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雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

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Academic year: 2021

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表面プラズモンの研究 : 弾性表面波との相互作用 及びバイオセンサヘの応用

著者 孫 暁春

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 13

ページ 164‑165

発行年 1992‑03‑30

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1744

(2)

氏名 ̀(本 )  孫          春  (中 国 )

学 位 の種 類 工 学 博 士 学 位 記 番 号    工博 甲第   60  

学位授与の日付   平 成 3年 3月 23日

難 授与の要件    学位規則第 5条 第 1項 該当

響 ゲЪ ど 蒜    電子科学研究科   電子応用工学専攻 学位論文題目    表面プラズモンの研究

一弾性表面波 との相互作用及びバイオセ ンサヘの応用

論文審査委員   (委 員長 )

.教 授 本 郷 廣 平   教 授   豪 教 授   山   田   祥       教 授   山     十六夫 助教授 小 楠 和 彦   助教授 塩 川 祥 子

論 文 内 容 の 要 旨

本論文は表面プラズモンの研究 と題 し ,表 面プラズモン (SP)と 弾性表面波 (SAW)` との相互作 用の物理現象の解明及び SPを 用いたバイオセンサの開発を行 ったものである。

SPは 金属と誘電体との境界にエネルギーを集中して伝搬する電子の疎密波である。その特性は境 界の誘電的 ,幾 何学的特性に強く依存する。本研究ではSPの 伝搬面上に SAWを 伝搬させ, それに

よりSPに どのような影響を及ぼすか,ま たSPと SAwと の相互作用をセンシィグに適用できない かを調べた。

理論及び実験では LiNb03/金 属膜 /空 気の三層構造を基本とした。圧電結晶 LiNb03を 透過 し

,

その表面上の金属膜に光を照射することにより金属膜 /空 気の境界に SPを 励起できる。 またその表 面上にホ トリソグラフィ法により形成 した櫛形電極により SAWを 励起 させ ることもできる。 SAW

の伝搬により境界に正弦波型の動的な格子が生 じ ,光 が回折 されるだけでなく ,SP共 振のための波 数整合条件 も変わる。本研究では SAWに よる光の回折の理論に基づき ,SPの 共振 による光の減衰

,

及び SP共 振のための波数整合条件への SAwの 寄与を考慮 して ,SPと SAWと の相互作用における 回折光スペクトルの計算式を導いた。

実験では同一素子により ,SAWを 設計周波数 85MHzと その三倍の 255MHzで 励起 した。 SPを 励

振周波数の異なる sAWと 相互作用 させた時の回折光スペクトルを測定 し ,そ の結果を理論計算の結

果 と比較すると ,両 者はかなリー致 していることが分かった。 これにより理論 と実験 との両方か ら

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SPの 共振に SAWの 動的な格子作用及び SAW周 波数の回折光スペクトルヘの増 潮

:ら

かになった。

銀 ,金,銅 三種類の金属膜をそれぞれ SPの 活性層 とし ,SPと SAWと 相互作用をさせた結果 ,回

折光スペクトルは膜の誘電特性だけではなく ,SAWの 励起周波数 にも依存することが分かった。特 に SPの 半値幅が一次回折光スペクトルに含まれる二つの SP間 の間隔とほぼ等 しい時 ,一 次回折光 の方が零次回折光より膜の特性を顕著に表 していることが分かった。これは二 つの SP成 分の重な り により双峰形のスペクトルが生 じたことによるもので

(

重なり効果 "),膜 評価に応用できると考 えられる。そこでこの 重なり効果 "を 用い ,銀 膜の自然な化学変化 (酸 化 ,硫 化など )に よる膜の 誘電率の変化をスペクトルの変化を通 して観察 した。これ らの結果か ら ,  この新 しい物理現象を用い れば ,い ろいろな物質止を伝搬する SPの 特性を調べ られるだけではなく ,金 属膜の物理的 ,化 学的 特性の評価 も可能であることが明 らかになった。

以上のような物理的な研究を行 うと同時に ,SPの 一つの応用 として ,SPを 用いたバイオセンサの 開発にも取 り組んできた。 SPバ イオセンサは試薬を用いずに表面上での免疫反応 による光学特性の 変化 ,た とえば屈折率 ,表 面層の厚さなどを直接検出するものである。

本研究で ,ま ず測定原理に基づいてセンサの感度式を導出し ,生 体試料や溶媒の値を代入 して数値 的に感度を求め ,SPバ イオセンサが原理的に高感度であることを明 らかにした。そ して実験 システ ムを構成 し ,  α‐ FetolrOtein(肝癌患者の血清中ではその濃度が上昇する )免 疫反応の検出に応用 し た。プ リズム上に固定化 した抗体に抗原を反応させた 2時 間後の測定で ,抗 原を数 10ng/mlの 濃度 まで検出することができた。この結果はこれまでの物理的測定法 としては最 も高感度 である。このセ ンサの感度はセンシング物質の固定量に依存 し ,そ の固定量を増やすことによリセンサの感度を高め ることができることが実験的に明 らかになった。

さらに実用化を目指 し ,SPバ イオセンサを実時間 ,定 量測定へと発展させる研究を行 った。測定 方法 ,セ ンサの構成などを改善することにより ,反 応後 ,数 秒か ら数分間で抗ヤギ IgG(ウ ィルスの 感染により血液中のIgGな どのプログリンの量が増大する )の 濃度を実時間測定で数 μ g/mlの 濃度 まで定量的に測定できた。それに基づいてセンサの検量線が得 られた。そ して SPバ イオセ ンサは

,

抗体を固定化 し抗原を検出するのと ,抗 原を固定イ ヒし抗体を検出するのとでは ,ど ちらがセンサとし

て適 しているかについて検討を行った。 SP物 埋現象自身の特徴及び生体分子の特徴を もとに し ,原

理と実験との両方か ら抗原を固定 し抗体を被検体 とするのがセンサとして適 し ていることを明 らかに した。またセンサの繰 り返 し再使用の問題についても実験的な検討を行った。そ の結果 ,結 合された 抗体 ,抗 原をある程度解離できること ,処 理に用いる薬品 ,有 機膜の効果などについてさらに検討す

る必要があることが分かった。

これ らの研究は SPを 免疫センシングに応用することの有効性を示す と同時に ,セ ンサの構成法

,

特性の改善などに役立つ結果を得ることができ ,実 用化へ向かう道を開いた。

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