8 章 薬食同源一薬膳を楽 しむには‑
1節 陰陽五行説 と五行配当表
手嶋 敏子
健康に対す る意識が高まって,現在ではあ らゆる健康食品が話題 となり,柄 気でないことが健康 というだけでな く,病気の予防,健康の維持増進 という面 に迄, 自己管理 しよ うとす る積極的な意識の変化が見 られる今 日である。美負 グルメ時代 といわれ る近年では栄養価の面に重点が置かれる一方偏食によるバ ランスの乱れや生活環境の著 しい変化で運動不足 となり, これ らが原因となっ て現代の成人病 といわれる糖尿病.高血圧症,心疾患,肝疾患,動脈硬化等を 招 いている現状である。つまり健康を維持す るのは毎 日の食生活で,そのバラ ンスの崩れにより病気がお こって来る。 この ことは古 く中国三千年の歴史 とい われている当時 (紀元前8世紀〜 3世紀)医書の祖 "黄帝内径素問"の中にも 示 されている教えで,薬 と膳 (食事)で病気を治す方法が述べ られている点か
らも医食の関係 は大切な教えとされていたことがわかる。つまり病気にな って 薬をのむよりも日常の食生活がより大切 ということか ら,前者を小薬,後薯を 大薬 とし,食養にかかわる食医を医師の最高位 として扱 ったことか らも推察で きる。 この素問の教えが 日本に伝わ ったのは後漢の頃 (紀元25‑220年)で漢 か ら伝わ った教えであることか ら日本では漢方 とされ,中国では中医学 とされ ている。 日本では奈良朝の頃,道教の大家,陶弘景 により編纂 された薬草の原 典 といわれる 「神農本草経」は,古代中国神話の帝王たる炎帝神農が 自らを実 験台 として,その もととなる 「神農本草」(現存せず)を作成 したことにより 始 まる。神農 は毎 日山野に出かけて多い日には100草を紙め70の毒に当りなが
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五性 五果 五蓄 五穀 五万 五 季 五悪 五液 五根 五 肺 五臓 五香 五色 五味 五行
涼 李 鷲 胡椴 東 春 風 戻 眼 胆 肝 腫 ̲ 主 日 i 二 醍 木
莱 香 辛 小 麦 南 夏 輿 汁 舌 / J 、 腸
心焦 赤
苦火
辛 棄 午 莱 中央 土用 渇
港唇
Hl日1碑 香 黄 甘 土
輿 桃
馬莱 西 秩 莱 湖 鼻 大腸 価 堤 白 辛 金
表
‑ 1人体 と 自然界 の五 行 配 当
ら体に良 いものか毒かの効能を調べあげ,各種の草を組み合わせるなど してつ いに365種の薬を考案 したのであ った。薬食同源 とはこの様に祖先たちの良い 年月に渡 っての経験 により我 々に残 して くれた貴重な遺産で もある。 また古来 中国で は素問の時代より人体と自然界を融合 させ,調和 させ る陰陽五行説の思 想が社会の中心的な考え方 にな っていた。
毎 日の食事を美味 しくいただいてそれでいて健康 にな りたいとい うのは誰で もが望む ことであるか ら,美味 しい味っけでバラ ンス良 く食べ るために,つま り疾病や心身の歪みに何を服み何を食べればそれを正常に もどす ことがで きる か,更に重大な示唆である如何 に服み如何に して食す るかを教えるという有要 な薬食の調和調剤の原理に集約 した考えである。 この相関関係や配当は複雑多 岐で限 られた紙面では詳細 に解説す ることが困難である。以下第2節で特に食 毒に引用 され る五味,五性 (義 ‑ 2)について,その性格,臓器等五味調和表 に合わせて解説す る。
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章 薬食 同源 一 薬膳 を楽 しむ には ‑ 五性の食能
義‑2
2節 五味調和
五味の食能
酸
甘
1 酸味
撃 は酢 っぱい味で収 レン性があ り肝胆眼に良い。その性質は,涼,清涼感を 与え鎮静消炎作用があ り,のぼせ症の人に良い。酸味は食物の鮮度を保ち腐敗 を防 ぐ。脂肪 を中和 して淡白に し,血液の酸性化を防 ぐなどの働 きがある。肝 機能 に トラブルがあればその異常 は眼や筋肉に表れ る。そ して肝のたかぶ る季 節 は春,春 は木の芽立 ちの時でよ く気がふれ ると言われ る。 これは肝機能の異 常興奮によりお こる。 こんな時青 い色が白まな こに出て,青筋が立っなど肝の 色,青が現れ るのである。 この様な時 は酸味の ものを使 うと快方に向か う。 有 機酸の入 った吸収の良 い醸造酢や果実酢を使 うと良 い。ただ し,酸 は牌に対 し て相魁関係にあ り,酸が過 ぎると牌胃を傷めるので,あ らか じめ牌胃の トラブ ルを防 ぐ為に少量の甘味 (蜂蜜)を補 って酸味を使 うなど,未病対策 も備えて の教えが効を奏す るのである。
