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空間内での心理および行動に影響を及ぼすエージェントの特性の検討

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Academic year: 2021

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平成30年度 学士学位論文梗概 高知工科大学 情報学群

VR

空間内での心理および行動に影響を及ぼすエージェントの特性の検討

1190316 河島 尚輝 【 知覚認知脳情報研究室 】

1 はじめに

スポーツ選手がVRを用いた練習によって成績が上 昇したという報告[1]があるように,トレーニング用の VRコンテンツは今後増えてくると予想される. また, バーチャルYoutuberが日常的に話題にあがるようにな ,バーチャルなキャラクター(エージェント)をトレー ニングに利用したときの効果についても検討すべきで あろう. その際エージェントが存在することが利用者に とって負の効果を及ぼさないことが重要である. した がって,エージェントが利用者にどのような負の効果を もたらしうるのか,何がその要因となるのか検討する必 要がある. そこで本研究では, VR空間内での心理およ び行動に影響を及ぼすエージェントの特性の検討をおこ なった. 特に人間には他者を不快だと感じる空間が存在 すること,人間は他者の視線に大きく影響を受けること に着目し,本研究ではエージェントと参加者の距離およ び注視箇所を操作し, その影響について検討した.

2 実験内容

2.1 装置および参加者

刺激およびVR環境はUnityで作成した. 刺激の操 作および実験はHMDとそのコントローラを用いてお こなった. 参加者は正常な視力(矯正含む)を有する大 学生25名(男性13,女性12名)が参加した.

2.2 刺激および実験条件

参加者の課題には経路進行課題を用いた. これは手の 動きに同期するバーチャルな棒を決められた経路に沿っ て進める課題である. エージェントとする3Dモデルは 人型女性を使用した. エージェントと参加者の距離が正 90cmであるNearと正面500cmであるFarおよび 参加者が課題をおこなっている間,エージェントが注視 する箇所を参加者の目(Eye), (Hand), 頭上(Away) とする条件を設けた. さらに統制条件のエージェントが 存在しないNoneを含め,7条件を設定した.

2.3 手続き

参加者はHMDを装着し,利き手にコントローラを持 ち, 経路進行課題をおこなった. 開始地点から目標地点 までの進行を1試行とし, 各条件ごとに20試行を2 間で10試行ずつに分けて実施した. 各条件の経路は20 種類の中からランダムな順番で提示した. 各条件の10 試行終了後にストレスに関する質問を回答した.

3 結果および考察

条件ごとの平均試行時間と平均エラー率を距離要因(2 水準)と注視箇所要因(3水準)で対応あり2要因分散分

析をおこなった. その結果,どちらも条件間で有意な差 はなかった. 各条件後におこなったストレスに関する質 問に対して,肯定的感情(PA),否定的感情(NA),安静状 (CA)のカテゴリでそれぞれ上記と同じ対応あり2 因分散分析および実験前とNoneの質問を含めた8水準 で対応あり1要因分散分析をおこなった. PA(図1A) は,距離と注視箇所の交互作用があり, HandNear Farより有意に高く(p<.01), NearHandが他の2 件より有意に高かった(p <.05). NA(図1B)では,距離

(p <.001)と注視箇所(p <.05)で主効果があり, Hand

EyeNearFarより有意に高く(p<.001), Near で注視箇所に単純主効果があった(p<.05). CA(1C) では, FarNearより有意に高く(p <.001), Away 他の2条件より高かった(p <.05). また, Near+Eye り実験前やNoneのほうが有意に高かった(p <.001).

この結果より,エージェントの距離や注視箇所は経路進 行課題のような運動課題のパフォーマンスには有意な 影響を与えないが,心理的な影響を与えることが分かっ た. エージェントとの距離が近く,見られているときが 否定的な感情を引き起こし,安静状態を崩す. 注視箇所 が手や目の場合も否定的な感情を引き起こすが,手の場 合は肯定的な感情も引き起こした.

1 ストレスに関する質問結果

4 まとめ

本研究では, VR空間内での心理および行動に影響を 及ぼすエージェントの特性について距離と注視箇所の 観点から,経路進行課題を用いて検討をおこなった. の結果, 行動には影響はみられなかったが, 心理状態に は影響を及ぼした. 距離が近かったり,手や目を見られ たりすることで否定的な感情を引き起こされるが,手を 見られると課題への共同注意が働き,肯定的な感情が引 き起こされることが示唆された. 距離や注視箇所がパ フォーマンス自体に影響を与える課題や影響を与えうる 別の特性についても今後検討が必要である.

参考文献

[1] ジェレミー・ベイレンソン, “VRは脳をどう変える か?仮想現実の心理学”,文藝春秋, 2018.

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