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修士論文

共生ケアを活か したまちづ くり

人文学部 人文社会科学研究科 学籍番号 108M255

修士論文

共生ケアを活か したまちづ くり

人文学部 人文社会科学研究科 学籍番号 108M255

(2)

目 次

第 1章 共生ケアを活か したまちづ くりの提言

2章 「共生ケア とは何か ? 「共生ケア とは どのよ うなケアであるか ? 1 共生ケア」の制度の成 り立ち

2 共生ケアの実際

3 3事例か ら読み取れ る共通点

3 共生ケアの精神 を理解 し実践できる人材づ くりのために 第 1飾 o JTの活用

2 公的な主体が行 う研修の充実

4章 共生ケアの支援す るネ ッ トワー クづ くり 1 地域住民 との結束点

2 共生ケアを利用す る家族 のサポー ト 3 地域経済 との結びつ き

第 4飾 地域の医療 関係者か らの支援 5飾 学校 ・教育機 関

6 施設経営者等の協力

7飾 仲間 ・同僚 ・他職種 とのつなが り 8 公的団体一社会福祉協議会の役割 9 地方 自治体職員の意識改革

5章 共生ケアを立ち上げ運営できる安定財源 の確保 1 介護報酬等の引き上げ

2 公的な初動費用の利用 3 子 どもの一時預か りの制度化

6 給括 と提言

1 共生ケアを成 り立たせ る背景のま とめ 2 共生ケア町づ くりの基本 に

3 共生ケアに必要な起業家の豊かな 「人間性」

目 次

第 1章 共生ケアを活か したまちづ くりの提言

2章 「共生ケア とは何か ? 「共生ケア とは どのよ うなケアであるか ? 1 共生ケア」の制度の成 り立ち

2 共生ケアの実際

3 3事例か ら読み取れ る共通点

3 共生ケアの精神 を理解 し実践できる人材づ くりのために 第 1飾 o JTの活用

2 公的な主体が行 う研修の充実

4章 共生ケアの支援す るネ ッ トワー クづ くり 1 地域住民 との結束点

2 共生ケアを利用す る家族 のサポー ト 3 地域経済 との結びつ き

第 4飾 地域の医療 関係者か らの支援 5飾 学校 ・教育機 関

6 施設経営者等の協力

7飾 仲間 ・同僚 ・他職種 とのつなが り 8 公的団体一社会福祉協議会の役割 9 地方 自治体職員の意識改革

5章 共生ケアを立ち上げ運営できる安定財源 の確保 1 介護報酬等の引き上げ

2 公的な初動費用の利用 3 子 どもの一時預か りの制度化

6 給括 と提言

1 共生ケアを成 り立たせ る背景のま とめ 2 共生ケア町づ くりの基本 に

3 共生ケアに必要な起業家の豊かな 「人間性」

(3)

第 1章 共生ケアを活か したまちづ くりの提言 共生ケア とい うケアの新 しい形 がある。

私 は共生ケアの実際の様子 を見たい と思い、20095月に富山県富山市にある 「共生ケ の先駆 け的な事業所である 「このゆび と‑まれを視察 した。

富山に行 く前には、「共生ケアを単に 「こども ・障害者 ・老人が一緒にケア され る場所 と想像 していたが、実際に訪ねて、数時間をその場で過 ごす 中で、そのよ うな認識 とは異 なった見解 を持つ に至った。

「このゆび と‑まれは富山県富山市の市街地に立地 している共生ケアの事業所である。

現在 は、 グループホームや シ ョー トステ イも併設 して多機能 に展開 している。

ここでは、認知症高齢者、精神障害者、知的障害者、知的障害児、身体障害者、幼児、

幼稚園児、全盲者 、ろ うあ者、健常者の誰で も受け入れている。

しか も、彼 らは、一方的にケア され るだけの関係ではな く、共 にケア し合 っているので ある。単に 「子供 ・障害者 ・老人だけがいるデイサー ビスではない。 ある幼稚園児は、

幼稚園の帰 りのバスで 「このゆび と‑まれに送 られて くる。共働 き家庭 のお母 さんが、

帰路 につ くまで7時 ごろまで 「このゆび と‑まれを利用す るとい う。その幼稚園児 を、

自分達の役割 とばか りに認知症 高齢者が世話 を しよ うとす る。また、高齢者がデイサー ビ スか ら送迎で帰宅す る午後3時 ころになると、今度 は、養護学校 の帰 りにや ってきた知的 障害のある若者の姿が 目立ち始 めた。彼 らは、職員の支援の もと、母親 の迎 えを待 ってい る。昼寝 をす る幼児 を見守 る認知症高齢者 の姿が見 られた り、布団のやマ ッ トレスで 目隠 しをされた和室の片隅で、 さりげな く職員の手によっておむつ交換 されている寝たき り老 人がいる。 ゆった りとした時間の中、老いも若 きも、 「生老病死」 もが当た り前 に存在 して い る。

この事業所 を立ち上げた惣万佳代子氏によれば、このよ うな事業所 を立ち上げた理 由と して1 地域 にはさまざまな人が住んでいます。それ をこのゆび と‑まれではそのまま受 け 入れたい と思いま したと言ってい る。彼女によれば、2ノーマ ライゼー シ ョンとい う考 え方 は、スロープをつ ければいい とか、 ものをつ くればいい とい うものではあ りません。

もの と人、そ して人 と人 との関わ りに隔た りのない ことがノーマ ライゼー シ ョンなのです との ことだ。 まさに、昔の 日本社会 にあった 「の存在に近いのが、 この 「共生ケア

