巻頭論文
日本の対 中国 自動車部品輸出と
契約 に基づ くアウ トソー シ ング
田 中 巌
日本の中小企業がグローバルな市場で価格競争力 を失 っている という認識が強 まっているが,本論文では,その ような企業は技術集約 的な自動車部品の生産 に比較優位 を持 っているのではないか という議請 を展開す る. WTO加盟 を契機 として 自動車生産のブームが起 きている 中, 日本の対 中国自動車部品輸出は飛躍的に増加 している. しか し,一 般部品の輸出はコス トの低い他のアジア諸国が価格競争力 を有 している ので, 日本企業はその ような部品にではな く,特殊 な部品生産に競争力 を有 し,それ らの輸出 を拡大 していると考えることが出来る. 1994年 か ら 2003年 までの 日本 の 自動車部品 10産業 に関す るデー タを用 いた 実証分析か らは,中国市場 においてエ ンジニアリング ・コス トが高い部 品ほ ど輸出が増加 してお り, また日本国内で系列取引割合の高い部品産 業ほ ど輸出が拡大 しているとい う結果が得 られた.
1 はじめに
近年の 日本の自動車メーカーによる海外 アウ トソーシングの拡大は,日本 国内のメーカー と部品生産者 との間の伝統的な取引関係に変化 をもた らして いると考 えられている.特に,中国や東南アジアに進.旧している日系現地法 人による現地調達 とアジアの低所得国か らの輸入増大が, 日本国内の中小部 品生産者 に対する需要減少を加速 しているという側面は見逃 してはな らない
現代軽骨経手斉研究 第 3号
(C wig n o isn L00o ln adT mlno 2 0)).この中小 企業が直面す る需要減少 とい う 問題 は,系列関係にある 日本の 自動車部品企業が グローバ ルな価格競争に優 位性 を失い,大企業 は系 列 を軽視 して海外 の安価な供給者 と取引する経済的 動機 を高めているとい うことが背景 にある. しか し, 日本企業が提供す る部 品は良質で固有 なものが多 く,それは系列 メーカーの希望 に沿 うような特注 生産 を行 うために部品会社が多額の投 資 を行 った結果である とも考 え られて い る. この ような特注部品の調達形態 の こ とを 「RSI契約 に基づ くア ウ ト ソー シング」 と呼 び, E]本国内では重要 な取引形態 として長 く認識 されて き た (A nma18)s au (99,G osr ma ns nadH lma 2ep n ( 3 ㌧ R I00))1 Sは R ltosi-eainhp Spcfcnet neiilvsmetの略 で,中小の下請 け企業が親会社 の必要 とす る部品生 産のために行 う,「(親企業 との) 関係に特殊 な投資」 とい うことを意味する.
そ こで本論文ではこの 「RSI契約 に基づ くアウ トソー シング」 とい う概念 を 用 いて,世界貿易横間 (WTO)加盟 を契機 と して 自動車生産の拡大 が み ら れ る中国への 日本の部品輸出に焦点 を当て, 日本の中小部品製造業者 はデザ イ ンや,技術集約 的で 固有 な部品生産 に対 して は,中国市場 で比較優 位 を 持 っているとい う議論 を展開 してみたい.
中国は 2001年 12月 に WTOに加盟 し, 自由貿易体制へ の移行 を開始 した.
