埋 蔵 文 化 財 保 護 の 現 段 階
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一九七〇年二月に﹁松阪地区地域調査結果報告﹂が﹁ふびと
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号﹄に報告されて以来︑既に五ケ年経過してしまった︒以後︑毎年︑
﹁地域調査﹂と銘打って︑鈴鹿・松阪・多気・亀山諸地域の調査を
重ねて来たが︑調査自体の手段のみを模倣するにとどまり︑考古学
的資料や研究︑地域での幾多の問題点︑埋蔵文化財保護の現状と課
題等々大学や調査員のみの中に凍結したままで︑それらを公にし︑
その批判や成果を活用し得なかったことは︑非常に残念であり本部
会として︑自己批判すべきことである︒地域個々の調査・学習︑報
告といったものを発展させながら総合していく中で︑広義の地域調
査がなし得られるのであり︑個々の地域調査の報告まで至らなかっ
たことは憂うべき事実である︒現在も地域調査を踏襲し︑今後も行
なおうとする以上︑今一度︑ 一九六八年二月﹁破壊を前提とする発
掘調査に今後いっさい協力しない﹂との声明文が出され︑地域調査
が生まれてきた過程︑あるいは︑それ以後の足取りをi省みる必要が
ある︒そして︑これまで生かされ得なかった原因を追求し︑現代社
会の状況に目を向けることにより︑部会活動の主幹である地域調査
を発展的に進歩させ︑地についた活動ができると信ずる︒
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昭︹
0﹁県住宅供給公社の古墳破壊を告発/
﹂ ︱
亀山市茶臼山古墳が法の
手続きを経ず︑ 一方的に破壊されたため︑民間有志より公社理事長︵=県知事︶が︑文化財保護法第四条︑第五七条違反で告発された
が︑刑事罰の対象にならないとし却下された事件︱︱︱のニュース
が全国的に波紋を投げかけて︑早や二年経とうとしている現在︑遺
跡破壊は︑なお急速なテンポで行なわれている︒昭和
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年度から
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年度にかけて県下の遺跡破壊件数を見ても明らかな様に︑その
数は急増している︒しかも ︑遺跡地図に記されていないものも含め
ると︑その実数ははるかに上回るであろう︒それらの遺跡を死に追
いやるものはまぎれもなく﹁乱開発﹂である︒
本来的な開発と遺跡保護は相対するものではないが︑現代の開発︵宅地造成︑ゴルフ場︑観光開発︑土砂採取等︶は︑一企業一個人
の営利追求のみを目的としており︑地域住民に還元されるべき本来
的開発でないことは明白である︒四日市公害は︑まさしく﹁地域開
発﹂という美名に隠れた醜い姿を晒け出したのである︒中勢では︑
内陸部へ開発が進められ︑伊勢志摩では観光化が著しく︑伊賀では
近畿圏ベッドタウンとして︑どんどん ︑緑が鉄とコンクリートの冷
たい建造物に ︑魚の住む河や海の水が悪臭を放つ水に変わヶつつ
久
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埋 蔵 文 化 財 保護 の 現 段 階
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一九七〇年三月に「松阪地区地域調査結果報告」が﹃ふび占3
号﹄に報告されて以来'既に五ヶ年経過してしまった。以後'毎年へ
「地域調査」と銘打って'鈴鹿・松阪・多気・亀山諸地域の調査を
重ねて来たがへ調査自体の手段のみを模倣するにとどま‑'考古学
的資料や研究へ地域での幾多の問題点'埋蔵文化財保護の現状と課
題等々大学や調査員のみの中に凍結したままで'それらを公にし、
その批判や成果を活用し得なかったことは、非常に残念であり本部
会として'自己批判すべきことである。地域個々の調査・学習、報
告といったものを発展させながら総合してい‑中で、広義の地域調
査がなし得られるのであり'個々の地域調査の報告まで至らなかっ
たことは憂うべき事実である。現在も地域調査を踏襲し、今後も行
なおうとする以上、今一度'一九六八年三月「破壊を前提とする発
掘調査に今後いっさい協力しない」との声明文が出され'地域調査
が生まれてきた過程、あるいは、それ以後の足取りを省みる必要が
ある。そして、これまで生かされ得なかった原因を追求し、現代社
会の状況に目を向けることにより、部会活動の主幹である地域調査
