減価償却の意義とその計算方法
その他のタイトル Depreciation Method
著者 植野 郁太
雑誌名 關西大學商學論集
巻 4
号 1
ページ 1‑18
発行年 1959‑04‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/00021772
減 価 償 却 の 意 義 と そ の 計 算 方 法
会計上いわゆる減価償却とは︑費用決定の一方法で︑固定資産の取得原価を対応の原則に従って当該財の用役継
減価償却に相当する英語
d e
p r
e c
i a
t i
o n
は語源的には
d e
即ち下落ないし減少と︑
p r
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i u
即ち価格ないし価値 m
d e p r
e c i a
t i o n
といった例もあ
よ う だ ︒ 例 え ば ︑ リークはイギリスで銀行その他の金融業者が株価の下落を示すに
a p p r
e c i a
t i o n
ー
減価償却の意義とその計算方法
︵植 野︶
植
野
一定の方法によ 郁
︵増価︶の反
太
発展と密接に関聯せる各種の事情によって︑従前の固定資産がそれ自体としては前の用役を提供し得るが︑それ
(
イ)
よって提供された用役︑給付の内容が経済的ないし収益的観点より見て有益なりや否やに関するもので︑かかる
有益性を減少せしめることによってその﹁価値の喪失﹂を齋らすが如き原因のことである︒ 口 も︑風化その他の自然現象によって次第に老朽化することをまぬがれない︒
機能的ないし外部的原因
(f目
c t i o n a l or x t e e rn a l c a u se s )
ー│機能的ないし外部的原因とは︑
( 口
)
ってその進度を緩和することはできるが︑しかしいずれにしても消耗の存在は否定できない︒
(イ)
減価償却の意義とその計算方法
題で減価償却とは別箇のものである︒継続企業において︑しかも企業内で使用されるものについて決算時毎に︑そ
の市価あるいは処分価格による表示を問題にすることは明らかに矛盾している︒かくしてこの場合の価値は一応︑
使用価値ないし効用の意となるが︑そこにもなお問題が残る︒使用価値の減少の原因には種々のものが考えられる
であり︑すべての固定資産もその名にかかわらず︑この法則からまぬがれることはできない﹂と︒ここに物理的な
いし内部的原因の存在の最も端的な表現をみる︒それは固定的な各種資産の本来の用役の円滑な提供を阻害し︑ま
た停止せしめるような原因であり︑減価の直接的な原因である︒
使用に伴う消耗
(w ea r an d t e ar )
ー消耗の度合はその使用法︑ 使用量に比例し︑修繕その他の方法によ
‑ ‑時間の経過に伴う退化
( d e t e r i o r a t i o n )
-|—各種の固定資産はまた、•
不適応または不充分
(i na de qu an cy )1
企業の規模の拡大︑ H 物理的ないし内部的原因
( p h y s i c a l o r i n t e r n a l c au s e s)
が︑それらは一般に次の如く分類される︒
︵植 野︶
その取扱量の増大︑ その他とにかく企業の たとえ使用せずにおいておくとして
③│^ットフィールドは言う︒ ﹁破減は自然の法則
各固定資産に
斑がよく示されている︒ 実施する必要はないと主張した︒
︵ 植
野 ︶
これに対し^ットフィールドは﹁会計の立場からみれば︑ 能率 なるほど彼等は今日の減価償却の真意を理解していないが︑ 彼等は機械等の減価償却は調達の直後から 及び流行の変遷やあるいは代替品の著しい進出によって︑ 旧来の製品が販売し得なくな
(
口 )
従前のものを利用することが却っ では増大した新しい要求に応じ得なくなることである︒ここでは量的な観点が中心になっている︒
陳腐化(obsolescence)ー_—新しい技術的発明あるいは改良によって、
て不経済になる場合︑
り︑かつ従来の財によってはこの旧い製品の造出しかできないといった場合のことである︒不適応が主として量
的側面からくるのに対して︑質的側面からの変化に応じ得ないことが陳腐化の特徴であると考えて大過ない︒
これらの原因の作用結果は当該財の上に徐々に現われるものではなく︑その終局に近づいて急速に具体化するのが
普通である︒かかる事情の下において︑即ちその性能も全然低下しておらず︑その給付内容も企業にとって満足す
べきものであるときに︑機械の使用価値は減少しているということがはたして正しいだろうか︒この点はかってア
メリカにおいてニンジニャーの側から強く指摘されたところである︒
少ということを最も忠実に守ったものといえる︒ 彼等こそ価値の減
(e目ciency)には生産量(各財が一定期間にどれだけの給付を提供し得るかということー—筆者註)と共にその用役の継続性
( du r a ti o o f n th e s e r v i c e ) .
