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コンセプトエンジニアリングのセオリーと上野原市中山間地の

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コンセプトエンジニアリングのセオリーと上野原市中山間地の 公共交通体系再構築のためのデマンドミニバスのコンセプト

谷口  文朗

✉ 

(平成

20

12

2

日受理)

Theory of Concept Engineering & Demannd Mini Bus Concept to Renovate Municipal Transportation System in Remote Area of the City of Uenohara

Fumio TANIGUCHI

“To conceive, to design, to develop, to produce, to market and to deliver” are natural and fundamental procedures to introduce entirely new products and/or services to the market. Author of this article learned this formula when he translated “Made in America” written by MIT profrssors in 1989. With his knowledges and experiences he acquired through his careers at Toray Industries and through his fifteen years of serveses at Teikyo University of Science and Technology, he theorized these procedures into “Theory of Concept Engineering”.

To illustrate the point, he described the development procedures of entirely new products at Fuji Film Co.Ltd., a “film camera”, and, next, he explained the building  process of “demand mini bus concept and its prototype” to meet challenges at the remote areas in the city of Uenohara, where relentress depopulation is going to realize.

After laborious jobs to compile passengers demand for future demand mini bus systems from inquiries sent for 2,000 inhabitants in the remote areas of the city, he successfully produced possible volumes of passengers both in weekdays and weekend, to show that demand mini bus concept will be able to be sustainable and feasible.

Key Words : コンセプトエンジニアリング, 新製品開発, 新サービス開発,

中山間地公共交通再構築, デマンドミニバス, アンケート調査, 需要見通し

目次

1.プロローグ 

2.コンセプトエンジニアリングとは何か 3.マネジメント オブ テクノロジー(MOT)

4.コンセプトエンジニアリングのセオリー 5.「写ルンです」というグッズに見るコンセプト

エンジニアリングのプロセス

5−1「写ルンです」に見る“to conceive”から

“to design”のプロセス 

5−2「写ルンです」に見る“to design”から

“to develop”のプロセス

5−3「写ルンです」に見る“to develop”から

“to produce”のプロセス

5−4「写ルンです」のネーミングとマーケティ

ング

6.デマンドミニバスというサービスに見るコンセ プトエンジニアリングのプロセス

6−1  上野原市地域交通検討委員会・同小委員 会の設置

6−2  委員会の検討方針の確認 6−3  基本コンセプト構築 6−4  プロトタイプの構築

7.地域交通アンケートに基づくデマンドミニバス の需要見通し

7−1  アンケートに基づく需要見通しの手順 7−2  第 1 地域の具体的数字に基づく需要見

通しの手順       

8.デマンドミニバスのプロトタイプ確定に向けた

(2)

30

3 つの課題

8−1  車輌の調達と 2 種運転免許を持つドラ イバーの確保 

8−2  安全運転確保のために設けられている 国の許認可の取得

8−3  1 車輌当たり 800 万円の資本調達と事 業主体の構築

9.エピローグ 謝辞

添付資料:『デマンドミニバス導入のための特区申 請』

参考文献

1.プロローグ

筆者は上野原市に創設された西東京科学大学(現 帝京科学大学)経営工学科に平成 4 年 4 月に着任 し、 15 年の勤務を経た平成 19 年 3 月に理工学部メ ディア情報システム学科を退任した。この間、平成 8 年 4 月に大学の名称が西東京科学大学から帝京科 学大学に、平成 9 年 4 月には所属する経営工学科 がマネジメントシステム学科に名称変更された。学 科名称が変更された平成 9 年は学科の新入生が創 設以来最も多い 154 名を数えた年であったが、平 成 10 年は 132 名、平成 11 年は 107 名、平成 12 年は 46 名、平成 13 年は 24 名と新入生が急減して 平成 14 年 4 月には新入生の募集停止、平成 17 年 3 月に最後の卒業生を送り出して学科は閉鎖された。

このような変化の中、筆者は大学勤務の最後の 2 年間をメディア情報システム学科に在籍し、①これ からの経済社会、②これからの産業企業、③会社の 仕組み、④職業と社会生活という講義を全学科・全 学年を対象とし担当するとともに、最後の 1 年はメ ディア情報システム学科 4 年生 4 名の卒業研究指 導に当たった。卒業研究のテーマは『自家用車乗り 合い・乗せ合いプログラム実現のためのインターネ ットデーティングサイトの構築』であった

1)

これは、河岸段丘のゆえに坂が多く、道が狭いこ の上野原市で、平成 14 年 2 月に改正道路運送法が施 行された後の公共交通機関縮小の機運の中で、交通 手段を持たないお年寄りや子育て最中のヤングマ マが生活のための交通手段を得られるようにする ための研究で、上野原市が情報基盤整備事業として 行なっている全世帯・全事業所に光ファイバーネッ トワークを整備する事業完成後に開けてくるユビ

キタス社会における自家用車便乗を可能にするこ とを見据えていた。

この大学における 15 年間の教育・研究の活動を 通して、筆者が専門課程と全学科・全学年を対象と した学生諸君に、知識のレベルではなく信念のレベ ルで教え込みたいと念願したのは次の 4 項目であ った。

①  企業は環境の変化というチャレンジ(挑 戦)にレスポンド(応戦)して存続し続 けなければならないこと、

②  企業がゴーイングコンサーン(going concern)として存続し続けるためには 新しいグッズとサービスを生み出し続 けなければならないこと、

③  グローバルな経済社会は第 1 次産業と される農林水産業から第 2 次産業の製 造業、第 3 次産業のサービス・知識集約 産業へと不可逆的に拡大・発展している こと、とくに、わが国におけるサービス 産業の雇用と付加価値額が製造業を上 回り、多くの学生諸君がサービス産業に 就職しているのでその経営の原理原則 を製造業との対比において明確に教え ること、

④  科学大学における卒業研究指導に当た って、実験が不可能な社会科学の領域に おいて野外調査を行うこと、および、実 社会で起こっている諸問題の解決に貢 献するテーマを取り上げること

 

筆者は、帝京科学大学紀要第 2 号において上記第

③項の研究成果を取り纏めて『Beauty & Hair Salon マネジメントゲームの開発』を、第 3 号に おいて上記第④項の研究成果の一部を取り纏めて

『上野原田園都市地域の Quality of Life 向上のた めの2件の野外調査と 2 件の構造改革特区提案』と 題して投稿したが、この紀要第5号において、上記 第②項の研究成果である『コンセプトエンジニアリ ング』 、すなわち、筆者が大学に着任する以前に勤 務していた企業における知見と大学に着任後に行 なった研究を体系化した「新しいグッズとサービス が生み出されるプロセスに関するセオリー」を紹介 し、それに基づいて取り組んだ「デマンドミニバス」

のコンセプトの構築とプロトタイプの確定に至る

検討経過を報告したいと考えるものである。

(3)

31 2.コンセプトエンジニアリングとは何か

筆者が設立発起人の 1 人を務め、1992 年 3 月ま で在籍した東レ経営研究所で取り組んだ仕事の中 に Massachusetts Institute of Technology(MIT)

によって調査・研究された『 Made in America 』

2)

の翻訳がある。その中で今も忘れ得ない 2 つの文章 がある。その 1 つは「コンセプト」について述べた 次の文章である。

“Competitiveness may hinge on the speed at which new concepts are converted into manufacturable products and brought to market, on the flexibility with which the firm can shift from one product line to another in response to changing market conditions, or on the time it takes to deliver a product after the customer places an order. ”(原書 33 ページ)