を発展的に進歩させ'地についた活動ができると信ずる。 村田 召l、RHハ久
日「県住宅供給公社の古墳破壊を告発′.」‑亀山市茶臼山古墳が法の
手続きを経ず、一方的に破壊されたため、民間有志より公社理事長
(‑
県知事)が'文化財保護法第四条'第五七条違反で告発されたが'刑事罰の対象にならないとし却下された事件Iのニュース
が全国的に波紋を投げかけて'早や二年経とうとしている現在、遺
跡破壊は'なお急速をテンポで行なわれている。昭和45年度から
48年度にかけて県下の遺跡破壊件数を見ても明らかな様に、その
数は急増している。しかも、遺跡地図に記されていないものも含め
ると'その実数ははるかに上回るであろう。それらの遺跡を死に追
いやるものはまざれもな‑「乱開発」である。
本来的な開発と遺跡保護は相対するものではないが'現代の開発(宅地造成、ゴルフ場、観光開発、土砂採取等)は、1企業一個人
の営利追求のみを目的としており'地域住民に還元されるべき本来
的開発でないことは明白である。四日市公害は'まさし‑「地域開
発」という実名に隠れた醜い姿を晒け出したのである。中勢では'
内陸部へ開発が進められ、伊勢志摩では観光化が著し‑'伊賀では
近畿圏ベッドタウンとして、どんどん'緑が鉄とコンクリ1‑の冷
たい建造物に、魚の住む河や海の水が悪臭を放つ水に変わ隼つつ
あるのである。そのような状況下で昨年「三重県文化財を守る会」
が「三重県文化財と自然を守る会」と改称したようにもはや、文化
財の保護だけでな‑、自然や生活環境の保護など総合的な運動へと
変化発展し'松阪・伊勢志摩・鳥羽などでも「守る会」が相次いで成立し
たことは意義深いことである。そのことはもはや開発が黙視できる
状態でないことを示し、地域住民の生活の場を自ら守っていこうと
する現われでもある。また'県教育委日月会により'文化財保護の基
礎である遺跡分布調査や遺跡パ‑ロールが実施されるようになった
ことは二つの前進であり意義深いことである。しかし'依然として遺
跡破壊は後を絶たないOそれは1つに、茶臼山古墳の告発に見られ
た様に文化財保護法の不徹底があげられようーそこで、市町村単位
の条例制定が望まれるところである。調査な‑破壊された遺跡の原
因を見ると「土取り」が圧倒的に多い.。亀山市釣鐘山古墳や津市メク
サ古墳群'多気町河田古墳群'明和町神前山1号項なども1応調査さ
れはしたがへその犠牲にあっている今年、全国で初めて文化財保
護の問題から土取条例が制定されたが'文化財保護法がある為、直
接関与できないことや'対象面積が大きいことなど、あまり文化財
保護には効力がない。このことからも'文化財保護法改正は当面の
大きな課題である。
臼
文化財保存運動は生きた歴史教育そのものであり'その達成にお
いて国民運動として国民的規模で取‑組まなければならない。「地
域調査」は、その一環として文化財保存の強い要求と学問的要求の
合致により生まれてきたものである。文化財を守ろうとする時'私 達は原始時代からの文化財がどの様な意味や価値をもっているのか
知らなければならないし、何故'破壊されるのか現代史の学習も進
める必要がある。それらの克服のために私達は'学習会やスライ守会、遺跡見学会等で地域住民の人々と共に学習を進めてきた。そし
て、現代的問題を探‑'文化財は私達にとって何であり、どう取り
扱われるべきなのか、今'私達のなすべきことは何なのか等考えて
きた。その中で'私達は、人間を学び、歴史を学び'より住み良い
社会を創造していこうとしているのである。それと共に、考古学的
資料、地域の歴史学習、文化財保存の根本である遺跡分布調査や県
下主要古墳墳丘測量調査を行ない基本的な資料作成と自らの学問の主
体性を確立しようとしてきたOそして、遺跡と肌で摸する時、1段
と遺跡の現状を知らされ'・何百年も息づいてきた遺跡の歴史的重み
を感じるのである。
言うまでもな‑、文化財は私達国民の共有財産であり、歴史学習
の課題解決におけるタイムマシンである。私達の知らない社会で歴
史的に生まれ'様々な社会を生きながらえて歴史の流れを見つめて
きた文化財こそ'私達現代人より以上にtより良き社会を切望して
いるのかも知れない。私達は、今、現代という歴史の中に生き'歴
史の流れの中で現代を築いている。だからといって過去の歴史を闇
に葬って良いということにはならない。やはり過去の歴史が科学的
に解明されてこそ、新しい歴史が切り開かれてい‑と考える。
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(三重県埋蔵文化財年報より)