金融危機下 における中国の財政状況 と財政政策の新展 開
任
中 心
張
は じめ に
1,2008年 の 中国財政の予算 と実施
2 政府 間財政 関係 の変化
3 税財 政改革 と財 政政策 の動 き
4.持 続可能 な開発 の ための財 政政策 むす び にか えて
は じめ に
2008年 には、中国では、財政政策 に対す る大 きな調整 を行 った。年初の大雪凍結災害や 5月 の四川大地震、特 に米金融危機の波及 などに遭遇 したため、財政収支 も大 きな影響 を 受 け、支出の伸 びが収入 を超 えることとなった。収入は、比較的ゆるやかな伸 びを維持 し たが、伸 び幅は明 らかに「前高後低 J(上 半期の伸 びは高 く、下半期 に縮小 したこと )で
あった とい う特徴が見 られる。 また、 07年 度 に一度穏健 な財政政策へ転換 したが、 08年 に 景気急落以降、再び積極的な財政政策 に戻 つた。 2008年 9月 以降の財政政策の動 きは、こ の ような政策転換 を反映 している。
本稿 は、 2008年 度の中国財政状況 を考察 し、世界金融危機の対策のための財政政策転換 について検言 寸しようとしている。
1.2008年 の中国財 政 の予 算 と実 施
08年 度の財政収支構造 については、当初予算では、全国の歳入は 5兆 8,486億 元であ り、
その うち、中央本級収入
1)を3兆 1,622億 元、地方本級収入 かを 2兆 6,864億 元 とされた。そ して、 中央予算安定調節基金か ら 500億 元 を中央予算 に繰 り入れた。穏健 な財政政策の下 に中央財 政赤字 をか な り大 幅 に削減 し、 赤字 額 は1,800億 元 (国 債 残高 限度額 は 5兆 5,185.85億 元、前年 よ り1,820.32億 元増 となること )と された。全 国の歳出は 6兆 786億 元で、その うち、中央本級支出を 1兆 3,205。 2億 元、地方本級支出を 4兆 7,580.8億 元 とさ れた。
08年 度財政収支の決算では、全国の歳入は前年の実績 に比べて 19.5%増 の 6兆 1,330.35 億元 (7月 まで は 4兆 881.71億 元 )で 、 その うち、 中央本級収入 は同 17.8%増 の 3兆 2,680.56億 元、地方本級収入は同 21.5° /o増 の 2兆 8,649,79億 元、中央予算安定調節基金か ら 1,100億 元 を中央予算 に繰 り入れた。全国の歳出は同 25.4%増 の 6兆 2,592.66億 元で、
その うち、中央本級支出は同 16.9%増 の 1兆 3,374.31億 元、地方本級支出は同 27.9%増 の
4兆 9,248.49億 元であつた。上半期 には、国債発行額 は3,899,93億 元、国債残高限度額は
5兆 5,185.85億 元 、 311.68億 元増 とな った (図 1)。
図 1 08年 度 中央財 政収支構造 (決 算
)40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0
赤字 1,800億 元
予算安定調節基金 1.100億 元
地方上納 946374獣 ラ 七
予算安定調節基金 ィ //赤 字 192億 元
中 央 財 政 総 支 出
中 央 財 政 総 収 入
税還付 4,282164ま ラ 七
3)ヒ
3.626 ,334931ま ラ 毛
歳入
出所 :『 2008年 中央財 政収支決算表』 に よ り作 成
図 2 08年 各月税収の対前年同月の伸 び率の推移
700/O 600/O 500/O 409る 300/O
20%
100/O
O%
‑10%
‑20%
出所 :中 国財政部ホームページにより作成
財 政収 入 の実情 を見 る と、08年 度税収額 は 5兆 4,219.62億 元 (11月 まで は予算執行額、
12月 は速報値
)、対 前 年 の伸 び率 は 18.8%で あ る。 8月 か ら各 月税収 額 の対前年 同月の伸 び率が低下 してお り、 10月 よリマイナスになったという特徴が 目立つ (図 2)。 主要な税 収 を見れば、 5大 税 目 (増 値税、消費税、企業所得税、個人所得税、営業税 )で 、全税収 額の 8割 以上を占めてお り、各税 目の対前年の伸び率では、都市土地使用税 と耕地占用税 が最 も高 く、証券取引印紙税がマイナスになった (表 1)。