“Our main focus was the nations production system : the organizations, the plant, the equipment, and the people, from factory workers to senior executives, that combine to conceive, design, develop, produce, market, deliver goods and services to the customer.”(原書 3 ページ)

今ひとつは「アメリカの国の形」について述べた 次の文章である。

“The success of those firms suggests a vision of a new industrial America, a nation equipped to exploit the best ideas and innovations from abroad as well as its own inherent strengths.” (原 書 9 ページ)

最初の文章は、①競争力は未だこの世に姿・形を 現していない新しい製品のコンセプトが製品とし ての形を与えられ、市場に導入されるスピードによ って決まること、②新しい製品やサービスのコンセ プトが形を与えられて製品になるプロセスを「国の プロダクションシステム」としてとらえて、それが

[ⅰ]コンセプト=アイディアを着想する機能

(to conceive)

[ⅱ]アイディアに形を与えてプロトタイプを 作成する機能( to design )

[ⅲ]プロトタイプを徹底的に解析して量産ス

ペックを確立する機能(to develop)

[ ⅳ] 生 産 ラ イ ン に 乗 せ て 量 産 す る 機 能 ( to produce)、

[ⅴ]販売契約を締結する機能(to market)、

[ ⅵ ] 所定の場所へ配送する機能( to deliver ) という 6 つの機能から構成されていることを述べ ている。

  第 2 の文章は、「アメリカは自国が持つ強さをア メリカのために存分に活用する能力だけでなく、ア メリカ以外の国が生み出した最高のアイディアと 最高の技術をアメリカのために存分に活用する能 力を持つ」ということを述べている。

  第 2 の文章は、世界最高のイノベーションについ て「私のものは私のもの、あなたのものも私のもの」

というとんでもない論点のようだが、トヨタをして ジャストインタイム方式をアメリカに持ち込ませ たり、プロ野球の世界でイチロー選手・松井選手・

松坂選手を連れて行ってしまった事実がこのこと を例証している。なぜこのようなことが現実に起こ り得るのか、 「ドル本位制度がその理由」というの が私の結論であるが、ここでは触れない。

『Made in America』が言うコンセプトとは何か。

私は、 『コンセプト』とは「ディッレッタントのア イディア」ではなく、「プロフェッショナルのアイ ディアで、かつ、プロトタイプを製作する能力をも つ人またはグループにバトンタッチされ得るアイ ディアである」と考えている。

次に『エンジニアリング』とは何か。手元の英和 辞典からは「工学」という以上の説明を得るのは困 難である。『 Made in America 』の翻訳の際に頼り にした小学館の『ランダムハウス英和大辞典』を引 いても、「工学」と並んでカタカナで「エンジニア リング」と書かれている(1994年第2版879ページ) 。 このような場合、私は躊躇なく1942年以来わが国 で発行され続けている『 IDEOMATIC AND SYNTACTIC ENGLISH DICTIONARY』(開拓社 1973年新装版)

3

を引くが、その339ページには

“the science of building and controlling machines, ships, roads, etc. ; the profession of an engineer.”

と説明されている。「機械・船・道路その他をビル ド(構築)してコントロールする(意のままに動か す)ことに関する科学」と言うことである。科学に ついてこの辞書は962ページで

“ knowledge arranged in an orderly manner,

esp.knowledge of the way in which one

(4)

32

event causes another.”

と説明しているので、「etc.」の中に「経営」を入 れると「経営工学」すなわち「企業を創り上げて、

因果関係=論理に忠実に経営していく技」というこ とになるし、「コンセプト」を入れると「コンセプ トを構築してコントロールする科学」、すなわち、

「論理に忠実にアイディアに形を与えてプロトタ イプを作成し、量産スペックを確立する機能にしっ かりとバトンタッチしていく技」ということになる。

「絹にはなぜ光沢があるのか。蚕の口から糸が出 るからである。ならば紡糸の口金の微細孔を真円で なくしたらどうなるか」というのが東レの『シルッ クの原点』であったと筆者は承知している。糸の断 面が真円であれば光は均等に反射し、反射光に強弱 は生じないが、糸の断面が真円でなければ光は乱反 射し、反射光が集中するところとそうでないところ に反射光の強弱が生じ、光沢が生まれるという論理 である。これは、三井物産で世界を相手に商才を発 揮された後に東レの社長に就任され、株主総会で

「株価についてどう思うか」と問われて「見る人の 心こころに任せつつ高嶺にかかる秋の夜の月」とい う「迷答」をもって応答された 森 廣三郎 社長が 着想されたアイディアである。森社長自身は「プロ トタイプを作る立場にはおられなかったが、『アイ ディアを形にせよ』という命令を出す立場におられ たがゆえに、森社長はコンセプトエンジニアリング を実行された」というのがコンセプトエンジニアリ ングのコンテクストである。

まだこの世に姿・形を現していなかった絹の光沢 を持つポリエステル繊維「シルック」のコンセプト が東レの技術陣によって形を与えられ、内外のマー ケットで競争力を保持して東レを支えたことは冒 頭に述べた『Made in America』の観点が現実の世 界で有効に機能していた証拠である。

3.マネジメント オブ テクノロジー(MOT)

  筆者はマネジメント オブ テクノロジーについ て、次の文章が分りやすいと考えている。

“ The Management of Technology Program at UC Berkeley seeks to address a number of the technology challenges. We define

Management of Technology as the set of activities associated with bringing high technology products to the marketplace.

MOT focusses on the operational and

organizational issues associated with managing new product development and commercialization. These activities range from the strategic processes associated with investment in and development of technology capabilities inside and outside firms, to the details of understanding customer needs, fabricating a prototype product or creating advertising copy.”

4)

  この文章はインターネットに掲載されたカリフ ォルニア大学バークレー校の 2003 年の学生募集要 綱の一部であるが、マネジメントオブテクノロジー

(MOT)とは「ハイテク製品の市場導入に関する 一連の活動」と定義したあと、「新製品の開発とそ の事業化およびそれらの経営組織上の諸問題が中 心テーマである」としている。

『Made in America』から 10 年余を経て華々し く打ち出された MOT という表現から筆者が受け 取ったメッセージは、「MIT が『Made in America』

の中で述べたことと表現は異なっているが内容は 同じである。MIT の方が新製品開発とそのマーケ ットイントロダクションという古くて新しい課題 の全体像を述べ、つづいてその中身を時間の経過の 順に 6 つの機能に分けて個別・具体的に述べている ので分りやすい」というものであった。

4.コンセプトエンジニアリングのセオリー   科学の進歩によって生命さえもクローン技術か ら誕生するようになったが、筆者は「卵子×精子=

生命」が生命誕生の公式であり、この公式が新しい グッズやサービスが誕生するプロセスにおいて

「コンセプト(卵子)×テクノロジー(精子)=

新しいグッズ&サービス(生命) 」

という形で当てはまっていると考えている。

  新しいグッズ&サービスの誕生をこのように定 式化すると次の 3 点が浮かび上がってくる。

      ①生命力の強いグッズ&サービスを誕生さ せるには、厳選されたコンセプトと厳選さ れたテクノロジーを掛け合わせる『掛け合 わせのマネジメント』が必要である(コン

セプトに 0〜100 の評点を与え、テクノロ

ジーにも 0〜100 の評点を与えて 「√コ

ンセプト×√テクノロジー」 と表記する

と生まれてくる新しいグッズ&サービス

の評価は 0〜100 で確定する)。

(5)

