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新川崎・創造のもり第3期事業地区

産学官共同研究施設整備基本計画

平成 22 年 10 月

(2)

目 次

はじめに ··· 1

Ⅰ.市内産業の現状 ··· 2

1 市内産業の特徴・強み ··· 2 2 市内産業を取り巻く環境の変化 ··· 4

Ⅱ.新川崎・創造のもり計画の概要 ··· 7

1 第 1 期事業 K2(ケイスクエア)タウンキャンパス ··· 7 2 第2期事業 「かわさき新産業創造センター」(KBIC) ··· 8 3 第3期事業のこれまでの取り組み ··· 11

Ⅲ.創造のもり第3期事業の基本的考え方 ··· 13

1 基本的視点 ··· 13 2 段階的整備手法の導入 ··· 14 3 企業における基盤技術の高度化 ··· 16

Ⅳ.第 1 段階施設の基本的方向性 ··· 19

1 基本方針 ··· 19 2 施設規模 ··· 22

Ⅴ.第 1 段階施設の施設計画 ··· 25

1 建物概要 ··· 25 2 配置計画(案) ··· 26 3 平面計画(案) ··· 27 4 将来のクリーンルーム拡張イメージ ··· 28

Ⅵ.管理運営の考え方 ··· 29

1 施設建設の主体 ··· 29 2 管理運営の主体 ··· 29 3 ファブリケーション機器・設備の運営 ··· 29 4 運営管理に係る経費負担の考え方 ··· 30

Ⅶ.整備スケジュール ··· 32

1 第1段階整備スケジュール ··· 32 2 第2段階整備スケジュール ··· 32

(3)

本市では、1999(平成 11)年 2 月に「新川崎・創造のもり計画」を策定し、

産学官の連携により新しい科学技術や産業を創造する研究開発拠点の形成と、

次代を担う子どもたちが科学・技術への夢を育む場づくりを推進しております。

2000(平成 12)年7月には、新川崎・創造のもり第1期事業として、慶應義塾

大学の先導的研究施設「K

(ケイスクエア)タウンキャンパス」が開設し、

2003(平成 15)年 2 月には、同第2期事業として、ベンチャービジネス創出拠点

「かわさき新産業創造センター(KBIC)

」を開設しました。

さらに、2008(平成 20)年9月に「新川崎・創造のもり第3期事業用地土地利

用方針」を策定し、優れたものづくり企業の集積等の川崎の産業分野の特徴・

強みを活かした、産学公民連携による研究開発拠点の形成を進め、本市の研究

開発基盤の強化と産業振興の実現を目指しているところです。

次世代のものづくり技術の分野では、製品の小型化、精密化の流れに対応し

た微小、微細な領域での高い精度の加工、計測等の技術が求められ、マイクロ

サイズからナノサイズでのものづくり技術が要求されつつあります。川崎市内

においても、大手企業やベンチャー企業を始め、従来のものづくり技術のさら

なる高度化、精密化に取り組む中小企業など、他に先駆けてナノ・マイクロテ

クノロジーに取り組む企業の活発な動きが見られています。

こうした中、川崎市と、ナノ・マイクロテクノロジーに関して最先端の研究

を推進している慶應義塾大学・早稲田大学・東京工業大学・東京大学からなる

「4大学ナノ・マイクロファブリケーションコンソーシアム」

(以下、

「4大学コ

ンソーシアム」という。

)は、ナノ・マイクロテクノロジーに関する基礎研究を

産業化に繋げ、我が国経済を牽引するような技術・製品等の大きな成果を生み

出すため、連携協力に関する基本合意を締結しました。本基本合意に基づき、

4大学コンソーシアムは、幅広いナノ・マイクロテクノロジー研究に関連する

重要技術であるナノ・マイクロファブリケーション技術を中核とした研究拠点

を新川崎・創造のもりのKBICに設置し、活動を開始しています。

本計画は、こうした川崎市の特徴・強みや、新川崎・創造のもりでのこれま

での成果を踏まえ、今後の市内産業の成長の原動力となるような、新川崎・創

造のもり第3期事業地区への産学官共同研究拠点の整備に向け、施設の整備目

的、位置、機能、規模など基本的な考え方を取りまとめたものです。

はじめに

(4)

1 市内産業の特徴・強み (1) ものづくり企業の集積 本市は、京浜工業地帯の中核として日本経済の発展を支えてきた我が国を代表す る工業都市であり、現在でも鉄鋼、石油、化学、電機等の大企業の主要生産拠点が 数多く立地しているほか、優れたものづくり技術を有する多数の中小企業が集積し、 1,700 を超える製造業の事業所が立地しています。 事業所数の産業別内訳では、一般機械や金属製品、電機等の加工組立型産業が全 体の約3分の2を占めています。 【市内製造業の産業別事業所数(平成 20 年)】

Ⅰ.市内産業の現状

事業所数 構成比(%) 1,753 100% 201 11.5% 28 1.6% 49 2.8% 17 1.0% 33 1.9% 44 2.5% 30 1.7% 1,162 66.3% 304 17.3% 91 5.2% 259 14.8% 95 5.4% 109 6.2% 184 10.5% 71 4.1% 49 2.8% 390 22.2% 110 6.3% 5 0.3% 16 0.9% 3 0.2% 18 1.0% 75 4.3% 116 6.6% 9 0.5% 2 0.1% 36 2.1% そ の 他 の 製 造 業 ゴ ム 製 品 製 造 業 な め し 革 ・ 同 製 品 ・ 毛 皮 製 造 業 木 材 ・ 木 製 品 製 造 業 ( 家 具 を 除 く ) 家 具 ・ 装 備 品 製 造 業 印 刷 ・ 同 関 連 業 プ ラ ス チ ッ ク 製 品 製 造 業 食 料 品 製 造 業 飲 料 ・ た ば こ ・ 飼 料 製 造 業 繊 維 工 業 電 気 機 械 器 具 製 造 業 情 報 通 信 機 械 器 具 製 造 業 輸 送 用 機 械 器 具 製 造 業 鉄 鋼 業 パ ル プ ・ 紙 ・ 紙 加 工 品 製 造 業 非 鉄 金 属 製 造 業 生 産 用 機 械 器 具 製 造 業 化 学 工 業 総数 加工組立型 消費関連その他 石 油 製 品 ・ 石 炭 製 品 製 造 業 金 属 製 品 製 造 業 は ん 用 機 械 器 具 製 造 業 素材型 業 務 用 機 械 器 具 製 造 業 電 子 部 品 ・ デ バ イ ス ・ 電 子 回 路 製 造 業 窯 業 ・ 土 石 製 品 製 造 業 経済産業省「工業統計調査」

(5)