中央財政支出の状況を見 ると、まず「三農」 (農 民、農業、農村のこと )支 出について は、農村経済の発展 を促進するため、 08年 度当初予算では、中央財政の「三農」支出は 5,625億 元、前年度 より 1,307億 元増、 30.3%の 伸びとされた。そのうち、農民への補助支
財力性移転 8,746211ま ラ 七
専項移転 9,96239'ま テ t
中央本級支 出
1ノ
【 3,344171ま ラ 毛
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
表 1 主要 な税収額 (08年 、億元
)伸 び 率 国内増値税
国内消費税 営業税 企業所得税 個人所得税 関税
輸 入品増値税 と消費税 資源税
契約税
証券敦 引印紙税 車両購 買税 都市土 地使用税 土地増値税 耕地 占用税
23.3%
16.40/O
15,9%
27.39る
16.8%
23.60/O
20.1%
15.6%
8.4%
‑51.2%
12,90/O
lll,9%
33.20/O 69,70/O
出所 :『 08年予算執行状況 と09年 予算案に関する報告』によ り作成
出 は1,335,9億 元、農村 の社会諸事 業へ の支援 金 は1,245.2億 元であ る。08年 度 の「三農」
支 出 の執行 額 は 5,955.5億 元 で 、前年度 よ り 37.9%伸 び、 中央本級歳 出の 44.5%を 占めて いる。ただ し、「三農」支出は単独の予算科 目ではな く、「三農 Jに 関連す る諸支出項 目を 総合的に反映 させた もので、農林水事務、教育、医療衛生などの関連支出科 目と重 なると ころがある。 08年 度の「三農」支出の予算執行額 は 5,955.5億 元で、前年度 よ り 37.9%仲 び、中央総歳出の 17.1%を 占めている。
農業生産への助成支出の中では、ほとん ど農林水事務支出であるが、環境保護科 目に組 み入れた耕地の林地復元支出、及び中央か ら地方への財力性移転交付科 目に組み入れたい くつ か の科 目を含 む。 それ は、 08年 度全 国当初予算 で は、 4,288,87億 元 (決 算 額 は 4,544.01億 元
)、そのうち、中央 レベルの支出は 356.27億 元 (決 算額 は308.38億元
)、中央 か ら地方への財政移転交付 の中に含 まれた金額 は 1,094.22億 元 (決 算額は 1,513.13億 元
)。中央か らの財政移転交付 を含 む地方財政の農業生産への助成支出は3,932.60億元 (決 算額 は4,235.63億 元 )で あつた。
災害対策費については、 08年 に入ると、低温 。雨 ・雪・結氷による災害が発生 したので、
当初予算 では、災害救援や復 旧・再建 に向けて、 555.2億 元 を交付す る とされた (中 央財 政 は 275。 43億 元、地方財政は279,77億 元
)。5月 に四川省 で大地震が発生 した後、地震救 援資金 を中央 は 384.37億 元 を交付、地方 は243.28億 元 を投入 した。 また、中央財政は地震 後 の復 旧 。再建基金 を 740億 元 (支 出実績 は698.70億 元。 うち、住宅 380億 元、インフラ施 設 97.49億 元、産業 48億 元、防災 ・減災能力建設 24.36億 元 )と した。
教育費 については、当初予算では、教育の発展 を優先 させるとされている。教育 に振 り 向ける中央財政の支出は 1,561,76億 元で、前年度 より
45。1%の 伸 び とす る都市 と農村 の無 料義務教育 を全面的に実施す ることを目指すため、 08年 当初予算では、中央財政は 84億 元 を投入 し、 08年 秋の学期か ら都市義務教育段階の児童・生徒の学費 ・雑費 を免除す る。農
税
12,140.21
2,558.59
7,626.33
11,173.05
3,722.19
1,769.95
7,391,07
301,76
1,307.18
979.16
989.75
816 95
537.10
313.97