33

②天然繊維であるコットンやウールは人間 がコンセプトを着想する以前から存在し、

地球誕生以来の自然淘汰の中を生き残っ てきたがゆえにコンセプトに 100 の評点 を与え、「 Art of Nature 」の技術にも 100 の評点を与えると、コットンやウールのグ ッズとしての評点は 100 となる。掛け算 の構造の中では一方が高得点でも他方が 低得点ならば生命力の強いグッズは誕生 しない。コットンやウールは人間による [ⅰ]アイディアの着想 [ⅱ] アイディアに 基づくプロトタイプの製作 [ⅲ] 量産ス ペックの確定 という思考過程を越えたと ころで「創造」され、人間はコットンやウ ールの創造活動」においてひたすらに「世 話労働」に努めているのであって、「酸素 と水素と炭素と若干の硫黄をつなぎ合わ せる」活動は専ら『人間の視覚では捉えら れない植物の営み』の中で行われ、「創造 の活動として視覚化される人間の労働」は ゼロである(コットンやウールなどの第 1 次産業において、人間の労働は酸素と水素 をねじで止めたり、溶接したりはしていな い)。

    ③これに対して自動車・TV・PC・携帯電話 などの組み立て産業が生み出している工 業製品(industrial goods)および交通輸 送・通信・医療などのサービス産業が産み 出しているサービス(services)は、すべ て「人間がこのようなグッズやサービスが あればよいのに」というニーズがコンセプ トに凝縮され、コンセプトが形を与えられ てこの世に送り出されているものばかり である。繊維の世界でもコットンやウール などの素材の生産段階から 1 歩川下に出 て、部材の生産段階、すなわち、セーター やワイシャツにすぐに使えるところまで 加工され終わった部品・資材の生産段階か ら最終製品の生産段階へダウンストリー ムすると、ものづくり、サービスづくりの 原点に位置しているのはコンセプトであ ることが見えてくる。かくして、繊維の世 界でも素材から部材、部材から最終製品へ 川下に近づくと加工組み立て産業に体質 が変容し、この世におけるすべてのプロダ クションシステムの根底に[ⅰ]アイディ

アの着想 [ⅱ] アイディアに基づくプロ トタイプの製作 [ⅲ] 量産スペックの確 定 という思考過程が機能していることが 分るのである。

1994 年に素材産業のカルチャーを色濃く残し ていた東レという企業をはなれて、より高く、よ り広く産業・企業を鳥瞰できる教育・研究の世界 に移って確信したことは、

①「コンセプトの議論は『机上の抽象論』

ではなく、トップマネジメントに全責任 が帰されるべき企業の命運を左右する議 論であり、トップマネジメントは自らが 結論づけたコンセプトを会社の意思とし て堅持し、コンセプト(=卵子)にどの テクノロジー=精子を掛け合わせるかと いう『掛け合せの決断』を行わなければ ならない」ということ

②コンセプトは未だ形になっていないが故 に困難に直面すると変質し易いのだが、

それを食い止めるのは「トップマネジメ ントの意思の力」のみであること である。 

コンセプトエンジニアリングと言うもよし、テク ノロジーマネジメントと言うもよし、要は、

① [ⅰ]アイディアの着想 [ⅱ] アイディ アに基づくプロトタイプの製作 [ⅲ]

量産スペックの確定 というプロセスを 企業の中に体質化・ルーティーン化する ことによって、明日の「ウオークマン」、

明後日の「ウオークマン」を次々と生み 出して、企業が going concern として繁 栄し続けること、

②その繁栄の集積から「資源がないという 一見して致命的と思えるデメリットか ら企業が環境の変化というチャレンジ にレスポンスしやすいというメリット が生み出されてくること、

③そしてそこから最終的に 21 世紀を生き る無資源国日本の国の形が創成されて くる

と言えるのである。無資源国日本の生命線は資源志

向 の 川 上 に 向 け た 多 角 化 (“ backward

integration”)ではなく、カストマーが求めるコン

セ プ ト 志 向 の 川 下 に 向 け た 多 角 化 (“ forward

integration” )である。

(6)

34

5.「写ルンです」というグッズに見るコンセプ トエンジニアリングのプロセス

  ここでは 1986 年 7 月に富士写真フィルム(株)

が生み出した「レンズ付きフィルム」という新製品

「写ルンです」を例に取り上げて、 MIT が述べた [ⅰ ]to conceive(アイディアの着想 )、[ ⅱ] to design ( アイディアに基づくプロトタイプの製作) 、 [ⅲ] to develop(量産スペックの確定)のプロセス の核心と結論を簡潔に述べる。

数多くの新製品の中から、 「写ルンです」を取り 上げるのは、スチルカメラのメカニックとその使用 法が周知の事実であり、ここでいうコンセプトエン ジニアリングのプロセスを単純・明快、かつ具体的 に例証できるからである。

5−1「写ルンです」に見る“to conceive”から“to design”のプロセス 

レンズ付きフィルム「写ルンです」のアイディア がどのようにコンセプトに変容し、デザインにバト ンタッチされたかを解明することがここでの課題 である。

 「写ルンです」の発端は消費者から伝えられた「子 供が遠足に行くので写真を撮りたいと言っている が手ごろなものがない」、「旅行に行ったがカメラ の持ち合わせがなく、記念の写真が撮れなくて残念 だった」というニーズであったとされている5)。

このようなニーズが伝えられても「カメラは高価 な耐久消費財であって、大人の道具である。一家に 1 台あれば十分である。子供が遠足に使うものでは ない」という日本がまだ貧しかった時代の常識に凝 り固まった人々には聞き流されてしまうニーズで ある。これが聞き流されなかったところにレンズ付 きフィルム「写ルンです」の原点があるというのが 筆者の考えである。

聞き流されなかった理由は何か。その理由は「カ メラは高価な耐久消費財という常識に縛られない 柔軟な感性を持つ人々がいたこと」であるが、それ ならば、「なぜ常識に縛られない人々がいるのか」

を問うことが必要になる。この点について、筆者は

「火が燃える時の 3 要素」すなわち①燃える物質、

②酸素、③熱源に対置される次のような要素が富士 写真フィルム(株)のコーポーレートカルチャーの 中に存在していたと考えている。

第 1:空気=「会社の中に写真の楽しみをより

大きなものにしたいという雰囲気」

第 2:燃える物質=「ニーズ」

第 3:熱源=「ニーズを形にしようとする使命

感」

  消費者から伝えられたニーズをもとに富士写真 フィルムの開発グループは、まず 「いつでも、ど こでも、誰にでも、簡単に」というキーワードによ って狙いとする新製品を性格づけ、そこからターゲ ットのキャラクターを『便利性』に凝縮させ、それ を使用場面に展開させて『単機能』 ・ 『遊び心』 ・ 『値 頃感』という新製品の具体的イメージを創出して、

プロトタイプを製作するデザインの機能にバトン タッチされて行ったとされる。

興味深いのは社内で検討されたが成功しなかっ た「使い捨てカメラ」というコンセプトに「逆転の 発想」の技を加えて「レンズ付きフィルム」という キーコンセプトが絞り出されたことである。

筆者は、この図式は、芸術作品が誕生するプロセ スからも導き出すことが出来ると考えている。広島 で 1 機の B29 が 2 個の落下傘(そのうちの 1 つは 原子爆弾であった)を投下したのを目撃された平山 郁夫画伯は 1979 年の院展に『広島生変図』を出品 されたが、この作品が描かれるに至った経過を『プ ロローグ  炎上』と『第 2 章  閃光』で詳細に書き 記しておられる6) 。私は芸術作品が生まれ出でる までのプロセスがご本人の手でこれだけ詳細に書 きとどめられた例を知らない。そこには作品が生ま れ出る前の混沌の最中にある漠然としたアイディ アがコンセプトに変容するプロセスとコンセプト がデザインという知的作業の中でプロトタイプと いう形で姿・形を表わしてくるプロセスが克明に記 述されている。