2 苦味
葺 は苦 い味で消炎作用,固め る作用があ り心臓,循環 器系 に良 い。性質 は 寒。体を冷 し鎮静消 炎作用があ り,のぼせ症や血圧の高い人に良い。つまり苦
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‑い物 は心臓の働 きを助 けて,体 を冷や し炎症 をとる。 この苦み はMgに代表 される ミネラルで,葉緑素や海水 に含まれ るニガ リの成分 として示され る。海 水中のニガ リは体内の水分の排滑 にも一役買 うことになるのであるが,現在 日 本専売公社で製造 している塩にはニガ リか入 っていないため,Mgなどの ミネ ラル不足で,腎小腸か らの水分の排潤が不足 し,その結果腎性高血圧,本態性 高血圧を招 くことにな りかねない。緑色野菜の不足について も,葉緑素の化学 構造で核 をなす NIgの不足 は腸 の煽動運動 を鈍 らせ,血液中の血色素ヘモ グ ロビンの生成を も妨げる結果 となる。苦味成分の多 く入 っている野菜 は,パセ リ,ニラ,ホウレンソウなどを指 し,舌 ざわ りが良 くて食べ易い為生野菜 と し て頻用 されて いるキ ャベ ツ, レタスな どは淡色野菜 に属 し,それによっての Mg補給 は到底無理な ことである。結果, もた らされ る心の トラブル時には五 味表に示 された五色に対す る赤色が舌先に現れて異常を知 らせ る。暑 い南国で は休の ほて りを鎮める目的で苦い物を欠かす ことが出来ない。つまり生活環境 に適合 した食物が苦味によ り体温を下げてほて りを鎮め, しの ぎやすい状態に 導 くともいえ る。代表的 とされ る沖縄地 方のニガウリ料理の多彩さや,暑い夏 に冷た くて苦い ビールを多量に飲む ことで, い くらかで も体温を下げようとす る点か らも納得で きることであ る。
3 甘味
丑 について,廿は甘い味で緊張を緩める作用 と滋養強壮作用があ って胃並び に消化吸収に関わる働 きを良 くす る。性質は平で,寒熟の歪みが無 く体を温め も冷や しもしないため日常の食生活に常用す ることで滋養強壮作用がある。牌 胃とは消化器官を指 し,中で も胃は人間の食欲に関与 し,食欲の有 る無 しは胃 気が十分であ るか否かによるものである。牌 は食事により得 られた栄養分の吸 収 に関与 していて牌気が不足す るとい くら胃気が十分で食欲があって大量に食 べて も栄養分の吸収力が不足 しているため体内に利用す ることが出来ずにバ ラ ンスを保てない結果を招 くのである。俗に "痩せの大食い''などと言われてい るの もここに当てはまる例であろう,甘味 は, この様 に消化器には良 く働 き, 肌肉を育てその艶を良 くす る。表一‑3に示 した甘味の食物を参照 してわかる様 に,寒熱の歪みが撫いことか ら日常生活に頻用す る肉,負,穀物,淡色野菜な ど数多 くの食品が この部類に属す ることがわかる。つまりこの甘味に属す る部
一一 2 28 ‑
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章 薬会 同源 一薬膳 を楽 しむ には ‑
監修
薬学博 士 渡 辺 武
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抄柑 なす きゅうり
キャベツ トマト はくさい
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みかん 西瓜 穀 とうふ
