菌 株 に よ る 乳 酸 発 酵 液 の ACE 阻 害 能 比 較 品 種 対 照 菌 株 よ り 高 い 菌 株 対 照 菌 株 よ り 低 い 菌 株 菌 株 数 割 合 （ ％ ） 菌 株 数 割 合 （ ％ ） 三 池 高 菜 57 77.0 17 23.0 か つ お 菜 48 64.9 26 35.1 山 汐 菜 45 60.8 29 39.2

福 岡 県 農 業 総 合 試 験 場 食 品 流 通 部 主 任 技 師 法 村 奈 保 子 １ － ５ － １ プ ロ ジ ェ ク ト 全 体 に 於 け る 本 研 究 開 発 部 分 の 位 置 付 け と 目 的 九 州 大 学 に 於 い て 種 々 の 野 菜 か ら 分 離 さ れ 、 ㈱ 九 州 メ デ ィ カ ル が 抗 酸 化 性 評 価 に て １ 次 ス ク リ ー ニ ン グ し た 植 物 性 乳 酸 菌 74 菌 株 を 用 い て 、三 池 高 菜 、か つ お 菜 、山 潮 菜 を 乳 酸 発 酵 し た 時 に 生 成 さ れ る γ -ア ミ ノ 酪 酸（ GABA）量 を 比 較 し 、１ － ４ で 検 討 を 行 っ た ア ン ギ オ テ ン シ ン Ⅰ 変 換 酵 素 （ ACE） 活 性 阻 害 能 と 同 様 に 2 次 ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た 。 １ － ５ － ２ 目 的 と 目 標 三 池 高 菜 、か つ お 菜 、山 潮 菜 を 分 離 菌 株 で 乳 酸 発 酵 し た 時 の GABA 生 成 量 を 明 ら か に し 、 よ り 高 い 機 能 性 を 有 す る 乳 酸 発 酵 液 の 製 造 に 適 し た 菌 株 を 選 定 す る 事 を 目 的 と し た 。 １ － ５ － ３ 実 験 方 法 及 び 実 験 条 件 (1)供 試 試 料 九 州 大 学 に 於 い て 、 三 池 高 菜 、 山 潮 菜 、 か つ お 菜 を 分 離 菌 株 （ 74 菌 株 ） を 用 い て 30℃ で 72 時 間 乳 酸 発 酵 し 、 遠 心 分 離 し た 上 清 を 供 試 し た 。 (2)γ -ア ミ ノ 酪 酸 （ GABA） の 分 析 方 法 乳 酸 発 酵 液 を 蒸 留 水 で 10 倍 に 希 釈 し 、 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー （ 島 津 製 作 所 製 ） で 測 定 し た 。

各 菌 株 の GABA 生 成 量 は 、 培 養 後 の GABA 濃 度 か ら 培 養 前 の GABA 濃 度 を 差 し 引 い た 値 に つ い て 、 対 照 菌 株 （Lactobacillus plantarum JCM1057 ） を 用 い た 乳 酸 発 酵 液 の GABA 生 成 量 を 1.0 と し た 時 の 相 対 値 で 表 し た 。

１ － ５ － ４ 実 験 結 果

分 離 菌 株 の 乳 酸 発 酵 液 で 対 照 菌 株 （Lactobacillus plantarum JCM1057） よ り も GABA 生 成 量 が 多 か っ た 株 数 は 、 三 池 高 菜 で 52 菌 株 (70.3%)、 か つ お 菜 で 54 菌 株 (73.0%)、 山 潮 菜 で 43 菌 株 (58.1%)で あ っ た （ 図 １ － ５ － １ ～ １ － ５ － ４ 、 表 １ － ５ － １ ）。

１ － ５ － ５ 研 究 成 果

三 池 高 菜 、か つ お 菜 、山 潮 菜 の い ず れ の 品 種 を 原 料 に 用 い て も 対 照 菌 株（Lactobacillus plantarum JCM1057） よ り GABA 生 成 量 が 多 い 、 34 菌 株 （ 46.0%） を 選 定 し た 。

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 L. P nr 7 nr 11 _ok3 _ok5 d3-1 0 m r19 tm 9 sh1 sh3 sh5 sｒ 2-1 sｒ 2-2 sｒ 2-3 sｒ 2-4 sｒ 2-6 sｒ 2-7 sｒ 2-8 sｒ 2-9 sｒ 2-10

かつお菜

山潮菜

三池高菜

相 対 値 （図１－５－１）　分離菌株による乳酸発酵液のGABA生成量 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 L. P ku 1 ku 2 ku 3 ku 4 ku 5 ku 6 ku 7 ku 8 ku 9 ku 1 0 n r6 _nr8 _nr9 n r1 0 mk2 0

sr8 ya2 ya3 ya9

d3 -3

かつお菜

山潮菜

三池高菜

相 対 値 （図１－５－２）　分離菌株による乳酸発酵液のGABA生成量

（ 表 １ － ５ － １ ） 分 離 菌 株 及 び 対 照 菌 株 に よ る 乳 酸 発 酵 液 の GABA 生 成 量 比 較 品 種 対 象 菌 株 よ り 高 い 菌 株 対 象 菌 株 よ り 低 い 菌 株 菌 株 数 割 合 （ ％ ） 菌 株 数 割 合 （ ％ ） 三 池 高 菜 52 70.3 22 29.7 か つ お 菜 54 73.0 20 23.0 山 汐 菜 43 58.1 31 41.9 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 L. P ｈ ｔ1 1 ｈ ｔ1 4 ｐ ｓ1 -1 ① ｐ ｓ1 -1 ② ｐ ｓ1 -2 ② ｐ ｓ1 -3 ① ｐ ｓ1 -3 ② ｐ ｓ1 -4 ① ｐ ｓ1 -4 ② ｋｍ 1 -7 ｋｍ 2 3 ｍ ｒ2 -5 ｍ ｒ2 -8 ｍ ｒ2 -9 ｐ ｓ2 -3

かつお菜

山潮菜

三池高菜

（図１－５－４）　分離菌株による乳酸発酵液のGABA生成量 相 対 値 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 L .P ｍｒ 2 -1 ｍｒ 2 -6 ｍｒ 2 -7 ＫＫ1 ＫＫ2 ｋｍ2 2 ① ｋｍ2 2 ② ｋｍ1 -1 ｋｍ1 -2 ｋｍ1 -3 ｋｍ1 -4 ｋｍ1 -5 ｋｍ1 -6 ｋｍ1 -9 ｋｍ1 -1 0 ｓ ｈ 6 ① ｓ ｈ 6 ② ｓ ｈ 7 ｓ ｈ 1 0 ① ｓ ｈ 1 0 ②

