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(1)

総 合 都 市 研 究 第 66 号 1998

都市在宅重症心身障害児の介護者の QOL 指標に関する研究

1 . 緒 言 2 . 研究方法 3 . 結果と考察 4 . 結 論 5 . 今後の課題

5 7  

綿 祐 一 本 山 崎 秀 夫

要 約

1991 年の厚生省の身体障害児実態調査の報告によれば、障害児の障害の重度化、重複 化が示唆され、障害児の介護状況では、約 70 %の障害児が日常生活を送る上で何らかの 介助が必要であると報告されている。介護環境では、主介護者の 9 3 . 1 %が母親であるこ

とが報告されている。

このような現状から障害児の社会生活を考えたとき、介護を負担している親の持つ役割 は極めて大きく、今後障害児を持つ親の介護環境の整備が求められる。これまでの福祉サー ビスの支援は要介護者を中心とした施策が多く、介護者の福祉サービスの支援は立ち後れ ているのが現状である。要介護障害児の生活の質 ( Q u a l i t y o f   L i f e 以下 QOL) の向 上を考えるとき、同時に介護者の QOL についても考えていかなければならない。特に在 宅障害児の主介護者である殺の介護環境の整備は急務である。そこで本研究では、在宅要 介護重症心身障害児を持つ親の介護生活について着目し、その現状および問題点を明らか にし、介護者の QOL 項目の抽出を試みた。

D r o t e r   ( 1 9 9 4 ) は、母親が障害を持った児童を出産したときの障害受容過程として1) ショックの段階 ( s h o c k ) → 2 ) 否認の状態 ( d e n i a l ) → 3 ) 悲しみと怒りの状態 ( s a d n e s s and  a n g e r ) → 4 ) 適応の段階 ( a d a p t a t i o n ) → 5 ) 再起の段階 ( r e o r g a n i z at i o n ) が あると報告している。その障害の受容過程を経て、介護者自身の介護生活が安定すると報 告している。

そのため本研究は、在宅要介護障害児の主介護者を対象として、介護発生から介護生活 受容までの過程を D r o t e r の障害受容過程を適用し、ショックの段階から怒りと悲しみ段 階までの障害受容ができていないプロセスのうち「介護生活の状況の最も悪かった時期」

と適用の段階から再起の段階のうち「介護生活の状況の最も良かった時期」の 2 つのライ フステージの介護生活の現状を明らかにして、介護生活における介護者の QOL を捉える

*  東京都立大学理学研究科

日東京都立大学都市科学研究科

(2)

5 8   総 合 都 市 研 究 第 6 6 号 1 9 9 8

要因を抽出し、介護者の QOL 指標の検討を行うことを目的とした。

本研究は都市圏近郊の在宅要介護障害児の主介護者である親 59 名を対象として、質問 紙による直接インタビュー調査を実施した。調査では、障害児の出産時、介護環境の悪か った時期、介護環境の良かった時期の 3 つのステージにおける介護環境に関する項目につ いて回答を求めた。

介護者の生活に対する自己評価は、出産時および介護生活の中で最も状況の悪かった時 期と最も状況の良かった時期について想起法 (Reca !l)により行った。そして、基本的 属性、介護に関する負担度、在宅福祉サービスの利用度、介護者の生活自己評価の介護生 活の中で最も状況の悪かった時期と最も状況の良かった時期の差異などの分析を行った。

主な結果は以下の通りであった。 1 )介護者が介護生活を受容して、 QOL を向上して いくための「障害の受容 J は、介護者本人の受容とともに友人など周囲の人の受容も必要 であること、 2) r 他者の協力」は、実働的な援助よりも精神的な援助がどこまでできて いるかを測定すること、 3) r 介護者の生活」では介護者が自由裁量できる時間をどれく

らい持っているか、デイサービスやショートステイの利用度など時間的要因にかかわる項 目で測定すること、 4 ) r 介護者の心理的側面 J では、障害児の存在および共生意識がど こまであるかを測定すること、 5) r 社会的側面」では気楽に参加できるグループの存在 や情報収集する場があるかどうかを測定することなどがあげられた。

1  . 緒 言

厚生省の身体障害児実態調査(1 99 1)の報告に よれば、障害児数は全国で約 8 , 1 000 人であり、そ のうち肢体不自由児が 5 9 . 9 %と 1987 年の調査と 比較して約 2% の増加がみられた。障害程度の年次 比較では I 級が 2 6 . 5 %増と障害の重度化、重複化 が示唆されている。また、障害児の生活介護状況 では、日常生活を送る上で全面介助が 44.9% 、一 部介助が 28.2% であり、約 70% の障害児が日常生 活を送る上で何らかの介助が必要であると報告し ている。また、その介助を担う主介護者の 9 3 . 1 %  が親であり、次いで祖父母が 7 . 4 %を占めていた。

このような現状から障害児の社会生活を考えた とき、介護を負担している親の持つ役割は極めて 大きく、同時に障害児を持つ親の介護環境の整備 が急務であることが指摘できる。これまでの福祉 サービスの支援は要介護児者を対象とした施策が 多く、介護者の福祉サービスの支援は立ち後れて いるのが現状である。在宅介護における福祉サー ビスの 3 本柱のひとつである「ホームヘルプサービ

ス」の派遣基準をみても「家族の介護が受けられ ない障害児者」の全面介助が 1 8 時間である一方、

「家族の介護が受けられる障害児者」は 12 時間と 少な L 、。さらに一部介助になると「家族の介護が 受けられない障害児者」は 12 時間であるが、「家 族の介護が受けられる障害児者」は 4時間である。

つまり在宅介護者にとってホームヘルプサービス は時間的にあまり使えず、在宅介護者の負担増加 に つ な が っ て い る も の と 推 測 で き る 。 竹 中 ら ( 1 9 9 8 ) は、介護者の視点で提起される家族介護の 問題点として1)家族が故の精神的負担、 2) 一方 的介護、 3) 終わり無き介護生活をあげている。

要介護障害児の生活の質 ( Q u a l i t y o f   L i f e 以 下QOL)の向上を考えるとき、同時に介護者の QOL についても考えて L 、かなければならない。特に在 宅障害児の主介護者である親の介護環境の整備は 急務である。そこで本研究では、在宅要介護重症 心身障害児を持つ親の介護生活について着目し、そ の現状および問題点を明らかにして、介護者の QOL 指標の項目について検討した。