自由貿易 による 自動車価格の低下 を期待 して,同年前後か ら自動車需要 は急 速 に増加 し, これ と併 せて 中国国内で の生産 も拡大 して い る (丸川 ・高 山
(2004)). この完成車生産 の拡大 は一般 的 な部品需要 と特殊 な部品需要 と の どち らをも拡大 させ得 るが, 日本の部品産業 に与 える影響 は均等である と は必ず しもいえない.そ こで,完成車生産拡大の部品調達行動 に及ぼす影響 を 2種類 に分けて考察す る.一つ 目の影響 はメー カーによる部品調達が複数 の企業か ら行われ る場合であ り, これはその部品が一般的 な範噂 にある場合 になされ るとす る.中国の 自動車 メー カーはこれ まで部品調達 コス トに敏感 で,一つの一般的な部品 を購入す るのに複数のサプライヤーか ら競争価格 を 求め る こ とが多か った (丸川 ・高山 (2004))・従 って,WTO加盟後 の生産 拡大 で一位部品の需要が増加すれば中国国内の メーカーが 日本か らの輸入 も
巻頭論文 一日本の対中国自動車部品輸出 と契約 に基づ くアウ トソ-シ ンダ 3
増加 させ る と考 え られ るが,現地や東南 アジアの安価 な供給者か ら調達す る 機会 を増やす ことになるな らば,む しろ価格競争力の弱い 日本か らの輸入 は
あま り伸びな くなる可能性が強い といえる.
二つ 目の影響 は, メー カーが特定の部品供給者 を選定 し取引契約 を結んで 部品調達 を行 う場合 で, これ は特 別 な部品 に対 して な され る もの とす る・
wTO加盟 に よる 自動車生産の拡大が高級車生産の増大やモ デル ・チ ェ ンジ の頻度の上昇 を含む ものであれば,新 しい車のデザ イ ンを可能 とす るような 特別部 品の注文が増加 す るため, メー カー は 「関係 に特殊 な投資 (RSI)」 を契約条件 とす る単一契約 を特定の部品供給者 と結ぶ機会が増 える と予想 さ れ る.中国での 自動車生産の拡大が,例 えば 日系多国籍企業に よって, この
ような単一契約 をよ り多 く日本の系列サプライヤーに対 して求める とすれば, 日本 の高い技術 に よって製造 され る部品 の対中国輸 出 は増加 す るこ とにな る2).
以上の ように, 日本の対 中国 自動車部品輸 出は,中国国内 メー カーの部品 調達行動 と部品生産その ものの特徴 とに依存 してお り,近年の中国での 自動 車生産拡大が どの ような影響 を日本 の部品供給者 に もた らすかは実証的な検 討が待 たれている とい える.そ こで本論文の実証分析 では, 日本の 自動車部 品 10産業 に関す る 1994年か ら 2003年 までのパ ネル ・デー タを作成 し,対 中国 自動車部品の輸出関数 を計測 してその要因を数量的に把握す る・特 に, 部品の製造 コス ト指標 を説明変数に加 えることによって特別 な部品 と一般的 な部品 とを区別 し,製造 コス トの高い部品は特殊で品質 も良 く,完成車, さ らに高級車生産の グローバ リゼー シ ョンによって対 中国輸 出が増大 している のではないか とい う観点か らWTO加盟の影響 について考察す る.
本論文の構 成は以下の通 りである.次節で,近年の 日本の 自動車部品輸出 の傾 向 を概観 し,中国国内の 自動車生産 と日本へ の 自動車部品のアウ トソー シ ングの拡大 につ いて把握す る.第 3節 で は先行研究 を紹介 し,「RSIの契 約 を伴 うアウ トソー シング」のモデルに基づいて, 日本の対 中国 自動車部品 輸出関数 を導 出す る.第 4節で は推計式 を特定化 し,デー タ ・ソースの説明,
現代軽骨経済研究 第 3号
及び推計結果の解釈 を行 う.第 5節で本研究の結論 を述べ る.
2近年のアジアにおける日本の自動車部品輸出と 中国の自動車生産及び日本へのアウ トソーシングの拡大
始めに,アジア地域 における 日本の 自動車部品輸 出の最近の傾向について 概観す る.図 1は,アジア地域へ の 日本の 自動車部品輸出給額 を 1995年か ら2003年 について示 した ものである.実線 は中国 とアセアン 4カ国の合計 を表 わ し,点線 は NIEsの 4経済 を合計 した金額である3). グラフか らはこ の期臥 日本の対中国 ・アセア ン輔 出は対 NIEs諸国へ の輸出に比べ てはる か に変動が大 きかった ことが読み取 れる.特 に,1997年のアジアの通貨危 機後,中国 ・アセア ン諸国へ の輸出は大 きく縮小 したが,1999年以後再 び
図 1 アジアへの日本の自動車部品輪出 :中国 .アセアンとNIEs諸国, 1995「-2003
(100万円)
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1995 1996 1997 1998 1999 .
