教育学部生の教職観の分析
小 島 秀 夫 ・ 篠 原 清 夫*
(1985年11月5日受理)
問 題
教師をめぐる問題はどのような時代であっても教育上の重要な問題と考えられてきているが,今日 再び教育の制度改革とともに人々の関心をひいている。そこでは教師の資質の向上が議論され,教員 養成の重要性が論議されている。しかしながら,われわれはさらに「向上されるべき教師の資質とは 何か」ということを考えると,その意味内容がきわめて曖昧であることに気づく。したがって,教師 に必要とされる資質としては,すべての人間の善的な側面,たとえば人を愛する心や広い知識など,
を持つべきであるといったような議論がなされがちである。その結果,「教師は生徒のために祈らな ければならない」といったような抽象的な議論がなされることとなる」)しかしながら,こうした議論 を同じ専門職である医師養成の場でしたとしたらどうであろうか。おそらく,そうした発言は一笑に 付されるにちがいないであろう。
なぜこのように教職をめぐっては抽象的な議論のみがなされるのであろうか。その理由は,教員養 成についての経験的研究の蓄積があまりなされていないことに求められるであろう。大学でどのよう なことをどの程度学んだことが,教師になった後にどの程度影響を与えているのかといったことが経 験的データによって解明されない限り,今後も抽象的な議論が続けられることになるであろう3)たと えば,教員養成を目的とする教育学部出身の教師とそれ以外の学部出身の教師にどのような差が認め られるのか,といったことが研究されなければならない3)もし,そこになんらかの差も認められない のであれば,教育学部の存在意義はないといえるであろう。
このように教員養成をめぐっては,まだ解明されなければならない問題が多く残されている。その ために,われわれは教員養成をめぐっては経験的データを得ることが非常に重要であると考える。本 研究は,最終的にはパネル調査を目的とするものであるが,教員養成を目的とする教育学部の学生がど
うした教職観を形成しているのかを明らかにすることを目的とするものである。
デ ー タ
本研究に使用されるデータについては別の所で詳しく述べられているため,4)ここでは簡単な説明に とどめておく。調査は,1984年の5月から6月上旬に,茨城大学の教育学部生の2年生以上を対象
・ としたもので,有効サンプル数869を得たものである。この数字は2年生以上の学生の68.9%を構 成するものである。質問項目数は約50である。
*上越教育大学大学院
教職観の構造
教育学部生の教職観を解明する目的で,ここでは「良い教師の特性認知」・「教職認知」・「教職 の職業的特性認知」をとりあげることとする。最初に,良い教師の特性認知からみてみよう。
良い教師の特性認知 良い教師とはどのような教師であると教育学部生は認識しているであろうか。
本研究ではその点を解明する目的で,「専門的な知識をもつこと」や「子どもに対する関心が高いこ と」など,良い教師になるために必要とされると思われる16項目を用意して,それぞれの項目に対し て「非常に重要である」から「まったく重要でない」の5段階の評価をしてもらった。
その結果,次のような特性を重視していることが明らかにされた。ここでは「非常に重要である」
の比率に注目して上位5位までをあげておく。( )は「非常に重要である」の比率である。1位「子 どもに対する関心が高いこと」(85.8),2位「健康であること」(75.7),3位「人間の可能性を信 じること」(74.1),4位「人の心の動きをすばやく感じとること」(57.9),5位「忍耐強いこと」
(57.3)。これに対して,「非常に重要である」の比率が低い項目5つは,次のようなものであった。
「目上の人に従順なこと」(4.0),「事務的能力にすぐれること」(4.6), 「絵や歌がうまいこと」
(12.1),「人の世話をすすんでやること」(26.2),「社交的なこと」(30.6)。
われわれは,ここでこれ以上これらの特性1つ1つを分析するということはしない。こうしたそれ それの特性に内在する潜在的な構造はどのようなものであろうか。特性間に内在する構造を解明する 目的で,16項目を使用して因子分析を行なった。
その結果が表1に示されている。
第1因子の負荷量が大きい項目と 表1 因子分析結果(バリマックス回転後の因子負荷量)
しては,「社交的なこと」・「性
特 性 講譜講餅格が明るいこと」 「話しがうま
いこと」 ・「ユーモアがあること」
(1》専門的な知識をもつこと 。011 .035 .174 .545 一
(2)社交的なこと .364.192.077.123 などがあり・第1因子をく対人因 一
(3)人間の可能性を信じること マ024.塾.010.088 子〉とよぶことが可能であろう。 。