村の義務教育経費保障水準 を引 き続 き向上 させ るための経費 は 205.6億 元である。一般大 学、高等・中等職業学校 の家計が困窮 している学生への援助金 は 223億 元である。教育費 の予算執行額では、予算 の 102.4%の 1,598.54億 元であつた。都市 と農村 の無料義務教育 を全面的に実施するため、中央財政は618.1億 元 を支出 し、秋学期か ら都市義務教育段階 の児童 ・生徒の学費・雑費 を免除、農村義務教育のための教科書 を無料提供、北部農村中 学校の暖房費 を増加 した。一般大学、高等 ,中 等職業学校の家計が困難 な学生への援助金 は 223億 元である。特 に、農村 出身お よび都市部 の家計が困難 な中等職業学生 に 1人 に年 に 1,500元 の奨学金 を提供 した。大学教育への支出は 432.43億 元、 「 211工 程 J(Prttcct 211) の第 3期 を全面的に実施す るとした。
08年 の教育費決算額 は全 国9,010.21億 元 (予 算執行率 は 99.2%)、 その うち、 中央 レベ ルの文出は 491.63億 元、中央か ら地方へ の財政移転交付の中に含 まれた金額 は 1,112.08億 元である。
医療 ・衛生費 については、医療衛生体制の改革 を推 し進める。当初予算では、医療衛生 に振 り向ける中央財政の支出は831.58億 元で、 25.5%の 伸 びとする (そ の 07年 の決算額は 全国 1,989.96億 元、その うち、中央 レベルの支出は 34.21億 元、中央か ら地方への財政移 転交付 の中に含 まれた金額 は630.09億 元
)。中央財政は公衆衛生サー ビス システムの整備 強化 をバ ックア ップす るために、 126.1億 元 を振 り向ける。医療・医薬品衛生体制改革の 深化 をサポー トし、公衆衛生、医療サー ビス、医療保障、医薬品供給保障 とい う 4つ の体 系 をつ くるために、 560億 元 (07年 度の留保分 300億 元 を含む )を 計上する。新 しい タイプ の農村合作医療制度 を全面的に実施 し、 2年 間をかけて資金調達基準 を年間一人当た り 50 元か ら 100元 に引 き上げ、財政補助基準 を年間一人当た り 40元 か ら 80元 に引 き上 げ、その 内、中西部地区に対する中央財政の補助基準 を年間一人当た り 20元 か ら 40元 に引 き上げる ため、 253億 元振 り向ける。中西部地域へ の財政補助基準 を年 に 1人 に 40元 に引 き上
tデ、 東部 も適当に考慮 し、計 278.68億 元 を支 出 した。政策調整による破産企業の定年退職者 を すべ て地元の職員基本医療保険範囲内にす ることに 80億 元、公衆衛生サービスシステムの 強化 に 126.14億 元、貧困者への医療救助事業 に 34億 元、県 ・郷の医療衛生サービス建設事 業 に 66億 元 を投入 した。中央財政の医療衛生支出の実績は前年 より 24.5%増 であるが、予 算執行率は 99,4%で あつた。
全国の医療衛生支出の決算額は2,757.04億 元、予算執行率は 110.3%で あつた。
社会保障費については、当初予算では、社会録障 システムを充実 させ るため、社会保障 と就業に振 り向ける中央財政の支出は2,761.61億 元 とし、比較可能な基準値で 24.20/Oの 伸 びとする。農村最低生活保障制度の全面的確立 と充実化 をサポー トし、財政補助基準 を月 1人 当た り 30元 か ら 50元 に引 き上げ、中央財政 による補助の割合 を 3分 の 1か ら 70%に 拡 大 させ る。都市住民最低生活保障制度の完備化 を支援するため 261.1億 元 を計上 し、 07年 度の財政補助基準が月一人当た り 30元 増であつたことをふまえ、さらにそれを倍増 させる。
1,263億 元 を計上 し、企業職員 ・労働者基本養老保険制度の充実化、企業職員 ・労働者基 本養老保険イ 固人口座の積立 を確実に行 うテス ト作業の拡大にあてる。 2008年 1月 1日 か ら、
企業の定年退職者基本養老金の基準 を月に 1人 当た り 100元 引 き上 げ、 またそれ をふ まえ
て、高級技術職の資格 を有する定年退職者や、早期退職 により基本養老金の受給額が相対
的に低い者などについて、 さらにその調整額 を適宜 に引 き上げる。中西部地区お よび旧工
業基地 に対 して、中央財政 は然 るべ き援助 を与 える。 F中 華人民共和 国就業促進法』の要 請 に則 り、社税 ・費用の減免、担保付小 ロローンヘの財政的利子補給、職業訓練補助など 就業 を促進す る税財政政策 を確実 に実行する。引 き続 き国有企業の政策的閉鎖 。破産の実 施、東北地区や中部地区における国有企業傘下の集団所有制企業の改革テス トを支援 し、
