経済発展の格差について
児
玉
元
平
一
ハーベルモーは彼の発展理論を次のような言葉でもっては軽めている︒﹁われわれが現在の国際統計よりつな
ぎ合せうる世界経済の画像で︑おそらく最も著しい特徴は︑経済的格差ということである︒数百万のひとびとが
餓死する地域があるのにたいし︑このような経験は既に遠い昔に忘れられてしまった地域がある︒生産力が道且ハ
や技術的改良の不足によって阻害されている地域があり︑また︑おびただしい図書や雑誌の量が発行されている
国があるのにたいし︑国民大衆が無学文盲であるような国々がある︒また︑人間よりも動物のほうが十分な医薬
上の手当をうけているような地域がある︒⁝⁝相隣接する国々でもその生活水準には数世紀にわたって著しい差
異があった︒ある国では一人あたり所得が過去百年の間に二倍になり三倍になったのに反し︑他の国では僅かに
上昇したかあるいは沈滞していた︒しかるに今日なお短期均衡とか︑進歩した工業国の国民所得の一〇%の減退
というような変動を分析する書物が多い割合に︑右のような不可思議な現象について近代経済.理論はそれほど多
くの頁をさいていないのである︒一般的経済進歩という広般な問題についての初期経済理論家達の大胆かつ想像
に富んだ思索は︑少なくとも最近にいたるまでは近代的分析上の洗練という形では︑比較的結実するところがな
経済発展の格差について ・ 三七
研究 年報 三八 ωかったのである︒﹂このような問題意識のもとでハーベルモーは︑成長の地域的な格差を成長モデルにおける構
造的パラメーターと初期条件の差異にあとづけることによって︑持続的な経済成長の可能性をさぐろうとしたの
である︒もっとも近代経済理論に成長理論が欠けていたわけではない︒ハーベルモーも彼の著書の脚註で述べて
いるごとく︑ポストケインジアンの人達によって長期経済成長理論は飛躍的な発展をみている︒しかし︑これら
の成長理論の多くは︑高度に成長した経済における恒常的成長の条件吟味に︑その分析の重点をおいており︑そ
こから低開発地域の発展問題にたいする政策的含意をくみとることはきわめて困難である︒そこで︑もっと経済
的後進地域の特色を付加した成長モデルによる理論的展開の必要性が痛感されている︒しかし現段階においては
この必要性は十分に満たされてはおらない︒へーズルウッドの関係文献資料書目﹁↓ゲ①国︒o旨︒日ぎωo囲..d口侮①・
aΦ︿Φ一8巴︾お9︒ω︑﹀口︾昌昌︒什舞巴国Φ鼠宣σqζω什︒囲切oo犀︒・℃斎忌一9①ρ︐鋤昌qO自一〇一巴 ℃賃び=oΩ︒江︒ロω噂
Ooヨ営一①似ξ︾暮げ霞出9︒﹄oミoo鼻O×hoad巳く自邸蔓白話ω︒・℃い︒昌αoPおα尊﹂においては︑六百二十三点の
論文︑著書があげられているが︑方法論的には全く多種多様であり︑体系的な分析と目されるものはきわめて少
ない︒そのことはまた他面低開発地域の発展問題がいかに複雑な要因を含んでいるかを物語るものでもあろう︒
さて経済発展の地域的な格差という事実については︑およそ低開発地域の諸問題を取扱っている理論的︑実証的
文献においてとりあげられていないものは少ない︒おそらく今日ほど世界経済の開発問題に関連して︑国際的乃
至地域的経済不平等存在の認識と関心の深い時代はないといってもよい︒しかし近代経済学自体はこのような経
済発展の格差という問題について十分な解答をあたえていないのである︒このことをミユルダールはつぎのよう
に述べている︒ ﹁経済理論一般は︑大きなそしてますます大きくなる経済的不平等や︑低開発ならびに開発の動
態過程の現実を理解するようには発展しなかった︒経済理論は︑まったく︑生産要因の相対的欠乏のきわめて大
きな格差や︑生活程度および全体の文化的構成の莫大な格差に対応する生産技術問の︑また事実︑生産力函数そ ヨ れ自体の間の大きな格差に関連する問題に焦点を合わせることはなかった︒﹂すでに︑︽ントや︒フレビッシュはこ
の格差を二地域間の交易条件の関係から考察しているが︑理論経済学者ミユルダールは︑もっと広言な見地から
経済発展度の地域的格差を体系的に分析した︒ミユルダールの経済発展分析の基本的支柱は︑累積的過程の﹁循
環的因果関係﹂と﹁逆流効果﹂ じd碧挙証霧げ国忌①9 に関する考え方である︒彼は発展問題に関する伝統的な均
衡理論の限界を指摘し︑安定均衡という仮定が︑発展過程の分析を誤った方向に導くことを明らかにして︑循環
附因果関係という概念を導入する︒ ﹁私の出発点はこういう主張である︒つまり︑安定均衡という観念は︑多く
の場合︑ある社会体制の変化を説明する理論を構成する場合にえらぶには︑間違った類推であるということであ
る︒社会的現実に適用した場合の安定均衡という仮定について間違っていることは︑社会過程というものは︑1
一たとえ循環的な仕方でその方向にむかって動くとしても︑ なんらかの意味において諸力の間の均衡の状態
とよびうるような状況に向う方向にしたがうものであるというその観念である︒このような観念の背後には︑も
うひとつのさぢにいっそう基本的な仮定がある︒それは︑あるひとつの変化はいつもきまって︑そめ体系の中に
大体において︑最初の変化と反対の方向に動く変化の形態における反作用をひきおこすということである︒私が
本書において解明しようと思う観念は︑それと反対に正常の場合においては︑社会体系における自動的自己安定
化に向うそのような傾向はないということである︒体系はそれ自体では︑諸力間のなんらかの種類の均衡に向っ