である。

1富山か ら始 まった共生ケア】 惣万 佳代子 10P 富山県民間デイサー ビス連絡協議 会,2003

2前掲 (1) 15P

第 1章 共生ケアを活か したまちづ くりの提言 共生ケア とい うケアの新 しい形 がある。

私 は共生ケアの実際の様子 を見たい と思い、20095月に富山県富山市にある 「共生ケ の先駆 け的な事業所である 「このゆび と‑まれを視察 した。

富山に行 く前には、「共生ケアを単に 「こども ・障害者 ・老人が一緒にケア され る場所 と想像 していたが、実際に訪ねて、数時間をその場で過 ごす 中で、そのよ うな認識 とは異 なった見解 を持つ に至った。

「このゆび と‑まれは富山県富山市の市街地に立地 している共生ケアの事業所である。

現在 は、 グループホームや シ ョー トステ イも併設 して多機能 に展開 している。

ここでは、認知症高齢者、精神障害者、知的障害者、知的障害児、身体障害者、幼児、

幼稚園児、全盲者 、ろ うあ者、健常者の誰で も受け入れている。

しか も、彼 らは、一方的にケア され るだけの関係ではな く、共 にケア し合 っているので ある。単に 「子供 ・障害者 ・老人だけがいるデイサー ビスではない。 ある幼稚園児は、

幼稚園の帰 りのバスで 「このゆび と‑まれに送 られて くる。共働 き家庭 のお母 さんが、

帰路 につ くまで7時 ごろまで 「このゆび と‑まれを利用す るとい う。その幼稚園児 を、

自分達の役割 とばか りに認知症 高齢者が世話 を しよ うとす る。また、高齢者がデイサー ビ スか ら送迎で帰宅す る午後3時 ころになると、今度 は、養護学校 の帰 りにや ってきた知的 障害のある若者の姿が 目立ち始 めた。彼 らは、職員の支援の もと、母親 の迎 えを待 ってい る。昼寝 をす る幼児 を見守 る認知症高齢者 の姿が見 られた り、布団のやマ ッ トレスで 目隠 しをされた和室の片隅で、 さりげな く職員の手によっておむつ交換 されている寝たき り老 人がいる。 ゆった りとした時間の中、老いも若 きも、 「生老病死」 もが当た り前 に存在 して い る。

この事業所 を立ち上げた惣万佳代子氏によれば、このよ うな事業所 を立ち上げた理 由と して1 地域 にはさまざまな人が住んでいます。それ をこのゆび と‑まれではそのまま受 け 入れたい と思いま したと言ってい る。彼女によれば、2ノーマ ライゼー シ ョンとい う考 え方 は、スロープをつ ければいい とか、 ものをつ くればいい とい うものではあ りません。

もの と人、そ して人 と人 との関わ りに隔た りのない ことがノーマ ライゼー シ ョンなのです との ことだ。 まさに、昔の 日本社会 にあった 「の存在に近いのが、 この 「共生ケア

である。

1富山か ら始 まった共生ケア】 惣万 佳代子 10P 富山県民間デイサー ビス連絡協議 会,2003

2前掲 (1) 15P

(4)

また、 この論文を執筆す る過程で、この富山県の共生ケア施設 のほかにも、地域 との共 生 を視野に入れた事例 をい くつか視察 し、地域 とのつなが りを重視す ることで、地域の信 頼 を勝ち得ているサー ビス事業者の姿を見てきた。 これ らの事業者は、単に要援助者にケ アをす るだけの存在ではな く、地域の祭 りに積極的に参加 し、施設な どの食材 は地産地消 にこだわ り、また、地域のひ とり親家庭の雇用 を意識的に行 って、地域の経済に影響を及 ぼ しているのである。

まちづ くり・「まちの活性化とい うのは、各人のつなが りを深めることであると忠 う。 「民間の主体 と、 「行政や 「公的団体が一緒 になって、 「既存の施設や資源も活 用 しなが ら 「地域住民の顔 が見える中で」、だれ も排除す ることな く、 「みんな一緒に 存す る、 とい うことこそ、 「まちづ くり」、 「秤づ くりだ と考 える。

高齢者 ・障害者 ・こどもだけが中心なのではない。地域住民や地域産業の関係 をつ な ぐ 「ステーション」。それが 「共生ケアなのだ と私は考 える。

現在の 日本社会では、地域での個々人の結びつ きが希薄になっている。3平成18年度の厚 生労働 白書は 「近所付 き合いの程度は、この30年間で町村 と大都市及び 自営業者 と雇用者 の別で見ても、いずれ も低下 してお り、特に1997(平成9)年か ら2004(平成16)年 に かけての減少幅が大きい。 と述べてお り、また、4平成20年度の厚生 白書では 「高齢者 夫婦のみの世帯、高齢者単身世帯の増加、65歳以上の者 とその子 との同居率の低下は 「 全体で支 えることが必要 となる世帯が増 えてい くのではないか と述べている。同白 書での人々の意識調査 において も、多 くの人々が地域での繋が りの強化 を求めてお り、地 域で住民同士が支 え合 うことを望む住民のニーズは高まっている。

5このよ うに、人 と人 との関係が希薄になっている現代社会だか らこそ、 どこかでつなが っている 「地域の結接点」のよ うな存在が必要 となるのである。 「共生ケア」が地域 をつな

