ジャンプ過程における通貨オプションの価格
その他のタイトル Option Pricing on Foreign Exchange for Jump Processe
著者 村田 安雄
雑誌名 關西大學經済論集
巻 42
号 2
ページ 311‑323
発行年 1992‑06‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/14043
研究ノート
ジャンフ゜過程における通貨オフ゜ションの価格
村 田
安 雄
1. 序
2. ディフュージョン過程の通貨オプション価格 3. ジャンプ過程の通貨オプション価格の考え方 4. 危険中立状態でのジャンプ過程の通貨オプション価格 5. ディフュージョンージャンプ過程の通貨オプション価格
1. 序
横山 (1985)によれば,「米国では, 外国通貨現物オプションはフィラデルフィア証券 取引所で取引されている。…現在は,英・ボンド,カナダ・ドル, ドイツ・マルク, 日本 円, スイス・フランの5通貨について, 常時, 3つの限月のオプションが上場されてい る。」 (p.34)さらに続けて言う。「(米国の)投資家は米国の金利でドルを借りて他国通 貨を買うことができ,その通貨を保有する期間は当該通貨国の金利を収入する。従って,
米国の金利が上昇すると,その通貨を保有するコストは上昇し,他方,当該通貨国の金利 が上昇すると,その通貨を保有するコストは低下する。…その通貨の保有コストがボジテ ィブになると,その通貨の先渡価格は現物よりも安くなる。外国通貨現物オプションのプ レミアムには,こうした通貨の…先渡ディスカウントが影響してくる。」 (p.36)日本に おける通貨オプションは常時,東京外為市場での円/ドルのヨーロヒ゜アン・スタイルのプ レミアムが日本経済新聞に掲載されており 円コール・トルプットおよび円フ゜ット・ドル コールのプレミアムが買いと売りについて示されている。
本稿は, 日本の投資家が円でドルの現物コール・オプションを買うときの,プレミアム の決定を理論的に考察する。第2節では為替レートがディフュージョン過程に従う場合の 通貨オプション価格を,また為替レートがジャンプする場合の考え方を第3節に,その場 合のオプション価格の導出を第4節に,それぞれ説明する。そして最後に第5節で,ディ
フュージョンとジャンプの両過程が共に進行する場合における通貨オプション価格を決定 する。なお本稿ではジャンプ幅を定数と想定している。
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2. ディフュージョン過程の通貨オプション価格
いま日本の投資家が自国資金(円表示の)を確定利率 rで借入れ, 確定利率r*付き の米国債券(ドル表示の)と, それを対象とする満期日 Tの円プット・ドルコール・オ プションヘ,その全資金を投資するものとして. その投資の配分額は米国債券へ W1, コ ール・オプションヘ叫であると考えよう。
円建て為替レート S(円/ドル)がいわゆるディフュージョン (diffusion)過程に従う 場合には, S(t)の変動率は
でdS =μdt+udz(t) (S(O)=疇 ) (1) と表される。ここにμ はS の瞬時的期待変化率(ドリフト)を, aはその標準偏差(ボ ラティリティ)を示し, z(t)は標準ウィナー過程に従う確率変数である。 Sに依存する 当面のコール・オプションの価格c=c(S,t) も, (1)と同様に,
de
‑=μcdt+ocdzc(t) C (2)
の変動率を持ち, μc, Uc, 各 は(1)式でのμ,a, zにそれぞれ対応する。そして Cと Sは完全に相関して, dzc=dzが成立することが分かる%
この時に前述の投資を行って,その瞬時的純収益(裁定収益)がゼロになるようにする には,
dS+r*Sdt de
w , ( S ) + w心)=(w叶Wz)rdt (3) が成立しなければならない。 (3)式へ(1)式, (2)式および dz,=dzを代入して整理し た結果が次式である。
{w1 (μ+r*‑r) +叫(μ,‑r)}dt+(w1a+w西)dz=O ここでさらに, リスクのない確定的状態を得るには,
w1(μ+r*‑r)+叫(μc‑r)=O w,a+w2a,=O
(3')
(俎) (4b) の両式が成立するように,非ゼロの如と叫を決定しなければならず,そのためには次 の条件が必要十分である。
1)より詳しくは村田 (1992), (1)式 (7)式を参照。