て動いているのではなく︑むしろ︑つねにそのような状態から乖離する動きをとっている︒正常の場合において
は︑ある変化は平衡的な変化をひきおこすのではなく︑むしろ反対に︑最初の変化と同じような方向に︑しかし
さらにすすんで︑体系を動かすような促進的な変化をひきおこす︒そのような循環的な因果関係のために︑ある
経⁝済発展の格差について 三九
研究年報 四〇 ㈲社会過程は累積的となり︑また︑しばしば加速度的な度合で速度を早めるのである︒﹂ このようなミユルダール
の社会過程の累積的運動の考え方は︑義心ッド流の成長動学における不安定均衡の考え方とある点で類似してい
る︒ミユルダールが低開発地域の低経済水準を︑安定均衡の観念を排し︑循環的因果関係の観念より説明しよう
とするのにたいして︑ライベンシュタインはむしろ︑安定均衡の思考を積極的に援用することによって︑低開発 ⑥地域がその低所得水準の落穴より脱出することの困難さを説明しようとした︒ライベンシュタインは︑後進地域
の基本的な特徴を︑低所得水準均衡︵生存水準乃至それに近い水準︶の安定性より規定しようとする︒そして彼
の成長モデルの特色は︑伝統的な理論において軽視され或いは外生的変数としてのみの地位をあたえられたにす
ぎない人口変数を︑体系の内生的変数として導入した点にある︒そこには︑古曲旧派的な分析への復帰すら見られ
る︒人口増加と生活水準め低下とが︑牧穫逓減の傾向を媒介として結びつく︒彼の成長モデルでは︑所得水準上
昇効果が︑安定均衡への作用が働く範囲では︑人口増加による所得水準減退効果によりて圧倒されるが故に︑低
所得水準均衡よりの離脱は一時的であり︑再び生存水準に近い低水準に復帰する傾向が存在すろ︒このような均
衡の安定性を説明するために︑ライベンシュタインは︑ハーベルモーの準安定均衡Oqpωやω欝げ一Φ国ρ9一まH一庫旨
という概念を使用する︒そうしてライベンシュタインは次の四つの仮説のうえに︑その成長理論を展開する︒
9 後進的経済をひとつの均衡体系1その均衡状態︵あるいはいくつかの均衡状態︶がひとりあたり所得に
関してある程度の準安定をもつ︒tとして特徴づけることは有用であるが︑先進的経済をかかる表現で有
効且つ正確に述べることはできない︒
口 もし後進的経済の安定がかくらんされるならば︑ひとりあたり所得を高めようとする力または作用が︑直
接間接に︑ひとりあたり所得をひき下げる効果をもった諸力を活動させはじめる︒
国不均衡状態では︵後進経済に紅ける︶︑場衡水準より上の少なくとも比較的低い所得については︑所得を
ひき下げる力の効果が︑所得をひき上げる力の効果より大である︒
四 いかなる期間にも︑所得をひき下げる力の効果にはある絶対的な最大点があるが︑ひとりあたり所得を創 Gり 造する力の効果の絶対的最大点︵もしそれがあるとすれば︶は︑さきの最大点より大である︒
このような仮説にもとづいて︑ライベンシュタインは︑ 9一江︒巴冨一巳日戸倉国鵠老け弓﹃Φ巴ωを提唱する︒
即ち﹁後進的な状態から脱して︑堅実な長期成長を期待しうるいっそう発展した状態に移行することに成功する
ためには︑必要条件として!必ずしも十分条件ではないがtある点でまたある期間に︑その経済は臨界的な ㈹最小規模より大きな成長への刺激をうけねばならぬ︒﹂このことは後述するごとく︑後進地域の発展のためには︑
初期条件の重要性を意味する︒そこで︑今日なお低開発地域がその低い所得水準乃至経済的後進状態に停滞して
いるのは︑過去において発展のための必要な初期条件をもたなかったからであり︑且つまた現在においても︑内
在的に欠けているばかりでなく︑外来的にも獲得することがきわめて困難であることに帰因する︒これに反して
先進地域が持続的な成長を実現しているのは︑過去において︑ 〇二江︒巴国鵠〇二以上の国臣︒暮が内在的にも
外心的にもあたえられたからである︒そこにまず経済発展の地域的格差を説明しうる可能性を見出す︒ライベン
シュタインの抽象的な成長モデルによる成長過程の分析のねらいも︑またこのことを明らかにすることにあった
と考えられるのである︒
ミユルダールは︑経済発展の地域的格差を逆流効果という考え方から説明する︒ライベンシュタインが人口増
加の所得水準減退効果という内生的な要因を強調したのにたいし︑ミユルダールは︑むしろ︑相隣接する地域ま
たは経済における発展乃至沈滞の外生的要因を重視する︒一般的にいって︑逆流効果は︑後進的な地域または経
経済発展の格差について 四一
蕨 究 年報 四二
済が︑先進的な地域または経済よりうける不利な影響をさす︒ ﹁私はその場所以外で起きるあらゆる意味ある反 働対の変動を︑ある場所の経済的拡大の逆流効果とよぶ︒﹂ミユルダールは︑この効果のなかに︑資本移動︑交易︑ ㈹労働移住等を通じての経済的要因の効果のみならず︑経済外的要因による効果をも含ましめる︒ ﹁ある場所の拡
張が︑いかに他の場所の逆流効果をもつかは︑容易にわかることである︒さらに具体的にいえば︑労働︑資本︑
財貨ならびに労務の移動は︑それ自身としては︑地域間の不平等への自然的傾向を相殺するものではない︒移民
資本移動︑および貿易は︑それ自身では︑むしろ︑それを通じて累積過程が一幸運な地域では上方に︑不運な
地域では下方に1進展する媒介である︒一般に︑もしそれらのものが前者に対してプラスの効果をもつならば ⑳その後者に対する効果はマイナスである︒﹂労働の移住は発展のおくれた地域にとってはむしろマイナスの効果を