2000
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2001 2002 2003 (年)
出所 :日本関税協会 r外国貿易概況」各年版 12月号
注 :アセ ア ン 4ケ軌 よイン ドネ シ7.マ レー シア、 タ イ,及 びフ ィリピン. また,NIEsの 4経済 は香港,台湾,韓 軌 及 び シンガポールを指す.
巻面論文 :E]本の対中国 自動車部品輸出 と契約 に基づ くアウ トソー シング 5
図 2 日本の対中国 ・アセアン4カ国における自動車部品輸出のEil別シェアの変 遷 :1995-2003
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一・・一一フィリピン出所 :日本関税協 会,r外 国貿易概況j各年版 12月号 注 :5カ国の シェアの合計は 100%になる.
拡大 している.一方 NIEs諸国-の輸出にあ ま り変化 は見 られず,通貨危横 の影響 もほ とん ど見受け られない. また,中国 ・アセア ン輸出は NIEs輸出 よりも平均 して大 きく,中国 とアセアン4カ国は, 日本の自動車部品産業に とって NIEsよりもはるかに重要 な市場 となっている.
これ ら5カ国の内,中国の部品市場 としての重要性 は顕著に伸びている.
図 2が示す ように, 5カ国 に占め る対中国部品輸出の割合 は,2001年 にそ れ まで最 もシェアの大 きかった タイを逆転 して 1位 とな り,2003年 にはそ の割合 も 40%を越 えてい る. また,通貨危機直後 にイン ドネシアの シェア が急落 したのに対 して,中国の シェアは入れ代わるように急上昇 している.
図 3は日本の対中国自動車輸出 と乗用車輸 出,及び 自動車部品輸 出とを比 較 した ものである.2001年の WTO加盟前後 か ら,いず れの輸出 とも飛躍
3
現代経 営経 済研 究 第 3号 巻頭論文 :日本 の対 中国 自動 車部品輸 出 と契約 に基づ くア ウ トソー シ ング
図 3 Jj本の対中国自動車関連輸出の変化 :自動車,乗用車,及び 自動車部晶, 図 4 中国における自動車生産台数の変化 :1990-200 1995-2003
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book,2 出所 :EI本 関税協会,F外国貿 易概況J 各年版 12月号
往:「自動車生 産」 は乗用車の他 にバ ス ・トラ ックの生 産 を含 む・
注 ■ 「自動車」 は乗 同車 .バ ス.及び トラ ックを含 む.「乗用車」 は乗用車 のみ.「自動車部品」 は
「自動車 」の部 品 を表す.
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的に増加 していることがわか る.2000年か ら2003年にかけての輸出増加率 中国において 自家用車の普及が加速 していることを物語 っている・2000年 h
生産台数か ら差 し引いたバス ・トラックの生産台数の水準 に近づいていて, C aS
出所 : ET ca rcar
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tta byN tai lonaBureauofSttaitslSOC fChlna,Chi Snatttazst 4.
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は.乗用車が27 4.%で あ り, 自動車部品 は2 %で あ る. また, 日本 の 対中国完成車輸出の多 くは乗用車である.近年, 自動車部品輸出額 は完成車
79. 5
2 か ら2003年 の 間の成長率 で比較す る と, 自動車全体 で は1147.%の伸 びで 28.