介護者を対象とした研究は、 1970 年代より要介

護高齢者の介護者を対象とし展開されるようにな

(3)

綿・山崎.都市在宅重症心身障害児の介護者の QOL 指標に関する研究 5 9  

ってきた。 Z a r i t( 1 9 8 0 ) は、介護負担度を身体的 負担感、経済的負担感、精神的負担感によって定 量化しており、特に介護生活の負担度では精神的 負担度が高いことを報告している。これまでの介 護負担に関する研究では、「介護負担」について介 護者の主観的評価によって評価するものが中心で あり、荒井ら ( 1 9 9 7 ) は、介護者の負担感につい て Z a r i t の介護負担尺度を用いて、主観的評価尺度 の信頼性および妥当性について検証し、介護負担 の定量化の妥当性を報告している。

また、障害児の主介護者の介護負担に関する研 究は極めて少ない。主介護者のほとんどが親であ るという特殊性があること、また障害児の介護状 況が子どもの発育発達によって変化することなと により、研究の多くが主に発育発達や特殊教育学 の領域で進められており、障害児を持つ親の介護 負担に関する研究は極めて少ないのが現状である。

毛利ら(1 9 9 5 ) は要介護障害児の主介護者が親 であった場合の介護負担は、親の障害受容と有意 な関連があることを報告している。また、 D r o t e r ( 1 9 9 0 ) は、母親が障害を持った児童を出産したと きからの障害の受容過程として、1)ショックの段 階 ( s h o c k ) → 2 ) 否認の状態 ( d e n i a l)→ 3 ) 悲 しみと怒りの状態 ( s a d n e s s and  a n g e r ) → 4 )   適 応 の 段 階 ( a d a p t a t i o n ) → 5 ) 再 起 の 段 階

( r e o r g a n i z a t i o n ) があると報告している。このプ

ロセスによって子どもの障害を受容し、介護生活 の安定があることを指摘している。これらのこと より要介護障害児の主介護者が親であった場合、介 護者の QOL は障害の受容に大きく影響を受けるこ とが予測される。そこで本研究では、介護者の介 護生活をひとつの過程と捉え、 D r o t e r の障害受容 のプロセスを適用し、ショックの段階から怒りと 悲しみ段階までの障害受容ができていないプロセ スと適用の段階から再起の段階の障害受容ができ ているプロセスの 2 つのライフステージから介護者 の介護生活の実態を明らかにしていくことに着手 した。さらに主介護者の介護生活によって生じる 日常生活へ及ぼす影響について論及し、要介護障 害児の主介護者自身の介護生活における QOL の指 標としての可能性を検討した。

本研究は、在宅要介護障害児の主介護者を対象 として、介護発生から介護生活受容までの過程を D r o t e r の障害の受容過程を適用し、ショックの段 階から怒りと悲しみ段階までの障害受容ができて いないプロセスのうち「介護生活の状況の最も悪 かった時期」と、適用の段階から再起の段階のう ち「介護生活の状況の最も良かった時期」の介護 生活の現状を明らかにして、介護生活における介 護者の QOL を捉える要因を抽出し、介護者の QOL 指標の検討を行っていくことを目的とした。

│ショックの段階 ] q ¥ 否認の状態 ] q l 悲しみと怒りの段階 ] q l 適応の段階 I  ql 再起の段階 │ 

( D r o t e r ,  1 9 9 0 )  

子どもの障害の受容ができない 子どもの障害の受容ができる

ι  ι 

~ r 介護生活の状況の最も良かった時期

比較検討 ι 

介護生活の受容

図 1 重症障害児の主介護者(親)の障害受容過程および介護生活過程

(4)

60  総 合 都 市 研 究 第 66 号 1998

2 . 研究方法

都 市 圏 近 郊 の 在 宅 要 介 護 障 害 児 の 主 介 護 者 で あ る 親 59 名 を 対 象 と し て 、 質 問 紙 に よ る 直 接 イ ン タ ビ ュ ー 調 査 を 実 施 し た ( 但 し 、 先 天 性 疾 患 に よ る 障 害 児 の 親 お よ び 主 介 護 者 ( 親 ) が 介 護 生 活 の 受 容ができている対象者を有意抽出した)。調査では、

障 害 児 の 出 産 時 の 障 害 の 受 容 お よ び 介 護 状 況 、 介 護 環 境 の 悪 か っ た 時 期 と 介 護 環 境 の 良 か っ た 時 期 の 2 つ の ラ イ フ ス テ ー ジ に お け る 介 護 環 境 に 関 す る 項 目 に つ い て 回 答 を 求 め た 。 調 査 項 目 は 1 ) 対 象 者 の属性(年齢、性別、家族構成)、 2 ) 要 介 護 障 害 児 に 関 す る 項 目 ( ① 要 介 護 障 害 児 の 介 助 状 況 ② 疾 患③年齢④性別⑤家族の協力)、 3) 在 宅 福 祉 サ ー ビスの利用状況、 4) 障 害 児 出 産 時 の 障 害 の 受 容 、 5 ) 介 護 環 境 ( ① 障 害 の 受 容 ② 他 者 の 協 力 ③ 介 護 者 の 生 活 ④ 介 護 者 の 心 理 的 側 面 ⑤ 社 会 的 要 因 ) 6) 自 由 記 述 ( ① 介 護 者 の 不 安 ② 介 護 者 が 望 む 福 祉 サ ー ビ ス ③ 介 護 生 活 の 状 況 の 最 も 悪 か っ た 時 期 の 出 来

事)であった。

介 護 者 の 生 活 に 対 す る 自 己 評 価 は 、 想 起 法

(Reca ll)により出産時および介護生活の状況の最 も 悪 か っ た 時 期 ( 質 問 紙 で は 「 一 番 辛 か っ た 時 期 」 と 明 記 ) と 介 護 生 活 の 状 況 の 最 も 良 か っ た 時 期 に つ い て の 測 定 を し た 。

分 析 で は 、 基 本 的 属 性 、 出 産 時 の 障 害 の 受 容 の 現 状 、 在 宅 福 祉 サ ー ビ ス の 利 用 度 、 介 護 者 の 介 護 環 境 項 目 の 最 も 状 況 の 悪 か っ た 時 期 と 最 も 状 況 の 良 か っ た 時 期 の 差 異 な ど を 検 証 し た 。