ぐ結接点のひ とつ となる可能性 は高い。

この論文では、地域の人 と人 とのかかわ りに隔た りがな く、誰 もが住み慣れた町で安心 して暮 らしてい くことができる地域 を実現す るために、 どのよ うな工夫が必要かについて、

共生ケアとい う切 り口か ら明 らかに していきたい。一般 に 「福祉 のまちづ くりと言 った場合 には、6バ リアフ リー と言ったハー ドの面であった り、高齢者福祉、障害者福祉、

児童福祉 といったよ うに対象者 を縦割 りに した視点でのアプ ローチが中心になっているよ

3厚生労働省 http://www/mhlw.go.jp/haknsyo/index.htm1

4前掲 (3)

5新 ・「福祉をみ る ・考える ・支 える】川崎育郎 ・住友雄資 ・杉本敏夫 8P 中央法規 2001

6福祉文化シ リーズ 第4 地域社会 と福祉文化】一番 ヶ瀬康子編 12P 明石書店 2002

3

また、 この論文を執筆す る過程で、この富山県の共生ケア施設 のほかにも、地域 との共 生 を視野に入れた事例 をい くつか視察 し、地域 とのつなが りを重視す ることで、地域の信 頼 を勝ち得ているサー ビス事業者の姿を見てきた。 これ らの事業者は、単に要援助者にケ アをす るだけの存在ではな く、地域の祭 りに積極的に参加 し、施設な どの食材 は地産地消 にこだわ り、また、地域のひ とり親家庭の雇用 を意識的に行 って、地域の経済に影響を及 ぼ しているのである。

まちづ くり・「まちの活性化とい うのは、各人のつなが りを深めることであると忠 う。 「民間の主体 と、 「行政や 「公的団体が一緒 になって、 「既存の施設や資源も活 用 しなが ら 「地域住民の顔 が見える中で」、だれ も排除す ることな く、 「みんな一緒に 存す る、 とい うことこそ、 「まちづ くり」、 「秤づ くりだ と考 える。

高齢者 ・障害者 ・こどもだけが中心なのではない。地域住民や地域産業の関係 をつ な ぐ 「ステーション」。それが 「共生ケアなのだ と私は考 える。

現在の 日本社会では、地域での個々人の結びつ きが希薄になっている。3平成18年度の厚 生労働 白書は 「近所付 き合いの程度は、この30年間で町村 と大都市及び 自営業者 と雇用者 の別で見ても、いずれ も低下 してお り、特に1997(平成9)年か ら2004(平成16)年 に かけての減少幅が大きい。 と述べてお り、また、4平成20年度の厚生 白書では 「高齢者 夫婦のみの世帯、高齢者単身世帯の増加、65歳以上の者 とその子 との同居率の低下は 「 全体で支 えることが必要 となる世帯が増 えてい くのではないか と述べている。同白 書での人々の意識調査 において も、多 くの人々が地域での繋が りの強化 を求めてお り、地 域で住民同士が支 え合 うことを望む住民のニーズは高まっている。

5このよ うに、人 と人 との関係が希薄になっている現代社会だか らこそ、 どこかでつなが っている 「地域の結接点」のよ うな存在が必要 となるのである。 「共生ケア」が地域 をつな

ぐ結接点のひ とつ となる可能性 は高い。

この論文では、地域の人 と人 とのかかわ りに隔た りがな く、誰 もが住み慣れた町で安心 して暮 らしてい くことができる地域 を実現す るために、 どのよ うな工夫が必要かについて、

共生ケアとい う切 り口か ら明 らかに していきたい。一般 に 「福祉 のまちづ くりと言 った場合 には、6バ リアフ リー と言ったハー ドの面であった り、高齢者福祉、障害者福祉、

児童福祉 といったよ うに対象者 を縦割 りに した視点でのアプ ローチが中心になっているよ

3厚生労働省 http://www/mhlw.go.jp/haknsyo/index.htm1

4前掲 (3)

5新 ・「福祉をみ る ・考える ・支 える】川崎育郎 ・住友雄資 ・杉本敏夫 8P 中央法規 2001

6福祉文化シ リーズ 第4 地域社会 と福祉文化】一番 ヶ瀬康子編 12P 明石書店 2002

3

(5)

うに感 じる。大事なことは、高齢者 も障害者 も児童 もすべての主体が地域 の一員 として互 いにつなが りがあ り、お互いの助 け合い運動がスムーズに行われ るネ ッ トワー クの構築で ある。

共生ケア」を活か した町づ くりには、様 々な支援や理解者が必要である。そこで、 「 生ケアを活か した町づ くりのために必要な要素を 「人づ くり」、 「ネ ッ トワー クづ くり」、

運営財源の確保」 と仮定 し、それぞれに現状 ・課題 ・取組みを論 じていきたい。

共生ケアを構成す るこれ らの要素が重なって、地域の安心な社会が構成 されてい く のであ り、 「共生ケアにみ られ る地域 との関わ りや取組みは、まちづ くりの重要な要素で あると思 うのである。

第 2章 共生ケア とは何か ? 「共生ケア とは どのよ うなケアであるか ? 1 共生ケアの制度上の成 り立ち

7富 山県では、平成5年 か ら、地域 にあ る家庭的 な住宅型施設 で、子 どもか ら高齢者 まで、年齢や 障害の有無 にかかわ らずデイサー ビスを提供す る取 り組みが行 われ ていた。