人の魂を揺り動かす芸術作品が誕生するプロセ スは、新製品・新サービス創造のプロセスをはるか に超えた一般性をもっているが故に、新しいものご とが生まれ出る創造のプロセスをより高い次元で 解き明かしていると筆者は考えている。芸術作品は その抽象性において新製品・新サービスをはるかに 凌駕しているからである。

5−2「写ルンです」に見る“to design”から“to develop”のプロセス

ここでの課題は、「レンズ付きフィルム」という キーコンセプトがどのようにプロトタイプにデザ インされ、形を与えられたかを解明することである。

  「小学生やお年寄りがいつでも、どこでも、簡単 に写せるカメラ」に必要なスペックは、

①  写真の質をしっかりと保持する(写真撮影

(7)

35 の TPO はその場、その時 1 回限りのもの

であって、撮影者サイドの失敗は起こりえ ても、商品サイドの失敗はいかなる意味で も許されない)、

②  写真を写す上で厄介なピント合わせをシ ャッタースピードと絞りのバランスで解 消する、

③  シャッタースピードを決める、

④  絞りを決める、

⑤  フィルムの枚数と巻き上げ機構を決める ということである。検討の結果決定された基本スペ ックは、「屋外・晴天撮影」を想定して、シャッタ ースピードは 100 分の 1 秒(手振れ防止) 、絞り 11

(被写界深度1〜∞)、フィルム感度 100(画像の 質の維持・向上)、フィルム枚数 24 枚(売れ筋フ ィルムの枚数)であった。

5−3「写ルンです」に見る“to develop”から“to produce”のプロセス

ここでの課題は、「屋外・晴天撮影」を想定して 形を与えられたプロトタイプをもとに実際の使用 場面を徹底的に解明して、量産スペックを確定する ことである。

  量産スペック確定のプロセスにおける課題とし て、①レンズはコストと軽さを追求してプラスチッ クを使用、②サイズは手ごろ感を重視してワイシャ ツのポケットに入る大きさ、③ボディー材料は防 水・遮光の実績を生かして既存材料を転用という方 針が採用され、量産スペックが決定され、生産活動 にバトンタッチされたのである。

5−4「写ルンです」のネーミングとマーケティン       グ

「写ルンです」というネーミングとマーケティン グについて、開発チームは、写真はその時・その場 限りの TPO で撮影するので取り直しは不可能ある こと、 「カメラは高級耐久消費財で、カメラの使い 捨てはとんでもない。本当に写るのか、安値の粗悪 品ではないのか」という当然のこととして浮かんで くる疑問に対して、富士写真フィルムは、この「レ ンズ付きフィルム」は「写ルンです」、 「値段は 1380 円です」というメッセージをもって応答した。 「写 ルンです」という商標の中のカタカナは「ルンルン 気分」を表しているとされた。見事な市場展開であ った。

6.デマンドミニバスというサービスに見るコ ンセプトエンジニアリングのプロセス

7)

6−1  上野原市地域交通検討委員会・同小委員会 の設置

上野原市は、人口 3 万人、東京都八王子市から JR 中央線で 25 分のところにある首都圏に最も近 い河岸段丘の街である。山紫水明な自然環境は豊か に残されているが、高台に広がる標高 260 メート ルの中心市街地の人口は全体の 40%である。その 昔、養蚕と絹織物を生業とするこの地域で、桑の葉 に蒸気機関車の煤煙が付着してはならないという 理由で、高台との標高差 75 メートルの『崖下』に 開設された JR 上野原駅の標高は 185 メートル、線 路に並行して流れる桂川(推定水位 140 メートル)

の護岸は標高 167 メートルである。桂川側の JR 上 野原駅南口から JR 中央線を利用する人々は、川沿 いの道路から跨線橋まで 86 段の階段を昇って、 31 段の階段を下らないと駅のプラットホームにたど り着けないという街で、バス路線の採算がとれない 中山間地の集落に 60 %の人々が暮らしている。

この上野原市で、平成 14 年 2 月の改正道路運送法 施行後、バス会社が赤字を理由にバス路線から撤退で きるようになった。上野原市は、この運輸行政の枠組 みの変化に対応するため、平成 18 年 6 月 2 日に、

公募された市民 2 名(含筆者)、バス・タクシー事 業者 3 名、民生委員 1 名、区長 11 名、市役所職員 4 名による「上野原市地域交通検討委員会」を設置 し、「上野原市における生活バス路線を中心とした 今後の地域交通のあり方」の検討に着手した。上野 原市は、委員会発足に当たり、コンサルタントを起 用することなく、小委員会で「赤字路線バス運行地 域および交通不便地域の交通手段の確保策」を調査 検討する方針を示した。筆者は一市民の立場で委員 会への参加を申し出たが、委員長と小委員長を拝命 した。

筆者は平成 18 年 6 月 30 日の小委員会での検討 開始に際し、この論考で提示した新製品・新サービ ス誕生のプロセスについてのセオリーを基礎にお いて、①基本コンセプトの構築、②プロトタイプの 成案、③実行案の作成という 3 段階の手順を以下の 通り確認した。

ここでは、①基本コンセプトの構築と②プロトタ

イプの成案のプロセスを明らかにした後、残された

課題のついて考えを述べ、課題をクリヤーするため

の特区提案を付記する。

(8)

36

6−2  委員会の検討方針の確認

6−2−1  議論に必要な「システム」と「サービ ス」の概念の確認

交通輸送サービスはシステムによって提供され る。よって、具体的論議に入る前に、筆者はシステ ムの概念を次の通り確認し、議論が迷走することが ないように、議論の枠組みについての合意を確立し た。

そのポイントは「システムには必ず目的があるこ と」を確認し、議論の過程で常に目的を再確認する ことであった。概念の確認に当たって、筆者は開拓 社 に よ る 『 新 英 英 大 辞 典 』( 『 Ideomatic and Syntactic English Dictionary』)1109 ページの次 の説明に従った。

システム:システム(仕組み)は特定の目的 を果たすために一斉に機能を発揮 しているパーツと物体から構成さ れている。システムを構成してい るパーツと物体の中に、必要不可 欠な役割を果たすものと、必要不 可欠な役割を果たすものに比べる と重要性において少し低いが重要 な役割を果たす部品が含まれる。

(a group of parts and objects, often consisting of a principal part and a number of less important parts, working together according to a purpose.)