もつであろうし︑資本移動は不平等を増大せしめる効果をもつ︒ ﹁拡張の中心地においては︑需要の増加が投資
を刺激し︑それが次に所得や需要を増加せしめ︑そして二回目の投資をひきおこということになるであろう︒所
得増加として貯蓄が増加するであろうが︑しかし︑それは︑資本の供給はただちに活濃な需要をみいだすという
意味で︑投資におくれる傾向があるであろう︒他の地域においては︑新しい拡張的惰性がないということは︑所
得が低いために︑低くしかもますます低下する傾向をもつ貯蓄の供給に比べてさえ︑投資のための資本にたいす
る需要が比較的弱いということを意味する︒多ぐの国の研究は︑銀行制度が︑それとは別の働きをするように規
制されていないならば︑比較的貧困な地域から︑資本にたいする牧益が高く且つ確実であるもっと富裕でもっと
進歩的な地域へと︑貯蓄を吸い上げる手段となる傾向をもつことを示している︒﹂
貿易についてはすでに古くリストによって後進地域の不利な地位が指摘され︑比較生産費による相互利益の主
張が否定されたが︑ミユルダールは次のような説明をあたえる︒ ﹁貿易は︑比較的富裕で進歩的な地域にたいし
ては有利で︑他の地域に対しては不利という同じような根本的傾向をもって作用する︒市場の自由化や拡張は︑
しばしば︑多くの場合牧穫逓増の条件の下で操業しているところの︑すでに確立された拡張中心地の工業にたい
して︑他の地域に早くから存在する手工業にたいしてさえ与えられていなかったような競争的利益をあたえる︒
前世紀のイタリアの政治的統一以後︑国内関税障壁のひき下げによってひきおこされたところの︑比較的貧困な
イタリア南部諸州の工業成長の阻害は︑まさにこのような場合であって︑それは十分に研究されたことである︒
北部諸州の工業は指導的地位を保ち︑はるかに強力であったために︑それは政治的統一の結果であった新しい国 ㈲内市場を支配し︑南部諸州の工業の努力を制圧したのである︒﹂諸国間の不平等化についても同様に累積的循環
因果関係の結果として成立する︒資本移動についていえば︑たいての場合低開発国をさける︒先進国自身がまま
すます急速に発展しているような場合︑資本所有者は十分な利潤と高き安全率が保証されるときは特にそうであ
る︒このことはヌルクセも指摘しているところであり︑アメリカにおける高き利潤が︑低開発国への投資を困難 曲ならしめている︒貿易もまた諸国間の格差をおし進める︒ ﹁国際貿易の︑低開発国に対する主要な積極的効果は
実は︑第一次生産物の生産を促進することであった︒そして︑多くは未熟練労働者を雇用するこの種の生産物
が輸出の大半を占めるようになった︒しかしながら︑この方面では︑彼らはしばしば︑輸出市場の非弾力的な需
要や︑たいして急速に高まることがない需要傾向や︑過度の価格変動などにぶつかる︒さらにまた︑住民の大部
分が生きてゆくだけの水準もしくはそれに近い水準で暮している一そのことは非熟練労働にはこと欠かないこ
とを意味する一にもかかわらず︑人口が急増してゆく場合には︑輸出産業におけるあらゆる技術改善は︑生産
物の低廉化から生ずる利益をすべて輸入国に転嫁することになる︒需要がしばしば非弾力的であるために︑市場 ㈲は大きく拡大されることはないであろう︒﹂
経済発展の絡差について 四三
研究年報 ・ 四匹
もっとも︑ミユルダールは有利な効果︑たとえば︑市場の拡大によって︑発展地域または経済が他の地域また
は経済に正の効果をあたえる事を無視してはいない︒このような効果を彼は一般的に波及効果ωb話巴国龍①o冨
とよんでいる︒ ﹁しかしながら︑逆流効果にたいして︑経済的拡張中心から他の地域にたいする拡張惰性のある
種の遠心的波及効果もある︒拡張の結節中心点をめぐる全地域が︑農産物のハケロの増加によって利益をえ︑そ
してつねに技術的進歩の刺激をうけることは当然である︒また︑中心地における成長産業にたいする原料を生産
するに好都合な条件をもつもっと遠い場所にたいする他の方面の遠心的波及効果もある︒もしも︑これらの他の
場所において十分に多くの労働者が雇用されるようになるならば︑そこでは消費財工業さえ拍車をかけられるこ
とになるであろう︒新しい出発がおこなわれ︑これがうまくいっているこれらの場所でも︑他のあらゆ6場所で
も︑もしもこのような拡張惰性が旧来の中心地からの逆流効果にうちかつほどの強力であるならば︑次には自立 囮的な経済拡張の新しい中心となる︒﹂波及効果はいろいろな点で国際間も働くであろう︒しかし︑ミユルダールに
よれば︑低開発地域または経済の宿命的な特徴は︑波及効果が弱いということである︒国際間の弱い波及効果は
低開発国自体の内部における地域的な弱い波及効果の反映にすぎない︒波及効果が逆流効果より弱いかぎり︑発
展の地域的国際的格差は増大する︒波及効果自体はまた経済水準の函数である︒ミユルダールは国連の﹁ヨーロ
ッパの経済概観︵一九五五年︶﹂から次の二つの関係を導出している︒即ち︑地域的な不平等は︑富める国より
も︑貧しき国においてはるかに大であること︒不平等は貧しき国では増大しつ\あるが︑富める国では減少しつ
㌧あるということ︒この関係によって波はいう﹁このような二つの明らかな相関関係の大部分の理由は︑ある国
がすでに到達している経済開発の水準が高ければ高いほど︑波及効果はつねにますます強くなるという重要な事 面実の中に見出されるであろう︒﹂ 低開発地域あるいは経済の発展の可能性にたいするミユルダールの分析はきわ