かつお菜

山潮菜

三池高菜

（図１－５－３）　分離菌株による乳酸発酵液のGABA生成量 相 対 値

１－６ 乳酸発酵液の動物試験

一 番 食 品 株 式 会 社 研 究 開 発 部 係 長 牧 哲 義 研 究 員 鳥 越 友 公 １ － ６ － １ プ ロ ジ ェ ク ト 全 体 に 於 け る 本 研 究 開 発 部 分 の 位 置 付 け と 目 的 抗 酸 化 試 験 、血 圧 降 下 作 用 等 の 野 菜 発 酵 液 の 機 能 性 を in vitro の 面 か ら 評 価 し て き た が 、 実 際 に 動 物 を 用 い た 試 験 を 行 う 事 で 、 実 際 の 製 品 の 使 用 形 態 に よ り 近 い 機 能 性 デ ー タ を 得 る 事 を 目 的 と し た 。 １ － ６ － ２ 目 的 と 目 標 In vitro 試 験 の 結 果 、 野 菜 発 酵 液 に は 、 γ -ア ミ ノ 酪 酸 （ GABA） を 高 含 有 す る 他 、 ア ン ジ オ テ ン シ ン Ⅰ 変 換 酵 素（ ACE）阻 害 活 性 、抗 酸 化 活 性 を 有 し て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。 そ こ で 、 対 象 動 物 に ラ ッ ト 及 び マ ウ ス を 用 い た 動 物 試 験 を 実 施 し た 。 具 体 的 に は 高 血 圧 自 然 発 症 ラ ッ ト（ SHR）を 用 い て 発 酵 液 の 血 圧 上 昇 抑 制 効 果 を 検 討 し た 。ま た 、マ ウ ス 回 腸 パ イ エ ル 板 の 免 疫 染 色 に よ り ア ジ ュ バ ン ト 効 果 （ 免 疫 補 助 ・ 増 強 効 果 ） を 評 価 し た 。 な お 、 本 試 験 は （ 株 ） レ オ ロ ジ ー 機 能 食 品 研 究 所 に 委 託 し た も の で あ る 。 １ － ６ － ３ 実 験 方 法 及 び 実 験 条 件 (1)SHR で の 治 験 物 質 単 回 投 与 実 験 (a)治 験 物 質 の 作 成 三 池 高 菜 を マ ス コ ロ イ ダ ー 処 理 し 、 九 州 大 学 に て sh7 株 を 用 い 、 発 酵 さ せ た 三 池 高 菜 発 酵 液 を ガ ー ゼ に て 濾 過 し 、 濾 液 を エ バ ポ レ ー タ ー で 適 当 な 量 に 濃 縮 し た 。 こ の 濃 縮 し た 濾 液 を 全 量 が 200ml に な る よ う に 蒸 留 水 に て 希 釈 し 、 治 験 物 質 の 原 液 と し た 。 (b)実 験 動 物 9 週 齢 雄 及 び 10 週 齢 雄 の SHR/lzm（ 平 均 体 重 300g、SLC よ り 購 入 ）を 20 匹 使 用 し 、 2 週 間 予 備 飼 育 し た 。 Ⅰ 群 ： 非 投 与 対 象 群 （ passive control） 8 匹 Ⅱ 群 ： 投 与 群 8 匹 ＊ 非 投 与 対 象 群 （ active control） 4 匹 (c)飼 育 方 法 個 別 ケ ー ジ で 室 温 （ 21～ 25℃ ）、 照 明 時 間 12 時 間 （ 7:00～ 19:00） サ イ ク ル に 自 動 調 整 さ れ た 飼 育 室 で 、 2 週 間 予 備 飼 育 し た 。 飼 料 と 飲 料 水 は 自 由 摂 取 に し た 。 (d)測 定 方 法 11 週 齢 及 び 12 週 齢 の SHR を 体 重 が 各 群 で 平 均 化 す る よ う に し て 、 各 群 8 匹 で 上 記 の 2 群 に 割 付 し た 。 Ⅱ 群 は 10mg/kg（ GABA 量 ） を 摂 取 さ せ る 群 と し 、 調 整 し た 治 験 物 質 3ml を 胃 ゾ ン デ よ り 単 回 投 与 し た 。 ま た 、 passive control は 水 の み を 、 active

と 投 与 後 1， 3， 5， 7 及 び 24 時 間 後 の 血 圧 及 び 心 拍 数 を 測 定 し た 。 測 定 に は ラ ッ ト 用 非 観 血 血 圧 測 定 装 置 （ BA-98A,ソ フ ト ロ ン 社 製 ） を 用 い 、 tail cuff 法 に よ り 3 回 測 定 し て そ の 平 均 を 測 定 値 と し た 。 ま た 、 実 験 中 、 水 及 び 飼 料 は 自 由 摂 取 と し た 。 観 察 終 了 後 ネ ン ブ タ ー ル 麻 酔 下 で 屠 殺 解 剖 し 、 腹 大 動 脈 よ り 採 血 を 行 い 血 液 一 般 ・ 生 化 学 検 査 を 行 っ た 。 (2)SHR で の 治 験 物 質 連 続 投 与 実 験 (a)治 験 物 質 の 作 成 三 池 高 菜 を マ ス コ ロ イ ダ ー 処 理 し 、 九 州 大 学 に て sh7 株 を 用 い 、 発 酵 さ せ た 三 池 高 菜 発 酵 液 を ガ ー ゼ に て 濾 過 し 、 濾 液 を エ バ ポ レ ー タ ー で 適 当 な 量 に 濃 縮 し た 。 こ の 濃 縮 し た 濾 液 を 全 量 が 200ml に な る よ う に 蒸 留 水 に て 希 釈 し 、 治 験 物 質 の 原 液 と し た 。 (b)実 験 動 物 9 週 齢 雄 の SHR/lzm（ 平 均 体 重 210g、 SLC よ り 購 入 ） を 18 匹 使 用 し 、 1 週 間 予 備 飼 育 し た 。 Ⅰ 群 ： 非 投 与 対 象 群 （ passive control） 8 匹 Ⅱ 群 ： 投 与 群 8 匹 ＊ 非 投 与 対 象 群 （ active control） 2 匹 (c)飼 育 方 法 個 別 ケ ー ジ で 室 温 （ 21～ 25℃ ）、 照 明 時 間 12 時 間 （ 7:00～ 19:00） サ イ ク ル に 自 動 調 整 さ れ た 飼 育 室 で 、 1 週 間 予 備 飼 育 し た 。 飼 料 及 び 飲 料 水 は 自 由 摂 取 と し た 。 (d)測 定 方 法 10 週 齢 の SHR を 体 重 が 各 群 で 平 均 化 す る よ う に し て 、各 群 8 匹 で 上 記 の 2 群 に 割 付 を し た 。Ⅱ 群 は 1 日 当 た り 5mg/kg（ GABA 量 ）を 摂 取 さ せ る 群 と し 、1 週 間 飲 水 と し て 与 え 飼 育 し た 。な お 、passive control は 飲 水 と し て 水 の み を 、active control は NIFEDIPINE 含 飲 水 を 摂 取 さ せ た 。 摂 水 量 及 び 飼 料 摂 取 量 は 毎 日 測 定 し た 。 各 群 に つ い て 投 与 前 、 投 与 後 の 血 圧 及 び 心 拍 数 を 測 定 し た 。測 定 に は ラ ッ ト 用 非 観 血 血 圧 測 定 装 置（ BA-98A,ソ フ ト ロ ン 社 製 ）を 用 い 、tail cuff 法 に よ り 3 回 測 定 し て そ の 平 均 を 測 定 値 と し た 。ま た 、 実 験 中 、飲 水 及 び 飼 料 は 自 由 摂 取 と し た 。観 察 終 了 後 ネ ン ブ タ ー ル 麻 酔 下 で 屠 殺 解 剖 し 、 腹 大 動 脈 よ り 採 血 を 行 い 血 液 一 般 ・ 生 化 学 検 査 を 行 っ た 。 (3)野 菜 発 酵 液 の 腸 管 免 疫 に 及 ぼ す 影 響 通 常 、 回 腸 に 存 在 す る 集 合 リ ン パ 小 節 を パ イ エ ル 板 （ Payre’ s patches） と 呼 ぶ が 、 パ イ エ ル 板 類 似 の 構 造 は 空 腸 や 大 腸 に も 多 数 存 在 し て い る 。 パ イ エ ル 板 は 、 腸 管 免 疫 の 司 令 塔 と も 言 わ れ て い る が 、 数 個 の リ ン パ 濾 胞 の 集 合 体 か ら 成 り 、 マ ウ ス で は 1.7mm に も 満 た な い 小 器 官 で あ る 。こ こ に は 、B 細 胞 、CD4 陽 性 T 細 胞 、CD8 陽 性 T 細 胞 な ど の 免 疫 担 当 細 胞 の 他 、 樹 状 細 胞 や マ ク ロ フ ァ ー ジ な ど の 抗 原 提 示 細 胞 が 局 在 し て い る 。 リ ン パ 濾 胞 は ド ー ム 関 連 上 皮 と 呼 ば れ る 単 層 円 柱 上 皮 に よ っ て 被 覆 さ れ て い る 。 こ の 上 皮 に は 特 殊 化 さ れ た M 細 胞 （ Microfold or Membrane cell） が 介 在 し て お り 、 ウ イ ル ス や 細 菌 更 に は 食 物 由 来 な ど の 外 来 抗 原 は こ の M 細 胞 を 経 由 し て 濾 胞 内 に 侵 入 す る 。 抗 原 提 示 細 胞 は 侵 入 し て き た 外 来 抗 原 を 捕 捉 ・ 断 片 化 し て 抗 原 提 示 す る 。 抗 原 提 示 に よ っ て 活 性 化 し た CD4+_{T 細 胞 は ナ イ ー ブ B 細 胞 と の 間 の 相 互 作 用 に よ っ て B 細 胞 の 分 裂 ・ 増 殖 更 に}