(
そ れ
が ど
れ だ
け の
期 間
に 亙
っ て
給 付
を 提
供 し
得 る
か と
い う
こ と
ー │
筆 者
註 ︶
が 含
ま れ
て い
る ︒
⁝⁝故に会計が価値の継続的減少があるといい︑また︑購入者が一
00年間に亙る用役に対して金を支払ったとし
て︑購入後一年たった時︑彼は一
00年間の用役の代りに九九年間に亙る用役を多分提供し得るものを持っている
③
のであるから︑減価償却を行ったというのは正しい﹂と主張している︒この説明のうちに減価償却計算の理念の一
一般の棚卸資産については︑その入庫︑出庫ひいてその消費額さらに期末在庫をかなり正
減 価
依 却
の 意
義 と
そ の
計 算
方 法
減価償却の意義とその計算方法
確に計算できるが︑減価償却の対象となる固定資産は長期にわたり全一体として企業目的に利用されており︑それ
の日常的消費というも全く理念的なもので︑具体的な正確な算定はありえない︒従って償却計算によって各期間に
配分された費用がそれぞれの期間の消費にできるだけ即応したものであることが一方で強く要求されても︑具体的
事実によってそれを裏附けることは不可能である︒ここに減価償却計算が政策的配慮によって左右される余地を多
分に残し︑ひいてまた幾多の問題を醸成してくるそもそもの原因が胚胎しているといえよう︒
減価の基本的なものが生産的利用に伴う消費であることはいうまでもない︒かかる生産的消費分は当然︑そこに
産出された製品に化体されていると考えられ︑それを価値移転とみることができよう︒他方︑企業の立場からはか
かる生産的消費のみでなく︑機能的原因によって十分に予想される﹁価値喪失﹂分にも対処しなくてはならない︒
特に技術的進歩が著るしく︑経済変動の激しい時代には後者に対する配慮はますます重要となってくる︒その場合
理念的には価値移転分を償却費として計上し︑価値喪失分については別個に︑例えば臨時的ないわゆる特別償却で
処理することが考えられるが︑喪失分の発生する蓋然性が強ければそれらを一概に臨時的なものとして取扱うこと
なく︑常時それに対処しうるようにかかる損失を各期間に分割し︑見越し計上することが保守主義の原則にも合致
するのぞましい会計処理だといえよう︒またこのように二つの償却が並行的に行われるとき︑価値喪失に相当する
償却費はそのまま当該期間の費用となるが︑価値移転分の償却は当然に当該製品原価を構成し︑製品の期末在高に
ふくまれる償却額は次期に繰越すのが一応正しい処理法だといえよう︒ところがかかる事実に最も忠実なはずの原
価計算論でも 今日では︑償却費を生産量とは関係なく発生する固定費として処理するのみでなく︑さらにすすん
で生産量にかかわりなき期間費用
( p e r i o d c o s t )
で︑発生期間に全額費用として回収すべきだとする考え方が次第
︵植 野︶
四
減法の採用には特に慎重でなくてはならない︒また税法は特定産業保護の名目で耐用年数の短縮化やまた各種の特
別償却︵碑翠鵡直霞︶を認めているが︑
算という本体から遊離し︑それがはたして正当な費用の計算かどうかまぎらわしくなってくる︒技術の進歩ととも る ︒
︵植
野︶
これらが広範囲にわたってくると︑
五
に強くなり︑それが経営政策︑とりわけ利益計画の立案には一層すぐれたものとして採り入れられている︒ここに
も価値移転の認識は後方におしやられる傾向が顕著に出ているのであって︑企業が機能的原因による減価に対処せ
んとする意向をもっときにはそれだけを別箇に採り上げるのではなく︑価値移転分ひいてその回収と価値喪失の回
収 を
同 時
に ︑
両者を一括して︱つの償却計算の対象として処理することになる︒ その結果として﹁投下資本の一
④部分ではあるものの未だ現実に消耗していない部分までもが回収部分として減価償却に加算されること﹂もあろ
う︒しかしいずれにしても︑減価償却は現実には価値移転計算というよりはむしろそれを包蔵したうえでの回収計
算としての性格を示してくるのである︒
減価償却の意義は大体︑以上の如くであるが︑なおいま少し立入って検討してみる必要がある︒まず第一に期間
利益計算という会計の本筋からみれば︑とにかく減価償却は固定資産の費用計算であり︑利益のない時には償却を
実施せず︑利益のあるときに︑その額に応じてこれを行うといったものではない︒各期の償却額の大さは正規の計
算手続︑即ち各場合に利用される減価償却の方法によってはじめから確定されており︑営業成績の如何にかかわら
