• 検索結果がありません。

2019年度文字文化財研究所事業報告

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "2019年度文字文化財研究所事業報告"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

2019年度文字文化財研究所事業報告

2019年度文字文化財研究所長

 2019年度の本研究所活動は、前年度までに継続的に活動に取り組んできた

「国際HAIKUプロジェクト」をさらに発展継承するかたちで企画・開催され

たほか、公開講習会「災害から文化財をいかに守るか」、公開講座「はじめて の外国資料」が開催され、充実した取り組みとなった。

【事業概要】

1. 国際 HAIKU プロジェクト「世界文学としての HAIKU──もっ と楽しむ英語俳句の世界(実践・スキルアップ編)」(2019年10 月22日開催)

2019年度の国際HAIKUプロジェクトは年計画の年目に当たる企画と なった。2017年度の「日本の〈俳句〉から世界をかけめぐる〈HAIKU〉へ」

は、外国人講師による講演会やディスカッションによって、日本発祥の俳句が 世界に展開している様子を見取り図として描き出す企画として、2018年度の

「実践編──俳句をつくってみよう!」は、英語俳句の初歩的な手ほどきを受 ける入門的講座として展開されてきた。それらを受け継いで、本年度は「世界 文学としてのHAIKU──もっと楽しむ英語俳句の世界(実践・スキルアップ 編)」と題し、より高いレベルでの英語俳句に挑戦することで、受講者のスキ ルアップを図るにとどまらず、投句や評価が行われている世界やそのネット ワークについての理解も同時に深めていくことができる企画として、より発展 的に展開された取り組みであった。講師として、英語俳句についてのレク チャーを行い、実践的な英語俳句作りのワークショップを指導していただいた

(2)

のは鹿児島国際大学のマクマレイ氏であった。マクマレイ氏は異文化研究、国 際俳句の講義、俳句を研究する学生の指導をされているほか、朝日イブニング ニュースの朝日俳句ネットワークの選者、各種の俳句コンテストの審査などを 務めておられ、今回の企画にとってこの上ない講師をお招きすることができ た。2時間の講座は、講師によるレクチャーを前半に行い、後半はワーク ショップ形式で少人数のグループ毎に英語俳句の実作を行った。レクチャーと ワークショップすべてにおいて講師の使用言語が英語によって展開され、「実 践・スキルアップ編」の名にふさわしい高いレベルでの講座となった。ワーク ショップでは、講師による英語俳句についての解説やポイントが説明された 後、季節ごと(春・夏・秋・冬・お初月)の名称が付けられたグループに分け られた受講者が英語俳句を実作し、各グループでお互いに披露して意見交換を 行い、さらに講師がヒントやアドバイスやコメントなどを加えながら、作品を ブラッシュアップさせていくように導くという内容で進められた。大学生、大 学院生、一般の方のほか、高校生の参加もあり、年齢も属性もさまざまな方々 が複数言語で交流を深めながら、英語俳句の世界について体験的に理解を深め る機会を提供できた取り組みであったと考えている。終了後に参加者にご協力 いただいたアンケート結果からは、参加者の方々には概ねご好評をいただいて いることが読み取れた。

2. 公開講習会「災害から文化財をいかに守るか」(2020年1月29 日開催)

 阪神淡路大震災以降、災害に対して私たちがどのように考えるべきであるの かというテーマは広がってきている。「文化財」もそのテーマのうちの一つと なってきている。上記の震災以降、各地で資料・史料の保存活動を組織化・

ネットワーク化する動きが徐々に進行してきている。

 今回の講習会の講師のおひとりである東北学院大学の斎藤善之氏は、震災以 前から三陸地域において歴史資料・遺物・建築などの歴史遺産の調査保全の活 動をされてこられた。宮城県では、2003年の宮城県北部地震を機に歴史資料

(3)

の調査保全活動を行う「宮城歴史資料保全ネットワーク」が組織され、その 後、東日本大震災が起こり、その被害状況の調査や救出活動、記録活動などに 取り組んできているが、斎藤氏は「宮城歴史資料保全ネットワーク」の理事長 として活動されている。

 東海地方は、これまで数々の地震や水害などの自然災害による被災を受けて きた地域である。2019年は伊勢湾台風から60年目に当たり、さまざまな周年 行事が行われ、災害に対してどのようなことを考えなければならないのかにつ いて思考する機会となった年でもある。東海地方でも宮城でのような歴史資料 の調査保全を担う活動組織が構想され、その準備が進められてきている。講師 のもうひと方としてお招きした中部大学の篠宮雄二氏は「東海資料ネット」の 設立に向けて、ご尽力されてこられた中心的な存在で、全国の歴史資料の調査 保全の状況やネットワーク組織を見て回られ、組織設立に向けてのまとめ役と して実質的なリーダーシップをとってこられた。

 講習会では斎藤氏からは「宮城歴史資料保全ネットワーク」で活動してこら れた経験が紹介され、そこから資料保全のネットワーク化にとってどのような 点が教訓やアドバイスになるかがたいへん具体的に語られた。また篠宮氏から は「東海資料ネット」の設立準備状況について詳細な説明があり、活動にあ たってどのような考え方をしていくべきであるのかという論点が提起された。

「東海資料ネット」に関わってきた本学の教員(大塚英二教授)も加わっての 討論と質疑応答では、会場からさまざまな質問が飛び出し、活発に議論が行わ れた。資料保全のネットワーク化は、単に学術研究や行政を組織化するだけで はなく、民間や地域などさまざまな層を、そして既成概念にとらわれないさま ざまな知恵をつなぎ合わせる意味合いがあり、人の心と向かい合いながら、ま た、保存すべき資料とは何かを常に問い直しながら続けられていく営みである ことが深く印象付けられる内容であった。

