【市場動向】 昨年末から2015年4月末までの米国リート市場の動き
米国の利上げ時期を巡る先行きに不透明感が漂う中、 2015年の米国リートはほぼ横ばい
の推移となっています。当レポートでは、4月までの2015年の米国リート相場を振り返るととも
に、今後の米国リートの見通しをご案内いたします。
堅調な米国不動産市場や、相対的に高位かつ安定した配当の魅力から、2015年の米国リートは1
月後半まで堅調に上昇しました。(米ドルベース)
その後の米国リート相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ開始時期を巡る憶測から不
安定な動きとなり、年初からの上昇分を失いました。
業種別では、米ドル高による海外からの旅客者減少などが懸念されるホテル・リゾートセクターの
下落が目立つほかは、堅調な業績向上から倉庫セクターなどは上昇する一方、金利上昇に弱いと
されるヘルスケアセクターなどは下落するなど、業種ごとにまちまちの推移となっています。
米国の商業用不動産の価格上昇が継続する中、 4月末時点において、昨年末とほぼ同じ水準で
推移していることから、米国リートの投資妙味は増してきているものと考えられます。
昨年末から2015年4月末までの米国リート、米国株式、米国10年国債利回りの推移
(注)Bloombergよりフィデリティ投信作成。米国リートは、FTSE NAREIT Equity REITsインデックス。米ドルベース。米国株式は、S&P500種指数。 米国リートおよび米国株式は、期間初を100として指数化。
2.03%
99
102
2.17%
昨年末から2015年4月末までの米国リート、米国株式の騰落率
80
90
100
110
120
14/12
15/1
15/2
15/3
15/4
米国リート
米国株式
(年/月)
1.6%
2.0%
2.4%
14/12
15/1
15/2
15/3
15/4
米国10年国債利回り
(年/月)
-8.4%
-3.9%
-1.8%
-1.7%
-1.0%
0.9%
1.9%
3.8%
4.4%
-10.0%
-8.0%
-6.0%
-4.0%
-2.0%
0.0%
2.0%
4.0%
6.0%
ホテル・リゾート
ヘルスケア
小売
オフィス・物流
米国リート
多角
米国株式
住宅
倉庫
フィデリティ・USリート・ファンド
ポートフォリオ・マネージャー
スティーブ・ビューラー
【価格水準】 割高感のない価格水準
【配当利回り】
米国リートの配当利回りと米国株式の配当利回りとの格差、また、米国10年国債利回りとの格差をみる
と、ともに過去の平均を上回る水準です。米国リートは、配当利回り面からみて割安といえます。
(注)NAREIT、FMR Coよりフィデリティ投信作成。 期間:2005年4月末~2015年4月末。期間初を100として指数化(対数軸)。 米国リートはFTSE NAREIT Equity REITsインデックス。米ドルベース。NAVプレミアムと米国リートの値動きの推移
(注)Bloombergなどよりフィデリティ投信作成。2012年4月末~2015年4月末。米国リートはFTSE NAREIT Equity REITsインデックス。米国株式は S&P500種指数。
各種資産の利回り格差の推移(過去3年)
各種資産の利回りの推移(過去3年)
+0.1%
NAVプレミアム 期間平均 +4.8%
1口あたり
リート取引価格
1口あたり
NAV
NAV
プレミアム
NAVは、純資産価値(資産-負債)を意
味します。
リートの価格と1口あたりNAVの差が
NAVプレミアムです。
【Net Asset Value(NAV)プレミアム】
NAVプレミアムは、リート価格の割高/割安度合いを測る指標の一つです。2015年4月末時点の米国リート
のNAVプレミアムは+0.1%と、期間平均(+4.8%)を下回る水準となっています。NAVプレミアムの観点からも
現在の米国リートは割安と言えます。
3.64%
2.03%
1.99%
1.65%
1.61%
期間平均:1.63%
期間平均:1.48%
(注)RIMESよりフィデリティ投信作成。MSCI IMI各指数。2015年4月末時点。 *1 株価キャッシュフロー倍率は、株価をキャッシュフロー(一株当たり利益に減価償却費用を足し戻したもの)で割ったもの。 *2 株価収益率(PER)は、株価を一株当たり利益で割ったもの。各国リート市場の株価キャッシュフロー倍率
ご参考: 各国株式市場の株価収益率(PER)
0.0%
0.5%
1.0%
1.5%
2.0%
2.5%
3.0%
3.5%
4.0%
4.5%
