青年期女子における自己関係づけに関する研究 : 自己関係づけの類型化とTATによる質的アプローチ : [修士論文要旨]
著者 森 みなみ
雑誌名 鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要
号 9
ページ 28‑29
発行年 2014‑03‑31
URL http://id.nii.ac.jp/1116/00000339/
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〔 修士論文要 旨〕
問題 と 目的
自己関係 づ け とは ,他 者 の何 気 ない仕 草や行 動 が 自分 に向 け られ た t)の で あ る と感 じ , 自分 に関 係 づ けて被 害 的 に判 断す る傾 向 と定義 され てい る (金 子 ,2000)。 こ うした 自己 関係 づ け を扱 う先行 研 究 の ほ とん どは 自己関係 づ け尺度 (金 子 ,2000) を用 いた量 的研 究 で あ るが ,何 れ の研 究 も 自己関 係 づ けの抽 出力 に課 題 を抱 えてい る と言 え る。
例 えば ,既 存 の 自己 関係 づ け尺度 で は ,「 い つ も一緒 にい る友 人 か ら誘 わ なか つた とき , 自分 は 嫌 われ て い るのではないか と思 う」 とい う項 目が
,どの程 度 当て は ま るか "の 5件 法 で測 定 され て お り ,何 を基 準 に 当て は ま る "と す るかが 回答
者 間で異 な る こ とが予想 され る。 こ うした沢 1定 の ば らつ きを抑 え るた めに も ,本 研 究 では , 自己関 係 づ けを よ り多角的 に測 定 し類 型 化 を図 る ことで
,自己関係 づ け体 験 を従 来 よ りも詳 細 に捉 え る こ と を第 1の 目的 とす る。
一 方 , 自己関係 づ けは , 自動 思 考す なわ ち 自分 の意思 とは関係 な く意識 に上 が る ものの一つ に数 え られ て い る た め (大 野 ,2003), 自己 関係 づ け
そ の もの を尺度 に よつて抽 出す る こ とは困難 で あ る と言 え る。 本研 究 で は抽 出 の際 , 自己関係 づ け が女性 同士 の友 人 関係 にお い て生 じやす い (金 子
,2000)こ とを踏 ま え ,女 性 同士 の葛 藤 に対 す る通 常 は意識 され得 ない現 実 的 で具体 的 な態度 を反 映 しや す い TATの カー ド 9GF[2人 の女性 の葛 藤 を思 わせ る場 面 が描 かれ た もの ](安 香・ 藤 田 ,1997) を用 い る こ とで , 自己関係 づ けの各 類型 に特 徴 的 な 関係 の認 矢目す なわ ち 他 者 を 自分 に ど う関係 づ け るのか "に つ いて検討す る。 また , 自己関係 づ けは抑 うつ等 ,不 適 応 に繋 が りや す い変数 との 関 連 が指 摘 され て い る一 方 で (金 子 。本 城 。高村
,2003),青 年 期 にお い て体験 され や す い青 年 期 心 性 と も言 われ て い る (金 子 ,2000)。 この こ とか ら , 自己関係 づ けが生 じた後 の対処 がそ の後 の心 の 状 態 を左 右 す る可能 性 は高 く ,TATで は物 語 の構 成 面 に葛 藤 へ の対 処 の仕 方 を反 映 しや す い
青年期女子 にお ける 自己 関係づ けに関す る研 究
― 自己関係 づ けの類 型 化 と TA´ 「 に よる質 的 アプ ロー チ ー
森 み な み
(若 本 ,2004)と 言 われ てい る。 そ のた め ,本 研
究では 自己関係 づ けの各類型 に特徴的な関係 の認 知 に加 え ,葛 藤 への対処 につ いて も検討す るこ と を第 2の 目的 とす る。
方法
2012年 8月 ,心 理 臨床相談セ ンター にて ,質 問
紙調査 と面接調査 を実施 したの 自己関係 づ けの体 験 率 が最 も高 い のが青 年 期 女 子 で あ る こ とや
,TATが もつ侵 襲性 に配 慮 し ,調 査 は臨床 心理 学
専攻 の女子大学院生 14名 に対 して行 つた。
質問紙調査 第 1の 目的 に対応 し ,「 自己関係 づ け尺度 (金 子 ,2000)」 は項 目のみ を使 用 し
,洪 1定 方 法 と して 「妄 想 的観 念 多次 元 尺度 (森 本
,2005)Jを 援 用す る ことで , 自己関係 づ け体験 を 計 7次 元 (頻 度 。抵 抗感 。違 和感・ 確信 度・ 訂 正 不能性 。中断不能性・証拠探 し )か ら演 1定 した。