それ が、平成 15 11月 の 8富山型デイサー ビス推進特 区」 に認 定 された。 この特 区 とは、平成 1412月に施行 された構造改革特別 区域法 が定 める制度 の ことで、自治体 や民間事業者 な どの 自発的な立案 に よ り、地域 の特性 に応 じた規制 の特例 を導入す る特 定 の区域 を設 けることができるよ うになった ことか ら、その特 区の一つ として認 定 され た ものである。現在 の我 が国 の福祉サー ビスの給付制度 は、基本的に対象者別 にケア さ れ るよ うになってい る。介護保 険上 の施設 の利用 は、65歳以上の高齢者 に限 られ てい

る。ただ、身体障害者 に関 しては介護施設 での利用 は認 め られ ていたが、それ は例外 的 な措置 であ り、知 的障害児者 の利用 はで きなかった。あ くまで、障害別 に対象者 を区分 す ることか ら始 まってい る。

特 区の制度 は、そ うした規制 を緩和す ることで、地域 の 自主性 を活 か しつつ、経済活 性化 を進 めるこ とをね らい としていた。富 山型デ イサー ビスの実施 は、高齢者 を対象 と

7笑顔 の大家族 このゆび と‑まれ1 惣万佳代 子 24P 水書坊 平成14

8構造改革特区推進本部 http://www.kantei.go.jp/jp/Sin比ouzou/

2002 12月に施行 され た構造改革特別 区域法が定め る制度 の ことで、自治体や民間事 業者 な どの 自発 的な立案 に よ り、地域 の特性 に応 じた規制 の特例 を導入す る特定の区域 を設 けることがで きるよ うになった。特 区制度 の導入 に よ り、特定の地域 にお ける教育、

農業、社会福祉 な どの分野での構造改革 を推進 し、十分 な評価 を通 じて、全国的な構造 改革‑ と波及 させ 、 日本全体 の経済 の活性化 が実現す ることが期待 され てい る。 また、

地域 の特性 が顕在化 し、その特性 に応 じた産業 の集積や新規産業の創 出な どに よって、

地域経済の活性化 に もつ なが ることが期待 され てい る。

うに感 じる。大事なことは、高齢者 も障害者 も児童 もすべての主体が地域 の一員 として互 いにつなが りがあ り、お互いの助 け合い運動がスムーズに行われ るネ ッ トワー クの構築で ある。

共生ケア」を活か した町づ くりには、様 々な支援や理解者が必要である。そこで、 「 生ケアを活か した町づ くりのために必要な要素を 「人づ くり」、 「ネ ッ トワー クづ くり」、

運営財源の確保」 と仮定 し、それぞれに現状 ・課題 ・取組みを論 じていきたい。

共生ケアを構成す るこれ らの要素が重なって、地域の安心な社会が構成 されてい く のであ り、 「共生ケアにみ られ る地域 との関わ りや取組みは、まちづ くりの重要な要素で あると思 うのである。

第 2章 共生ケア とは何か ? 「共生ケア とは どのよ うなケアであるか ? 1 共生ケアの制度上の成 り立ち

7富 山県では、平成5年 か ら、地域 にあ る家庭的 な住宅型施設 で、子 どもか ら高齢者 まで、年齢や 障害の有無 にかかわ らずデイサー ビスを提供す る取 り組みが行 われ ていた。

それ が、平成 15 11月 の 8富山型デイサー ビス推進特 区」 に認 定 された。 この特 区 とは、平成 1412月に施行 された構造改革特別 区域法 が定 める制度 の ことで、自治体 や民間事業者 な どの 自発的な立案 に よ り、地域 の特性 に応 じた規制 の特例 を導入す る特 定 の区域 を設 けることができるよ うになった ことか ら、その特 区の一つ として認 定 され た ものである。現在 の我 が国 の福祉サー ビスの給付制度 は、基本的に対象者別 にケア さ れ るよ うになってい る。介護保 険上 の施設 の利用 は、65歳以上の高齢者 に限 られ てい

る。ただ、身体障害者 に関 しては介護施設 での利用 は認 め られ ていたが、それ は例外 的 な措置 であ り、知 的障害児者 の利用 はで きなかった。あ くまで、障害別 に対象者 を区分 す ることか ら始 まってい る。

特 区の制度 は、そ うした規制 を緩和す ることで、地域 の 自主性 を活 か しつつ、経済活 性化 を進 めるこ とをね らい としていた。富 山型デ イサー ビスの実施 は、高齢者 を対象 と

7笑顔 の大家族 このゆび と‑まれ1 惣万佳代 子 24P 水書坊 平成14

8構造改革特区推進本部 http://www.kantei.go.jp/jp/Sin比ouzou/

2002 12月に施行 され た構造改革特別 区域法が定め る制度 の ことで、自治体や民間事 業者 な どの 自発 的な立案 に よ り、地域 の特性 に応 じた規制 の特例 を導入す る特定の区域 を設 けることがで きるよ うになった。特 区制度 の導入 に よ り、特定の地域 にお ける教育、

農業、社会福祉 な どの分野での構造改革 を推進 し、十分 な評価 を通 じて、全国的な構造 改革‑ と波及 させ 、 日本全体 の経済 の活性化 が実現す ることが期待 され てい る。 また、

地域 の特性 が顕在化 し、その特性 に応 じた産業 の集積や新規産業の創 出な どに よって、

地域経済の活性化 に もつ なが ることが期待 され てい る。

(6)

