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口腔インプラント体による

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(1)

1

口腔インプラント体による

MRI

金属アーチファクトの検討

Study of metal artifacts on magnetic resonance imaging caused by dental implants

日本大学大学院松戸歯学研究科歯学専攻 福田 大河

(指導 金田 隆 教授)

(2)

2 Abstract

Dental materials can produce metal artifacts during magnetic resonance imaging (MRI)

procedures and can be problematic for clinical practice. Recently, the use of MRI for disease

diagnosis in patients with dental implants has increased. Concurrently, the range of sizes of

dental implants has also expanded in clinical practice. However, there are few reports

comparing the differences between metal artifacts in MR images owing to dental implants of

varying size and especially investigating metal artifact reduction in Diffusion-weighted

imaging (DWI). The purpose of this study was to investigate metal artifacts caused by

dental implants of various sizes (3.5 mm×8.0 mm, 3.5 mm×9.5 mm, 3.5 mm×11.0 mm,

4.5 mm×8.0 mm), and to investigate techniques for reducing metal artifacts caused by

dental implants in DWI in a phantom.

The phantom used in this study is a hollow cylinder with an outer diameter of 20 cm

and a removable rod 1.0 cm in diameter along the central axis of the phantom. MR

imaging was performed with a 1.5 T MRI machine (Philips Co. Intera Achieva 1.5 T),

using a SENSE head 8ch coil. Imaging conditions included spin echo (SE) T1, Turbo SE

(TSE) T2, short tau inversion recovery (STIR), and diffusion weighted imaging (DWI).

The TR/TE remained constant during DWI and the b-value, field of view (FOV),

rectangular field of view (RFOV), SENSE factor, frequency direction, and phase

(3)

3

direction were changed. ImageJ was used to measure changes in the gray values on

coronal images and showed changes up to 30% depending on the imaging conditions.

For all sizes of dental implants studied, the metal artifacts of on SE T1, TSE T2, and

STIR images were similar. DW images had the largest (in dimension) metal artifacts.

Results of this study decreased signal intensity was observed with a FOV from 100 to

250 mm. However, increased signal intensity was observed with a FOV that exceeded

300 mm. At the lowest RFOV the signal intensity was 50% and correspondingly

increased to 100%. A decrease in the SENSE factor resulted in signal intensity changes

from 1.0 to 3.0. Changes in the scan matrix and scan percentage increased the signal

intensity from 64 to 256.

SE T1, TSE T2, and STIR imaging conditions produced slight metal artifacts of similar

size and intensity, regardless of dental implant size. DWI techniques resulted in the

largest metal artifacts compared with SE T1, TSE T2, and STIR techniques. The most

effective imaging parameters to reduce metal artifacts due to dental implants in DWI

were: 1) FOV and RFOV set as small as possible while still ensuring coverage of the

imaging area, 2) increasing the SENSE factor as much as possible, and 3) reducing the

scan matrix and scan percentage as much as possible.

(4)

4

要 旨

口腔内の金属修復物のアーチファクトによる画像診断への障害が臨床上問題となっている。近

年では

,

日常歯科臨床においてインプラント治療が普及するにつれ

,

口腔インプラント治療が

増加し

,

インプラント体を埋入した患者の

MR

画像を見る機会が多くなってきた。それと共に

,

顎骨の骨量や骨質などに応じ,直径や長さが異なるインプラント体を使用するインプラント治療

が増えてきた。しかしながら

,

直径や長さが異なる大きさのインプラント体のアーチファクトの

比較した報告はあまりみられず

,

特にインプラント体の拡散強調像(

DWI

)への影響を検討した

報告は未だ乏しい。

本研究の目的は

, 1.5 T

MRI

装置を用いてアーチファクトの基礎的なファントーム実験を行

, 1)

口腔インプラント体の大きさの違いによる

MRI

金属アーチファクトの比較

, 2) DWI

にお

けるインプラントのアーチファクト低減の検討を行うことである。

ファントームは

,

直径

20.0 cm

の円柱体のアクリル容器に入れたものを使用し

,

直径

1.0 cm

の円柱棒の先が円柱体中央に位置するように設定した。

MR

装置は

Philips

社製の

Intera

Achieva 1.5 T

,

コイルは

SENSE-Head-8 coil

を使用した。撮像法は

, SE T1

強調像

, TSE T2

強調像

, STIR

,

および

DWI

であり

, DWI

は繰り返し時間

(TR)