麻生区 長津製作所(中丸子) ナノレベルの精度で精密金型を製造 宮前区 多摩区 高津区 中原区 幸区 川崎区 営電(栗木) 世界30カ国で採用される 試験用テレビ信号発生器 の製造 武蔵エンジニアリング(栗木) ナノレベルの「液体精密制御システム」 で薄型テレビ分野の液晶滴下工程などに おいて国内トップシェア 栄通信工業(市ノ坪) 世界が認める精密ポテンショメータのト ップシェア 常光(宇奈根) 全自動電気泳動装置の世界的シェアを 誇る医療分析装置メーカー ニクニ(久地) ハイテク産業を支える渦流タービン ポンプのトップシェア マイクロ・ダイヤモンド(坂戸) 硬脆性材料等への微細・精密・高品位加工用単 結晶ダイヤモンド・マイクロ工具を開発・製造 三木プーリ(今井南町) 軸継手やラッチブレーキなど機械産業を支える 高精度部品の製造 神津精機(栗木) 精密位置決め調整装置など NASAも認める精密機器を製造 アルファクス(下新城) 半導体検査装置で国内トップシェア 検査技術研究所(川中島) 超音波探触子専業メーカーとして国内トップシェア 伸和コントロールズ (五力田) 人工透析用電磁弁で国内 トップシェア 日本理化学工業(久地) ホタテの貝殻をリサイクルした ダストレスチョークで国内トップシェア 「元気なモノ作り中小企業300社」(経済産業省中小企業庁)に選定された中小企業 南陽(二子) サーボショット「粉末圧縮成形装置」でトップ シェア 昭特製作所(二子) テレビ局向けのカメラサポート機器で国内 トップメーカー JKB(下作延) 超難加工形状の精密プレス 麻生区 長津製作所(中丸子) ナノレベルの精度で精密金型を製造 宮前区 多摩区 高津区 中原区 幸区 川崎区 営電(栗木) 世界30カ国で採用される 試験用テレビ信号発生器 の製造 武蔵エンジニアリング(栗木) ナノレベルの「液体精密制御システム」 で薄型テレビ分野の液晶滴下工程などに おいて国内トップシェア 栄通信工業(市ノ坪) 世界が認める精密ポテンショメータのト ップシェア 常光(宇奈根) 全自動電気泳動装置の世界的シェアを 誇る医療分析装置メーカー ニクニ(久地) ハイテク産業を支える渦流タービン ポンプのトップシェア マイクロ・ダイヤモンド(坂戸) 硬脆性材料等への微細・精密・高品位加工用単 結晶ダイヤモンド・マイクロ工具を開発・製造 三木プーリ(今井南町) 軸継手やラッチブレーキなど機械産業を支える 高精度部品の製造 神津精機(栗木) 精密位置決め調整装置など NASAも認める精密機器を製造 アルファクス(下新城) 半導体検査装置で国内トップシェア 検査技術研究所(川中島) 超音波探触子専業メーカーとして国内トップシェア 伸和コントロールズ (五力田) 人工透析用電磁弁で国内 トップシェア 日本理化学工業(久地) ホタテの貝殻をリサイクルした ダストレスチョークで国内トップシェア 「元気なモノ作り中小企業300社」(経済産業省中小企業庁)に選定された中小企業 南陽(二子) サーボショット「粉末圧縮成形装置」でトップ シェア 昭特製作所(二子) テレビ局向けのカメラサポート機器で国内 トップメーカー JKB(下作延) 超難加工形状の精密プレス (2) 研究開発機関の集積 一方、知識集約型・高付加価値型の産業構造への転換に伴い、市内事業所の生産 機能の研究開発機能への転換が進むとともに、企業の研究開発部門、大学研究機関、 公的研究機関が立地するなど、市内には 200 を超える研究開発機関が集積し、現在 は、我が国を代表する研究開発都市としての側面も有しています。 【市内に集積する研究機関等】 マイコンシティ (南黒川) マイコンシティ (栗木) ■キャノンアネルバ(本社) ■荏原ユージライト(中央研究所) ■テュフズードオータマ(試験所) ■商船三井(技術研究所) ■ハリウッド化粧品 (研究所、工場) 麻生区 ■ 日立製作所 (研究所) ■ スリオンテック (本社・工場) 多摩区 ■ シーボン(本社) 宮前区 高津区 中原区 幸区 川崎区 キヤノン (事業所) ■ ■ タイコエレクトロニクスアンプ (本社) ミツトヨ(本社) ■ KSP ■神奈川科学技術アカデミー ■日本ロレアル(研究開発センター) ■ハーゲンダッツ(R&Dセンター) ■デュポン(エレクトロニクスセンター) ■クノール食品(本社・研究所) ■富士通(本店、工場)、富士通研究所(本社) サントリー (商品開発センター) ■キヤノン(事業所) ■東京応化学工業(本社)■NEC(事業場、中央研究所) 三菱ふそうトラック・バス (製作所、技術センター) 新川崎創造のもり K タウンキャンパス KBIC 2 ソリッド スクエアビル ■ パイオニア (本社・研究所)■日本トイザらス(本社) モトローラ (オフィス) 黒田精工(本社) ■キヤノン(事業所) 味の素 (事業所、研究所) THINK ■JFEエンジニアリング(研究所) ■JFEスチール(研究所) 日清製粉 (工場) 昭和電工 (事業所、研究 開発センター) 東亜石油 (本社) 東京電力 (発電所) 旭化成ケミカルズ (製造所) 日本ゼオン (工場、研究所) 花王(工場) 日本ユニカー (工業所、 研究開発部) 日本ブチル (本社) 東燃化学 (工場) 東燃ゼネラル石油 (工場、中央研究所) JX日鉱日石 エネルギー (製造所) ■東芝(研究開発センター) ■研究開発機関など サイエンスパーク、研究開発型工業団地 学術・開発研究機関従業者構成比: 3.68%(大都市比第1位) [平成19年度版大都市比較統計年表より] エリーパワー (工場) ■4大学ナノマイクロファブリケーション コンソーシアム 長谷川香料 (総合研究所) デイ・シイ (工場・技術センター) 第一高周波工業 (工場・技術統括部) マイコンシティ (南黒川) マイコンシティ (栗木) ■キャノンアネルバ(本社) ■荏原ユージライト(中央研究所) ■テュフズードオータマ(試験所) ■商船三井(技術研究所) ■ハリウッド化粧品 (研究所、工場) 麻生区 ■ 日立製作所 (研究所) ■ スリオンテック (本社・工場) 多摩区 ■ シーボン(本社) 宮前区 高津区 中原区 幸区 川崎区 キヤノン (事業所) ■ ■ タイコエレクトロニクスアンプ (本社) ミツトヨ(本社) ■ KSP ■神奈川科学技術アカデミー ■日本ロレアル(研究開発センター) ■ハーゲンダッツ(R&Dセンター) ■デュポン(エレクトロニクスセンター) ■クノール食品(本社・研究所) ■富士通(本店、工場)、富士通研究所(本社) サントリー (商品開発センター) ■キヤノン(事業所) ■東京応化学工業(本社)■NEC(事業場、中央研究所) 三菱ふそうトラック・バス (製作所、技術センター) 新川崎創造のもり K タウンキャンパス KBIC 2 新川崎創造のもり K タウンキャンパス KBIC 2 ソリッド スクエアビル ■ パイオニア (本社・研究所)■日本トイザらス(本社) モトローラ (オフィス) 黒田精工(本社) ■キヤノン(事業所) 味の素 (事業所、研究所) THINK ■JFEエンジニアリング(研究所) ■JFEスチール(研究所) 日清製粉 (工場) 昭和電工 (事業所、研究 開発センター) 東亜石油 (本社) 東京電力 (発電所) 旭化成ケミカルズ (製造所) 日本ゼオン (工場、研究所) 花王(工場) 日本ユニカー (工業所、 研究開発部) 日本ブチル (本社) 東燃化学 (工場) 東燃ゼネラル石油 (工場、中央研究所) JX日鉱日石 エネルギー (製造所) ■東芝(研究開発センター) ■研究開発機関など サイエンスパーク、研究開発型工業団地 ■研究開発機関など サイエンスパーク、研究開発型工業団地 サイエンスパーク、研究開発型工業団地 学術・開発研究機関従業者構成比: 3.68%(大都市比第1位) [平成19年度版大都市比較統計年表より] エリーパワー (工場) ■4大学ナノマイクロファブリケーション コンソーシアム 長谷川香料 (総合研究所) デイ・シイ (工場・技術センター) 第一高周波工業 (工場・技術統括部)

(6)

2 市内産業を取り巻く環境の変化 (1) 社会環境の変化 市内産業を取り巻く状況は、今日の経済のグローバル化の進展に伴う国際競争の 激化や、国内の産業構造の変化の影響を受け、とりわけものづくり中小企業の操業 環境の悪化は顕著です。 こうした経営環境の激変を乗り越え、次なる成長を遂げるため、海外生産拠点と の価格競争ではなく、研究開発力や技術力の更なる向上を図り、高付加価値な製品 を生み出す力を培うことが重要です。 【中小企業を取り巻く環境の変化】 (2) ものづくり環境の変化 製造現場のものづくり技術を取り巻く環境は、光学機器や情報通信機器、医療用 機器、自動車部品など、最終製品の小型化、軽量化、複雑化の流れを受けて大きく 変化し、より微小、精密な加工技術が求められる状況となっています。従来のもの づくりでの精密加工では、ミクロン単位の精度での加工が主流でしたが、今日では、 超微細、超精密化が進展し、分子、原子レベルの操作による、マイクロレベルから ナノレベルでの加工技術(ナノ・マイクロテクノロジー)が求められつつあります。 市内においても、大手企業やベンチャー企業を始め、従来のものづくり技術のさ (出典)中小企業白書