す る指定小規模多機能型居宅介護事業所 にて、知的障害児 ・者 を も受 けいれ よ うとす る 試 みで ある。それ によって、知的障害児者 に身近 な地域 に居場所 を提供 し、当該知的障 害児者 がお年寄 りの世話 を して 自分 な りの役割 を見出 してい って もらお うとい う趣 旨 であった。 このサー ビスが特区に認定 されたのちに、その効果が認められ、平成1810 月か ら、介護保険制度において、指定介護施設での知的障害児者の受 け入れ も9基準該 当 事業所 として、市町村の判断によ り、制度的に認められることとなって全国的に行われ ることとなった。 (平成十八年九月二十九 日厚生労働省令第百七十一号第九十四条) しか

し、富山の 「共生ケアに見 られ るよ うな、障害のない子 どもの預か りは制度化 されてお らず、現時点では、それぞれの 「共生ケアの実施機関による任意の事業にとどまってい る。共生ケアの実施件数は、年 々増加 してきてお り、富山県の調べでは、平成20年には、

全国で591事業所 となっている。

共 生 ケ 77集

施事業所敬の推移 b

600 500 400 300 2001000

1 I

̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲.

J

f l I

出典 :富山県調べ

しか しなが らまた、共生ケアが実施 されている都道府県は、まだ、全国で13道県に止 ま ってお り、まだ、全国的に広がっている段階ではない。

2 共生ケアの実際

次にそれでは、まちづ くりそのものである 「.共生ケアとは、どのようなものであるか、

9厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/general/Seido/syakaiJSienhi/jimu/jimuO5.5html

(7)

その具体的な取 り組み内容 を、類似す るサー ビスの事例 も含 めて、概観す る。

A 富山の 「共生ケアか ら

1章で も述べた よ うに、私 は富 山の 「共生ケア」である 「このゆび と‑ まれを体験 す るまでに視察にい くまで、単に、 「こども ・障害者 ・老人が一緒 にケア され る場所 とし か 「共生ケアを認識 していなかった。

しか し、実際は違 った。 「地域 の誰 もがケア され、ケア し合 う」福祉 のかたちであった。

ケアす るほ うか らケア され るほ う‑ の一方的な関係 ではなかった。 また、 このよ うなケア を実現す るのに立派な建物 は必要ない。地域 にある民家 を改造す るこ とに よ り十分 に可能 なのだ。

「このゆび と‑まれを利用 していたお年寄 りは、子供 をす ごく可愛がっていた。認知 症高齢者 の方 も赤 ちゃんをあや した り、子供 の世話 を していた。 この ことについて、惣万 佳代子氏は 「10お年 寄 りは子供 をものす ごく可愛が ります。そ して、 しつ けも厳 しい。子 ど

もたちは基本的なマナー を身 につ けていきます。 これが昔か らの 日本 の文化 なのです。私 も子 どもの頃、近所 のお じいちゃん、おばあちゃんに叱 られ、また可愛がって もらいま し た。お年寄 りの役 目なのだ と思います。」と述べてお り、 この事業所では、お年寄 りに しっ か りと役割 を担 って もらってい るこ とがわか る。

共生 ケア」はケア として も質 の高い場所であった。職員 は、なにげな く食事 を作 った り、かたづ けを していた りす る。 しか し、利用者 をよく観察 してい る。食事 を作 りなが ら も、耳や 目は、常 に利用者 の様子 に注意 を払 ってい る。

よく一般 のデイサー ビスでみ られ るよ うな、集 団的な レク レー シ ョンを した り、カ ラオ ケ を歌 った りす る 「デイサー ビスではない。 日常的な生活 の雰囲気 が広 がってい る。 自 分 の家の よ うに くつ ろ ぐ利用者 たち、テ レビを見なが ら世間話 をす るお年寄 り、来訪者 に 世話 を焼 く女性認知症高齢者 、座敷 で昼寝す る子 ども、それ を寝か しつ けなが ら、 自分 も 寝 てい くお年寄 り、昼の片づ げを一緒 に手伝 う知的障害者 、そ こには、昔 の 「ムラにあ った よ うな、だれで も一緒 にい る風景、疎外 された人のいない風景がある。

しか し、当 り前の よ うに、利用者 が くつ ろぐ前提 には、職員 の観察力や、利用者 をよく 知 ってい るか らこそで きる言葉掛 け、一人一人 の排涯の間隔 を知 った上で、 さ りげな く声

をかけ、 トイ レ誘導す るな どの工夫があった。

この ことは介護 その もののや り方 の中に も見 られた。寝たき りの男性 が座敷 に休んでい た。介護ベ ッ ドではな く普通の布団である。時間になる と、職員 が布 団のマ ッ トレスで、

周 囲 を取 り囲む。 プライバ シー をさ りげな く気遣 いなが らのおむつ交換 であった。おむつ 交換 を短 い時間にた くさん こなす こ とが大事なのではなかった。他 の介護施設 とは少 し違 う価値観 か もしれ ない。 当 り前 のよ うにみんな と過 ごしなが ら、老い ることも、また死ぬ ことも、当然 の理の よ うにゆった りと時間が流れてい く場所 であった0

10前掲 (1) 13P

その具体的な取 り組み内容 を、類似す るサー ビスの事例 も含 めて、概観す る。

A 富山の 「共生ケアか ら

1章で も述べた よ うに、私 は富 山の 「共生ケア」である 「このゆび と‑ まれを体験 す るまでに視察にい くまで、単に、 「こども ・障害者 ・老人が一緒 にケア され る場所 とし か 「共生ケアを認識 していなかった。

