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(1)

研究ノート

    OCAMプランの研究ド

       l−ocAM諸国の会計標準化の構想ー

      斎  藤  昭  雄

       一 序

 オ  カ  ム       印 OCAMとは︑Ornanra{{onのomm¢neyfr{aFeetKQ}gacreの略である︒従って︑OCAMプランは︑

フランス語を使うアフリカ諸国に共通のプラン・コンタブル︵標準会計制度︶ということになる︒単にそのことだ

けであっても︑いわゆる発長途上国と言われる国々の会計制度の整備状況を詳さに検討し︑その将来をうらなう

という意味において︑一瞥を与える価値があるかもしれない︒

 しかし︑筆者がこのプランに注目しているもうひとつの重要な理由は︑このプランの草案が︑フランス国家会

計審議会︵9nl}ツF‑ona}dQ}QgmptgEt̀︶の中心メンバーによって作られたということ︑そしてまた︑こ

    OCAMプランの研究B

−155 −

(2)

のプランが成った時期が︑まさに︑フランスのプラン・コンタブルの改正作業の開始期に当たっていたというこ

とである︒つまり︑このOCAMのプランを検討することによって︑現在フランスにおいて進められているプラ

ン・コンタブルの改正作業の行方を大よそ見きわめることができるし︑従ってまた︑フランスの会計制度の現状

を理解する手助けにもなる︑と考えられるからである︒

 また︑EC︵ヨーロッパ共同体︶諸国内の諸制度の統一化が一段と進んでいる時期に行なわれている︑フランス

の会計制度の改正が︑他のヨーロッパ諸国の会計制度との調和︑あるいは進んで︑EC内での会計制度の統一化

へのイュシァティヴをとろうとする意識のもとになされていることは︑充分に考えられるところである︒

 そのような意味において︑OCAMのプランは︑一見に値するものであると言えよう︒しかし︑OCAMのプ

ランは︑序文を含め二四八ぺージにも及ぶものなので︑その細目に一気に接近るはかることは避けて︑本稿で

は︑本プランの基本的な性格ときわ立った点とを総括的に検討し︑その大よその輪郭を描いてみることにした︒

評価原理の問題や︑勘定体系の詳細な内容については︑稿を改めて検討してみたいと思う︒

−156 −

(3)

  cienneとなっている︒その初版は︑一昨字一一月に公刊された︒

㈲ フランス国家会計審議会の事務局長モーリス・ガリオン︵Maurice GaEon︶氏によれば︑この草案を作ったのは︑

  同審議会の常任委員アンドレ・プロスト︵Andre Prost︶氏とジャン・コール︵Jean Corre︶氏のふたりである︒

㈲ フランスのプラン・コンクブルの改正は︑術語部会の最終報告が本年六月頃になされたあと︑年末には全体の作業が

  終ることになっている︒ちなみに︑この改正作業は︑①術語︵termmologie︶②財務諸表皆ocuments syntheses︶③

  評価︵evaluatio已︵これはさらに原始価額と事後評価に関する二つの作業部会にわかれている︶④法律︵juridique︶

   ︵これは改正作業のためだけの部会ではなく︑税法などとの関係で生ずる会計上の問題を検討する常設委員会である

  が︑今回は特に︑総合的にプラン・コンタブルと法律との関係にメスを入れるために︑四〇名以上の多人数で構成さ

  れている︶の四つの専門部会に︑基本的な問題を自由な立場から広く提起するための技術委員会︵のoヨmission tech‑

  nique︶を加えた︑五つの作業部会によって進められている︒

㈲ たとえば︑﹁OCAMのプラン・コンタブル・ジェネラルの実現は︑⁝⁝一九五七年のプラン ︵フランスの現行プラ

  ンー筆者注︶によって引かれた道を延長し深化させるものである﹂︵ocAMプラン序文Ⅷページ︶という表現は

  本プランが︑フランスのプラン・フンタブルの発展的な姿であることを示唆している︒

㈲ たとえば︑税制面において付加価値税の導入という方向で一致しているのは︑その表われである︒

㈲ 以下︑本稿は︑主として︑OCAMプランの序文からⅢまでの最初の部分に焦点を合わせている︒

         ニ プランの概要

○ 成立過程

 本プランが︑フランス国家会計審議会の常任委員の手に成るものであり︑筆者自身︑フランスの会計制度の解

 1      1 ー  ー         ー        X   ー     ーjj

     OCAMプランの研究︵一︶

157

(4)