(7)

らなる高度化、精密化に取り組む中小企業など、他に先駆けてナノ・マイクロテク ノロジーに取り組む企業の動きも見られています。A社では、小径のガラス、シリ コン等のナノレベルでの精度の加工に対応する高度な金型を開発しました。B社に おいては、次世代の微細加工技術であるナノインプリント成型受託等に取り組んで います。また、C社では、ナノインプリントの受託転写や、MEMS の試作から量産 までの受託加工に取り組んでいます。 しかし、こうした次世代の基盤技術への市内企業の参入の動きはまだ一部のもの であり、市内産業全体への波及は今後の課題です。 【ナノ・マイクロテクノロジーとは】 ナノ・マイクロテクノロジーとは、ナノテクノロジーとマイクロテクノロジーを合わせた もので、ナノ(10 億分の1)メートル、マイクロ(100 万分の1)メートルといった「超 微細な世界を取り扱う技術」です。我が国の「第3期科学技術基本計画(2006(平成 18)∼ 2010(平成 22)年度)」では、「ナノテクノロジー・材料」を「重点・推進4分野」の一つに 位置付けており、ナノ・マイクロテクノロジーは、情報、環境、エネルギー、医療など幅 広い分野において、より快適でかつ健康な社会を 21 世紀に実現するための未来技術として 期待されており、次世代のものづくり技術とも呼ばれています。例えば、ナノ・マイクロ テクノロジーを用いることにより、低コスト高効率太陽光電池の開発や拒絶反応のない人 工臓器等の実現が可能になるといわれています。こうした成長産業分野を中心とする幅広 い応用可能性から、ナノテクノロジーの市場規模は、平成 17 年度の経済産業省の試算では、 2020 年に約 13 兆円、2030 年に約 26 兆円と大幅に拡大することが予測されています。 ○B社 ・ナノインプリント成型受託、 金型受託製造 ○C社 ・ナノインプリント受託転写等 ・MEMSの受託製造等 ○A社 ・ナノレベルの切削・研削加 工により光学部品等の高精 度化を実現 【ナノ・マイクロテクノロジーに取り組む市内企業の例】 (出典)(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構資料

(8)

【ナノ・マイクロテクノロジーを取り巻く環境】 ナノ・マイクロテクノロジーについては、多くの中小企業にとって情報が不十分であり、 知識が不足しているのが現状です。また、現状では、中小企業が自社で高額なナノ・マイク ロテクノロジー関連の試作・計測装置を整備することは難しいこと、研究開発において超清 浄な環境が要求され、維持管理コストが高額なクリーンルームの設置が不可欠なことなどが、 中小企業の参入障壁となっているといわれています。 国内のナノ・マイクロテクノロジー関連の機器を企業等に供用している代表的な研究開発 拠点としては、東北大学、(独)産業技術総合研究所、(独)物質・材料研究機構等が挙げら れます。東北大学では、仙台市、宮城県、経済産業省、東北経済産業局と連携し、企業向け のMEMS1講座や実習の開設、企業等に有料で時間貸しする共用クリーンルームの提供(平 成 22 年秋開始予定)等を行っているなど、ナノ・マイクロテクノロジーに関する産学連携 に積極的に取り組んでいます。こうした企業支援の取組により、東北大学では企業からの技 術相談が年間 250 件ほどあり、ナノ・マイクロテクノロジーに関する企業からのニーズの高 さが伺えます。 しかし、国内では、大規模なクリーンルームが不足しており、研究開発から試作・加工、 計測・評価までの一貫ラインが十分には形成できていません。国内の研究開発用の一般開放 用の 3,000 ㎡以上のクリーンルームは、(独)産業技術総合研究所のスーパークリーンルー ム等がありますが、小規模のものが各地に点在している状況です。こうしたことから、国内 の大手企業の多くは、海外の研究拠点に研究者を派遣し、ナノ・マイクロテクノロジーを用 いた開発に取り組んでいます。 海外では、ナノ・マイクロテクノロジー分野への積極的な投資が行われており、我が国は 大学等の研究開発機関での研究開発水準としては高い水準を保っているものの、研究開発拠 点の整備においては諸外国の後塵を拝している状況です。世界を代表するナノ・マイクロテ クノロジーの研究開発拠点としては、ベルギーの「IMEC」やアメリカの「CNSE Albany」、フ ランスの「MINATEC」、シンガポールの「Fusionopolis」等があり、欧米のほかアジアにも世 界的な拠点が整備されつつあります。海外の研究開発拠点は、いずれも 3,000 ㎡以上の大規 模なクリーンルームを複数備え、研究開発から試作・加工、計測・評価までを一貫して行う ことができるラインを複数整備していることが大きな特徴です。ナノ・マイクロテクノロジ ーでは、研究開発成果をすぐに試作・評価し、量産ラインで生産技術を開発する必要性が高 く、これらの行程をいかに効率的に行えるかが開発費用と時間の低減に大きな影響を及ぼし ます。こうしたことから、我が国では、ナノ・マイクロテクノロジーの素材等の基礎研究で の研究成果を産業化に結びつけることにおいて、諸外国の遅れをとっている状況です。

1 MEMS(Micro Electro Mechanical System):半導体製造技術やレーザー加工技術など、各

種微細加工技術を応用し、微小な電気要素と機械要素を1つの基盤の上に組み込んだデバ イス・システム

(9)

「新川崎・創造のもり計画」(1999(平成 11)年2月策定)は、以下の目的及び目標 を掲げ、産学公民の連携による創造的研究開発拠点の形成を図るものです。 【目 的】 産業界、大学及び行政・市民の連携により21世紀を支える新しい科学・技術や産業 を創造する研究開発拠点の形成と、次代を担う子どもたちが科学・技術への夢を育む場 づくりをめざすこと。 【目 標】 ・産業界、大学、行政及び市民の連携により、21 世紀を支える産業と科学を興し、新 しい産業クラスターを形成すること。 ・慶應義塾大学K2(ケイスクエア)タウンキャンパスの研究室と企業や起業者とのマ ッチングを図り、先端科学分野の他大学オフキャンパス、ベンチャー企業及び研究・ 知識産業が集積し、青少年・市民の先端科学学習拠点の役割も果たしうる、研究・開 発クラスターへの発展を図ること。 ・この過程を通じて、多様な情報・知識ネットワークを形成し、ベンチャー企業が次々 と起こり、新産業が全市的に展開するインキュベート都市づくりを推進すること。 創造のもり計画に基づき、2000(平成 12)年 7 月には、新川崎・創造のもり第1期事 業として、慶應義塾大学の先導的研究施設「K2(ケイスクエア)タウンキャンパス」 が開設し、2003(平成 15)年 2 月には、同第 2 期事業として、ベンチャービジネス創出 拠点「かわさき新産業創造センター(KBIC)」を開設しました。 1 第 1 期事業 K(ケイスクエア)タウンキャンパス 第1期事業である慶應義塾大学の先導的 研究施設(K2タウンキャンパス)は、2000 (平成 12)年7月から活動を開始していま す。 走行時CO排出ゼロの電気自動車プロ ジェクトや大容量情報伝達が可能なプラス チック光ファイバーによるフォトニクスポ リマープロジェクト、健康食品素材の探 索・開発プロジェクトなど、数多くの世界的な研究プロジェクトがなされており、現在 14 のプロジェクトが実施されています。

Ⅱ.新川崎・創造のもり計画の概要

(10)

