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和光鶴川幼稚園の保育が大切にしてきたこと

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Academic year: 2021

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──保育見直

私が和光鶴川幼稚園の教師になったのは、

1984年のことで、もう20年以上前になります。

そのときから振り返ってみても、和光の保育 は変化してきたと思います。

私たちの幼稚園では、節目ごとに公開研究 会をやってきたのですが、1990年から2000年 まではやっていません。この時期はどこの研 究会へ行っても、子どもが大変だと言われは じめていました。和光鶴川幼稚園も同じ状況 で、それまでやってきていた保育の中で、私 たちがやりたいことと子どもとにずれを感じ ることが多くなっていました。私たちは何を 大事にしていったらいいのだろう……と考え、

混沌とした時期でもありました。

2000年には『自然の中であそぼう』という テーマで公開研究会を行いました。私たちが 自然の中に出掛けていったときに、何を大事 に保育をしているかということを見つめ直す ためです。その話し合いの中で、子どもと共 感・共有するということが出てきました。保 育を語るときに、子どもと共感するとか子ど もと思いを共有するというような言葉はそれ まであまり使ってこなかったのですが、色々 感じたことを大人と子どもが共感・共有する

大切さに気づき始めた時期でした。ただ自然 の中に出かけていけばいいというものではな く、感じたことを共感・共有するからこそ次 につながる、それが幼児期において特に大事 な意味があるのではないかと考え始めたので す。

2004年頃からは「子どもから出発する保育」

「子どもとつくる保育」ということを考え始 めました。それまではずっと活動のつながっ ているカリキュラムがあって、それをどう子 どもに分かりやすく伝え、積み上げていくか ということがテーマでした。しかし、カリキ ュラムをこなしていくのではなく、「子ども とつくっていく」ということを保育の実践の 中で意識する、そこを大事にしていきたいと いう思いが強くなりました。職場での話し合 いを重ね、保育の見直しを行いました。それ まで「動物」「乗り物」というテーマを私た ちの方で決めて取り組んできた総合活動をや めて、その年の子どもの興味・関心にそった テーマを探りながら活動を進めていくプロジ ェクト活動に取り組むことにしました。同じ 年齢の子どもといっても、子どもたちは毎年 違います。子どもたちが何に興味を持つかと いうことも、その年その年で違うわけです。

そこで子どもと教師の思いを、その年その年 に膨らませていって、子どもと活動を大胆に

和光鶴川幼稚園の保育が大切にしてきたこと

保志史子

HOSHI Fumiko

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作っていこう、と。そういう決意をしたので す。それはその後進めていく中で、簡単なこ とではないということを実感しています。試 行錯誤しながら私たちの実践を毎年生み出し ている……というところです。

私たちの幼稚園で、幼児期の子どもたちに 育てたい力を、この何年間かで少しまとめて 言葉にしてきました〈資料 1 〉。かいつまん で言うと、実体験を通じて子どもたちが自分 で感じる力、考える力を育てること、それか ら人とつながる力を育てること、ということ になると思います。実体験を通じて自分で感 じる、考えると簡単に言っても、子どもたち が感じることは、いいことばかりではありま せん。つまずくこともありますし、友だちと のトラブルもあります。そこから、どうした らいいのかなと考えることも、大事なことだ と思っています。大人が提示したことを理解 する力だけではなくて、それを自分で感じ、

どうしたいかを考えていける力、そういった 力の土台を幼児期につけたい。その力を育て ていくことが大事だと思っています。

人とつながる力というのは、この次の社会 を担っていく子どもたちをどう育てるかとい うこと、一人一人がどんなふうに育っていっ てほしいかということを考えたときに、重要 だと思っています。大人もこの力が弱まって いると感じています。感じたり考えたりする 力もそうですが、ただ何となく過ごしていて 力がつくわけではありません。幼稚園のいろ いろな活動やいろいろな遊びを通して人とか かわるからこそ、その力がついていくのです。

保育を見直していくときに、昔からやって きたことが全面的に否定されるのかと、幼稚 園全体が大きく揺らいだときもありました。

でもそうではない。和光鶴川幼稚園の長い歴

史の中で蓄積されてきたものには、基本的に はいいものがいっぱいある。それを実践し続 けていく私たちが、どんなものにしていくか が大事だと思っています。そこでもう一度改 めて、カリキュラム表を作成しています。ま だ、検討中ですが……。毎年、表にあるもの を全部やるということではありません。この 時期になったらこんなことをやりたいね、と 教師間で共有されている活動です。でも以前 カリキュラム表にあることをやり続ける中で、