次に、筆者は、「サービス」とは「顧客にメ リットを与えるライブのアクション」であるが 故に有効にサービスを提供する上で時間の要素 が決定的に重要になること、新サービスが誕生 する場合にその原点に位置するコンセプトとプ ロトタイプというものの見方・考え方を先に紹 介した論点に沿って確認した。

6−2−2  委員会の目的と活動内容の確認 委員会の目的は委員会設置要綱に示されている ごとく「事業者・市民・行政がそれぞれの役割を担 い、上野原市にとって必要なバス路線を中心にした 地域交通の仕組み(システム)を作る」ことである。

この委員会の性格と予算に関して、筆者は上野原 市から「この委員会は法令に基づいて設置される諮 問委員会ではなく、要綱による設置委員会で『建議 する委員会』である。発足時に予算化されている経

費は委員報酬、視察経費のみで、コンサルタント委 託費用はゼロである。アンケートを含め調査予算な ど必要な経費は 9 月補正予算に計上し、調査・検討 は委員および市役所職員が行う」という説明を受け た。

調査・検討に当たり委員会では、

①  既存のデータと調査によって得られる 事実を基礎とし、

②  理想像を描いて、現実との間のギャップ を確認し、ギャップを埋めるための実行 可能なプランを作成する

という基本方針を確認し、併せて、

①  黒字バス路線は現状維持を原則とする、

②  タクシーおよび介護タクシーについて は検討対象外とする、

③  「より一層の便利さを求める提案」は 1 年後に予定する見直しの際の課題と し、現時点では、行政・事業者・乗客 の 3 者が本件検討の目的達成のために

『三方一両損』の立場に立つことを期 待する、

④  中学校統合に伴うスクールバスは別途 検討する

という具体的な枠組みを設定した。

6−3  基本コンセプト構築

6−3−1  基本コンセプト構築のための公共交 通の法規制に関する現状認識 平成 14 年 2 月に改正道路運送法が施行された。筆 者は、この法改正前と改正後の運輸行政の枠組みを 次の通り理解していた。

①  バス路線は許認可事項で、許認可の中に は経営が成り立つような水準に運賃を設 定することが含まれていた。

②  許認可の中でバス会社は同業他社の自由 競争原理による新規参入から守られ、事 業を独占していた。

③  バス会社は事業を独占する代わり許認可 を受けた路線の運行を赤字でも続ける責 任を負っていた。

これに対して、道路運送法の改正後にバス会社は営 業所の全路線ではなく、個々の路線が赤字であればバ ス路線から撤退できることになった。

その結果、上野原市では平成 16 年 1 月に棡原地区 の日原路線が廃止された。

この法改正の意味するところは、地域にとって必要

(9)

37 なバス路線は、事業者ではなく、市とそこに住む市民

の応分の負担によって維持されるという仕組みに変 化したということであった。

上野原市では大田上・犬目・飯尾・井戸・不老下・

秋山(無生野)の各地区とJR上野原駅を結ぶ市民の 日常生活に必要な遠隔地バス 6 路線が赤字になって いたので、上野原市は平成 16 年度以降年間約 2,600 万円の補助金をバス会社に支出し、赤字バス路線を維 持してきた。

しかしながら、少子化・高齢化が情け容赦なく進 行する中にあって、これらの路線を日中に走るバス には乗客が少なく、 「補助金が排気ガスとなって雲 散霧消し、地球温暖化の促進要因となる」という現 実が生まれた。上野原市はこの現実を打開する必要 に迫られた。

6−3−2  基本コンセプトの構築のための業態 という論点の導入

  交通は「サービス」で、顧客がメリットを享受す るには「お金」だけでなく、「設備と技能者がいる サービスの供給拠点に出向いて、ライブのアクショ ンを受けるだけの時間」が必要である。従って、顧 客はバス料金だけでなくバスに乗るための時間を 持っていなければならない。このことは、お金、す なわち「マネーバジェット」を十分に持っていても、

時間、すなわち「タイムバジェット」を持たない人 は顧客たり得ないし、逆に「タイムバジェット」を 十分に持っていても「マネーバジェット」を持たな い人は顧客たり得ないことを意味する。 「お金を持 っているが時間のない人々」と「時間はあるがお金 のない人々」の相反する原理原則に基づくニーズを 一つの仕組みの中で採算を保ちつつ満たすことは 不可能であり、相異なった対応が必要である。相異 なった対応の必要性は「業態」という概念で説明さ れているが、筆者はそれぞれの業態に応じた棲み分 けが必要であるという立場を主張した。

6−3−3  基本コンセプトの構築のための上野 原市の公共交通の現状確認

上野原市内の公共交通は、JR東日本、富士急行 バス㈱およびタクシー5 社(上野原タクシー、駅前 タクシー、四方津交通、島田交通、東亜タクシー)

で構成されている。

鉄道は、市内と市外を結ぶ交通拠点で、平成 18 年度における上野原駅の1日の乗降客は、駅に電話 で問い合わせたところ、約 10,800 人、四方津駅の

1日の乗降客は約 4,000 人になっており、県内でも 有数の乗降客数を有する。一方、路線バスは 16 路 線 42 系統、タクシーは 26 台である。

市内のバス路線は、日原路線廃止後、16 路線 42 系統である。このうち上野原営業所管内 8 路線 26 系統および大月営業所管内の 1 路線 2 系統は、赤 字路線で市の補助対象路線になっている。一方、自 主運行の JR 上野原駅⇔JR 大月駅の 1 路線と上野原 営業所管内のうち黒字路線となっている 6 路線 13 系 統(JR 上野原駅⇔中心市街地、JR 上野原駅⇔帝京 科学大学、JR 上野原駅⇔日大明誠高等学校)は市の 補助対象外路線になっている。

赤字系統のバス路線の利用者数は、西原の坪山に向 かうハイキング客を含めても年間 10,000 人余りで、

1 系統 1 日当たり 28 人で推移している。 1 系統当た り 1 日 5 往復が運行される場合、走行するバスの乗 客は 2.8 人に過ぎなくなる。

その結果中山間地と JR 上野原駅を往復する赤字 6 路線の赤字額は富士急行バス㈱から市に提出され た資料によると、委員会における検討が開始された 時点で明らかになっていた平成 17 年度には年間 47 百万円、市の補助額 26 百万円、その後明らかに なった平成 18 年度には年間 45 百万円、市の補助 額 25.9 百万円である。

バス会社の赤字額と市の補助金の間に差がある のは、バス会社が黒字路線の黒字額を赤字路線の赤 字額から差し引いた後に残った純赤字額を補助金 として申請しているためである。バス会社は地域唯 一の公共交通機関であるという矜持をもって法改 正以前の考え方で補助金を申請したということで ある。

6−3−4  制度疲労という認識

少子化・高齢化が情け容赦なく上野原市の中山間 地で進行し、乗客の減少によって路線バスの採算が 赤字になり、収益改善を目的として運賃が値上げさ れると乗客がさらに減少するという悪循環は、交通 手段を持たない『交通弱者』にとっては行動の自由 を奪われたも同然の社会の到来を意味する。

一方で、市民のシビルミニマムを確保するために 乏しい財政の中から市が補助金を支出して確保し ている中山間地の路線バスはほとんど乗客が乗ら ない状況でディーゼルエンジンから排気ガスを噴 出して地球温暖化を促進している。この構図は『制 度疲労』以外の何ものでもない。

金属疲労が突然日航機を御巣鷹山に墜落させた

(10)

38

ごとく、制度疲労はある日突然地域社会を瓦解させ る。今のうちに何とか実行可能な具体案を作らなけ ればならないというのが筆者を支えた信念であり、

コンセプトを探し求める動機であった。

6−3−5  基本コンセプトの構築

  以上の観点から、筆者は次の基本コンセプトを構 築し、委員会の議論を求めた。

①  相対的にマネーリッチ・タイムプアーな顧 客とタイムリッチ・マネープアーな顧客の ための交通機関を棲み分ける、

②  マネーリッチ・タイムプアーな顧客のため の交通機関を「通勤・通学のための大動脈」

と位置づけ、タイムリッチ・マネープアー な顧客のための交通機関を「地域内所用の ための小動脈」と位置づける、

③  交通大動脈は富士急による大型バス輸送 に依存する、

④  交通小動脈は第 3 セクターによるデマン ドミニバス輸送に依存する。

注〕毛細血管レベルの交通輸送について、

筆者は自家用車便乗、すなわち、

「地域通貨で支払う自家用車乗り 合い・乗せ合いプログラム」を想定 し、構造改革特区提案を行なった

8)

