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契約解除の要件枠組みに関す る総論的考察

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(1)

【 研究 ノー ト】

契約解除の要件枠組みに関す る総論的考察

〜民法

541

条の起草過程を手がか りとして〜

渡 辺 達 徳

は じめに〜本稿の 目的〜

旧民法典財産編421条及び406 1.起草過程

2.注釈書 にみ る解除の機能 ・位置付 け ・ 「恩恵期限」

3.

小 括

現行民法典541

1.起草過程

2.法典施行当時の学説状況 3.

小 指

むすびに代えて

は じめに〜本稿の目的〜

( 1 ) 民法541 条による契約の法定解除において,債務者の 「 帰責事由」の有 無は,要件 としてどのように機能 しているか。筆者 は前稿において, こうした 問題関心か ら従来の学説及 び裁判例の整理を試みた

1)。

その作業を通 じて,

1)弓出稿 「民法541条 による契約解除 と 『帰責事 由』(1)(2・完)〜解除の要件 ・効果 の整序 に向けた基礎資料」商学討究 (小樽商科大学)44巻 1・2 (1993)239

頁, 3 (1994)81頁。そ こで は,主 と して現行民法典施行後 の学説及 び判例 に 即 した検討が行われた。それに対 して, この小稿 は,旧民法典起草過程か ら現行民 法典施行当時にかけての学説の整理を主眼 としてお り,それは本来,前稿 に先立 っ てなされているべ き作業である。 このよ うに考察の順序が前後 したのは, もっぱ ら 筆者の不明による。その意味において, この小稿 は,前稿か ら得 られた手がか りを 補完す るための資料 に尽き る。なお, こうした経緯 か ら, この小稿 にお け る 「 説」,「履行遅滞」,「帰責事 由」,「違法性」などの概念 も,前稿 と同 じ意味で用い ら れるものである (商学討究44 1・2240貢を参照)0

247

(2)

248 46 1

解答 に向けた次のような手がか りが得 られた と考え られ る。

(2)

まず,学説か ら知 りうるのは,①損害賠償 と解除は,債務不履行 に共通 す る効果 と理解 され,かっ,前者の要件が後者のそれに敷宿 されるかたちで, 解除は「 帰責事 由」を要件 とす るとい う「 通説」が形成 されて きた こと,② 「 帰 責事 由」が要件 とされる理由として,解除は不履行債務者 にも大 きな不利益を 与え ることが挙げ られ るものの,何が 「 不利益」なのかは必ず しも明 らかでな いこと,③解除の機能を分析的に捉え,履行義務か らゐ解放 と挫折 した契約の 清算,及 び,損害賠償 とい う効果に応 じた別異の要件を定立する余地があるこ

と‑ こうした諸事実であった

2)。

一方,裁判例か ら読み取れ るのは,

a.

物品売買契約 における争点は同時履 行の抗弁権の帰趨 に集中す ること,

b.

不動産賃貸倍 においては, もっぱ ら信 頼関係破壊の有無が考慮 され ること,

C.

当該不履行が契約 目的の達成に与え る影響を重視す る事例類型があること,

d.

解除を主張する債権者 に不履行作 出の責 ある場合 は,解除が認 め られない こと‑ などであ り

,

通説」が裁判

例 を説明す る機能を果 た しているか について は,疑問が残 され ることとな っ

た 3) 。

( 3) 他方 において,従来か ら 「 通説」内で も次のような認識があった。それ は,損害賠償及 び解除の前提 となる債務不履行が抽象的には同一 の概念 にせ よ,当該効果を与えるにふ さわ しい債務不履行の意味 ・内容は各 々につ き検討 されて よい こと4 ),また,不履行 によ り契約 の 目的が達せ られず,解除 され て も当事者 が異議 を さ し挟 めないよ うな事情 の存在が解 除を正 当化す るこ

2)拙稿 ・前掲資料 (1)商学討究443

101頁以下 3)拙稿 ・前掲資料 (1)商学討究443102真以下

4)すでに,我妻 栄/星野英一/谷川 久 「商品売買 における民法 と商法‑ 標準 動産売買契約書案』を中心 として‑ 」 私法 (日本私法学会)25

(1963) 3 (35頁以下)において,動産売買に即 して,損害賠償の要件,解除の要件 は,請 理必然的に同 じでなければな らないのでな く, これを変えていいか という問題がや はり残 っているのです」 との認識が示 されていた [星野発言]。 さらに,契約総則 レベルにおける同様の問題意識 として,谷 口知乎編集 『注釈民法 (13)』(有斐閣,

41)371頁以下 [山下末人執筆]を参照。

(3)

契約解 除 の要 件枠 組 み に関 す る総 論 的考察 249

と5 ),である。ただ し,「 通説」は, こうした問題意識を 「 契約総則」の次元 に投影 して,解除の要件を構築することができなかった。なぜな ら,損害賠償 の要件概念がそゐまま解除の場面に持ち込まれて きた結果,「 通説」に疑問が 呈 される場合 も,「当該要件」はそのままに,「その要 ・不要」 という角度か ら 論 じられる傾向にあったためである

6)。

契約解除の要件 として 「 帰責事 由」

は必要か,と

う議論は,実は,その好例であったことになる。

( 4) こうした経緯に照 らす と, この問題をめ ぐる現行法典の起草過程が,改 めて検証されるべ き課題 として浮かび上が って くるといえよう

なぜなら, こ の作業を通 じて∴損害賠償 という効果に傾斜 した債務不履行論の影響を受ける 前の解除の要件論が,明 らかにされ うると思われ るためである。具体的には, 次のような考察の視点を指摘 しうる。( 丑解除の制度趣 旨 ・機能はどのように考 え られていたか,②不履行に対する法的救済 としての解除の位置付け〜特に本 来的履行請求 との優劣関係〜は,どのよ うに想定 されていたか,⑨解除が債務 者に対す る不利益 ・制裁であるという具体的意味は何か, ということである。

これ らは,いずれ も解除の要件定立 と密接にかかわることが理解 されよう

この小稿は,以上のような見地に立 って,損害賠償を主眼 として構築 された 債務不履行の要件論を離れて,解除か ら生ず る効果に対応 した要件が定立 され るべきではないか, という問題提起に対す る解答 に向けた筋道を探 る一つの覚 書である。その検討 は,前稿 に引き続 き,民法

541

条 に即 して試み られ る。同 条の沿革は, これに対応す る旧民法典規定の起草過程か らたどられるのが順序

となろう

5)谷 口編集 ・前掲書 (4)372頁 [山下執筆]。なお,山中康雄 『総合判例研究叢書 民汝 (10)』(有斐閣,昭33)25貢及 び28頁 も同 旨。

6) 帰責事 由」必要説 の立場か ら,我妻 栄 『債権各論上巻 (民法講義

)

』 (岩波 書店,1954)152頁以下, また,「帰責事 由」を不要 と解 す る立場 か ら,末広厳太 郎『債権各論 (第一分冊)』(有斐 閣,大6)244頁,戒能通孝 『債権各論』(厳松堂, 17)100

頁など,いずれも 「 帰責事由」概念は自明の前提として,その要 ・不要

を論ず るのが一般的傾 向である。

(4)