三峡 ダム地区か ら転出 した移住者の生産 ,生 活面の困難 を解決す る。 また、農村部妊婦の 入院・出産への財政補助範囲を中西部のすべての地域 に拡大 し、中部、西部の財政補助基 準 をそれぞれ 300元 、 400元 に引 き上げた。社会保障・雇用支出の実績は、前年 より 19.2%
増であるが、予算執行率 は 99,3%で あった。都市部 と農村部の最低生活保障制度の整備 に 363.1億 元、養老保険制度 の充実化 に 1,127.43億 元、政策調整 による破産企業の失業者救 済に 200億 元、雇用支援 に252,08億 元 を支出 した。
08年 の社会保障費決算額 は全国 6,804.29億 元 (予 算執行率 は 101.8%)、 その うち、中央 レベルの支出は 344.28億 元、中央か ら地方への財政移転交付額は2,399.31億 元であつた。
科学技術費 については、当初予算では、全国 2,152.82億 元で、その決算額 は、 2,129.21 億元 (予 算執行率は 98.90/0)で あつた。決算額のうち、中央 レベルの支出は 1,077.35億 元、
中央か ら地方への財政移転交付 の中に含 まれた金額は 85.55億 元であつた。
表 2 中国の「環境保護」支出の内訳 (08年 決算額、億元
)自然生態保護 天然林保護 退耕還林 退牧還草 省 エ ネ利用
再生 可能エ ネルギー
32.53 72.68 301.33 19.29 135 67 36,75 1,385 15 注 :中 国の環境保護支出は上記の 6項 目だけではない。
したがつて、環境保護支出総額は上記 6項 目の合 計 と一致 しない。
出所 :『 2008年 財政決算表』により作成
08年 の環境保護費 の決算 については、全 国1,451.36億 元 (表 2)で 、 その うち、 中央 レ ベ ルの支 出は 66.21億 元 、 中央 か ら地 方へ の財 政移転 交付 の 中 に含 まれ た金 額 は974.09億 元 で あ る。環境保 護 費 で は、省 エ ネ ・排 出削減 と生態系整備 を強化 す るため、08年 の当初 予算 で は、 中央財 政 は省 エ ネ ・排 出削 減 に35億 元増 の270億 元 を計 上 し、補 助 の代 わ りに 奨励 す るな どの方式 を とって、10件 の重点省 エ ネプ ロジェク トや 、 中西部 地 区 にお け る下 水管 ネ ッ トワー ク化 、汚 染物 質排 出削減 に対 す る監督 ・管 理体系 な どの整備 を支援 す る と
され た。
2.政 府 間財 政 関係 の変化
現在 中国における政府 間の財政交錯関係 は、地方か ら中央への上解 (上 納 )収 入 と中央
か ら地方への税遠付 と財政移転交付か らなる。上解収入は、従来財政調整の特定財源 とし
て豊かな省か ら中央へ上納するもので、 08年 当初予算では上解収入額 は 909,72億 元 とされ
た。税還付 とは、 1994年 分税制改革当初、 1993年 を基準年 に、中央への純上劃収入 を一定 の配分ルールに応 じて全額地方 に遠付するものである。上劃収入 とは、従来の地方収入の 一部 (消 費税、外資銀行 と非銀行金融企業の所得税、 75%の 増値税及び 50%の 証券取引税
)を、中央収入 に編入す るものである。「下董 1収 入 Jと は、従来の中央収入の一部 (城 鎮土 地使用税、耕地占用税、国有土地有償使用収入などの中央分 )を 地方収入 に編入するもの である。式で示せば、純上劃収入三上劃】 又入―下劃
1又入 となる。 2002年 1月 1日 か らスター トした所得税配分改革 により、所得税 も共有税 にな り、税還付額 には所得税還付額 も含 ま れる。 08年 当初予算では税遠付額 は 3,850,79億 元 とされた。財政移転交付 は専項移転交付 と財力性移転交付 か らなる。 2008年 当初予算では財政移転交付額 は 1兆 7,775。 73億 元であ る。税還付 と財政移転交付支出の合計 は 2兆 1,626.52億 元 とされた。
教 育移転交付 科学技術 移転交付 社 会保 障 ・雇用移転交付 医療衛生移転交付 環境保護移転交付 農林水事務移転交付
