研 究 論 文
カーボ ン粒子混合 による熱交換器用フッ素樹脂細管の伝熱性能改善
高 橋 カ ネ子,*山 田 悦 郎 **
富 田 千 秋,***五 色 慶 悟 ***
ImprovementofHeatExchangePerformanceofPFA ThinTubesbyMixingorCarbonParticles
KanekoTAKAHASHITEtsuroYAMADAT†ChiakiToM汀AIIIandKeigoGosHIKII††
Abstract
Theheatexchanger,especiallyshell&tubetype,lSbasicalappratusforheattransfer equlPmentSinvariousindustrialanddistrictfields・ Themetaltubes,suchascupper,steeland soon,areusuallyemployedinshellandtubeheatexchanger・ Ontheotherhand,PFA tube usinglnthisexchangerhavemanyadvantagesthatarestableagainstchemicalsolution,pre‑
venttogetrust,etc‑ However,heatexchangeefficiencylSlow value,sincePFA haslower thermalconductivltythanmetals'one・ IftheconductivityOfPFA tubeisimprovedbymixing highconductivitypowderinitforexample,theeffectivethermalconductivltyOftubemaybe morelargervalueanditsmeansbringaboutlargebenefitonenergyresources.
From thisStandpoint,WedevelopedtheapparatustomeasurethethermalconductivltyOf thethintube. ThedataonpurePFA tubeshavingdifferent3sizesdiameterareobtainedand comparedwiththedatatakingfrom thesamedia・tubemixedcarbonpowder. Itisclearthat theconductivltyOfmixedtubehavegratervalueaboutl・6timesthanpurePFA tubes. There‑
fore,theseTnlXedtubemaybetakemanyimprovementtoheatexchangecoefficient.
KeyWol・de:HeatExchangePerformance,ThinPFA tube,CarbonParticle,ThermalConduc‑ tivlty,Over‑allCoefficientofHeatTransmission
1. 緒 言
熱交換器 は工業 と民生 の多分野 において熱利用機器 の基本的 構成要素であ り,中で も, シェル&チ3: ブ型 は最 も主要 な も のである。伝熱面を構成す る細管 には銅などの金属が一般 に使 用 されているが,実用 において は広範囲での耐蝕性 と非汚染性 及び耐久性が要求 され る。従来 の熱交換器 は,流体の種類, 演 隻,温度などによる制約を受 け, さらに管の腐食発生 などの問 題点を生ず ることが多 い。近年,技術革新が進展す るなかで, 新素材や複合材料が開発 されているが,特 に,管材料 として耐 腐食性などの化学的安定性 に優れ,たわみに強 くかっ軽量で あ るなどの多 くの利点を持っ フッ素樹脂管の使用1),2)が見 られ る。
しか しなが ら, フッ素樹脂 は金属 に比べ熱伝導率が小 さいため, 平成11年8月 6日受付
*秋田大学教育文化学部環境情報講座
〒010‑8502秋 田市手形学園町1‑1
**秋 田大学工学資源学部 素材資源 システム研究施設
〒010‑8502秋 田市手形学園町1‑1
***株式会社 潤工社
〒156‑0051東京都世 田谷区宮 坂2‑25‑25
T°eptofEnglneerlngSandlnformatlOnSclenCe,FacultyorEduca‑
tlOnandHumanStudleS,AkitaUnv.,010‑8502TegataGakuencho 1‑1,AkltaCity