ず費用に計上すべきものである︒ところで︑採用した償却方法の如何によっては特定期間の償却費が著るしく増大
し︑また逆に過少になり︑ 明らかに償却を通じて計上利益の操作が行われていると判断せざるをえないこともあ
一定の是認された償却方法を継続しておれば︑常に正常な計算であると簡単に断定するわけにはいかない︒逓
減価償却の意義とその計算方法
減価償却はますます生産的消費分の計
減価償却の意義とその計算方法
に償却費のしめる比重が増大しているだけに︑このことは特に看過できない問題である︒
一方には高率課 さて企業資本の循環に則して考えれば︑すべての費用の計上は回収すべき額を示し︑それに対応する収益はその
回収の成果を示す︒償却の対象となる財に投下ないし支出された金額は原則として︑製品に化体し︑製品の販売を
通じて逐次回収されていくことになる︒減価償却はかかる観点よりみれば︑償却資産に固定された資本の流動化を
意味し︑各期の償却額は当該期間中におけるこの流動化の大きさを示す︒しかしこのように流動化され︑回収され
たとき︑それだけのものはいかなる財貨用役にも投下されうるものである︒けだし一般の外部用役︑棚卸資産にお
いては︑調達︑消費︑再調達が日常反覆されており︑これらについての費用計上←収益により回収された資産は
ただちに当該用役ないし資産の再調達のために投下されるべく拘束されていると考えられるが︑償却の対象となる
固定資産はその耐用年数経過時までは一応再調達の問題はでてこず︑従って毎期の償却費計上を通じて回収され︑
保持された額はさしあたり再調達とほかかわりをもたないからである︒そしてこの償却を通じて回収された資金の
利用ということをさらに追求していき︑それとの関連で︑減価償却の意義を検討してみると種々複雑な問題が生じ
てき︑固定資産の費用計算だ︑回収計算だというだけではすまされなくなってくる︒そこで特に重要視されている
のは回収された資金を通じて﹁より改良された設備への転換という形で減価償却が資本蓄積として作用する効果が
固ある︒﹂ということである︒それは企業財務の用語を用いれば︑減価償却の自己金融機能である︒
税の重圧その他諸般の事情も加わって︑利益の社内留保という典型的な自己金融も意の如くならず︑他方には生産
近代化の名のもとに新技術の導入においたてられている今日︑減価償却の自己金融的機能に大きな関心がよせられ
るのは当然かもしれない︒期間費用の計算という減価償却の本旨をはずした償却費の計上がとかく多くなる傾向の
︵植 野︶
六
︵植 野︶
P•D.
Le ak e, De
pr
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n a d W as ti ng As
se
ts
,
1 9 2 3
, p . 5 H.R•Hat皆ld,
Ac co un ti ng , 1
9 2 8 ,
p .
1 20
H.R•Hatfield,
i b i d
. ,
p .1 3
2
馬 場
克 一
︱ ︱
減 価
償 却
論 一
六 ペ
ー ジ
馬 場
克 三
前 掲
書 一
︱ ︱
1 1
一
六 ペ
ー ジ
︑ な
お 最
近 の
こ の
方 面
の 研
究 と
し て
︑ 木
内 佳
市
七
前項でほ減価償却が会計的にほとにかく回収計算としての性格をもつことを強調したが︑ここではさらにかかる 見解を裏附けるような若干の事例をあげることにしよう︒
減価償却計算要素の︱つである償却の基礎価額として一般に取得原価が採用されていることはいまさらいうまで
も な
い が
︑ かかる事実のうちにすでに減価償却が回収計算であることが端的に表明されているといえよう︒会計上 回収ということを考える場合まず第一に考えられるのは当該財に投下された金額の回収であろうし︑それは当該財 の取得原価による償却を通じて行われる︒固定資産の取得原価は当該取引が一般的に公正な市場で行われたもので ある限り︑取得時の価値を正当に反映しているものと考えられるにしても︑長期継続使用による価値消費額の算定 のためにはかかる過去の価値によってではなく︑毎期末の再調達価額による償却即ち時価による償却を採るべきで ある︒平穏な経済状態のもとでは原価によるも︑時価によるも大差ないところから︑実際にはあまり問題にされな い︒しかしインフレの激しい時には︑従前通りの原価による償却ではただ名目的な資本維持が行われるのみで︑到
(5) (4) (3) (2) (1)
減 価