とエコー時間

(TE)

を一定

とし

, b

, FOV, RFOV, SENSE factor,

周波数エンコード方向

,

および位相エンコード方向を

それぞれ変化させて撮像した。画像の評価は

, ImageJ

を使用し

,

得られた信号強度の平均に対

して

30

%以下を示した値を計測し

,

アーチファクトの大きさの変化率の比較検討を行った。

(5)

5

インプラント体の大きさおよび各種撮像シークエンスについては

, SE T1

強調像

, TSE T2

強調

,

および

STIR

像は

,

インプラント体の直径

,

長さいずれを変化させてもアーチファクトの影

響は少なく

, DWI

は直径が太くて長さが短いインプラント体でアーチファクトの影響が少なか

った。

DWI

の検討については

, b

値はアーチファクトの大きさの変化率に影響がなく

, FOV

の変

化は

100 ~ 250 mm

にかけてアーチファクトの大きさの変化率の減少が見られたが

, 300 mm

最大値となり

350 mm

ではそれより減少した。

RFOV

50 ~ 90 %

まではアーチファクトの大

きさの変化率が見られず

, 100 %

時で上昇が見られた。

SENSE factor

の変化は大きくなるにつ

,

アーチファクトの大きさの変化率の減少が見られた。周波数エンコード方向

,

および位相エ

ンコード方向は画素数が大きくなるにつれ

,

アーチファクトの大きさの変化率の上昇が見られ

た。

以上の検討結果より

, SE T1

強調像

, TSE T2

強調像

,

および

STIR

はインプラント体の直径

および長さを変化させても

,

アーチファクトの大きさの変動はほとんど見られない。

DWI

,

他のシークエンスと比較して大きなアーチファクトが見られたが

,

直径が太く

,

長さが短いイ

ンプラント体でアーチファクトの影響が少ない。

DWI

の検討については

, FOV

は撮像領域を確

保した上で可能な限り小さくする。

RFOV

は位相エンコード方向に留意し撮像領域を確保した

上で可能な限り小さくする。

SENSE factor

は画質に影響しない程度で可能な限り大きくする。

周波数エンコード方向

,

および位相エンコード方向は画質に影響しない程度で可能な限り小さ

くする。これらを考慮することでアーチファクトの影響を少なくできることが示唆された。

(6)

6

Keywords Magnetic resonance imaging Metal artifact Diffusion weighted imaging

Dental implants

MRI

金属アーチファクト 拡散強調像 口腔インプラント体

(7)

7

緒 言

磁気共鳴撮像法(

Magnetic resonance imaging ;

以下

, MRI

検査)は

,

放射線被曝を伴うこと

なく任意の断面像が得られることから

,

日常臨床において重要な画像検査法として用いられて

いる。その後

,

近年に至るまでに頭頸部領域および顎口腔領域では

,

顎骨骨髄変化や嚢胞および

腫瘍の鑑別診断,また悪性腫瘍の顎骨浸潤の診断および治療効果判定などに使用されている1-8

しかしながら

,

同時に

MRI

検査にて口腔内の金属によるメタルアーチファクト

(

以下

,

アーチ

ファクト

)

による画像診断への障害が臨床上問題となってきている 9-18)。撮像シークエンスは,

主に

spin-echo (

以下

, SE)

法による

T1

強調像

, T2

強調像

, short tau inversion recovery (

以下

,

STIR)

像が用いられているが

,

近年

, echo planar imaging (

以下,

EPI)

法で撮像される

MRI

散強調像

(Diffusion weighted imaging

以下

, DWI)

が臨床で頻用されている5.7.8.16)

DWI

,

MRI

の水分子の拡散運動を画像化した撮像法である。通常用いられる

SE

法のパルス系列では

拡散による信号の減衰は無視できるが

,

大きな傾斜磁場を短時間印加し

,

一定時間後に反転傾

斜磁場を印加することで

,

拡散による位置移動で位相再収束が行なわれなかった水分子が低信

号となる。こうして得られた画像が

DWI

である。

DWI

,

エックス線

CT

で描出できない超急

性期または急性期の脳梗塞診断に非常に有用で

,

救急医療で広く用いられている。また脳腫瘍の

診断にも有用であることから

, DWI

は近年においては

MRI

検査の必須なシークエンスとなって

いる16)。これまでに

,

アーチファクトは歯科用矯正装置を中心とした材料中に含まれる強磁性体

(

主に

Fe, Co, Ni)