【K2(ケイスクエア)タウンキャンパスで現在進行中のプロジェクト】(平成 22 年9月現在) 研究棟 プロジェクト名 プロジェクト代表者 K棟 健康食品素材の探索・開発プロジェクト 理工学部教授 上村 大輔 テラビット時代に向けたネットワーク基盤研究プロジェクト 理工学部教授 山中 直明 先端光波制御研究プロジェクト 理工学部教授 神成 文彦 快適環境創造プロジェクト 理工学部教授 田中 茂 巨大炭素鎖をもつ天然有機分子プロジェクト 理工学部教授 上村 大輔 慶應義塾大学フォトニクス・リサーチ・インスティテュート 内閣府最先端研究開発支援プログラム FIRST 理工学部教授 小池 康博 JST CREST:ディペンダブル SoC/SiP プロジェクト 理工学部准教授 山崎 信行 高セキュリティ・高信頼基盤ソフトウェア研究プロジェクト 理工学部准教授 河野 健二 E棟 ERASTO−SORST小池フォトニクスポリマープロジェクト 理工学部教授 小池 康博 I棟 アクセス空間支援基盤技術の高度国際連携プロジェクト 理工学部教授 大西 公平 O棟 ナノテク次世代薄幕プロジェクト 理工学部准教授 白鳥 世明 WIDEプロジェクト 環境情報学部教授 村井 純 未来自動車プロジェクト 環境情報学部教授 清水 浩 コ・モビリティ社会の創成プロジェクト 慶應義塾長 清家 篤 2 第2期事業 「かわさき新産業創造センター」(KBIC)

【KBICの支援事業内容】

第2期事業である新産業創造センター (KBIC)は、2003(平成 15)年2月に開設 し、地域の新しい産業の創造発信拠点とし て、ベンチャー企業の創業支援と川崎市の ものづくり機能の高度化支援を実施してい ます。 起業家精神あふれる企業と事業化をめざ す大学研究室が数多く入居し、創業、新事 業・新分野への進出支援としてインキュベ ーションマネージャー、また基盤技術の振 興・高度化に向けた技術コーディネーター を活用し、企業交流や技術支援も盛んに行 われ、入居者へのステップアップ支援を実 施しています。これまで、9割を超える高 い入居率を維持しています。

(11)

【KBIC入居者一覧(平成 22 年9月現在)】 ㈱長津製作所 ものづくり系 光学素子等の超精密金型の研究開発・製造・販売 ㈲メカノトランスフォーマ ものづくり系 圧電素子の発生する変位を機械的に拡大縮小する技術の設計、製造 ㈱GSP研究所 バイオ系 診断用簡易型マイクロアレイおよびFISHプローブの製造販売 ㈱粒子線医療支援機構 情報サービス系 非侵襲型等の高度医療機器・システム関連事業 ㈱クマタカ エンジニアリング ものづくり系 道路舗装業向電子計測器の開発 ㈱イッツコーポレーション 情報サービス系 設備情報管理システムの開発・販売 ㈱アイ・アール ものづくり系 300mmウェハー用エピタキシャル成長装置の開発 メディサイエンス・エスポア㈱ 化粧品・医薬部外品製造販売業 新機能化粧品及び新ワクチン技術の研究開発 デベロップメント・アジア・コンサルティング㈱ ものづくり系 バッテリーリサイクル技術の開発とプラント向け資源回収設備の販売 ㈱テクノロード 情報サービス系 ロボット制御装置の設計コンサルティング ピクセラコーポレーション 情報サービス系 遠隔病理診断コンサルテーションシステム開発 ㈱イフェクト ウェリンテック・ジャパン㈱ 情報サービス系 環境管理やプラント管理、ビル管理用監視制御システム。産業用リアルタイム・インテリジェント・データベース。 ㈱クリーンクラフト ものづくり系 電気自動車関連知識のライセンシング ㈱バージョン2 アポロ計画㈱ 情報サービス系 オープンソースCMS「Magic3」の開発 篠原 匠 情報サービス系 SEOサービスを提供する「i-PGASUS」の開発・販売 ㈱IJR ものづくり系 高エネルギー密度加工法(放電加工・超音波等)を利用した製品開発 研究室 ウエットプロセスナノテク薄膜の商品化プロジェクト 研究室 内視鏡外科など低侵襲性外科手術における触覚技術の開発 研究室 マイクロ・ナノ熱流体センシングデバイスの開発研究 研究室 チャージングロボットの研究開発 業    種 企 業 名 等 事     業 サイバーレーザー㈱ ものづくり系 産業用フェムト秒レーザー装置の開発・製造・販売 慶應義塾大学、早稲田大学、東京工業大学、東京大学の4大学連携によるナノ・マ イクロ領域における新たな技術領域開拓と応用展開 シリコンライブラリ㈱ 情報サービス系 半導体設計用ライブラリーIPの開発・販売 電気自動車関連技術の研究・開発と技術提供サービス エル・シー・エス㈱ ものづくり系 LDへのマイクロオプティクス光学接着技術の開発 ㈱SIM-Drive ものづくり系 慶應義塾大学 4大学ナノ・マイクロファブリケーション コンソーシアム 理工・工学系

(12)

【新川崎・創造のもり 配置図】

新川崎・創造のもり地区 第1期事業 K2 第3期事業用地(1.8ha) 第2期事業 KBIC さいわいふるさと公園 市内には、新川崎・創造のもりに加え、内陸部に日本最大規模のサイエンスパークで ある「KSP(かながわサイエンスパーク)」、臨海部に民間主導で設立されたインキュ ベーション施設である「THINK(テクノハブ・イノベーション川崎)」が立地して います。さらに、KSPには、(財)神奈川科学技術アカデミー(KAST)が立地し、 中小企業の技術・製品開発に不可欠となる工業製品・材料等の分析・試験サービス機能 を果たすとともに、特許庁認定の「知的所有権センター」として機能を果たしています。 これらの3つのサイエンスパークが連携し、市内の新事業・新産業の創出を支える基 盤となっており、今後さらなる連携の促進が求められています。

【市内に立地する3つのサイエンスパーク】

KSP(かながわサイエンスパーク) 新川崎・創造のもり THINK 多摩川 KSP(かながわサイエンスパーク) 新川崎・創造のもり THINK 多摩川 ○KSP 日本初(1989 年)かつ日本最大級のサイエンス パーク ・147 社が入居(2009 年 2 月現在) ・(財)神奈川科学技術アカデミー(KAST) が立地 ○新川崎・創造のもり 《産学連携型》 かわさき新産業創造センター(KBIC) ・22 社 6 研究室等が入居(2009 年 2 月現在) 慶應義塾大学新川崎タウンキャンパス(K2) ・14 のプロジェクトを展開 ○THINK 《民間主導型》 JFE グループの既存研究開発施設を活用して、 整備されたサイエンスパーク ・60 社が入居(2009 年 1 月現在)

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3 第3期事業のこれまでの取り組み (1) 土地利用方針の策定 産学連携の共同研究による新産業の創出や企業等の開発支援等に貢献する、情 報通信分野、環境分野、ナノ・材料分野、エネルギー分野、ものづくり技術分野 を中心とした研究機関の立地誘導を定めた「新川崎・創造のもり第3期事業用地 土地利用方針」を 2008(平成 20)年9月に策定しました。 【新川崎・創造のもり第3期事業用地土地利用方針】 【土地利用方針】 ① 本市の研究開発基盤の強化と産業振興を図るため、市内の他のサイエンス パークや研究開発拠点との連携・役割分担により、先端科学技術分野の研究 開発クラスターのとなる研究開発拠点の形成を進める。 ②「新川崎・創造のもり」計画をさらに推進するために、産学公民連携による 研究開発拠点の形成を進め、先端科学技術分野の研究開発を行う大学等の研 究室や新技術・新製品の開発を行う研究開発型企業や研究開発をサポートす る企業等の立地を誘導する。 ③ 研究開発拠点の核となる施設として、先端科学技術分野に関する研究、産 学連携、人材育成、ファブリケーション(試作開発)、ベンチャー企業のイ ンキュベーション機能等を持つ、全国の大学や企業等が共用できる「研究開 発支援センター」機能の整備を図る。 【具体的方向性】 ① 先端科学技術分野の研究開発を進めるための共同研究開発施設の立地誘導 ② 先端科学技術分野の大学研究室や企業等の研究部門の立地誘導 ③ 新技術・新製品の開発を行う研究開発型企業や研究開発をサポートする企 業の立地誘導 ④ 最先端のファブリケーション(試作開発)施設を活用した、大学・企業向 けの産学連携・研究開発支援センター機能の整備 ⑤ 新技術・新事業の創出を行うベンチャー企業の育成 ⑥ 次世代を担う子どもたちの科学の夢を育む ⑦ 周辺市街地環境との調和と地域に開かれた緑豊かな拠点形成 【誘導を図る先端科学技術分野】 ・国の定める「科学技術基本計画」の重点推進分野のうち、川崎市及び新川崎 地区の地域特性から、情報通信分野、環境分野、ナノ・材料分野、エネルギ ー分野、ものづくり技術分野を中心として、研究機関の立地誘導を図る。ま た、「川崎市科学技術振興指針」を踏まえ、「製造技術分野」「環境対応学産 業及び技術分野」を中心として立地誘導を図る。