μ+r*‑rμ.‑r
0 = Oc
これを無裁定の均衡条件と言い,これから下記の偏微分方程式が導出される。
‑c1 =‑a2S22 1 年 +(r‑r*)Sc.‑rc
(5)
(5') 当面の通貨コール・オプションの満期日を T,その権利行使価格を K円として, t時 点でのこのオプション価格C(t)==C (S, t)は次のように求められる。(その導出は, (5') の微分方程式を,満期日の境界条件の下で解くことで,村田 (1992)の第2節に詳述され ている手順に従う。)これは通貨オプションの Black‑Scholes式である。
ここに
c(S, t) =S(t)すr*炉 )N(h1)‑Ke‑'<T ‑ti N(h2)
宇 (S,T‑t,K,o,r,r*)
h,= Iog(S(t)/K)+(r‑r*+が/2)(T‑t)
ail戸 h戸 h1‑a‑v:fCt
と置かれ, N(h)は標準正規(累積)分布関数
h
N(h)==~-=
k
exp{―望}血(6)
(7a) (7b)
(8) を示す。 (logは自然対数である。以下同様。)注意すべきは, (6)式にはドリフトのμ ゃμ,が現れていないことである。 (6)式の偏微分をとって,
翌=e‑'*<T‑1>N(h1) >o
aaK c(t) =一e'<T ‑1> N(h2)<0
を得る2)。また tくTを前提として,次の偏微係数の符号が求められる。
翌=(t‑T)se‑r*cT ‑I) N(hi)<o ac(t)
‑=(T‑t)Ke‑r(T‑l>N(h2)>0 ar さらにまた
2)村田 (1992),脚注9と同様に計算する。
(9a) (9b)
(10a) (10b)
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詈=S賃戸 exp{デ—r*(T-t)}>o (11)
となる。 (9) (11)をまとめて言えば,当面のコール・オプション価格Cは,為替レー トSが円安になる程,行使価格 Kが低い程, ドル債券の金利 r*が低い程, 円債券の 金利rが高い程,そして為替レート変動のボラティリティ 6が大きい程,高くなる。な ぉTの変化が Cへ及ぼす影響は下記のようになる。
碧=Se-r*<Tー心誓— r*N(hi) ]‑Ke‑r<T ‑tJ[f2誓 rN(ん) ] (12) ただしここに
f,=' r‑r*+a2/2‑(T‑t)一1Iog(S/K) a 2a‑VT‑t , /2'='/1― ‑2‑VT‑t
3. ジ ャ ン プ 過 程 の 通 貨 オ プ シ ョ ン 価 格 の 考 え 方
「一般に,ある事象が時間の経過につれて,偶発的に生起する場合には事象の流れがあ るという。単位時間当りの生起回数はこの事象の流れの強さといわれる。任意の時間区間 に事象の生起する回数が,これと交わらない時間区間に事象の生起する回数と互いに独立 で……,また小区間に事象が2回以上生起する確率が1回生起する確率に比較して小さく 無視できる……場合には任意の時間区間 (t。,ti)に事象の生起する回数が, 母数 aの Poisson分布法則に従うことが知られている。ここで
\ t,
a= .l(t)dt (,l(t)は流れの強さ)
t。
さらに ,l(t)が定数 Aである……ときには,長さ T の任意の時間区間に事象の生起する 回数(冗)は母数a=入TのPoisson分布法則に従う。」3)すなわち,値,o1, 2, …を取 る確率変数冗の確率は
Pr(曰=i)=臼 平 (i=O, 1, 2, …) (13)
で与えられる。
いま為替レート Sが瞬時にジャンプする現象を,コックス=ロス (Cox‑Ross)(1976) に従って,次のように表そう。
3)岩橋 (1970), p. 89より引用。
dS s=μdt+(かーl)d冗 (14)
ここで ,1.dtの 確 率 で 血=1となり,残りの確率 1‑,1.dtで 血=Oとなる。そして冗は ボアソン分布に従う。 t/J‑1はジャンプの幅を示し, tfJ>lと想定する。 Aは定数である ので,時間区間 Tにジャンプの生起する回数冗の確率は(13)式で与えられた大きさに なる。
(14)の微分方程式を解くためにそれを二分しよう。すなわち 戸dS
d t = (
祭)。 (ジャンプ無しの場合)‑dS y=C</>‑1)年(祭)j (ジャンプのある場合)
(15) (16) (15)式のμ は(1)式のドリフトと同じであり,両辺を t=Oから t=Tまで積分すると
log(駕)=μT (17)