ここではこうなるはずだ、だからこうしなけ れば、といったように狭く活動が規制されて いってしまったという経験があります。表が あるだけではまた同じことになってしまうか もしれない。もっと内容に踏み込んだ、私た ちの大事にしたいことが書かれているものを 作るべきなのではないかと考えています。そ れがもう少しまとまったら、公開研究会を行 って皆さんにご意見を頂きたいと思っていま す。今、試行錯誤中です。

子どもから作る保育ということで、もう 1 つ私たちが大事にしているのは、毎日の記録 です。若い先生も経験のある先生もいるわけ ですが、その一人一人の先生が毎日少しでも いいから書いていくことで、自分の保育を振 り返る。今日は誰々ちゃんと誰々ちゃんのこ のことが気になったとか、そういうことをメ モでも文章でも書いていく。保育を作るとい ったときに、場当たりでいいということはあ りません。そこでたとえば1 週間を振り返れ ば、次が見えてくるということがあると思う のです。忙しくなると書けなくなるといった ことはありますが、時々またみんなで、書か なくちゃね、と言い合って励まし合っていま す。それを土台に討議や分析を行って次の方 針を持つ。それは個人でもやりますし、学年

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ごとの話し合いを通じてもやりますし、職員 会議でもやります。そのようなスタイルがき ちんと定着すればいいなと思いながらやって います。しかし、自分はどう思ったか、どう したいかという自分の価値観を臆さずにぶつ け合うには、勇気とエネルギーがいります。

幼稚園の職場は小さくて、みんなでいつも一

緒にいて集団で動くことも多いので、改めて 自分はこう考えるということを言い合うとい うのは、ものすごくエネルギーがいることで す。私たちの職場の中では少しずつ積み上が っていると思うのですが、保育者の専門性と しては、それをやり続けることが大事なとこ ろだと感じています。

〈資料1〉

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──紙工作実践から

そのようなことを考えながらやってきてい る今年の実践を紹介したいと思います。〈資 1〉の 2 枚目の左側の上に、「仲間ととも に未来を作り出す力を育てる」ということで

「総合活動」と書いてあります。プロジェク トと言ったらいいのか、総合活動と言ったら いいのか、まだ言葉は決定していません。内 容としては、「何々がしたい、何がやってみ たいという思いの実現に向けて、どうなるか なとわくわくどきどきを共有しながら教師や 友達と知恵や力を出し合い、自分たちの納得 できるものを作り出す活動に取り組みます、

その年のその子どもたちとその先生とでしか 作り出せない1 回限りの活動です。担任と子 どもたちの興味関心によって、調べる、聞く、

見る、触る、作るなどの活動を展開します。」

というものを目指しています。

5 歳児でこの総合活動を行うためには、や はり3、4 歳児をどう過ごすかが重要です。5 歳は知的な興味や関心がすごく出てくる時期 です。それは 3、4 歳児とはまた違った飛躍 的な年齢だと思います。その年齢の子どもた ちが、仲間や先生と大きな活動をしようとす るときに、3、4 歳児の時期をどう過ごして きたのかということが土台になります。私た ちは、物づくりの活動、体育的な活動、絵本 を読む、絵を描くといった多様な活動を行っ ています。その一つ一つに先生と学級の子ど もたちがどのように取り組むのか、その中身 が非常に大事だと考えています。私たちが昔 習った教授法のような、先生が言った通りに やらせようとする保育のスタイルでは、5 歳 児になったときに、ああやってみたいこうや

ってみたいと子どもたちの思いが広がってい くような活動はできないと思うのです。

4 歳児のカリキュラムの中に紙工作があり ます。今年の4 歳児でそれをやるに当たり、

担任の先生の考えを基にしながら、職員会議 でどんなことを大事にしたいか話し合って、

活動をつくってきました。その実践を紹介し たいと思います。『現代と保育』でも紹介し ている実践です(保志史子「幼児期にみんなと 一緒に学ぶことの意味は?―対話的保育への挑 戦」『現代と保育』74号、2009年)

