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平成18年度研究開発実施報告書(要約)

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42 長崎大学教育学部附属中学校 17~19

平成18年度研究開発実施報告書(要約)

1 研究開発課題

脳科学研究の成果を活用した学習ステージ等を新設した教育課程や指導・評価の在り方 についての研究開発

2 研究の概要

自己に自信を持ち,目標の実現に向けて粘り強くまい進する生徒を育成するために求め られる中等教育期の教育活動の在り方を研究する。具体的には,①脳の前頭前野を効率的 に活性化させる活動に取り組み,学習や諸活動へ向けての脳のウォーミングアップを行う とともに,継続的に取り組むことで自己に自信を持つ学習ステージ「BEST( Basic,

Effective,Speedy,Training )」を新設する。その際,脳科学研究者から指導助言を受 け,トレーニング内容を開発・実施するなど脳科学研究により明らかになった知見の教育 への導入の在り方を探る。また,②多様な探究活動に取り組むことで,さまざまな面から 自己を見つめ,理解し,理想とする自己や個性及び生き方について探る学習ステージ「自 己探求」を新設する。その際,長崎大学や公立高等学校との共同研究体制を生かし,生徒 一人一人の個性を引き出す探究活動を開発・実施する。

3 研究の目的と仮説等

(1)研究仮説

① 前頭前野を効率的に活性化させる活動により,学習や諸活動へ向けての脳のウォー ミングアップを行うとともに,継続的に取り組むことで,自信を持ち,目標に向けて 粘り強く取り組む生徒が育成できるであろう。

② 生徒一人一人の可能性を引き出す探究の場で,多様な探究活動に取り組ませること により,さまざまな面からの自己理解が図られ,理想とする自己の実現に向けて意欲 的に歩み続ける生徒が育成できるであろう。

(2)教育課程の特例

① 前頭前野を効率的に活性化させる学習ステージ「BEST」を新設する。(全学年 各87時間)

② 理想とする自己や個性,生き方について探る学習ステージ「自己探求」を新設する。

(第1学年13時間,第2学年68時間,第3学年148時間)

4 研究内容

(1)教育課程の内容

① 必修教科,道徳の時間,特別活動の授業時数は,すべて現行学習指導要領と同様に 計画・実施した。

② 全学年で,年間87時間の「BEST」を新設し,すべての授業の直前5分間に,

各教科の学習内容を素材としたトレーニングに取り組ませ,その後の学習を効果的に 行うための脳のウォーミングアップを行った。また,日々の学習の成果を記録させ,

それまでの自己の記録と比較させることで,自己の成長を確認させ,自信を持たせる ようにした。

③ 4つの探究活動で構成する「自己探求」を新設し,次の表のとおり実施した。

(2)

④ 「自己探求」の4つの探究活動のねらいは,次のとおりである。

ア 表現探究…さまざまな表現活動を通して,自己のものの見方や考え方を発掘し,

自己理解を深めさせる。

イ 学問探究…専門的な内容の講座を受講させることで,生徒の知的好奇心を喚起し,

学問に対する自己の適性を探らせる。

ウ 社会探究…人類や社会の諸問題を基にして課題を設定し,追究させることを通し て,社会と自己のかかわりについて探らせる。

エ 教科探究…必修教科における自己の学習の成果や課題に照らして教科を選択し,

追究させることで,各教科における自己の学習について考えさせる。

⑤ 「自己探求」の4つの探究活動の実施時期は,次のとおりである。

⑥ 「自己探求」の4つの探究活動の内容・指導方法は,次のとおりである。

ア 表現探究

多様な表現活動に取り組む中で,自己を見つめさせた。学級担任を含むチームテ ィーチングで指導し,学級ごとに実施した。第1学年では,文章表現やビジュアル 表現等を組み合わせた多様な表現活動を楽しませるとともに,自己の考えを顕在化 する方法や効果的な表現方法について学習させた。第2学年では,音声言語表現を 中心として,さまざまな話題について討論する学習を中心に行った。