〔4)子どもに対する関心が高いこと ,122.530「071.080 第2因子の負荷量が大きい項目に 一
(5)自分の性格が安定していること ・202・遡・265・093 は「人間の可能性を信じること」・
(6)人の心の動きをすばやく感じること ・227遥2・141、039 「子どもに対する関心が高いこと」・
〔7)事務的能力にすぐれること .184 .076 .742 .236 「人の心の動きをすばやく感じと 一
(8)人の世話をすすんでやること .371 .403 .271 .035
@ ること」・「人の世話をすすんで(9)性格が明るいこと .503薦.。98.13。 一
(1◎広い教養をもっていること .356.143.002.539 やること」などがあり・第2因子 一
(11)話しがうまいこと .689.023.07g.185 をく情緒因子〉とよぶことができ
1 一
(12絵や歌がうまいこと .蝦 .077.220・159 るであろう。第3因子は,「事務
(13健康であること ・241・249・080・308 的能力にすぐれること」の負荷量
(凶ユーモアがあること ・塵 ・266・099、025 が大きいのみであり,〈事務因子〉
(19目上の人に従順なこと .381 .067 .346 .046
一 とよぶことができるであろう。第
〔㈲忍耐強いこと .214 .360 .127 .147
固有値 3.5980砺0.596α498 4因子は・「専門的知識をもつこ 寄与率(瑚 6a5 145 10.9 9.1 と」と「広い教養をもっているこ
じ
と」の因子負荷量が大きく,この因子をく知識因子〉とよぶことができるであろう。
この因子分析の結果と単純集計の結果より,良い教師になるための条件としてはく情緒因子〉が重 視されていることが明らかにされる。また,ここでは項目数が因子分析を行なうのにはそれほど多く はないが,それでもこのように因子が複数抽出されるということは,それだけ多くの要求が教師に課 せられていると認識しているということであって,実際にそうした能力を限られた時間に身につけら れるかどうかは疑問である。5)さらにく知識因子〉についてみても,「専門的知識をもつこと」と「広い 教養をもっていること」といった項目より成立している点は注目されてよい。専門的知識と広い教養 を身につけるといったことが同時になされれば理想的な状態であるといえるが,実際問題としては,
そのようなことが可能かどうかという問題が残る。すでに現在の大学教育では専門的知識を身につけ るということは実質的に不可能であるということは,これまでにしばしば指摘されていることである。
また,教員養成を目的とする学部においては,広い教養を身につけるために必要とされる教科の数が 多いため,学生も実質的にそれらの教科すべてを身につけることは不可能であるということも,広く 知られている。したがって,われわれは今後,教師になるためには,どうした知識をどの程度もつ必 要があるのかということを解明しなければならないと考える。具体的には,現場の教師が実際に必要
と感じている能力を調査し,それらの中で似たものをまとめる作業が必要であると考える。
教職認知教育学部の学生は教職についてどのような意識を有しているであろうか。それを解明す る目的で本研究では,次のような質問文が用意された。
問 以下には,教職はこういう職業であると述べた文がいくつかあります。それぞれについて,あ なたはどう思いますか。それぞれについて答えて下さい。
このように質問し,教職は「………」職業である,の「」内に入る項目を用意し,それぞれについ て「非常にそう思う」から「決してそうは思わない」の5段階のなかから1つを選択してもらった。
ここでも「非常にそう思う」の比率に注目してみよう。その結果,次のような順位となっているこ とが明らかにされた。 ()内は「非常にそう思う」の比率である。「体が丈夫でないと勤まらない」
(53.6),「強い使命感を必要とする」(36.4),「旺盛な研究心を必要とする」(33.4),「人の手本と なる人格を求められる」(24.4),「経験をつんでコッを体得してゆく」(24.1),「高度の専門的知識 を有する」(23.9),「生徒の面倒をみるサービス精神のいる」(14.8),「天性の人柄の魅力で勝負す る」(9.4),「教育指導の技術者になる必要がある」(7.1),「自分の考えで仕事を進められる」(6.0),
「あらかじめ定められた規則に従って仕事する」(1.4),「勤勉であれば誰でも勤まる」(1.3)。この 結果からも明らかなように,教職については,かなり体力が必要で,強い使命感と研究心に富むこと が必要であると捉えられている。こうしたそれぞれの項目に対する反応が学年によって異なる可能性 はあるが,ここではその分析は行なわない。