が、ここでは触れない。

6−4  プロトタイプの構築 6−4−1  公共交通大動脈の構築

赤字バス路線の補助金削減を目的として検討す る中で、委員会は上野原市の「公共交通大動脈」を 次の①および②と決定し、赤字路線の昼間の生活時 間帯におけるバスダイヤの全廃とこれに代わる『デ マンドミニバス』の新設を決定した。

① 赤字 6 路線の朝夕の通勤・通学のためのバ スダイヤ

② 黒字 3 路線(JR 上野原駅⇔中心市街地、

JR 上野原駅⇔帝京科学大学、 JR 上野原駅

⇔日大明誠高等学校)

  その結果、赤字 6 路線のダイヤ 1 日当たり往復 便数は 34.5 往復から 15.5 往復に減便されることに なった。

    第 1 地域:西原⇔JR 上野原駅  6 往復が 3 往 復に減便

        :井戸⇔JR 上野原駅  7.5 往復が 2.5

往復に減便   

第 2 地域:不老下⇔JR 上野原駅  10 往復が3 往復に減便

第 3 地域:犬目⇔JR 上野原駅  6 往復が 3 往 復に減便   

:大田上⇔JR 上野原駅  1往復で減 便なし

第 4 地域:秋山無生野⇔JR 上野原駅  4 往復 が 3 往復に減便

この減便によって実際のバスの走行距離がどれ だけ減少するか、バス会社から提出された補助金申 請資料から正確なデータを得ることは困難であっ たが、筆者と市役所の担当者で実際に車を走らせて 区間距離を測定し、それに便数を掛け合わせて試算 した結果、大動脈への再構成によって次の 4 点が改 善されることになった。

①  バスの全走行距離は 25%強減少する。この 中で、黒字路線は約 5%増加し、赤字路線は 約 45 %減少する、

②  現在のバス路線における黒字路線:赤字路線

の比率は 40%:60%であるが、この比率が

55%:45%に変化する、

③  筆者は、このような路線構成の変化によって、

現在稼動しているバスの廃車と運転手の解 雇が起こらないか懸念したが、黒字路線ダイ ヤの増強などによって筆者の懸念は杞憂で あることが判明した。

④  このような路線構成の変化によってどのよ うに収益が改善するかは定かではないが、赤 字は間違いなく減少する(削減される赤字路 線に賦課されている固定費が黒字路線に賦 課されるので、赤字路線の縮小分に比例して 赤字が減ることはない。また、黒字 3 路線は 遠隔地路線に比べ乗客数は多いが乗客の運

賃単価が 1/4〜1/3 と低いので具体的な数

値は推測できない) 。

なお、検討の過程で委員会は次の検討を行い、バ ス会社に実施を要請したことを付記する。

①秋山線は田野入トンネルが完成しているの で、バスを中型に変更し、相模原市の藤野 地区経由から桜井・坂下経由の直行路線へ 変更し、距離と時間を短縮する。

②松留・八ツ沢地域居住者のために、帝京科

学大学⇔ JR 上野原駅路線の停留所増設と

PR を行う。

(11)

39

③新井線⇒JR 上野原駅路線の中で上野原工業 団地・市立病院経由便を検討する。

6−4−2  デマンドミニバスの導入

  赤字 6 路線の日中の路線バス全廃に代わって導 入するデマンドミニバスについて、委員会は長野県 富士見町の先例を見学するなど調査・検討を重ね、

次の内容をプロトタイプとすることを決定した。

A  配車地域:デマンドミニバスは、

① 第1地域:西原・棡原・小倉・向風・奈須部

② 第2地域:棚頭・野田尻・桑久保・和見・芦     垣・大曽根・大椚・鶴川・八米

③ 第3地域:犬目・大野・大田・四方津・川合・

久保・松留・八ツ沢

④ 第4地域:秋山・田野入・鶴島・諏訪 に 1 台ずつ配車し、中心市街地には配車しない。

B  運行範囲と乗客:運行範囲は、工業団地と大学 など非日常生活圏を除く日常生活地域とし、乗客 は上野原市民および市民を通して予約した乗客 とする。

C  輸送態様:黒字バス 3 路線を徒歩で利用できない

地域で、日中の生活時間帯に、バス路線から狭く て勾配のある曲折した道路から地区集落に入って、

自宅または最寄りの乗車地点から降車地点までを ドア・ツー・ドアで輸送を行う(これにより居住 集落からバス停まで坂道で往復する必要がなくな る。なお、要介護者は介助者と同乗することとす る) 。

D 事前予約:利用希望者は電話で乗車日時、乗車場 所、降車場所を乗車前日までに事業者に事前予約 する。当日の予約は、空き席がある場合に受付け る(当初は、予約の順番を確定するために電話で の予約のみとする) 。

E  運行ダイヤ:デマンドミニバスを利用する場合 は、 『時間にゆとりを持たせたダイヤ』に従って、

居住地域で乗車し、中央高速道路上野原インター チェンジ周辺および JR 上原駅周辺を除く中心市 街地の任意の地点で降車する(急ぎの場合は、タ クシーまたは自家用車あるいは自家用車便乗と する) 。

F  運行時間:デマンドミニバスの運行時間は、9 時運転開始、 18 時 59 分運転終了とし、現在のバ ス路線に沿いながら、タクシーが走行している道 路を 1 日 4〜5 回往復する。

G   車輌:乗車定員 10 人乗りの低床ワゴンタイプ とする。ただし、デマンドミニバスの運行区域は、

タクシーの乗り入れ可能区域を想定するが、地域 によっては乗車ポイントを設定する。

H  運賃:デマンドミニバスの運賃は、同一地域内 は均一 200 円、中心市街地までの運賃は距離に 応じて遠隔地域 500 円、中間地域 400 円、近接 地域 300 円の 3 段階運賃とする。これによって 遠隔地域から中心市街地までの運賃は、路線バス 運賃が 630〜880 円の地域では 500 円と割安にな る。逆に、路線バス運賃が 180〜200 円の中心市 街地に近接する地域から中心市街地までの運賃 は 300 円と割高になる。

運賃設定に際し、遠隔地に居住する高齢者への 配慮として、ドア・ツー・ドアサービスが遠隔地 域の狭くて坂が多い地域でもバスより割安で提 供されるよう配慮した。これは同じ市内を往来す る場合の片道運賃は 500 円が限度というアンケ ートの意見を尊重したためである。一方、市街地 周辺地区ではバス料金より割高な運賃を設定し たが、狭くて坂が多い道路から集落にまで入り込 んでドア・ツー・ドアサービスが提供されること から生じるサービスの質の向上を考慮したもの である。

I  コスト:デマンドミニバスは後述の通り 5 輌が

走行する予定であるが、その 1 輌当たりの年間コ ストは次の通りである。

年間直接費 800 万円(内訳) ・車両諸経費 108.4 万円・燃料費 138.5 万円・修理代 25.4 万円・

人件費 455.1 万円・一般管理費:72.6 万円 年間間接費:75 万円(デマンドミニバス5輌 の年間間接費合計は 375.7 万円の内訳・情報オ ペレーター人件費 248.2 万円(時給 850 円×8×

365) ・オペレーティングルーム賃借料 60.0 万 円(5 万円×12 月) ・携帯電話代 36.0 万円(3 万円×12 月) ・住宅ゼンリン地図:1.5 万円・

現金出納・決算・税務申告事務委託料: 30.0 万円

    年間費用合計:直接費+間接費=875 万円 

この試算データはタクシー業界委員から提供さ

れたデータで、軽油は 106 円/リットルで試算さ

れている。

(12)