250

商 学 討 究 第

46

巻 第

1

Ⅱ 旧民法典財産編421 条及び 40 6 条

1.起草過程

旧民法典の草案段階で は,現行

541

条 に該 当す る解除の要件及 び効果を定め る規定 は,次のよ うな体裁を採 っていた7

) 0

第五百八十三条 義務‑第四百二十九条第四百四十一条及 ヒ第四百四十二条 こ従 ヒ明約二因テ得又ハ裁判所二於テ得 タル約束 ノ解除三園テ消滅ス [ 第二項 :略]

第四百四十一条 線テ双務契約‑結約者 ノー万 力其義務 ヲ充サ 、ル場合二於 テ双方 ノ利益 ノ為 メニ解除条件 ヲ含蓄ス

此場合二於テ解除ハ当然行ハ レス被害者 ヨリ之 ヲ裁判所へ訴求ス可 シ但 シ 裁判所ハ第四百二十六条二従 ヒ他 ノ一万二猶予 ヲ許輿スル ヲ得

第四百二十六条 法律上 ノ期限アル ト否 トヲ問ハス義務者力不幸ニ シテ旦其 善意ナル時権利者モ別段著 シキ損害 ヲ受 ケサル場合二於テ‑裁判所ハ相当

ノ恩恵期限 ヲ允許スル コ トヲ得 [ 以下 :略]

すなわち,解除は義務消滅原因の一つであ り,双務契約 は一方当事者の不履 行に備えて解除条件を含む こと,解除は裁判所を通 じて訴求され るべ きこと, 及 び, 裁判所 は裁量 によ り義務者のために 「 恩恵期限」を付与できること, が定 め られていた

なお,解除権の行使 は,損害賠償請求を排除 しない。草案

444

条 はこの旨を明示 し,「 裁判所へ解除 ヲ訴求 スルカ又ハ当然行‑ル 、解除 ヲ主 張スル者ハ其他二己 レカ被 りタル損害 ノ賠償 ヲ要 ムル ヲ得」 と定めていた

8) 0

7

)主として解除の効果論との関係から旧民法典以来の理論状況を検討する文献とし て,北川善太郎 『日本法学の歴史と理論』( 日本評論社

,1968)86

頁以下,北村 実 「 解除の効果

1545

条をめぐって

‑」

『 民法講座

5

』( 有斐閣

,1985)113

頁があ

る.この小稿における整理は,これら先行業績と重複する部分を多 く含むOただ し

,

「 恩恵期限」の許与を定める草案

426

条‑旧民法典財産編

406

条の検討は,従来, 比較的手薄だったように思われる。

8)

解除と損害賠償との関係は,後に至り学説上好個の検討主題となる ( 近時の詳細な

研究の一例として,鶴藤倫道 「 契約の解除と損害賠償 ( ‑)

(二 ・完)

」民商法雑誌

(5)

T I I ‑ ・ ・ ・ ・・ ・‑ ・ 契約解除の要件枠組みに関する総論的考察

251

後 に見 るとお り,解除の条件構成及び裁判所 を通 じた権利行使 とい う形態 は,現行法の起草過程で放棄 された ものの,不履行義務者への 「 恩恵期限」の 付与 は,現行

541

条 に定 め る催告期 間に連 な る。 その趣 旨は,上記草案

426

条 に即 して次のよ うに説明 されている

9) 。

すなわち, この規定 はフラ ンス民法 典

1244

条 に相当 し, このよ うに,裁判官が 「 負債主 ノ情状 ヲ考察 シテ猶予 ノ 期限 ヲ与 フルコ ト」は 「 一般 ノ場合二通スルモノ」であって,「 最モ善良ナ リ」

とい うのである。そ して,裁判官が 「 恩恵期限」を付与で きる要件 は,次の三 つである。すなわち,

‑,債主 ノ不幸ナル事 二,債主 ノ善意ナル幸

三,負債主二恩恵 ノ期限 ヲ与 フルモ債主二著 シキ損害無キ事

である。前二者 は債務者側の事情であ り,後‑者 は債権者側の利益を考慮 した 要件であることが分か る ( 第一 と第二の要件の主語 は,「 負債主」すなわち債 務者であろ う) 。 この うち, 「 不幸」及び 「 善意」の意義 は,次のよ うに説明 されている

「 不幸 ト‑実二貧窮二陥 リテ糊 口ニ難キ者 ノ ミヲ指スニ非ス一時 ノ義務 ノ執行二差支 フル者 ヲモ包含スルナ リ・ ・ ・ 善意 トハ詐偽論計ナク純良ナル ヲ云 フ過失ハ之 ヲ詐偽 卜混清ス可カラス何 トナ レ‑其意思 ヨリ出テタルモノニ アラサ レハナ リ」 と

10)0

こうした説明を併せ読む と, これ ら条文 により規定 された解除 とは,次のよ うな趣 旨と理解す ることが許 されよう

すなわち,契約の一方当事者が義務を 履行 しない場合,相手方 は,裁判所 に契約解除を請求 して自らの義務の消滅を 図 ることができる。 この とき,裁判所 は,義務者が一時的な事情によ り履行で

1103号31頁、 4・5号269 (1994))

。 しかし,ボアソナー ドは,この問題に ついて 「 債主約束ヲ解除スル場合二於テ若シ損害ヲ被フリタル トキハ其賠償ヲ得ル ノ権アルハ当然ナルコトナリ」と説明するにとどまる ( ボアソナー ド氏起稿 『 民法

草案財産篇講義 (人権之部)』(司法省)696貢)0

9

)ボアソナー ド氏起稿 ・前掲書 ( 注

8)620頁以下 10)

ボアソナー ド氏起稿 ・前掲書 ( 注

8)622亘以下

(6)

252 46 1

きず,かつ,その義務者が相手方を害す る積極的意図を持たない場合

11

) ,当 該相手方にも著 しい損害が生 じないことを条件 として,義務者に履行のための 恩恵期限を設定す る裁量権を持っ, ということである。

こうして恩恵期間が設定 される根底には,義務の本来的実現を優先する思想 がある。この趣 旨は,草案401 条が次のように定めていたことか らも明 らか と いえよう

すなわ ち,「 義務 ノ重モナル効果ハ其義務 ヲ実行セシムル為 メ及 ヒ 第二段二若 シ其義務 ヲ執行セサル トキハ下 ノ第‑款及 ヒ第二款二記スル区別二 従 ヒ損害ノ償 ヲ求ムル為メ権利者二訴権 ヲ輿 フルニ在 り」 と。 この規定の趣 旨 は,旧民法典財産編381 条に受け継がれる。すなわち,「 義務 ノ主タル効力‑下 ノ第‑節第二節及 ヒ第三節二定メタル区別二従 ヒテ其義務 ヲ直接こ履行セシム ル為メ又不履行 ノ場合二於テ‑付随 トシテ塩害 ヲ賠償セシムル為メノ訴権 ヲ債 権者二輿 フルニ在 り」と。このように,旧民法典が想定す る契約保障の構造 は, 本来的履行保障が 「 主タル効力」の地位を占め,損害賠償は 「 付随 トシテ」の

「 訴権」であることが明示 されていた。義務不履行があって も,裁判所が 「 恩 恵期限」を設定 して履行を待たせるという構造 も, こうした履行保障優先の思 想の中で捉えると理解が容易になろう