千IResearchlnstituteofMaterlalsandResources,FacultyofEngト neerlngand ResourceSclenCe,Akita UnlV., 010‑8502Tegata Gakuencho1‑1,AkltaClty
††IJunkoshaCo.,Ltd156‑0051Miyasaka2‑25‑25,Setagayaku,Tokyo E‑mall:kaneko@ed.aklta‑u.aC〕p
管の厚 さを薄 くした場合で も伝導熱抵抗が大 きく熱通過率を低 下 させ る。熱通過率増大の手段 として は,細管の内外表面 に凹 凸や溝を作 ることによりその部分の熱伝達率の向上を図 る方法 も考え られ るが, ここで用 いる管 は,直径が小 さいだけでな く 肉厚 も薄いので無理がある。従 って,細管の熱伝導率を何 らか の方法で増大 させ ることが,有力な性能改善手段 となる。
しか しなが ら, このような改善手段 は熱交換器製品が使用 さ れてか ら長期間過 ぎているにも関わ らず現在 に至 るまで見当た
らないようである。
上述のようなフッ素樹脂の特性 を生か したまま,管の熱伝導 率を増加す る方法 として薄肉管の場合 には樹脂 よりも熱伝導率 の大 きい物質を分散 させた混合物で管を作 り,材料の有効熱伝 導率を増大 させ ることが有効な手段の一つである。
一方,合成繊維の測定例3)か らも推察 され るよ うに,加工 に より細管の熱伝導率 は素材本来の熱物性値 とは異なる値や異方 性 を示す と考え られ る。
また,粒子を混合 した場合,粒子形状が球以外では粒子 の向 きがバルクにおける分散状態 と異 なった配向性 を持っ可能性が 高 い。従 って,細管状試料のままの熱伝導率の評価 は必要不可 欠 と考え られが, このような形状 についての測定例 は見当た ら ないといってよい。
本研究 は以上の立場か ら,最終的には現在保持 している特長 を生か しつつ さらに伝熱性能 の優れた熱交換器の開発を目的 と す るが,本報告では当面の目標 としてPFA (パ ー フロロアル キル ビニルエーテル共重合体),即 ち, テ フロ ンの細管素材 中
高橋カネ子・山田悦郎 ・富田千秋 ・五色慶悟
に,より熱伝導率の大 きい粉状粒子を混入 した場合 どの程度 の 熱伝導率の向上が得 られ るか,また,それにより熱通過率 の上 昇 と熱交換器の性能改善が どの程度可能か,などの定量的推定 を行 う。ただ し,紬管状試料の熱伝導率を測定す るためには測 定装置に工夫を要す るので,始めに,測定装置を開発 し,実験 方法を工夫す ることによって精度のよい実験値を求めることを 試みた。次 に,前述の目標である,より熱伝導率の大 きい粉状 粒子を混入 した試料 について も熱伝導率測定を行 い,フッ素樹 脂のみの管 との比較を行 うことによって熱交換器の性能改善を 推定 した。その結果,テフロン細管の熱伝導率 は約60%向上 し,
それによって,熱交換器の伝熱性能が約20%改善で きることを 明 らかに した。
2.実 験
よ く知 られて い るよ うに熱伝導率 の測 定 法 に は多 くの方 法4),5)があるが,細管状試料 にそのまま使用 出来 る手法 は見 当 た らない。 しか し,頬似 の円筒状試料測定例を発展させる形で, 本報告では円筒絶対法を選んで装置の試作を行 った。
2.1測定原理 と誤差評価 2.1.1測定原理
Figurelに示すような座標系 にお いて,単位時間 ・単位長 さ当 りの発熱量qを持つ無限に長い円筒状熱源 と,それ と同心 に置かれた熱伝導率 久の無限長の均質な物質がある場合 を考え る。外表面の熱伝達率h,が周方 向 ・軸方 向共 に一定 で,温度 場が定常状態 にあるとき,熱 は半径方向のみに1次元的に流 れ るので,円筒座標系の熱伝導方程式 と境界条件を用いると物質 の熱伝導率 は次式で求 め られ る。
A‑q ln(r。/rL) 27T(TI‑To)
(1)
ここで,式中の円筒の内外径 rlお よび r。を既知 とすれば, 熱源か ら発生す る熱量 qと試料内外面の温度TLおよびToを測 定す ることによって円筒状試料の熱伝導率 久が求め られ る。
2.1.2有限試料寸法に基づ く誤差
理想的な場合 には上述 のように熱伝導率が求 め られ るが,莱 際 には試料の長 さはFigurelの実線で示す ごとく有限である。
即 ち,座標軸を図のようにとり,軸 向の試料長 さをLoとす る と,Lo/2の位置の両端面か らの熱損失 によ って誤差 を生 じる ことは避 け られない。十分 に精度のよい測定を行 うためには, この誤差を評価 した上で試料寸法 を決定 しなければな らない。