めて憂醗な結論をあたえる︒ ﹁私は聖書からの引用をくりかえす誘惑にうちかっことができない︒ すべて持て
るものは与えられ︑いよいよ豊かならん︒されど︑持たぬものは︑その持てるものをも奪わるべし〃市場諸国の
自由な働きの中には︑地域間の不平等をつくり出す固有の傾向があるということ︑そして︑このような傾向はそ
の国が貧しければ貧しいほどますます有力となるということは︑自由放任主義のもとにおける経済低開発の最も 蝕重要な法則の二つである︒﹂ 一
われわれがミユルダールの分析よりひき出しうる教訓は︑低開発地域の発展問題にたいする近代経済理論の非
現実的な性格のたんなる指摘をこえて︑波及効果をして逆流効果を圧倒せしめるような経済的︑社会的︑制度的
環境乃至基盤をいかにして創造しうるかということである︒しかし︑この点にかんするかぎりミユルダールはい
まだ積極的な提案を出していない︒とはいえ︑経済理論をして経済発展の社会理論にまで昇化せしめんとする彼
の意図は高く評価さるべきである︒
二
経済発展の地域的格差は︑それぞれの地域が示す時間的成長パターンの差異による︒そして成長パターンはそ
れぞれの地域のもつ構造的パラメーターと︑歴史的時間において経験した初期条件の差異による︒本節の問題は
経済発展の格差を︑かかる経済体系のもつ構造的パラメータトと︑あたえられる初期条件の視角から考察するこ
とである︒
経済成長の動学的モデルがあたえられたとき︑もしその体系の解がいろいろな構造的係数の値と初期条件とに
よって一意的にきまるならば︑経済発展の地域的格差は︑かかる構造的係数と初期条件σ差異の結果としてのみ
経済発展の格差について 四五 −
研究年報f 四六 ⑬生ずる︒ハーベルモーは構造的係数を四つのカテゴリーに分類している︒ ω自然的条件ともいうべきもので︑
面積︑利用しうる自然資源︑気候等の条件を示すパラメーター︒ ω技術的水準を示すパラメーターで︑これに
よって投入と産出の関係があたえられる︒ ㈲人間の態度と行動を述べるパラメーターで︑これには労働性向︑
消費性向︑人口増殖性向のごとき内生的な行動の特徴を示すパラメーターと︒ ω他の地域の行動と決意によっ
て受ける影響を示すいわば外生的なパラメーターともいうべきものに分けて考えることができる︒いま構造的係
数の差異により発展度の格差を生ずることを示す簡単なモデルを示
㍑
魯
㎞
02 θ
6
01
81諺 同:
加
団
κ κ
㎞
肋
㎞ 肋
0
トック︑ 民望は次期の資本ストックを示すと閑︑︒は︑
域の第二期の資本ストックを示す︒同様に︑
の資本ストックを示す︒0期では第一地域の資本ストックの方が大である︒ そう︒資本ストックをKで示すと︑第一地域め資本成長は︑ 鋤昌 囚ドー︾も +切H ︵一︶の式であたえられ︑第二地域の資本成長は︑ 帥覧 内匠H︾も 十ゆに ︵bり︶の式であたえられる︒へ︑㌫︒︑残︑残︑︑はそれぞれ正のの常数を示す︒衡と8︒6値の僅かの差も︑tの値の増大と共に璃と臨︑との差はますます大となるであろう︒構造的係数の差異による結果を明確な ⑳らしめるたあに上のごときグラフを利用しよう︒Kはt期の資本ス 第一地域の0期の資本ストック︑ 国巳はその地国旨は第二地域の0期の資本ストック︑ 手先はその地域の第二期
しかし第二期にいたれば第二地域の
方の資本ストックの方がより大となっている︒このことは基本的に構造的係数の差異による︒ボーモルはこのグ
ラフによって長期的な経済成長にとって︑初期条件よりも地域のもつ構造的係数の差異が重要であることを強調
する︒換言すれば︑既述の四つのカテゴリーのうち第二のものに入る資本の生産力や︑第三のカテゴリー︑貯蓄
係数や投資係数で示される人間行動パラメーターが経済成長にとってより重要であると考える︒しかし︑われわ
れはそういった係数の値が多分に初期の資本ストックの大小に依存することを忘れてはならない︒むしろ適当な
初期条件を確保することによって︑発展に有利なる構造的係数の改変を意図しうるものである︒ここでハーベル
モーの次の言葉を想起しよう︒ ﹁動学的モデルの分野にたつさわる多数の経済学者のなかには︑動学体系の初期
条件は︑ある意味で︑モデルの構造的性質ほど理論的には重要でなくまた興味もないという奇妙な考慌方がおこ ㎝なわれている︒このような考え方はおそらく簡単なリニヤー体系の研究から派出したものであろう︒﹂ しかし︑
ノンリニヤー体系では初期条件の差異は成長経路の決定に重要な役割をはたす︒たとえ︑構造的係数がコンスタ
ントであるとしても︑初期条件の変化は︑沈滞への傾向を発展傾向に転換せしめるであろうし︑また体系の解は
初期条件いかんによって安定的となり︑あるいは不安定的となる︒
いま人口変数を内生的変数止して︵所得水準の函数として︶導入した動学モデルを考えよう︒ぬをもって生存
水準としてのひとりあたヴの所得水準を示し︑この水準では人口はコンスタントである︒現実の所得水準が生存
水準を超える部.分を︑
σqへ団什1ざ ︵︒︒︶
で示す︒ひとりあたりの投資水準を一︑ひとりあたりの貯蓄をSで示し︑9の一部分は貯蓄され投資されると
する︒ 経濱発展の絡差について 四七
研究年報 四八 哩
ω↓11口αq汁 ︵劇︶
貯蓄された部分は常に投資されるとして︑
却Hωけ昌σQ守 ︵α︶
nは貯蓄係数である︒t期の投資は︵叶+一︶期において利用しうる資本ストックKの増大を意味し︑これは平均