以下ではさらに,これらの12項目を使用して因子分析を行なった。その結果が表2に示されている。
因子分析では第4因子までが抽出された。第1因子は,「経験をつんでコツを体得してゆく」・「教 育指導の技術者になる必要がある」や「天性の人柄の魅力で勝負する」などの因子負荷量が大きいた め〈伝統型〉教職観とよぶことができるであろう。第2因子は,「強い使命感を必要とする」と「人 の手本となれる人格を求められる」といった項目の負荷量が大きいためく精神型〉教職観とよぶこと ができるであろう。第3因子は,「勤勉であれば誰でも勤まる」や「あらかじめ定められた規則に従
って仕事する」の負荷量が大きいため〈官僚型〉教職観とよぶことができるであろう。第4因子については,
因子負荷量が大きい項目は「自分の考えで 表2 因子分析結果(バリマックス回転後の因子負荷量) 仕事を進められる」のみであるため,因子
項 目 鹸旱購享蟹鷹畿奪:〈自律型〉灘
(1)高度の専門的知識を要する ・194・280マ027・190 因子分析も学年ごとに行なうことは可能
〔2)強い使命感を必要とする .031 麺 .029 .121 であるが,ここではその分析は行なわない。
(3}人の手本となれる人格を求められる・234璽 ・040・042 また,もしパネル調査をすることが可能で 14)体が丈夫でないと勤まらない ・273・176「022・107 あれ1よ教職観が実際に教職にっいた後で
(5)勤勉であれば誰でも勤まる ・027「012麺・163 どう変容するかを解明することが可能であ
〔6)自分の考えで仕事を進められる .073 .087 ・123 璽 る。
17)経験をつんでコツを体得してゆく .麺 .045 .121 .203
(8}教育指導の技術者になる必要がある聖2 ・120 ・207 ・044 教職の職業的特性認知 教職の職業的特(9)鵬鶉定められた規則に従つ遡伽蜘2・6性識を調べるために,収入や社会的評価
{1①旺盛な研究心を必要とする ・235・204て115・320 など職業的特性を示すと思われる10項目に
(11)生徒の面倒をみるサービヌ精神のいる幽量・148・020・113 っいてSD法を使用した。具体的には,た 112天性の人柄の魅力で勝負する 塑 ・077・035・006 とえ1鴻収入については「とても多い」か
固有値 1.9090.8060.4310.345 ら「とても少ない」の5段階のなかから1 寄与率(%) 54.7 23.1 12.4 9.9 つを選択してもらった。図1には,それぞ
れの特性について肯定的な回答のうちで,
図1 教職の職業的特性認知 表3 因子分析結果
(バリマックス回転後の因子負荷量)1窺 93・ 954…
@ 瞬1 特性笛描描播享
73D
(1)収 入 =036 ・104「001 .麹 12}社会的評価 .106 心98 」塾 .359 駒 (3)仕事の難易度.璽「134 .047マ027
訂8 14)仕事の強度 .619π213 .034=052 一
377 〔5)仕事の内容 .470 ・342 .071.082
一
161仕事のしかた「077 ・銀℃08 .279
154 (7)社会的意義 .379 ・076 .357π068 一一1β
0 {8)職業の安定度.017 ・051 .366マ025収 社 仕 仕 仕 仕 社 職 昇 職 一
入 会 事 事 事 事 会 業 進 場 (9)昇進の見通し=085 ・241 .058 .151
( 的 の の の の 的 の の の
縦1彗媛賛1 鰭署憲囲気翻藷lll綴el茜邑濾翫 寄欄4L1342143n4
「とても」と「やや」の比率を合計したものが示されている。
その結果では,教職は「社会的意義は大きく」・「職業の安定度は高く」かつ「仕事は難しい」と 認知されている一方では,収入や昇進の見通しは低いと認知されていることが明らかにされる。「職 場の雰囲気」や「仕事のしかた」については中程度の評価をしている。
因子分析の結果が表3に示されている。ここでも第4因子までが抽出された。第1因子は, 「仕事
、 P ▼
の難易度」・「仕事の強度」・「仕事の内容」といった特性の因子負荷量が大きくく仕事内容〉因子 とよぶことができるであろう。第2因子は「仕事のしかた」と「職場の雰囲気」についての負荷量が 大きいためく仕事環境〉因子とよぶことができるであろう。第3因子は「社会的評価」・「社会的意 義」・「職業の安定度」といった職業特性の負荷量が大きいためく社会的評価〉因子とよぶことがで
きるであろう。第4因子はく経済〉因子とよぶことができよう。