従 って,以下のような誤差評価を行 った。 始 めに,熟 は周方 向には流れず,半径r及 び軸 Z方向のみに流れ ると仮定 し,定 常状態を考えると,熱伝導方程式 は,
塑 ̲+⊥ 旦ユ +堅ユ = o
∂rB r ∂r ∂22
で与え られる。また,境界条件 は
,=,L で q‑ ‑2万人,旦 エ
∂ r
(2)
(3)
, =,O で ‑一入旦ユ =h,(TI Tm)
∂㍗
Z=Lo/2 で 一 入旦エ =hZ(T‑T皿)
a I
Z=Oで 旦 ユ =o aI
(4)
(5)
(6)
のように与え られる。
ここで,r上およびroはそれぞれ細管試料 の内外半径,Lo/2 は管の軸方向端面部,h,およびhzはそれぞれ菅 の外周面 お よ び軸端面 における外気 との熱伝達率,ToおよびT‑はそれぞれ 管外表面および周囲温度を表す ものとす る。
式(2)を式(3)か ら(6)の境界条件の もとで解析的に解 くことは困 難である.従 って, ここでは近似的にh,‑hzと し,差分法 に ょる数値解析を行 った。差分法 による手法 はよ く知 られてい る ので, ここでは説明を省略す る。
ヒータの周囲 におかれ る試料の外径をパ ラメータとして,読 料の軸方向端面のLo/2の表面か ら熱伝達で熱 が流 出す る場合 の計算結果 はFigure2のようになる。 この図 か ら,測定誤差
Eは試料の外径が大 きい場合で も,試料長 さLoは100mm以上 であれば理論上 は十分 な測定精度であることがわか る。 ここで は,少 し安全を とってL.‑150mmを採 用 した。 また,他 の 測定誤差因子 と考え られる試料厚 さS‑ (ro‑rl)及び端面 の 熱伝達率hZの種々の値 について も計算 し,測定誤差 に対 して 軸方向長 さLoのような大 きな影響がない こと も確認 した。 こ れ らの解析結果か ら,装置の寸法 を決 めこれを製作 した。
2.1.3温度測定誤差
次 に,試料外表面の温度測定 においては表面の境界条件 を考
0㍉ 了HeaterI;. r
Samp,守A
q ro
f7,
Tc.,
11
Figure1 Coordinatesystem ofhollow cylinder and heater
カーボ ン粒子混合による熱交換器用 フッ素樹脂細管の伝熱性能改善 3
慮する必要がある。試料表面 を自然対流状態で測定す ると,義 面温度が揺 らぎ,不安定 になると考え られ る。 しか し,強制対 流状態 として も,表面 の局所熱伝達率h,は流速 のみな らず位 置によ って も変化 す る。周方 向のh,につ いて のEckertら6)
schmidtら7)の文献値を用いて得 られた結果を上死点か らの角 度 βを変数 として示す とFigure3になる。 試料 を横切 る流体 の レイノルズ数Reにより測定誤差Eに相違が あ るが,下死点 0‑1800の位置が最 もeが小 さい といえ る。本報告 で は この
l i l
h,‑hz‑46.5 lW/m2K]
q‑2.34 lW/m]
7ニ ‑20,0 [oC] E I O:d.=6.4[mm】
Calculationresults □:d0‑4,0[mm】
A:d0‑3.2lmm]
【
i i
0 5 10 15 20
Lo lcm]
Figure2EffectsofLoone
[%]lPf
l i l
}=0,30 [W/m.K]▲ :FPe‑23,0 q=2.34 [W/m] ▲:Re‑22.4×10 TN=20 [℃】 △:Re‑59.7×10 d0‑6,4 [mm] 一.Re‑70.8×103
口:F7.‑10.lX104
\\\ 、、\\ 辛‡辛‡
0 90 180
8 [o】
Figure3 Effectsofeon e
結果か ら温度 の測定点を下死点 にお いた。 また,軸方 向 にh, が一様でない場合の計算 も行 ったが, この誤差 は比較的小さく, q≧2.3[W/m]で0.1%程度であった。
一方,試料内表面 を示す温度T.の測定 につ いて考 え る。管 状試料 に と一夕を挿入す るためには,試料 とヒータ間に隙間が 存在す る。 この隙間に熱伝導率の低 い空気が満たされている場 合,TEの測定誤差が大であ ると考 え られ ることか ら, 実敬 で はこの空間を液相で充填 し,誤差を小 さ くす るよう試みた。 さ らに,次 のような手段 によ り,測定値 の補正を行 った。隙間 を 考慮 した補正のモデルの概略図をFigure4に示す。熱電対 は 後述のように,細 く,また周囲の液相 に比較 して熱伝導率が10 0倍以上の値を もつので,伝熱的にはこれを無視 す ると,図 に 示すような円筒座標系の半径方向のみの1次元定常熱伝導問題 で取扱 うことがで きる。試料 内面測定用 の熱電対 は後 に示 す Fig.6のように ヒーターであるマ ンガニ ン線表面 に取 り付 け ら れ挿入 され るので,その位置 をr‑ rsと し, その位置 の温度 をT‑TLとす る。また,スおよびAgをそれぞれ試料 と隙間 を満たす液体 の熱伝導率 とす ると,伝熱量qは