40

J   デマンドミニバスのビジネスモデル

    運賃収入を年間 730 万円、車体・乗車券等広 告料収入 50 万円と仮定した場合、年間収入は 合計 780 万円である。

運賃収入:片道換算 10 運行×5 人×400 円

× 365 日= 730 万円       ・車輌運行回数:1 日 5 往復

・片道平均乗客数:5 名(平均稼働率 5 人

/9 座席:55%)1日当たり 50 人

・平均運賃:400 円/人

広告料収入(車体・乗車券等):50 万円 収入合計  運賃収入+広告料収入=780 万円 その結果、平均稼働率 55 %の場合の収支は年 間 95 万円の赤字となるが、平均乗客数があと 1

第1地域

第2地域

第3地域

第4地域

中心市街

第1図  【デマンドミニバス運行エリア図】

(13)

41 名増加して6名、平均稼働率が 67%の場合は収支

均衡が見込まれる。

事業計画のメリットを事前にPRし、その便利性 についての認識を高める努力あるいは市が運賃補 助という目に見える形で補助することによって、中 山間地の公共交通機関としてのデマンドミニバス の事業採算は維持可能と考えられる。

7.地域交通アンケートに基づくデマンドミニ バスの需要見通し

7−1  アンケートに基づく需要見通しの手順 ビジネスモデルの検討の結果、委員会では、デマ ンドミニバスの導入は需要見通しに懸かっている との判断に基づいて、アンケートの質問項目を検討 し、平成19 年 3 月に中心市街地の上野原地区を除 く中山間地域で、住民基本台帳からコンピューター によって無作為抽出した 16 歳以上の市民 2,000 人 を対象に「日常の交通機関の利用状況と今後の公共 交通について」と題するアンケート調査を行なった。

その有効回収数は 847 通、回収率は 42.4%であっ た。

アンケートは、居住地域・職業・年齢・性別など の個人属性と日常生活の中での交通機関の利用状 況(外出頻度・外出範囲・外出目的・外出時間・帰 宅時間・外出時の市内での交通手段など)について 平日と週末に分けて回答を求めた。併せて自由記述 式で地域の今後の公共交通についての意見を聞い た。

個人属性と日常生活の中での交通機関の利用状 況のアンケート調査に基づいてデマンドミニバス の需要調査を行うことはマクロ調査に携わって来 た筆者にとってチャレンジングな課題であったが、

『50%の確からしさで推定は有意である』という

ような専門用語で説明するのではなく、委員会委員 各位あるいは将来乗客となる中山間地の人々に需 要見通しの結論を日頃の常識に基づいて理解して もらうことがこの際最も大切であるという筆者の 考えに従って、次の手順で需要見通しを行い、デマ ンドミニバスの採算は保つことが出来るという結 論を得た。

①  全母集団と無作為抽出した配布集団の関 係を解明する。

②  配布集団と回答集団の関係を解明する。

③  これによって明らかとなった回答集団と 全母集団の関係に基づいて全母集団のデ マンドミニバス需要を想定する。

④  需要想定の過程で、年齢階層別の回答率と デマンドミニバスへの需要は比例的であ ると考え、年齢階層別回答率を年齢別人口 に掛け合わせて需要見通しの基礎データ とする。

⑤  上記手順で第 1 地域〜第 4 地域について個 別に作業を行い、地域別需要見通しを行う。

全体のデータが必要な場合は 4 地域の合 計データを使用する。

⑥  人口データは 15〜19 歳、アンケート回答デ ータは 16〜19 歳で不突合があるが、大勢に 影響がないのでそのまま利用する。

7−2  第 1 地域の具体的数字に基づく需要見通 しの手順

7−2−1  第 1 地域における母集団・配布集団・

回答集団の関係

  第1表は、この地域の人口 1,277 人からコンピュ ーターが選んだ 199 人の年齢別構成比を示してい るが、データは母集団の見事な縮図になっている。

第1表  第1地域の年齢別人口と配布数

区  分 合計 16-19 20-29 30-39 40-49 50-59 60-74 75〜

1277 人 66 132 132 153 246 292 256

人  口

H18.4.3 100% 5.2 10.3 10.3 12.0 19.3 22.9 20.0

199 人 13 21 20 23 38 45 39

配布数 100% 6.5 10.6 10.1 11.6 19.1 22.6 19.6

91 人 3 9 6 10 17 25 21

回答数 100% 23.1 42.9 30.0 43.5 44.7 55.6 53.6

(ア) 第1地域の回答率:回答数 91 人÷配布数 199 人=45.7%

(14)

42

このデータは高齢者の回答率が高くなっている ことを示しているが、このことはデマンドミニバス への関心が明らかに高齢者で高いことを示すもの である。

7−2−2  需要見通し第 1 段階−第 1 地域にお ける1日当たり外出者数の想定 需要見通しの第 1 段階は、第1地域でアンケート を配布された 199 名のうち回答した 91 名の外出頻 度から第 1 地域全体の1日当たり外出者数を想定 することである。アンケート集計結果を需要見通し へ展開するに当たり、筆者は外出者数想定の手法と して「外出係数」を工夫した。「週日5日に毎日出 かける」と答えた人の外出係数は 1.0 、「週日 5 日 のうち 3 日出かける」と答えた人の外出係数は 0.6 ということである。

第2表と第 3 表は、「問 6(平日はどれくらいの 割合で外出するか) 」および「問 15 (週末はどれく らいの割合で外出するか) 」に回答した人数に外出 係数を掛け合わせて、回答者全員(91 人)の平日 および週末の 1 日当たり外出数を算出した後、これ を回答者数で割り算して得た外出頻度(1 人・1 日

当たり平均外出数)を示している。

その結果、アンケートの対象となった第1地域の 居住者は平日に 91 名中 55.8 名が何らかの交通手段 および何らかの理由で外出し、その外出頻度は 61.3%であること、週末には 91 名中 44.0 名が何ら かの交通手段および何らかの理由で外出し、その外

出頻度は 48.3%であるという現状が読み取れるこ

とになった。

外出頻度の算出に当たり、筆者は[棡原地域人口 1,277×アンケート回答率 0.457]を「アンケート が第 1 地域の居住者全員に配布され、アンケート対 象者と同じ回答をした場合の外出数」と見做して、

これに外出頻度(1 人・1 日当たり外出数)を掛け 合わせて、母集団全体の外出数を平日と週末に分け て算出した(週日の場合、 [棡原地域人口 1,277]

×[アンケート回答率 0.457]×[週日外出頻度 0.613]) 。

その結果、第 1 地域では、平日に 1,277 人中 360 人( 28.2 %)が、週末には 230 人( 18.2 %)が「何 らかの交通手段」で、「何らかの目的」のために毎 日外出しているというデータを得、これを需要見通 しの出発点とした。

第2表  第1地域の平日外出頻度

区  分 毎日 週3 回 週1回 月2 回 月1回 ゼロ 無回答 合計 回 答 数 44.0 13.0 16.5 6.0 3.5 5.0 3.0 91.0 外 出 係 数 1.0 0.6 0.2 0.09 0.04 0.0 0.0 ―

外 出 頻 度 44.0 7.8 3.3 0.54 0.14 0.0 0.0 55.8

*計算の結果、第1地域回答者 91 人の平日の 1 日当たり外出数は 55.8 人である。

Σ55.8 人の計算式=(毎日回答 44 名×平日毎日係数 1)+([週 3]13 名×0.6)+([週 1]16.5 名×0.2)+([月 2]6.0 名×0.09)+([月 1]3.5 名×0.04)+([ゼロ]5.0×0.00)+(無回答 3.0×0.00)=44.0+7.8+3.3+0.5+0.2=55.8