場 を 胚 中 心 と 言 い 、 消 化 管 の 固 有 筋 層 近 傍 の 濾 胞 内 に 局 在 し て い る 。 マ ウ ス 回 腸 末 端 の パ イ エ ル 板 で は 、パ イ エ ル 板 当 た り 5～ 8 個 の 胚 中 心 が 存 在 す る が 、あ る 種 の 機 能 性 食 品 （ 補 助 食 品 ） を 飲 水 に 溶 か し て 、 あ る い は 食 餌 に 混 ぜ て マ ウ ス に 投 与 す る と 、 胚 中 心 の 大 き さ が 増 大 す る 。 こ の 実 験 系 を 用 い れ ば 、 機 能 性 食 品 （ 補 助 食 品 ） の 持 つ 腸 管 免 疫 に 及 ぼ す 影 響 、即 ち ア ジ ュ バ ン ト 効 果（ 免 疫 補 助 効 果 、免 疫 増 強 効 果 ）を 検 索 可 能 で あ る 。 パ イ エ ル 板 の ク リ オ ス タ ッ ト 連 続 標 本 を 作 製 、 免 疫 染 色 、 胚 中 心 の 写 真 撮 影 後 、 最 大 径 部 位 の 断 面 積 を 計 測 す る と 同 時 に 、 連 続 断 片 か ら 胚 中 心 の 全 長 を 測 定 し 、 ア ジ ュ バ ン ト 効 果 を 半 定 量 的 に 評 価 し た 。 (a)治 験 物 質 山 汐 菜 を マ ス コ ロ イ ダ ー 処 理 し 、九 州 大 学 に て sh7 株 を 用 い 発 酵 さ せ た 山 汐 菜 発 酵 液 （ Ysh7） (b)実 験 動 物 お よ び 対 象 器 官 6 週 齢 DBA1j 雄 マ ウ ス （ 6 匹 ） の 回 腸 末 端 パ イ エ ル 板 (c)使 用 抗 体 一 次 抗 体 ： ウ サ ギ 抗 Ki-67 ポ リ ク ロ ナ ー ル 抗 体 （ 細 胞 分 裂 の マ ー カ ー ） 二 次 抗 体 ： ビ オ チ ン 化 抗 ウ サ ギ IgG ポ リ ク ロ ナ ー ル 抗 体 標 識 ： ス ト レ プ ト ア ビ ジ ン -FITC (d)試 験 方 法 1 日 1 回 7 日 間 、 Ysh7 原 液 0.3ml を 胃 ゾ ン デ に て 経 口 投 与

蛍 光 顕 微 鏡 ： Axipskop2（ Zeiss） 写 真 撮 影 装 置 ： AxioCam MRc5（ Zeiss）

１ － ６ － ４ 実 験 結 果 (1)SHR で の 治 験 物 質 単 回 投 与 実 験 （ 図 １ － ６ － １ ） に 単 回 投 与 後 の 収 縮 期 血 圧 の 測 定 結 果 を 示 し た 。 三 池 高 菜 発 酵 液 を 投 与 後 、 1 時 間 後 及 び 7 時 間 後 で 、 投 与 群 に 血 圧 降 下 作 用 が 確 認 さ れ 、 降 圧 効 果 が 示 唆 さ れ た 。 一 方 、 血 液 生 化 学 値 に つ い て の 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 収縮期血圧（mmHg） 135 145 155 165 175 前 1h 3h 5h 7h 24h Ⅰ群；非投与群 Ⅱ群；投与群 （ 図 １ － ６ － １ ） 単 回 投 与 後 の 血 圧 測 定 結 果