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分を食す るだけで も日常生活は営むことが出来 る訳で, ここ甘味‑の片寄 りに は注意を要す る所で もある。前に述べた表‑ 2五味の食能 により,甘味は緩め る働 きがある。バラ ンスを崩 して甘味に片寄れば 緊張を緩め,その結果内臓 下垂を招いた り相魁関係 にある腎機能を阻害 して体 に水の停滞を招 くことで, む くみを生 じたりす る。 この様なとき,腎を補 う厳味 (塩か らみ)を与えて腎 を捕 った上,尿の排潤を助けるのである。食生活上では,甘い しるこ,ぜん ざ いを食べ る時,昔の人の智恵で必ず塩昆布をっけて出される点か らも,生活の 中か ら生み出された必要性が五味の食能に叶 うバラ ンスをとっていた食養生で あ ったことになるのである。そ して牌胃は,湿を嫌 う点か ら梅雨時の一番湿度 の高い時に トラブルが起 き易い。牌胃は体内で も一番水滞を起 こしやす く,水 滞により血流が阻害 されて食物の消化吸収のみな らず, 自らの機能低下を起 こ す ことになる
。
これに現代社会の ス トレスが加わると, ス トレスは肝に関わ り その相魁関係にある牌胃は,更に追い打ちをかけられて食欲不振のみな らず胃 壁の障害,機能障害 に迄至 る トラブルを招 く結果 も予想 されるのである。甘味は摂 り過 ぎに要注意を。
4 辛味
葺 とは香辛料に代表 され るピリッと辛い味で,発散作用があ り,柿,秦,皮 膚,大腸に良 く働 く
。
性質は熟,体を暖め興奮作用があ り貧血や冷え症に良 い 味 とされる。肺,鼻,皮膚は体液を気体 として発散す る所であ り,排潤の意味 か ら考えると一種の呼吸器であるともいえる。その システムは皮膚粘膜の水分 を発散 させ る為に気化熱により体温が降下す る。故,そ こに暖めて発散を助け る。つまり呼吸器の負担を軽 くしてや る意味で辛味を補 ってやると,発散 も共 に助か り,皮膚粘膜 は健康状態を取 り戻す ことが出来 るのであるO香辛料 に代 表 され る辛味には次の様な作用がある。カビ止め,防腐,殺菌,消毒作用など で, このため皮膚や頭髪に使 う化粧品には香辛料が必須条件にな っている。特 に,肉,魚が多食され る今 日では辛味により体温37℃前の私達の体に入った高 蛋白質の食物 に対 してそれがカ ビた り腐 った りヘ ドロにな らない様にするため 香辛料が必要 になる。辛味は食べ る化粧品 とも言われるか,それはヘ ドロが皮 膚 に出現 してで きるシ ミを辛味が消失 して くれ るためで,美食には必ず辛味が い るとい うことがわか る。更 に辛味 は,大腸の働 きを促進 して大便を通 じさ一一 2 30 ‑
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章 薬食同源 一薬膳を楽 しむには‑
せ,肥満を防 ぐことか ら,全身美容に有効 とも言えるものである。他に,水気 の多い食物やよ くかまずに食べ るものには,温めて消化を良 くする辛味が入 っ ているo例えば, うどんにネギと七味唐辛子,そばにはワサ ビとネギ,ラーメ ンには胡板 とニ ンニ ク,冷や っこには生妻 とネギ,お茶漬にはワサ ビと ミツ バ,鍋物にモ ミジオロシとワケギ,おでんに幸子,漬物に唐辛子など。又,動 物性蛋白や油物には,消化を助け肝の負担を軽減する辛味が常用 される。その 例 として天ぷ らに大根おろしと生妻,サ ンマ,イワシに大根おろ し, ウナギの かばやさに粉山板, トンカツに練 り草子,ホルモ ン焼に唐辛子 とニ ンニク,焼 鳥に七味と山板などが上げ られる。生肉や生魚の食害を防 ぐ為にも,辛味の防 腐防カ ビ殺菌消毒の作用を利用 して, さしみに千切大根 とシソ, ワサ ビ,にぎ り緒にワサ ビと酢生妻, ビフテキに胡板,カラシとレモ ンが添え られるなど で,食害を防 ぐ生活の智恵が生かされているのである。百薬の長 といわれる酒 は辛味に属 し, これを食するのには,酢の物 と塩気の物が加わって初めて百薬 の長 となる。つまり辛味をマイル ドにする為に酢,梅肉を添えれば良い訳であ る。酒の中で もビールが他の飲料に較べて大量に飲めるのは苦みのホ ップが加 え られてアルコールの辛温を滅殺 して利尿作用がある為である。悪寒を伴 う風 邪は皮膚か らの発散を助けて辛味により温めなが ら発汗 させると治 る。 この時 生妻汁,たまご酒はよ く利用 されるが,加えて白ネギのおかゆを追加すれば更 に肺大腸系を活発に働かせて良いものである。
5 由威味