の含有量によって影響範囲が異なることや

,

撮像シークエンスにおいても大

(8)

8

きさが異なることが報告されている9-18)。これらの報告に加え

,

日常歯科臨床においてインプラ

ント治療が普及するにつれ

,

口腔インプラント体(以下インプラント体)を埋入した患者の

MR

画像を見る機会が多くなってきた19-21)。しかしながら

,

これらの報告は日常臨床にて頻用されて

いる単一のインプラント体の報告であり

,

直径や長さが異なる大きさのインプラント体のアー

チファクトの比較

,

特にアーチファクトの影響が大きく見られる

DWI

への影響を検討した報告

はあまりみられない。

本研究の目的は

, 1.5 T

MRI

装置を用いてアーチファクトの基礎的なファントーム実験を行

, 1)

口腔インプラント体の大きさの違いによる

MRI

金属アーチファクトの比較

, 2) DWI

にお

けるインプラントのアーチファクト低減の検討を行うことである。

試料および方法

本実験に使用したファントームは

,

直径

20.0 cm,

高さ

30.0 cm

の中空の円柱体であり

,

柱体中央に直径

1.0 cm

の円柱棒の先が位置するように設定した。外壁および円柱棒はアクリ

ル板であり

,

ファントームの内容物は

MRI

像において体脂肪と同等の信号強度となるベビー

オイル

(

ジョンソンエンドジョンソン株式会社

,

東京

)

を用いた

(Figure.

a)

本実験では円

柱棒の先端表面周囲にインプラント体の長さの違いにおける信号強度変化の検討のため

,

ンプラント体の直径×長さ

(mm)

が各々

, 3.5

×

8.0, 3.5

×

9.5,

および

3.5

×

11.0

100 %

チタン製のインプラント体

(

デンツプライ三金株式会社

,

東京

),

インプラント体の直径の違

(9)

9

いにおける信号強度変化の検討のため

,

インプラント体の直径×長さ

(mm)

が各々

, 3.5

×

8.0,

および

4.5

×

8.0,

100 %

純チタン製のインプラント体をそれぞれファントーム内の円

柱棒の先端に固定した

(Figure. 1b)

。山城の報告 12)において静磁場方向に強くアーチファク

トが出現するとされ

,

静磁場方向と直交する方向で撮像することがアーチファクトの軽減に

有用であるとされている。よって本検討はこの報告をふまえ

,

撮像方向はインプラント体の長

(

長軸

)

に対して水平な体軸横断像と平行となるように設定した。また

MRI

撮像の際には

磁場が均一となるようにファントームの位置を

MRI

装置のガントリ中央に位置付けした。

使用した

MRI

装置は

Philips

社製

Intera Achieva 1.5 T

,

使用コイルは

SENSE head 8ch

coil

を使用した。 撮像法は

, 1)

口腔インプラント体の大きさの違いによる

MRI

アーチファク

トの比較については

, SE

T1

強調像

, Turbo SE

法(以下

, TSE

T2

強調像

, STIR

, DWI

とした。これらの 撮像条件は

,

日常臨床で有用な検討にするため,臨床で頻用される可能性の高

い本学付属病院放射線科で通常頭頸部領域に使用している撮像条件を用いた

(Table 1)

2) DWI

におけるインプラント体のアーチファクト低減の検討については

,

繰り返し時間

(TR)

とエコ

ー時間

(TE), 3000/80 (TR/TE), b

1000 sec/mm

2

, field of view (

以下

FOV) 250 mm,

位相エ

ンコード方向の

FOV

を示す

rectangular field of view (RFOV) = 100 %, Sensitivity encoding

(SENSE) factor = 2.0,

マトリックス数

(

周波数エンコード方向×位相エンコード方向

)

128

×

128

を基本とし

, b

値のみを

100, 500, 1000, 1500 sec/mm

2 と変化させて撮像を行った。ま

た,

FOV

については

100, 150, 200, 250, 300, 350 mm

RFOV

については

FOV 250 mm

(10)

10

対して

50, 60, 70, 80, 90, 100 %

SENSE factor

については

1.0, 1.5, 2.0, 2.5, 3.0

,周波数方向

の画素数については

64, 128, 192, 256

,位相方向の画素数については

64, 128, 192, 256

と変

化させた撮像もそれぞれ行った。

画像の評価は

, ImageJ (Wayne Rasband

アメリカ国立衛生研究所

, ver.1.50f )