上に一瞥 された草案諸規定は,若干の字句の修正を経たうえ,旧民法典財産 編5

61

条 ( 草案

583

条)

,421

条 ( 草案441 条)

,406

条 ( 草案426 条) として次の

とお り成文化された。

第五百六十一条 義務ハ第四百九条,第四百二十一条及 ヒ第四百二十二条二 従 ヒ明示ニテ要約 シタル解除又ハ裁判上得 タル解除二因 リテ消滅ス

[ 第二項 :略]

ll)ボアソナー ドの説明によれば,少 な くともこの条 に関す る限 り

,

善意」 とは積極 的加害の意図を持 たない ことを意味す る。次のよ うな具体例 の摘示を参照。「無分 別 ノ企業‑純良ナル所為ナル乎然 り何 トナ レ‑無分別ハ素 ヨリ過失ニ‑相違ナケ レ

トモ悪意 ヲ以テ之 ヲ為セ シモ ノニ非サ レハナ リ然 レ トモ故 ラ二億主 ヲ害セ ンカ為メ ニ為セ シモノ‑此限ニアラス我能カナクシテ企 テクル コ トモ過失ニ シテ悪意ニアラ サルナ リ」(ボアソナー ド氏起稿 ・前掲書 ( 8)623頁)0

(7)

契約解 除の要件枠組 み に関す る総論 的考 察 253

第四百二十一条 凡 ソ双務契約ニハ義務 ヲ履行 シ又ハ履行 ノ言込 ヲ為セル当 事者 ノ一方 ノ利益 ノ為メ他 ノ一方 ノ義務不履行 ノ場合二於テ常二解除条件

ヲ包含ス

此場合こ於テ解除ハ当然行ハ レス損害 ヲ受ケクルー方 ヨリ之 ヲ請求スルコ トヲ要ス然 レトモ裁判所‑第四百六条二従 ヒ他ノ一万二恩恵上 ノ期限 ヲ許 輿 スルコ トヲ得

第四百六条 権利上 ノ期限ノ有無 ヲ問‑ス又執行力 ヲ有スル証書アル場合 卜 属任モ債務者力不幸且善意こシテ債権者力猶予 ノ為メ確実ノ損害 ヲ受ケサル 可 キ トキ‑裁判所ハ債務者二相応ナル恩恵上 ノ期限 ヲ許輿 スル コ トヲ得

[ 以下 :略]

さらに,解除と損害賠償 との並存を認めた草案

444

条 も,「 裁判上ニテ解除 ヲ 請求 シ又ハ援用スル当事者ハ其受ケタル損害 ノ賠償 ヲ求ムルコ トヲ得

」(424

条)

と明文化 された

12)

以上を,予め提示 された三点の検討課題に即 してまとめると,次のようにい えよう

すなわち,①解除の機能は,相手方か ら履行を受けられない債権者の 義務を消滅 させ る手段である。②義務不履行の状態が生 じて も,契約維持が指 向されている。③恩恵期限の付与 は, この②の目的に資する手段である。 ここ に見 られる限 りにおいて,解除が債務者に対する不利益 ・制裁であるとの発想 とは無縁である。

2.

注釈書にみる解除の機能 ・位置付け . 「 恩恵期限」

(1)解除の機能

この時期の注釈書によれば,旧民法典における解除の機能 は,双務契約にお いて約定の履行を得 られない債権者を契約か ら解放す ること, と観念 されてい る

また, 一これに伴 う原状回復への正視 も指摘 しうる.すなわち,「 双務 ノ契

12)ここでの損害賠償の範囲が,不履行 により生 じた一切の損害でな く,積極的損害 に 限 られ る趣 旨であった ことにつ き,北川 ・前掲書 ( 7)88貢を参照。

(8)

254 46 1

約二於テハ当事者 ノー方 ノ義務‑他 ノー方 ノ義務 ノ原因 ヲ成スモノナ リ然 レハ 其‑万力自己ノ義務 ラ履行スルヲ拒ム トキ‑他 ノ一方‑ 自己ノ負担セル義務 ヲ 履行 シテ弁済 シタル所 ノモノヲ取回スルカ為 メ又ハ自己モ亦 自己ノ負担セル義 務 ヲ免カルル為メ契約 ノ解除 ヲ求メ得へキハ理 ノ当然ナ リ」 と

13)

さらに, ここでは,「 義務 ノ主 タル効力」である 「 直接履行 ノ訴権」だけで は,相手方の不履行を被 った債権者にとって十分な救済 とな らないことが意識 されている。日 く,「 若 シ自己ノ義務 ヲ既二履行 シタル者‑売買 ノ解除 ヲ求ム ル ヲ得スシテ単二債権者 トシテ行ブコ トヲ得へキ通常ノ訴権 ノ ミヲ有スルモノ トスル トキ‑著 シキ損害 ヲ受 クルコ トアルへキナ リ何 トナ レ‑売主‑家屋 ヲ引 渡 シタルモ買主力其代金 ヲ弁済セサル場合二於テ‑其買主‑無資カニシテ売主 ヨリ債権者 タルノ資格 ヲ以テ訴権 ヲ行 フモ買主 ノ他 ノ債権者 卜共二買主ノ財産 ヲ競売 シテ生 シタル代金 ノ分配 ヲ為ササルヲ得ス随テ其債権 ノー分二対 シテノ

ミ弁済 ヲ受 クルコ ト居多ナルへケ レ‑ナ リ」 と

14)

こうした理解か らは,解除が不履行債務者に対す る不利益ない しは制裁であ るとの着想 は見て取れず,解除は,純然たる契約か らの解放原因 と位置付けら れているにとどまる。

(2

)救済手段 としての解除の位置付け

法典起草過程でみ られた履行保障を優先す る思想 に変わ りはない。すなわ ち, 財産編

381

条に定める訴権の うち

,

「 義務 ヲ直接二履行セ シムル為メノ訴権」 , すなわち 「 義務 ノ呂的 ヲ実行セ シムルコ トヲ旨 トスルモノ」が,「 義務 ノ主 タ ル効カナ リ」 。そ して , 「 不履行 ノ場合即チ債務者直接二義務 ノ履行 ヲ為スヲ欲 セサルカ又‑其過失ニ ヨリ義務 ヲ履行スルコ ト能ハサル場合二於テ‑加之単二 之力履行 ヲ遅延 シタル トキニテモ債権者ハ損害賠償 ヲ求ムルノ訴権 ヲ有ス又損 害賠償 ノ訴権‑直接履行 ノ為 メノ訴権 卜各別二之 ヲ行 ヒ又‑合併 シテ之 ヲ行 フ

13)井上正一 『民法正義 (財産編第二部巻之壱)』(第八版,明28)730

頁以下。堀

友 はか 『民法疏義 (第四冊人権之部)』(24)1479

頁以下 も同旨。

14)井上 ・前掲書 (13)731

頁以下

(9)

契約解除の要件枠組 み に関す る総論的考察 255

コ トヲ得即チ損害賠償 ノ訴権 ヲ以テ直接履行 ノ訴権二代 フルコ トヲ得又‑之 ヲ 補充スル コ トヲ得是 レ義務 ノ付随 ノ効カナ リ トス」 と

15)