明という点を強く意識して︑このOCAMのプランに検討を加えているとはいえ︑このプランを︑その本来の姿

においてとらえることこそ︑なによりもまず必要なことである︒そして︑﹁このプラン・コンタブル・ジェネラ

ルの背後にあるエスプリをよく理解するためには︑それが生まれる際におおっていた諸状況およびその作業展開

の状況といったものを︑まず明らかにすべき﹂であろう︒

 会計の標準化は︑今日の経済社会では︑もはや不可欠の要件となっており︑アフリカ諸国にあっても︑そのこ

とは例外ではない︒本プランの序文の初めの部分においても︑﹁標準化︵ロorm匹sagn︶の必要性は︑企業︑諸集

団あるいは国家のあらゆる水準で感じられている﹂と述べられている︒そして︑それが具体的な形で︑本プラン

に関係のある人々の意識にのぼるようになったのは︑一九六七年一二月以降である︒すなわち︑UDEAC︵中

央アフリカ関税経済連合︶の加盟諸国が︑その時以来︑企業経営および国家的経済開発政策の諸要求に応じうる標

準会計制度を作成しうるかどうか︑という疑問を明確に意識するところとなったのである︒

 その後︑翌一九六八年初めに︑OCAMの国家元首会議で︑同盟国共通の会計制度を作るという構想が正式に

採択されると︑構想を具体化するための作業がすぐに始められた︒そして︑一九七〇年一月下旬に︑先の国家元

首会議によって︑本プランが承認され︑その年の一一月に正式発布を見た︒

 一九六五年に成立したばかりのOCAMが︑早速会計の標準化を推し進めることになったのは︑なんと言って

も︑それが経済発展を支えるものとして不可欠であるとの認識に立ってのことである︒そして︑国内においては

国家的政策と企業独自の方針とが対立する際に︑打解策を見出すための客観的用具となりうること︑国際的に

は︑経済連合︵応nions Economyue'︶の建設と︑国際的水準での議論のために︑会計に関するなんらかの共通の

−158 −

(5)

概念的基礎を提供するものであるとの認識が強く働いたようである︒

 さて︑そのような︑歴史的な大よその推移のもとに︑具体的な作業はどのような形で進められたかというと︑

それは︑本プランの序文孤ぺージの図式︵次掲︶に見られる通り︑構想︵89ept‑on︶︑実現︵応白蒸'自︶︑適用

︵application︶の三段階から成っている︒

 ﹁達成すべき目標を決定することは︑この種の企ての第一段階をなす﹂のであり︑その目標というのは︑会計

をとりまく種々の情報利用者の要諸に依存するものであり︑また︑会計

的な処理をするために使用しうる手段を評価してはじめて合理的に決定

しうるものである︒

 会計をとりまく情報利用者は︑大別して次の三者である︒すなわち企

業経営者︵{。en'rep「eoeu﹃︶︑国家︵{。Mtat︶︑それに株主や銀行など企業を

とりまく第三者︵Ftiers︶である︒ここでやや注意を要するのは︑本プ

ランのみならず︑本家フランスのプラン・コンタブルの場合にも︑国家

的鶏点がかなりの比重をもって考慮されているということである︒こと

にそれは︑社会会計と国家的教育への役立ちという配慮を強く有してい

るという側面に特異性を見る︒

 アフリカ諸国のように︑新興国として常に国家的規模で資源の有効利

用を考え︑側々の企業をして国家的配慮のもとに置こうとする際に︑社

−159−

(6)