27T(Tl‑To) 1n(rE/rs)/スg+ln(ro/r.)/A
で現わ され, これを変形 して試料の熱伝導率 久は
ln(ro/rL)
27r (Tr To)/q‑1n(rJrB)/入g
(7)
(8)
となる。
2.2実額装置 と測定方法
実験装置の概略図をFigure5に示す。装置 は液槽, ポ ンプ 及 び測定部か ら構成 されている。測定温度範囲を熱交換器の使 用温度約120℃ まで可能 にす る目的で,液槽 には100℃以上 で も 蒸気の発生 しに くいエチ レングリコールを満たし,ポンプによっ て循環す る。液相温度 はPID制御方式を用いて制御 し,±0.1
Etylene dycol
Figure4 Schimaticdiagram ofheaterandthermocouples
高橋 カネ子 ・山田悦郎 ・富田千秋 ・五色慶悟
ocの範Bflで液温 をで きるだけ等温 に保持 している。
また,熱流束 を与 え る ヒータの拡 大 図 をFigure6に示 す。
円筒状の ヒー タの芯棒 にはセ ラ ミックスまたは真録 を使用 し,
¢0.2mmの絹巻 マ ンガニ ン緑 を密 に接 す るよ うに巻 き付 けて 作成 した。温度測定 には直径0.08mmのJ熱電対 を用 い, ヒー タ中央の外面 に試料 内表面温度TEを測定 す るため一対取 り付 けて,試料 内に挿入 して いる。 また,それ に対応す る試 料 外表 面位置にToを測定す るための一対が図の よ うに接着 され て い
る。
さ らに, ヒータと試料 との隙間 に液相 を充填 させ る目的で試 料 の軸端部 の上死点 (♂‑Oo) とその反対側 (♂ ‑1800)に穴 を開 け液が確実 に管 内部 に充満す るよ うに注意 した。実験 は, 研究 を始 めた初期 には,Figure5に よ る方 法 の他 に, フ ァン
によ り表面 に空気 を流す方法 Blも予備的 に行 ったが, 測定 原理
1: Specimen 5 : Switch 2,9: Heater 6 : Voltmeter 4 :Zeroconditioner 7 : Pump 3,8.10 .Volt Slider
ll ThelmOCOUPle W ・Wattmeter
Figure5 Schimaticdiagram ofexperimentalapparatus
To
Figure6 Detailsofheaterandthermocouplejunctions
Table1 Dimensionsofspecimen
jNo. Material do[m ] ! di[m ] slmTl]
は同様であるので説明を省略す る。
測定手順 は次 のようである。 ヒータへの入力電力 と循環液相 温度 を設定 し,Tzと Toとが一定 にな るよ うに微調整 しなが ら, 2対 の熱電対 の出力が± 1〃Ⅴ (約±0.025℃)以 内で20分 以上 変化 しない場合 に定常状態が得 られた と判断 した。試料表面 の 温度差 (Tl一一To)は約4‑ 5℃ を選 び測 定 したo 熱伝導 率 の 温度依存性 を検討す る上で温度差 は出来 るだけ小 さい ことが望 ま しいが,小 さす ぎると温度測定誤差 の影響が大 き くな ること を考慮 した ものであ る。測定温度範囲 は約40‑ 120℃で ある。
2.3試料
本実験で は,実際の熱交換器 に使用 されている,(1浮L白色 に 見え るテフロンチューブ (PFA),新 たに試作 され た(2)熱伝導 率 を大 き くす るために同様 の材質 の中 に平均直径 8〟m,平均 軸長 9〃mの寸法 を持っ円柱状 カー ボ ング ラフ ァイ ト粒子 を ランダムに7.5%混入 した黒色 の テ フ ロ ンチ ュー ブ, の2種類 の材質 を持っ試料 を用 いた。 さ らに,管直径 をそれぞれの材質 の管 につ いて3通 り寸法 を変化 させた。Tablelに これ らの寸 法等 の詳細 を示す。
3.実 験結果 と考 察
3.1 空気 による実験結果 と考察
先 に2.2で もふれたように, 実験 の初 期 に は フ ァ ンによ り 空気流 を作 り,それを試料表面 にあて熱伝達実験 を行 った。 結 果 の1例 をFigure7に示す。 この例 で は, ヒー タを試料 に挿 入す る場合 には出来 るだけ隙間 に空気 が入 り込 まず,温度差 が