イ 学問探究

人文科学,社会科学,自然科学,文化芸術の4つの分野の中に,高等学校や大学 における学習内容との関連を図ったさまざまな講座を開設し,長崎大学や高等学校 等からゲストティーチャーを招へいして実施した。第2,3学年合同で,同時期に 14講座以上を開設し,生徒に選択・受講させた。

ウ 社会探究

人類や社会の諸問題の中から自己の課題を設定し,追究する学習活動を行わせた。

第2学年では,教師や第3学年生徒による人類や社会の諸問題についての問題提起 や必修教科の学習内容・方法との関連を図ったガイダンスを実施するなど,課題を 設定させるまでの学習への動機づけを工夫し,学習の充実を図った。第3学年では,

発信の場を2回設定し,発信の結果を追究やまとめに生かさせるようにした。

エ 教科探究

表現探究 学問探究 社会探究 教科探究 合計

第1学年 13 13

第2学年 20 28 20 68

第3学年 28 60 60 148

学年 第1学年 第2学年 第3学年

時期 1~3月 4~7月 9~12月 1~3月 4~7月 9~12月 1~3月

探究 表現探究 学問探究 社会探究 教科探究

活動

教科探究 学問探究

(3)

これまでの自己探求における探究活動の結果や必修教科における学習状況等に照 らして選択・追究させることで,各教科における自己の学習について考えさせた。

講座内容は,各教科の特性が見えるもので,生徒にとって必要性が高いと思われる 内容を設定した。そして,基礎・基本の習得を図る講座と応用・発展的な学習内容 に触れさせる講座の両方を合わせて8講座以上同時期に開設し,1講座30人以内 で編成できるようにした。

⑥ 「自己探求」の時間は,ねらい,学習課題,追究活動,活動形態,評価方法等,総 合的な学習の時間に実施することができると考えられるが,この研究では,「選択教 科」及び「総合的な学習の時間」を再編成し,「自己理解」・「理想とする自己の実 現」という観点から内容等を拡充して,理想とする自己や個性,生き方について探る 学習ステージとして,新設したものである。

(2)研究の経過

実施内容等

第1年次 ○自己実現の基礎を培うための学習ステージを新設した教育課程を開発 し,試行した。

○脳科学研究の成果についての研修を行い,前頭前野を効率的に活性化 させるトレーニングを開発し,実施した。

○中等教育を見直す視点や中等教育の教育活動の在り方を検討した。

○個性の探求を十分に保障し,一人一人の可能性を引き出す多様な探究 活動を設定し,実施した。

○脳科学研究者に脳機能検査の作成を依頼し,第2年次以降の実施方法 や検証の仕方について検討した。

○学習履歴を集約・保管する一つの手法として,個人カルテ(仮称)の 作成方法を検討した。

○卒業生の追跡調査や抽出生徒による調査,研究の成果を確認するため の調査の内容や方法について検討した。

○心理学研究者からの助言を受けながら,粘り強さや目標を実現する態 度等を把握するためのアンケートを作成した。

第2年次 ○第1年次の開発・実施を踏まえて修正した教育課程を,本格的に実施 した。また,その結果を基にしながら,中等教育を見直す視点や中等 教育の教育活動の在り方を再検討した。

○前頭前野を効率的に活性化させるトレーニングを各教科において開発 し,実施した。

○脳科学研究の成果についての研修を継続し,BESTの実施の工夫や 脳科学の教育活動への取り入れ方について検討した。

○自己探求の各学習ステージにおける指導内容や指導方法の工夫と改善 を行うとともに,実施時期及び評価について検討した。特に,共同研 究高等学校との合同教科部会等では,講座内容について検討した。

○自己探求学習ガイド及び個人カルテの様式や作成方法,利用方法を検

討した。

(4)