4 歳児の紙工作の中に、紙で袋を作るとい う活動があります。S先生がこの活動に取り 組むに当たって大事にしたいことは何かとい う話をしたときに、袋の作り方をみんなに分 からせること、それから作った後の遊びの展 開をどうするかということ、そこにS先生自 身がこだわっていました。袋の作り方につい ては、できるだけ失敗させたくない、どのよ うに伝えたらほとんどの子どもが失敗なく作 れるか、ということを考えていました。それ から遊びの展開については、袋を作ってどの ように遊ばせていいか分からないから取りあ えずその中に入れるものを決めて作っておこ うかな、という提案でした。

それに基づいて職員会議で討議しました。

まず子どもたちが分かる説明ということにつ いて。子どもたちに分かる言葉でどう言うか を用意しておくことは欠かせないけれど、失 敗させちゃいけない、つまずかせちゃいけな いと考えるのはどうだろうかという話し合い になりました。どうしてつまずいてはいけな いのか。説明では分かったつもりになってい ても、実際に自分の手でやっていったら「あ れ、どうだったっけ?」と分からなくなった り、分かったつもりで聞いていたのだけれど

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分からなくなったりするのは当然です。また 先生が言ったことと全然違うことを思い込ん でいて、それをやってしまうということも当 たり前です。むしろその分からなくなったり つまずいたりしたことが大事で、そこからそ の子もみんなも学ぶものがあるのではないか、

と。もちろん先生の言ったことを聞いて分か ることも大事なのですが、分からない人がい てくれるということも大事だと思っています。

そこから一緒に学ぶという友だちとの関わり が生まれますから。ですから、わざとつまず かせる必要はないけれど、つまずかせないよ うに保育を考えるというのは、私たちが育て たい力とは違うのではないか。そのような話 し合いをしました。

それから作った袋でどう遊ぶかという展開 についてですが、4 歳の子どもにとって、大 人から与えられるのではなく、1 枚の紙から 物を入れる袋が作れるということはすごい感 動なのです。毎年この活動を行っているので すが、子どもたちはその袋をすごく大事にし

て、お手紙を入れたり、いろいろに使います。

こんなにうれしいのかと思うぐらい喜ぶので す。だから遊びを限定してしまうのはもった いない。準備されたものを入れたくない子は どうするのか、ということにもなりますし、

そこまで決めなくていいのではないかと。そ こでごちゃごちゃしたら、次をそのごちゃご ちゃの中から見つけ出して、楽しめる遊びを 作り出していけばいいのではないかと。その ような話し合いをしました。

S先生が実際に子どもたちと袋作りを行っ たときの記録が次の実践報告です〈資料2 〉。

S先生は今年、実践の記録を努力して毎日 書き続けて、自分で振り返りながら実践を展 開しています。その記録から、手に取るよう に子どもたちのことが分かります。袋作りを やったとき、まずS先生は、B4の紙をおい て横に折るやり方を伝えました。そうしたら まさはる君が縦に長く折ったのです。間違わ せないということを考えたら、先生が言った ことと違うから間違い(?)ですよね。縦は

〈資料 2 〉

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難しいから、初めてやるときはみんな横でや りなさい、普通だとそういう指示になってし まう。でもS先生は、そこで立ち止まって、

指示しないでいたらどうなるかなと待つこと ができたのです。そうしたら、まさはる君が 縦に作ったものが、子どもたちに受け入れら れた。すごく面白いのができたねというふう になって、私も作りたい、僕も作りたいとい う子たちが出てきた。長細い袋ができたので、

遊びの方もいろいろと子どもたちが考え出し ました。手に入れたら指人形みたいになった り、新聞紙で作ってみたらお面みたいになっ たり。それは計画していたS先生からすれば 思いも寄らぬ展開でした。子どもたちには失 敗も失敗じゃない、ということにもつながっ て、S先生にとって感動のある40分の保育に なったようです。私が見ていても、その後の S先生は子どもたちとの楽しみ方が変わった なあと思っています。

毎年の4 歳児の紙工作で、私たちが大きな ねらいとして大事にしたいことは確かにあり

ます。でも一つ一つのものを作っていくとき に、何が楽しくなるかということは、毎年違 ってくると思います。その年の子どもたちと わくわくどきどきすることがある、そこが大 事だと思います。それは何も準備しないで得 られるものではないし、逆に準備し過ぎてそ れに子どもを当てはめようとしても得られな いと思います。

紙工作に取り組んでいた6 月頃の記録が次 の資料です〈資料3 〉。

紙を筒状にして切り込みを入れて立体にし ます。これで紙が立つということがびっくり で、子どもたちは面白がるのです。それにま た切り込みを入れてふたをしたら花瓶になり ます。この工作をやったときに、筒型にする 展開のところで「のりしろをつくるんだよね」