3 . 結果と考察

( 1 ) 基 本 的 属 性 に つ い て

要 介 護 障 害 児 は 男 性 が 26 名 、 女 性 33 名 で 平 均 年 齢 14.3 歳(士 8.80) で あ っ た 。 疾 患 は 脳 性 麻 痩 39 名 、 機 能 障 害 8 名 、 進 行 性 筋 ジ ス ト ロ フ ィ ー が

5 名 、 染 色 体 異 常 症 2 名 、 そ の 他 5 名 で あ っ た 。 一 方 、 介 護 者 は 全 員 が 女 性 で あ り 、 平 均 年 齢 44.3 歳 ( : t   4.34) で あ っ た 。 被 介 護 者 と の 関 係 は 、 全 員 が

表 1 障 害 児 の 出 産 時 の 樟 害 の 受 容 状 況

内 容

障害がなく元気でかわいい赤ちゃんが産まれてくると恩っーで F 支 障害児が幸せになれるなんて、その時の私には想像できなかった それまで障害児・者に対して偏見があった

障害は個性のひとつと思っていた

本当に子どもが産まれたのかわからなかった 病院の先生の対応の仕方が不安だった

産まれてきたわが子に対して病院の先生はちゃんと話してくれた わが子が気になって安心して体を休めることができなかった 赤ちゃんが産まれたうれしさを感じる余裕などなかった わが子が障害児であるとわかった時の衝撃は大きい よその赤ちゃんが気になり自分の子と比較してしまった

自分自身が泊ックで、産後の体力の回復もままならない状態であった もうこの子は幸福な人生をおくることはできなし、と思い込んでいた 私の子が障害児だったとし、う事態にまず打ちのめされてしまった ただわが子が障害児であることが辛かった。

自分が障害児の親であることを認めたくなかった

世間の目が気になりわが子が障害児だということを隠していた わが子の障害を個性のひとつだと受け止めることができなかった はじめから堂々と前向きな姿勢で暮らしを始められることができた

子どもや夫や、家族に対して申し訳なくうしろめたさがあり、悩んだことがあった いつも不安で胸が締めつけられるような感じだった

どうして私の子がそんな苦しみを負わf よければならないのか一。とJ 思った

いったい私が何をしたというのか?という理不尽なことを押しつけられた納得のいかない思いがあった 無力な自分にたまらなく腹が立って、感情的にコントロールがきかなくなっていた

自殺を口に出すとかその真似をするまでになったことがある 夫がとにかく支えてくれた

祖父母がとにかく支えてくれた 親戚やいとこがとにかく支えてくれた 友人がとにかく支えてくれた

mean*  S . D  

4 . 6 1   0 . 7 0  

2 . 2 7   1 . 2 7  

2 . 7 8   0 . 9 6  

1 . 8 0   0 . 8 7  

2 . 0 2   1 . 1 8 

3 . 4 3  1 . 3 4  

2 . 8 4   1 . 1 6 

3 . 9 4   0 . 8 5  

3 . 2 0   1 . 8 8  

4 . 3 9   1 . 0 4  

3 . 7 8   1 . 4 0  

2 . 6 3   1 . 2 9  

3 . 1 6   1 . 4 8  

3 . 2 2   1 . 3 0  

2 . 9 2   1 . 0 2  

2 . 2 2   1 . 0 9  

1 . 6 7   0 . 9 0  

3 . 2 0   0 . 9 8  

2 . 4 7  0 . 8 4  

2 . 9 2   1 . 4 0  

3 . 6 1   1 . 2 2  

3 . 5 1   1 . 5 0  

3 . 5 9   1 . 2 7  

2 . 8 0   1 . 2 2  

2 . 3 1   1 . 6 0  

4 . 0 0   1 . 3 8  

3 . 8 4   0 . 9 4  

3 . 0 8   0 . 9 3  

3 . 5 9   0 . 9 1  

キ(I非常に思う 2 ) 思 う 3 どちらでもない 4 忠わない 5 非常に恩わない)を間隔尺度化し算出した

(5)

綿・山崎:都市在宅重症心身障害児の介護者の QOL 指標に関する研究 6 1  

母親であった。要介護障害児の介助状況は、食事 の面で一部半介助があるもののほとんどの者が全 面介助の生活を送っていた。

(2)  出産時の障害の受容

表 1 は、障害児の出産時の母親(主介護者)の障 害の受容を示したものである。「障害がなく元気な 子どもが生まれてくると思っていた」が平均 4 . 6 1 、

「障害児であることがわかったときの衝撃が大き L、 」 が平均 4 . 3 9 で高い数値を示した。自分の描いてい た出産と「我が子が障害児」という現実との聞に 意識の大きな隔たりがあったことが推測される。一 方で「自分が障害児の親であることを認めたくな い」は平均1. 67 と低い数値を示し、親としての自 覚および障害を受容しようとする意識は高いこと を示している。また、この時期を支えてくれた他 者として夫、祖父母、友人、親戚の順で支持度が 高かった。特に出産時では、夫の精神的支えによ

って乗り越えている様子が窺われる。

(3)  介護生活状況の差異(介護状況の最悪時、最 良時の差異)

1) 介護者を支えていた人物

表 2 は、介護者の介護生活の状況の最も悪かった 時期および介護生活の状況の最も良かった時期に おける「支えていた人物」を示したものである。介 護生活の状況の最も悪かった時期では、「介護者の 夫」が 26 .4%と最も高く、次いで「介護者の親」の 1 8 . 9   %であった。一方、介護生活の状況の最も良 かった時期では、「介護者の夫」が 37.5% で最も高

く、次いで「兄弟」が 25% であった。しかし、介 護者の親は 3.6% と低い数値を示した。介護生活の 状況の最も悪かった時期では、夫や親など身近な 存在が支えとなっている。この身近な存在が主介 護者の不安やストレスを解消する役割を担ってい ることが窺える。また、介護生活の状況の最も良 かった時期では兄弟などを含めた家族全体が協力

し支えになっていることがわかる。

2 ) 福祉サービスの利用状況

表 3 は、介護生活の状況の最も悪かった時期と介 護生活の状況の最も良かった時期の福祉サービス の利用状況である。介護生活の状況の最も悪かっ た時期では、 1 0 . 2 %の介護者が何も利用していな かった。一方介護生活の状況の最も良かった時期 では、全員が何らかのサービスを受けていた。ま た、利用総件数も介護生活の状況の最も悪かった 時期では 96 件であるのに対して介護生活の状況の 最も良かった時期では 228 件の利用があった。