を得る。つぎに(16)式を書き換えると
S(t+dt) {¢ (J.dtの確率で)
S(t) =(¢‑l)d冗十1=
1 (1‑J.dtの確率で) (16') となり, dt=lと置いて,
S(T) S(T) S(T ‑1)
寧 =S(T‑1) S(T‑2)… 躙S(l) =炉1cT‑Tr)=が
を得るので,
log(緬)=冗・log¢ (18) かくして(17)に(18)を加えてから逆対数をとると,
謳=eμTが (19)
が(14)式の解として導出される。
さて前節におけるコール・オプションの価格c=c(S, t)について考え, Sがジャンプ する場合には,
de e(<hS,t)‑e(S,t) de
戸 e(S,t) d冗==(7)/ (20)
となり,ジャンプ無しの場合にはつぎのようになる0。 4) dc=c,dS+c1dtへ(15)式を考慮する。
135
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手=c,μ極+c、¼dt==(手)。 (21)
ここにらと C、はそれぞれCのSとtに関する偏微分係数である。前節と同様に,米 国債券への投資額を皿とし, コール・オプションヘのそれを妬とすると, Sがジャ ンプする場合に,当面のボートフォリオの価値がジャンプによって影響されないために は,次式が成立しなければならない。
叫笥
+w2(乳=O (22)すなわち, (16)と(20)を代入して, d冗=1を考えると,
c(rpS, t)‑c(S, t)
Wi(rp‑1) +w2~re-,~ =O (22') またジャンプ無しの場合に裁定収益がゼロになるためには, (3)式と同様に考えて,次式 が成立しなければならない。
w1[{祭)。十r*dt]+w2(手)。=(wサ叫)rdt すなわち, (15)と(21)を代入して
叫 +r*‑r)dt+w2(c,冷+c,f‑r)dt=O
(23)
(23') そして(22')と(23')の両式は, W1と叫が共にゼロでないように同時に成立しなければ ならないので,そのための必要十分条件は下記の通りである。
1::~-, : . ; : □ : : n I~,
(24)式を整理すると,
‑c1=c.μS+竺字c(rf>S,t)+ r/,r;!;r* c(S,t)
が得られる。ただし SはS(t)を示す。
満期日 Tにおけるコール・オプション価格は(行使価格を Kとして),
c(S, 7)=max(O, S(T)‑K)
(24)
(25)
(26) となり,この境界条件の下に(25)の方程式を解くことを,危険中立状態において考えよ う。
4 ・ 危 険 中 立 状 態 で の ジ ャ ン プ 過 程 の 通 貨 オ プ シ ョ ン 価 格
我々は Cox‑Ross(1976)に従って,危険中立的市場を想定して, (25)式の解c(S, t) を導出する。危険中立では, S の変動期待値はリスクなしの金利差に一致し,また Cの 期待収益率はリスクなしの自国金利に等しい。すなわち,
E[S(T)J/S(O)=e げ—r*)T E[c(S, T)]/c(S, O)=e'T が成立する5)。
(27) (28)
(25)式を(26), (27), (28)の諸条件の下に解こう6)。 まず(27)式の左辺は, (13)式と (19)式を考えて,
E[羅]=王が;=o eμ.Te‑直 立z ! =e<,,̲入 + 砂T
となる 。故に(27)式は次式に書ける。
e<,,̲入+砂)T =e<r‑r*)T かくして
入=r‑r*‑μ
</,‑1 が得られる。
つぎに(28)式左辺は, (26), (19), (13)の各式を考えて,
1 1 0 0 (AT)伝 汀
E[max(O,S(T)‑K)]= :E (e,,.TS(O),p;‑K) c(S, 0) c(S, 0) i=n i ! となる。ここに nはS(T)>K,つまり
S(O)e"'T <f>n>K
(27')
(27")
(29)
(28')
(30) を満たす最小の非負整数である。さらに(30)式両辺の対数をとって整理すると, nは
n> log(K/S(O))‑μT
log¢ (30')
を満たす最小の非負整数であると言い換えられる8)。 5) (27)については,村田・里麻(1992), p. 174を参照。
6)この節の展開は Borensztein‑Dooley (1987)の付録1Iに負うところが大きい。
0 0
7) exp(.l¢T}= I; (秘T)侑!を考慮する。