3.公開講座「はじめての外国資料」(2019年7月14日開催)

 日本語の歴史には、“日本人” が書き記した文献に限らず、ときに “外国人”

(4)

の関わった資料から明らかになることもたくさんある。ポルトガル語やロシア 語、ハングル、昔の漢文など、外国の文字で書かれた特殊な資料は、敷居が高 く感じられるかもしれない。公開講座「はじめての外国資料」では、「外国資 料」を実際に見て、資料の構造や扱い方、読み方の基礎的なところからレク チャーすることで、はじめてであっても気軽に参加できるような内容の企画と した。

 講座では以下の4つのテーマをそれぞれの講師が担当してレクチャーと一部 手作業を含むワークショップを行った。名古屋大学からお越しいただいた齋藤 文俊氏には「漢文訓読という翻訳法」、三重大学の川口敦子氏には「16世紀の ヨーロッパ人宣教師が作った日本語の本」というそれぞれのテーマを担当して いただいた。また、本学教員名によって「17世紀朝鮮人が覚えた日本語」

(福沢将樹教授)、「ロシア語で書かれた大黒屋光太夫の日本語」(久保薗愛准教 授)のテーマを担当した。

 当日は約30名の参加が得られ、高校生の参加もあった。参加者に協力いた だいたアンケートの結果によれば、満足度の高い内容であったことが読み取 れ、専門的な内容をコンパクトに楽しんでもらうことで満足してもらえるよう な講座を提供することができた。

【2019年度『文字文化財研究所紀要』(第6号)】

2019年度の紀要には、本の充実した論考・訳注などが発表された。本研 究所研究員の論考や稀書の会による訳注のほか、客員共同研究員であるCarlos Pérez Fernández-Turégano氏(スペインCEUサンパブロ大学准教授)、久冨木原 学長からもご投稿いただき、その論考も収録され、充実した内容となってい る。また、事業概要で報告した国際HAIKUプロジェクトの講師をご担当いた だいたマクマレイ氏による開催内容を踏まえての報告もご寄稿していただいて いる。事業報告と合わせてご覧いただければと思う。

【研究所会議】

 今年度は研究所会議を以下の通り開催した。

(5)

⑴ 第回文字文化財研究所会議   開催日時:2019年4月2日   開催場所:H302

  出 者: 久保薗愛、川畑博昭、井戸聡、宮崎真素美、中根千絵、大塚英 二、神谷麻理子(学務課職員)

  議  題:・2018年度決算報告について        ・2019年度事業計画について

⑵ 第回文字文化財研究所会議

  開催日時:2019年6月17日〜6月20日(メール会議)

  出 者: 井戸聡、宮崎真素美、中根千絵、大塚英二、神谷麻理子(学務 課職員)

  議  題:・2019年度文字文化財研究所紀要について        ・文字文化財研究所紀要投稿資格について

⑶ (臨時)文字文化財研究所会議

  開催日時:201929日〜30日(メール会議)

  出 者:井戸聡、宮崎真素美、中根千絵、大塚英二、神谷麻理子(学務 課職員)

  報  告:・2019年度文字文化財研究所紀要の執筆申込者について

⑷ (臨時)文字文化財研究所会議

  開催日時:201911日〜1113日(メール会議)

  出 者: 井戸聡、宮崎真素美、中根千絵、大塚英二、神谷麻理子(学務 課職員)

  報  告:・客員共同研究員の確認について

⑸ 第回文字文化財研究所会議

  開催日時:20191113日〜1114日(メール会議)

(6)

  出 者:井戸聡、宮崎真素美、中根千絵、大塚英二、神谷麻理子(学務 課職員)

  議  題:・2019年度文字文化財研究所紀要の追加募集について

⑹ (臨時)文字文化財研究所会議

  開催日時:201912日〜12日(メール会議)

  出 者: 井戸聡、宮崎真素美、中根千絵、大塚英二、神谷麻理子(学務 課職員)

  報 告:・ 2019年度文字文化財研究所紀要(追加募集)の執筆申込者に

ついて

⑺ 第回文字文化財研究所会議(予定)

  2020年3月に2020年度への引継ぎのために開催予定。

【収支報告】

 2018年度の予算・決算報告は以下の通りである。

 予算額885,000 (単位:円)

項  目 決算額 内  容

紀要印刷発行費 682,924 印刷、編集、翻訳費 講演会謝金、旅費等 15,675 講師謝金、旅費 その他、調査旅費・運営

費雑費(消耗品含む)

125,332 調査旅費、図書館展示及び文書保存用

消耗品費

合計 823,931

2017年度から申し送りされていた留意事項として、全体の収支をマイナス とならないように事業展開を行う点があったが、2018年度においては予算額 内に収まる執行であった。今後も、事業を展開す るための予算要求と執行の過 程において、マイナス収支とならないよう、また、合理的で効率的であるよう に留意するべきである。

(文責・井戸聡)

参照

関連したドキュメント

事  業  名  所  管  事  業  概  要  日本文化交流事業  総務課   ※内容は「国際化担当の事業実績」参照 

郷土学検定 地域情報カード データーベース概要 NPO

社会学文献講読・文献研究(英) A・B 社会心理学文献講義/研究(英) A・B 文化人類学・民俗学文献講義/研究(英)

Implementation of an “Evaluation Survey” forms part of the process whereby the performance of the Japan Foundation is reported to the governmental committee responsible for

世界規模でのがん研究支援を行っている。当会は UICC 国内委員会を通じて、その研究支

報告は、都内の事業場(病院の場合は病院、自然科学研究所の場合は研究所、血液

世界規模でのがん研究支援を行っている。当会は UICC 国内委員会を通じて、その研究支