介護生活の状況の最も悪かった時期では、「紙お むつ支給」の利用率が全体の 47.5% と最も高い数 値を示した。次いで利用率 23.7% の「ホームヘル

ノ ‑ ¥ ' ‑ J であった。一方介護生活の状況の最も良か った時期では、「タクシー券・ガソリン券の支給」

が利用率 8 1 . 4 %で最も高く、次いで利用率 74.6%

の「紙おむつ支給」のサービスが高かった。さら に介護生活の状況の最も良かった時期では、デイ サービス事業や地域レスパイト事業など社会福祉 サービス事業の利用率も高かった。介護生活の状

表 2 主介護者を支えていた人

( n = 5 9 l   叢も悪かった蒔期 叢も畏かった蒔期

n*  %*  n*  %* 

介護者の祖父母 8  1 5 . 0 9   4  7 . 1 4   介護者の親 1 0   1 8 . 8 7   2  3 . 5 7   介護者の夫 1 4   2 6 . 4 2  2 1   3 7 . 5 0   兄弟 6  1 1 . 3 2   1 4   2 5 . 0 0   友人 6  1 1 . 3 2   6  1 0 . 7 1   他の障害児の親 4  7 . 5 5   4  7 . 1 4   学校の先生 1  1 . 8 9   1  1 . 7 9 

自分 1  1 . 8 9   l  1 . 7 9  担当 PT l  1 . 8 9   1  1 . 7 9  その他 2  3 . 7 7   2  3 . 5 7   TOTAL  5 3   1 0 0   5 6   1 0 0  

*無効回答を除き、%を算出した

(6)

62  総 合 都 市 研 究 第 6 6 号 1 9 9 8

況の最も悪かった時期は、福祉サービスを有効に 利用していないが、介護生活の状況の最も良かっ た時期は、障害児とともに外出するなどの機会が 増加し、有効に福祉サービスを利用していること がわかる。またこの時期に利用しているデイサー ビスやレスパイトサービスなどは、介護者にとっ て自分自身の時聞をつくる上で大変重要な意味を 持っており、有効活用されていると思われる。

医療費控除の利用は、介護生活の状況の最も悪 かった時期は、その情報を得ていなかったなどの 自由記述もあり、介護生活の状況の最も悪かった 時期に有効かっ必要な福祉サービスの情報が円滑 に伝達されていないことが予測される。

3) 介護環境

表 4 は、介護生活の状況の最も悪かった時期と介 護生活の状況の最も良かった時期の介護者の介護 状況を比較したものである。

障害の受容の項目では、 14 項目中 6 項目で有意 差が認められた。特に「家族全員が障害を受け止 める J (p<.OO 1 )   ["祖父母が障害を理解 J (p <  . 0 5 )  

「友人が理解 J (p<.05) の項目で有意差が認めら れた。夫など介護者にとっての身近な存在は、介 護生活の状況の最も悪かった時期でも理解を示し てはいるが、介護者の周囲の人たちの理解を求め

ることが介護生活を安定させていくことにつなが っていることも推測できる。

他者の協力の項目では、「良きアド、パイスをして くれる人の存在」と「こころを開いて弱音を吐け る、愚痴をこぼせる友人の存在」の 2 項目に有意差 (p  <  . 0 5 )が認められた。介護生活の実働的な他者 の援助よりも精神的な援助が求められることが示 唆されている。介護生活の安定には介護に行き詰 まった時の適切なアドバイスや愚痴やストレスの はけ口が必要なことがわかる。しかも、その存在 が家族よりも少し離れた友人や仲間であることで、

より有効性を持つことが示唆される。

介護者の生活の項目では、 9 項目中 4 項目で有意 差が認められた。中でも「子どもの世話だけで日 が暮れてしまうように感じる J (p  <  . 0 0 1 )   ["ゆっく りと過ごす時聞がある J (p <  . 0 0 1 )   ["自分を解放す る時聞がつくれる J (p<.05)の 3 項目は、介護者 にとっての時間的要因を示す項目である。介護環 境を整備するためには、介護者が自分自身のため の時聞を持つことが重要であることが示唆される。

つまり、デイサービス、ショートステイ、レスノ f イトサービスなどの福祉サービスを有効利用する ことなどによって自分の時間を作ることの大切さ が内包されていると考えられる。

表 3 福祉サービスの利用状況(複数回答)

( n = 5 9 )   介護生活の状況 叢も悪かった時期 叢も貫かった時期

n  利用率(唱,)* n  利用率(百,)*

あり 5 3   8 9 . 8 3   5 9   1 0 0   医療費控除 6  1 0 . 1 7   2 8   4 7 . 4 6  ホームヘルパー 1 4   2 3 . 7 3   2 1   3 5 . 5 9   ボランティア 7  1 1 . 8 6   1 4   2 3 . 7 3   訪問看護 2  3 . 3 9   6  1 0 . 1 7   緊急一時保護 8  1 3 . 5 6   1 1   1 8 . 6 4   装具作成負担金 1  1 . 6 9   1  1 . 6 9   タクシー券・ガソリン券 7  1 1 . 8 6   4 8   8 1 . 3 6   紙おむつ支給 2 8   4 7 . 4 6   44  7 4 . 5 8   療育センター 3  5 . 0 8   3  5 . 0 8   ディサービス事業 8  1 3 . 5 6   1 2   2 0 . 3 4   地域レスパイト事業 5  8 . 4 7  1 8   3 0 . 5 1   各種手当て 7  1 1 . 8 6   2 2   3 7 . 2 9   利用件数合計 9 6   2 2 8  

*利用率は、全体の何%が利用しているかを不したもの

(7)

綿 ・ 山 崎 : 都 市 在 宅 重 症 心 身 障 害 児 の 介 護 者 の QOL 指 標 に 関 す る 研 究 6 3  

表 4 介 護 生 活 状 況

(介護生活の状況) 量も悪かった蒔塑 量も良かった蒔塑

e a n

S . D  

e a n

S . D   t‑TEST  障害の受容

障害を家族全員がしっかり受けとめている 3 . 9 8   0 . 9 7   4 . 6 6   0 . 5 5   ホ**

わが子が常にどうし、う状態なのか家族全員が知っている 4 . 3 6   1 . 1 6  4 . 4 6  0 . 7 5   障害についてありのままに話せる。 3 . 7 3   1 . 5 5   4 . 1 2   1 . 08  わが子を「実に個性的な子だなあJ と思うことができる 3 . 0 3   1 . 1 6  3 . 9 5   0 . 7 3  