を用いた22)

アーチファクトの計測は

,

低信号域が最大の大きさを示すインプラント体と上部構造との連結

部相当を使用した。

ImageJ

に読み込んだ画像を

Analyze (Plot Profile)

を使用し

,

アーチファ

クトの最大距離を含むファントーム外形部相当の両端(境界)を設定し

(Figure.2 :

直線

),

その

領域

(

直線

ROI

全体

)

ImageJ

で測定した信号強度を求めた後

,

直線

ROI

全体の信号強度の

平均値を算出した。その後

,

得られた信号強度の平均に対して

30

%以下を示した値に基づき23)

,

アーチファクトの大きさの測定を行った。アーチファクトの大きさを求める計算式は「

(

得られ

た信号強度の平均値-得られた信号強度の最小値

)

×

0.3

得られた信号強度の最小値」とし

た。そして

,

各々のアーチファクトの大きさの変化率を求める計算式は下記式

(

日本磁気共鳴医

学会

,

安全性評価委員会

)

に従い23)

,

比較検討を行った。

∆S | |

100 %

∆S ∶

アーチファクトの大きさの変化率

S

o

:

インプラント体のアーチファクトの大きさ

S ∶

インプラント体の元の大きさ 直径

(11)

11

口腔インプラント体の大きさの違いによる

MRI

アーチファクトの比較については

, SE T1

調像

, TSE T2

強調像

, STIR

,

および

DWI

上で

,

インプラント体のアーチファクトの大きさを

各々

6

回ずつ計測した。そして

,

アーチファクトの大きさの変化率を算出し

,

その平均値を比較

した。また得られた平均値の精度の確認として変動係数(標準偏差/平均

, coefficient of

variation

以下

CV

)を求め

, CV < 0.05

をもって測定精度に問題はないと考えた。

DWI

におけ

るインプラント体のアーチファクト低減の検討については

,

得られた計測値に対して

Pearson

の相関係数を用いてアーチファクトの大きさの変化率と各々の撮像条件の間の相関係数を求め

,

有意水準

(p) 0.05

以下をもって確認した後

,

有意であったものに関して相関係数を示すことと

した。

結 果

1

.インプラント体の大きさおよび各種撮像シークエンスについて

インプラント体の大きさを変化させた各種撮像シークエンスのアーチファクトの大きさの変

化率についての結果を

Figure. 3

に示す。

SE T1

強調像

, TSE T2

強調像はインプラント体の直

3.5 mm

に対して長さを変化させても アーチファクトの大きさの変化率は

40.0 % , STIR

12.0 %

で変化しなかった。また

,

インプラント体の長さ

8.0 mm

に対して直径

4.5 mm

の場合

, SE T1

強調像

, TSE T2

強調像

,

では

52.4 %, STIR

像では

8.9 %

であった。

DWI

の基本条件で

はインプラント体の直径

3.5 mm

に対して長さを変化させたところ

,

アーチファクトの大きさ

の変化率はインプラント体の直径×長さ

(mm)

, 3.5

×

8.0, 3.5

×

9.5, 3.5

×

11.0,

の順で

345.7 %,

(12)

12

401.4 %, 457.1 %,

でインプラント体が長くなるにつれアーチファクトの大きさの変化率が大き

く見られた。また

,

インプラント体の長さ

8.0 mm

に対して直径

4.5 mm

の場合は

, 246.7 %

で直

3.5 mm

と比較してアーチファクトの大きさの変化率が小さく見られた。

CV

はすべての撮像

シークエンス

,

およびすべてのインプラント体の直径×長さにおいて

0.05

以下の精度が示され

,

測定精度に問題はみられなかった。

2. DWI

におけるインプラント体のアーチファクト低減の検討について

撮像条件を変化させたアーチファクトの大きさの変化率について測定した結果を

Figure 4 ~

9

に示す。

b

値は

,

値を変化させてもアーチファクトの大きさの変化率は変化せず

,

アーチファ

クトの大きさの変化率と

b

値の間に相関は見られなかった

(Figure. 4)

FOV

, 100 ~ 250 mm

にかけてアーチファクトの大きさの変化率の減少が見られ

, 300 mm

で最大値となり

350 mm

ではそれより減少した。また

,

アーチファクトの大きさの変化率と

FOV

の間に有意に高い相関

(r)

が見られた

(Figure. 5)