厳は塩か らい味で,軟 らげる作用があり腎,勝耽,耳,骨に良 く働 く。その 性質は温。体を温め興奮作用があり冷え性,水清の人にも良いとされる。また 腎とは五臓六肺の活力の源 とされる。 「腎は骨髄を生ず」とある素問の陰陽応 象大論篇では, 「腎は精を蔵 し,精は髄を生 じ,髄が骨を養 っている」とされ る。更に霊枢の海論篇では 「脳 は髄の海」。素問の五臓生成篇では 「諸髄 は皆 脳に属す」とある。つまり腎は脳 と深いっなが りがある所である。従 って腎気 が不足すると腰がだるくなり骨の痛みや四肢に力が無 くなる。脳に関連 しては 思考力が鈍 り健忘,めまい,耳鳴 り,視力低下などを招 き,老化による尿失禁 や生殖器の異常など も見 られる様になる。腎は腎臓のみでな く体に必要な水 分,脳髄,津液の潤いなど,広い意味でホルモ ン系,生殖系,泌尿器系等を含
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む広義の ものである、。鹸味に代表 される塩分のとりすぎは心臓,血液循環に負 担をかけて血圧を上げる結果を招 くので要注意 と, この頃の指導には塩分の使 用を厳 しくダウンさせている。指導されている今の塩は,周囲を海に囲まれた 日本なのに,海水には関係ない大量生産された化学塩で,1971年に専売法の名 の下に切 り換え られたイオ ン交換膜法 という大量生産方式により製造 されてい るものである。内容は塩化ナ トリウムの純度が99.5%の化学塩 となって本来の 塩の姿が消え,世界中で類い希な苦汁 (マグネシウム塩)をほとんど除去 した 塩 となり, これを強制されていることである。その後, 「赤穂の天塩
」
やイ伯 方の塩」
などが生 まれたが, これ らは外国か ら輸入 された天 日塩を真水で戻 し,天然の苦汁などを加えて炊 き直 したもので,再生自然塩 と呼ばれている。私たちが食物にしているのは地球上の生物である。地上にある生物は,海の 中で発生 して進化 し陸に上がって生活するようになった。だか ら海水中の苦汁 に在する微量の元素がその生命活動に深 く関わっていることにもっと注目すべ きである。地上に生息 しているものは塩な くしては生きられないのである。生 命の誕生は満潮にかかるときである。塩分の摂 り方を指導するに当たって も, 苦汁の入 った海水様の塩を使用す ることで,腎,小腸か らの水分排滑が促進さ れて水の滞 りが解消するので,血圧の上昇を防 ぐことができる。体内に余分な 水があれば体の各所に配布される途中の血管内の水分の含有量 も増 し,実質, 血圧は上がることになる。それを腎,小腸か ら尿に排滑 してやれば良いことに なる。その時必要なのが苦汁の成分といえる。つまり塩がないと尿 も汗 も出せ ない。血圧を気にしての無理な減塩は返 って休内の余分な水分の遍在を余儀な くされ,水の害を招 くことにもなるので注意を要す る。また体内にある余分な 水分は逆流 して,皮膚,粘膜,頭部,鼻か ら気体 として無理な形で出 している とも言える。(一番 自然の形で無理な く水分を排椎できるのは尿 として腎か ら が望ま しいのだが,)その結果 として腎機能低下を招いて副腎皮質ホルモ ンの 分泌低下によりア トピー性皮膚炎を誘発 したり,鼻粘膜においては発散異常か ら鼻炎や花粉症を,呼吸器系では気道粘膜の発散異常か ら嶋息を,頭皮におい て も発散異常 は頭皮に影響 して毛根を刺激 して抜毛等の原因となる。つまり無 形の気体を代謝 して くれる肺大腸系に負担をかけるのは水毒に他な らず辛味は これを発散す る大切な味である。美食 グルメ時代の今,更に缶 ジュース,缶
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コーラ等の普及が問題 となっている現代であるが,大人か ら子供に至るまで缶 飲料の利用者はかな りの率にのぼる。甘 くしないと美味 と感 じない冷蔵飲料の 普及は大量摂 ったら腎機能を低下させ,その上水荷を招 き,特に老人や子供に おいては腎か ら至っては脳髄の発達にまで影響 して,痴呆や知能低下を招 くな
ど恐ろ しい結果に至 ることも考え られる。
3節 薬膳と食養生
今 日の栄養学や健康食では,何を食べれば良いかに終始 して,その食害には 無関心で,どの様に して食べるかということが忘れ られているのである。身体 では最 も大切な所を肝 と腎として 「肝腎要」と言 う,体の調子を問 うときには