キキキ

『かわいいなあ」とわが子をしみじみと感じる 4 . 0 7   1 . 07  4 . 8 1   0 . 3 9   * * *  

その子らしさの特徴を認めて受け入れている 3 . 9 3   0 . 9 1   4 . 6 6   0 . 5 1   * * *  

将来のことを考えると不安がいっぱいで心配になることがある 4 . 0 7   1 . 4 1   3 . 8 6   0 . 7 8   本人に病気や障害について話している 2 . 7 5   1 . 58  2 . 3 3   1 . 46  本人に病気や障害についてありのまま話している 2 . 7 4   1 . 57  2 . 3 3   1 . 46  夫は、わが子について十分理解している 4 . 0 7   1 . 02  4 . 2 2   1 . 04  祖父母は、わが子について十分理解している 3 . 2 9   0 . 9 5   3 . 7 1   1 . 0 1  

親戚の方や、従兄弟の方はわが子について十分理解している 3 . 0 2   1 . 1 5  3 . 1 7   1 . 09  近所の方は、わが子について十分理解している 2 . 9 8   1 . 1 7  3 . 0 5   1 . 25  友人は、わが子について十分理解している 3 . 5 4   1 . 25  4 . 0 5   0 . 5 4 ホ

他者の協力

よきアドバイスをしてくれる人が身近にいた 3 . 7 1   0 . 7 0   4 . 1 4   0 . 9 9  

今後の治療や療育に関して同居している人左一緒に病院へ聞きに行っている 3 . 9 8   1 . 27  4 . 1 4   1 . 1 7  夫が妻の話に耳を傾け、その気持ちをよく理解してくれる 3 . 9 7   1 . 29  4 . 2 9   0 . 9 7   夫は育児や家事を一緒に手伝ってくれる 3 . 7 8   1 . 55  4 . 2 0   1 . 35  祖父母、兄弟等も一緒に手伝いをしてくれる 3 . 2 2   1 . 1 3  3 . 5 4   0 . 9 1   夫がいつも支えてくれる 4 . 1 4   1 . 07  4 . 2 0   0 . 9 4   祖父母がいつも支えてくれる 3 . 6 3   0 . 9 1   3 . 2 0   1 . 40  家族がいつも支えてくれる 4 . 1 0   1 . 0 1   4 . 3 9   0 . 8 1   近所の方がいつも支えてくれる 2 . 5 8   1 . 33  2 . 7 5   1 . 29  友人がいつも支えてくれる 3 . 8 5   0 . 8 5   4 . 0 3   0 . 6 4   心を開いて弱音を吐ける、愚痴がこぼせる友人がいる 3 . 4 8  1 . 64  4 . 0 7   1 . 1 9 

介護者の生活

家ではいつもいろいろな雑事で半日や一日があっという聞に過ぎてしまうと感じる 4 . 3 2   1 . 1 5  4 . 3 2   0 . 7 8   子どもの世話だけで日が暮れてしまうように感じる 4 . 4 9  1 . 2 1   3 . 4 2  1 . 1 3 

キキキ

ゆっくりと過ごす時聞がある 1 . 76  0 . 7 7   2 . 9 3   1 . 1 1  * * *  

慢性的な寝不足がある 3 . 5 4   1 . 2 1   3 . 6 8   1 . 36  いつも心身ともにクタクタである 3 . 5 8   0 . 9 3   3 . 0 5   0 . 9 0   * *  

腰痛や肩こりがひどい 3 . 6 6   1 . 27  3 . 7 6   0 . 7 5   気怠い感じがする 3 . 2 5   1 . 1 5  3 . 2 5   1 . 08  自分を解放できる時間をつくりだすことができる 3 . 0 5   1 . 1 2  3 . 5 9   0 . 9 7  

生まれたときからのわが子の成長記録(写真)などがある 4 . 1 4   1 . 0 1   4 . 2 9   0 . 6 5   介護者の心理的側面

子どもの笑顔や存在そのものが、親にとって何よりの生きていくエネルギー源である 自分がわが子に育てられているのでは…と感じる 4 3 . . 3 7 6 0     1 1 . . 1 22  3  4 4 . . 8 3 5 4     0 0 . . 3 8 6 4     *

キキキ

*  

「わが子に対して世間の人に見られても良い』という気持ちになった 3 . 8 8   1 . 50  4 . 8 3   0 . 3 8   * * *  

兄弟に対して障害のあるわが子と同じように接するようにしている 3 . 4 0  1 . 04  3 . 4 6  1 . 07  自分の体調が悪いとついわが子を原因にしてしまう 2 . 8 6   1 . 20  2 . 9 5   0 . 9 2   なにかと悪い方へと悲観的に推測してしまう 2 . 7 5   1 . 06  2 . 3 2   0 . 9 9   * 

人と顔を合わせるのを極力避けてきた 1 . 80  1 . 1 0  1 . 63  1 . 22  世間の目が冷たいと感じる 2 . 9 2   1 . 09  2 . 6 8   0 . 9 2   親戚一周が集まる場に出ていくことに対して抵抗がある 2 . 6 8   1 . 5 6   2 . 7 3   1 . 5 5   社会的要因

気軽に声をかけられる友人のネットワークがある 3 . 4 1  1 . 2 1   4 . 1 9   0 . 9 4   * * *  

同 じ 人 よ や う 近 な 所 子 の ど も 親 を し も い っ 人 親 た の ち 会 に や 子 情 ど 報 も の を 障 求 害 める揚がある 3 . 4 1  1 . 26  4 . 2 2   0 . 9 5  

キキキ

友 について理解をしていると思う 2 . 8 3   1 . 44  3 . 3 2   1 . 2 1  

冠婚葬祭などわが子が原因で断られたことがある 1 . 3 1   0 . 7 0   1 . 85  1 . 28  * 

親戚の方、従兄弟達との楽しいつきあいをしている 3 . 4 2  1 . 38  3 . 4 4   1 . 32  外出時に気軽にわが子を一緒に誘ってくれる仲間のネットワークがある 3 . 2 7   1 . 00  3 . 5 3   1 . 1 5  地域にわが子を応援してくれる人たちがし、る 3 . 0 9   0 . 8 2   3 . 5 3   0 . 7 3   * *  