3 4
あったのに対 して,乗用車のみの生産では2 Jl卜 高 山 (200
%の伸 びを示 している・丸 )は,WTO加盟が承認 された後 は中国国内の 自動車販売価 輸出額 とほぼ同 じ水準で上昇 してお り, 日本の 自動車 メー カーと同 じように
部品会社 にとって も,中国はとて も重要 な市場 となって来ていることが理解 格が実際に下落 し,それが乗用車需要の拡大 を助長 した と指摘 している4)i
出来る. このような需要拡大 はまた, 日系多 国籍企業の現地生産の拡大 を加速 させて
図 4は中国国内の乗用車生産 とバス ・トラックを含む自動車全体の生産台 もいる5).
-
数の推移 を,1990年か ら2 300年にわた ってプロッ トした ものである.2000 図 5は 日本の対中国自動車部品輸出額 を中国で生産 された 自動車1台 当た 年に入 ってか らの中国国内における自動車生産の急激 な変化 もはっ きりと見 りの金額で表わ し,2001年 を基準年 10.) とす る指数 に変換 した も て取 れる.中国では,かつてはバスや トラックが生産の中心であった. しか のである.2000年以降この指数 は上昇 してお り,中国の 自動車生産 におけ し,乗用車生産が2003年 に約200万台 に通 してお り,これは国中 自動車稔 る日本の 自動車部品の重要性が WTO加盟によって急速に高 まったことを示
(2001=
現代経営軽清研 究 第 3号 巻頭論文 二日本の対 中国 自動車 部品輸 出 と契約 に基づ くア ウ トソー シング 9
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m c 〆・B・を得 る・ただ し・ β・-mr/Qc.
中国の自動車生産 1台当たりに占める,日本の対中国自動車部品耗韓出 自動車 1
図 5
額 :2001年-1 ,1.0 995-2003
して,A ∑pI
台当た りに必要な各部品の投入係数は, メーカー間,モデル間・ さらには国 家 間を通 じて固定 されているもの と仮定する・つ ま り軌 を一定 と仮定す る・
この時 Aの上昇 は, 日本か らの輸出価格の上昇によってのみ もた らされるこ とが分かる.すなわち同 じ部品であっても高価 なもの-の需要が・ 日本の良 質でメーカーに固有な技術集約度の高い ものによって充足 されていることを 反映 していると類推 される・従って・中国の自動車 1台当た りの 日本製部品 輸出額の増加は,中国での 自動車生産が単に旧型モデルの量的拡大 を行 って いるばか りではな くて,WTO加盟 の影響 を受 けて乗用車のモデル ・チ ュン ジの頻度 を増や し高級車の増産 に も携 わっているためである・す なわち・
メーカーの希望に適合す るような特注部品の需要が 日本 に対 して増 えている のではないか とい うことに気が付 く.
3分析枠組み
・ -
出所 :日本関税協会,F外 国貿易耽況J各年 版 12月号.Ch aSin ttaitsicsPress.ComplldebyNa
注 :各年の指 数 は. 日本の対 中国 「自動車部品」総輸 出額 をその年の 中国 におけ る 「自動車」生産 台数で除 し,2 1年 の値 を
-
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as n hz ina,C h C i fcso its Stta Bureauof i Lona
t ' LtalSh'caLi'eaTbook,2004.
先行研究 とRSI
として換算 し直 した ものであ る. メーカーによる部品の自社生産か外部調達か という選択 に際 しては,組織
デザイ ンの系譜か らすると,特注部品を生産す る特別な技術や ノウハ ウの存 在が重要な役割 を持つ とされている・ この ような特注部品を製造するために
31.
10.