RFOV

, 50 ~ 90 %

まではアーチファクトの大きさの変化率は

変化せず

, 100 %

時で上昇が見られた。しかしながら

,

アーチファクトの大きさの変化率と

RFOV

の間に有意性はみられなかった

(Figure. 6)

SENSE factor

は値が増えるにつれアーチ

ファクトの大きさの変化率の減少が見られ

,

アーチファクトの大きさの変化率と

SENSE factor

の間に有意に高い相関

(r)

が見られた

(Figure. 7)

。周波数エンコード方向は

,

画素数が大きく

なるにつれアーチファクトの大きさの変化率の上昇が見られ

,

アーチファクトの大きさの変化

率と周波数エンコード方向の間に有意に高い相関

(r)

が見られた

(Figure. 8)

。位相エンコード

(13)

13

方向も画素数が大きくなるにつれアーチファクトの大きさの変化率の上昇が見られ

,

アーチフ

ァクトの大きさの変化率と位相エンコード方向の間に有意に高い相関

(r)

が見られた

(Figure.

9)

考 察

本実験より

,

インプラント体の大きさおよび各種撮像シークエンスについては,

SE T1

強調像

,

TSE T2

強調像

,

および

STIR

像は

,

インプラント体の直径

,

長さいずれを変化させてもアーチ

ファクトの影響は少なく

, DWI

は直径が太くて長さが短いインプラント体でアーチファクトの

影響が少なかった。

DWI

におけるインプラント体のアーチファクト低減の検討については

, b

はアーチファクトの大きさの変化率に影響がなく

, FOV

の変化は

100 ~ 250 mm

にかけてアー

チファクトの大きさの変化率の減少が見られたが

, 300 mm

で最大値となり

350 mm

ではそれ

より減少した。

RFOV

50 ~ 90 %

まではアーチファクトの大きさの変化率が見られず

, 100 %

時で上昇が見られた。

SENSE factor

の変化は大きくなるにつれ

,

アーチファクトの大きさの変

化率の減少が見られた。周波数エンコード方向

,

および位相エンコード方向は画素数が大きくな

るにつれ

,

アーチファクトの大きさの変化率の上昇が見られた。よって

, b

値以外はアーチファ

クトの大きさの変化率の影響を受けることが判明した。

1.

インプラント体の大きさの違いについて

SE T1

強調像

, TSE T2

強調像

,

および

STIR

はインプラント体の長さを変化させてもアー

(14)

14

チファクトの大きさの変化率は一定であったが

,

インプラント体の直径を変化させたところ

,

径が長いいほうでアーチファクトの大きさの変化率が大きく見られた。

DWI

は直径が太く

,

さが短いインプラント体でアーチファクトの大きさの変化率が小さく見られた。体軸横断像の

SE

法では静磁場方向と

MR

画像の情報を得る読み出し

(read out)

方向が同方向であり

,

アーチ

ファクトの形態は静磁場方向と

read out

方向の影響が強いとされている11.12.14)。その為

,

今回

の実験では低信号域が最大の大きさを示すインプラント体と上部構造との連結部相当を使用し

た画像を用いたことから

,

インプラント体の長さにはアーチファクトの大きさに影響が見られ

,

インプラント体の直径が太いほうでわずかながら影響が見られたためと考えられた。

DWI

,

傾斜磁場を用いることで

,

観測する場所にて異なる強度の磁場をかけることが可能となる。

各々の信号に空間位置情報が得られ

,

立体的な観測ができる。その為

,

インプラント体が長い方

では傾斜磁場の影響によりより多くの

MR

信号を得られることからアーチファクトの大きさの

変化率が大きくなったと考えられた。また

,

直径が太く

,

長さが短いインプラント体でアーチフ

ァクトの大きさの変化率が最も小さく見られた理由は

,

傾斜磁場による

MR

信号の影響が少な

,

インプラント体の直径にはほとんど影響が得られなかったことでアーチファクトの大きさ

の変化率の比較検討を示す式に代入した際

,

インプラント体の元の大きさを基準

(3.5 mm, 4.5

mm)

で比較したところ小さく見られたためと考えられた。

2.