今の社会l 土、わが子にとって住みにくいと

a

思う 3 . 6 8   1 . 1 4  3 . 2 0   0 . 8 5   * 

社会的援助(補助金など)は、十分に受けている 2 . 3 9   1 . 4 1   3 . 4 6  1 . 1 0 

キキキ

わが子の将来についてカウンセラー等の専門家に相談している 2 . 8 5   0 . 7 6   2 . 9 5   1 . 1 5 

*  ( 1 非常に思う 2 思う 3 どちらでもない 4 思わない 5 非常に思わない)

p < . 0 5 * *   p < . O l  

キキキ

p < . O O l を間隔尺度化し算出した

介 護 者 の 心 理 的 側 面 の 項 目 で は 、 9 項 目 中 4 項 目 で 有 意 差 が 認 め ら れ た 。 「 子 ど も の 存 在 が 親 の エ ネ ル ギ ー 源 J (p<.O l )   r 自 分 が 子 ど も に 育 て ら れ て

い る J (p  <  . 0 0 1 ) の 項 目 で 有 意 牲 が 認 め ら れ て お

り 、 障 害 児 の 存 在 の 受 容 や 共 生 の 受 容 に よ っ て 肯

定 的 思 考 に 転 換 で き て い る 様 子 が 窺 わ れ る 。 介 護

(8)

64  総合都市研究第 66 号 1 9 9 8

表 5 介護者が望む福祉サービス(自由記述による抜粋)

<介護生活の状況の最も悪かった時期>

気軽にあずけられる施設 医療費の補助

カウンセリング、心の教育など精神的な支え 通院の手伝い

入院中の付き添いの交代 障害児のための学章保育 地域公共機関での専門の指導員 他の子どもの面倒をみてくれる

自宅で一緒にあそんでくれる 日常生活の介助の手伝い

<介護生活の状況の最も良かった時期>

ボランティアの人に会える楽しみ 気軽に預けられる施設

学校の送迎 入浴の介助

一緒に出かけることのできるボランティアさん

健常児がするスポーツ、コンサートなどを経験させるための支援 クラブ活動

生活の状況の最も悪かった時期では「悲観的思考」

が強かったが、これらの受容により悲観的思考も 減少している。

社会的要因項目では、 1 0 項目中 7 項目で有意差 が認められた。特に「気軽に声をかけられる友人 のネットワークづくり J (p  <  . 0 0 1 )   r 同じ障害児を 持つ親の会や情報を集める場の存在 J (p  <  .000  r 地 域が我が子を応援 J (p  <.0 1 )   r 社会的援助を受け ている J (p<.OOl) の項目で有意差が認められて おり、社会への融合が介護生活の安定に結びっく ことを示唆している。特に障害児を持つ親は、孤 立しがちな傾向にあることから、グループ援助に

よるケアが重要であることが推測される。

( 4 ) 介護者の不安・介護者の望む福祉サービス・介 護生活における辛い出来事

表 5 から表 7 は、ヒアリング調査による自由記述 からの抜粋である。表 5 は、介護者の不安からの抜 粋である。介護生活の状況の最も悪かった時期で は、「障害児の発作の問題 j や「子どもの成長 J r な かなか進歩しない苛立ち」など実際の介護生活に おける障害児の様子に関する項目があがっている。

一方、介護生活の状況の最も良かった時期では、「子 どもの将来 J r 親に何かあったとき」など障害児の 将来の生活の展望に関する項目が多くあがってい

表 6 介護者の不安(自由記述による抜粋) く介護生活の状況の最も悪かった時期>

白分自身の疲れ

子どもの成長、将来、自立 家族の健康

発作が止まるか なかなか進歩しない 他の子ども

どのような障害を持っか 親に何かあったとき

リハビリが継続できなくなったときのこと

<介護生活の状況の最も良かった時期>

家族の健康 親に何かあった時 子どもの将来 田舎に戻ること 発作がいつ起きるか

た。学校卒業後の障害児の進路の問題や介護の問 題に対する不安が表れていた。

また表 6 は、介護者が望む福祉サービスからの抜

粋である。介護生活の状況の最も悪かった時期で

は「カウンセリングなど精神的支え J r 入院中の付

き添いの交代 J I 他の子どもの面倒 J I 日常生活の

介助の手伝 L、」など介護者に関する項目が多くあ

がっていた。一方、介護生活の状況の最も良かっ

(9)

綿・山崎:都市在宅重症心身障害児の介護者の QOL 指標に関する研究 65 

た時期では、「ボランティアとの出会い J r 文化活 動の経験のための支援 J r クラブ活動 J など障害児 本人に関する項目が多くあがっていた。今後、そ のライフステージに合わせた柔軟な福祉サービス が求められることを示唆している。

表 7 は、介護生活の状況の最も悪かった時期の最 も辛かった出来事の抜粋である。食事や移動など の日常生活動作に関する事項や疾病や発作などの 身体に関する事項、また通学問題など教育に関す る事項などがあがった。この時期は障害児個人の 持つ様々な問題や困難についての記述が多くみら れた。

表 7 最も辛かった出来事(自由記述からの抜粋) 療育センターへ通つでもなかなか変化がない 元気な頃の姿を思い出す時

障害を認める時 発作が多い

流動食もあまり食べられない

歩行ができなく手肩がしびれでも通学したこと 学校の下校時間が早いこと

子どものことを思う余裕はなかった 病気に関する情報の少なさ 施設が遠い

サービス手当がほとんどないこと 食事の介護

親と離れて入国 親自身の病気 障害の前に病気が心配 夫が忙しくあてにできない

4 . 結 論

本研究の目的は、在宅要介護障害児の主介護者 を対象として、介護発生から介護生活の受容まで の過程を D r o t e r の障害の受容過程を適用し、ショ

ックの段階から怒りと悲しみまでの障害受容がで きていないプロセスのうち「介護生活の状況の最 も悪かった時期 J と適用の段階から再起の段階の うち「介護生活の状況の最も良かった時期」の介 護生活の現状を明らかにして、介護生活における 介護者の QOL を捉える要因を抽出し、介護者の QOL 指標の検討を行っていくことであった。

本研究結果より以下の点が明らかになった。1)

介護者が介護生活を受容して、 QOL を向上してい くための「障害の受容」は、介護者本人の受容と ともに友人など周閤の人の受容も必要であること、

2 )   r 他者の協力」は、実働的な援助よりも精神的 な援助がどこまでできているかを測定すること、 3)