している.加盟後の生産拡大は一般部品,特殊部品の別に拘 らず,現地調達
中小企業が行 う投資の ことを 「関係 に特殊 な投資 (R lteai honsip-Speci丘cIn や 日本を含 む全ての国か らの輸入 を増加 させ たことを示唆 しているが, 日本
1 anu
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vesme ,RS 」 と呼 び,これ をAs ma (
を勘案すると,中国国内での自動車生産に とって技術集約度の高い良質な部 ニーズに効率的に応えるために必要 とされる,部品製造者の側 に求め られる 品に関 しては,依然 として 日本か らの輸入に依存 している面が大 きいとい う 技術 に対する投資」 と定義 している6㌧ 中核企業,す なわちメーカーには,
ことが類推 される. 契約により部品生産の専門家 に製造 を委託することで 自社生産のコス トを削
この点に関 して,図 5で用いた指数の定義 を基 に考察する.指数 人は定義 減出来るとい う利点があ り,他方部品生産者にとって も,一度契約 を取 り付 )は 「中核 企業 の特 別 な
の対中国部品輸出が中国国内での生産増 よりも速いペースで伸 びていること 989
-
より, i A/ と表わす ことが出来る. ここでMは 日本の対中国部品総輸 出額,Qcは中国国内の 自動車生産台数 を表わす.次 に,〆 ,mlをそれぞれ
Oc
- けることでメー カーと長期的な取引関係を構築す ることが可能 となるとい う
anu
利点がある.As maは, この ような組織形態 は 日本 の 自動車産業 と電気 日本製部品 iの輸出価格 と対中国輸出数量 とを表わす とする と,上式 を変形 機械産業 において顕著に見 られると指摘 している7)・
現 代経営 経 済研 究 第 3号 巻頭論文 :日本の対 中国 自動車部品輸 出 と契約 に基づ くア ウ トソーシ ング 11 川
32. 日本の 自動車部品産業の対中国輸出関数 理論的 な展開は GrossmanadH ln epman (200)3 にみ られる.彼 らは,産
日本の自動車部品企業 にとって中国国内のメーカーは全て顧客 と考えられ 業 レベルにおいて,「 Iの契約 を伴 う海外 アウ トソー シング」が垂直的統
合に比 してなぜ多 くなるかを均衡モデルを用いて説明 している.潜在的な部 るが,ここでは簡単化のために, E]本製部品を必要 とす る中国国内の自動車 品供給者の存在する地域の契約環境が良好で,かつ生産性が高 く,その産業 メーカーは日系多国籍企業のみに限ると仮定す る8㌧ この時各メーカーは,
S R
Pが大 きく,相対賃金が低 いような時に 「契約 に基づ くアウ トソーシ 次の 3つの内最適な手段 を選んで 「特注」部品の調達 を行 うとす る・
の G
ング」はより多 く選好 されるとしている. ① 現地の部品供給者 と契約 を結び外部調達を行 う [中国でアウ トソー 自動車産業における自社生産 と外部調達の選択モデルを考察 している分析 シング]
D
② 系列関係にある日本企業か ら輸入する [日本にアウ トソーシング]
として,先ず Mo dTee ( )が挙げ られる.彼 らは,取引コ
ス トの理論に基づ くと部品供給者を変更する時に高いコス トがかかる,従っ ③ 直接投資により現地生産 (垂直的統合)を行 う [中国で自社生産]
2 8 9 1 ce d
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neverean
て高い技術費用 を必要 とするような部品生産の場合に垂直的統合により自社 これ らの選択肢の うち,① と② は 「RSI契約に基づ くアウ トソーシング」
生産を行 うことが多 くなるとし,GMとフォー ドのケースで実証分析 してい を表わし,③ は直接投資による自社内生産を表わす・従って, 日系現地企業
る. によって① または③の方法が選択 されると, 日本の対中国部品輸出は減少す
一方,H dS r(200)は実証分析 において 「 る. しか し, 日系 自動車メーカーが現地の部品供給者か ら 「