しか し、実際は違 った。 「地域 の誰 もがケア され、ケア し合 う」福祉 のかたちであった。

ケアす るほ うか らケア され るほ う‑ の一方的な関係 ではなかった。 また、 このよ うなケア を実現す るのに立派な建物 は必要ない。地域 にある民家 を改造す るこ とに よ り十分 に可能 なのだ。

「このゆび と‑まれを利用 していたお年寄 りは、子供 をす ごく可愛がっていた。認知 症高齢者 の方 も赤 ちゃんをあや した り、子供 の世話 を していた。 この ことについて、惣万 佳代子氏は 「10お年 寄 りは子供 をものす ごく可愛が ります。そ して、 しつ けも厳 しい。子 ど

もたちは基本的なマナー を身 につ けていきます。 これが昔か らの 日本 の文化 なのです。私 も子 どもの頃、近所 のお じいちゃん、おばあちゃんに叱 られ、また可愛がって もらいま し た。お年寄 りの役 目なのだ と思います。」と述べてお り、 この事業所では、お年寄 りに しっ か りと役割 を担 って もらってい るこ とがわか る。

共生 ケア」はケア として も質 の高い場所であった。職員 は、なにげな く食事 を作 った り、かたづ けを していた りす る。 しか し、利用者 をよく観察 してい る。食事 を作 りなが ら も、耳や 目は、常 に利用者 の様子 に注意 を払 ってい る。

よく一般 のデイサー ビスでみ られ るよ うな、集 団的な レク レー シ ョンを した り、カ ラオ ケ を歌 った りす る 「デイサー ビスではない。 日常的な生活 の雰囲気 が広 がってい る。 自 分 の家の よ うに くつ ろ ぐ利用者 たち、テ レビを見なが ら世間話 をす るお年寄 り、来訪者 に 世話 を焼 く女性認知症高齢者 、座敷 で昼寝す る子 ども、それ を寝か しつ けなが ら、 自分 も 寝 てい くお年寄 り、昼の片づ げを一緒 に手伝 う知的障害者 、そ こには、昔 の 「ムラにあ った よ うな、だれで も一緒 にい る風景、疎外 された人のいない風景がある。

しか し、当 り前の よ うに、利用者 が くつ ろぐ前提 には、職員 の観察力や、利用者 をよく 知 ってい るか らこそで きる言葉掛 け、一人一人 の排涯の間隔 を知 った上で、 さ りげな く声

をかけ、 トイ レ誘導す るな どの工夫があった。

この ことは介護 その もののや り方 の中に も見 られた。寝たき りの男性 が座敷 に休んでい た。介護ベ ッ ドではな く普通の布団である。時間になる と、職員 が布 団のマ ッ トレスで、

周 囲 を取 り囲む。 プライバ シー をさ りげな く気遣 いなが らのおむつ交換 であった。おむつ 交換 を短 い時間にた くさん こなす こ とが大事なのではなかった。他 の介護施設 とは少 し違 う価値観 か もしれ ない。 当 り前 のよ うにみんな と過 ごしなが ら、老い ることも、また死ぬ ことも、当然 の理の よ うにゆった りと時間が流れてい く場所 であった0

10前掲 (1) 13P

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高齢者同士がい さかいを始める場面 もあった。職員は離れていなが らもよく観察 してい る。 しば らくして、お互いの距離 もさりげなく離 しつつ、場面転換 していきなが ら、彼女 たちの気 をそ らしていっていた。た とえば、○○さん、まあ、お茶飲みま しょうか ?」の よ うに。 あま りにも興奮 しすぎて しまった認知症高齢者の方 には、職員の事務室に座 って もらい、問題 の言及をす るのではなく、話題 を変えて、本人が怒 っていたことを忘れ させ て しまっていた場面 もあった。

富山の 「共生ケア」の特徴は、ケアす る場所 自体が、一つの地域社会を構築 していると い うことだ。高齢者 も障害者 も子 どもも一緒にケア され ることで、それぞれが、単に受 け 身でケアを受 けるだけの存在ではな く、他者 に影響 を与え うる存在になっている。また、

地域の様 々なニーズに対応す るためには、何 よ りも地域の中に溶 け込んだ存在である必要 があ り、それは、すなわち、ごく普通な小規模な 「施設でなければならないのである。

こうした二つの面においてこの 「ケアの場は地域そのもの と言えるのである。

ただ、 このよ うな 「共生ケアを支 えるには、ケアを行 うスタッフの高い技術 と意識が 必要であるとい うことには着 目しておかなければな らない と思 う。

B 津市 グループホーム ・レモ ンの里」か ら

三重県津市に 「レモンの里」 とい う認知症高齢者 グループホームがある。 この事業所は いわゆる高齢者、障害者、児童 を一緒にケアす る 「共生ケア」の事業所ではないが、地域 住民 との共生 を大切に し、「地域の結節点の役割 を果た しているケア施設である。

ここを訪問す ると、認知症高齢者が迎えてくれ る。訪問者の出迎えはいつ もAさんの役 目だ。訪問者 を迎 えるAさんの表情は生き生 きし、認知症高齢者 とは思えないほど、 しっ か りと礼儀正 しく出迎えて くれ る。笑顔 を絶や さずに、スムーズに経営者の倉田成文 さん につないで くれた。