(2)SHR で の 治 験 物 質 連 続 投 与 実 験 （ 図 １ － ６ － ２ ） に 1 週 間 連 続 投 与 後 の 血 圧 測 定 結 果 を 示 し た 。 今 回 の 試 験 で は 、 投 与 群 に 降 圧 作 用 は 認 め ら れ な か っ た 。 こ れ は 、 発 酵 液 の 調 整 に 十 分 な 時 間 と 試 料 量 が 無 く 、 動 物 試 験 時 間 も 十 分 に 取 れ な か っ た 事 が 影 響 し て お り 、 再 度 検 討 を す べ き 結 果 と な っ た 。 収縮期血圧（mmHg） 150 160 170 180 190 200 投与前 投与後 Ⅰ群；非投与群 Ⅱ群；投与群 （ 図 １ － ６ － ２ ） 連 続 投 与 後 の 血 圧 測 定 結 果 (3)野 菜 発 酵 液 の 腸 管 免 疫 に 及 ぼ す 影 響 胃 ゾ ン デ に よ る Ysh7 液 の 経 口 投 与 は 実 験 動 物 に か な り の ス ト レ ス を 与 え る よ う で あ っ た 。 一 般 的 に ス ト レ ス は 免 疫 に も 悪 影 響 を 与 え る と 推 察 さ れ て い る 。 対 照 群 マ ウ ス に 比 較 し て 試 験 群 マ ウ ス で は 1 週 間 の 体 重 増 加 が 顕 著 に 抑 制 さ れ て い た 。 ま た 、 ア ジ ュ バ ン ト 効 果 の 評 価 に つ い て は 、 通 常 は 2 週 間 の 連 続 投 与 の 結 果 に 基 づ い て 判 断 す る が 、Ysh7 液 量 が 少 な か っ た 事 や 、時 間 的 な 制 約 で 至 適 条 件 下 で の 実 験 が 出 来 ず 、十 分 な 結 果 は 得 ら れ な か っ た 。 し か し 、 不 十 分 な 実 験 条 件 下 に も 係 わ ら ず 、 3 匹 中 の 1 匹 の マ ウ ス （ Ysh7-3） に 顕 著 な ア ジ ュ バ ン ト 効 果 が 観 察 さ れ た 事 か ら 、 今 後 更 な る 試 験 を 実 施 す る 事 に よ り 、 十 分 に 効 果 を 期 待 出 来 る も の と 考 え ら れ た （ 表 １ － ６ － １ ）。 な お 、（ 写 真 １ － ６ － １ ）、（ １ － ６ － ２ ）に 抗 Ki-67 抗 体 に よ る 代 表 的 な 免 疫 染 色 例 を 示 し た 。 （ 表 １ － ６ － １ ） Ysh7 投 与 有 無 の 回 腸 末 端 パ イ エ ル 板 の 肺 中 心 EL MSA EL MSA

C-1 Av： 423μ ｍ Av： 18,202μ ｍ2 _{Ysh7-1 Av： 375μ ｍ Av： 24,088μ ｍ}2

C-2 Av： 462μ ｍ Av： 20,353μ ｍ2 _{Ysh7-2 Av： 339μ ｍ Av： 13,473μ ｍ}2

C-3 Av： 497μ ｍ Av： 21,343μ ｍ2 _{Ysh7-3 Av： 516μ ｍ Av： 26,499μ ｍ}2

＊ （ 写 真 １ － ６ － １ ）は 7 週 齢 対 照 マ ウ ス の 回 腸 末 端 パ イ エ ル 板（ C-2）の 胚 中 心（ 矢 印 ）。 全 長 は 434μ ｍ 、 最 大 径 部 は 19,425μ ｍ2_{あ り 、 こ の 週 齢 の マ ウ ス パ イ エ ル 板 の 平 均 的} な 大 き さ の 胚 中 心 で あ る 。 ＊ （ 写 真 １ － ６ － ２ ）は Ysh7 投 与 １ 週 間 後 の 回 腸 末 端 パ イ エ ル 板（ Ysh7-3）の 胚 中 心（ 矢 印 ）。 Ysh7 投 与 に よ り 全 長 は 546μ ｍ 、 最 大 径 部 は 30,507μ ｍ2_{と 顕 明 に 増 大 し て お り 、} Ysh7 の ア ジ ュ バ ン ト 効 果 が 示 唆 さ れ た 。 １ － ６ － ５ 研 究 成 果 高 血 圧 自 然 発 症 ラ ッ ト（ SHR）を 用 い た 動 物 試 験 の 結 果 、野 菜 乳 酸 発 酵 液 は 実 際 に 血 圧 降 下 作 用 を 有 す る こ と が 示 さ れ た 。 ま た 、 マ ウ ス 回 腸 パ イ エ ル 板 を 用 い た 腸 管 免 疫 の 調 査 に 於 い て 発 酵 液 の 免 疫 賦 活 作 用 が 確 認 さ れ 、 本 発 酵 液 が 実 際 に 動 物 に 対 し て 様 々 な 優 れ た 機 能 性 を 持 つ 事 が 明 ら か と な っ た 。

Ysh7-0.3-7d,7wMs-Ki-67

30.507μ ｍ

2

546μ ｍ

C-7wMs-Ki-67

19.425μ ｍ

2

434μ ｍ

（ 写 真 １ － ６ － １ ）7 週 齢 対 照 マ ウ ス の 回 腸 パ イ エ ル 板（ C-2）の 胚 中 心（ 矢 印 ） （ 写 真 １ － ６ － ２ ） Ysh7 投 与 1 週 後 の 回 腸 パ イ エ ル 板（ Ysh7-3）の 胚 中 心（ 矢 印 ）

１－７ 乳酸発酵条件の検討

九 州 大 学 大 学 院 農 学 研 究 院 生 物 機 能 科 学 部 門 助 手 小 林 元 太 株 式 会 社 九 州 メ デ ィ カ ル バ イ オ 事 業 部 研 究 所 長 前 田 稔 研 究 員 小 松 豊 １ － ７ － １ プ ロ ジ ェ ク ト 全 体 に 於 け る 本 研 究 開 発 部 分 の 位 置 付 け と 目 的 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の 乳 酸 発 酵 に よ っ て 抗 酸 化 性 の 向 上 、血 圧 降 下 作 用 の 増 強 、GABA 含 量 の 増 加 等 、有 益 な 機 能 性 を よ り 高 め ら れ る 事 が こ れ ま で の 研 究 結 果 よ り 明 ら か と な っ た 。 本 課 題 で は 選 抜 さ れ た 乳 酸 菌 及 び 至 適 野 菜 の 発 酵 条 件 を 検 討 す る 事 で 、 よ り 優 れ た 乳 酸 発 酵 原 料 を 作 製 す る 事 を 目 的 と し た 。 １ － ７ － ２ 目 的 と 目 標 機 能 性 食 品 原 料 と し て の 安 定 し た 生 産 条 件 を 構 築 す る た め に 、 選 抜 さ れ た 乳 酸 菌 sh7 株 （Lactobacillus brevis） 及 び 山 汐 菜 を 原 料 と し て 、 GABA 産 生 に 関 す る 至 適 条 件 の 検 討 、 菌 数 の 調 査 、 ま た 食 品 製 造 を 考 慮 し て の 殺 菌 条 件 の 検 討 を 行 っ た 。