各種撮像シークエンスの検討について

インプラント体は

, DWI, SE T1

強調像および

TSE T2

強調像

, STIR

の順でアーチファク

(15)

15

トの大きさの変化率が大きくみられた。

SE

法は

, 90

°の励起パルスと

180

°パルスの収束パル

スの

2

つのラジオ周波数

(

以下

, RF)

を使用して

, MR

信号を得る。局所的に磁場が不均一とな

る位相方向の乱れは

180

°パルスを使用することにより位相方向の差を揃えることができる。そ

の為

,

磁場の不均一によるアーチファクトの影響が少ないと考えられた。

EPI

法は

,

傾斜磁場の

強化により臨床に用いられるようになった撮像法であり

,

撮像時間は

SE

法と比較して短いが

,

傾斜磁場をかけて多数の

MR

信号を得ることから

,

位相方向の差が蓄積され

,

アーチファクトが

大きくなる11.14.18)。以上の理由から

, SE T1

強調像と

DWI

では

DWI

でアーチファクトが大きく

見られたと考えられた。

SE T1

強調像と

TSE T2

強調像の結果は

,

アーチファクトに大きな差が

ないとの報告があり11.18)

,

本実験でも同様な結果が得られた。

STIR

像の結果は

, STIR

法でアー

チファクトが

SE

法よりも大きく出現したとの報告があるが18)

,

本実験では

STIR

像は

SE T1

強調像よりもアーチファクトが小さく見られた。これは

,

撮像法によるものではなく

,

浅野ら18)

で行なった撮像条件よりもマトリックス数が小さかったためと考えられた。

3. DWI

におけるアーチファクト低減の検討について

(b

)

DWI

では

,

撮像時に1対の傾斜磁場

(motion probing gradient :

以下

MPG)

を加える。

MPG

を印加している時間に

,

拡散により移動したプロトンのスピンは位相方向に分散を生じる。

その分散の程度により

,

信号低下の程度をきたす。つまり

,

移動距離が大きく

,

分散が大きい場

合には

,

信号が強く低下し

,

移動距離が小さく

,

分散が小さい場合には

,

信号低下が乏しくなる。

つまり

, b

値は拡散の強調程度を表す。

b

値は

,

磁気回転比を

γ (MHz) , MPG

の大きさを

G

(16)

16

(mT/m), MPG

の印加時間を

δ (msec),

1対の傾斜磁場のそれぞれの始まりの時間を Δ

(msec) ,

とすると

, b

値は以下の式で表される。

b =γ

2

Gx

2

δ

2

δ/3)

(s/mm

2

)

臨床上において

, b

値が増加すれば

T2

,

および毛細血管流の影響が小さくなり

,

拡散強調

の程度が強くなる。一方で

, b

値が減少すれば

T2

,

および毛細血管流の影響が大きくなり

,

散強調の程度が弱くなる。

b

値を変えるとシーケンスの内部では

MPG

の大きさ

,

印加時間

,

加間隔が変化する24)

b

値は三つの因子の積で決定され

,

アーチファクトの大きさの変化率も変

化することが予測された。しかしながら

,

今回の実験ではアーチファクトの大きさの変化は確認

できなかった。これは

,

アーチファクトの大きさの変化率の変化による画像の歪みの影響が

MPG

の印加時間

δ (msec)

より小さいためと考えられる。アーチファクトの大きさに影響を及

ぼす位相エンコード方向を変化させてないためアーチファクトは

b

値の影響を受けなかった

と考えられる。

4. DWI

におけるインプラント体のアーチファクト低減の検討について

(FOV)

FOV

,

アーチファクトの大きさの変化率が

100 ~ 250 mm

にかけてアーチファクトの大き

さの変化率に減少傾向が見られ

, 300 mm

で最大値となり

350 mm

ではそれより減少した。

FOV

MRI

CT

などの撮像において

,

画像化するためのデータを収集する範囲のことである。

MRI

においては

, FOV

を小さくする

(

絞る

)

と空間分解能は向上するが

S / N (S:

関心領域の信号強

, N:

その画像のバックグランドノイズ

)

比が低下し

, FOV

を大きくする

(

広げる

)

と空間分解

(17)

17

能は低下するが

S / N

比が向上する11.24)。今回の実験では

, FOV

100 ~ 250 mm

にかけて信号

強度の減少が見られたが

, FOV

が撮影対象よりも小さい場合

,

撮像領域外の像が画像内に入り

込み

,

画像上にて折り返したような像として現れる折り返しアーチファクトが描出される。今回

の実験では

,

撮像領域外のファントームの外形がインプラント体付近に入り込んだことで折り

返しアーチファクトが出現したと考える。折り返しアーチファクトは

,

撮像領域外からの折り返

しの原因となる信号を減少させる方法で抑制が可能である。従って

,

折り返しアーチファクトが

起こらない最低限の撮像範囲内の大きさの確保

(FOV)