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(2) 4大学ナノ・マイクロファブリケーションコンソーシアムとの基本合意締結 ナノ・マイクロテクノロジーに関して最先端の研究を推進している慶應義塾大 学・早稲田大学・東京工業大学・東京大学からなる「4大学ナノ・マイクロファ ブリケーションコンソーシアム」と 2009(平成 21)年1月に連携協力に関する 基本合意を締結しました。本合意に基づき4大学コンソーシアムは、平成 21 年 度よりKBICに活動拠点を設け、ナノ・マイクロ技術の世界最先端機器等を設 置し、活動を行っています。

【4大学コンソーシアム組織図】

川崎市 若手研究者 学生 若手研究者 学生 ナノ・マイクロ ファブリケーション コンソーシアム 若手 研究社 学生 東京工業大学 東京工業大学 東京大学 東京大学 • 地域産業界調整 • 施設検討 慶応大学 慶應大学 早稲田大学早稲田大学 人工ナノ空間工学コア • 共通基盤工学研究 • 学術教育交流 • 産学公連携リエゾン • 情報発信 • 国際ネットワーク構築 産業界ほか • 設備利用・独自研究 • 共同研究・成果展開 若手研究者 学生 4大学ナノ・マイクロファブリケーションコンソーシアム と川崎市との連携・協力に関する基本合意 左から 北森 武彦 東京大学大学院工学系 研究科副研究科長 岡崎 健 東京工業大学工学部長 松本 洋一郎 東京大学教授 (4大学コンソーシアム代表) 阿部 孝夫 川崎市長 橋本 周司 早稲田大学理工学術院長 真壁 利明 慶應義塾大学理工学部長 (※役職は当時のもの)

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1 基本的視点 創造のもり第3期事業については、前述の市内産業の現状や「新川崎・創造のも り第3期事業用地土地利用方針」を踏まえ、市内ものづくり企業及び研究機関の共 通基盤技術となりうるナノ・マイクロテクノロジーを核とした先端研究開発拠点を 次の4つの基本的視点に基づいて整備します。 ○市内ものづくり企業の基盤技術の高度化の推進 ナノ・マイクロテクノロジー等の次世代ものづくり技術を活用し、市内ものづ くり企業の基盤技術の高度化を図ることが必要です。 ○市内ものづくり企業の研究開発力の向上 国際的な競争が激化する中で、川崎の特徴・強みである優れたものづくり技術 を有する中小企業の活力をさらに維持・発展させていくため、研究開発力の向 上を図ることが必要です。 ○学際・異業種の融合による新産業の創出の推進 研究領域や大学組織等を越えた学際的な研究の推進により、今後の我が国の国 際競争力の源泉となる新たな技術・産業を創出することが必要です。 ○創造のもりエリア全体の魅力・付加価値のさらなる向上 これまでの創造のもり第1期・第2期事業の成果を踏まえ、既存エリアの機能 を補完するとともに、創造のもりエリア全体の魅力・付加価値を高める新たな 機能を付与することが必要です。

Ⅲ.創造のもり第3期事業の基本的考え方

【第3期事業の基本的視点】 ○社会環境の変化 ○ものづくり環境の変化 本市ものづくり企業を取り巻く環境

○市内ものづくり企業の基盤技術

の高度化の推進

○市内ものづくり企業の研究開発

力の向上

○学際・異業種の融合による新産

業の創出の推進

○創造のもりエリア全体の魅力・

付加価値のさらなる向上

第3期事業の基本的視点 ○200を超える研究機関の集積 ○優れたものづくり中小企業の集積 ○新川崎・創造のもりでのこれまでの成果 市内産業の特徴・強み 本市 も の づ く り 企 業 の振 興 に 向 け て ○社会環境の変化 ○ものづくり環境の変化 本市ものづくり企業を取り巻く環境

○市内ものづくり企業の基盤技術

の高度化の推進

○市内ものづくり企業の研究開発

力の向上

○学際・異業種の融合による新産

業の創出の推進

○創造のもりエリア全体の魅力・

付加価値のさらなる向上

第3期事業の基本的視点 ○200を超える研究機関の集積 ○優れたものづくり中小企業の集積 ○新川崎・創造のもりでのこれまでの成果 市内産業の特徴・強み 本市 も の づ く り 企 業 の振 興 に 向 け て

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第1期事業 K2タウンキャンパス 新川崎・創造のもり地区 第2期事業 かわさき新産業創造センター 第3期事業地区 本基本計画対象エリア(約1.8ha) さいわいふるさと公園 第1期事業 K2タウンキャンパス 新川崎・創造のもり地区 第2期事業 かわさき新産業創造センター 第3期事業地区 本基本計画対象エリア(約1.8ha) さいわいふるさと公園 2 段階的整備手法の導入 本計画で検討する拠点の整備については、事業実施のスピードや初期投資費用の 軽減を図る観点から、段階的整備の手法を導入します。 (1) ゾーニングのイメージ 市内産業の振興を牽引するゾーンを第1段階として整備します。 また、学際・異業種の融合を促進するため先端産業の立地を図るゾーンを第2 段階とします。 段階的な整備を実施することにより、第1段階で整備する施設において、事業 の成果を創出・蓄積し、先端研究エリアとしての新川崎・創造のもりの魅力とポ テンシャルを更に向上させることを目指します。これにより、創造のもりへの先 端産業分野の事業者の進出意欲を促進するなど、創造のもり全体を総括する位置 づけとなる第2段階事業の実施を後押しし、より充実したものとする効果が期待 されます。 また、市内では、新川崎・創造のもり事業と並行して、臨海部の殿町3丁目地 区において、ライフサイエンス分野・環境分野の研究開発拠点とインキュベーシ ョン機能の整備が進められています。将来的には、この臨海部の殿町3丁目地区 を中核として形成を図るライフサイエンス、環境分野の国際拠点と新川崎・創造 のもり地区との連携を図りつつ、市内企業のものづくり技術の高度化やイノベー ションの推進を目指します。 (2) 第1段階に導入すべき機能 第1段階の市内産業の振興を牽引するゾーンについては、市内企業と大学等と の共同研究を推進する機能、市内企業が最先端の研究開発機器を共同利用するこ とができる機能、市内企業に大学等の有する知識・技術等を供与する機能の、3 つの機能を有する産学官共同研究施設の整備を行います。 第1段階 第2段階 市内産業 振興ゾーン 先端産業 立地促進ゾーン