１ － ７ － ３ 実 験 方 法 及 び 実 験 条 件

(1) sh7 株 の GABA 生 産 に 於 け る pH の 影 響

MRS 培 地 に グ ル タ ミ ン 酸 ナ ト リ ウ ム を 1%添 加 し て 培 地 を 調 製 し 、初 発 pH を 4.5、5.5、 6.5 に 調 整 し 、 72 時 間 培 養 後 の GABA 生 産 を 薄 層 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー （ TLC） に よ っ て 確 認 し た 。 TLC に は Merck 社 製 Silica gel 60 F2 5 4、 展 開 溶 媒 に は 、 n-ブ タ ノ ー ル 、

酢 酸 、 水 混 合 溶 液 （ 混 合 比 3:2:1） を 用 い た 。 (2) sh7 株 の 静 置 培 養 に 於 け る 菌 数 変 化 と pH の 影 響 山 汐 菜 を マ ス コ ロ イ ダ ー 処 理 し た 破 砕 物 に 等 量 の 蒸 留 水 を 加 え 、 250ml の メ ジ ュ ー ム 瓶 を 培 養 器 と し て （ pH 調 整 群 に は CaCO3を 1％ 添 加 し ） 121℃ で 15 分 オ ー ト ク レ ー ブ 処 理 し た 。同 培 地 に 予 め MRS 培 地 で 24hr 前 培 養 し た 乳 酸 菌 液（ sh7 株 ）を 1ml 加 え 撹 拌 、密 栓 し 30℃ で 72hr 静 置 培 養 し た 。途 中 24hr 毎 に 少 量 を サ ン プ リ ン グ し 、下 記 の 方 法 で 菌 数 計 算 を 実 施 し た 。 菌 数 計 算 ： サ ン プ ル 液 を 段 階 希 釈 し 、 1％ CaCO3含 MRS 平 板 培 地 に 塗 末 し て 30℃ 下 3 日 培 養 、 コ ロ ニ ー 数 を 計 測 し た （ n=3）。 な お 、 培 養 は 好 気 的 条 件 下 で 行 っ た 。 (3) sh7 株 の 殺 菌 条 件 の 検 討 MRS 培 地 に て 24 時 間 培 養 し た 培 養 液 を 5 mL ず つ 試 験 管 に 分 注 し 、 沸 騰 湯 浴 中 に て 一 定 時 間 保 持 し 、 そ の 希 釈 液 を MRS 平 板 培 地 に 接 種 し 、 出 現 し た コ ロ ニ ー 数 を 計 測 、 生 菌 数 を 算 出 し た 。

１ － ７ － ４ 実 験 結 果 (1) sh7 株 の GABA 生 産 に 於 け る pH の 影 響 初 発 pH を 4.5、5.5、6.5 に 調 整 し 、薄 層 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー（ TLC）に よ っ て GABA 生 産 の 確 認 を 行 っ た 結 果 、 GABA 生 産 時 期 は 、 pH4.5、 pH5.5、 pH6.5 の 順 に 早 か っ た 。 (2) sh7 株 の 静 置 培 養 に 於 け る 菌 数 変 化 と pH の 影 響 炭 酸 カ ル シ ウ ム の 添 加 に よ っ て 培 地 の pH を 制 御 し た 結 果 、 未 添 加 に 比 べ 菌 数 増 殖 の ピ ー ク が 後 方 に シ フ ト し 、 ま た 最 大 菌 数 も 高 い 傾 向 が 認 め ら れ た （ 図 １ － ７ － １ ）。 （図１－７－１）　静置培養におけるpH制御の影響 1.00E+00 1.00E+01 1.00E+02 1.00E+03 1.00E+04 1.00E+05 1.00E+06 1.00E+07 1.00E+08 1.00E+09 1.00E+10 1.00E+11 1.00E+12 開始時 24hr 48hr 72hr 菌数（ c fu / ml） 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7 7.5 pH 菌数 pH制御（無） 菌数 pH制御（有） pH pH制御（無） pH pH制御（有） (3) sh7 株 の 殺 菌 条 件 の 検 討 培 養 液 を 5 mLず つ 試 験 管 に 分 注 し 、 沸 騰 湯 浴 中 に て 一 定 時 間 保 持 し た と こ ろ 、 殺 菌 に は 少 な く と も 3分 以 上 の 煮 沸 が 必 要 で あ る 事 が 示 唆 さ れ た 。 （ 表 １ － ７ － １ ） 煮 沸 処 理 に よ る 菌 数 の 経 時 変 化 0 分 1 分 3 分 5 分 10 分 Test 1 30×109 _20×105 _{0 0 0} Test 2 79×109 _2.5×105 _{0 30×10 ND} Test 3 7×109 _2.5×103 _{0 0 ND} １ － ７ － ５ 研 究 成 果 野 菜 を 原 料 と し た 乳 酸 発 酵 に 於 い て 、中 性 付 近 で の pH 制 御 は 総 菌 数 の 増 加 を も た ら し た 。 一 方 、 GABA 産 生 能 に 関 し て は よ り 低 い pH 条 件 で 良 好 な 傾 向 が 見 ら れ た 。 こ れ に 関 し て 、 GABA 産 生 に 関 与 す る グ ル タ ミ ン 酸 脱 炭 酸 酵 素 の 至 適 pH が 酸 性 側 に あ る 事 か ら 説 明 出 来 る 。今 後 よ り 高 い GABA 収 量 を 得 る に は 、菌 数 の 速 や か な 増 殖 と 酵 素 の 至 適 条 件 へ の 動 的 な ｐ H 制 御 が 必 要 で あ る と 考 え ら れ た 。 ま た 、 機 能 性 を 失 い 難 い マ イ ル ド な 条 件

１－８ 原料野菜および乳酸発酵液の安定性

福 岡 県 農 業 総 合 試 験 場 食 品 流 通 部 主 任 技 師 法 村 奈 保 子 １ － ８ － １ プ ロ ジ ェ ク ト 全 体 に 於 け る 本 研 究 開 発 部 分 の 位 置 付 け と 目 的 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の 乳 酸 発 酵 液 を 用 い た 食 品 を 開 発 す る 際 、 製 造 工 程 や 殺 菌 、 調 理 な ど に お け る 加 熱 処 理 や 、 製 品 保 存 中 に お け る 諸 条 件 と 機 能 性 成 分 等 の 安 定 性 に つ い て 明 ら か に す る 必 要 が あ る 。そ こ で 、乳 酸 発 酵 液 の ア ン ギ オ テ ン シ ン Ⅰ 変 換 酵 素（ ACE）阻 害 能 お よ び GABA 安 定 性 を 調 査 し た 。 １ － ８ － ２ 目 的 と 目 標 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 抽 出 物 を 加 熱 処 理 し た 場 合 の ACE 活 性 阻 害 能 の 安 定 性 と 、 異 な る ｐ H 条 件 下 で の GABA の 安 定 性 に つ い て 明 ら か に す る 事 を 目 的 と し た 。 １ － ８ － ３ 実 験 方 法 及 び 実 験 条 件 (1)ア ブ ラ ナ 科 野 菜 ACE 活 性 阻 害 能 の 加 熱 安 定 性 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 の 凍 結 乾 燥 粉 末 に リ ン 酸 緩 衝 液 を 添 加 し 、 常 温 お よ び 沸 騰 水 中 で 抽 出 し 、 そ の 抽 出 液 の ACE 活 性 阻 害 能 を 評 価 し た 。 (2)ｐ H 及 び 保 存 日 数 が GABA の 安 定 性 に 及 ぼ す 影 響