「介護者の生活」では介護者の自由裁量できる時間 をどれくらい持っているか、デイサービスやショー 卜ステイの利用など時間的要因にかかわる項目で 測定すること、 4 ) r 介護者の心理的側面」では、障 害児の存在および共生意識がどこまであるかを測 定すること、 5 ) r 社会的側面」では気楽に参加で きるグループの存在や情報収集する場があるかど うかを測定することなどがあげられた。

5 . 今後の課題

本研究は、 D r o t e r の障害の受容過程を適用して 介護者の介護生活について縦断的に捉え、介護生 活の状況の最も悪かった時期と介護生活の状況の 最も良かった時期の時系列的な比較を行った。し かしながら、本研究は調査段階で想起法を用いた ため、過去の想起において若干の誤差が生じたこ とも考えられ、データの信頼性の低下は否めな L 。 、 今後介護者の追跡調査をしながらの縦断的研究が 必要になってくると考える。

また、本研究の対象者が在宅要介護障害児の主 介護者を対象としており、介護は障害児の疾病、障 害程度等の個別の情報にも大きく影響を受ける。介 護者の QOL を考えたとき、社会学的アプローチと ともにケース研究も同時に進行していかなければ ならない。今後、障害児と介護者との関連を合わ せて考え、ケアプランニングに応用していくこと が重要であろう。

参 考 文 献

1)荒井由美子・細川徹「在宅高齢者・障害者を介護す る者の負担度 日本語版評価尺度一 J . r 健康文化』

研究助成論文集 3 .p . 7  ‑ 1 8 .   1 9 9 7 .  

2)朝団隆「痴呆老人の在宅介護破綻に関する検討:問 題行動と介護者の負担を中心に J . r 精神神経学誌』

9 3 .   p . 4 0 3 ‑3 3 .   1 9 9 1 .  

(10)

6 6   総 合 都 市 研 究 第 6 6 号 1 9 9 8

3) Greene ,  1 .   G . ,  Smith ,  R . ,  G a r d i n e r ,  M. and  Timbury ,  G.C. , Measuring  b e h a v i o u r a l   D i s t u r b a n c e   o f   e l d e r l y   demented p a t i e n t s   i n   t h e   community and i t s   e f f e c t s   on r e l a t i v e s   :  A f a c t o r   a n a l y t i c   s t u d y " ,  Age a g i n g ,  1 1 .   p p .   121‑126 ,  1 9 8 2 .  

4) Guyatt ,  G .  H . ,  Bombardier and T u g w e l l ,  P .   X ., 

Measuring d i s e a s e ‑ s p e c i f i c   q u a l i t y   o f   l i f e   i n   c 1 i n i c a l   t r i a l s " ,  Canada M e d .  A s s o c .   J . ,  1 3 4 ,  pp  889‑895 ,  1 9 8 6 .  

5) 萩原俊男・三上洋「医療における QOL とは何か J ,

『からだの科学.1 1 8 8 ,  p . 1 6 ‑ 1 9 ,日本評論社, 1 9 9 7 .   6) H a l e y ,  W. E . ,  L e v i n e ,  E .  G . ,  Brown ,  S .   1 . ,   B e r r y , 

J .   W. and Huges ,  G .   1 . , P s y c h o l o g i c a   , l S o c i a   , l and  h e a l t h   consequence  o f   c a r i n g   f o r   a  r e l a t i v e   with s e n i l e   d e m e n t i a " ,  J .   Am. G e r i a t r   S o c . ,  3 5 ,  pp.405‑41   , 1 1 9 8 7 .  

7) 春見静子「社会福祉からみた家族の援助 J , r ケース 研究』第 254 号 , p.2‑16 ,  1 9 9 8 .  

8) 岩田香織「心身障害児の在宅療育に対するソーシャ ルサポートについて J , r 静岡県立大学短期大学部研 究紀要』第 1 1 ‑2 ,  p . 5 3 ‑6 0 ,  1 9 9 8  

9) 萱場一則 iQOL の評価の実際 J , F からだの科学』

188 ,  p . 2 0 ‑2 3 ,日本評論社, 1 9 9 7 .  

1 0 ) 厚生省『厚生の指標 国民の福祉の動向一』厚生統 計協会,東京, 1 9 9 6 .  

11)宮田広善「障害者プランと地域療育システムの展 望J , r 養育の窓.1 1 0 2 ,  pp.8‑11 ,  1 9 9 7 .  

1 2 ) 毛利子来・山田真・野辺明子『障害を持つ子のいる 暮らし』筑摩書房, 1 9 9 5 .  

1 3 ) 中野勝美『在宅障害児者の生活介護』全国肢体不自 由児・者父母の会,東京, 1 9 9 0 .  

1 4 ) 成田滋「障害児福祉の実際 社会的機関による受容 と交流 J ,  r 教育と医学.1 1 0 6 .   p . 6 ‑ 1 0 .   1 9 9 7 .   1 5 ) 新名恵理・本間昭「痴呆性老人の介護者のストレス

と負担感に関する心理学的研究 J . r 東京都老人総合 研究所プロジェクト研究報告書.1 1 9 8 9 .  

1 6 ) 緒方正名・嘗瀬美枝・山田寛子「在宅ケアにおける 介護負担度の検討社会的・身体的・精神的・経済 的視点より J .   r J I I 崎医療福祉学会誌』第 7 巻 l 号 , p . 1 9 ‑3 2 .   1 9 9 7 .  

17)大橋謙策・千葉和夫・手島陸久ら『高齢化社会にお ける家族の介護負担の軽減に関する研究』日本社会 事業大学, 1 9 9 5 .  

1 8 ) 佐伯和子「在宅介護者の介護動機の構造一続柄との 関連に焦点をあてて ‑ J . r 札幌医科大学保健医療学 部紀要』第 1 号 , p . 2 3 ‑ 3 0 .   1 9 9 7 .  

1 9 ) 末光茂・土岐覚「重症心身障害児施設における QOL に関する研究 J . r 川崎医療福祉学会誌』第 7 巻 l 号 , p . 5 9 ‑6 6 .   1 9 9 7 .  

2 0 ) 高野重宏「子ども家庭福祉とファミリーサービス J ,

『教育と医学.1 45‑9 .   p . 3 1 ‑3 9 .   1997 

21)千葉和夫『レクリエーション援助』メジカルフレン ド社,東京. 1 9 9 7 .  