12年4月
13年4月
14年4月
15年4月
米国リート配当利回り
米国株式配当利回り
米国10年国債利回り
0.0%
1.0%
2.0%
3.0%
4.0%
12年4月
13年4月
14年4月
15年4月
米国リートと米国株式の利回り格差
米国リートと米国10年国債の利回り格差
-50%
-25%
0%
25%
50%
25
50
100
200
400
05年4月
07年4月
09年4月
11年4月
13年4月
15年4月
米国リート(左軸)
NAVプレミアム(右軸)
21.0
17.5
18.0
16.8
0
10
20
30
米国株
豪州株
日本株
英国株
(倍)
15.2
13.7
22.9
29.3
0
10
20
30
米国リート 豪州リート 日本リート 英国リート
(倍)
【株価キャッシュフロー倍率
*1】
当倍率は、リートの収益力と価格の関係を表し、一般の株式の株価収益率(PER)
*2に相当する指標です。
他国との比較において、米国株式よりも米国リートには相対的な割安感があると考えられます。
【ファンダメンタルズ】米国不動産市場の状況
【米国商業用不動産の状況】
米国商業用不動産の新規供給は、足元では増加傾向にあるものの、過去の平均を大きく下回る水準
にあり、需給の面から米国リートの収益にプラス要因となっています。
(注)Bloombergおよびグリーン・ストリート・アドバイザーズよりフィデリティ投信作成。 左グラフ期間:1997年12月~2015年4月。右グラフ期間:1995年3月~2015年3月。 商業用不動産価格指数はグリーン・ストリート・アドバイザーズ商業用不動産価格指数、戸建住宅価格指数は主要10都市圏の住宅価格動向を示す S&P/ケース・シラー住宅価格指数(コンポジット10)。戸建住宅価格指数は2015年3月まで。米国の不動産価格指数の推移
米国の住宅所有率と賃貸物件空室率の推移
米国商業用不動産の新規供給
1.21%
着工物件面積増加率
(期間中平均、1.73%)
【米国住宅市場の状況】
米国における持家志向の低下などを反映し、戸建住宅価格は底入れしたものの、その回復は緩慢な
ペースにとどまっています。
住宅所有率の低下と雇用の増加から、米国の住宅セクターは恩恵を受けています。
(注) FMR Coよりフィデリティ投信作成。 期間:1984年3月~2014年12月。0
60
120
180
240
300
360
0
20
40
60
80
100
120
1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013
(年)
商業用不動産価格指数(左軸)
戸建住宅価格指数(右軸)
0%
2%
4%
6%
8%
10%
12%
62%
63%
64%
65%
66%
67%
68%
69%
70%
95
97
99
01
03
05
07
09
11
13
15
米国住宅所有率(左軸)
賃貸物件空室率(右軸)
(年)
0%
1%
2%
3%
4%
2
4
6
8
10
12
14
16
18
84年 86年 88年 90年 92年 94年 96年 98年 00年 02年 04年 06年 08年 10年 12年 14年
着工物件面積(左軸)
着工物件面積増加率(右軸)
(億平方フィート)
ポートフォリオ・マネージャーのコメント
今後も米国リートの上昇基調は持続するものと考えています。以下に、その具体的な理
由を挙げます。
•
商業用不動産のファンダメンタルズは良好です。米国において持続的な経済成長と
雇用改善がみられる中、過去平均を大きく下回る商業用不動産供給のもとで、米国
リートの利益増加と増配が引き続き見込まれます。
•
リートの資金調達環境は引き続き良好です。米国リートの資金調達は株式主体とな
っており、今後金利が上昇しても、資金調達コストへの影響は抑制されています。
•
配当利回り、NAVプレミアム、株価キャッシュフロー倍率などの尺度からみた米国
リートは、割安な水準にあるといえます。
•
米国の過去の金利上昇局面をみても、米国リートは、概ね堅調な経済成長に支えら
れて上昇してきました。
米国リートと米国長期金利の推移
フィデリティ・USリート・ファンド
ポートフォリオ・マネージャー
スティーブ・ビューラー
金利局面別の米国リートの利回り格差の変化
金利局面別の米国リートの騰落率分布
(注)Bloombergより。期間:1993年9月末~2015年4月末。米国リートはFTSE NAREIT Equity REITsインデックス。上グラフの米国リートは期間初を 100として指数化(対数軸)。金利上昇期:米国10年国債利回りが1%以上上昇した期間。金利低下期:金利上昇期以外の期間。 下グラフ上の直線は線形近似直線。