(3)評価に関する取組

評価方法等

第1年次 ○全生徒のBESTにおける記録(計算速度・音読速度)を蓄積・分析 するとともに,記録の伸びをとらえて生徒の指導及びトレーニング内

容の検討に生かした。 〔毎回の活動時〕

○自己探求の各探究活動における学習状況を観察・記録し,学習内容や 指導方法の改善に役だてた。 〔毎回の活動時〕

○全生徒を対象に,符号合わせテスト,トポロジーテスト,短期記憶テ ストを実施し,脳機能の検査を行った。 〔4月,2月〕

○運営指導委員会を実施し,研究内容や今後の研究の方向性等に対する 指導助言を研究に生かした。 〔6月,2月〕

○研究発表会において,研究構想や実践結果の発表を行い,それに対す る参会者からの意見を研究に生かした。 〔10月〕

○全教師に対するアンケート「研究開発における評価(Ⅰ) 」 を実施し,

研究の評価に生かした。 〔11月〕

○生徒,教師,保護者及び外部に対するアンケート調査等を実施し,研

究の評価に生かした。 〔1月〕

○「『脳科学と教育』に関する校内研究会」を実施し,脳科学研究の成 果の教育への取り入れ方について検討し,脳科学研究者からの指導助 言を第2年次以降の研究計画に生かした。 〔2月〕

○粘り強さや目標を実現する態度等を把握するためのアンケートを実施

した。 〔3月〕

第2年次 ○BESTにおける記録を抽出して分析し,指導に生かすとともに,効 果の検証及びトレーニング内容の開発に役立てた。〔毎回の活動時〕

○BESTに関する校内研究会を実施し,トレーニング内容の開発に役 立てた。 〔定期的な研究全体会の場,1月〕

○自己探求の各探究活動における学習状況を観察・記録し,学習内容や 指導時期,指導方法等の研究に生かした。 〔毎回の活動時〕

○第2,3学年全生徒を対象に,標準学力検査を実施し,国語,社会,数 学,理科,英語における思考・判断等の学習状況を把握した。〔4月〕

○前頭前野等の機能を測定する脳機能検査を実施した。〔5月,2月〕

○運営指導委員会における指導助言を研究に生かした。〔5月,1月〕

○心理測定尺度を基にした調査を実施した。 〔7月,1月〕

○研究発表会において,実践発表を行い,意見交換会やアンケートによ って得られた参会者の意見を研究に生かした。 〔10月〕

○文部科学省研究開発実地調査において,本校の研究内容等を説明し,

いただいた指導助言を最終年次の研究計画に生かした。 〔11月〕

○生徒,教師,保護者及び外部に対するアンケート調査等を実施し,研

究の評価に生かした。 〔12~1月〕

○本校卒業生への追跡調査を実施した。 〔3月〕

(5)

5 研究開発の成果

(1)実施による効果

平成18年1月及び平成19年1月に,生徒・教師・保護者に対して行ったアンケー トの集約結果及び教師による日々の観察を基にして,それぞれの効果について述べる。

アンケートの選択肢は,「6 とてもあてはまる」「5 だいたいあてはまる」「4 ど ちらかといえばあてはまる」「3 どちらかといえばあてはまらない」「2 あまりあて はまらない」 「1 全くあてはまらない」の6段階である。

① 生徒への効果 ア 「BEST」

全生徒に対して行ったアンケートの結果,約9割の生徒が「BESTのねらいや 効果を理解している」「積極的に取り組んでいる」と回答し,約8割の生徒が「計 算や音読よりも各教科ごとの内容があるからよい」「BESTの取組は今後も続け た方がよい」と回答するなど,BESTの取組を肯定的にとらえている。また,約 6割の生徒が「授業にスムーズに入れるようになった」「集中力が持続するように なった」と回答しており,BESTの取組によって,その後の授業に集中して取り 組めると実感している。さらに,約4割の生徒が「BESTに取り組んだことによ って,脳科学研究に対する関心が高まった」と回答しており,脳科学研究領域への 関心の高まりも見られる。

