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Responses of marine ecosystem to typhoons in the western subtropical North Pacific

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Academic year: 2021

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博 士 ( 環 境 科 学 ) 柴 野 良 太

学 位 論 文 題 名

Responses of marine ecosystem to typhoons in the western subtropical North Pacific

(亜熱帯における台風通過に伴う海洋生態系の応答に関する研究)

学位論文内容の要旨

  台風やハリケーンを始めとする短期で局所的な擾乱イベントによって、植物プランクトンの 増加や海面水温の低下が現れることが近年の衛星観測などによって報告されている。しかし観 測によっては台風直下の応答や内部変動を詳細に評価することは困難であり、亜熱帯など貧栄 養塩環境で台風がどのような影響を及ぼすかはこれまでの研究では十分に議論されていなかっ た。 本論文 では矩形の3次元モデルに生態系プロセスを加えた数値モデルを用いて前述の事柄 に対して定量的な評価を行った。

  前半部では、台風の移動速度と最大風速の変化が、海洋生態系の応答にどのような影響を及 ぼすかについて解析を行った。その結果として、台風が停滞した時、または最大風速が強い時 に、混合層内の植物プランクトンブルームが発生することがわかった。これは台風の中心で発 生す る湧昇 によって 上方ヘ 輸送され る栄養塩によって引き起こされており、深度100m以深に 分布する高濃度の栄養塩が混合層内まで引き上げられるかどうかがイベントの発生条件となっ てい るため である。 また実 際に衛星 で観測さ れた台 風(1997年 台風25号Kith)通過後の植物 プラ ンクト ンブルー ムの再 現実験を 台風の経路情報を用いて行った。この台風の転向点付近

(18N,136E)でパッチ状の植物プランクトンの局所的な増加(通過前と比較して5倍以上)が 確認されていた。衛星と実験結果を比較検証したところ、台風の経路晴報だけで観測で得られ た局所的な濃度上昇を説明できることがわかった。また生物過程を除いて同実験を行ったとこ ろ、 通過前 の濃度と比較して2倍程度までしか表層のプランクトン濃度は上昇せず、観測で得 られたような大きな濃度変化は再現できなかった。これにより亜熱帯においては、台風は生物 過程による生産を大きく励起させるものであり、通過後の表層濃度変化の大部分は生物過程に よって起こってしヽるものであることカ諦鶴忍できた。

  後半部では、台風の移動速度・最大風速の変化を含む経路情報と前半部の結果を用いて台風 個々の一次生産増加量を見積もり、台風ひとつ、年間の台風が亜熱帯の生産陸にどの程度影響 を与 えてい るかを評価した。これによって1997年から2007年までの平均の亜熱帯生産の約1% が台風によって励起されているということがわかった。またその内どの程度が新生産、すなわ ち台風によって新たに供給された栄養塩によって行われた生産によるものかを定量的に評価し、

議論を行った。

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  本 研究を通し、亜熱帯の海洋生態系・生産陸に対する台風の寄与を定量的に評価することが でき た。全海洋の多くの占める貧栄養海域においては、台風など短期かつ局所的なイベントが 無 視 で き な い も の で あ る と い う こ と が 明 示 的 に 示 す こ と が で き た 。

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学 位 論 文 審 査 の要 旨 主 査 副 査

教授 教授 准 教 授 特任助教 名誉教授

山 中 田 中 藤 井 根 岸 南 川

学 位 論 文 題 名

康裕 教幸 賢彦 淳二郎 雅男

Responses of marine ecosystem to typhoons in the     western subtropical North Pacific

(亜熱帯における台風通過に伴う海洋生態系の応答に関する研究)

  台風やハリケ ーンを始めとする短期の擾乱イベントによって、植物プランクトンの増加や 水温の低下が現 れることが近年の衛星観測などによって報告されている。しかし観測によっ ては台風直下の 応答や内部変動を詳細に評価することは困難であり、亜熱帯など貧栄養塩環 境で台風がどの ような影響を及ばすかはこれまでの研究では十分に議論されていなかった。

本 論 文 で は 矩形 の3次 元モ デン レを 用い て前 述の 事柄 に対 して 定量 的 な評 価を 行っ た。

  前半部では、 台風の移動速度と最大風速の変化が、海洋生態系の応答にどのような影響を 及ぼすかについ て解析を行った。その結果として、台風が停滞した時、または最大風速が強 い時に、混合層 内の植物プランクトンブルームが発生することがわかった。これは台風の中 心で発生する湧 昇によって上方へ輸送される栄養塩によって引き起こされており、深度100m 以深に分布する 高濃度の栄養塩が混合層内まで引き上げられるかどうかがイベントの発生条 件となっている ためである。また実際に衛星で観測された台風(1997年台風25号Keith)通過 後の植物プラン クトンブルームの再現実験を台風の経路情報を用いて行った。この台風の転 向 点付 近(18N136E)でパッチ状の植物プランクトンの局所的な増加 (通過前と比較して5倍 以上)が確認さ れていた。衛星と実験結果を比較検証したところ、台風の経路情報だけで観 測 で得 られ た局 所的な濃度上昇を説明 するできることがわかった。また生物過程を除いて 同実験を行った ところ、通過前の濃度と比較して2倍程度までしか表層のプランクトン濃度は ヒ 昇せ ず、 観測 で得られたような大き な濃度変化は再現できなかった。これにより亜熱帯 においては、台 風は生物過程による生産を大きく励起させるものであり、通過後の表層濃度 変 化 の 大 部 分 は 生 物 過 程 に よ っ て 起 こ っ て い る も の で あ る こ と が 確 認 で き た 。   後半部では、 台風の移動速度・最大風速の変化を含む経路情報と前半部の結果を用いて台 風個々の一次生 産増加量を見積もり、台風ひとつ、年間の台風が亜熱帯の生産性にどの程度 影響を与えてい るかを評価した。これによって1997年から2007年までの平均の亜熱帯生産の 約1%が台風によって励起されているということがわかった。またその内どの程度が新生産、

すなわち台風に よって新たに供給された栄養塩によって行われた生産によるものかを定量的

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に評価し、議論を行った。本研究を通し、亜譲滞の泊洋生態系・生産牲に対する台風の寄与 を定量的に評価することができた。さらに,この手法を高度化することにより気候学的な生 物 生 産 に 対 す る 台 風 の 役 割 を さ ら に 解 明 す る こ と が で き る と 期 待 さ れ る 。   審査委員一同は,これらの成果を高く評価し,また研究昔として誠実かつ執心であり,大 学院博士課程における研鑽や修得単位などもあわせ,申請者が博士(環境科学)の学位を受 けるのに充分な資格を有するものと判定した。

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参照

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