所得水準を上昇せしめる︒そこでyは人口P︑資本Kの函数として︑
︽↓H矯︵押国︶ ︵の︶
t期における正の投資は︑人口一定即ち﹀勺↓110であれば︑びq峠+μ﹀σq酔である︒いま人口一定とした場合の9
を仮りにGで示すと︑ ρ+μ一蜜ぴq叶 . ︵⑦︶
Mについて考えると︑投資とそれによる所得水準の増分との比を︑
喰−しd ︵刈︶
とおくと︑t期における投資によって生ずる次期の9の上昇は︑
O隼μuσq酔十切H帥 ︵︒︒︶
O叶二uσq汁十昌団磯叶H︵一十昌ud︶αQ酔 ︵O︶
そこで㈲式のMは︵一+口bd︶を示すものである︒
以上は人口をコンスタントと仮定し︐ている︒所得水準の上昇が人口を増加せしめると考えれば︑rを人口増加率
之して︑これは9の函数とすれば︑
吋叶 一 ↓ ︵αq汁︶ ρ9
rは一定所得水準にいたるまでは9の単調増加函数としよう︒t期と次期との間の人口増加は・︑H㌔叶であたえ
られる.合増加は所得水準をおしさげるから︑購入・として︑その効果を
Uけ+ドー畠勺叶コ ︐ ε
で示そう︒こ〜でdは常数である︒そこで投資による所得水準上昇の純効果は︑
σqけ+HHOけ+戸一∪竿 倉赴9
そこで第一期で投資が体系に導入されたとしよう︒マルサス的な生存水準として所得水準を出発点とすれば︑
αqけH団μ1団︒ ρ㊥
91フうち昌σq昌だけ貯蓄され投資されるから︑第二期ではさらに所得水準は上昇する︒しかし他方人口増加が誘
発されるから︑第二期の所得水準上昇の純効果は︑
σq鱒11σq昌︵一十昌切︶1α℃覧酔 ⇔凸
以下rはコンスタントと仮定しよう︒
σq︒︒11ひ身埴︵一十口切︶一傷℃鴇 鶯9
ひq艶賠醐ひq昌︵一+昌uu︶一畠銅ユ︵一+昌切︶1傷評腕 琶
﹁ σq︒・Hσq昌︵一十口切︶心91α勺覧︵一十昌しd︶一自℃覧 8
mq︒︒11σQμ﹈≦鵠一q炉ユ≦一ら℃犠 富
そこでt期では︑
経濱発展の絡差について ︑ 四九
研究年報 五〇
仲−戸 峠一鱒 酵一9つ 凶一鼻 晩けHσq戸蜜i自勺覧﹈≦1畠℃塾︒ユ≦一α勺︒︒巳≦:::傷℃?嶺﹈≦1α℃7覧
そこで︵一+︻︶H日期.では︑
ゆ け アH旨鈍
⑲式は︑
け ド ゆロに けロね けロみ ヰロめ ヰほゆ σqけ11σq昌寓一︵傷回覧﹈≦十目ヨ勺覧竃十α日鵠℃覧冨十⁝⁝十9B ℃覧定見9β ℃昌昌︶
けロけ け ゆ ぜロロ けロト けほゆ け む ぴqけ旺σq戸竃一α勺覧︵冨十︼≦﹈日十一≦ヨ鵠十:::十︼≦日十日
q℃篭は第一期の所得水準の上昇による人口増加の結果生ずる第二期の所得水準の減退効果を示す︒
α勺覧 HN σq戸
として︑
↓1μ 峠−鴫 沖−飴 詩一鮮 酔一G◎ 撞−罷 鵬け∬σq二≦Nひq一︵﹈≦十﹈≦ヨ十寓ヨb︐十⁝:・十﹈≦︼β十︼B︶
次のごとく整理する︒
@・・1⁝?ードN?.軸覧︑︵停︶+判.︵申︶︑+⁝−
@
@
@
@
@
@
@ @ −⁝乱.︵ド竃︶響尋.︵ゆ︶→.ご §
8 8
§富
豊 9
σq叶鱒導︑︵ N一+ 日一言︶≒︵卦︶︸
㈲式によって初期の投資導入によって91の値があたえられるならば︑係数M︑mによって9の時間的経路がきま
るであろう︒
体系の構造的係数を吟味しよう︒
︵A︶人口増加率が所得水準の上昇率より大なる場合︑ 白V蜜
ω 翫は最初から逓減的である︒
ω 翫はある点までは逓増的で︑それ以後逓減的となる︒
㈲ 毅はtの増大とともに無限に大きくなる︒
以上三つの変動の可能性のうちωとωの場合体系は平均所得水準については安定的であり︑㈲の場合は不安定
的である︒
旨﹀ご竃Vごσq︼VgNVOであるから︑/
一+目ギv︒
N VO日−蜜
そこでtの値が大きなるにつれて︑
経済発展の絡差について ゆロら ル ロ寓︾ ーヨ の力がますます大きくなり︑毅の値に決定的なものとなる︒
五一 ま
研究年報
たmはMより大であるから︑tが十分に大きくなると︑
であっても︑tが大きくなって遂には︑
斗.︵一+
N
︶創−μ︵
N ハけら
!ヨ が結局支配的となる︒
)
五二
たとえ け け一巳の係数が小数
日−冨日一山
となる点が存在するであろう︒そこでZの値がいかに小であろうとも︑翫の増大が止み減少に転ずる時点がある
であろう︒そして終には翫は零となる期間が存在するであろう︒翫が下降に転ずる時点は部分的にはZに依存す ダる︒Zの値が大であるほど下降転回点は早く到来する︒Zの値は91を大きくすることによって小さくすることが
できる︒そこで91を可及的に大きくすることによって︑下降転回点の到来をおくらすことができる︒91は初期条
件としての投資導入による所得水準の上昇部分を示す︒発展の出発において︑巨額の投資を導入することによ
って︑所得水準を大きく上昇せしめることによって︑それ以後の発展経路が有利な方面に改変せしめうる︒初期
条件が動的な発展過程にとって重要なのはこの意味であるゐ
︵B︶所得水準の上昇率が人口増加率より大なる場合蜜V日
N ︿Oヨー﹈≦
!ヨ .一.︵Nヨi山≦︶v︒
となり︑⑳が絶対値において一にひとしいかそれより小であれば91の係数は正となり︑
くなる︒⑳が絶対値において一より大であれば 竃
翫はtの増大ととも大き
蜜7.︵一+齢︶ざ
となり︑これがtの凡ての値にとって91の係数を支配する︒そこで︑体系が不安定的であるための必要な条件は
冨VヨN︿寓ーヨが成立することである︒このことは︑初期条件としての投資による平均所得の上昇が十分に大