第3表  第1地域の週末外出頻度

区  分 週 2 回 週1回 月 3 回 月 2 〜 1 回 ゼロ 無回答 合計 回 答 数 21.5 28.5 9.5 13.5 13.0 5.0 91.0 外 出 係 数 1.0 0.5 0.3 0.1 0.0 0.0 ― 外 出 頻 度 21.5 14.25 2.85 1.35 0.0 0.0 40.0

*計算の結果、棡原地区回答者 91 人の週末の 1 日当たり外出数は 40 人である。

Σ40.0 人の計算式=(週 2 回回答 21.5×週末週 2 回係数 1)+([週 1]28.5×0.5)+([月 3]9.5

×0.3)+([月 2〜1 回] 13.5×0.1)+([ゼロ] 13.0×0.00)+(無回答 5.0×0.00)=21.5+14.25

+2.85+1.35=39.95≒40.0

(15)

43 7−2−3  需要見通し第 2 段階−第 1 地域にお

けるデマンドミニバスの乗客数の想定 次に求められることは、第 1 地域において平日に 1,277 人中 360 人(28.2%)が、週末には 230 人

( 18.2 %)が「何らかの交通手段」によって、「何 らかの目的」のために毎日外出している中からデマ ンドミニバスの乗客になり得る人々を特定するこ とである。

このために筆者は、アンケート集計結果を需要見 通しへ展開するための第 2 段階において、『対象年

齢・交通手段係数』および『対象年齢・外出目的係 数』という 2 つの係数を工夫した。

『対象年齢・交通手段係数』は、アンケート「問 9:外出する時の市内での主な交通手段」に関する 質問の中で「自家用車便乗・路線バス・タクシーと 回答した人達の構成比の合計値」である。

第4表と第5表はアンケート第9問の回答デー タと『対象年齢・交通手段係数』を示している

第4表  第 1 地域:平日の年齢別交通手段係数

合    計 16-19 20-29 30-39 40-49 50-59 60-74 75 〜 徒 歩 ・ 自 転 車 0.0 11.1 0.0 10.0 0.0 2.0 2.4

バ イ ク 33.3 11.1 0.0 0.0 5.9 0.0 7.1

自 家 用 車 0.0 77.8 83.3 80.0 82.4 56.0 16.7

自 家 用 車 便 乗 66.7 0.0 16.7 0.0 0.0 14.0 19.0

路 線 バ ス 0.0 0.0 0.0 10.0 11.8 28.0 40.5

電 車 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

タ ク シ ー 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

そ の 他 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 4.8

無 回 答 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 9.5

66.7 0.0 16.7 10.0 11.8 42.0 59.5

交 通 手 段 係 数

0.67 0.00 0.17 0.10 0.12 0.42 0.60

第 5 表  第 1 地域:週末の年齢別交通手段係数

合    計 16-19 20-29 30-39 40-49 50-59 60-74 75 〜 徒 歩 ・ 自 転 車 0.0 11.1 0.0 10.0 2.9 4.0 14.3

バ イ ク 0.0 11.1 0.0 0.0 5.9 0.0 7.1

自 家 用 車 33.3 77.8 83.3 80.0 67.6 44.0 11.9

自 家 用 車 便 乗 66.7 0.0 0.0 0.0 2.9 20.0 19.0

路 線 バ ス 0.0 0.0 0.0 10.0 8.8 24.0 28.6

電 車 0.0 0.0 16.7 0.0 0.0 0.0 0.0

タ ク シ ー 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

そ の 他 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 4.8

無 回 答 0.0 0.0 0.0 0.0 11.8 8.0 14.3

66.7 0.0 0.0 10.0 11.7 44.0 47.6

交 通 手 段 係 数

0.67 0.00 0.00 0.10 0.12 0.44 0.48

       

次に掲げる第6表と第 7 表は「問 8:外出する目 的は何ですか。 2 つまでお答え下さい」という質問 の中で「通院・買い物・公共施設利用・銀行など

の利用・趣味娯楽と回答した人達の構成比の合計」

と『対象年齢・外出目的係数』である。

(16)

44

第6表  第 1 地域:平日の対象年齢・外出目的係数

合    計 16-19 20-29 30-39 40-49 50-59 60-74 75〜

通 勤 0.0 50.0 42.9 57.1 37.2 13.3 0.0

通 学 66.7 16.7 0.0 0.0 3.7 0.0 0.0

通 院 0.0 0.0 0.0 0.0 9.7 26.7 47.3

業 務 0.0 0.0 28.6 7.1 7.4 4.4 0.0

買 い 物 0.0 33.3 0.0 14.3 20.8 37.8 28.0

公 共 施 設 利 用 0.0 0.0 0.0 0.0 3.7 0.0 0.0 銀 行 郵 便 局 利 用 0.0 0.0 14.3 0.0 13.8 6.7 11.9

趣 味 娯 楽 33.3 0.0 14.3 7.1 0.0 11.1 0.0

そ の 他 0.0 0.0 0.0 14.3 3.7 0.0 9.6

無 回 答 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 3.2

33.3 33.3 28.6 21.4 48.0 82.3 87.2

外 出 目 的 係 数

0.33 0.33 0.29 0.21 0.48 0.82 0.87

第7表  第 1 地域:週末の対象年齢・外出目的係数

合    計 16-19 20-29 30-39 40-49 50-59 60-74 75〜

通 勤 0.0 6.3 0.0 6.7 4.0 8.1 0.0

通 学 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

通 院 33.3 0.0 0.0 0.0 0.0 8.1 23.3

業 務 0.0 0.0 14.3 0.0 8.0 2.7 0.0

買 い 物 33.3 48.0 42.9 46.7 48.0 43.2 30.0

公 共 施 設 利 用 0.0 4.1 0.0 0.0 4.0 2.7 3.3 銀 行 郵 便 局 利 用 0.0 0.0 0.0 0.0 4.0 5.4 10.0

趣 味 娯 楽 0.0 35.4 28.6 40.0 24.0 16.2 6.7

そ の 他 33.3 6.3 0.0 6.7 0.0 5.4 13.3

無 回 答 0.0 0.0 14.3 0.0 8.0 8.1 13.3

66.6 87.5 71.5 86.7 80.0 75.6 73.3

外 出 目 的 係 数

0.67 0.88 0.72 0.87 0.80 0.76 0.73

       

         

7−2−4  需要見通し第 3 段階−第 1 地域のデマ ンドミニバス乗客数見込み数

第1段階で得た第 1 地域における1日当たり想 定外出者数(『地域別・年齢階層別人口』×『地域 別・年齢階層別アンケート配布数』×『地域別・年 齢階層別回答率』×『地域別・年齢階層別外出頻度』 ) に第 2 段階で得た『地域別・年齢階層別交通手段係 数』と『地域別・年齢階層別外出目的係数』を掛け 合わせることによって第 1 地域のデマンドミニバ スの需要見通しが完成する。

その結果、第1地域における『デマンドミニバス の1日当たり乗客見込み数』は週日が 82.8 名、週

末が 51.7 名である。

留意しなければならないのは、高齢者は『対象年 齢・交通手段係数』と『対象年齢・外出目的係数』

が共に高く、デマンドミニバスの乗客は圧倒的に高 齢者が多いと想定されることである。

7−2−5  第 1 〜第 4 地域における 1 日当たりデ マンドミニバス需要         

  第8表は算式に従ってコンピューター計算され た上野原市の中山間地におけるデマンドミニバス の需要見通しのデータである。

 

参照

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