この事業所 も、集団的な レクレーションやカラオケな ど 「普通のデイサー ビスでみ ら れ る風景はみ られない。テ レビもない。少人数のケアとい う特性 を活か し、入居者は自分 の家のよ うにくつ ろいでいる。歌も歌 うが、手拍子はない。い くつかの歌を入居者 自身が 覚えているので、倉田さんがハーモニカや二胡を演奏 しなが ら皆が歌 う。一人一人持ち歌 があって、必ず一人一人をどこかで主役 にして盛 り上げている。

この 「レモンの里はまちづ くり活動にも積極的に加わっている。利用者 と共に神社の 祭 りなどに参加 し、入居者が皆で合唱を披露す る。福祉関係者 との秤 も深 く、職員が勉強 会に参加 した り、倉田さん 自身が講演 した り、お互いの施設職員が交換で現場研修 を行 っ た りしている。

この事業所では、入居者の最後の看取 りにも取 り組んでいる。それには、地域の病院や診 療所 との密接な連携が必要であるが、そのよ うな連携体制 も確保 している。入居者の看

取 りのときには、近 くの内科医 ・精神科医な どの協力の中、家族の心が休まる温かな看 取 りを可能にす ることができた。

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高齢者同士がい さかいを始める場面 もあった。職員は離れていなが らもよく観察 してい る。 しば らくして、お互いの距離 もさりげなく離 しつつ、場面転換 していきなが ら、彼女 たちの気 をそ らしていっていた。た とえば、○○さん、まあ、お茶飲みま しょうか ?」の よ うに。 あま りにも興奮 しすぎて しまった認知症高齢者の方 には、職員の事務室に座 って もらい、問題 の言及をす るのではなく、話題 を変えて、本人が怒 っていたことを忘れ させ て しまっていた場面 もあった。

富山の 「共生ケア」の特徴は、ケアす る場所 自体が、一つの地域社会を構築 していると い うことだ。高齢者 も障害者 も子 どもも一緒にケア され ることで、それぞれが、単に受 け 身でケアを受 けるだけの存在ではな く、他者 に影響 を与え うる存在になっている。また、

地域の様 々なニーズに対応す るためには、何 よ りも地域の中に溶 け込んだ存在である必要 があ り、それは、すなわち、ごく普通な小規模な 「施設でなければならないのである。

こうした二つの面においてこの 「ケアの場は地域そのもの と言えるのである。

ただ、 このよ うな 「共生ケアを支 えるには、ケアを行 うスタッフの高い技術 と意識が 必要であるとい うことには着 目しておかなければな らない と思 う。

B 津市 グループホーム ・レモ ンの里」か ら

三重県津市に 「レモンの里」 とい う認知症高齢者 グループホームがある。 この事業所は いわゆる高齢者、障害者、児童 を一緒にケアす る 「共生ケア」の事業所ではないが、地域 住民 との共生 を大切に し、「地域の結節点の役割 を果た しているケア施設である。

ここを訪問す ると、認知症高齢者が迎えてくれ る。訪問者の出迎えはいつ もAさんの役 目だ。訪問者 を迎 えるAさんの表情は生き生 きし、認知症高齢者 とは思えないほど、 しっ か りと礼儀正 しく出迎えて くれ る。笑顔 を絶や さずに、スムーズに経営者の倉田成文 さん につないで くれた。

この事業所 も、集団的な レクレーションやカラオケな ど 「普通のデイサー ビスでみ ら れ る風景はみ られない。テ レビもない。少人数のケアとい う特性 を活か し、入居者は自分 の家のよ うにくつ ろいでいる。歌も歌 うが、手拍子はない。い くつかの歌を入居者 自身が 覚えているので、倉田さんがハーモニカや二胡を演奏 しなが ら皆が歌 う。一人一人持ち歌 があって、必ず一人一人をどこかで主役 にして盛 り上げている。

この 「レモンの里はまちづ くり活動にも積極的に加わっている。利用者 と共に神社の 祭 りなどに参加 し、入居者が皆で合唱を披露す る。福祉関係者 との秤 も深 く、職員が勉強 会に参加 した り、倉田さん 自身が講演 した り、お互いの施設職員が交換で現場研修 を行 っ た りしている。

この事業所では、入居者の最後の看取 りにも取 り組んでいる。それには、地域の病院や診 療所 との密接な連携が必要であるが、そのよ うな連携体制 も確保 している。入居者の看

取 りのときには、近 くの内科医 ・精神科医な どの協力の中、家族の心が休まる温かな看 取 りを可能にす ることができた。

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(9)

また、食事 も、専門の給食業者か ら納入 させ るのではなく、地産地消をキー ワー ドに、

倉 田氏 自ら市内の市場‑週 2回ほど買い付けにいき、そこ仕入れ る新鮮な魚や野菜によ り、

新鮮 な栄養の高い食材 を入居者に提供 している。倉 田氏によれば、以前に一度専門の業者 か ら納入 してもらったが、鮮度が劣 り、高齢者 に出す ことが蹄跨われた とのことであった。

常に入居者の身において考 える倉田氏 らしい発言である。 このよ うに地域の商店 を活用す ることは、地域の活性化にもつなが ることになる。

ボランテ ィアを大事に しているのも 「レモンの里の特徴である。地域の住民が介護相 談に くることも多 く、倉田さんは 自宅で介護 している家族の声に十分耳を傾 け、ア ドバイ ス しているとのことである。認知症高齢者 グループホームの中には、地域の人の無理解 に よ り偏見の 目でみ られ るケースもある中で、 ここでは、地域住民 との間で双方向の関係 を 構築 している。 日中は鍵 を一切かけないケアを実践 しているが、それが可能になるのも、