。 この後段部分のみ を読む と,「直接履行」 と 「 損害賠償」 との問に順位上の優劣はないようにも 受け取れる。 しか し,法典381 条が主眼 とす る 「 義務力合意二原因スル場合」

についていえば, 「 其主 タル効力ハ直接こ其義務 ヲ履行セシムルニ在ルヤ明カ ナ リ而 シテ損害 ヲ賠償セシムル‑当事者 ノ予期セサル義務 ノ偶然 ノ結果二過キ ス綾 カニ付随 ノ効カニ シテ主 タルモ ノニ非サルナ リ」 との指摘 を併せ読む と

16)

,契約の保障手段 としては 「 直接履行」が主位的地位を占めると観念 さ れていることが判明 しよう

さらに, こうして 「 損害賠償」に優越す る 「 直接履行」 は,「 解除」に対 し て もその優先的地位を保持す る。すなわち,「 純粋 ノ理論上 ヨリ言へ‑債権者 ハ契約 ヨリ生スル債務 ノ執行 ヲ求ムルノ権利 ヲ有スルニ過キサルへ シ其故‑一 旦契約二依テ双方二法鎖 ヲ生 シタル以上ハ後 日実行 ノ有無二拘 ラス契約 ノ要素 己 レニ具備スルこ因 り一方 ノ意思 ヲ以テ之 ヲ解除スル ヲ得へカラサル‑一般 ノ 原則ナ リ

1 7 ) 。 しか し, こうしたローマ法の形式主義か ら脱却 して,解除 と いう 「 特権」を認める法思想の広 まる経緯が,次のよ うに説 明され る。つま り,「 売買 ノ例 ヲ取テ言ハ ンニ売主 ノ目的 トスル所ハ結局代金 ノ支払 ヲ受 クル ニ在 り若 シ始メヨリ買主其支払 ノ義務 ヲ実行セサルコ トヲ知 ラノ) 何 ソ売払 フコ トヲ承諾セ ンヤ故二法律二其意思 ヲ解釈 シ物件代価共こ之 ヲ失 フノ不幸二雁ラ シメサルカ為二此特権 ヲ与へタルモノナ リ」 と

18)

これ らの注釈書か ら改めて確認 され うるのは,旧民法典における本来的履行 の優先思想である。その根底には,履行を望んで契約を締結 した当事者意思を 重視す る姿勢が窺えよう

そ して, こうした着想 は,一方当事者が契約上の義 務を行わない場合 も,直ちに契約を解消す るのでな く,ひとまず本来的履行実

15)本野一郎/森 順正/城 数馬 『日本民法義解第五冊

』( 明

24)750頁以下。井上 ・ 前掲書 (13)505頁以下 も同旨。

16)本野 はか ・前掲書 (15)752

17)富井政章 『民法論綱 (人権之部)』(賓文館,明23)126

18)富井 ・前掲書 (17)127

(10)

256 46 1

現 の可能性 を残 す とい う考 え方 に連 な る

19)

。その具体 的発現が 「 恩恵期限」

の設定 にはかな らない。

(3

)恩恵期限の趣 旨, これが設定 され る要件

履行期を徒過 した債務者のために恩恵期限が設定 され る趣 旨は,次のように 説 明 されてい る。す なわち,「 債務者‑善意 ナルモ即 チ債権者 ヲ詐害スルノ意 思ナキモ不幸二陥 り直チニ弁済 ヲ為 ス トキ‑其業務 ヲ継続スル ヲ得サルモ之二 恩恵上 ノ期限 ヲ許輿 スルこ於 テハ甚 シキ便宜 ヲ得又他 ノ一万二於テハ債務者二 此期限 ヲ許輿 スルモ債権者二取 リテ甚 シキ損害 ヲ受ケサル場合二在テ‑裁判所

‑債務者 ノ請求こ因 り之二相応ナル即チ過多 ナラサル時間 ヲ以テ恩恵上 ノ胡限 ヲ許輿 スル ヲ得ルナ リ」 と

20)

。 また,「 債務者不 時 ノ災厄又ハ不幸二陥 り強テ 債務 ヲ執行セ シムルモ徒 ラニ債務者 ノ不幸 ヲ重ネ債権者二於テ‑充分 ノ満足 ヲ 得 ス而 シテ苛酷惨烈空 シク人情 ヲ傷 フル ノ情実顕然 タル コ トア リ」 とも説かれ る

21)

。つ ま り, た とえ債務者が履行期 を徒過 して も, それが債権者 を害す る 意図 に出た ものでな く,かっ, 債権者 に著 しい損害が生ず るわけで もなければ, 裁判官 は, こうした情状を衡量 した うえ債務者のために恩恵期限を設定す るこ

とが法的正義 ・公平 に適 う, とい うことである2 2 ) 。

19)なお,契約が法上当然に解消されるのでなく,債権者の申立てにより解除されるの

も,本来的履行保障の思想を強固にする。この趣旨を説 く次のような指摘を参照。

「 一方ノ当事者力其義務ヲ履行セサル場合二於テ契約ヲ解除スル ト否 トハ全ク他ノ 一方ノ梅内二在 り若シ此ノ当事者ニシテ尚ホ契約ヲ継続セント欲セハ敢テ契約ヲ解 除セス義務不履行ノ当事者二対シテ義務履行ヲ要求スルコトヲ得へシ故こ契約ノ解 除ハ損害ヲ受ケクルー方ノ当事者ノ申立二因 リテ始メテ其効ヲ生スへキモノこシテ 当然生スヘキモノこアラス」( 掘ほか ・前掲書 ( 注1

3)1480

頁) 。また,富井 ・前掲 書 ( 注17

)129

頁以下が, 「 黙約解除ハ債権者二取テハ一種ノ特権ナリ此特権ヲ有 スルカ為二執行ヲ求ムルノ権利ヲ失フモノこ非ス此二ノ権利ノーヲ選択スルコトヲ 得ル以上ハ不執行ノ一事ヲ以テ当然解除ノ効ヲ生セシムルヲ得ス何 トナレハ債権者

ヲシテ其契約ヨリ生スル本然ノ訴権 ( 直接履行ノ訴権)ヲ失ハシムルコトトナレハ ナリ」と説 くのも同旨。

20)井上 ・前掲書 (

13)636

21)掘はか ・前掲書 (

注1

3)1406

頁以下

22)ただし,恩恵期限の許与は,遅延利息の発生をも阻止 しうるものではない。 「

債権

者ガ物ノ弁済ヲ請求スル ト同時こ遅延利息ヲ請求シタル トキ‑裁判所ヨリ其弁済ニ

(11)

契約解除の要件枠組 み に関す る総論 的考察 257

こうして恩恵期限が付与 される要件 は,債務者側の事情及び債権者側の事情 に分かれることが理解される

前者 は債務者の 「 不幸且善意」であり,後者は 債権者が 「 猶予 ノ為メ確実ノ損害 ヲ受ケサル」 こと,である。

債務者の 「 不幸」 とは,「 債務者力天災等 ノ為 メ其義務 ヲ履行スル二足ルヘ キ資産 ヲ失 ヒタル場合 ノ如キ ヲ云 フ

」 23)