か‑o
8) (30')式右辺が整数とならないことを想定する。
318 隅西大學「継清論集」第42巻第2号 (1992年6月) いま(29)の Aを考慮すると, 祁Tは
< J>(r‑r*‑μ)T
¢‑1 (31)
と表されるので, (28')を用いて, (28)式は下記のように書き換えられる。
滋, ol戸—(五S(O)•=n • .lJ
t
,‑
I Ke-<"/</>)~(呼 ]=e'To=n i. (28H)さらに(31)を考慮して, (28n)式を整理すると,
00 00
c(S, 0) =S(O)e-•*T :E戸号ーK戸rT:E已 / 中 ) 鴎
ヽ=n Z. i=n Z.I (32) となる。
最後に現時点を0から tへ変更すると,
(6)式の形態に類似している。
c(S, t) =S(t)e-•*<T ‑1>可[n;yJ-Ku-•<T-t>fJl[n; y/¢]
(32)式は(33)のように一般化される。 これは
(33) ここに
oo i ダ[n;Y]== :E e‑Y‑y ,‑
i=•、ヽ! (34a)
00
'ff![n; YI</>]==幻e‑<Y舛)畔
i=n Z. (34b)
y ,t,(r‑r*‑μ) (T‑t) ,t,‑1
n >
1og(K/S(t))‑μ(T‑t) log¢(35) (36) を満たす最小の非負整数が nである。
実際に(33)の c(S,t)が(25)式の解になっていることを,以下に示そう。 'IJ![n; y]と 町n;y/if,]は tによって影響されないものと考えて, (33)のc(S,t)の偏微分をとる
と,
c,=e‑r*cT‑t>'f!'[n ; y]
c1=r*Sc,‑rKe‑rcT‑t>w[n; y/¢]
となる。また(33)を考慮に入れて下記の関係が得られる。
(37) (38)
青 c(</,S,t) +¢,r; !:;r* c(S, t) = (‑μ‑r*)Sc,+rKe‑rcTサ [n;y/¢,J (39) そしてこれを(38)式へ代入して整理すれば, (25)式が導出される。
5. ディフュージョン=ジャンプ過程の通貨オプション価格
ディフュ_ジョン過程とジャンプ過程を合体した場合において,我々の通貨オプション 価格はどのように決定されるのかを,最後に考察しよう。その場合の為替レート S(t)の 変動率は
dS s = (μ‑J(tf,‑1))dt+odz(t)+(tf,‑1)d冗 (40)
と表され,これは(1)式と(14)式の両方の特性を備えている9)。(40)式において z(t)は 標準ウィナー過程に従う確率変数であり, idtの確率で d冗=1となり, 1‑Adtの確率で 血=Oとなり,冗はポアソン分布に従う。また冗が値i=O, 1, 2, …をとる確率は,任 意の時間区間てにおいて,下記のように表される。
(A,)'
P,()て=e-紅—-c--if (i=O, 1, 2, ・・・) (41) (40)式を解くに当って,ジャンプしない時と,ジャンプする時に分けて,前者は(1)と 同様に
dS s = (μ‑..l(rp‑l))dt+adz(t) (S(O) =定数) (42)
であり,後者は(16)と同様に
でdS ・=(¢‑l)d冗 (43)
とする。任意の t(~T) において, (42)式の解は次のようになる 10)。
log(器)=(μ.‑.t(rf,‑1)ーふが)t+oz(t) (44) また(43)式の解は(18)になるので, (44)と(18)を合わしてから逆対数をとり, (40)式の解 が下記のように求められる。
S(t)
禽戸が• exp{(µ-..l(,t,-1)-½が)t+az(t)) (45)
さて当面の通貨コール・オプションの価格 C=C(S, t)は, Sがジャンプ過程とディ フュージョン過程のどちらをとっても,対応できる形を持つと考えなければならない。デ 9) (40)式は Merton(1976)の(2)式ないし(2')式を, Cox‑Ross(1976)の考え方に沿 って,書き換えたものである。特に前者では¢ を確率変数としたが, 我々はこれを 定数に変えた。
10)村田・里麻 (1992), p. 129を参照。
139
320 隅西大學「継惰論集」第42巻第2号 (1992年6月)
イフュージョン過程に対応する C の変分形は,伊藤の公式によりつぎの様になる。
dC=(Cけ(μ‑J.(</J‑1))sc,+‑a1 魯 C,,)dt+aSC,dz(t)
2 (46)
いま(40)と同じ形の C変動率の式