は必要であると考える。

5. DWI

におけるアーチファクト低減の検討について

(RFOV)

RFOV

50 ~ 90 %

にかけてアーチファクトの大きさの変化率はほぼ一定であり

, 100 %

時で

上昇が見られた。

RFOV

は位相エンコード方向の

FOV

を減少させることで

,

空間分解能を維持

しながら撮像時間の短縮を行う技術である。例えば

, RFOV

100

%から

50

%まで下げた場合

,

半分の位相エンコーディング数しか測定しないため

,

撮像時間は

1/2

となるが

,

空間分解能は低

下しない。従って

, RFOV

の値が小さくなるにつれて

,

位相エンコード方向の蓄積が減るため画

像全体の歪みが小さくなり

,

アーチファクトが小さくなると考えられる。

6. DWI

におけるアーチファクト低減の検討について

(SENSE factor)

SENSE factor

におけるアーチファクトの大きさの変化率は

,

値が大きくなるにつれ減少が見

られた。

SENSE

,

シナジーコイルを構成するコイル素子各々の感度分布を信号のエンコード

に用いる事により

k

空間のサンプリング数を減らし

,

撮像時間を短縮する方法である。

SENSE

(18)

18

法を用いた場合

,

サンプリングラインの間隔を

2

倍に広げることでラインの数が半分に減少し

,

撮像時間が

1/2

に短縮する。通常の画像構成法では

FOV

1/2

となり折り返しアーチファクト

を生じるが

, SENSE

法はシナジーコイルを用いた信号のエンコードによって折り返しアーチフ

ァクトを元に戻すことができる。

SENSE

法は主に撮像時間の短縮や空間分解能の向上に用いら

れてきたが

, single shot EPI (

以下

SS-EPI)

の磁化率アーチファクト低減に用いることもできる。

磁化率アーチファクトが低減する理由は

k

空間のサンプリング時間が短くなるからである。

SS-EPI

1

回の

RF

励起後

, k

空間のすべてのラインに対してサンプリングを行う手法である。

よって磁化率の違いがある場合

,

位相エンコード方向の位相シフトが蓄積されて磁化率アーチ

ファクトが生じる。今回の実験において

,

アーチファクトの変化は

SENSE factor

が大きくなる

につれ減少がみられた。これは

, k

空間のサンプリング時間の短縮による磁化率の差から位相シ

フトの蓄積が減少した結果と考えられる。

7. DWI

におけるアーチファクト低減の検討について

(

周波数エンコード方向

,

および位相エン

コード方向

)

周波数エンコード方向

,

および位相エンコード方向におけるアーチファクトの大きさの変化

率は

,

マトリックス数が大きくなるにつれ上昇が見られた。

Scan matrix

は周波数エンコード方

向のマトリックス数を設定するパラメータであり

, 64 ~ 1024

まで

16

ステップで変更することが

可能である。一方で

Scan percentage

は周波数エンコード方向に対する位相エンコーディング

方向のマトリックス数の割合を示す。この値を下げることで撮像時間が短縮すると同時に

,

空間

(19)

19

分解能が低下する。 通常

, MRI

画像の縦方向と横方向は周波数エンコード方向と位相エンコー

ド方向からなる11)

MRI

画像の縦方向と横方向どちらかを周波数エンコード方向および位相エ

ンコード方向にするかは

MRI

装置において撮像時に任意に決定できる。位相エンコード方向で

は位相の違いでスライスの位置情報を認識する。それに対して周波数エンコード方向では周波数

の違いでスライス内の位置情報を認識する。位相エンコード方向にはアーチファクトとして

aliasing artifacts

motion artifacts

が生じる一方

,

周波数エンコード方向には

SE

法の場合

chemical shift artifacts

が生じるとされている。本実験では

,

周波数エンコード方向の歪みの蓄

積が位相エンコード方向にも蓄積されていくため

,

マトリックス数が大きくなるにつれてアー

チファクトの大きさの変化率の上昇が見られたと考える。

結 語

口腔インプラント体の大きさの違いによるアーチファクトの比較については,

SE T1

強調像

,

TSE T2

強調像

,

および

STIR

像ではインプラント体の直径および長さを変化させても

,

アーチ

ファクトの変動はほとんど見られなかった。

DWI

におけるインプラント体のアーチファクトの

低減には

, 1. FOV

は撮像領域を確保した上で可能な限り小さくする。

2. RFOV

は位相エンコー

ド方向に留意し撮像領域を確保した上で可能な限り小さくする。

3. SENSE factor

は画質に影

響しない程度で可能な限り大きくする。

4.