償 却
の 意
義 と
そ の
計 算
方 法
最大の原因はここにもとめられよう︒
減 価
償 却
論 第
三 編
以 下
は 貴
重 な
も の
で あ
る ︒
減価償却の意義とその計算方法
一 時
底経済界の激変についていくことができなくなり︑時価償却により実質資本維持をほかることが是非とも必要だと
主張されることがしばしばある︒ところが︑この点について特に注目すべき事例はアメリカにおいて一九四七年︑
U
S
スティールの再調達価額による償却費の計上をめぐって展開されたいわゆる加速償却法
( a c c e l e r a t e d d e p r e c i a ,
t i o n
)
である︒第二次大戦後アメリカでもインフレによって当時の物価は一九二六年に基準にして一六
0彩 前
後 ︑
四
0
年に比し約二
00彩前後となり︑価値修正︑再調達価額による償却が問題となったが︑それらは
AIA︑
SEC等によって否定され︑取得原価が固執された︒その時クラィスラー会社その他では︑戦後調達した設備についてそ
の取得原価が戦前の物価水準を超ゆる部分を早急に償却する方法を採用したが︑これは正当なものとして是認され
た︒当然価値変動分だけその評価額を大きくし︑償却費をふやすことが合理的だとも考えられる戦前の設備は従前
のままにしておき︑逆に戦後の設備について高水準の取得原価のために十分な償却費の計上が行われていると考え
られるものについてさらに﹁加速的な﹂償却をすることはますます不合理を拡大するものだとの印象を与え︑第三
者的な立場においてその理論的説明は不可能に近い︒しかもそれが是認されたことの最大の理由はそれが変則的な
ものにしろやはり取得原価を基準にした償却計算であり︑耐用年数全体を通じての償却総額が取得原価の範囲にお
さえられれば︑過大償却にはならないということにある︒なるほど償却総額が取得原価に限られている限り︑
的に加速償却をやれば︑その分だけ残存の耐用年数間の償却額は減少することになり︑
えるが︑インフレ時には売上金額が相対的に増大している故︑余分の償却費を負担し得るし︑インフレによるいわ
ゆる名目利益の表示をさけることができ︑他面またその後にくるだろうデフレにそなえ得るわけで︑かえって経営
的には有利だとも判断される︒いずれにしろ︑この加速償却の根底にある理念は減価償却を通じて投下資金の回収
︵植 野︶
一見したところ不都合にみ
八
︵植 野︶
これと対照的な見方により費用を算出する後入先出法と共通のものをもっている︒
九
を行うのであり︑その期間配分の操作により︑またそうして回収された資金の運用を通じてインフレ下の実質資本
維持にも対処しうるということである︒その考え方は棚卸資産について現実の財の流れ︑即ちその消費を無視し︑
さらにいわゆる悪性インフレ時の償却計算につき一督しよう︒悪性インフレともなれば貨幣に対する信頼は地を
払い︑換物傾向は極端になるのであって︑そこでは金あるいは安定した外国貨幣へのリンクが考えられるようにな
る︒こうした事態ではすでに会計も完全な機能を果している貨幣の存在という最大の基盤を失うわけで︑会計は放
棄されるか︑また金または外国の安定した貨幣にリンクした計算に移行してその機能維持を計るかする他ない︒か
かる事態の極端な︑典型的な例として我々は第一次大戦後のドイツの﹁インフレーション会計﹂
をもっている︒また戦後我々が直接経験したインフレーションもこの部類に近いものであって︑貨幣価値のようや
く安定した時期をはかり︑旧くからの固定資産をこの段階における貨幣価値で換算するとの方策が﹁固定資産再評
価﹂の形で行われたが︑これは結局異常なインフレ下における会計機能の著しい減退をこれによって是正し︑貨幣
価値の安定化の時機をとらえ︑会計計算を再出発させるとの重大意義をもっていたのである︒ところが︑二十五年
に第一次再評価が実施された時に︑それが強制的なものでなく︑任意的なものとして各企業の自主的判断にまかさ
れた︒その結果︑各企業は各自の収益力に応じてどの程度まで償却費の負担にたえうるか︑負担可能な償却費を計
上するのにどこまで評価額の引上げが必要か︑償却費の増大による課税所得の減少に伴う税負担の軽減と再評価税
の負担とのかねあいはどうなるか等々が直接的な判断基準となって再評価が実施された︒理論的に正当とみられた
価値修正計算としての再評価ということからみれば︑企業の実際のうけとりかたはまさに本末顛倒だといいうる
減価償却の意義とその計算方法