。 また,「 善意」 とは,「 債務者 力義 務弁済 ノ猶予 ヲ受ケンカ為メ故 ラこ其資産 ヲ他人二譲渡 シ若 クハ隠匿セルカ如

キ手段二出テクル場合ニアラサル ヲ云 フ

」 24)

と説明されている。

一方,恩恵期限を付与す る要件 として,債権者側の事情 も併せて尉酌 される べき旨が明示されていたことは,看過できない。遡 って草案段階での説明をみ ると,同草案が 「 権利者 ( 即チ債主)ノ著 シキ損害 ヲ受ケサルコ ト」 という第 三の要件を明示 したのは,「 実二善良ナル注意 ヲ為 シタルモノ」であって,「 仏 民法ニ‑此第三 ノ条件 ヲ記載セス ト難モ裁判官二於テ之二注意 シ法律 ノ閲典 ヲ 補 フ可 シ」 と指摘 されていた

25)

。そこには,恩恵期限を許与す ることにより,

「 義務者 ノ利益 ノ ミヲ謀 リテ権利者 ヲ害スル」結果 となるのを回避す る意図が 強 く窺える2 6 ) 。 法典

406

条 に即 して も,この趣 旨は次のよ うに承認 されている。

すなわち,「 債務者善意ニ シテ不幸二陥 りタル場合二於テハ之こ義務履行 ノ猶 予期限 ヲ与 フル‑即チ人情二基 クノ美制ナ リ然 レトモ此猶予 ノ為二債権者損害 ヲ受 クルノ形跡確実ナルニ於テハ正当ノ権利者 ヲ害 シテ義務者 ヲ保護スルノ謂 レナシ是 レ即チ第三条件 ノ生スル所以ナ リ」 と

27)

0

このように,恩恵期限の許与 は,所定の要件を満たす限 りにおいて,債権者 及び債務者双方の利益に〜ひいては法的正義にも〜合致することが強調 されて

付キ債務者こ恩恵上 ノ期限 ヲ許輿 シタルニ拘‑ ラス其遅延利息ハ請求 ノ冒ヨリ生ス ヘキナ リ恩恵上期限許輿 ノ効力ハ義務 ノ履行二関 シテ生スルノ ミニ シテ利息 ノ発生

ヲ防止スヘキモノニ非ス」(井上 ・前掲書 (13)638頁以下)

23)堀 はか ・前掲書 (13)1407

24)堀 ほか ・前掲書 (13)1408

25)ボアソナー ド氏起稿 ・前掲書 (8)623頁以下

26)ボアソナー ド氏起稿 ・前掲書 (8)624

27)堀 はか ・前掲書 (13)1408

(12)

258

いる

28)

商 学 討 究 第

46

巻 第

1

3

.小 括

旧民法典 における解除 は,双務契約 において一方債務者が義務を履行 しない 場合,他方当事者の義務を消滅 させ る原因の一つ と位置付 け られている。それ と同時に,解除権者が給付を行 っている場合の 目的物返還 ( 原状回復)の契機 ともな る。 こうして解除が認 め られ るべ き理 由として,直接履行だけでは十分 な救済 にな らないとの認識がある。その反面,解除が不履行債務者 に対す る不 利益又 は制裁であるといった発想 は見 られない。

次 に,契約上の債務者が義務を履行 しない場合,履行保障を優先す る思想が 色濃 く現れている。その一つの発現が,裁判所 の裁量 によ り義務者 に付与 され る恩恵期限である。その要件 は,債務者が不幸かつ善意であること,及 び,履 行を猶予 して も債権者が確実の損害を受 けない ことであ り, ここでは当事者双 方 の利益が衡量 されてい る

29)

。 これ ら諸要件 の本意 には不分 明な ところ もあ るが,債務者 の 「 不幸」 とは一時的災害や病気が, また,「 善意」 とは害意 な い し詐害意図のないことが,それぞれ念頭 に置かれているよ うである。なお, 履行保障を優先す る思想が強い ことも一因 してか,恩恵期限の延長 は許 さない

〜 したが っそ,この期 間は, 債務者 に とってまさに履行の「ラス ト・チ ャンス」

となる〜 ことが明文で規定 されている ( 財産編

407

2

項)

30)0

28)なお,406条 は,恩恵期限の許与を定 め る1項 に轟 けて,裁判所が分割履行を命ず る権限 (2項),及 び, これ らに関す る特約の無効 (3項)を規定す る。 2項 は当 事者双方 の利益均衡 を慮 り,3項 は公序 の見地 か ら説 明 しうる規定 とみ られよ う (掘 はか ・前掲書 (13)1408頁以下 は,同条 を 「仁慈的掛酌二基 クモノニ シテ 亦社会公共 ノ秩序 ヲ保持 スル ノ条規」であって,公共 ノ秩序風俗二関スル条規ハ 私的 ヲ以テ変更 スル コ トヲ得サルハ法理 ノ認 ムル原則ナ リ」 と説 く)0

29)ボアソナー ドが草案426条 に即 して

,

裁判官ハ善 ク双方 ノ地位 ヲ比較 シタル後恩恵 期限 ヲ許 スヘキナ リ」(ボアソナー ド氏起稿 ・前掲書 (8)624頁) と説 くところ か らも, こうした意図を知 ることがで きよ う。

30)そのほか,いったん裁判所の手を煩わせた以上,その判断を弛緩 させ るよ うな恩恵 期限の延長 は認 め られない, との発想 も作用 していると考え られ る。

(13)

契約解除の要件枠組 みに関す る総論的考察 259

現行民法典

541

1.起草過程

31)

まず, 債権編第二章第一節 ( 契約総則)の中に,‑款を設 けて 「 契約 ノ解除」

を規定 した趣旨について,穂積陳垂起草委員は,次のように説明する

すなわ ち,解除を義務消滅原因 として‑箇条のみ置いた既成法典 と異な り,本案では

「 萄モ契約 ヲ解除致 シマシタナラ‑斯 り云 フ結果力生スルモノデアル ト云 フ通 則丈ケ示 シマスル 目的 ヲ以テ此処二一款 ヲ置イタ」 とい うことである

32)

。そ して,解除の効果を定める法典調査会提 出議案

543

条 ( 現行

545

条) は,解除 権行使に伴 う各当事者の原状回復義務及び損害賠償を規定 している。履行義務 か らの解放効 は明示 されてお らず,解除によ り 「 新 タニ其義務ガ解ケ」 る

33)

,

といった説明か らこの趣 旨が窺える程度である。 もっとも,解除のこの本来的 機能に変更を及ぼす意図はないと考え られよう

次に,現行

541

条に該当す る議案

539

条は,次のように定めていた。

第五百三十九条 当事者 ノー方ガ其債務 ヲ履行セサル トキ‑相手方‑相当ノ 期間ヲ定メテ其履行 ヲ催告 シ若 シ其期間内二履行ナキ トキ‑契約 ノ解除 ヲ 為スコ トヲ得

穂積陳重起草委員によれば, この条は 「 既成法典 ノ財産編四百二十一条二当

」 ,そこで規定 されている三つの事項,すなわち 「 債務 ノ不履行 卜云 フモノ ガ解除条件 ヲ含ム」 こと , 「 其解除条件 ノ成就 卜云 フモノハ当然解除ノ効 ヲ生 セスシテ裁判所二之 ヲ請求スル丈ケノ権利 ヲ生スル」 こと,及び,「 裁判所ガ 尚ホ之 ヲ実行セサル見込カアルナラー 一 一 一一 双 方二害カナクシテ実行サセル コ トガ 出来ル ト云 フコ トヲ見込 ンタナラハ恩恵上 ノ期限 ヲ与ヘル」 ことは,各々,吹