教師の観察による評価では,すべての教師が「生徒は意欲的に取り組んでいる」 , 約9割が「学習の切り替えがスムーズになった」「自己に自信を持つようになっ た」と評価している。また,作品づくりや書く活動に根気強く取り組む生徒が増え るなど,95%が「集中が持続するようになった」と評価している。さらに,毎回 記録を確認させるたびに「よし」「やった」等の達成した際の喜びの声が聞かれる など,充実した取組になっている。そのほか,BESTのトレーニングに粘り強く 取り組める生徒は,他の活動においても熱心に取り組む傾向にあるなど,他の領域 との関連も見えつつある。

イ 「自己探求」

本年度の取組によって「自己探求のねらいを知っている」「自己探求の学習によ り自己の適性や将来について考えるようになった」と回答する生徒が8割近くにま で達している。これは,約9割の教師が「自己探求の取組により,自己の将来につ いて考える生徒が増えた」とする観察の結果によっても言える。また,昨年度の割 合よりもやや下がったものの,学問探究・社会探究・教科探究では,約85%の生 徒が「積極的に取り組んでいる」と回答しているなど,生徒は,自己探求の時間に おける活動を肯定的にとらえ,積極的に取り組んでいる。特に,表現探究・学問探 究・社会探究では約8割の生徒が「将来の生き方を考える上で役に立つ」と回答し ており,自己探求の活動によって自己理解が促進され,自己実現の基礎を培う活動 として効果があると考えられる。

② 教師への効果 ア 生徒への理解

BEST,自己探求共に,必修教科では見ることができない生徒のさまざまな姿

を見ることができるため,生徒理解の視野が広がったと感じている。また,生徒の

変容をつかむために,生き方や粘り強さ,BESTの効果等の研究の評価の視点か

(6)

ら生徒を観察することにより,観察の視点が増えている。さらに,前研究において 取り組んだ「必修教科の指導と評価の改善」の趣旨を転移させて,指導方法を振り 返るためにも,生徒の様子をよく観察しているため,生徒理解が深まっている。

イ 教科への理解

BESTのトレーニングを教科の内容を素材として開発に当たったため,「すべ ての生徒がすらすらと取り組めるか」という視点で各教科の指導内容を見つめ,基 礎・基本を見直す契機とすることができている。自己探求の研究では,学問探究・

教科探究の講座を設定する際に,教科の内容や生徒の学習状況を踏まえる必要があ り,ほとんどの教師が,担当教科に対する理解を深めている。また,表現探究や社 会探究において,課題の設定や追究計画立案,自己の考えの表現等の指導を行う際 には,すべての教科に共通する学び方や表現について研究することとなり,教科に ついて考えることにつながっている。

ウ 考え方・指導方法等の改善

BEST及び自己探求の在り方や指導方法について考察・実践することで,研究 が深まり,併せて改善を図ることができている。BESTについては,生徒への励 ましや記録向上に対する即時評価を頻繁に行うことができている。自己探求におい ては,各探究活動の関連を踏まえながら,見通しを持って指導に当たっており,計 画的な指導・評価を進めることができている。

エ 教師としての満足感

脳科学と教育という新しい領域におけるBESTの研究を行えることに,やりが いや満足感を感じている。また,各教科でトレーニングの開発に当たることで,全 職員で研究を進められることや,眼前の生徒に変容が見られることに満足感を得て いる。自己探求の研究では,自己の専門性を生かすことができたり,教科について 再度学ぶ機会が得られたりすることによって,ほとんどの教師が満足感を得ている。

オ 連携・協力

9割近くの教師が「計画立案のための組織は全員の意向が集約されるようになっ ている」「それぞれの教師は自分の仕事に主体的に取り組み,意欲を持って当たっ ている」「組織の各分野の活動は活発である」など,全体的に連携し合い意欲を持 って取り組めると感じている。