﹁ 価
値 修
正 会
計 ﹂
減 価
償 却
の 意
義 と
そ の
計 算
方 法
減価償却のいま︱つの重要な計算要素たる耐用年数についてはどうだろうか︒もし減価償却が価値移転計算なら
ば︑耐用年数の算定にあたって減価の物理的原因のみが主に考慮されるべきだろう︒しかるに実際には物理的原因
とともに︑機能的原因が常に考慮され︑具体的にはまず物理的原因によって一応それぞれの使用期間を推測し︑更
にそこから各財について考えられる機能的原因の影響の度合を料酌して︑適当な期間だけ短縮して︑耐用年数を決
特許権その他の法的特権の耐用年数は彼等の法定有効年数に一致することな
例 え
ば ︑
く︑その五
0ないし七
0彩とするのが常識になっている︒︵尤もこの例において法的独占権がほたして価値移転の概念にふ
く ま
れ る
か 否
か 疑
義 が
あ る
が ︑
少 な
く と
も 形
式 的
に は
︑ 法
的 独
占 権
の 有
放 年
数 を
一 般
の 財
の 物
理 的
使 用
期 間
と 同
列 に
み る
こ と
が で
き︑その意味では︑この例示はかならずしも不適当ではない︒︶また有形の償却資産にあっても︑建物等は機能的な原因の
影響は比較的小さく︑大体彼等の構成主要材料及びその使用目的等を勘案して推定された物理的使用期間に近いも
のを以って耐用年数とすることになるが︑各種機械︑装置にあっては機能的原因を大きく見積らなくてはならず︑
耐用年数は比較的短くされることになる︒これらのことは一般的な権威あるものとして受入れられている税法の耐
また機能的原因は箇々の償却資産について箇別的に考えられるのみでな
く︑各事業全体として考える必要もときに生じてくる︒戦時中各軍需産業に認められた耐用年数短縮化の措置︑更
に二十六年度の耐用年数の根本的改正にあたって︑合成繊維設備等︑製造方法が発展の途上にあって今後急速に設
一般より耐用年数を短縮し︑また﹁陳腐化した機械及び装置の耐用年数﹂
なるものを別箇に規定した如きはその適例である︒ここにもまた減価償却に対する考え方の一斑がよく示されてい 備更新の問題が生じうるものについて︑ 用年数表を一覧すればあきらかである︒ 定するということになる︒ が︑現実を否定することはできない︒
︵ 植
野 ︶
10
減価償却の意義とその計算方法
V• ………••基礎価額
v鱈………残存価額
n………耐用年数
D· …...……....•償却費 d··· …...•償却率
·r...• 利子率
第 一 表 本書で減価償却法の公 式に利用した符号
︵ 植
野 ︶
法に従って二者にわかれる︒ ︱つは当該償却資産の帳簿価額の一定率あて減少 さてここで減価償却の計算方法に眼を転じょう︒特殊な方法として生産高比例法︑あるいは利子要因を計算に入
一般的な方法のみを採り上げることにしよう︒
耐用年数を基準とする一般の減価償却において基礎価額︑残存価額︑耐用年数の三者が与えられても︑それで自
動的に毎期の償却額がきまるわけではない︒そこには種々の方法が考えられる︒いまこれを毎期計上される償却額
の相互比較を中心にして分類すれば︑同額法ないし定額法︑逓減法︑逓増法の三者に大別される︒
同額法︵定額法ないし直線法︶とは毎期の償却額を均等ならしめる方法で︑それは償却総額︵基礎価額マイナス
<│ Vn
残存価額︶を耐用年数で除することによって即ち
D 1 1
なる公式によって簡単に計算される︒これは次に述
nべる幾何級数的逓減法とりわけ定率法と比較する意味から基礎価額又は償却総
額に対する一定率として計算することもできる︒即ち残存価額を甚礎価額の一
0
彩とすれば︑求める率は基礎価額の
100[10浅として︑又償却総額に対する
懐澄として算出される︒
次に逓減法は毎期の償却額を順次減少せしめるもので︑その逓減度の算出方
させるもので︑幾何級数的逓減法とよばれ︑他は一定金額ずつ減少するもので れる減債基金法︑年金法等があるが︑これらは除外し︑ る
と い
え よ
う ︒
減価償却の意義とその計算方法
幾何級数的逓減法の代表的なものは定率法
(r ed uc in g va lu e me th od }
価額に︑即ち基礎価額から前期までの償却額を控除した額に一定率を乗じて得た価額をその営業期の償却額として 計上し︑耐用年数の経過時における帳簿価額が残存価額と一致するようにするものである︒定率法においてはまず
かかる率即ち償却率の算出が問題になるが、それにはd111
—-}足 PT(
回Lv.