40 50
Tm loc]
Figure7 Experimentalresultsofユ(d0‑3.2mm)inair stream
カーボ ン粒子混合 によ る熱交換器用 フ ッ素樹脂細管 の伝熱性能改善
出来 ないよ うに銀 ペース トを塗 り, 管 に入 れ た。Figure7の 結果 は最 も良好 と考え られ る結果 を示 した ものである。図か ら, 温度の上昇 とともに,熱伝導率 が次第 に増加す る傾向を示 して いる。 この定性的な傾向 は,Tablelに示 した他 の試 料2お よ び3のフ ッ素樹脂 のみの管で も同様であ った。
しか しなが ら,空気 による実験 には装置 の不十分 さに もよ る がい くつかの問題点 を生 じた。すなわち, ヒー タへの銀 ペ ー ス トの塗 り付 けが一様 に出来ず, また,挿入 において,熱電対 の 付近のペース トが離脱 して,空気 にさ らされ ることがあること。
したが って,結果 のば らつ き,再現性 などの問題が生ず る。 ま た,一般 の実験室 に小型 ファンを置 いた状態で風 をあててい る ので,測定温度範囲が狭 く,約25‑55℃程度であ り, 改良 の た めには多 くの費用 とスペ‑スを要す ることもある。 これ らを解 決す るために,前述 のよ うな液体 を回流 させ る方法 に改良 し多 数 のデー タを求 めた。
3.2 エチ レング リコールを用 いた結果 と考察
実験 は先 に示 したFigure5の装置 を用 い, よ り高温 に対 応 出来 るよ うに,液体 にはエチ レング リコールを採用 した。予 備 実験 として,液温制御 の結果 をFigure8に示 す。 設 定温度 に より, 目標値か らのば らつ きが多少異 な るが ほとん どの点が 目 標温度±0.02[℃]以内 にお さま っている様子が見 られ る。120
[oC]の場合で も変動幅 を目標値 に対す る比 で とれば,む しろ, 制御変動 は小 さいともいえ る。 この変動 の減少および測定温度 領域 は明 らか に,前節 の空気流 の場合 よ りも優れているといえ る。管直径d0‑3.2[mm]の試料 1お よび カ‑ボ ン粒 子を入
il;0ー10 i120.00
卜 ,̲,o
I
1 TヨlZOt℃1〇〇0〇 〈⊃0
〇 〇 〇 〇〇 ( ⊃
〇〇 (⊃○〇 〇〇〇○〇〇 〇
0 2 4 6 8 10
T〔mTn]
荏!79...,0o 〇T,3〇80〔℃】 〇 〇〇〇〇
〇
一〇 〇
0 2 4 6 8
Ttm叶】
4 6
T〔mln】
8 10
Figure8 Temperaturecontrolstateofetyleneglycol
れた試料1Cにつ いての結果 をFigure9に示 す。 こ こに は, 求 め られたそのままのデータと式(8)によ り補正 されて求 め られ た結果 の両方 を示 している。いずれの試料 につ いて も,Figure 7と同様 の傾向,すなわち,温度依存性が正 で あ る ことが明 ら かである。 また,補正 された試 料1の値 がFigure7の値 よ り もやや小 さい値で はあるが,ば らつ きや再現性 などの点か らこ の図の結果の方が信頼性 があ ると評価 している。 さ らに,補正 の妥 当であると考え られ る。 さ らに,試料1と1Cとの間 に は 明 らかに相違があ り,補正値で比較す ると,後者が約60%熱伝 導率が向上 してい ることがわか る。
同様 な実験結果 を管径が最大 のdo‑6.4[mm]につ いて示 す と,FigurelOのよ うである。正 の温度依存性 は これ まで と 同様であ るが,試料3Cの勾配 が他 に比較 して大である。 この 理 由につ いて は現時点 で は不明である。 また,試料3の値 は試 料1よ りもやや大 きな値 を示 して い るが,d0‑4.0[mm]の 結果 と併せ考 えて も,加工程度 による相違 (加工度 の高 い方 が 軸方向には値が小 になるとい う推定)であるとい う断定 は出来 なか った。 また,試料3と3Cを比較す ると,T‑80 [oC]で は前図 と同様 に約60%の熱伝導率 の向上が得 られた。 この傾 向 は,図 を省略す るが試料2と2Cで も同様 であ った。
40 60 80 100 Tm 120
Figure9スvs.Tdiagram (d.‑3.2mm)inetylenegly‑
colstream
40 60 80 100 Tl・C] 120
Figure10 Avs.Tdiagram (d。‑6.4mm)inetylenegly colstream