会会計の資料を企業会計から容易に得られるよう・にしておくことは︑充分考えられるところであるが︑重要企業

の国・公営化か進んでいるフランスにおいても︑企業会計を国民経済の延長上で考えるということは︑最初から

意図せられているところである︒そして︑この点もまたフランスと同様の思考によるのであるが︑国家的教育の

素村としてプラン・コン犬フルを役立てようとする意識も見逃すことができない︒

 それらの点まで含めて︑プラン・コンタブルは︑広くそれらの利用者に役立ちうるものである必要がある︑と

論じられている︒しかるに︑多目的な統一会計制度というものはよく機能するものではなく︑従来は︑ある一定

の目的に限定した上で標準会計制度というものが考えられて来た︒だが︑今や現実に︑﹁企業経営にコンピュー

タを導入することによって︑いろいろな処理方法を同時的に組み込むことが可能になって来ているので︑より多

      ㈲ くの利用者の要求に応える方法﹂を考えることが可能になって来ている︒

 かくして︑会計情報の幅広い利用者の要求を意識し︑情報処理技術の発展をふまえた上で︑どのような目的が

設定され︑﹁実現﹂の段階においてどのような配慮がなされたのであろうか︒

昌 プランの目的

 会計制度を整えるということの根本的なネライは︑先にも見たように︑経済発展を確実に推進するという点に

       ㈲ 置かれているが︑直接的な照準は︑以下の三点に据えられている︒

 ①すべての利用者を満足させうる勘定の意味づけ︒

 ②最も一般的な分析の水準での会計の標準化︒

 ③情報の処理に関する現代的方法への会計の適応︒

−160 −

(7)

 本プランにおいては︑勘定のコード化をもとにし︑各勘定ごとにそれを定義し︑どういう事象がその勘定によ

って処理され︑あるいは逆に処理されてはならないかを明らかにし︑さらに︑それぞれの勘定に︑評価方法など

の注釈がつけられている︒すなわち︑勘定ごとにカード形式にし︑勘定一個一個の意義︵significatioロ︶を強調す

るかたちで︑プランの重要部分が成り立っている︒一九五七年のフランスのプラン・コンタブルに比べ︑この点

は︑本プランの著しい特徴となっている︒なお︑各勘定に関する記載内容については︑四の曰を参照されたい︒

 第二の点に関して言えば︑会計を企業の経済活動の分析に役立ちうるものととらえる立場は︑プラン・コンタ

ブルの特徴的な点である︒会計による情報提供は︑経済活動の分析を通してなされるとする考え方が︑フランス

流の会計観の底流になっていると言うことができる︒ところで︑その﹁分析﹂には︑社会会計ないし国民経済の

レベルでの分析とか︑企業レベルでの諸分析︑ことに経営分析会計︵原価ないし管理会計の領域︶の水準での分析

など︑いろいろなレベルのものが含まれるが︑本プランでは︑個々の企業の特殊性に根ざすような分析について

は︑その可能性を残しつつも︑標準化から来る制約上︑分析は︑最大公約数的な水準で可能なように配慮されて

いる︒すなわち︑費用の性質別分類によって︑﹁付加価値﹂の創造への生産要素の寄与を明らかにするという分

析視点を第一にしながらも︑﹁管理上の諸要求は︑それ以外の分析を要求するので︑分析会計の諸方法の選択に

関し︑一九五七年のプランによって認められている独自性と自由性とが︑ここでも維持されている﹂としている︒

 第三の情報処理技術との適合は︑言うまでもなく︑コンピュータの利用という点であり︑そのための勘定のコ          I ード化を指している︒

目 プランの内容

−161−

(8)