31) この経緯については,すでに北川 ・前掲書 (7)88頁以下に詳細である 32) 法典調査会民法議事速記録 ()』 (法務図書館,昭56)254

33) 法典調査会民法議事速記録 ()』275

(14)

260 第46 1

のよ うに評価 され る

34)

0

まず,解除を条件構成す ることは , 「 法律上不当ナ コ ト」 として採用 しない。

なぜな ら,「 始 メヨ リ向 フガ履行 シナか ツタナラハ こち らモ履行 シナイ履行 ス ル義務 ガ消エル ト云 フ斯 り云 フコ トヲ当事者 力見込 ンテ・ ‑条件附テ何時テモ双 務契約 ヲ結 フモノテアル ト見ルノ‑少 ㌢行キ過キク話」だか らとい う

35)

0

また,裁判上 の解除 とい う方法 につ いて は,「 裁判所 ガ見マ シテ如何 ニモ是

‑少 シ履行 ヲ怠 ツタ夫 レテ直 グ解除 シテ仕舞 ウ ト云 フノハ随分酷イ話テアツテ 又履行 シテモ双方共夫 レ丈ケ ノ害モ深 クナイ ト思 ヒマシタ時二於テ恩恵上 ノ期 限 ヲ与ヘル ト云 フコ トガ出来ル此利点こ付テハ是‑幾 ラカ穏当ノヤ リ方 テアラ

ウ ト恩 ヒ/ マス又親切 ナヤ リ方 テアル ジャラウ ト恩 ヒマス」 と評価す る

36)

。た だ し, これ と同 じ結果 は 「 意思表示 ノ主義二依 テ得 ラ レル」のであ って,「 相 当 ノ期 間」の判断 も 〜 「 取 引 ノ性質二依 テ定マルモ ノテアルカラシテ却 テ当事 者 ノ見込 ノ方ガ穏 カ」か もしれないか ら,相当期間の設定及 び解除の意思表示 のいずれ も当事者 の判断に委ねた と説 く3 7 ) 。つ ま り,現行

541

条 の うち 「 相当 ノ期間 ヲ定 メテ其履行 ヲ催告」す るとい う構成 は, 旧民法典財産編

421

条及 び

406

条 に系譜 を持つ ことにな る。 これ ら帯点 につ いては,法典調査会で も別段 の異論が唱え られ ることな く,現行

541

条へ と受 け継がれた。

なお,解除 と損害賠償 との重畳行使を認 めた旧民法典財産編

424

条 も,提 出 議案543 条

3

(

「 解除権 ノ行使‑損害賠償 ノ請求 ヲ妨 ケス

」)

を経て現行

545

34) 法典調査会民法議事速記録 ()』258頁以下 35) 法典調査会民法議事速記録 ()』259

36)ただ し,旧民法典が,「成立 ノ単純,有期又ハ条件附ナル義務」の款 の中で,一般 的に 「恩恵上 ノ期限」許与を認めたの と異な り,現行法典 は,契約解除 とい う特別 な場面 に限 ってその有用性を承認 した ものである。 この趣 旨を次のよ うに説 く 『 定稿本 ・民法修正案理 由書 ・完』459頁を参照。日 く,既成法典財産編第四百二十 一条第二項後段 ノ規定 ノ如 ク或場合二於 テ裁判所‑債務 ノ履行二付キ恩恵期限 ヲ許 与 スル コ トハ頗ル妥当ナルノ ミナラス債務履行 ノ見込 アル トキ‑甚 夕便利ナル ヲ以 テ本案ハ既二原則 トシテ恩恵期限ナルモノヲ認 メサルニ拘ハラス本条 ノ場合二於テ ハ之二代 フルニ債務 ヲ履行セラル者 ノ相手方 ヲシテ相当ノ期間 ヲ定 メテ履行 ヲ催告 セ シメ然モ其履行 ナキ トキ‑始 メテ解除権 ヲ行使 スルコ トヲ得セ シムルモノニ シテ 実際上 ノ結果‑既成法典 卜同一 ノ便利 ヲ得へキナ リ」 と。

37) 法典調査会民法議事速記録 ()』259

(15)

契約解 除の要件枠組 み に関す る総論 的考察

3

項に受容 されることになる。

261

2.

法典施行当時の学説状況 (1 )解除の機能

論者 により若干のニ ュア ンスの差 はあるものの,次の範囲では一致をみてい るといえよう

すなわち,契約上の債務を負 った者が債務の本 旨に従 った履行 を しない場合,債権者 は本来的履行 と損害賠償 を請求す る権利を有す るもの の,それだけでは十分な救済 とな らないか ら,契約か ら解放 されて行動の自由 を回復す る手段を与え られる必要がある, ということである。次の説示 は, こ うした趣 旨の端的な表明である。日 く,「 相手万 力其負担 スル債務 ヲ履行セサ ル場合二於テ其履行 ヲ強制 シ損害 ヲ賠償セシムル コ トヲ得へ シ ( 四一四,四一 五) 卜難モ満足ナル結果 ヲ得サルコ トア リテ契約木口 ノ目的 ヲ達 スル能ハサル コ ト多 シ

( 原文のまま) 。 したが って,現行民法 は, フラ ンス法等の主義を 採用 して不履行 に基づ く契約の解除を許 し,「 此場合二其契約 ヲ解除 シ契約取 結以前 ノ状態こ回復セシムル」 ことを認めた

38)

,′とい うことである。

この理解 は,旧民法典及び現行法典起草過程の議論 と軌を一 にす るものであ る。 したが って, ここに至 り,解除の存在意義 はそ もそ も損害賠償 と別の とこ ろにあることが再確認 されてよかろう。 したが って,解除は債務者 に対す る制 裁であるという漠然 とした認識 は,まず,排除されなければな らない。なぜな ら,こうした見方 こそ, 解除を損害賠償 とともに不履行債務者 に対す る「 制裁」

と捉え,両者 に共通す る要件を兄い出そ うとす る傾向〜 これに対す る疑問が, まさにこの小稿の出発点であった〜を もた らすためである。む しろ,期待 した 給付を得 られない債権者を契約 という法鎖か ら解放す るとい う機能が,まず,

38)

岡松参太郎 『 註釈民法理由 ( 債権編

)

』( 有斐閣,明

30)503

貢。時代が下っても, 横田秀雄 『 債権各論』( 清水書店,明

45)168

頁,富井政章 ・述 『 債権各論』( 信山 社, 大正元年東大講義録, 復刻

乎 6)118

頁,末広厳太郎 『 債権各論 ( 第‑分冊』( 育 斐閣,大

6)241

頁,鳩山秀夫 『 増訂日本債権法各論 ( 上巻

)

』( 岩波書店,大1

3) 208

貢以下,磯谷幸次郎 『 債権法論 ( 各論)上巻』( 厳松堂,大

15)254

頁以下など,

‑ 多数 を指摘 しうる。

(16)