面接調査 第 2の 目的 に対応 し ,TAT物 語 の作
成 を求 めた後 ,物 語 の主人公 に語 り手 の 自己が投 映 されや す い (赤 塚 ,2008)こ とを踏 まえ ,主 人 公 を確認後 ,そ の主人公か らみた 自分 と他 の人物 との関係 【主人公 (本 の上の人 )は 他 の人物 (走 る 人 と導入人物 )の ことを ど う思 つてい るか ,主 人
公 (本 の上 の人 )は 他 の人物 (走 る人 と導入 人物 )か らどう思われていると感 じてい るか】を問 う追加 質問 を実施 し , これ らへの回答 を関係の認知の分 析対象 とした。一方 ,葛 藤 への対処 については
,物語 の構成面や追加質 問へ の回答 といつた調査全 体へ の取 り組 み方 を もとに分析 した。
結果 と考察 自己関係 づ けの類型化
第 1の 目的 に対応 し ,計 7次 元 (頻 度 ,抵 抗感
,違和感 ,確 信度 ,訂 正 不能性 ,中 断不能性 ,証 拠
探 し)か ら測 定 した 自己関係 づ け体 験 を Ward法
に よるクラス タ分析 にて3群 (1群 3名 , Ⅱ群 5名
,Ⅲ群 5名 )に 分類 し ,各 群 の特徴 を探 るた めに
,一元配置の分散分析 を実施 した。その結果 ,群 間
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に有意差 がみ られ たのは 「抵抗感 」 ,「 違和感 」
,「中断不能性 Jの 3次 元 のみ であつた。 これ は
,自己関係 づ け (被 害観 念 )に は 当3次 元が関係す る と した先 行研 究 (森 本・ 丹野 ,2004)と 一 致す る 結 果 で あ つ た。 次 に ,3群 間 の 比 較 の た め に Tukeyの HSD法 にて多重比較 を行 つた結果 ,「 抵 抗感 J,「 違和感 」 は共 に ,Ⅲ 群 が I, Ⅱ群 に比 し て ,「 中断不能性 」 は Ⅱ ,Ⅲ 群 が I群 に比 してそ
れぞれ 有意に高い ことが示 され た。 これ に よ り
,本研 究では , I群 を 「苦悩 ―中断不能感 両低群」
,Ⅱ群 を 「低苦悩 一高中断不能感群」 ,Ⅲ 群 を 「苦 悩 ―中断不能感 両高群」 と命名 した。
TAT反 応 にみ る各類型の関係の認知 と対処 第 2の 日的に対応 し ,第 1の 目的で明 らか となつ た 自己関係 づ けの各類型 にみ られ る TATの 関係 の認知 と葛藤への対処 について検討 した。
苦悩 一中断不能感両低群 (3名 )当 群 に共通 し てみ られ た関係 の認知の特徴は ,【 主人公 (本 の上 の人 )は ,走 る人 の こ とを ど う思 つてい るか】ヘ の回答が 「 (走 る人が 自分 を )頼 って くれてい るか ら ,妹 みたいな人」や 「みんなが迷惑 してる人
Jとい うよ うに ,そ の内容が主人公単独 の思いでは な く ,他 者 に帰属 されていた点 であった cこ の点 か ら ,受 け入れ がたい 自分 の感情 を他者 に外在化 す る (馬 場 ,2000)投 影 や 投影 同一視 が生 じて い る可能性 が考 え られ る。 一方 ,物 語 の構成 を見て も ,当 群 の物語 は ,片 口(1987)が 述べ る作話結 合反応や 作話反応 に近い展 開をみせ ていた。「 (主
人公 と走 る人 が )昔 か ら一緒 に遊 んでいたか ら
,今男の人 に会 いに行 つてい る Jと いつた非論理的 な内容や ,「 走 る人 は 自分 が 一番 にな りたい と思 う気持 ちを とて も持 ってい る」 とい う形 で走 る人 を終始一貫 して こき下す といつた ところが これ に 当た り ,本 来 2女 性 間の葛藤 が語 られやすい といつ たカー ドの特徴があるにも関わ らず ,当 群の物語 はカー ドとの整合性 が損 なわれていた。 こ うした ところか ら ,当 群 の調査時にお ける心的機 能 の低 さが窺われ ,先 の関係 の認知 と併せてみて も ,当
群 は女性友人 との葛藤 に際 し ,原 始的防衛機制す
なわ ち投影 同一視や分裂 と思 しきものを用いるこ とで葛藤 を否認す るといつた特徴 をもつ ことが推 察 され る。
低 苦悩 一高 中断不能感群 (5名 )当 群 に共通 し
てみ られ た関係 の認知 は ,【 主人公 (本 の 上の人
)は走 る人か らど う思われていると感 じているか】
に対 して 「自分に対す る怒 りがす ごいんだろ うな
J青年期 女子にお ける「1己関係 づ けに関す る研 究