       帥 以上のような主眼点を持って︑本プランが提示するものは︑以下の通りである︒

 ①補足的コード番号︵nomenclatures annexes︶ に支えられた︑主要勘定の十進コード︒それによって︑会計事

象の分類は︑社会会計の概念とも組びついて︑経済的︑法的観念にかかわらせられる︒

 ②使用される勘定の定義︑価値の動きの記録に関する詳細な規定︑評価に関する一般的規定の適用に関する詳

細な規定︒これらは勘定ごとに︑カード形式で明記されている︒

 ③特定の活動︵商業・農業︶ないし︑全体的研究を必要とする会計問題︵包装︑貸借対照表とその他の計算書との連

結など︶にかかわる特殊条項︒

 ④次節で見るような財務諸表のモデル︒

 ⑤費用︑原価および成果の決定原理︒

       ㈲ これらの柱を持ったプランは︑およそ次のように構成されている︒

 I 原則

 Ⅱ 勘定体系︵cadre comptable︶

  A 勘定体系

  B 勘定科目

 Ⅲ 一般的規定

 Ⅳ 術語︑勘定の機能に関する条項および評価原則

  クラス一︑O一⁝長期資本勘定

−162 −

(9)

  クラスニ︑○二⁝固定資産勘定

  クラス三︑〇三⁝棚卸資産勘定

  クラス四︑〇四⁝対人勘定および決算整理勘定

  クラズ五︑〇五⁝財務勘定

  クラス八︑〇八⁝特殊勘定

  クラス六︑〇六⁝費用・損失勘定

  クラス七︑〇七⁝収益・利得勘定

  クラス八︑〇八⁝損益計算に関する残高勘定

  クラス九・経営分析勘定

 V 勘定分類法︵コード化の方法︶

 Ⅵ 財務諸表

 Ⅶ 特別規定

 Ⅷ 補 足      ︵以 上︶

 言うまでもなく︑勘定科目ごとにカード形式で示されたⅣが︑本プランの中枢部分である︒Ⅷの特別規定には

企業内部の会計取引︑売上高︵chiffre d'affaires︶の定義と内容︑合併および再評価に関する規定︑税法との関係

など︑一一の項目にわたる規定が含められている︒

−163 −

(10)

−164 −

(11)

      三 本プランの特質

O 会計の役割

−165 −

(12)

 先にも触れたように︑一個一個の勘定別に︑その勘定の定義や評価方法などの詳細な規定をした点が︑本プラ

ンの大きな特質であることは疑えないが︑本プランを一瞥し︑従来のフランスのプラン・コンタブルと著しく異

なる点として目をひくのは︑会計的総合︵synere8日p一9にe︶に関する見解の変化である︒それは︑一九五七年

のプランが公表されたあと︑付加価値税の導入などが行なわれ︑あるいは情報処理技術が急速に発展するなど︑

外的条件に変化が見られるためであると同時に︑それらを背景にして︑会計に課せられる役割が微妙に変化して

来ている結果にほかならない︒すなわち︑新たなプラン作りを機に︑会計の役割が改めて問われるところとなっ

たのである︒そこでまず︑このプランにおいて︑会計の役割がどのように把握されているかを見てみょう︒

 かつて企業会計は︑一般に︑次のような任務をもったものと考えられていた︒すなわち︑①資源の源泉とその

使途とを記述して︑その構造を解釈し︑解説すること︑②所与の期間の期首と期末との間にこの構造にもたらさ

れた実体︵Srtaロce︶と価値の動きを解釈し解説すること︑の二つである︒

 しかし︑今日︑会計は︑もはや単に第三者に対する情報伝達と証拠︵権利の公正証明︶の手段としてのみ自己を

主張するのではなく︑現代の情報処理技術の適用の結果を示すために︑最も効率のよい総合の用具として自己を

主張する︒このために︑会計は︑企業動態の研究︑すなわち﹁諸々の動きと︑それを惹き起こす諸力との間の関

係についての研究﹂のために︑不可欠なものとなった︒﹁結果﹂︵Feffets︶をコントロールし支配するためにそ

の﹁原因﹂に働きかけようとするなら︑期中のこの動きを明らかにし︑それらを分析することは︑企業にとって

       ① 必要不可欠のことである︒

 そのための望ましい改善のかとつが︑費用・収益の性質別分類ということになったわけであるが︑そのことを

−166−

(13)