教職観の正準相関分析 これまでは, 「良い教師の特性認知」,「教職認知」,「教職の職業的特性 認知」について,単純集計と因子分析を使用して明らかにしてきた。それらの分析によっても学生が いだいている教職観を理解することは可能である。しかしながら,それらの間に関連があることが予 想される。たとえば」良い教師の特性として「広い教養をもっていること」を重視する人は,教職認 知においても教職は「高度の専門的知識を要する」職業と考えているかもしれない。こうしたことを 解明する方法としては相関係数を求める方法もあるが,因子分析の結果からも明らかなように,同時に 複数の変数群が関連していると考えることが適切である。そうした目的に適する分析方法としては正 準相関分析(canonical correlation analysis)がある。以下では簡単に正準相関分析について説明
6)
オておこう。
正準相関分析は重回帰分析の拡張であり,複数の従属変数からなる変数群と独立変数群との相関関 係を明らかにする方法である。正準相関分析では2つの変数群間の相関が最大になるように合成変量 の対が求められる。さらにその相関を最大にする場合の変数の効果の大きさも求められる。数学的に は,以下のように表現される。いま,変数の1次結合によって2組の合成変量を作ると仮定しよう。
U=ΣゴαゴXゴ V=五ブβブYブ (ゴ=1,2,……1, ブ=1,2,………J)
このUとVの間の相関を最大にするような係数ベクトル砺とβブを求めるのが,正準相関分析である。
ここでUとVの相関が正準相関係数とよばれ,αとβは正準係数とよばれるものである。正準相関係 表4 正準相関分析結果(良い教師の特性認知×教職認知) 数の有意性の検定には・
()内は正準相関係数 ウィルクスのラムダ(Wilks・
項 目 (.612)(・507)(・43の(・329)(・294)(・265)C203)∠)が使用される。
専門的な知識をもつこと 皿量遡・247π255・064 ユ36・158 このような予備知識を
社交的なこと 「071 」50rr 139マ112マ005 .113 .180 得た上で,良い教師の特人間の可能性を信じること .104 .128マ087マ321「047「653マ139
子どもに対する関心が高いこと .018.051マ055.069.060「薦マ161性認知と教職認知につい 自分の性格が安定していること .056.160.146.193.103「222.630ての正準相関分析の結果
一
人の心の動きをすばやく感じとること .043.012τ1131086マ058 .115.193についてみてみよう。
事務的能力にすぐれること .061マ004.069.365.159 .158「014 表4にその結果が示さ 人の世話をすすんでやること ・081マ052τ壁2マ171銀 ・195 ・118れているが,ここでは7
性格醐るいこと ・°39・179マ゜47遡一墨「373・187っの正準相関係数が統計
広い教養をもっていること .161マ084マ166 .120τ278一乙337マ352
的に有意なものとして検話しがうまいこと .008マ018τ237 .109マ154「121 .562
絵や歌がうまいこと .093マ061マ073マ064マ342.253マ薦出された。良い教師の特 健康であること .112.731.580.065.121.286胃102性認知のうち第1正準相
}一
ユーモアがあること 「003.169マ183π351τ223 β33「324関係数にきいているもの 一
目上の人に従順なこと ・007π151マ14ユ.遡マ114「169マ376は「専門的な知識をもつ 忍耐強いこと ・065 ・166マ120 ・019 ・256「089マ璽こと」であり,それに対
応して教職認知でも「高高度の専門的知識を要する 麺駆皿 .335マ093マ021 .196 .039
強い使命感を必要とする .008.072π323マ068劃マ199「067 度の専門的知識を要する」
人の手本となれる人格を求あられる .197 .089胃320 .437て173、盟Z.175 がきいている。すなわち,
体が丈夫でないと勤まらない ・189・鐡・463・046マ012・243「072 良い教師になるためには 勤勉であれば誰でも勤まる 「0457035・103・277・287・196・133 専門的知識をもっことが
自分の考えで仕事を進められる マ015雪063 .017「082マ208て310「260 重要だと考えている人は,
経験をつんでコツを体得してゆく .078 .012π039マ102「118「139 .麺 教職についても高度な専教育指導の技術者になる必要がある .106「079て174 .046π239 .姐て272
欝暑め定められ襯則に従つて「・24マ・91・・8・墨「・26マ・99288門的購が腰であると