きいことが必要であることを意味する︒最初の生存水準よ 5離脱が非常に大きくなければ︑恒常的な発展を確保
することができない︒構造係数が経済発展に有利なものであっても︑初期における投資導入額が自一訟︒巴日凶三
ヨ斜日に達しなければ経済発展の果実はみのらない︒そこでたとえ二つの体系が構造的係数において同じであっ
ても︑初期条件に重大な差異があるならば︑経済発展の格差を生ずるであろう︒勿論ここで初期条件の差異とは
各地域の相異る自然的条件の差異と同じものをいうのではない︒自然資源︑気候︑人種的性質等の差異は構造的
パラメーターの差異として示される︒初期条件は体系が動的な発展経路をはじめる以前に生じた発展的なプロセ
スの結果である︒前例では外生的な投資の導入によって生じた所得水準の上昇を初期条件と考えた︒
すでに述べたライベンシュタインの○ユ江︒巴寓一巳ヨqヨ国包自件臼犀Φ忽ωは低開発地域における特続的成長
の出発点において︑初期条件のもつ重要性を端的に示したものであり︑また︑ガーレンソン・ライベンシュタイ
ンの再投資率基準として知られている投資配分基準もまた発展の出発点で可及的に高い再投資率を確保しうるよ
うな配分計画をたてるべきであるとする︒このことは初期において発展に有利な条件を確保することが以後にお
ける成長経路の決定にとって決定的に重要であることを意味する︒㈱かくて経済体系の持続的発展の可能性を決
定するものは︑その体系のもつ構造的パラメーターのみならず︑初期条件いかんである︒経済発展の格差は︑構
造的パラメーターと初期条件の差異によりて発生する︒ ﹁構造的係数の変化は進歩と沈滞︑急速な進歩と緩慢な
経済発展の絡差について ︑ 五三
研究 年報 五四
進歩︑ある時点における変数の高い値と低い値との差異を意味する︒しかし︑たとえ二つの体系︵二つの地域︶
が同一の値の構造的パラメーターをもつとしても︑初期条件の差異は一つの地域が累進的に発展するか︑他の地
域が沈滞に向って動くか︑あるいは一地域の進歩が他域の進歩より早いかを決定する︒﹂囲むしろ経済発展に有利
な初期条件を確保することが︑かえって構造的パラメーターを発展に有利な方向に改変せしめうる機会を発生せ
しめるかもしれない︒出発点においておくれをとるということは︑それ以後の発展にとって致命的に不利な立場
をあたえる可能性がある︒ ﹁ある地域が人口過剰の状態であり︑その資本量はきわめて少なく︑したがってその
生産量もまたきわめて低い状態に達しているとすると︑この状態は︑人口数を突然に減少せしめることによって
容易に改善しうようなものではない︒そのような環境が歴史的にある時点であたえられているという事実は︑長
期的にでさえその環境の改善に障害となる︒経済的格差は初期条件の差異によるという仮説をべつの言葉で述べ
れば︑一地域はゆきづまる以前に利口となったのであり︑他地域は利口となる以前にゆきづまってしまったのだ
ということができる︒﹂⑳
3
二地域または経済がその発展過程において示すところの相互関係について︑最近一β︒ヨΦωじd霞二①が連立定差
方程式で示されるモデルによって興味ある分析をあたえている︒㈲彼の論文でも発展の格差をモデルにおける構
造的係数及び初期条件の差異から考察しており︑しかもミユルダールの逆流効果と波及効果についで解析的な説
明をあたえているから︑われわれが前節で示した亭号をさらに明確するために役立つであろう︒その意味でここ
にバートル分析の一部を要約的にとりあげよう︒
経済発展の一般的モデルとしてつぎのごとき連立定窯方程式をあたえる︒
網μ︵⇔︶一9︒=環六幹一一︶十凶し・一肖︒︵酔一一︶
槻贈︵︶潜鴇網団︵叶一一︶十鋤誌嘱戸︵什一一︶ ︵一︶
ここで嘱昌︵け︶はt期における第一地域あるいは部門における所得を︑が︵酔︶はt期における第二地域あるいは
部門における所得を示し︑パラメーター恥は第一地域にとって直接的衝撃係数ともよばれるもので︑前期の所得
ヨ ゆ ユ水準が今期の所得にあたえる影響を示す︒偽は第二地域について同様の効果を示す係数である︒両は前期におけ
る第二地域の所得水準が今期の第一地域の所得にあたえる影響を示し︑間接的衝撃係数とよんでよい︒亀ぽ前期
における第一地域の所得水準が今期の第二地域の所得にあたえる間接的衝撃効果を示す係数である︒ミユルダー
ル的な逆流効果と波及効果の強弱はこの間接的衝撃係数を通じて示しうるであろう︒バートルの分析では一応こ
れらの係数は発展過程を通じてコンスタントと仮定されている︒さてこの一般的発展モデルの解であるが︑いろ
いろの解法があるが︑こ〜でバートルの採用した方法を利用することにしよう︒ω式より︑
5︵け⊥︶一5︵仲︶19畳誉⊥︶ ︵b・︶ ㊤惇
期間を一期だけ進めて︑
橘ド︵酔十一︶一9μ橘目︵酔︶ ガ︵け︶ ︵︒︒︶ 国巴ωと㈲とをωのあとの式に代入すると︑
メ︵け︶¶5︵け1一︶
同様の操作によって︑
経済発展の格差について マ+・B﹂+暮−N︶▽⁝﹁£b・山
五五 ︵蒔︶
研究年報
.囚埴︵什︶H橘b∋︵け一一︶
ωと㈲とは係数は同一である︒そこでともに次の特性方程式をもつ︒
㈲から二つの特性根がもとめられる︒
×
@
@
@
u3+書﹂+炎TD︶﹁⁝b・︒﹄・﹁竃b・b・﹂
図鵠−﹁ぎ+£×+宇も・国b・﹁鋤・・△
V+£之丁・き﹄−幽・暴凶⁝心・﹈
①を整理してつぎの二つの根があたえられる︒
@
@
@
@3+・・・⁝+<﹇潜﹃△
解疑 P
@
@
@
@・・降・⁝﹁ぐ\﹇鋤・・よム