ｐ H3.0～ 8.0 に 調 整 し た Mcllvaine Buffer に GABA（ 和 光 純 薬 製 ） を 溶 解 し 、 30℃ で 4 週 間 貯 蔵 、 経 時 的 に サ ン プ リ ン グ を 行 い 、 GABA 含 有 量 を 測 定 し た 。 (3)乳 酸 発 酵 液 の 貯 蔵 安 定 性 三 池 高 菜 を sh7 菌 株 で 乳 酸 発 酵 し 、発 酵 後 の 液 を 30℃ で 4 週 間 貯 蔵 、経 時 的 に サ ン プ リ ン グ を 行 い 、 GABA 含 有 量 を 測 定 し た 。 １ － ８ － ４ 実 験 結 果 (1)ア ブ ラ ナ 科 野 菜 ACE 活 性 阻 害 能 の 加 熱 安 定 性 い ず れ の ア ブ ラ ナ 科 野 菜 も 、 加 熱 抽 出 に よ る ACE 活 性 阻 害 能 の 低 下 は 認 め ら れ な か っ た （ 図 １ － ８ － １ ）。

0 20 40 60 80 100 三池高菜 かつお菜 山潮菜 柳川青高菜 晩抽青高菜 赤大葉高菜 こぶ高菜 非加熱 加熱 AC E活性阻害能( ％) （図１－８－１）　アブラナ科野菜ACE活性阻害能の加熱安定性 (2) ｐ H 及 び 保 存 日 数 が GABA の 安 定 性 に 及 ぼ す 影 響

ｐ H3.0～ 8.0 の Mcllvaine Buffer 中 に 溶 解 し た GABA は 、 30℃ で 28 日 間 貯 蔵 し て も 含 有 量 は 低 下 し な か っ た （ 図 １ － ８ － ２ ）。 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 0日目 7日目 14日目 21日目 28日目 ｐH3.0 ｐH4.0 ｐH5.0 ｐH6.0 ｐH7.0 ｐH8.0 G A B A 含有量( mg/ 1 0 0 ml ) 貯蔵日数 （図１－８－２）　γ-アミノ酪酸（GABA)の貯蔵安定性 (3) 乳 酸 発 酵 液 の 貯 蔵 安 定 性 三 池 高 菜 の 乳 酸 発 酵 液 は 、 30℃ で 28 日 間 貯 蔵 し て も GABA 含 有 量 の 低 下 は 認 め ら れ な か っ た （ 図 １ － ８ － ３ ）。

0 10 20 30 40 50 ０日目 ７日目 １４日目 ２１日目 ２８日目 GA BA 含有 量(mg / 1 0 0 ml) 貯蔵日数 （図１－８－３）　三池高菜乳酸発酵液中のGABAの貯蔵安定性 １ － ８ － ５ 研 究 成 果 三 池 高 菜 の 乳 酸 発 酵 液 は 、貯 蔵 中 も GABA 含 有 量 が 低 下 せ ず 、GABA は ｐ H に よ る 影 響 を 受 け 難 い た め 、 発 酵 液 は 安 定 性 に 優 れ て い る 事 が 明 ら か と な っ た 。

２． 乳酸発酵液を利用した機能性食品の開発

２－１ 機能性食品の製造技術の確立

一 番 食 品 株 式 会 社 研 究 開 発 部 係 長 牧 哲 義 研 究 員 鳥 越 友 公 株 式 会 社 や ま や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ 相 馬 さ や か 森 永 詞 子 ２ － １ － １ プ ロ ジ ェ ク ト 全 体 に 於 け る 本 研 究 開 発 部 分 の 位 置 付 け と 目 的 原 料 加 工 処 理 法 の 工 業 レ ベ ル で の 検 討 や 、 現 在 の 市 場 ニ ー ズ に 合 わ せ た 最 終 的 な 製 品 形 態 の 考 察 、 試 作 品 の 作 製 と 官 能 評 価 等 を 実 施 し 、 福 岡 県 産 ア ブ ラ ナ 科 野 菜 乳 酸 発 酵 液 を 原 料 と し た 新 し い 機 能 性 食 品 の 事 業 化 を 見 据 え た 研 究 開 発 を 行 う 事 を 目 的 と し た 。 ２ － １ － ２ 目 的 と 目 標 ・ ㈱ や ま や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ 野 菜 乳 酸 発 酵 液 を 用 い た 製 品 の 一 形 態 と し て ス ー プ ま た は ド レ ッ シ ン グ を 想 定 し 、 官 能 試 験 を 繰 り 返 す 事 で 、 発 酵 液 を 多 く 含 み 且 つ 味 の 良 い 試 作 品 を 作 製 す る 事 を 目 的 と し た 。 ・ 一 番 食 品 ㈱ 九 州 大 学 に よ り ス ク リ ー ニ ン グ さ れ た 乳 酸 菌 に て 福 岡 県 特 産 野 菜 を 発 酵 し 、 福 岡 県 農 業 総 合 試 験 場 お よ び ㈱ 九 州 メ デ ィ カ ル に よ り 、γ -ア ミ ノ 酪 酸（ GABA）濃 度 や ア ン ジ オ テ ン シ ン Ⅰ 変 換 酵 素（ ACE）阻 害 活 性 、抗 酸 化 活 性 等 の 機 能 性 評 価 を ふ ま え て 選 択 さ れ た 野 菜 発 酵 液 を 用 い 、 機 能 性 食 品 へ の 応 用 展 開 を 目 指 す 。 特 に 以 下 の 3 項 目 に つ い て 検 討 し た 。 ① 最 終 的 に 選 定 さ れ た 福 岡 県 特 産 野 菜 で あ る 三 池 高 菜 及 び 山 汐 菜 に つ い て 、ス ケ ー ル ア ッ プ を 目 指 し た 野 菜 前 処 理 方 法 の 検 討 。 ② 野 菜 発 酵 液 に つ い て の 官 能 評 価 （ 味 、 香 り ）。 ③ 野 菜 発 酵 液 を 有 効 量 添 加 し た 食 品 の 開 発 。 ２ － １ － ３ 実 験 方 法 及 び 実 験 条 件 (1)野 菜 発 酵 液 の 加 熱 処 理 に よ る 色 調 ・ 風 味 へ の 影 響 （ ㈱ や ま や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ ） 三 池 高 菜 、 か つ お 菜 及 び 山 汐 菜 の 乳 酸 発 酵 液 を 110℃ 、 20 分 間 ま た は 121℃ 、 15 分 間 の 条 件 で 加 熱 処 理 し 、 色 調 及 び 風 味 の 変 化 を 調 査 し た 。 (2)試 作 品 の 官 能 評 価 （ ㈱ や ま や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ ） 当 社 製 の 明 太 ド レ ッ シ ン グ に 上 記 3 種 の 野 菜 発 酵 液 を 30％ 、50％ 、70％ の 比 率 で 添 加 し 、 当 社 研 究 員 5 名 を 対 象 に 官 能 評 価 （ 甘 味 ・ 塩 味 ・ 酸 味 ・ 旨 味 ・ 青 臭 さ の 5 項 目 に つ い て 5 点 満 点 で 評 価 ） を 実 施 し た 。 ス ー プ に つ い て も 自 社 製 か ぼ ち ゃ ス ー プ を ベ