262 第46 1

念頭に置かれるべきである。

(2

)救済手段 としての解除の位置付け

旧民法典 に置かれていた 「 恩恵期限」の制度が,現行

541

条 に受け継がれた 経緯,及び,その理由に関す る穂積起草委員の説明は,さきに一瞥 したとお り である (Ⅲ 1.参照) 。 この理解 は,現行法典の施行当時の学説上 も,共通 し ていた とみ られる。すなわち,「 債務 ノ不履行ハ解除権発生 ノ原因 ヲ為ス ト離 モー旦不履行 ノ事実ア レハ直チニ解除権 ヲ発生セシムル トキハ多 ク‑実際ノ事 情二通セス且当事者 力契約 ヲ取結 ヒタル本来 ノ目的 ヲ妨 クル弊ナ シ トセス」

39)

。また, 「 解除‑其性質契約 ノ履行 卜正反対ナルモノナル ヲ以テ仮令当 事者 ノ一万二其債務 ノ弁済期二在ルこ拘‑ラス之 ヲ履行セサルノ責アルモ直チ ニ契約 ノ解除 ヲ為ス‑其者二対 シ酷二失スルノ ミナラス当事者力契約 ヲ締結セ シ当時 ノ意思二反 スル コ ト甚 シキコ ト多 ケ レハナ リ」 との理解 も

40

) ,趣 旨を 同 じくしよう。

ここで併せて記憶に留め られるべ きことがある。それは,いずれの見解にお いて も,契約実現に向けた本来の履行が契約当事者の意思 とみ られていること である。 こうした理解 は , 旧民法典財産編

383

条以下の解釈 とも付合す る。ま た,現行法典の起草段階において,強制履行 と損害賠償 との優劣について 「 英 吉利 ノ主義杯 ト‑反対デゴザイマシテ先ヅ強制履行 ヲ求メルコ トガ出来ル」主 義を採 ったと説かれていたことも

41)

, これを裏付けるといえよう

こうした理解 によれば,「 解除‑其性質契約 ノ履行 卜正反対ナルモノ」 とい うことになる

42)

0 「 元来契約解除‑契約履行二対 スルー ノ変例」であるとの 認識 も

43)

, これ と趣 旨を同 じくしよ う。そ して, こうした見方 は次のような

39)松波仁一郎/仁保亀松/仁井 田益太郎 『帝国民法正解債権編』(日本法律学校,第 三版,明36)883

40)梅謙次郎 『民法要義巻之三』(明法堂,増訂11版,明36)446

貢以下

4

1

) 『法典調査会民法議事速記録 (七)』(法務図書館,昭55)160

頁以下 ′

42)梅 ・前掲書 (注40)446

43)小沢政許 『日本契約法原論』(有斐閣,明30)299

(17)

契約解除の要件枠組 み に関す る総論 的考察 263

立場を もた らす。すなわち

,

「 解除ハ契約 ノ性質二違反スルモノニ シテ止ムヲ 得サルニ出テクルモノナ レ‑軽々敷之 ヲ許スヘキニアラス如何ニシテモ利益ナ ル履行 ヲ得ル コ ト能ハサル場合二限 り許スヘキモノナ リ」 と

44)。

このように, 不履行時に本来的履行を優先的に保障 しようとする思想は,旧民法典に即 して 見 られた理解にも増 して強まっているように思われる。

(3

)催告期間設定の趣 旨

上にみ られる限 り,催告期間設定の趣 旨とは,一見 したところ,旧民法典時 代 と別段変わるところのない履行保障優先思想の現れのように思われる。 しか し,子細に観察す ると,そこには後に至 り大 きな差異を もた らす契機があった とみる余地を残 している。

それは,「 恩恵期限」許与のための,債務者の 「 不幸且善意」及び 「 債権者 力猶予 ノ為メ確実 ノ損害 ヲ受ケサル可キ」 こと, という文言が,明示的地位を 失 ったことに伴 う

この変化 は,「 恩恵期限」ないしは 「 催告期間」の設定が, 裁判所の裁量か ら 「 意思表示 ノ主義」( 穂積起草委員)に変更 された ことを反

44)嘉山幹‑講述 『債権法各論』(日本法律学校,刊行年不明。ただ し,表紙 に 「三拾 四年度」の表記がある)116頁。なお,後 に一瞥 され るとお り,近時の学説の中に は,解除権行使を認める基準 として,履行を受け られない債権者の利益欠落 という 契機を正面に据えるものがあり, これは比較法的視座にも支え られている。 とりわ け,近時,多 く論及 されるのは,国際動産売買に関す る 「ウィー ン売買条約」であ る。その解除規定の概要 につ き,さ しあた り,拙稿 『ウィー ン売買条約』(CISG) における契約 目的の実現 と,契約か らの離脱(1)(2・完)」商学討究42 1 (199 1)177,43 1・2

(1992)131頁を参照。その意味において,民法典施行当 時の‑学説が, 「如何こ シテモ利益 ナル履行 ヲ得ルコ ト能ハサル場合」に限 り解除 を許す 旨を説 くのは興味深い。 しか し,その一方 において,541条 にい う 「履行ナ キ トキ」の解釈 として, 「遅延 シタル履行 力利益ナキモノタルコ トヲ要セス [反対 一独法系]と明言す るもの もある(岡松 ・前掲書 (38)505頁)。 こうした差異 は, 恐 らく,当時における外国法の理解 に由来す るとも思われ る。例えば,小沢 ・前掲 書 (43)299頁以下 は,羅馬法及羅馬法 ヲ継受セル独国普通法旗国民法等」は,

契約ノ遅延セル履行力債権者二対 シテ利益ナキ トキこ限 り例外 トシテ解除 ヲ許セ リ」 と説 く一方,仏蘭西法其他瑞西債務法及我 旧法典等」 は,解除が 「遅延 シタ ル履行力利益ナキ トキニ限ラサルナ リ」 と言 う。ただ し, この当時の学説の中にこ れ以上の手がか りは兄い出せないことか ら, この小稿の考察対象 とす ることは見送

らざるを得なか った。

(18)

264 46 1

映 しているとみ られ る。すなわち,旧民法典上 恩恵期限の設定 は裁判所の裁 量 に委ね られていたため,法文 は, こう一 した裁量の基準 となるべ き当事者双方 の事情 を明示 していた。それに対 して, 現行法 における催告期間の設定 は,もっ ぱ ら債権者の意思 に委ね られ るに至 っ′ た。 ところが,その結果,旧民法典 にお いて明示 されていた当事者双方の事情への 目配 りが,法文か ら姿を消す ことに な った。 とりわけ,「 債権者 力猶予 ノ為 メ確実 ノ損害 ヲ受ケサル可キ トキ」( 契 約上期待 した利益 を得 られない債権者側 の事情) とい う旧民法典財産編

406

条 の趣 旨が,大 き く後退す る

45)

。それ に代 わ って,催告期 間の設定が債権者主 導 で行 われ る こ と との均 衡 上,「 直 グ解 除 シテ仕舞 ウ ト云 フ ノハ 随分酷 イ 話

」 4

6 ) , とい う債務者側 の事情が焦点を集めるよ うになるO

それ と共 に強ま って きた と見 られ るのが,解除 は履行を望んで契約を締結 し た当事者意思 と正反対である, との理解であ った ( 前 出Ⅲ 2.(2)を参照) 0 その結果 は,′ 次のよ うな解除観を生む。すなわち,解除は当事者意思 に相反す る例外 なのだか ら,た とえ債務者が履行期を徒過 したにせよ,即時に契約を解 除す るのは当該債務者 にとって酷だ, とい うことである ( 注