長期金利
(米国リート騰落率)
⑥
➊
➌
(対10年国債利回り格差の変化)
-60%
-40%
-20%
0%
20%
40%
60%
-4%
-3%
-2%
-1%
0%
1%
2%
3%
-10%
-5%
0%
5%
10%
-4%
-3%
-2%
-1%
0%
1%
2%
3%
例えば、下のグラフに分類した各期間について、金利変動幅と米国リート騰落率の分布をみると、金利上昇期
の米国リートには10年国債との利回り格差の縮小によるプラス効果が働いてきたことが分かります。
米国リートの下落局面である、➊、➌、⑥の期間は、それぞれ、米国リートの新規公開ラッシュ、ITバブル期、
金融危機と重なっていることから、米国リートの下落には、金利動向以外に主要因があったものと思われます。
今後も、米国リート市場を見通すうえでは、実体経済の動向にこそ注意を払う必要があるものと考えられます。
0%
2%
4%
6%
8%
10%
50
100
200
400
800
93年9月
96年9月
99年9月
02年9月
05年9月
08年9月
11年9月
14年9月
金利上昇期
金利低下期
米国リート(左軸)
米国10年国債利回り(右軸)
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
➊
➋
➌
➍
➎
➏
➐
➑
➒
上昇
低下
長期金利
上昇
低下
「フィデリティ・USリート・ファンド」の運用状況
フィデリティ・USリート・ファンド各コースの基準価額等の推移(設定来)
フィデリティ・USリート・ファンドの騰落率とランキング(2015年4月末時点)
2015年4月末時点での年間騰落率は、A(為替ヘッジあり)が-2.30%、B(為替ヘッジなし)が-3.39%、
(資産成長型)C(為替ヘッジあり)が-2.44%、(資産成長型)D(為替ヘッジなし)が-3.36%でした。
※累積投資額は、ファンド設定時に10,000円でスタートしてからの収益分配金を再投資した実績評価額です。ただし、購入時手数料および収益分配金に かかる税金は考慮していません。ベンチマークはファンド設定日前日を10,000円として計算しています。※基準価額は運用管理費用(後述の「運用管理 費用(信託報酬)」参照)控除後のものです。※当該実績は過去のものであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。ベンチマークは8ペー ジをご参照ください。『フィデリティ・USリート・ファンド B(為替ヘッジなし)』は、
モーニングスターアワード「ファンド オブ ザ イヤー2014」(国際REIT型 部門)において
「最優秀ファンド賞」を受賞しました。
2011年から3年間の優秀ファンド賞※に続く4年連続の受賞となりました。
Morningstar Award “Fund of the Year 2014”は過去の情報に基づくものであり、将来のパフォーマンスを保証するものではありません。また、モーニ ングスターが信頼できると判断したデータにより評価しましたが、その正確性、完全性等について保証するものではありません。著作権等の知的所 有権その他一切の権利はモーニングスター株式会社並びにMorningstar,Inc.に帰属し、許可なく複製、転載、引用することを禁じます。 ※2011年、2012年はオルタナティブ型 部門、2013年はオルタナティブ&バランス型 部門での受賞。 当賞は国内追加型株式投資信託を選考対象として独自の定量分析、定性分析に基づき、2014年において各部門別に総 合的に優秀であるとモーニングスターが判断したものです。国際REIT型 部門は、2014年12月末において当該部門に属す るファンド215本の中から選考されました。
A(為替ヘッジあり)
B(為替ヘッジなし)
※騰落率は累積投資額より算出しています。(資産成長型)C(為替ヘッジあり)
(資産成長型)D(為替ヘッジなし)
※「Lipper For Investment Management」よりフィデリティ投信作成。Lipper Global分類の不動産型 米国(為替ヘッジあり)/(為替ヘッジなし)(除 く通貨選択型)におけるトータルリターンとランキング。「Lipper For Investment Management」の情報は、トムソン・ロイターグループのリッパーよ り取得しております。上記は過去の実績であり、将来の動向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。