ー ス と し て 10～ 40％ の 範 囲 で 発 酵 液 を 添 加 し 官 能 評 価 を 行 っ た 。 (3)野 菜 の マ ス コ ロ イ ダ ー 処 理 （ 一 番 食 品 ㈱ ） ラ ボ ス ケ ー ル に お け る 野 菜 の 乳 酸 菌 発 酵 で は 、 野 菜 重 量 に 対 し 等 量 の 水 を 加 え 、 ミ キ サ ー 処 理 を 行 い 遠 心 分 離 の 後 、 上 清 を 乳 酸 菌 発 酵 に 用 い て き た 。 し か し 、 水 を 加 え る こ と で 野 菜 の 機 能 性 成 分 が 希 釈 さ れ る 事 や 、 工 業 化 を 行 う 際 、 遠 心 分 離 後 の 残 渣 の 問 題 が 懸 念 さ れ た 。 そ の た め 、 野 菜 の 持 つ 成 分 を そ の ま ま 活 用 し 、 更 に 残 渣 の 問 題 も 解 決 可 能 な 方 法 と し て 、 野 菜 そ の も の を 磨 り 潰 す マ ス コ ロ イ ダ ー （ 増 幸 産 業 ） 処 理 を 検 討 し た 。 野 菜 は こ れ ま で の 研 究 成 果 か ら 選 定 さ れ た 三 池 高 菜 及 び 山 汐 菜 を 用 い 、 処 理 後 の 液 に つ い て は 一 般 成 分 分 析 を 行 っ た 。 (4)野 菜 発 酵 液 の 官 能 評 価 （ 一 番 食 品 ㈱ ）

Lactobacillus plantarum JCM1057（ LP 株 ） 及 び Lactobacillus brevis （ sh7 株 ） を 用 い 、発 酵 さ せ た も の の 官 能 評 価 を 行 っ た 。官 能 評 価 は 、当 社 研 究 開 発 部 員 10 名 に 最 も 商 品 開 発 に 使 用 し 易 い も の を 選 択 さ せ 、 そ の 他 評 価 を 自 由 に 記 載 さ せ る 方 法 に て 実 施 し た 。 (5)野 菜 発 酵 液 を 用 い た 試 作 品 の 開 発 （ 一 番 食 品 ㈱ ） (4)及 び GABA 濃 度 、 ACE 阻 害 活 性 な ど を 考 慮 し 、 野 菜 と し て 三 池 高 菜 を 選 択 、 三 池 高 菜 発 酵 液 を 用 い た 商 品 開 発 を 行 っ た 。 三 池 高 菜 発 酵 液 を 食 品 素 材 と し て 用 い る 場 合 の 問 題 点 は 、 乳 酸 発 酵 に よ る 独 特 の 発 酵 臭 、 渋 み 、 苦 味 と い う よ う な 部 分 で あ る 。 こ れ ら 特 徴 を 如 何 に し て 活 か す か 、 も し く は マ ス キ ン グ す る か と い う 部 分 に 重 点 を 置 き 開 発 に 従 事 し た 。ア イ テ ム は 混 ぜ 飯 の 素 、ス ー プ 、ド レ ッ シ ン グ 、パ ス タ ソ ー ス 等 10 品 目 を 試 作 し た 。 ２ － １ － ４ 実 験 結 果 (1)野 菜 発 酵 液 の 加 熱 処 理 に よ る 色 調 ・ 風 味 へ の 影 響 （ ㈱ や ま や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ ） 加 熱 条 件 と し て 、 110℃ で 20 分 間 ま た は 121℃ で 5 分 間 の 処 理 を 行 っ た 結 果 、 い ず れ の 発 酵 液 に 於 い て も 褐 変 や 白 濁 化 が 発 生 し た 。 風 味 に 関 し て は 加 熱 処 理 に よ っ て 苦 味 を 増 す 傾 向 に あ る も の の 、 酸 味 や 野 菜 特 有 の 青 臭 さ が 軽 減 さ れ 、 風 味 の 改 善 効 果 が 認 め ら れ た 。 (2)発 酵 液 添 加 ド レ ッ シ ン グ の 官 能 評 価 （ ㈱ や ま や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ ） 明 太 ド レ ッ シ ン グ を ベ ー ス と し て 、 各 種 野 菜 エ キ ス を 表 ２ － １ － １ に 示 す 比 率 で 添 加 し た 。 こ れ ら ド レ ッ シ ン グ 混 合 液 の 五 味 試 験 を 実 施 し た 結 果 、 三 池 高 菜 発 酵 液 の 使 用 時 に 於 い て 最 大 70％ の 発 酵 液 添 加 が 可 能 で あ っ た （ 表 ２ － １ － ２ ）。 （ 表 ２ － １ － １ ） 明 太 ド レ ッ シ ン グ と 野 菜 発 酵 液 の 混 合 比 率 ① ② ③ 明 太 ド レ ッ シ ン グ 70％ 50％ 30％ 各 種 野 菜 発 酵 液 30％ 50％ 70％