40

で指摘 された梅 謙次郎 の説示 を参照) 。 ここで,解除が不履行債務者 に不利益 ない しは酷 な結 果 を もた らす とい う具体的意味が,一つ浮かび上が って きた ことになる

すな わち,解除 による履行機会の剥奪がそれである (しか し, この ことは,即時の 履行機会剥奪 は債務者 にとって酷だか ら,催告期間を設定 して履行のラス ト・

チ ャンスを与えよ, とい う文脈で理解 され るべ きものであ り,債務者の 「 帰責 事 由」を要件 とせ よ, とい う趣 旨ではない とい うべ きであろ う) 0

45)現行法典 に即 して も債権者側の事情 に配慮す る文献 としては,次のように説 く小沢

・前掲書 (43)299真を指摘 しうる程度である。すなわち

,

債務者債権者 ヲ詐害 スル意思ナキモ或‑単二憐怠二起因 シテ履行 ヲ為サ 、ルコ トアルへ ク或‑債務 ノ履 行 ヲ忘却 スルコ トアルヘ シ元来契約解除ハ契約履行二対スルー ノ変例 ナ レハ法律上 相当ナル猶予期間 ヲ与 フルモ不可ナキカ如 シ ト雄モ斯 ノ如キ恩典ハ時こ債務者 ヲ不 正こ利 シ又ハ債権者 二損害 ヲ蒙 ラシムへキ ヲ以テ此規定 ヲ見ルニ至 りタルモ ノナ

リ」と。

46)法典調査会民法議事速記録 (

)

』259

(19)

契約解除の要件枠組みに関する総論的考察

265

3.

小 括

現行法典施行当時の理論状況は,次のように整理 されよう

まず,契約解除

̲とは,相手方か ら履行を受け られない債権者を契約か ら解放 し,挫折 した契約 を清算す る手段 と位置付け られる ( 債権者のための義務解放効) 。ただ し,履 行が遅延す る場合で も,即時解除は本来の履行を期待 していた債務者 に酷だか ら,催告期間を設定 して履行を待つ ことが望ましい ( 履行機会を剥奪 される債 務者への配慮)。その根底 には,解除は,履行の実現 とい う契約本来の趣 旨に 対する例外であるとの認識がある ( 履行保障優先思想の浸透) 。

こうして予定された解除の機能は,旧民法典におけるそれ と異なるものでな く,現行法典起草委員の意図 も同 じであったと考え られ る。 しか し,将来の解 釈に影を落 とすか もしれない微妙な差異が潜んでいた。それは,催告期間 ( 恩 恵期限)を設けて本来の履行を待つべ きか否かを判断す る場合,その後の履行 機会を剥奪 される債務者側の事情 と,期待 した履行を得 られない債権者側の事 情を衡量すべきことが,条文上,判然 としな くなったことである

とりわけ, 債権者が履行を待 って も著 しい損害を被 らないことを催告期間設定の要件 とす る ( 旧民法典財産編

406

条を参照) , という債権者側の事情‑の配慮が視野か ら 欠落す る。

さらに,契約本来の履行を求めるのが当事者の意思にはかな ら電 いとの理解

\ 、 に支え られて,たとえ債務者が不履行状態に陥ったにせよ,解除により履行機 会を剥奪するのは酷である, との認識が強まってきた。 こうした経緯を反映 し て,解除の要件論は債務者側の事情を中心に組み立て られる下地が作 られた,

と考えることも可能であろう

Ⅳ むすびに代えて

(1)

この小稿 は,民法

541

条 に即 して,解除の効果に対応 した要件を検討す

るために,損害賠償に傾斜 した債務不履行論の影響を受ける前の理論状況を整

理 ・確認する, という作業を試みて きた。そこか ら知 られるところを要約すれ

(20)

266 46 1

ば,次のようにいえる。すなわち,契約上期待 した利益を得 られない債権者側 の事情 と,解除により履行機会を剥奪 される債務者側の事情 とを衡量のうえ, 履行義務か らの解放 と挫折 した契約の清算 という,解除の機能を最 もよく発揮 させ るような要件が、5

41

条の文言に即 して構築 されることが理に適 う, とい

うことである。

(2)

こうした思想が,学説上,最 も鮮明に現れていたのは,旧民法典の公布 前後であった。 現行法典起草委員 も,この趣 旨を変更す る意図は持たなか った。

しか し,旧民法典財産編

406

条 において 「 恩恵期限」を設定す る要件 とされて いた,債務者の 「 不幸且善意」 ,及び,「 債権者力猶予 ノ為メ確実 ノ損害 ヲ受ケ サル可キ」 こと, という文言は,現行法に受容されなかった。それ も一因 して か,現行法典公布の頃より現れた注釈書か らは, とりわけ,解除の前提たる催 告期間改定にあた り視野に入れ られるべき債権者側の事情〜履行を待 っても著 しい損害を被 らないこと〜への正視が徐々に薄れ,視点は,解除により履行機 会を剥奪 され る債務者側の事情‑ と傾斜 してゆ く。さらに時代が下 ると, 単 に, 解除は債務者 にとって酷だ, との抽象的命題のみが一人歩 きし,その具体的内 容が判然 としな くなる

47)

。 これ と過失責任主義の浸透,ひいては損害賠償 に 傾斜 した債務不履行論 とが相侯 って,解除は債務者にとって酷な結果を もた ら すか ら「 帰責事 由」 が要件 となる,との 「 通説」形成が促 された とい う推測 も, 一つには成 り立っであろう

しか し, こうした 「 酷な結果」を理由として 「 帰 責事 由」を要件 に加えるのは妥当であろうか。 この小稿か ら知 られるところに

47)大正年 間に入 ると,鳩 山 。前掲書 (注38)216頁註14,解除ハ損害賠償 ヨ リ更二 大 ナル不利益 ヲ債務者二負ハ シムルモ ノ」 と説 くが,その内容 は判然 としない。そ の ほか,勝本正晃 『債権法総論概説』(厳松堂,昭7)53頁が 「一方 的意思表示 に よ って相手方 に原状回復 の義務 を負担せ しめ る」 ことを債務者の負担 と説 くなど, 学説 は分岐 して くる。近時,解除 による履行機会の剥奪を債務者 の不利益 と評価す べ き旨を明確 に説 く文献 と して,高島平蔵 『債権各論』(成文堂,1988)64 (

「も

し,履行期 に遅れた とい うだ けで解除をみ とめ るとすれば,契約関係 の存続 を望む, 責任 のない債務者 に とって, きわめて不利な結果 とな るのを免れないであろ う」 と 説 き,解 除が 「帰責事 由」を要件 とす る根拠 とされ る),川村泰啓 『商品交換法の

体系

』 (勤草書房,1972)272頁以下 (履行遅滞及 び不完全履行 の場合,解 除 は 債務者 か ら 「追」履行のチ ャンスを奪 うとい う契機 を強調 され る)などを参照。

参照

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