「塩梅は
?」
と言 う, これはどちらも食葺を基本 として考える東洋医学の教え に他な らないことと言える。 ここで薬食同源,薬膳料理についての応用を考え てみる。薬が必要となる時はどこかにバランスの崩れを感 じたり,体調を崩 し た時で,前にも触れたように,医薬よりまず食蓑で治そ うと料理に腕を振 るこ ととなる。そこで注意すべ きことは食品に も生薬などと同 じ様に性質があ り, 薬性な らぬ食性 として表す。バランスをとるために必要 としている薬膳が,塞 熱温涼平どの性質であるか,つまり今の体調に対 して逆の性質の食品を持 って 来 ることで双方のバランスがとれて,健康状態である平に戻れると考える。そ して食品を選ぶ ときは,その異常にどの味を もってバランスをとるかで選定す る。表‑3の五味調和表により,病がどの部位にあるのか,今の体調はどの様 な性質の ものを要求 しているのか,どんな味が必要なのか等々を考えて,バラ ンスをとって行 く食事に期待するのである。次に温性,涼性の食品を表‑4と して示す。また中国の料理では薬品で も同 じことであるが,虚弱な人の料理に補陽食が よ く使われる。
これにも種類がいろいろとあって,代表的な内容 として,補気薬 として吉林 人参,山薬,黄屠,大童。補陽薬 として鹿茸,冬虫夏草,など,補血薬として 当帰,拘杷子,補陰薬 として玉竹,胡麻などがある。 これ らの効能か ら利用 し て,体力が気になる人などに下味つけや,基本スープとして応用 していただき
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表
4温性食品 と涼性食品
湿 性 中 間 涼 性
穀 類 秦 ( 精米) 麺粉 玉萄黍 葛粉 胡麻 小麦 ( 玄米) 粟 蕎麦
(落花生 ) 酒 酢 ‑ トムギ 緑豆( 大豆 )
野 菜 類 生妻 ( 葱 ) 韮 にんに く 辛菜 とうが らし 春 菊 山の芋 キ ャベ ツ 里芋 ほ うれん草 くわい ( 百合) 管 チ シャ 也 麹 にん じん かぶ 木耳 椎茸 遡 些 冬瓜 塵王
ふ きの とう 紫蘇 南瓜 トマ ト
海 草 類 昆布 海苔
果 実 類 桜桃 ( 梶 ) 桃 杏 蜜柑 ( 林檎 ) 栗 ぶ どう 干柿 無花果 蓮 の実 枇杷 亜 坦 バナナ メロン 梨 ザボ ン 柿 くるみ 銀杏 ( 義)
松 の実 ( 竜根 )
魚 介 類 塵 鮒 エ ビ クラゲ 鯉 いか 泥始 蟹 た こ 旦盟 蛤 (な まこ) ス ッポ ン
鳥 獣 類 牛肉 豊 国 鶏 肉 羊乳 鶏卵 豚 肉 燕 の巣 牛乳 鴨肉 鴨卵
調 味 料 豊 壬 遡 担 砂糖
* ‑は性質の著 しくと思われ る もの。( )は性質が中 くらいに近 い と思 われ る もの。
( 桑 木 崇 秀 「 本草 書 よ りみ た食物 と体 質 の対 応 につ いて
」「日本東 洋 医学 会 誌
」27( 2) ,1 976. よ り)
たい。特に腰痛のある様な人には腰か ら下を暖めて治 してい く補陽薬の利用に 注 目してほしい所である。忘れてな らないのは表‑3か ら五味調和の構成を参 考にすること
。
先にも述べた様に,五味ではそれぞれの相魁 (孫)に当たる臓 器器官に食害,薬害を与え るものであるとの理を教えている。それぞれに 酸味 障胃を害 し (甘),胃を弱 くする。苦味 肺大腸 (辛)を害 し風邪をひ く。
甘味 腎勝朕 (舶)を害 しむ くみがで きる。
辛味 肝胆 (酸)を害 して酒の害がおこる。
舶味 心小腸 (苦)を害 し血圧が上昇する。
などで,以上を薬膳に応用するには末病を治すの教え通 り, 自分を中心に考 えて孫に当たる所を傷める点か ら,まず魁 される部分の薬味を少 し加えて調理
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す る。 これを二味配合の原理 と して,五味調和の上で有益な教え とされてい る。以上によりバランス良 く五味調和の原則にのっとった正 しい養生をすべき である。中で もとりわけ酸味と舶味は人体を塩梅良 くす るもので,肝腎要 とし て忘れてはな らないところである。
参考資料
漢方健康料理 ( 雄 揮杜) 素問,霊枢 ( 雄揮社)
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