カ 教育実践への意欲及び自信

本校は,教育研究実践校であり,もともと教師の実践意欲が高い集団であるが,

エの項目で挙げたように,他領域の内容を取り入れた先進的な教育実践ができるこ とで,一層意欲が高まるとともに,その成果を自負している。

キ 研究及び研修への意欲及び方法

カの項目同様,研究及び研修への意欲が高い集団であるが,脳科学・中等教育の 内容を研究することや,科学的な分析により検証することなどに,関心を持ち,研 さんを積もうとする意識の高揚が見られる。

③ 保護者等への効果 ア 「BEST」

全家庭を対象に質問紙によるアンケート調査を行った結果,9割近くの保護者が

「BESTのねらいや効果を理解している」,約5割の保護者が「子供とトレーニ

(7)

ングの内容について話す」と回答している。これらは共に,昨年度の調査結果を1 割程度上回っており,BEST実施に対する理解は十分得られ,家庭に浸透してき ていると言える。また,約6割の保護者が「子供の学習における集中力が持続する ようになった」,約半数の保護者が「学習や諸活動において自信を持つようになっ た」「勉強と遊びの切り替えがよくなった」と回答した。さらに,93%の保護者 が「BESTのような脳科学研究の成果を教育活動に取り入れる必要がある」と回 答するなど,BESTの取組は肯定的にとらえられており,関心が高まり,期待が 大きくなっていると考えられる。

また,複数回答を可とした2回のアンケート結果を比較すると,保護者の脳科学 研究についての認知状況の変化は,「脳科学について全く知らない」が昨年度25

%であったのに対し,本年度は約4%まで激減した。他の項目の変化では,「脳科 学研究に関する特別番組や特集記事があれば視聴する」18%→51%,「脳科学 研究に関する書籍類を購入した」2%→約12%,「脳科学研究の成果を取り入れ たトレーニングを行っている」5%→17%等,徐々に増加している。また,17

%が「脳科学に関する講演会に参加した」と回答した。

② 「自己探求」

①と同じアンケートによると,約7割の保護者が「自己探求実施のねらいを知っ ている」と回答し,昨年度の45%から大きく伸びている。また,4つの探究活動 それぞれに対する理解も6~7割に達している。さらに,87%の保護者が「自己 探求のような取組を教育活動に取り入れていく必要がある」と回答し,その理由と しては,複数回答を可として「視野が広がる」26%,「将来を考えるよい機会と なる」24%,「いろいろな経験ができる」21%, 「自己理解に役立つ」18%と なっており,自己実現の基礎を培う活動として,自己探求の実施への期待は高いと 考えられる。

社会探究では,課題の設定や発信において,保護者のアドバイスを得る取組を設 定したこともあり,約半数の保護者が「社会探究の取組について,子供と話すこと がある」と回答した。また,「学問探究の取組について子供と話すことがある」と 回答した保護者は半数近くおり,家庭において,開設講座や講座の内容,ゲストテ ィーチャーについての会話が増えてきたと考えられる。これは,生徒に対するアン ケート結果が「学問探究・社会探究の取組について家族と話す」約半数,「表現探 究・教科探究の取組について家族と話す」約4割であったことと合致する。また,

約9割の保護者が「子供の将来や現在の生き方について,家庭で話す」,約5割の 保護者が「自己探求の取組により,話すことが増えた」(昨年度は約15%)と回 答しており,自己探求の実施によって,生徒の適性や将来,生き方について家族で 話す機会が増えたり,新たに生まれたりしたと言える。

(2)実施上の問題点と今後の課題

年次評価計画において,第3年次に実施する予定であった公立中学校における脳機能 検査は,研究協力校候補の各校における研究のねらいと合致しない点があり,実施する ことができなくなった。そのため,次のように対応する。

1 研究の評価方法②の「BEST研究の公立中学校における有効性」は,研究の

評価方法③の「BEST研究の妥当性」において実施する予定であったアンケー

(8)