×㌦ p
そこで一般解として ゆ ヨ Oμ図μ十〇し2醤鵠 D鱒十轟鋤這9障十目互譲節b︒μ 五六
︵α︶︵①︶
(刈
j
(。。
j
︵⑩︶8
があたえられる︒ρと○埴は未定係数であるひ ミユルダールのモデルでもし逆流効果が波及効果より強力であれば︑
ばならない︒ところでその場合︑その絶対値について︑
青8>﹇・﹃・・﹄ 勉︑砺のいつれがネガティブでなけれ
が成立つならば︑瓦と濁とは複素根となり︑⑪式は第一地域についていえばつぎのごとく示される︒
@
@
@ =i締︶ま.﹇ρ傷︒・酔①+︒・・葺①﹂
この式においては︑ 琶§
〒剛宝﹃+β・﹄︑︒下よ﹄︑︒+ぎ避
︒は︑︑ −張
ooω①11
ω一旨①11
9Ωメ9皆十潜這国﹄︒
四ほ十鋤旨 P害
魯竃㎏﹁▽﹁§﹈鵠
曽≦
として正弦余弦の表から求められる角度である︒
そこで係数鞄が負であり︑ 蜜Vご国尽﹀①達であるならば︑
経済発展の格差について 第一地域の所得は成長傾向を示し︑
五七 第二地域の所得
研究年報 五八
は低落傾向を示すであろう︒つぎのごとく証明しうる︒梓一Oにおいては︑ωぼOPoc︒︒011一であるからく・︵O︶一
ρ仲一1一においては︑
@
@
@嶋乙ま﹇︒・§㊤+書三 ・
そこで未定係数は︑
O昌嶋昌︵O︶ .
o㌦囑三︶一言5︵O︶8ωΦ . ︑ ﹈≦ωぎ㊤
@
@
@
垂ュろ了メ︵︒︶﹁3+§﹂
@
@
@文ム丁・b・・旨丁宇﹁・﹄︑︐
パラメーターが発展過程ではコンスタントとすれば︑ざ︵け︶一帥置くスO︶+拶惇嶋埴︵O︶であるから︑
@
@
@︒博一i磯・︵︒︶b鋤﹃鋤﹄+D︒⁝尾・・︵︒︶
@
@
@忘丁⁝鋤・丁宇﹁・乱︑︒
そこで⑫より
@孝ζ7︵・︶写Φぐ斜㌃輩⁝詳﹂・・ぐ到.翌旦非凱富
8ω$VOの領域では︑
メ︵O︶愁す・・9﹃﹇⁝﹁&︑︐ ト
十﹁p・ユ÷・︵︒︶+冒︵︒︶ぎ霊三①VO
であれば︑ざ︵什︶は上昇的で漏る︒またこの領域では︑庇口さは零から無限大の範囲にあるから︑
は第一項を圧倒するであろう︒そこで︑嶋︼︵什︶の正負は終極的には第一地域にとっては︑
@
@
@
、・﹁△員︒︶+隠︵︒︶・讐
によって定まるであろう︒
第二地域については︑ 右の式の第二項
︵ε
@
@
@
u・・ユ占吋b・︵︒︶+蟄︵︒︶曽信 怠
によって定まるであろう︒もし︑⇔旨くOで国詞V坦Bであればqのは正となり㈲は負となる︒まさしく第一地域の発展
は第二地域に逆流効果をあたえる︒しかし以上は勿諭︑8ωδVOの領域においてのみ妥当し︑︒oω豪くOとなれば
第二地域の所得は結果的には零となりマイナスとなりつつあることを意味する︒その影響は第一地域の所得をも
マイナスとならしめるであろう︒このことはきわめて非現実的である︒バートルも述べているごとく︑ミユル
ダールモデルは第二地域の所得の絶対的な低落よりも︑むしろ先進的な第一地域の所得成長に比較しての相対的
な低落を考えているのである︒したがって︑ ︒oω$︿Oの場合は視角外におとすことができる︒そして︑また第
二地域の所得水準が上昇しつ㌧ある場合でも︑第一地域の急速な所得成長がかえって第二地域に逆流効果をあた
え︑その所得成長の速度をにぶらすことが考えられる︒ミユルダールの逆流効果による発展度の格差は本来的に
経済発展の格差について 五九
研究年報 六〇
はこの場合を意味するものである︒しかしここで属六一︶嶋に︵一︶を目目︵O︶り橘︒︵O︶に関係なく十分に大きくとる
と︒oω巳VOの範囲でρが十分に大きな値をとり︑ρωぼさがρ8︒・さを圧倒するならば︑目μ︵齢︶囑に︵酔︶は共
に正であることは明らである︒
訓馬日︵一︶一﹈ノ肖囚μ︵O︶Ooω㊤ ρ ﹈≦ω貯㊤
において5︵一︶を十分に大きくとると−O﹄・もまた大きくなる︒バートルはこの考察から発展過程における初期条
件の重要性を指摘し︑投資計画の初期における所謂︑.三σq勺ロ︒・ゲ.論の根拠を示している︒バートルはこの諭文
で︑交易条件の不利なるが故に発展が阻害される後進地域についての︒フレビッシュモデルを考察しているが︑彼
の諭文は本来的には発展過程における二地域に存在しうる三種の関係︑即ち衛星的関係︑共存的関係︑独立的関
係を︑モデルの構造的係数によって明示することを目的としたものであった︒そして使用された方程式は一次式
であった︒またバートルは発展過程におけるストカステイックな要因の重要性を︑構造的係数によってあたえら
れる発展の限界領域との関連において諭じている︒確かにハーベルモーも指摘するごとく︑同じようなパラメー
ター的構造をもった二つの経済でも︑純粋にストカステイックな要因によって全く異った発展パターンを示すか
も知れない︒われわれは経済発展の格差を構造的係数や初期条件の差異から考察して来た︒したがってストカス 圏テイックな要因をどのような形で経済発展の格差にむすびつけるかは重要な問題として残されている︒
註 ω
②
㈲ ㈹
㈲
ω ㈲
働 圖
⑳ ⑳
上 ㈱
弓●=四曽くΦ一旨︒︾諺ω什二◎団一昌目ゴ①弓げ①o目気Oh国oO昌Oヨ8国くO一〇臨OP一⑩㎝お●・ご℃・鼻︒
O●ζ︽a巴国︒08ヨ8目げΦo曙き自d巳︒7U①く①一〇℃Φ畠男Φぴq一〇口︒・い︒口OoPおα司︒oムα一●小原即知訳一八五頁︒
国●一≦団一口計︑.目すΦΩ巴5のヰ︒ヨH昌8目昌餌銭︒⇒巴弓巴90qΦ9づα切9ρO財ミ9属αOo口旨什ユ①ω二幽閑①証Φ≦O︷国oO昌Oヨ8ω↓βユδuo︾
<O一︒図×昌●20南.