dC (C(¢S,t)‑C(S,t) C(¢S,t)‑C(S,t)
で = 戸 C(S,t))dt+a, 也(t)+ C(S, t) d冗 (47) を想定し, Sのジャンプ過程も許容するために, [ C(<f,S, t)‑C(S, t) Jを(46)へ追加した 形の dCが, (47)式に包含されているものと考える。 (47)と(46)の対比から
Cけ(μ‑A(¢‑l))SC,+がS2C,,/2 A[C(¢S,t)‑C(S,t)]
μc== C(S,t) + C(S,t) aSC,
<1c== C(S,t) dzc=dz
(48a) (48b) (49) の関係が成立する11)。(48a)式右辺第2項は時間区間 dtでの, Sのジャンプによる Cの 期待変動率を表す。
さて米国債券への投資割合を叫とし, 当面のコール・オプションヘのそれを叫と し
, さらに確定金利r付きの円債券への投資割合を叫として, Wサw叶 叫 =1とな るように1単位のボートフォリオ Pを組んで, Pの変動率を(40)式に対応させてつぎの 様に表現する。
ァ =dP (μp‑‑l(</Jp‑1))dt+a pdz(t) + (</Jp‑l)d冗 ここにおいて下記の関係が成立する12)。
μ 戸 妬(μ+r*‑r)+w2年 ーr)+r Op幸w,a+w如
も一1幸 w心ーl)+w2C(¢S, t)‑C(S, t) C(S,t)
(50)
(51a) (51b) (51c) も し も=1であれば, このボートフォリオはジャンプによるリスクを無くすることがで きるが, (51c)式はその様にするような非ゼロの (W1, W2)の組が存在しないことを含意 する13)。故に以前に用いた無裁定の方法でリスク無しボートフォリオを構成することは不
11) (48a)と(48b)はそれぞれ Merton(1976)の(5a)と(5b)に相当する。
12) dP/ P=w1 (dS/S+r*dt) +w2dC/C+w3rdtへ(40)式の dS/S, (47)式の dC/C, ぉ よ び 叫=1‑W1‑W2を考慮する。
13) Merton (1976), pp. 131132を参照。
可能である。そこでマートン (Merton)(1976)はジャンプの発生を市場のシステマティ ック・リスクに依らないものと想定し, この時にすべての証券の期待収益率が rに一致 することを利用する。すなわち,当面のポートフォリオの期待収益率 μpもrに等しい 筈である。従って(51a)式より
妬(μ+r*‑r)+w氏μc‑r)=O
を得る。またリスク無しボートフォリオを想定して, Up=Oと置くと, (51b)式は W1<1十W2<1c=O
となる。 (52)と(53)を同時に満たす非ゼロの (Wi, W2)を得るためには μ+r*‑rμc‑r
。 =Uc
(52)
(53)
(54) が成立しなければならない。 (54)式へ(4細)と(48b)を考慮して次の方程式が導出される。
‑C1=‑o1 芯 C.,+(r‑A(¢‑1)‑r*)SC,‑rC(S, t) +A[C(¢S, t)‑C(S, t) J
2 (55)
この(55)式を,満期日の境界条件(26)の下に解くに当って,第4節と同様に危険中立状態 を想定して, (27)と(28)の条件が成立する状態を考える14)。その結果, (55)式の解として の C(S,t)はつぎの様に求められる15)。
C(S,t)=エ0 0 e‑紅i(fA )てi• c(S,,,K,a,r,r*)
i=O
ここにて=T‑tと置き, c(S,,, K, a, r, r*)は(6)のBlack‑Scholes式を示す。
(56)式にて t=Tと置くと,
C(S, T)=S(Ti)‑K
が得られて, これは(26)の境界条件を満たす。
(56)
(57)
以下で(56)の C(S,t)が(55)式の解になっていることを検証する。まず CをSにつ いて偏微分するとつぎのようになる16)0
14) Merton (1976), p. 134の脚注11の考え方に従う。
15) Merton (1976)の(19)式, および Cox‑Rubinstein(1983), p. 24の Cの式に相 当する。
0 0
16)器=i。ざP;(て)[ e‑r*T { N(h1) + (<1五―)一1 誓炉}ー Ke—パ (<1v'rS)一1 喘凹へ,
dN(h2)/dh2= (2v'ア)→exp{予—(h2)2}=(2五)→exp{オ‑(紐+(r‑r*)て}(S/K) を代入する。