2 2 ) 外口王子・小松博子・箕原伸子・伊藤ひろ子「地域 ケアネットワークとセルフヘルプグループの機能、

役割、位置づけに関する研究一保健・医療・福祉の 結 び 目 と し て の セ ル フ ヘ ル プ 活 動 の 可 能 性 の 検 討 J .   r 健康文化』研究助成論文集 3 , p . 9 5 ‑ 1 0 2 .   1 9 9 7 .  

2 3 ) 綿祐二「障害児キャンプにおけるボランティア活動 の継続性に関する研究:役割理論適用による役割に 伴う活動に対する自己評価と継続性との関連 J , W 東 京都立大学体育学研究.1 1 7 ,  p.37‑44 ,  1 9 9 2 .   2 4 ) 綿祐二・茅野宏明・千葉和夫・小池和幸・勝矢光信

「社会福祉領域における生涯スポーツ活動支援シス テムに関する研究 J . r 東京都立大学体育学研究.1 1 9 , p.1‑10 ,  1 9 9 4 .  

2 5 ) 綿祐二・山崎秀夫「在宅要介護高齢者の介護者の QOL 指標に関する研究 J . r 総合都市研究』第 6 3 号 , p . 1 5 ‑2 5 .   1 9 9 7 .  

2 6 ) 山岡和枝・深山智代「ねたきり老人介護人の負担度一 一次元尺度構成の試み ‑J , r 日本公衆衛生雑誌.1 3 3 .   p . 2 7 9 ‑2 8 4 .   1 9 8 6 .  

2 7 ) 山崎秀夫「自覚症状に基づく半健康評価に関する研 究 J , r 日本公衆衛生雑誌.1 3 8 ‑2 .   p . 1 3 2 ‑ 1 3 9 ,  1 9 9 1 .   2 8 )   Z a r i t .   S .   H . .   R e e v e r .  K . E .   and B a c h p e t e r s o n .  

J . . R e l a t i v e s   o f   t h e   Impaired  E l d e r l y   C o r r e l a t e s  o f  F e e l i n g  o f  B u r d e n " .  G e l i n t o l o g i s t .   20 ,  p p . 6 4 9 ‑6 5 5 .   1 9 8 0 .  

Key  Words  (キー・ワード)

Ouality  of  Life  (生活の質), Family  Caregiver  (在宅介護者), Receptivity  i n  

Ca  r e   (介護の受容), The Severely  Handicapped  Children  (重症心身障害児)

(11)

綿・山崎:都市在宅重症心身障害児の介護者の QOL 指標に関する研究

Measuring of Quality of L i f e  i n  Family Caregivers f o r   t h e  Severely Handicapped Children 

Y u j i  Wata* a n d  Hideo Yamazaki

G r a d u a t eS c h o o l  o f  S c i e n c e ,  Tokyo M e t r o p o l i t a n  U n i v e r s i t y  

*  *  G r a d u a t e  S c h o o l  o f  Urban S c i e n c e ,  Tokyo M e t r o p o l i t a n  U n i v e r s i t y   C o m p r e h e n s i v e  Urban S t u d i e s ,  N o . 6 6 ,  1 9 9 8 ,  p p . 5 7  ‑67 

6 7  

The pu 中 o s eo f  t h i s  s t u d y  was t o  e x t r a c t  t h e  m a j o r  f a c t o r s  w i t h  r e g a r d  t o  t h e  q u a l i t y  o f  l i f e   (QOL) i n   f a m i l y  c a r e g i v e r s  f o r  t h e   s e v e r e l y  h a n d i c a p p e d  c h i l d r e n  a n d  a n a l y z e  QOL a s   a n   e v a l u a t e d  i n d e x  f o r  t h e i r  d a i l y  l i v i n g .  Comparing t h e  w o r s t  c o n d i t i o n  w i t h  s u p r e m e  c o n d i t i o n  i n   t e m p o r a l  p r o g r e s s  o f  f a m i l y   c a r e  t h e   d i f f e r e n c e   o f  QOL i n   f a m i l y  c a r e g i v e r s  o f  b o t h  was  e x a m i n e d .  The d a t a  f o r  t h i s  s t u d y  w e r e  o b t a i n e d  f r o m  59 f a m i l y  c a r e g i v e r s ( 4 4 . 3 士 4 . 3 4 )f o r  t h e   s e v e r e l y  h a n d i c a p p e d  c h i l d r e n  u s i n g  q u e s t i o n n a i r e  a n d  i n t e r v i e w  s u r v e y  i n  1 9 9 7 .  

As t h e  main r e s u l t s ,  a s  compared w i t h  QOL b e t w e e n  t h e  w o r s t  c o n d i t i o n  a n d  s u p r e m e   c o n d i t i o n  i n  f a m i l y  c a r e ,  i t   was r e c o g n i z e d  t h a t  t h e r e  was a  s i g n i f i c a n t  d i f f e r e n c e  i n  f i v e  f a c t o r s   ( r e c e p t i v i t y   i n   t h e   s e v e r e l y   h a n d i c a p p e d   c h i l d r e n ,  c o o p e r a t i o n   w i t h   o t h e r ,  l i f e   o f  f a m i l y   c a r e g i v e r s ,  a  s t a t e  o f  mind a n d  s o c i a l  s u p p o r t ) .  

The main f a c t o r s  o f  QOL  i n  f a m i l y  c a r e g i v e r s  w e r e  s u m m a r i z e d  a s  f o l l o w s :  

1 )  On r e c e p t i v i t y  i n  t h e  s e v e r e l y  h a n d i c a p p e d  c h i l d r e n ,  i t   was more i m p o r t a n t  t h a t  t h o s e  a r o u n d  

o n e  a c c e p t e d  i n  t h e  s e v e r e l y  h a n d i c a p p e d  c h i l d r e n ,  2 )  on c o o p e r a t i o n  w i t h  o t h e r ,  m e n t a l  s u p p o r t  

was more i m p o r t a n t  t h a n  p r a c t i c a l l y   s u p p o r t  i n   t h e  w o r s t  c o n d i t i o n ,  3 )   f r e e  t i m e  o f  f a m i l y  

c a r e g i v e r s ,  4 )  r e s o l u t i o n  t o  l i f e  t o g e t h e r  w i t h  t h e  s e v e r e l y  h a n d i c a p p e d  c h i l d r e n ,  5 )   e x i s t e n c e  o f  

n e t w o r k s  t h a t  were c o n n e c t e d  s o c i a l  s u p p o r t .  

参照

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