このよ うな地域 との関係性 を築いているか らではないだろ うか。

「レモンの里においても、富山県の 「共生ケアのよ うに、ケアされ る人の主体性を 重ん じている。 しか し、ここでは 「地域性を施設運営の中で意識的に追及 している。介 護保険に基づ くケアの施設 を核に しているが、そのケアを追求す る過程で、祭 りな ど地域 行事‑の参加、地域医療や地域経済 との結びつ きの強化などで、地域 との 「共生を目指

しているのである。

C 尾鷲の 「あいあいか ら

同 じく地域ネ ッ トワークを うま く構築 している事例 として、これ も、狭い意味での 「 生ケアの事例ではないが、尾鷲市でデイサー ビスや認知症高齢者 グループホームを経営 している 「あいあいがある。尾鷲市は、三重県南部の漁師町で山間にある過疎地であ り、

人 口21,000人である。

あいあい」は、現在、デイサー ビス ・グループホーム ・ショー トステイ ・温水プール の委託経営 ・飲食店を運営 し、尾鷲で従業員数は200人を超える。

あいあいでも 「利用者や住民 とのつなが り・職員 とのつなが りを重要視 している。

この事業所の経営者である湯浅詩織代表によれば、当初は、尾鷲市社会福祉協議会がほ ぼ市の全域にわたってサー ビス提供 してお り、行政や民生委員 も社会福祉協議会の方 を向 いていて、サー ビスを提供す る上で相 当苦労をされた とのことであった。今では、行政や 社会福祉協議会 とも良好な関係 を築 き、「あいあい」にも利用者 を紹介 して くれ るよ うにな った。市のさまざまな委員会でも、湯浅氏を委員 として選ぶ ようにな り、湯浅氏は、現場 の トップ として意見す るとのことであった。

湯浅氏は、「行政に 『あれ して、これ して』だけではダメだ」 と話す。行政に 自分達の活 動 を 「支援 しなきやだめだな と思わせ ることが大事である、それには、ひたす ら実績 を 積む しかなく、実績を積む ことで行政を動かす ことができるとの話があった。

湯浅氏は、家族か らの苦情 ・クレームを一元的に直接受け付 けている。ひ とつひ とつの また、食事 も、専門の給食業者か ら納入 させ るのではなく、地産地消をキー ワー ドに、

倉 田氏 自ら市内の市場‑週 2回ほど買い付けにいき、そこ仕入れ る新鮮な魚や野菜によ り、

新鮮 な栄養の高い食材 を入居者に提供 している。倉 田氏によれば、以前に一度専門の業者 か ら納入 してもらったが、鮮度が劣 り、高齢者 に出す ことが蹄跨われた とのことであった。

常に入居者の身において考 える倉田氏 らしい発言である。 このよ うに地域の商店 を活用す ることは、地域の活性化にもつなが ることになる。

ボランテ ィアを大事に しているのも 「レモンの里の特徴である。地域の住民が介護相 談に くることも多 く、倉田さんは 自宅で介護 している家族の声に十分耳を傾 け、ア ドバイ ス しているとのことである。認知症高齢者 グループホームの中には、地域の人の無理解 に よ り偏見の 目でみ られ るケースもある中で、 ここでは、地域住民 との間で双方向の関係 を 構築 している。 日中は鍵 を一切かけないケアを実践 しているが、それが可能になるのも、

このよ うな地域 との関係性 を築いているか らではないだろ うか。

「レモンの里においても、富山県の 「共生ケアのよ うに、ケアされ る人の主体性を 重ん じている。 しか し、ここでは 「地域性を施設運営の中で意識的に追及 している。介 護保険に基づ くケアの施設 を核に しているが、そのケアを追求す る過程で、祭 りな ど地域 行事‑の参加、地域医療や地域経済 との結びつ きの強化などで、地域 との 「共生を目指

しているのである。

C 尾鷲の 「あいあいか ら

同 じく地域ネ ッ トワークを うま く構築 している事例 として、これ も、狭い意味での 「 生ケアの事例ではないが、尾鷲市でデイサー ビスや認知症高齢者 グループホームを経営 している 「あいあいがある。尾鷲市は、三重県南部の漁師町で山間にある過疎地であ り、

人 口21,000人である。

あいあい」は、現在、デイサー ビス ・グループホーム ・ショー トステイ ・温水プール の委託経営 ・飲食店を運営 し、尾鷲で従業員数は200人を超える。

あいあいでも 「利用者や住民 とのつなが り・職員 とのつなが りを重要視 している。

この事業所の経営者である湯浅詩織代表によれば、当初は、尾鷲市社会福祉協議会がほ ぼ市の全域にわたってサー ビス提供 してお り、行政や民生委員 も社会福祉協議会の方 を向 いていて、サー ビスを提供す る上で相 当苦労をされた とのことであった。今では、行政や 社会福祉協議会 とも良好な関係 を築 き、「あいあい」にも利用者 を紹介 して くれ るよ うにな った。市のさまざまな委員会でも、湯浅氏を委員 として選ぶ ようにな り、湯浅氏は、現場 の トップ として意見す るとのことであった。

湯浅氏は、「行政に 『あれ して、これ して』だけではダメだ」 と話す。行政に 自分達の活 動 を 「支援 しなきやだめだな と思わせ ることが大事である、それには、ひたす ら実績 を 積む しかなく、実績を積む ことで行政を動かす ことができるとの話があった。

湯浅氏は、家族か らの苦情 ・クレームを一元的に直接受け付 けている。ひ とつひ とつの

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