周波数エンコード方向

,

および位相エンコード方向

は画質に影響しない程度で可能な限り小さくする。これらを考慮することで金属アーチファクト

(20)

20

の影響が少なくできることが示唆された。

文 献

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(24)

24 Figure. 1 Phantom (a) and dental implants (b)

(a)

(b)

(25)

25

Table 1 Imaging sequences and conditions

Sequences TR (msec)

TE (msec)

FOV (mm)

Thickness (mm)

Matrix NSA TI (msec)

SE T1 500 15 250 5 256 2

TSE T2 5000 100 250 5 256 2

STIR 2500 60 250 5 256 6 180

DWI 3000 80 250 10 128 1

(26)

26

Figure 2 An example of measurement of signal intensity area including the largest sizes

of metal artifacts

Measurement of metal artifacts were the largest dimension of low signal intensity area on

MR images.

(27)

27

Figure. 3 Rate of Change in Size of Artifact (%) and imaging techniques.

*CV<0.05 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500

SE T1 TSE T2 STIR DWI

Rate of Change in Size of Artifact (%)

3.5 × 8.0 mm 3.5 × 9.5 mm 3.5 × 11.0 mm 4.5 × 8.0 mm

(28)

28

Figure 4 Rate of Change in Size of Artifact (%) : b values

0 100 200 300 400 500

100 500 1000 1500

Rate of Change in Size of Artifact (%)

b value (sec /mm 2 )

3.5 × 8.0 mm

3.5 × 9.5 mm

3.5 × 11.0 mm

4.5 × 8.0 mm

(29)

29 Figure 5 Rate of Change in Size of Artifact (%) : FOV

0 100 200 300 400 500 600 700

100 150 200 250 300 350

Rate of Change in Size of Artifact (%)

FOV (mm)

3.5 × 8.0 mm 3.5 × 9.5 mm 3.5 × 11.0 mm 4.5 × 8.0 mm

p= 0.04 r= -0.83

p= 0.03 r= -0.83 p= 0.01 r= -0.91 p= 0.07

(30)

30

Figure 6 Rate of Change in Size of Artifact (%) : RFOV

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450

50 60 70 80 90 100

Rate of Change in Size of Artifact (%)

RFOV (%)

3.5 × 8.0 mm 3.5 × 9.5 mm 3.5 × 11.0 mm 4.5 × 8.0 mm

p= 0.15

p= 0.15 p= 0.15 p= 0.15

(31)

31

Figure 7 Rate of Change in Size of Artifact (%) : SENSE factor

0 100 200 300 400 500 600

1 1.5 2 2.5 3

Rate of Change in Size of Artifact (%)

SENSE

3.5 × 8.0 mm 3.5 × 9.5 mm 3.5 × 11.0 mm 4.5 × 8.0 mm

p= 0.04 r= -0.89

p= 0.01 r= -0.94 p= 0.01 r= -0.95 p= 0.18

(32)

32

Figure 8 Rate of Change in Size of Artifact (%) : scan matrix

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500

64 128 192 256

Rate of Change in Size of Artifact (%)

scan matrix

3.5 × 8.0 mm 3.5 × 9.5 mm 3.5 × 11.0 mm 4.5 × 8.0 mm

p= 0.05 r= 0.95

p= 0.10 p= 0.10

p= 0.05 r= 0.94

(33)

33

Figure 9 Rate of Change in Size of Artifact (%) : scan percentage

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450

64 128 192 256

Rate of Change in Size of Artifact (%)

scan percentage

3.5 × 8.0 mm 3.5 × 9.5 mm 3.5 × 11.0 mm 4.5 × 8.0 mm

p= 0.04 r= 0.96

p= 0.07 p= 0.13 p= 0.05 r= 0.94

Table 1        Imaging sequences and conditions
Figure 2    An example of measurement of signal intensity area including the largest sizes
Figure 4    Rate of Change in Size of Artifact (%) : b values
Figure 6    Rate of Change in Size of Artifact (%) : RFOV
+4

参照

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