とS先生が話したら、まさはる君が「僕、細 長いのを作ったんだよね」と言ったのです。

記録にも「自分ってすごいんだと確信してう れしそうなまさはる君です」と書いてありま すが、まさはる君は袋作りのときの出来事が

〈資料 3 〉

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本当に自信になったのです。力はあるけれど、

ちょっと自信のない子どもだったのですが、

何かちょっと違うことをやっちゃったかなと 思ったことが、みんなに受け入れられて。私 は、子どもたちが物づくりに取り組む時に、

こういうことがすごく大事だと思っています。

この時のまさはる君の言葉をどう受け止める かという周りも大事だと思います。まさはる 君がうれしくなって、みんなもそうだったね、

とうれしくなって……それがとても良かった と思っています。

「ヒマワリ」という言葉が共有されたのも 面白かったです。私たち教師は、筒の下の部 分にのりしろの切り込みを入れるとタコみた いになるので、タコ足、タコ足と言いながら やっていました。でもこのクラスの子たちは、

先生が切り込みを入れたときに「ヒマワリみ たいだね」と言った子がいて、みんな「ヒマ ワリ」「ヒマワリ」と言うようになって。こ のクラスでは、「ヒマワリにするんだよね」

という言葉でのりしろ作りが共有されていっ たのです。

それから間違って切るところがわからなく なってしまうときがあるのですが、これも間 違っちゃってこんなふうになっちゃったねと いうことが自然に受け止められていました。

私もそうなっちゃった、僕もそうなっちゃっ た、でもこうすればよかったんだよね、と。

そういう集団になっていったところが、この 取り組みでよかったなと思うところです。

このクラスの子どもたちは、自分と違う友 だちのことに気づいたり、その友だちのこと を考えたり、そういう子どもたちになってき ているなと思います。S先生も6 月の実践報 告で、自分の生い立ちを考えながら、失敗を 通して育つということについて書いています。

教師集団としても、お互いの考察を共有しな がら学び合っていくことが大事だと思ってい ます。

──づくりのプロジェクト

もう 1 つ実践を紹介します。4 年目のI先 生の5 歳児のプロジェクト活動の取り組みで す。プロジェクト活動は試行錯誤を繰り返し ています。I先生は昨年初めて5 歳児を担任 して、どうしよう、どうしようと言いながら やっていて、そのときは生き物がテーマでし た。今年はお話づくりの活動が展開していっ ています。はじまりは「ありんこ」という園 通信にのせた、お話を作ったよという報告で した。それが次の資料です〈資料4 〉。

私は子どもたちとお話作りをするのが大好 きで、担任のときもやってきていて……。主 事になって職員室にいるようになって、子ど もとのかかわりも直接的には減っているので すが、いつも何かやりたいなと思っていて。

職員室に来た子たちが、遊ぼうという感じだ ったので、じゃあ面白いことがあるよと言っ て、1 枚の紙に切り込みを入れて折って、本 のかたちを作ったのです。「ページがいっぱ いできるの、すごいでしょう」と言って。そ うしたら、かほちゃんとあゆみちゃんという 子どもだったのですが、その2 人と絵本を作 ろうということになったのです。「何のお話 がいい」と言ったら、「うーん、お店屋さん の話」と言って、この話ができていきました。

それがすごく楽しくて。親子でやっても楽 しいだろうと考えて、園だよりで紹介したの です。夏休みになると、お母さんたちが子ど もと何をしていいか困っちゃうという声も聞 きますし。子どもと絵本を作って何が楽しい

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かというと、子どもの思いが見えてくるとこ ろですね。かほちゃんとあゆみちゃんの絵本 だから、1 ページ目にかほちゃんが出てきて、

あゆみちゃんが次に出てきて、それから仲良 しの子どもが出てきます。一緒にやってくれ ている私(保志)も出さなきゃという感じで 出てきますし、担任はI先生なのでI先生も 出てきます。職員室で作っていたので、園長 の大瀧先生も出てきます。それから、お店屋 さんのあと締めくくるのですが、遠足に行っ て、みんなでお弁当を食べて、おいしくてい っぱい食べました。おうちに帰って寝ました。

寝ている途中でトイレに行きたくなりました。

それでおしっこをしました。おしっこをした らぐっすり眠れました、と。これはおそらく 合宿の経験が含まれていて、その時の気持ち が伝わってくる。その感じがすごく楽しいの です。