通して︑損益計算書に大きな変化がもたらされた︒そして他方では︑財産変動︵ヨ呂vcmemts patrimoniaux︶に関

する財務表が加えられるという姿が生まれたのである︒これらは︑結局のところ︑企業動態の把握を重視し︑フ

ロウ面をより強調しようとする動きとしてとらえることができよう︒

㈹ 損益計算書の改訂

 なによりもまず注目すべき点は︑損益計算書の大幅な改訂である︒フランスの会計制度にあっては︑従来︑損

益計算は︑わが国の損益計算書と利益剰余金計算書の形式に似た︑一般経営計算書︵8mpte d'exploitation gene‑

ral︶と損益計算書︵8Sp'edQtertaQtp3fF︶の二つにおいてなされていた︒しかるに︑わが国で︑経常損益

に特別損益が加えられたかたちで︑ひとつの計算書に統一されつつあるのと歩調を合わせるかのごとく︑このプ

ランでも︑二者が統一的に取り扱われることになった︒しかし︑変更はそれにとどまるのではない︒付加価値の

表示がクローズ・アップされるようになったこともまた︑忘れてはならない特質である︒

 すなわち︑クラス八は︑経営管理の指標的残高︵Ldes caracteristiquesdQneRon︶をいくつか明らかにすると

いう明確な使命を帯びて︑一九五七年のプランとはかなりの相違を見せることとなった︒別言すれば︑クラス八

は︑﹁異なったいくつかの水準での経営の″切断″から結果するのであり︑企業の管理のために利用しうる指標

的大いさを引き出すことに向けられている・﹂そして︑この切断の結果生ずる各セクションでの差額は︑次のセ

クションに引き継がれて︑最終的には︑純会計成果︵r̀sUltat comptable net︶が得られることになる︒つまり︑

このクラス八によって形づくられる損益計算書は︑粗利益︵marge brμQ︶︑付加価値︑経営および経営外成果︑

固定資産譲渡損益︑法人税課税前成果︑法人税︑処分すべき純成果を明らかにする︒

−167 −

(14)

 付加価値税が導入されたこと︑あるいは︑社会会計への役立ちということを考えるのであれば付加価値こそが

重視されるべき筋合いにあることなどのために︑成果計算書の上で付加価値を明らかにしようとする動きは︑フ

ランスにおいても︑次第に大きなものとなって来ている︒ただ現行の付加価値税が︑いわゆる本来の﹁付加価

値﹂にかかる税であるよりは︑むしろ売上高税の色彩を多分に持っているところから︑会計学的に付加価値をど

う取り扱うかが︑改めて問題になっているのが現状である︒フランスの現在の改正作業でも︑付加価値の取り扱

い方がポイントのひとつになっており︑﹃付加価値と企業﹄という冊子が作られて︑広く関係者に意見を求める

という手続きもとられている︒このOCAMプランでの処理の仕方︵詳細は別の機会に譲りたい︶は︑試案の形で︑

そのひとつの解決策を示すものと言えよう︒

白 財産変動に関する財務表

 企業動態への会計的接近は︑抽象的フロウとしての指益計算面での変更をもたらすだけではなく︑具体的な財

貨面でのフロウの把握を不可欠のもとのする︒財産変動を明らかにする本表の採用は︑OCAMプランの最も独

創的な側面を成すものである︒

 財産勘定残高推移表︵HaZeQudepassageau回Ldesdes comptespE‑moniaux︶と呼ばれる本表は︑運動貸借

対照表に近似するものである︒これは︑﹁物理的フロウと財務的フロウとの間︑ないしは︑資源とその使途との

      ㈲間がいかに結びつけられるかを確認することを可能にする﹂ものである︒

 この財務表に︑先に見たような形での損益計算書と通常の貸借対照表の二つを加えたものが︑会計的総合︵つ

まり財務諸表︶の中軸をなす︒

−168 −

(15)