高橋カネ子 ・山田悦郎 ・富田千秋 ・五色慶悟
3.3熱通過率改善 の推定
次 に,カーボ ン粒子を混入 した管がどの程度熱通過率を向上 させ得 るかの概算を試み る。
簡単のため,熱交換器の伝熱量Qが
Q‑K ・A・ATm (9)
で表 され ると仮定す る。
ただ し,Kは熱通過率,Aは伝熱面積,△Tmは対数平均温 度差である。また,K は
1 1 S 1
‑‑ ‑ + ‑ + ‑
K h. A ho (10)
で表 される。
ここで,hlおよびhoは熱交換器を構成す る管内外の熱伝達率, 久は管の熱伝導率,S‑ ro‑ T・lは管 の厚 さで あ る。本研究 の 熱交換器の場合,管材質のみの改善であるので,式(9)で,Aに は変化がな く, もし,△Tmにも変化がないものと仮定すれ ば, 式(10)のKの増加がそのまま,Qの増大 につながることにな る。
hlおよびhoがどの程度の値か,使用流体 お よび流速 によ り異 な り決定 しに くいが比較のため,h.‑h0‑1000[W/(m2・K)] とい う良好 な場合 を仮定 し, A‑0.2[W/(m ・K)], S‑
0.0004[m](d0‑3.2[mm]の場合) とす ると, K‑250lW/(m2・K)]
となる。次 に管が改良 されて熱伝導率が60%向上 しス‑0.32に な り,他 の値 は変化 しないとす ると,
K‑308[W/(m2・K)]
すなわち,伝熱量 は約20%増加で きると推定 される。
したが って,以上か ら,熱伝導率の小 さいフッ素樹脂 に, よ り熱伝導率の大 きなカーボ ン微粉末を混入す ることによって, 管材料の熱伝導率が向上 し,伝熱量 も増加す ることは明 らかで, 効果のある改善方法 といえる。カーボ ンの混入を増加すれば管 の熱伝導率 はさ らに増大す るが,管の加工可否,強度その他 の 物性変化などを考慮 し,さらに検討すべ きであろう。
4.結 論
フッ素樹脂細管を用いる熱交換器 は多 くの特長 を持つが細管 に加工 された樹脂管 の熱伝導率を求め難 いこと,また,熱交換 性能が低 いことなどの問題点が生 じていた。
これ らを解決す るためこの研究がなされ, この報告で明 らか にされた主 な点を上 げると以下のようである。
(1) 細管 に加工 されたままの状態で熱伝導率を測定す る装置 と 修正式(8)を提案 し,広い温度範囲の実験値を求めることがで き
た 。
(2)フッ素樹脂 にカーボ ン粒子 を7.5%混入 した管 を試作 した 結果,いずれの寸法の試料で も管の熱伝導率を約60%向上 で き た。
(3)この熱伝導率の向上 は熱交換器の伝熱性能 を約20%改善 す るものと推定 され る。
終 りに, この研究 に卒業研究 として協力 して くれた学生諸 君 に感謝の意 を表 します。
Nomenclature
A :heattransferarea lm2] d:diameteroftube lmm]
h:heattransfercoefficient lW/(m2・K)] K :over‑allcoefficientofheattransmission[W/(m2・K)] エ:tubelength [m,cm,mm]
Q:heatratefrom tube lW]
q:heatratefrom heaterperunitlength lW/m]
Re:ReynoldsNumber l‑]
㍗ :distanceofradialdirection [mm]
S:thicknessoftube lmm]
T:temperature loC]
AT:logarithmicmeantemperaturedifference loC]
e:measurementerror A:thermalconductivity
♂:anglefrom frontdeadpoint Subscript
i:innerside m :meanvalue o:Outerside r:radialdirection z:axialdirection
∝,:surround
References 1)井手忠行 :化学装置,10(1983),111‑116. 2)森田光一 :配管技術, 7(1988),99‑104.
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6)Eckert,E.氏.G,etal∴Trams.ASME,74(1952),343.
7)Schmidt,E.etal∴Forschung,12(1941),65.
8)山田悦郎,佐藤光夫 :日本機械学会東北支部八戸 地方講 演論文集,(1990),213‑214.