?キな研究心を必要とする .153.157π012マ146「027「4餌π412 考えているといえる。第 生徒の面倒をみるナビス精神のいる .049.094「4昼ar210.塾.4皿.076 2正準相関係数にきいて 天性の人柄の魅力で勝負する て063・111て367マ129「皿2・158て220 いるのは,良い教師にな るための条件としては「専 門的な知識をもつこと」と「健康であること」であり,それに対応する教職認知では「高度の専門的 知識を要する」と「体が丈夫でないと勤まらない」である。同様に第3正準相関係数にきいているの は,「人の世話をすすんでやること」・「健康であること」と「体が丈夫でないと勤まらない」・「生 徒の面倒をみるサービス精神のいる」である。第4正準相関係数にきいているのは「目上の人に従順 なこと」と「あらかじめ定められた規則に従って仕事する」である。第5正準相関係数には「人の世 話をすすんでやること」・「性格が明るいこと」と「強い使命感を必要とする」・「生徒の面倒をみ
るサービス精神のいる」・「天性の人柄の魅力で勝負する」である。第6と7の正準相関係数につい ても同様に解釈できる。
分析では7つの正準相関係数が検出されたが,特に第3正準相関係数までの値が大きい。したがっ て,良い教師になるためには「専門的知識」と「体力・健康」・「性格」といった要因が重要である
( 表5 正準相関分析結果ヌい教師の特性認知×職業特性認知) と航そうしたことを重視する人は激
()内は正準相関係数 職についても,同様な点を重視していると 項 目 (・381)(・29①G237)(・ユ97)いえる。
専門的な知識をもつこと 「232「053・157・163 表5には,良い教師の特性認知と教職の
社交的なこと ,058「198 .164マ301 職業特性認知の正準相関分析の結果が示さ
人間の可能性を信じること 「鉋「175「277 .138
@ れているが,ここでは第4正準相関係数ま子どもに対する関心が高いこと 「281 .001 .114「179
自分の性格が安定していること 「138.149π208 距4 でが統計的に有意なものとして検出された。
人の心の動きをすばやく感じとること.101一253.107.074 第1正準相関係数に対してきいているもの 事務的能力にすぐれること ・082.4豊「295「086 としては,「人間の可能性を信じること」
人の世話をすすんでやること マ238「193「4鉦r鎚 と「仕事の内容」・「社会的意義」・「職 性格が明るいこと 「268・185・035「134 業の安定度」であることが明らかにされる。
広い教養をもっていること .0001186 .亜「038
@ したがって,良い教師になるための条件と 話しがうまいこと 「084 .261 .亜.279
@ して「人間の可能性を信じること」を重視絵や歌がうまいこと 「158 .264「184 .105
健康であること 「130「272π073マ108 する人は・教職の職業的特1生として・仕事 ユーモアがあること .021「142.314.073 の内容は面白く,社会的意義は大きく,職 目上の人に従順なこと ・133・塁L・137「313 業の安定度は高いものとして教職をとらえ 忍耐強いこと 「211・080=047・081 ているといえよう。第2正準相関係数以下
も同様な解釈が可能であるが,その数値が収 入 「089π105「200 .052
社会的評価 .018 .064.166.080 小さいため・ここではこれ以上の説明は行 仕事の難易度 「131マ257、007π294 なわない。
仕事の強度 「327.194.159 .鎚 表6には,教職認知と職業特性認知の正 仕事の内容 謹Ω4マ301マ鎚マ251 準相関分析結果が示されている。ここでも 仕事のしかた マ108・005血4「坐垂 統計的に有意なものとして第4正準相関係
社会的意義 π393π073 .082 .000
職業の安定度 マ誘 .036.455.339 数までが検出された。第1相関係数にきい 昇進の見通し τ頭.842「痂 .027 ているのは・教職認知では「強い使命感を
一一
職場の雰囲気 マ035.221.164「442 必要とする」・「体が丈夫でないと勤まら ない」・「あらかじめ定められた規則に従
表6 正準相関分析結果 って仕事する」であり,職業認知では「仕(教職認知×職業特性認知)
()内は正準相関係数 事の内容」・「社会的意義」である。ここ 項 目 (.469)(.342)(.231)(.208) で,「あらかじめ定められた規則に従って 高度の専門的知識を要する .119τ163翅 .100 仕事する」と「仕事の内容」・「社会的意 強い使命感を必要とする ・4垣・125、070π212 義」の相関係数はマイナスである。第2正 人の手本となれる人格を求められる・020麺4・042遡 準相関係数にきいているのは,教職認知で 体が丈夫でないと勤まらない 亜マ215鍵 ・366 は「人の手本となれる人格を求められる」.