 抽象的費用・収益を基礎とする勤態論のもとに︑財務譜表に資金計算書を加えよという主張がなされながら︑

未だそれが実を結ばないでいるわが国のおり方に対し︑即物的フロウを重視するというかたちで動態論を展開し

つつあるフランス流の会計観の面目が︑ここに如実にうかがえると言えよう︒

 しかし︑詳細に検討を加えてみると︑このいわば運動貸借対照表は︑本プランによって展開されている会計シ

ステムから有機的・必然的に生まれるものではないようであり︑その点で若干問題があるようである︒その辺の

検討︵さらに先の損益計算書についても︶本プランの体系を詳細に見た上で︑改めて行ないたいと思う︒

       四 勘定体系の素描

日 各勘定プランの内容

 本プランの中軸をなす︑勘定に関するプランは︑カード形式︵r{RmQd。umfざに恥︶で提示されている︒ そ

して各カードは︑以下のようなモデルに従って示される一つの勘定に関する規定に対応する︒つまり︑各勘定に

−169−

(16)

 勘定体系は︑大きく二つのものを包含している︒すなわち一つは言うなればフロウに関する部分であり︑もう

一つの部分はストックに関するものである︒前者は︑財産変動︵mouvements patrimonaux︶と経営管理つまり損

益に関する動き︵8日ldegEon︶の二つから成る︒後者は︑貸借対照表を構成する財政状態︵luation patri‑

monEe︶にかかわる︒視点をかえれば︑これらは︑企業の財産の動きと状態に関する部分と︑経営管理つまり企 ついのて説明は︑上に示すような内容 をもった四つの枠内においてなされて いる︒  このカード形式による表示によって 各勘定のそれぞれについて︑個別的な 理解をうることがきわめて容易になっ た︒個々の勘定について具体的にどの ょうな規定がなされているかに関して は︑別の機会に譲るほかはないが︑こ こで︑勘定相互の関連ないしは全体的 な勘定体系の中に占める各勘定の位置 について一瞥を与えてみたいと思う︒ ○ 勘定体系

−170 −

(17)

業の成果算定に直接的にかかわる要素とから成るとも言える︒そして︑これらが二般会計︵co日p{a呂豪刄肌le︶

を構成することは︑わが国の企業会計原則の対象とするところと変わりがない︒

 加えて本プランには︑経営分析会計︑すなわち原価会計ないし管理会計に関する規定が含まれている︒

 一般会計は︑一方では︑当該期間の財業変動を記述し︑期末における企業の積極的消極的財政状態︵すなわち

資産・負債・資本の状態︶を決定し︑他方では︑連続的に諸段階の残余︵∃age・︶を明らかにする︵前節の損益計算

書の項を参照されたい︶ことによって︑経営および経営外の成果と︑その期間に処分しうる正味の成果︵純損益︶

とを決定する︒そして︑一般会計は︑特に︑法的な証拠および検査という役割を演ずるという使命も持った情報

システムを構成する︒そして︑この一般会計は︑最終的には︑次のような三つの会計的状態︵etats comptQF︶を

定期的に公表することを可能にする︒

 ①経営管理の指標的残高表︵損益計算書︶

 ②財産勘定残高推移表︵運動貸借対照表︶

 ③貸借対照表と貸借対株表付属明細表

貸借対照表は︑企業内の資本︵aSt呂凶︶の源泉と使途を全体的に描き︑計算期間の成果を知らしめるものであ

り︑従来の貸借対照表とほとんど変わるところがない︒しかるに①と②には斬新な面が見られる︒この点につい

ては︑すでに前節において触れた︒

 一方の経営分析会計は︑以下のような職能を有する︒

 ①売価あるいは収益性の決定に役立ちうる諸要素を明らかにし︑財貨︵oざe誌︶︑製品ないし用役の送り状作成

一一171−

(18)

