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学 位論文 審 査結果 の概 要

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Academic year: 2021

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(1)

様式第8号(第18条,第36条関係)

学 位 論 文 審 査 結 果 の 概 要

関口 龍太

学位論文審査委員氏名

主査 伊東 俊司 副査 澤田 英夫 副査 岡崎 雅明 副査 阿部 敏之 副査 川上 淳

湾曲した炭素クラスター構築に向けた有機合成化学的アプローチ

(A synthetic approach for the construction of warped carbon clusters)

審査結果の概要(2,000字以内)

提出された論文は、第一章「序論」、それぞれ独立した第二章から第六章、および第七章「総論」の 7章構成となっており、これまでに前例のない有意なベルト幅を持った完全な縮環構造を有するカー ボンナノチューブ(

CNT

)セグメントのボトムアップ合成法の開発とその過程で得られる環状のフェ ニレンアセチレン化合物やポリフェニレン化合物などの新規な大環状

π

共役系化合物が示す特異な物 性の解明を目指した研究について記載されている。近年、有機合成化学的手法により構造が明確な

CNT

構築を目指した研究が活発化してはいるものの、これまでに報告されてきたカーボンナノリング やその類縁体は、いずれの場合においても環構造は単結合を介して形成されており、完全な縮環構造 を持ってベルト状に

π

共役系は形成されていない。そのため、単一の構造を持ち有意なベルト幅を有 する縮環構造を持った

π

共役系(CNTセグメント)のボトムアップ合成はいまだ未知の領域としてその 構築法の開発に期待が寄せられている。本博士論文では、Müllenらによって報告されたヘキサフェニ ルベンゼン誘導体を経た温和な条件下での環状脱水素反応によるヘキサ

-peri-

ヘキサベンゾコロネン

(HBC)

骨格の高効率な構築法を基盤として、これまで前例のない有意なベルト幅を持った完全な縮環

構造を有する

CNT

セグメントのボトムアップ合成法の開発を目的としている。

第二章では、溶解度の確保のために長鎖アルキル基(R = C16

H

33

)を導入し、環状フェニレンアセチレ

ン化合物とテトラフェニルシクロペンタジエノンとの

Diels–Alder

反応を行うことで(18,0)構造を持つ ジグザグ型

CNT

セグメントの完全なベンゼン環配列に相当する環状ポリフェニレン化合物の高効率 な合成法の確立について述べられている。また、第三章では

(12,3)

構造を持つキラル型

CNT

セグメン トの完全なベンゼン環配列に相当する環状ポリフェニレン化合物の高効率な合成法の確立について記 載されている。第四章では、

(9,9)構造および(12,12)構造を持つアームチェア型 CNT

セグメントの完全 なベンゼン環配列に相当する環状ポリフェニレン化合物の高効率な合成法の確立を報告している。い

(2)

ずれも最終段階での環状脱水素反応による各種

CNT

セグメントへの変換には成功していないものの 合成の検討過程において大環状のフェニレンアセチレン化合物やポリフェニレン化合物が特異な光物 性や相転移挙動を示すことを明らかにしている。

さらに、第五章では、アームチェア型

CNT

セグメントのボトムアップ合成を目指す際に課題となっ たヘキサフェニルベンゼン骨格間の立体制御を成し遂げるために、

2

個の

HBC

骨格間に

1,4-ナフチレ

ンユニットを挿入したナノグラフェン分子の合成を検討、長鎖アルキル基に代わる新たな可溶性置換

基として

2,4,6-

トリメチルフェニル基

(

メシチル基

)

を導入したことで分離精製を可能とする溶解度を

持つナノグラフェン分子の合成に成功している。最終の第六章では、第二章から第四章において確立 した大環状ポリフェニレン化合物の構築アプローチに対して、第五章において見出した立体制御法を 活用して、ベルト状の完全な縮環構造を持った

π

共役骨格(アームチェア型

CNT

セグメント)構築の検 討結果について述べられている。現在までのところ、最終段階での環状脱水素反応において目的とす るアームチェア型

CNT

セグメントの選択的合成には至っていないもののベルト状の完全な縮環構造 を持った

π

共役系骨格構築のための新たな多くの知見を得ている。

以上のとおり、本博士論文では、これまで前例のない有意なベルト幅を持った完全な縮環構造を有 する

CNT

セグメントのボトムアップ合成法の開発に果敢に取り組み、その構築のための新たな多くの 知見を得たことは高く評価される。さらに、主要論文として出版済みの査読付き原著論文

2

編が挙げ られており、いずれも申請者が第1著者の英文本論文であり、理工学研究科の基準を満たしている。

これら研究成果は高く評価できるものであり、当該学生の予備審査、本審査さらには公聴会におけ る本研究成果に関するプレゼンテーション内容および口頭試問の結果は、学位論文審査試験に合格す るものと判断された。

学位論文の基礎となる参考論文

(1) Preparation of a Cyclic Polyphenylene Array for a Zigzag-Type Carbon Nanotube Segment, R.

Sekiguchi, K. Takahashi, J. Kawakami, A. Sakai, H. Ikeda, A. Ishikawa, K. Ohta, and S. Ito, J . Org . Chem ., 80, 5092-5110 (2015).

(2) Preparation of a Cyclic Polyphenylene Array for a Chiral-Type Carbon Nanotube Segment, R.

Sekiguchi, S. Kudo, J. Kawakami, A. Sakai, H. Ikeda, H. Nakamura, K. Ohta, and S. Ito, Bull .

Chem . Soc . Jpn ., 89, 1260-1275 (2016).

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