（ 表 ２ － １ － ２ ） ド レ ッ シ ン グ 試 作 品 の 官 能 評 価 結 果 ス コ ア （ 5 点 中 ） 評 価 者 の コ メ ン ト 三 池 高 菜 ① 3.07 発 酵 液 の 味 が 感 じ ら れ ず マ イ ル ド で あ る 。 ② 2.29 味 が 薄 ま り 青 臭 さ を 感 じ る 。 ③ 1.14 酸 味 、 青 臭 さ が や や 強 い 。 か つ お 菜 ① 2.63 酸 味 の 質 が 異 な る が 殆 ど 変 化 無 し 。 ② 1.63 バ ラ ン ス が 悪 く 青 臭 さ が 強 い 。 ③ 1.00 塩 辛 さ 、 青 臭 さ 、 酸 味 、 渋 み が 強 い 。 山 汐 菜 ① 2.25 味 が 薄 ま り 青 臭 さ を 感 じ る 。 ② 1.63 酸 味 、 青 臭 さ が 増 す 。 ③ 0.75 塩 辛 さ 、 青 臭 さ 、 酸 味 、 苦 味 が 目 立 つ 。 ス コ ア 基 準 0～ 1 点 ： 許 容 範 囲 外 、 1～ 5 点 ： 許 容 範 囲 内 か ぼ ち ゃ ス ー プ を ベ ー ス と し て 野 菜 乳 酸 発 酵 液 を 10％ 、20％ 、30％ 及 び 40％ の 比 率 で 添 加 し 、 ド レ ッ シ ン グ 同 様 に 官 能 評 価 を 行 っ た 結 果 、 20％ ま で が 発 酵 液 の 酸 味 と 青 臭 さ を 感 じ な い レ ベ ル で あ っ た が 、 最 大 40％ に お い て も 全 体 の バ ラ ン ス と し て 許 容 範 囲 内 で あ っ た （ デ ー タ は 示 さ ず ）。 （ 写 真 ２ － １ － １ ） ス ー プ 試 作 品 盛 り 付 け イ メ ー ジ (3)野 菜 の マ ス コ ロ イ ダ ー 処 理 液 の 成 分 分 析 （ 一 番 食 品 ㈱ ） 三 池 高 菜 及 び 山 汐 菜 の マ ス コ ロ イ ダ ー 処 理 液 の 一 般 成 分 分 析 を 行 っ た 結 果 を （ 表 ２ － １ － ３ ） に 示 し た 。 （ 表 ２ － １ － ３ ） 三 池 高 菜 マ ス コ ロ イ ダ ー 処 理 液 の 成 分 分 析 項 目 三 池 高 菜 山 汐 菜 分 析 方 法 可 溶 性 固 形 分 5.0 7.0 屈 折 糖 度 計 ｐ Ｈ 5.16 5.87 ガ ラ ス 電 極 法 塩 分 (%) 0.14 0.11 電 位 差 滴 定 法 水 分 (%) 92.39 90.92 常 圧 乾 燥 法 灰 分 (%) 0.82 0.92 灰 化 法 蛋 白 質 (%) 3.35 3.43 ケ ル ダ ー ル 法 脂 質 (%) 0.91 0.89 ソ ッ ク ス レ ー 抽 出 法 炭 水 化 物 (%) 2.53 3.84 差 し 引 き 法

(4)野 菜 発 酵 液 の 官 能 評 価 （ 一 番 食 品 ㈱ ） 三 池 高 菜 、 山 汐 菜 を sh7 株 に て 発 酵 さ せ た 物 に つ い て 官 能 評 価 を 行 っ た 結 果 を 表 ２ － １ － ４ に 示 し た 。 結 果 、 山 汐 菜 を sh7 株 に て 発 酵 さ せ た 物 が 最 も 高 評 価 で あ っ た が 、 三 池 高 菜 を sh7 株 で 発 酵 さ せ た 物 も 評 価 は 高 く 、乳 酸 発 酵 に よ る GABA 量 の 増 加 、ACE 阻 害 活 性 な ど を 考 慮 し た 結 果 、 原 菜 と し て 三 池 高 菜 を 選 択 し 、 そ の 発 酵 液 を 今 後 の 商 品 開 発 に 使 用 し た 。 （ 表 ２ － １ － ４ ） 野 菜 発 酵 液 の 官 能 評 価 野 菜 菌 株 評 価 順 位 コ メ ン ト 三 池 高 菜 LP 3 黒 酢 に 似 た 臭 い 。臭 い が 強 く 、苦 味 、え ぐ み が 強 い 。 原 料 と し て は 、 使 用 し に く い 。 sh7 2 発 酵 臭 が 弱 い 。 穀 物 酢 の よ う な 柔 ら か い に お い 。 雑 味 が 少 な い 。 原 料 と し て 使 用 し や す い 。 山 汐 菜 sh7 1 発 酵 臭 が 弱 い 。 苦 味 、 渋 み と も に 弱 い 。 原 料 と し て 最 も 使 用 し や す い 。 (5)高 菜 発 酵 液 を 用 い た 商 品 開 発 （ 一 番 食 品 ㈱ ） 三 池 高 菜 乳 酸 発 酵 液 に は 、 独 特 の 発 酵 臭 、 渋 み 、 苦 味 と 言 う よ う な 特 徴 が あ り 、 こ れ ら を 如 何 に し て 活 か す か 、 も し く は マ ス キ ン グ す る か と 言 う 部 分 に 重 点 を 置 き 開 発 に 従 事 し た 。ア イ テ ム は 混 ぜ 飯 の 素 、ス ー プ 、ド レ ッ シ ン グ 、パ ス タ ソ ー ス 等 10 品 目 検 討 し 、 当 社 通 信 販 売 部 の 昨 年 度 の 実 績 、 米 飯 の 機 能 性 食 品 は あ ま り 市 場 に 出 回 っ て い な い と 言 う 点 や 、 官 能 評 価 、 高 菜 発 酵 液 の 配 合 量 か ら 高 菜 ド ラ イ カ レ ー 、 高 菜 ピ ラ フ の 2 品 に 絞 り 込 ん だ 。 ① 高 菜 ド ラ イ カ レ ー 本 メ ニ ュ ー は 野 菜 発 酵 液 の 特 徴 で あ る 味 、 臭 い を マ ス キ ン グ す る 事 に 成 功 し た も の で あ る 。 一 般 に カ レ ー の 味 、 香 り は 数 種 か ら 数 十 種 の ス パ イ ス か ら 形 成 さ れ て お り 、 こ れ ら ス パ イ ス を 活 か し て 発 酵 物 の 味 、 臭 い を マ ス キ ン グ 出 来 た 。 見 た 目 も タ ー メ リ ッ ク の 強 い 色 調 が 高 菜 の 色 を 消 し 、 ド ラ イ カ レ ー タ イ プ （ さ ら っ と せ ず に 粘 度 の 強 い タ イ プ ） に す る 事 で 、 マ ス コ ロ イ ダ ー 処 理 時 に 発 生 す る 高 菜 の 繊 維 質 を 気 に せ ず 食 す る 事 が 出 来 た 。 配 合 比 を 検 討 し た 結 果 、 発 酵 液 を 25%配 合 す る こ と が 可 能 で あ っ た 。 こ の 比 率 の 場 合 、1 食 180g 当 た り の GABA 含 量 は 約 35mg と な り 十 分 量 摂 取 可 能 な 設 計 と な っ た（ 表 ２ － １ － ５ ）。 ② 高 菜 ピ ラ フ こ の メ ニ ュ ー は 発 酵 液 の 風 味 を 活 か し た も の で あ る 。 高 菜 を 用 い た メ ニ ュ ー の 中 で ピ ラ フ は 非 常 に ポ ピ ュ ラ ー で イ メ ー ジ し 易 く 、 タ ー ゲ ッ ト も 若 年 か ら 年 配 層 ま で 幅 広 く 狙 え る 。様 々 な 配 合 比 を 検 討 し た 結 果 、発 酵 液 を 30%ま で 添 加 す る 事 が 可 能 で 、1 食（ 50g） 当 た り の GABA 含 量 は 理 論 値 に し て 15mg と な り 、 十 分 に 効 果 を 期 待 出 来 る 量 と 考 え ら れ た （ 表 ２ － １ － ６ ）。