幻●勺同ΦσδOゴ℃弓げΦ国OO口O日一〇∪Φ<Φ一〇〇ヨ①酔Ohい口鉱コ諺旨①円8鋤会Ω昌αωO目①Oh津ω冥目Oぴ竃ヨ9﹈Z・鴎.晶⑩春O.
冒讐畠9︒一旨乙●もムω●小原訳一四頁︒噺
出︒い①一び①昌oo什Φ一口︾︾●目びΦ○円団Oh国OO口O目陣O−﹈︶ΦヨOαq自己σ℃げド︼︶Φ︿巴Oも︼βO昌什●議り切回︒
掴●いΦ凶げ①討q自什Φ一ロリ国oO昌O母一〇切助O屏≦鋤憎傷昌ΦωQo鎗ρbα国OO層O﹈B一〇〇鴇O≦けF一⑩αN︒
拙稿﹁経済成長と人妻iマルサス的均衡よりの離脱について一﹂経営と経済第三九年第二冊第八○号参照
国・﹃Φま①旨雪①ぎ国︒80旨一︒切碧胃蓄a口霧90ム①・矢野訳二三頁︒
凶三Fbム9矢野訳二三.頁︒
O・ζ鴇α巴ま注・o・ωO・小原訳三七頁︒ ノま乙も・B●小原訳三五頁︒別の難処でミニルダールは次のごとく云っている﹁経済的変数だけをとり扱う低開発ならびに開
発の理論は︑論理的理由によって︑非現実的となり︑したがって無意昧となる運命をもっている︒﹂℃・まD小原無二〇〇頁︒
凶び崔σo●賠・小原訳三二頁︒
ま一〇σ娼南○︒︒小原訳三三頁︒
ま乙●燭●P︒︒.小原訳三四頁︒
菊・乞自犀ωρ津︒び一㊦旨の︒眺O曽豆訂一団霞ヨ鋤江︒旨貯d山住①同・α①ぐ①一〇℃①畠Ooqづ#δω●噛2.囑ごお㎝ω●O南N.土屋訳四一〜四一
経濱発展の酪差について . 六一
研究年報 大二
㈲ ○・竃属9♂ま莚・b・α0〜望・小原訳六三頁〜六四頁︒
個 ま置・b・ωナ小原訳三七頁〜三八頁︒
働 一び乙︒b.ωω・小原訳四〇頁︒
姻 ま一α・弓●ωム・小原訳四一頁〜四二頁︒
㈲⁝ ↓●国餌︒<巴﹈Bρ一σ一畠・b・#N●
⑳≦ド警ゆ曽580γゆωぎ①ωψbdΦげ9<ざごく巴鑑⑦曽質qO目︒ミけ戸Z・属・℃お㎝Pb・﹂ω9
⑳ 円●出鋤鋤く9ヨρ一ぴ一α●O・㎝N・
吻 長崎大学東南アジア研究所年報第一冊︵和和三十五年七月︶所載拙稿﹁経済成長と投資基準i再投資率基準をめぐって
一﹂を参照︒
㈱︐已●出蜂09ρ︿巴ヨρ一げ一像・b●春N・
一び一畠・b︒①D.
一〇日①ωゆ5目菖ρ︑.℃曽同僧ヨΦ什ユO﹈≦曽bωo︷一︶隣hΦ目①昌↓↓嘱娼①¢Oh国OO口OヨざUΦ︿Φ一〇磐戸①昌計.り防げO勾①<宕≦Oh国oO昌Oヨ8ω
⇔ロαωげ帥江の窪︒ω蜀①び門5曽目団一⑩①Pサ#轟〜㎝㎝・
⑳ 連立馬差方程式の解法については次の書が参考となる︒≦⁝貯ヨ臼.し⇔9冬野︒凝︑︑ωo一思江obo暁ω一日ロ#きΦo信ωいぎΦ錠U龍h
Φ目Φ昌︒①国ρ離帥怠obω嘱ω9日頃.鳩冒qび=ωげΦ侮鴎︒壇け7Φ℃同︒冨9︷oH>傷く90boΦ畠目目90ぎ一口σq一ロω09巴幻ΦωΦ卵円︒ぽ①けOo一ヨBび貯
d昌才芸ωヰ団・U●ミ●切ρωげm≦o⇒伽幻●芝●Oδ≦①5ぎ畦︒自自︒江︒ロ酔oH≦葺財Φ日臼︒江opo一国oo旨○ヨ8ρ一り切N●℃9ユ目弓ゴ①
一≦po酔げ①日餌↓まωb南⑬④︒
轡切葺H什冨り一び一畠b㎝O・
経済発展のストカステイックモデルはハーベルモーによって展開されている︒目・口きく2ヨρま惹ごb・①轟〜○◎ω・