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○産学官共同研究推進機能 新川崎・創造のもり周辺には、精密加工や表面処理など優れたものづくり技術 を有する中小・中堅企業が多数集積するとともに、市内には先端的な産学官共 同研究を担う施設として開設したK2タウンキャンパスや、KAST、KSP をはじめ、多数の研究機関等が立地しています。 K2タウンキャンパスでは、開設以来、継続的に多数のプロジェクトが実施さ れているとともに、KBICにおいても、高い入居率を維持しているなど、新 川崎・創造のもりエリアでの研究活動スペースへの高いニーズが伺えます。 また、4大学コンソーシアムと川崎市は、ナノ・マイクロテクノロジーに関す る研究・教育活動における協力と共同研究・人材育成、研究成果移転などでの 連携に関する基本合意の締結を行い、平成 21 年度からKBICに活動拠点を 設置し、ナノ化学・ナノ光科学・MEMS/NEMS・ナノバイオなどの分野 に関する先端的な研究機器を導入しての研究活動を開始しています。 こうした市域の特徴・強みを活かし、今後の国際競争力の源泉となる新たな技 術・産業を創出することによる市内産業の振興を実現するため、ものづくり企 業や研究機関等が集う共同研究の場の提供や、各主体を繋ぐコーディネート支 援等を実施し、産学官の共同研究の推進を目指します。 <計画事業> ・連携コーディネーターの配置 ・共同研究相談窓口の設置・広報 ・共同研究スペースの提供 ○研究機器共用機能 次世代のものづくり技術で要求される最先端の加工機器や計測機器は、数億円 規模の高額なものが多く、個々の企業では所有が難しい状況です。 一方、新川崎創造のもりにおいては、(独)科学技術振興機構の地域産学官共 同研究拠点整備事業により、地域での共用を目的としたナノ・マイクロ領域の 先端研究機器が平成 22 年度中に整備されるほか、4大学コンソーシアムの有 する研究機器も地域への開放を予定しているところです。 こうしたことから、新たに整備される施設においては、ナノ・マイクロテクノ ロジーの研究開発から試作・加工、計測・評価までの一貫ラインを形成できる クリーンルームを設置し、ナノ・マイクロ領域の加工や計測が可能な先端機器 を共同利用に供することにより、市内の多くのものづくり企業に次世代のもの づくり技術習得の機会を提供することを目指します。 <計画事業> ・共用機器の利用広報(機器の種類、用途等) ・共用機器の利用システムの構築 ・共用機器の利用指導事業

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金型 電子部品・ デバイス実装 粉末冶金 高機能 化学合成 プラスチック 成形加工 めっき 部材の結合 動力伝達 位置決め 鋳造 切削加工 鍛造 金属 プレス加工 熱処理 真空の 維持 発酵 溶接 溶射 織染加工 組込み ソフトウェア 特定ものづくり基盤技術(20技術) ○ものづくり技術高度化支援機能 川崎市内、及び東京都大田区を始めとする川崎市内周辺には、これまでの我が 国経済の成長を支えた我が国を代表する優れたものづくり技術を有する企業 が多数集積しています。しかし、近年は、中国を始めとする海外の拠点で製造 される安価な製品が国内外の市場を席巻し、我が国のものづくり企業を取り巻 く状況は大変厳しいものとなっています。引き続き我が国のものづくり企業が 海外との高い競争性を維持するためには、高い技術力を活かした高付加価値の 製品の製造に注力することが重要です。 このため、新たに整備される施設においては、中小・中堅企業の技術力の底上 げと産業構造の転換への対応、新技術の習得、製品の高付加価値化、新事業・ 新製品の開発の支援を目指します。特に、環境・エネルギー分野やライフサイ エンス分野等の成長分野を始め、幅広い産業での今後の基盤技術となるナノ・ マイクロ領域の微小・精密なものづくり技術の習得の支援を目指します。また、 ファウンダリー・サービスを実施し、中小企業の試作品の製造を支援します。 さらに、産業界への教育機能に止まらず、日常的な見学の受入れや展示・広報 を始め、オープンラボ等の開催を通じ、子どもたちに分かりやすく最先端の科 学技術を伝える取組を実践します。 <計画事業> ・講習や実習等の企業の技術レベルに応じたセミナーの開催 ・技術支援コーディネーターの配置 ・中小企業等技術相談窓口の設置 ・ファウンダリー・サービス(受託製造) 3 企業における基盤技術の高度化 我が国の製造業の国際競争力は、ものづくり基盤技術をもった中小企業に支えられ ていますが、持続的な発展を続けていくには、ものづくり中小企業が時代のニーズに 即した高度技術をマスターし、研究開発を進めていくことが必要です。 こうしたことを背景に、国で は平成 18 年 4 月に「中小企業 のものづくり基盤技術の高度 化に関する法律」を制定し、同 法に基づく指針(平成 19 年策 定、平成 21 年改正)において、 特定ものづくり技術として 20 技術が指定しました。 特 定 も の づ く り 技 術 と は 、 「当該技術を用いて行う事業 活動の相当部分が中小事業者

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によって行なわれるものであって、中小企業者がその高度化を図ることが我が国製造 業の国際競争力の強化又は新たな事業創出に特に資するもの」とされていますが、金 型、電子部品・デバイスの実装、プラスチック成形加工、めっきなど、大半の技術は、 ナノ・マイクロテクノロジーとの関連性が非常に高いものとなっています。 今回計画する施設により、4 大学コンソーシアムの知見を活用した産学共同研究・ 共同利用拠点として、地域の企業は、施設に設置する最先端の高価な設備・機器を利 用できるようになり、「試作・加工」∼「組立・実装」∼「計測・分析」といった一 連のファブリケーション作業がワンストップで行うことができるようになります。 また、最近の最終工業製品は、高機能化、小型化、省エネ化が進んできていますが、 こうした市場ニーズに対応した高度な基盤技術を振興する拠点を目指します。 地域の企業にとっては、研究開発期間の短縮や研究開発費の低減、大学の知見活用 により、新製品開発や新分野進出が容易になること等が期待できます。 中小企業庁 HP より引用

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例えば、市内で金型技術を得意とする中小企業では、燃料電池や情報家電の分野 で求められる高精度化・微細化に対応した金型・成形技術の向上を図る上で、大学 との連携によって効率的な研究開発が見込まれます。(微細加工技術、高精度計測 技術、表面処理技術など) また、プラスチック成形加工の分野では、プラスチック成形にDVD表面や半導 体製造技術を応用して、ナノレベルの構造の造型技術や、樹脂成形表面に1μm 以 下の微細な 2 次加工を可能とする材料技術や表面エッチング技術などにより、新た な機能をもったプラスチックの成形が期待できます。 更に、電子部品・デバイスの実装分野では、MEMS実装技術に対応して、スタ ンパ型電鋳技術や貫通電極形成技術の研究開発が実施でき、光電気実装対応では、 光デバイス等の光部品技術や組立治具・装置の研究開発が可能です。 こうしたことを通じて、最近の最終工業製品の高機能化、小型化、省エネ化を支 える中小企業の高度な基盤技術を振興し、研究開発都市として、市場ニーズに対応 した産業育成を実施します。 【ナノ・マイクロ産学官共同研究施設での企業支援のイメージ】 ナノ・マイクロ産学官共同研究施設 市内ものづくり企業 4大学コンソーシアム 【主な研究領域】 ○ナノフォトニクス ○NEMS/MEMS ○マイクロ・ナノ化学 ○ナノ計測 等 クリーンルーム内 先端研究開発機器 機器利用 技術供与 共同研究 ○金属・機械加工業 ○電子・情報機器製造業 ○情報通信、環境、ライフ サイエンス分野製造業等 入居企業 共同研究 技術供与 機器利用 国内の研究機関 ○大学 慶應義塾大学 早稲田大学 東京工業大学 東京大学 等 ○公設研究機関 (独)物質・材料研究機構 神奈川科学技術アカデミー 等 ○民間企業研究所 連携・協力