勤勉であれば誰でも勤まる マ254 .170 .272 .282
「自分の考えで仕事を進められる」であり,自分の考えで仕事を進められる .085 .姻噴99 .翅
経験をつんでコツを体得してゆく .218「212.043π145 職業特性認知では「仕事のしかた」である。
教育指導の技術者になる必要があるマ053.264.327「164 以上の正準相関分析の結果から,教師に
態銭碇められ襯則に従って一翅側α6マ32・ついては「専門購」・「体力・懸」・
旺盛な研究心を必要とする ・204「147マ286・021 「性格」といった側面を重視していること
生徒の面倒をみるサービス精神のいる.195π124 .059マ173 が明らかにされる。特に,それらのなかで
天性の人柄の魅力で勝負する。 τ146マ060 .202 .鎚& も「人間の可能性を信じること」といった収 入 π042 .060 .096 .369
精神的側面が重要であるといえる。こうし社会的評価 マ050「040「墨9⊥「332
仕事の難易度 .205マ074.275.329 た点を重視することが教職に対する魅力を 仕事の強度 .324マ068 .846 .347 増加させているといえる。
仕事の内容 .墨マ145「鎚て123一
仕事のしかた .284 .鎚 .051 .皿生
社会的意義 .塑「006「075マ必 要約と結論 職業の安定度 .106「100 .214 .112
本研究は教育学部の学生がいだいている昇進の見通し 一:156 ,046 .146「041
職場の雰囲気 「041.316.238マ537 教職観を解明することを目的とするもので
} あった。教職観を構成するものとしては,
本研究では「良い教師の特性認知」。「教職認知」・「教職の職業特性認知」がとりあげられた。分 析の結果,次のようなことが明らかにされた。
(1)良い教師の特性認知として重視されているものとしては,「子どもに対する関心が高いこと」・
「健康であること」・「人間の可能性を信じること」などであることが明らかにされた。因子分析の結 果では,〈対人因子〉〈情緒因子〉〈事務因子〉〈知識因子〉があることが明らかにされた。
②教職認知については,「体が丈夫でないと勤まらない」や「強い使命感を必要とする」ものとし
てとらえられていることが明らかにされた。因子分析では,〈伝統型〉〈精神型〉〈官僚型〉<自律 型〉の教職認知が存在していることが明らかにされた。
③教職の職業的特性認知については,社会的意義は大きく,安定しており,仕事は難しいと考え ていることが明らかにされた。因子分析では,〈仕事内容〉〈仕事環境〉〈社会的評価〉〈経済〉因 子が存在していることが明らかにされた。
注
1)最近の教師論としては,岩下新太郎『現代の教師』(第一法規,1982)を参照せよ。教員養成論としては,
次のものがよくまとまっている。名越清家「教師はどうつくられるか」天野郁男・松本良夫編『学校を問い直 す』(有信堂,1985)。
2)この点については,橋爪貞雄「教員養成カリキュラムをめぐる争点」 『名城大学教職課程部紀要』17,1985 を参照せよ。
3)たとえば,次のような研究は興味ぶかい。森孝子「学生の教職に対する態度調査」『国立音楽大学研究紀要』
17,1983。こうした研究が今後行なわれる必要があると思われる。
4)小島秀夫・篠原清夫「大学生の職業意識形成過程の研究」 『茨城大学教育学部紀要(教育科学)』34,1985。
5)すなわち,教師の役割不適応は教師に内在するものであると考えられよう。
6)この分析法については,Mark S. Levine, Cαηoη cαZ AηαZッs語απd翫c or CoπLpαr soπ,(Sage Publications,1977), Beverly Hills.を参照せよ。