その後、I先生もお話づくりに興味を持っ ていたということもあり、クラスでお話作り

がはやりました。子どもたちの作ったお話が 集まってきて、恐竜の話が出てきたり、I先 生がアフリカに行ってきたのでアフリカの話 が出てきたり、トミカの車が好きな子は車の 本を作ってきたり。朝と帰りに発表の時間が あるので、作った絵本が紹介されていく中で、

どんどん広がっていきました。自宅でお母さ んと一緒に作りバージョンアップしたものも 出てきました。

そうやってお話づくりが展開していたとき に、ある日、教室に段ボールで作ったおうち が持ち込まれたのです。おうちを作ってきた 子どもがいて、そのおうちに人を住まわせた り、「私」が人形になって出てきたりして遊 んでいました。そのうちにごっこ遊びがお話 のように展開してきたので、I先生が写真を 撮って絵本にしたのです。そうしたら、自分 たちの絵本ができちゃった。それがすごく面 白くなって、次々に写真のお話がうまれまし た。本にして、教室の本立てに置いてありま

〈資料 4 〉

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す。そうしたらまた、こんなお話ができた、

あんなお話ができたと出てくる。最近はます ますバージョンアップしてきています。

また、おうちに暮らす人を紙粘土で作りま した。それぞれ自分なのです。この日は幼稚 園でおみそ汁を食べたのですが、煮干の目玉 が落ちていたという出来事がありました。そ こからお話が生まれ、写真の絵本になって展 開されています。紹介しますね。

みそ汁を作っていたら煮干の目玉が落ちて いました。拾いました。これを埋めることに なりました。地面に埋めたら、何と芽が出て きました。ちょっと『ぶたのたね』みたいな 話ですね。それでどんどん大きくなって木に なりました。これは木片で木が作られていま す。これを作っている子どもたちと、お水を あげました、と作っていると、周りでのとく に参加していなかった子たちも、もっと水が 出た方がいいよとか言うのです。そうやって お水をあげると、何と煮干がなりました。そ の煮干がもっといっぱいなって、わっとびっ くりしました。はしごが出てきて、登って採 って食べるんです。そうしたら今度はクジラ がなりました。みんなで、うんとこしょ、ど っこいしょと、このクジラを抜く。それでみ んなでまたこのクジラも食べました。このよ うな展開の話です。

こんな壮大な話ができて、子どもたちに火 がつきました。いつも誰かしらが作りたいと 言っていて。I先生が忙しいときに、数人の 子たちの代表が、「保志先生、写真を撮りに きて」と呼びにきたこともありました。別の 写真を撮ろうと思って歩いていたのですけれ ど。そうやってできたのが、『おもちゃのチ

ャチャチャ』の話です。これはすごくかわい くて、『おもちゃのチャチャチャ』を歌って いたら、家のおもちゃが歩きだして、一緒に 踊って楽しくなりました、という話です。き らりちゃんという子どもが撮ってほしいと言 ってきて、一緒に作っているうちにいろいろ な子どもが協力してくれたんです。そうした らきらりちゃんは、最後のページに、このお 話を作った人は誰かということと、一緒に作 った人は誰かということと、それを手伝った 人は誰かということを書いてほしい、と。言 葉にもすごくこだわっていて、きらりちゃん が言った通り先生がメモをしておくからね、

と言って書いたんです。

こういったお話づくりをしています。これ を一つひとつみんなと共有しているのですが、

これから読み聞かせの会になるのかな、もっ とお話作りが続くのかな、なんて思いながら みています。子どもたちは、おうちを木で作 りたいということも言い始めています。さっ きの煮干しのお話でも、木片で作った木がセ ロテープでくっ付いているのですが、これは 釘で打った方がいいのでは、なんて。お家を いいものにしてクレイアニメに出会わせても いいかなと。そんなことも今考えています。

このお話づくりとは別に、お手紙ごっこも 展開しています。教室にポストがあって、

誰々ちゃんへというあて先を書いて、文字を 書けない子ははんこを押してポストに入れて。

ちょっと若い人気のある先生が結構お便りを もらったり、まめに返事を書く先生のところ にお便りがきたりしています。

今年のプロジェクト活動は、まだまだ続く というところです。以上で終わります。

────────────────────────────────[ほし ふみこ・和光鶴川幼稚園主事]

参照

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