ト調査の実施範囲を広げ,長崎県下の全中学校を対象に実施し,「BESTと類 似した取組を行っているか」「教育課程や日課にどのように位置づけているか」

「生徒の様子」 「職員への受け入れられ方」等を調査して,分析する。

2 本校生徒と他の中学生との比較は,既に共同研究で調査中の「子どもの脳機能 コホート研究」による検査・調査の結果を利用して分析する。

平成17年11月に,研究開発における評価(Ⅰ)を基にした教師用アンケートを実 施し,「4 とてもそう思う」「3 そう思う」 「2 あまりそう思わない」 「1 全くそ う思わない」という4段階評価で回答を求めた結果,51項目のうち「4」「3」の評 価を合わせた数値が過半数に達しなかったものは12項目であった。本年度は,これを 基に改善策を立案して取り組み,同じアンケートを平成18年12月に実施したところ,

不十分と判断されたものは「 (2)研究計画②のケ」及び「 (3)実施①のク」の「同一 課題について共同で研究開発を行っている学校との連携」に関する2項目だけとなった。

また,平成18年11月22日に実施された文部科学省による実地調査では,最終年 次の研究に向けて研究の指針を示していただけた。

以上の点のほか,教師向けアンケートの結果及び研究全体会における議論を踏まえる と,最終年次に残された課題としては,主に次の5点が挙げられる。

○本教育課程の全体構想を再検証し,研究開発の最終的な提言をより一層明確にする とともに,具現化する。

○同一課題についての研究校と連携して,データの分析等を行うことで,脳科学研究 の成果の教育への生かし方や中等教育期の教育の在り方についての研究を深める。

○検証データの収集を継続するとともに,さまざまな方法で分析を行い,BEST及 び自己探求の効果についてまとめる。

○教科で開発したBESTトレーニングを吟味し,時期や学年,単元(題材)等のま とまりで整理する。

○自己探求の指導内容を厳選し,実施計画を作成するとともに,学習ガイドや個人カ ルテの作成と利用についてまとめる。

最終年次では,これらの課題に全力で取り組みつつ,現在の教育の動向に目を向けな

がら,現行の学習指導要領の下での実施の可能性についても研究していきたい。

(9)

別紙1 長崎大学教育学部附属中学校 教育課程表(平成18年度)

各必修教科 道 特 B 自 総

徳 別 授

国 社 数 理 音 美 保 技 英 の 活 E 己 業

健 術 時 動 時

体 ・ 間 S 探 数

育 家

語 会 学 科 楽 術 庭 語 T 求

第1学年

140 105 105 105 45 45 90 70 105 35 35 87 13 980

第2学年

105 105 105 105 35 35 90 70 105 35 35 87 68 980

第3学年

105 85 105 80 35 35 90 35 105 35 35 87 148 980 計 350 295 315 290 115 115 270 175 315 105 105 261 229 2940

現行学習指導要領に増減なし 現行学習指導要領 選択教 総合的 科等に な学習 区分 充てる の時間 授業時 の授業

数 時数

0 70

第1学年 ~ ~

30 100 50 70

第2学年 ~ ~

85 105 105 70

第3学年 ~ ~

165 130

(10)

別紙2 学 校 等 の 概 要

1 学校名、校長名

長 崎 大 学 教 育 学 部 附 属 中 学 校 中西弘樹

ナガサキダイガクキョウイクガクブフゾクチュウガッコウ

2 所在地、電話番号、FAX番号

長崎県長崎市文教町4番23号 電話 095-819-2277 FAX 095-819-2279

3 学年・課程・学科別幼児・児童・生徒数、学級数

第1学年 第2学年 第3学年 計

生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数

210 5 208 5 206 5 624 15

4 教職員数

校長 副校長 教頭 教諭 養護教諭 非常勤講師 ALT 事務職員 計

1 1 1 23 1 5 1 4 37

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