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1 基本方針 市内産業の振興を牽引する第1段階施設として整備する、クリーンルームを備え たナノ・マイクロ産学官共同研究施設の整備は、本市が行います。また、クリーン ルーム内に設置するナノ・マイクロ関連の主要研究開発機器については、4大学コ ンソーシアムが有する先端機器を導入し、機器の管理・運営等は、4大学コンソー シアムとの連携・協力により行います。 本市が整備する施設計画にあたっての基本的方針は次の4つです。 ○新川崎・創造のもり計画に則った、K2タウンキャンパス、KBIC、さいわ いふるさと公園、近隣地区との環境親和性への配慮 ○将来の研究開発動向を見据えた先進性、拡張性への配慮 ○安全・安心に配慮した防災・セキュリティ対策の実施 ○イニシャルコスト及びランニングコストを検討し、施設のライフサイクル全体 のコストの考慮 (1) 設備計画 ア 電気設備計画 ○ 基本方針 ・24 時間稼動が想定されるクリーンルームおよび実験室エリアと、その他 エリアを分けた計画とします。 ・各研究内容の変更、将来の容量増設対応などを考慮した計画とします。 ・各施設に安定した電力供給が可能なシステムとします。 ○ フレキシビリティへの対応 ・各研究テーマの変更に伴う電源要求に柔軟に対応できる計画とします。 ・変圧器など将来増設スペースを見込んだ計画とします。 ・予備、もしくは増設対応の幹線ケーブルルートを確保します。 ・研究室内の照明は器具の位置変更やコンセントの取付けが容易なレース ウェイ方式とします。 ○ 管理その他 ・雷サージ対策を行い機器の損傷を防止します。 ・研究室、クリーンルーム毎に電力量他の計量を行い精算できるシステムと します。 イ 通信設備計画 ○ 基本方針 ・各研究室、クリーンルーム単位で情報通信が出来る計画とします。 ・クリーンルームおよび実験室エリアと、その他エリアの系統を分離した計

Ⅳ.第 1 段階施設の基本的方向性

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画が可能なシステムとします。 ・各研究内容の変更、将来の増設対応などを考慮した計画とします。 ○ フレキシビリティへの対応 ・研究テーマ変更に伴う各種通信の要求に柔軟に対応できる計画とします。 ・NTT 等通信ケーブル(メタル、光)を各室に引き込める計画とします。 ・予備、もしくは増設対応のケーブルルートを確保します。 ○ 管理その他 ・KBIC との連携が可能なシステムとします。 ・管理室、クリーンルーム、会議室等の施設間の連絡を容易にするよう配慮 します。 ウ 給排水衛生設備計画 ○ 基本方針 ・機器故障時のバックアップを考慮します。 ・給水の汚染に配慮した適正な器具、安全装置等を設けます。 ○ フレキシビリティへの対応 ・給水ポイントを設定し、取り出し以降の使用箇所変更に柔軟に対応でき る計画とします。加えて予備、もしくは増設対応の給排水ポイントを想定 し計画します。 ○ 管理その他 ・給水ポイントは研究室単位で適正に配置します。 ・研究室、クリーンルーム毎に使用水量の計量を行い、精算できるシステム とします。 エ 空気調和設備計画 ○ 基本方針 ・クリーンルーム、一般諸室等の空調要求に応じて系統を区分します。 ・個別空調システムとし、要求される環境に対応した計画とします。 ○ フレキシビリティへの対応 ・予備、もしくは増設対応の空調機を想定し、室外機置場等を整備します。 ・研究内容により異なる室温設定に対応するため、系統分割もしくは冷暖同 時を考慮した機器選定を行います。 ○ 管理その他 ・省エネルギーに寄与できるシステムの導入を検討し、エネルギーコストの 低減を図ります。 ・研究室、クリーンルーム毎にエネルギー(電力メーター)の計量を行い、 精算できるシステムとします。 オ クリーンルーム設備計画 ○ 基本方針 ・運転時間等が異なるため、単独にて空調システムを構築します。

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・各清浄度に適応した空調方式とフィルターの選定を行う計画とします。 ・想定される特殊排気等を配慮した計画とします。 ・使用される薬品等に対する中和処理設備、廃棄処理用スペース等を適宜計 画します。 ○ フレキシビリティへの対応 ・天井をモジュール化し、フィルターユニット(FFU)を増減させた対応を 図ることで、空気清浄度の変更が可能なシステムとします。 ・特殊排気、特殊排水等の位置はモジュール化により適正に配置します。 ○ 管理その他 ・省エネルギーに寄与できるシステムの導入を検討し、エネルギーコストの 低減を図ります。 ・クリーンルーム毎にエネルギー(電力量)の計量を行い、精算できるシス テムとします。 (2) 防災・セキュリティ計画 ア 防災設備計画 ○ 基本方針 ・防災計画の基本である人命の安全と財産の保護を優先させます。 ・建築基準法・消防法など各種法令を遵守し、安全性に十分配慮した計画と します。 ○ 火災対策 ・出火、初期火災拡大防止に努め、内装の不燃化と適正な消火設備の計画を 行います。 ・特殊薬品等の適正な保管場所を設け、適正な区画と消火設備の計画を行い ます。 ・延焼防止の観点から防火区画の適正な計画を行います。 ○ 地震対策 ・地震による2次的災害が起きないよう、設備機器の耐震化や固定方法など の検討を行います。 ・建物の使用継続に対する検討を行い、計画実施の採否を決定します。 イ セキュリティ計画 ○ 基本方針 ・研究開発施設のため、原則 24 時間対応のセキュリティとします。 ・入居する使用者に応じたセキュリティレベルの計画とします。 ・通信設備におけるセキュリティも同様の計画で検討します。 ○ 具体的手法 ・施設への入退出者の確認の容易さを考慮した計画とします。 ・夜間、休日等の入退出システムの構築を行います。

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・通信設備におけるセキュリティの構築と検討を行います。 2 施設規模 前述の段階的整備手法の導入方針を踏まえ、第1段階施設で必要となる諸室の構成 及び諸室の機能は次のとおりです。 (1) クリーンルーム 試作・加工から、計測・評価までを行う一貫ラインを構築できる程度の広さのク リーンルームが必要となります。 ◆規模設定 本施設に導入予定の4大学コンソーシアムの保有する先端機器で一貫ラインを 形成するために必要な床面積は、約 500 ㎡です。加えて、民間企業等が独自に利 用するスペースの確保も必要なことから、当初は合計 750 ㎡のクリーンルームを 整備します。当面は、このスペースを活用し、研究分野・対象技術を絞り込むこ とにより、早期に実施効果を発現することを目指します。 研究プロジェクト等の進展や、第2段階事業の進行に連動し、クリーンルームの 必要スペースも増加することが予想されます。将来的には、試作・加工、組立・ 実装、計測・分析といった一連のファブリケーション作業のラインを複数設置す ることを目指し、1300 ㎡程度への拡張が可能な設計を行います。 ◆清浄度(クラス)設定 クリーンルームの清浄度2(クラス)の設定は、研究対象により変わりますが、 本施設の利用者は、ナノ・マイクロテクノロジーをこれから学ぶ利用者、外部か らの短期利用者も多く想定されることから、クラス 10,000 を基本として、一部 をクラス 100 の環境を整える方式とします。 また、共用機器を多数配置した場合の清浄度の維持や将来的な拡張性を考慮した 設計が望ましいと考えられます。 ◆微振動・静電気・磁場対策 鉄道軌道が近いため、建築物による振動対策が必要です。また、導入する機器に より、防振架台で支える等の設備機器の振動に対する配慮も必要です。静電気対 策としては、導電性のある建材を使い、接地極を設けることも必要です。また、 磁場対策については、導入する機器により、一部クリーンルーム壁をシールドす る必要があります。 ◆付帯エリア クリーンルーム付帯エリアとして、人や物の出入口となる前室があり、エアシャ ワー、パスボックスを備え、更衣室や試薬室を併設します。

2 クリーンルームの清浄度を示すクラス表示は複数あるが、ここでは、「FED−STD−209D(米国 連邦規格 1988 年)」を用いる。0.5μm以上粒子を基準とし、立法フィート中の粒子数を表示 するもので、表示方法は、「クラス 100」、「クラス 1,000」等。