,i
"
0
氏斗が︶なる公式が用いられる︒
この公式において
V i ‑
>の値を一定とすれば
n
即ち耐用年数が短いほど︑
い ほ
ど ︑
d
即ち逓減率は相対に大きくなる︒そこでこの方法を実際に適用する結果︑逓減度があまりに大きく︑償
よ う に な る ︒
で あ
っ て
︑ 却費負担の期間的不均衡が企業の実状にそわないと判断されるときには︑この逓減度を緩和することが考えられる
そこでは
n即ち耐用年数は所与のものとして一定であるから
V r ‑
>の値を大きくすることが必要とな る︒そこでまず考えられたのが償却不要のものを加えて計算すること︑例えば建物の償却にあたって︑償却不要の 土地を合体して計算することである︒いまシュマーレンバッハのあげた例を引用すれば第二表の如し︒この方法を さらに一般化したものが﹁附加減価償却法﹂
(Z us ch re ib un gs ab sc hr ib un g)
といわれるものである︒
d
%の逓減率によって
n
年後に>になるためにはどれだけの附加額即ち
z
を加えればよいか︒この公式を求める
と次の如し︒
d 1
1 1
ーV
竺
Z図 存
( <
+ z
) (
l
ー
d )
n 1
1 <
n +
z 烹
AN=
Vl(~(l~\ 〗咋
この公式によって︑所与の耐用年数︑基礎価額︑残存価額のもとで︑
d
に任意の値をいれれば
zの値が計算される
ことになり︑どのような逓減率の償却もできることになる︒ 算術級数的逓減法とよばれる︒
︵植
野︶
いま>に対して ま た
nを一定とすれば
V l ‑
>の値が小さ
それは前期より繰越された帳簿
減価償却の意義とその計算方法
(例) 建物について取得原価100,000円, 残存価額10,000円耐用年数50年
とする。なお,土地の価額50,000円である。
(1) 定率法による (2) 土地価額を加算した修正法による
d=1‑V10,000 d=1‑V 10,000+50,000 100,000 ‑ ‑ r 100,000+50,000
d=4•5% d=l•816飴
償却額 償却額
1年目 4,500(100,000X4•5%) 2, 715(150,000X 1°816形) 11年目 2,839 2,268
21年目 1,791 1,888 41年目 713 1,309
第 二 表 修正された定率法の例示
︵植
野︶
であると言っている︒
これが今日でも一般的
次に算術級数的逓減法の典型として旧くから引用されるものにコール
②
の提示した方法がある︒これは償却総額即ちくー
<n
を一から耐用年数
n までの算術級数の総和即ち
n ( n 2
+ 1 )
で除し︑この額に第一年は n ︑
第二年は
n ̲
1 ︑第三年は n ー 2
というふうにそれぞれの残存耐用年 数を乗ずることによって毎年の償却額を決定せんとするものである︒
ール自身はこれを一般に利用される定率法の計算を一層簡易化したもの
ハットフィールドはこの方法に
1
~.
Y e
a r
, D
i g
i t
s M
e t
h o
d
という名称を付けたが︑
用語となっており︑
に 至
っ た
︒
S u
m ,
o f
, t
h e
,
アメリカでは一九五四年以来︑税法でも是認される さて右のコールの方法では毎期の償却額の差額ほおのずから一定され
ているが︑この差額を自由にかえうる方法がある︒それは等差級数の考 え方をそのまま利用するものだが︑ここではグロスマンの説明を引用す
④
ることとしよう︒いま初年度の償却額を
︑最終年度の償却額を
D lと
D nすれば、
D111<[
<n+D1~Dn
となる。この式は、V:Vn は毎期の 償却額の平均値であり︑毎期の償却額が等差級数をなすものとすれば︑
それはかかる等差級数の中項を示すこと、及び
t1~Dn
ほ等差中項から初項あるいは終項までの距りを示す
コ
'
る毎年度の償却額を逆にとっていけばよい︒幾何級数的逓増法は
の式によって計
(1+r)"‑1いま逓増率を r ︑第一年度の償却費を
Dとすれば︑第四表に示された
D 1 1 (
< ー
<n )
の計算は複利計算の﹁予定積立表﹂を利用すればよい︒
(1 +r )n
ー1
算 で
き ︑
以上述べた各方法のうち代表的な同額法及び逓減法の償却費の比較のため簡単な一例をあげておこう
ところでこのように種々の方法が考え出された理由はどこにあるのだろうか︒すでに述べた如く︑固定資産の生産
的使用に伴う価値消費分はいわば理念的なものにすぎず︑この消費分を当該資産の耐用年数をきめ︑それを基礎に
nD
疇lヽ
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Di¥Dlii
叶
D .