一一172 −

(19)

−173 −

(20)

の証拠を提供すること︒

 ②次の二つによって︑経営内部の状態の検討を可能にする︒

  ー経営費用の分析と︑経営費用変化の観察

  ー見積りあるいは予定ノルマと実際費用の比較︑差異分析およびその原因の探究

 ③企業に︑自家製資産︑在庫品︑仕掛品等の資産評価の基礎を提供すること︒

 経営分析会計は︑一般会計の資料に基づきっつも︑自律的なものであって︑両者は︑九〇の照合勘定を通して

結びつけられている︒クラス九は︑経営分析会計のためのものであるが︑この運用については︑各企業の諸事情

に応じて弾力的に考えうる余地を残している︒

 こういった一般会計と経営分析会計の両者を︑前者に重きを置きつつ網羅したものが︑プラン・コンタブルに

なるわけであるが︑勘定体系のシェーマは前掲のようになる︒

 太枠の上半分は︑フロウに関する勘定群であり︑その左半分は貸借対照表にかかわる勘定群︑右側は︑損益お

よび原価に関する勘定群である︒フランスの現行プランでは︑クラス0が︑特殊勘定として主に契約に関する対

照勘定用に充てられているが︑本プランでは︑貸借対照表関係科目の勘定番号の前に﹁0﹂を付して︑当該勘定

の残高を示す勘定に用いられている︒それが︑太枠左下の勘定群である︒

 フロウとストックとを明確に識別したことは︑本プランの大きな特徴である︒これらの勘定が相互にどのよう

に作用して損益決定がなされるか︑といったような問題については︑別の機会に検討するつもりであるが︑この

シェーマのクラス八を一瞥しただけでも︑損益計算の新しい姿勢がうかがえる︒

−174 −

(21)

      哨 そのほかにも︑この勘定体系には次のような特徴が見られる︒

 ①九で終っている主たる変動勘定︵一九から九九までの勘定︶は︑勘定体系の中には表われない︒それらは︑企

業内部の活動の記録に留保されており︑期末に常に残高のみが生ずる︒

 ②管理勘定八七〇﹁処分すべき当期純成果の決定﹂は︑状態勘定○八七五﹁未処分正味成果﹂に振り替えられ

る︒財政状態は︑このことによって均衡を見る︒

 ③勘定体系の右の下段に︑一般会計の諸勘定の動きと残高とを結びつける基本等式が示されている︒

       五 結  び

      ∽ フランスのプラン・コンタブルが︑四〇以上の業種別プランによって実際に運用されているように︑OCAM

のプランもまた︑各国別さらには一国内での業種別プランの支えによってよく機能するところとなろう︒そのよ

うな﹁適用﹂の段階に入りうる″共通の幹″をなすのが︑このOCAMプランである︒

−175 −

(22)

 上に見たよう・に︑情報処理技術の発展︑企業活動の国際化に伴う会計の国際化︑あるいはまた付加価値税の導

入など︑会計をとりまく状態が︑一九五七年当時に比べると︑長足の変化を遂げている点が︑明確に意識され︑

それらを反映するプラン・コンタブルが︑このOCAMプランとして提示された︑と考えることができる︒この

プランが︑フランスの現在の改正作業を方向づけるものである︑と断定することはできないまでも︑その作業を

見きわめるひとつの手がかりを与えてくれるものであることは否定しえない︒

 本稿では︑プランの具体的な内容の詳細については意識的に避けて︑プランのプロフィールを描くことに努め

た︒これによってわれわれは︑OCAMプランの輪郭を理解することができたので︑損益決定原理あるいは評価

原則まで含めた︑本プランの核心に触れる用意を終えたわけである︒次の機会に︑それらの諸点︑さらに︑経営

分析会計と一般会計との位置関係︑そしてまた︑会計制度を支える基本原理なども探ってみたいと思う︒

−176 −

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