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(2) バックヤード バックヤードには、電気設備、発電機設備、空調設備、給排水設備、消火設備な どの建物全体に対する設備諸室のほか、クリーンルーム運用のために排水処理設備、 ガス設備、排気設備などのユーティリティスペース、廃棄物置場などが必要です。 (3) 研究居室 クリーンルームを利用した長期の研究活動など、施設を長期利用する大学の研究 室や企業が入居する研究居室が必要です。研究居室の仕様は、隣接するKBICの 仕様を基本とし、大型の実験機器の設置に対応した機器搬入や耐荷重性能に配慮し たものとすることが必要です。 また、クリーンルームに隣接する研究室については、将来的なクリーンルームの 拡張を念頭に、クリーンルームへの転換が可能な仕様とすることが必要です。 さらに、本施設は、産学官の共同研究の拠点として、1∼2週間から数か月程度 の短期利用も多いと想定されることから、短期利用者向けの滞在スペースとしてビ ジタールームが必要です。 (4) 共用機能 ◆会議室 現在、新川崎・創造のもり内の会議室は、「K2(ケイスクエア)タウンキャンパ ス」のK2ハウスに2室(80 ㎡+70 ㎡)とKBICに1室(50 ㎡)のみのため十 分ではありません。本施設は、共同研究を行う場所であり、打ち合わせや会議の 回数は多いと予想されるため、少人数での打ち合わせから大人数の会議にまで柔 軟に対応する会議スペースを備えることが必要です。 ◆展示スペース ナノ・マイクロテクノロジーについて、これから参入を検討している中小企業を 始め、市民や子どもにわかりやすく紹介する場所として、また研究開発で利用し た企業や研究者が、開発品をPRする場としての展示スペースが必要です。 ◆見学スペース 企業や市民等の外部からの見学者が、ナノ・マイクロテクノロジーの最先端の研 究機器を用いた研究活動に触れることができるよう、クリーンルーム内を間近で 見学できるスペースが必要です。 (5) 事務系居室 本施設の管理を行う総務部門、クリーンルーム内機器の使用説明や試作・加工・ 計測・評価のサポート、ファウンダリー・サービスを行う研究支援部門、中小企業 と大学等との連携を支援するコーディネート部門が必要となります。 ◆想定諸室 管理事務室、警備室等

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【施設規模】 室名 面積(㎡) 室内容 (1) クリーン ルーム クリーンルーム 750 クラス 10,000(一部 100) 付帯 エリア クリーンルーム前室 150 エアシャワー、パスボックス、 更衣室等 (2) バック ヤード ユーティリティ、リターン チャンバー・空調機械室 600∼ 1,000 排気排水処理・ガス供給等の空 調機械室、機材倉庫等 (3) 研究居室 実験室 800 200 ㎡×4室程度 ※将来的にクリーンルーム転換が可 能な仕様 ビジタールーム 30 15 ㎡×2室程度 産学連携研究室 1,000 50 ㎡×20 室程度 会議室 100 50 ㎡×2室程度 (4) 共用機能 広報スペース 50 見学スペース 50 クリーンルーム見学スペース その他(ホール、廊下、 EV、階段、トイレ等) 600∼ 1,000 (5) 事務系 居室 管理事務室 100 総務、PR・プロモート・企画 コーディネート 管理室等 100 クリーンルーム用管理室等 合 計 4,330∼ 5,130

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1 建物概要 用途地域:準工業地域 建ぺい率: 50% 容 積 率:300% 敷地面積:約8,800㎡ 概算延床:4,330∼5,130㎡ 構造規模:RC造、SRC造 緑化面積:地区計画による緑化率25%を確保 インフラ 電 気 東京電力 ガ ス 東京ガス (東側前面道路 平成 23 年度供用開始予定) 上水道 川崎市上下水道局 (東側前面道路 平成 23 年度供用開始予定) 下水道 川崎市上下水道局 (東側前面道路 平成 23 年度供用開始予定) 通 信 NTT東日本 (東側前面道路 平成 23 年度供用開始予定) 交 通 鉄 道 JR横須賀線・湘南新宿ライン 新川崎駅 徒歩約15分 JR南武線 鹿島田駅、矢向駅 徒歩約20分 バ ス 市営バス 杉山神社入口 徒歩約 3分 自動車 国道409号 下平間交差点 約1.5km

Ⅴ.第 1 段階施設の施設計画

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2 配置計画(案)

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本施設は、市内ものづくり企業の研究開発力・技術力の向上、産学連携による研究 成果の産業化等に資するよう、地域産業界のニーズに応じた「きめ細かい質の高いサ ービスの実現」をめざします。 また、「総事業費の縮減」との両立を実現するため、「建設」及び「運営」の両面に 関して、民間活力を活用した事業手法について検討を行い、建設主体については川崎 市、運営については指定管理者制度の導入により実施します。 1 施設建設の主体 =川崎市が建設 本施設の建設主体については、大別すると「市が直接発注する場合」と「PFIや PPP等の民間が建設する場合」の2とおりが考えられます。本施設は、今後の市内 産業振興の拠点となる施設であり、大学等での研究成果を産業化に繋げ、早期に効果 の発現を図るため、迅速な施設の整備が求められます。 こうした施設の特徴を踏まえ、①迅速性、②事業のライフサイクル全体での負担額、 ③建設後の事業運営の柔軟性等の観点で比較検討を行った結果、本施設については、 迅速な整備が可能であり、国の補助・交付金等の導入も可能となる、市が、建設主体 として整備します。 2 管理運営の主体 =川崎市が指定管理者制度を活用して運営 本施設は、前項のとおり、川崎市が建設し、公の施設として位置づけます。公の施 設の管理運営主体について、「川崎市が直営で行う場合」と「指定管理者制度導入に より民間による場合」について、①経済性、②専門性(サービスの質)、③既存施策 との整合性について比較検討を行いました。 本施設では、運営コスト縮減等の経済性、経営、技術開発、産学連携コーディネー ト等の専門性、及び既存のKBIC事業との整合性の点で、指定管理者制度による民 間事業者による運営が合理的であることから、指定管理者制度を活用します。 3 ファブリケーション機器・設備の運営 =指定管理者のもと4大学コンソーシアムが運営 産業振興の拠点として、本施設の最大の特徴は、一般開放される大規模クリーンル ームとその内部に設置予定のファブリケーション設備を通じて、地域ものづくり企業 の研究開発の促進や基盤技術の高度化が図られることです。 その1つ核となるファブリケーション設備(最先端加工設備、計測機器など)につ いては、文部科学省の補助等により、独立行政法人科学技術振興機構(JST)や4

Ⅵ.管理運営の考え方

参照

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(うち本格始動地区 20~30 平方キロメートル)、中期発展区域面積は 200 平方キロ メートル、長期コントロール面積は 1770

2.変更理由

区分別用途 提出の有無 ア 第一区分が半分を超える 第一区分が半分を超える 不要です イ 第一区分が半分を超える 第二区分が半分以上 提出できます

重点 再掲

表4 区市町村 千代田区 中央区 港区 新宿区 文京区 台東区 墨田区 江東区 品川区 目黒区 大田区 世田谷区 渋谷区 中野区 杉並区 豊島区 北区 荒川区 板橋区 練馬区

東京都北区大規模建築物の 廃棄物保管場所等の設置基準 38ページ51ページ38ページ 北区居住環境整備指導要綱 第15条.. 北区居住環境整備指導要綱 第15条 37ページ37ページ

疎開先所在地 勢多郡大胡町 群馬郡総社村 群馬郡総社村 勢多郡黒保根村 勢多郡富士見村 群馬郡古巻村 群馬郡古巻村 勢多郡北橘村

原子炉建屋 高圧炉心注水系ポンプ 原子炉区域・タービン区域送排風機 原子炉建屋 残留熱除去系ポンプ 原子炉区域・タービン区域送排風機

中央区 港区 新宿区 文京区 台東区 墨田区 江東区 品川区 目黒区 大田区 世田谷区 渋谷区 中野区 杉並区 豊島区 北区 荒川区 板橋区

用途 ケーブル本数 建屋 フロア 区分 影響区分.

3点目は、今回、多摩川の内水氾濫等で、区部にも世田谷区も含めて水害の被害がありま

麻生区 キディ百合丘 ・川崎 宮前区 クロスハート宮前 ・川崎 高津区 キディ二子 ・川崎 中原区 キディ元住吉 ・川崎 幸区

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その上で、第一地区、第二地区、第三地区とあるなか、今回の第一地区がその3つの地

年齢別にみると、18~29 歳では「子育て家庭への経済的な支援」が 32.7%で最も高い割合となった。ま た、 「子どもたち向けの外遊びや自然にふれあえる場の提供」は

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年度 開催回 開催日時 テーマ. もえつきを防ぐ問題解決の思考法