Di+Ds+••••••…+Dn=V-Vn Dn= V‑V11
百 n
‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ― ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ _
Pn゜
減価償却の意義とその計算方法第 三 表 算術級数的逓減法の図解
︵ 植
野 ︶
︵ 第
五 表
︶ ︒
がある︒後者の方法としてはすでに述べた算術級数的逓減法によ 最後に逓増法についても幾何級数的なものと算術級数的なもの に容易であることと︑
D1
‑D n
! J .
ついては任意の大さを組入れる ものであることから考え出されたものである︒
として計算された公差を利用することによって計算され
D 1
ーD
n
n
│ 1
る︒しかして
D1
ーD
n
は任意の大さを当嵌めればよいのであっ
て︑これを大きくすれば逓減度は大きくなり︑小さくすれば逓減
度も小さくなり︑終にこの差額が零となった時を想定すれば︑そ
れは同額法と一致する︒とにかく︑この方法の特徴は計算が非常
ことが可能であり︑それだけ毎期の償却の開きに融通性があるこ
と に
求 め
得 る
︵ 第
三 表
参 照
︶ ︒
一四
第二年度以下は
由は見当らないのであって︑ここに同額法が最も一般的な方
だということは附随的なことがらにすぎない︒しかしそこで
減価償却の意義とその計算方法
︵植 野︶
償却費計算としては逓減法がまさっているといえる︒けだし 均等であることがより合理的だと考えられるようになると︑ 費も含まれるのであって︑この両者を合計した額が毎年ほぽ 固定資産の使用に伴う費用には︑償却費のみでなく維持修繕 法として採用されてきた最大の根拠がある︒計算が至極簡単 差をもうける理
第1年次の償却費
第 2年 次 //
第3年次 //
第n‑1
l
年次第n年次
従って
V‑V.=D+D(l+r)+D(l+r)←…・
D(l+r)"―2+D(l+r)"―1
=D (l+r)"ー1 (l+r)‑1 D=(V‑V.) r
(l+r)"‑1
D D(l+r) D(l+r)2
: D(1+n)"ー2 D(l+r)"―1
年度の償却額に
第 四 表
だとすれば︑毎 よう︒またそう
幾何級数的逓増法の計算
れているといえ であると予定さ が毎年ほぽ均等 計算しようとす 然︑その使用高 る
場 合 に は 当
(例) 取得原価(基礎価額100,000円 残存価額10,000円耐用年数5年とす
る。なお附加による減価償却において逓減率を30%とする。(この場合
V(1‑d) ‑Vn
の附加額は Z= 1‑(1‑d) の公式を利用することによって
16, 807‑10000
1‑0.16807 =8,182となる)
\ i 同 額 法ないし 算 術 級 数 法 幾 何 級 数 法
(3定6.9%率の逓減法率) (3附0%加の償逓却減法率)
定 額 法 (コールの方法)
1 18,000 30,000 36,900 32,455 2 18,000 24,000 23,284 22,718 3 18,000 18,000 14,692 15,903 4 18,000 12,000 9,271 11,132
計5
I
9180,,000000 960,,000000 5,853 7,792I
90,000 90,000第 五 表 各償却法による償却額の比較例
見合う逓減法の採用が問題とされるようになる︒定率法︑
減価償却の意義とその計算方法修繕費ははじめから必要なのではなく︑ある程度使用した後に次第に増大するのが普通だから︒逓減法は大体かか
る見地から登場したのである︒ところでさらに一歩進んで︑機能的原因による減価︑即ち不適応︑陳腐化の危険が
大きいものについて︑それに対処せんとする意思が強くはたらくと逓減法の適用範囲はますます広くなってくる︒
即ちこの種の資産については新規調達に伴う収益増大に相応してはじめにできるだけ多く償却しておけば万一︑耐
用年数経過前に機能的減価が著るしく︑ときに廃棄されるようになってもそれほど大きな損失をこうむらなてもす
むからである︒尤もこの場合にも︑ いくら大きな償却費を計上してもそれに対応する収益によって十分に回収され
なくては意味がないし︑また償却費は毎年規則的に行われなくてはならない︒そこにおのずから予想される収益に