一般性移転交付 民族 地域移転交付 給与調整移転交付 農村税 費改 革移転交付 県郷奨励 ・補助移転交付 その他 の財 力性移転交付
692.97 85.88 2,399.31 780 02 974 09 1,513 13 9,962.39 注 :こ の総額には、その他の項目も含まれているため、
上記 6項 目の合計 と一致 しない。
出所 :中 国財政部ホームページにより作成。
専項 移転 交付 (08年 当初予算 9,308.71億 元 、執行 額 9,966.93億 元 )は 、特 定補 助金 の性 格 を もつ もので、教 育 、科 学技術 、社 会保 障 と雇用 、医療衛 生 、環境保護 、農林水事務 、 その他 の「専項移転交付 移転交付 」 な どの174項 目 (07年 まで は213項 目 )を 含 む (表 3)。
従 来 、専 項 移転交付 は上位 政府 に流用 され る こ ともあ ったが 、02年 か ら国庫 集 中受払制度 が普及 されて以降、専項移転交付 資金がすべ て国庫 の単一 口座 の システム管理 に組み込 ま れ、上位 政府 の所管下位 政府へ の財政的 コン トロールが強 まった と同時 に、専項移転交付 資金 の流用 も不 能 にな った。
総
3,510.51 275.79 2,451.24 762.54 438 18 1,307.95 8,746.21
2003年 に新設 した財力性移転交付 (08年 当初予算 は8,467.02億 元、執行額 は 8,696.49億 表 3 専項 移転交付 の内訳 (08年 決算額、億元
)表 4 財力性移転交付の内訳 (08年 決算額、億元
)出所 :中 国財 政部 ホームペ ージに よ り作成。
元 、 決算額 は8,746.21億 元 )は 、垂 直的財 政調整制度 を採用 した中国では、地域 間財政力 格差 を調 整 す る役 割 を果 たす もので、以下 の 6項 目か らなる (表 4)。
①一般性移転交付は一般補助金の性格をもつ もので、その最初は 1995年 に登場 した過渡 期財政移転交付であって、その後若千改正 し、 02年 には所得税配分改革により、「一般性 財政移転交付」に改称され、 2008年 6月 19日 に基準収支の算定方法を中心 とする最新版の
「地方への一般性移転交付方法」が公表された。
②民族地域移転交付支出は、西部大開発戦略に合わせ 2000年 より実施 されたもので、中 央政府から少数民族の省 ,自 治区、非少数民族の省 ・自治区の少数民族 自治州への交付金 である。
③給与調整移転交付は、 1998年 以降アジア通貨危機の対策 として、内需拡大を目指 して 新設 された ものである。
④農村税費改革移転交付支出 (税 費改革 とは、政府による料金徴収を課税に変更する改 革 )は 、 2001年 に導入されたもので、農村部の税費改革による収入減の対策としての補助 金である。
⑤県郷奨励 ・補助移転交付は、県郷財政難を緩めるための移転交付であって、 2005年 よ り実施 されたもので、 2008年 8月 4日 に、 F県 郷財政難を緩める地方に対する中央財政の 奨励 と補助に関する方法 (2008年
)」が公表された。
③ その他の財力性移転交付 には、都市 ・農村義務教育移転交付、「原体制補助」などが 含 まれる。 ここで、「原体制補助 Jは 、分税制改革以前貧 しい省が中央から受ける定額補 助 を継続 したもので、その財源は前述 した上解収入であった。
08年 には、省クラス以下の財政体制を整備 し、「省直管県」 (省 による県財政の直接管理。
「省管県」 ともいう )と 「郷財県管」 (県 による郷財政の管理 )な どの財政管理改革を積極 的に推 し進めると要求された。「省管県」体制は、すでに浙江、安徽、福建などの 18省 と 北京、上海などの 4直 轄市で実施 されている。「郷財県管」体制は 28省 ・自治区に広げら れている (そ のうち、部分的にテス トを行 う地域は 12)。 09年 の「中央 1号 文件 Jで は、
明確 に「省直管県 J財 政改革 と県の権限を強めるテス トをさらに推進すると強調 された。
表 5に 見る中央 と地方歳入の純計の推移では、中央のシェアはやや低下 してお り、財政 分散化が進んでいる傾向を示 している。
表 5 中央 と地方歳入の純計 (億 元
)年 度
中 央 本級歳入
地 方 本級歳入
地 方 上納額
移 転 額
(税