を表わす指標を導入 して,アメリカの自動車部品輸出関数を計測 している. くアウ トソーシング」 を行 うのは,それによって効率が高 まると期待 される 彼 らのモデルでは,この R 効果 は部品に固有の もの とは限 らず,各国の
制度や社会システム,その他国に特殊 な要因によって同 じ部品生産で もR 2
I pence
S iesa,n dR
ea, RSIの効果」 RSI契約 に基づ
時である. この r IRSの効果」は,当該部品の生産が相対的にコス ト高であ る場合 に高まると考えられる・例えば,エ ンジンや トランス ミッション・ア I
S
クセルなどの生産は非常 に技術集約的で,メーカー との綿密なデザ インの照 の効果が異 なる と考 える.例 えば, 日本 の系列関係 は部品生産者が R Iを
行った時にその効果を高めるように機能するもの と考える.それは,グルー S
ce d
t nevere
合や意見交換が不可欠である・Mo とTee によれば・こうした部 プ内の企業にとっては情報や技術の交換 を行えるという利点が存在するか ら 品のエ ンジニアリング ・コス ト指数は高い数値 を示 している (表 1を参照)・
従 って,R ISを実行で きるだけの信頼性がある限 り,潜在的には中国国内の 現地部品メーカー と
である.従 って, 日本国内で系列取引の多い部品産業 では R Iを行 うこと によって得 られる付加価値が高 く,系列企業か らの調達が多 くなる.このた
S
I S R
r 契約」を結ぶ可能性があ り・その場合 には日本か めにアメリカか らの輸入は少な くなるとし,彼 らの分析結果はその仮説を支 らの輸出 と代替されることになる・
持 している. また,rRSIの効果」はメー カー とサプライヤーが系列関係 にあるか どう
dT ml n (o inso 200)0 は,東 アジアでの海外調達の増加が系列関 an
ing
C low かによっても影響を受ける.系列 グループ内で部品を調達するとい うことは,
係にある日本国内の中小企業にネガティブな影響 を与えていると指摘 してい 技術や情報の交換によりメーカーは本当に必要でオ1)ジナルなものを注文出 る.特 に,巨大 な多国籍企業はグローバルな供給 ネットワークをいつで も活 来ることを意味する. 日本における自動車産業の部品調達行動が中国におい 用することが出来るので,価格交渉の面で中小企業 よりも常 に有利 な立場に ても引 き継がれると仮定すると, 日本で系列取引の多い部品産業では中国で
あるとしている. 生産す る際にも当該部品は系列企業が販売,すなわち日本から輸入すると予
12 現代軽骨軽 済研 究 第 3号
想 される.他方, 日本において系列取引のそれほ ど多 くない部品産業であれ ば,中国に移転 した メーカーに対 して供給 し続けるとは限 らず,中国現地企 業 との 「RSI契約 に基づ くアウ トソーシング」 によって代替 される可能性が 高 まることになる.
日本円 と人民元の為替 レー トの変動 は,中国国内において部品調達 を行お うとす るメーカーに とって,コス トの有利性 に影響 を与 えるため重要である.
日本製部品が相対的に割高であるとすれば,円高 (人民元安)が進行すると 輸入 コス トが上昇す るため,現地で供給者 を探 し始めることになる. しか し 反対 に為替 レー トが円安 (人民元高) に向かうと,現地調達の コス ト面での 有利性 は輸入に比べてそれほ ど魅力的ではな くなって くる.ただ し,データ のサ ンプル期 間中は人民元が ドルに対 してほぼ固定 されているので,円 と人 民元 との為替 レー トは ドルを介 したクロス ・レー トを用いる.円 - ドル レー トの変動 は多国籍企業にとって国際戦略上 とて も重要であると思われるので, それ と連動 した人民元 との為替 レー トは中国の 日系多国籍企業にとって も戦 略的 に重要であると考えられる.
次 に,完成車需要の拡大が 自動車部品需要に及ぼす 2つの影響について考
ものである.旧来のモデルで生産を増加 させるだけの場合 には,部品需要 も 比例的に増加す る.それは日本か らの輸入部品 も含めて増加すると考えられ
るが,複数契約を結んで価格の安 い供給者か ら調達することの多い中国メー カーはむ しろ,現地や東南アジア諸国の低価格部品の購入 をよ り多 く増やす と予想 される.