コールの方法にみられる如く︑償却の三要素によって逓
減度が確定されているものではなく︑それを修正して任意の逓減度をもつ償却方法が登場した根拠がここに求めら
れる︒ここまでくると価値消費分の計算とか︑またその前提となる毎年のほぼ均等な使用ということは次第にかげ
のうすいものとなり︑減価償却の本旨をはずれたものとの非難がでてくる︒しかし資本の充実からさらさらに競争
カの増大を常に念頭におく企業の立場からはやむをえない傾向であり︑第三者としてほ採用されている償却方法の
明示を強く要求し︑その意義を検討することで満足するほかない︒なおわが税法は無形固定資産は同額法に限るが
有形固定資産については原則として同額法と定率法のいずれかとし︑償却費の算出に非常に大きな自由選択の余地
をのこしたことは注目しなければならない︵芸該嘩望塩加︶︒
以上の説明からも推察されるように︑常に競争場裡にあり︑幾多の危険にさらされている企業にとって︑逓増的
な償却で満足するということは一般にはありえない︒ただ例外的に︑建設時にほ過大にすぎ︑将来その十分な活用
︵植 野︶
一六
︵植 野︶
一七
が予想されるような建物その他の施設の償却において逓増法の利用が考えられるだけである︒ここで一っ注目すべ
き見解がある︒減価償却が固定された資本の流動化を意味することはすでに述べたが︑このことと関連してシュマ
価が最早原価を使用年数に均等的に配分することを意味しなくなる︒初めの年は強く︑後の年が利子を最も享受す
るのにかかわらず弱い負担を受けるのである︒耐用年数に実際上均等なる負担をなさしめるためには︑減価が均等
と 説
明 し
︑
ではいけないのであって︑年々増加して行かねばならない︒設備の流動化によって利子が発生するだけ増加せねば 固 一定の利子率だけ逓増していく計算を例示している︒
是認するところであるかなお検討の余地はあろうし︑またそれを認めるとして︑真に均等な償却の限界を示す利子
率がどれほどの大きさかも問題になる︒しかしいずれにしても利子を計算にいれて考えるならば︑いわゆる同額法
E .
S c
昔al en ba cb
̀D yn am is cb eB i l a n z 1 1 ,
Auf••1953.
S . 1 1 2
土岐教授訳本一︱八ページ
W . M .
C o
l e , Ac co un ts , 1 9 1 5 , p . 3 2 0 H: R. H a t
f i e l d , A cc ou nt in g, 1 9 2 8 , p . 1 5 3 H. Grof lm an n, i D e Ab sc br ei bu ng , 1 9 2 5 , S . 2 3 1 E . Sc hm al en ba ch , a . a . O . , S . 1 2 2
土岐教授訳本︱二九ページ
本稿は、会計上の減価償却が長期の継続的使用財たる固定資産の生~的消費分としての費用の期間的把握である
(5) (4) (3) (2) (1)
減価償却の意義とその計算方法
結
び
は実質的には一種の逓減的方法とみうることは否定できない︒ な
ら な
い の
で あ
る ︒
﹂
この見解がどこまで一般の ーレンバッハは次の如き見解を提示している︒ ﹁資本の流動化によって年々利息が多く入ってくるので︑均等的減
減価償却の意義とその計算方法
との一般的認識のわくからはみだして︑むしろ収益にみあう費用︑ より正確にいえば︑収益により回収しうる︑な
いし回収すべき費用の計算としての色彩を多分にもつようになったこと︑そしてこのような一見したところ本末転
倒した矛盾にみちた計算が企業の立場からは是認されるのみでなく︑減価償却の自己金融的機能の認識の増大とと
もに次第に一般化する傾向の強いこと︑ またかかる要求に応じて計算方法にも同額法︑定率法のようないわば固定
した方法からさらに︑箇々の事情に順応していかようにも毎期の償却費を操作し得るものが考察されるに至ったこ
と︑これらの事実を簡単に素描しようとしたのである︒しかしてこのような傾向は︑即ち端的にいえば︑収益にみあ
うような費用算出という傾向は大なり︑小なり今日の会計計算に一般にみられるところであり︑それがたまたま減
価償却の場合には生産的消費が具体的事実として把握されえないところから顕著になっているというに過ぎない︒
︵ 植
野 ︶
︵ 三
四 ︑
五 ︑
一 ︑
︶
一八