2つ 目の影響 は, 自動車部品需要が一律 に増加す るとい うのではな くて, 特注部品の需要が相対的に多 くなるとい う状況を指す. これは需要拡大 に対 応する中で,高級車や新 しいモデルの導入 を頻繁 に行 う場合 に既存の部品 を 調達す るだけでは間に合わない.そのため新 しいデザ インに沿った特別な部 品が必要 とな り,メーカーはそのような部品を製造するために 「関係 に特殊 な投 資 (「RSI」)」 を行 える企業 を探 す ことになる. 日系企業 は現地の部品
巻庶論文 二日本の対 中国 自動車部品輸 出 と契約 に基づ くアウ トソーシ ング 13
供給者 とこうした単一契約 を結ぶことも考えられるが,現地供給者の技術水 準が低いな どの理 由で 日本か らの輸出の方が増加する可能性 は高い・
以上の議論 を踏 まえると, 日本の 自動車部品産業の対中国輸 出関数は次の (1)式のように表わす ことが出来 る.
ここで ,t年 における 日本の 自動車部品産業 iの対中国輸出額 EX忘は, E ] 本 における部品 iの価格 射 ) を 1人民元当た りの E ]本円 として定義 された 為替 レー ト (el)で人民元建 てに換算 して得 た当該部品の輸入価格, 自動車 1台 を生産す るの に必要 な部品 iの投入数量 (β,)に中国国内における 自 動車生産台数 折 ) を乗 じて得 られる当該部品の需要量,及 び 「関係 に特殊 な投資 (RSI)の効果」 (〟.) と中国国内の 自動車 メー カーが WTO加盟前 後の需要拡大 に際 してモデル .チ ュ ンジを行 う確率 ( '0LOT)とに依存す る 関数 (LJ)であ る ことを示 している.ただ し,部 品 iの投 入係数 (β,) と
日本における部品 iの価格 射)は所与 とする.
4 実証分 析
4.1推計式の特定化
部品産業内では各 メーカーが 「RSI契約に基づ くアウ トソー シング」 を行 うか どうかの判断を行 うが,全てのメーカーが同 じ判断をす るとなるとその 部品産業全体 として現地調達のみ,または 日本か らの輸入のみとい う 1かゼ ロかの選択 を行 うことを意味する. しか し現実 には,一つの部品産業の中で も現地調達 を行 う企業 と系列企業か ら調達 (輸入)す る企業 とが混在 してい る.従って産業全体 としては,現地調達の割合の方が多い, または系列取引 が主流であるとい うように,一般的には中間的な状況にある.そこで実証分 析のモデルを特定化す るに際 して,一部品産業内である企業は現地調達 を多 く行い, また別の企業は輸入 を多 く行 うとい う仮定 を設 ける.特 にこの多様 性 を,中国に存在する 日系 メーカーのモデル ・チュ ンジを行 う頻度が異なる
15 現代経営経済研究 第 3号 巻頭論文:日本 の対 中 国 自動 車 雛 品輸 出 と契 約 に基 づ くア ウ トソー シ ング
とい う点に求め,部品供給者に とって事前には顧客であるメーカーが頻繁に 4 データ
モデル ・チェンジを行 うか どうかは分か らないので,推計式 では何 らかの確 実証分析 のためのデー タ ・セ ッ トは, 日本の 自動車部品 10産業 に関 して 立変数であるとす る.系列企業 のよ うに技術水準 が高 くRSIの可能 な企業 対 中国輸出額 を 1994年 か ら2003年 について プール した ものである.統計 に とっては, 自動車生産拡大局面においてメ- か -が より多 くの高級車や新 は 日本関税協会
,
『日本貿易月表』の各年 12月号か らHSコー ド9桁分類 で 型モデルを導入す るのであれば契約 のチ ャンスが広が るこ とになる.WTO 入手 している.表 1にこれ らの部品産業名を示 してある.2 .
加盟の影響で高級車需要が拡大 していることか ら中国国内の 日系メー カー も 各 「RSIの効果」 を表 わす指標 は,H d,Riea es,andSpencer(2002 新型モデルを導入 していると考えられ,従って日本の部品 メーカーに対す る 表 1 主要自動車部品生産における「関係に特殊な投資(RSr)の効果」対応表 需要 も増加 していると類推 され る.そこでこうした状況 を検討するため,樵 E]本関税協会r日本貿易月表」 H d.Ri . dSpen rea esan ce(2CIO2)
計においては 「RSIの効果」を表わす変数 とwTOダミーを掛 け合 わせ た項
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テアリングボ ックス
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6 .
8 . 17 17 08
08
HS87 10000 バ ンパー及びその部分品 HS87 21000 シー トベル ト
3
HS8 9000 車体のその他の部分品及び附属品 (その
「 S
)
SHS8 6コー ド00900 原動梼付 きシャシ(く. 自動車部品名バス用又は貨物 自動 1・慧 Li芸nhg;T- .a. l l。 !Z ; .L H2
HS8 8 00CI ハ ン ドル,ステア リングコラム及びス…三二 ( nfl
Chass Eng eS Eng eP
EC・WTOH 及びmI.IWTO】) を導入する.
(T
以上によ り,最終的な推計式 を次のように特定化す る.
1nEXE=αo+α1n・1 ,+α2・ +α。・ (TEC
ACCDUM +α
CCAROUT ,・1nJCER, +α4
) 対数表示 した 日本 の対中国部品輸出額
(2 ,. I.
・T
= ,
EC+a S・EE .・WTO)+a ,(・EEI,・WTO)+8.,
ここで,TEC ECR.または1NH
nEX E)杏,中国国内の 自動車生 (i
n
CER ECとKE ),及びそ
れ らをWTOダ ミー (WTO) と掛 け合わせ た交差項 とで説明す る とい うモ デルである.TEC.は当該部品の生産技術特性 を表わ しエ ンジニ アリング ・
I, (T
) ,
(lCCAROUT uCCDUM),為 替 レー ト 産 ,ア ジ アの通 貨 危 機 ダ ミー
, 2種類の 「RSIの効果」 を表わす指標 )
, J
n (1
(EC (INK,)を用 いる.Eel.は当該 コス ト指標 札), または自社生産の割合
部品産業における系列取引の割合を表わ し,ネッ トワークの強さを捉 える指 標 である・WTOは 2001年,2002年 と2003年 について 1を取 り,その他の 年は 0を取 る.同様 に,ACCDUMは 1997年,1998年及び 1999年 について
1を取 り,その他 の年 は 0を取 る. E ,は通常の仮定 を満たす撹乱項 をL ,そ 出所 :日本関税協会,「日本貿易月表』各年版12月号,H d,Rea IPS,andSpencer(2002)のTables4and5 3(2, 24ページ〕
注 :I,RSlはーR
して αは推計パ ラメー ター を表わす. al E,C,,α.,及 び αSの符号 は正で elatLOn-SpecllfCInve mest nt'を意味 す る. l,ECRはエ ン ジニ ア リ ング ・コ ス ト レイ テ ィングを表わす. 1か ら10までの数値 を取 り,数値が高いほ どコス トがかかる部品であることを表わ
あ り,a2の符号 は負である.c,α5r4 ,a6,及び α7は分析 において興味の terd
2) er
ve れた割合 を示す.Dodwe
(200の計測 による.
している.Mon eandTeece(1982)の計測 による. 2,KEIは当該部品が系列企業によって生産 さ d
d ll(199 ,RL lNHは当該部品の 自社生産の割合 を表 わ し,や は りDo we
7日り調査に基づ いたHea
le an
. ( S e lJ
dSp
L997)の調査に基 づ いたt Eg ce
en r〔2002)の計i , ld による. 3 ad,又ies.ar
ある係数であ り,特 に α6とα丁の符号 は WTO加盟の影響 を考察す る上で重
Spenc
要である.
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