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「救急医療における虚血性脳卒中の早期検出を目的とした

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(1)

学位論文

「救急医療における虚血性脳卒中の早期検出を目的とした X線CT診断支援法の研究」

指導教授名 武 申請者氏名 原

(2)

著者の宣言

本学位論文は、著者の責任において実験を遂行し、得られた真実の結果に 基づいて正確に作成したものに相違ないことをここに宣言する。

-ⅱ-

(3)

要旨

わが国における死亡率の推移を死亡別にみると, 「がん,心臓病,脳血管疾患」が上位を占 めていたが,近年,肺炎の増加に伴い脳血管疾患の死亡率は第 4 位となった.脳血管疾患の 中でも,食生活の欧米化に伴い,脳梗塞が急激に増加し問題とされている.脳血管疾患の死 亡率は世界的に減少傾向にあるが,有病率は高く,後遺症の問題もあり,今日でも重要な疾 患である.急性期脳梗塞は,救急搬送初期の X 線 CT による診断が難しいとされ,24 時間体 制の救急 MRI 検査が不可欠となってきている.しかし,臨床の場では,このような対応がで きる病院は 1 部に限られている.現在,薬事承認されたアルテプラーゼ(t‐PA)使用による 血栓溶解療法の適応時期は, 「脳梗塞発症後 4.5 時間以内に静脈投与」と脳卒中学会等のガイ ドライン上に示され,脳梗塞の治療は時間との闘いと言える.

本研究では,最初に脳血管疾患に対して行われる X 線 CT 検査で,急性期脳梗塞の検出を可 能とする撮像手法について,①脳梗塞を模擬した診断能評価用・円筒及び人体ファントムの 開発,②既存の X 線 CT 装置による疾患検出の可能性,③Dual-energy CT 装置による脳梗塞 部検出の試み,④X 線 CT の頭部被ばく線量測定,以上の 4 点を重点的に検討した.

① 脳梗塞を模擬した診断能評価用・円筒及び人体ファントムの開発:円筒ファントムは,

一般に使用されるアクリルや水ファントムと比較して,より人体を反映した脳実質,模 擬病変及び頭蓋骨を有し,それらに対応する密度・CT 値を持つ構成とした.円筒の直 径は 160mm とし,脳梗塞を模擬した CT 値 32HU,34HU の 2,3,5,7,10mm 球を内部に 配置し,円筒の外側に 10mm の頭蓋骨部を有する形状とした.人体頭部ファントムは,

脳実質や脳梗塞の密度を正確に反映し,頭部形状を精巧に反映したものである.

② 既存の X 線 CT 装置による疾患検出の可能性:CT 装置(Aquillion;東芝)を用い,先 に開発したファントムに対して最適な撮影条件の検討を行った.管電圧 80,100,120, 及び 135kV,管電流時間積 100 から 900mAs まで 50 ステップ,スライス厚 4,8,16mm にて実験を行った.画像評価法として Contrast-to-noise ratio(CNR)を用い,CNR 値 1.0 以上で疾患の検出が可能であると定義した.結果,管電圧 100kV 以上,管電流 時間積 600mAs 以上,スライス厚 8mm 以上で,病変の検出が可能であった.

③ Dual-energy CT装置による脳梗塞部検出の試み:脳梗塞の検出には,コントラストのさ らなる増強が必要であるため,昨今,臨床現場に登場したDual-energy CTによる検出を 試みた.CT装置(SOMATOM Definition Flash;SIEMENS)を用い,管電圧 80kV/Sn140kV,

100kV/Sn140kV,及び140kV/80kV,管電流時間積 400,600,及び800mAsにて撮影を行い,

Virtual Monochromatic Image(VMI;仮想的に単色エネルギーの画像を生成)を作成し,

CNRを用い画像評価を行った.VMI上,80kV/Sn140kV,100kV/Sn140kV,及び140kV/80kV の最適エネルギーは,68keV,72keV,及び67keVとなった.脳梗塞部の検出には,

100kV/Sn140kV及び140kV/80kVが適していた.

- ⅲ-

(4)

④ X線CTの頭部被ばく線量測定:昨今の被ばく線量過多の問題,Dual-energy法の臨床適応 を考慮して,線量測定用人体頭部ファントムを用いて被ばく線量の測定を行った.本フ ァントムは,眼窩部から頭頂部までの6 断面上に,熱ルミネセンス線量計(TLD)を挿 入可能な各断面5から11か所の空洞を有するものである.スキャン範囲を眼窩耳孔線か ら頭頂部までの120mmに設定し,TLDによる計測から吸収線量の算出を行った. 結果,

120kV時と比較して600mAsの場合,80kV/Sn140kV,100kV/Sn140kV,及び140kV/80kVでは,

約47%,約30%,及び約22%の線量低減が可能であった.

以上より,急性期脳梗塞の検出の最適条件として,一般に普及しているX線CT装置において,

管電圧 100kV以上,管電流時間積 600mAs以上,スライス厚 8mm以上であることが望まれた.

また,Dual-energy CT装置を使用した時,Virtual monochromatic imageの最適エネルギー 70keV程度,管電流時間積 600mAs以上,スライス厚 10mm程度が最適な撮影条件と考えられ,

この時,被ばく線量は,20~50%程度の低減が可能であった.

- ⅳ-

(5)

目次

1. 緒論

1-1. 本研究の概要 --- 1-2. 虚血性脳卒中 --- 1-3. 画像診断の現状と血栓溶解療法 --- 1-4. X 線 CT 装置による被ばくの現状 ---

2. 脳梗塞を模擬した診断能評価・線量測定用ファントム開発

2-1. 序論:X 線 CT による画像評価の現状と問題点 --- 2-2. 脳梗塞診断用・円筒ファントム --- 2-3. 脳梗塞診断用・人体ファントム --- 2-4. 頭部線量測定用ファントム ---

2-5. 小括:診断能評価・線量測定用ファントム開発 ---

3. 既存の X 線 CT 装置による梗塞病変検出

3-1. 序論:X 線 CT による急性期脳梗塞検出の現状 ---

3-2. 方法:従来型 X 線 CT 装置による病変検出のための撮影条件の検討 ---

3-3. 結果:急性期脳梗塞の検出を目指した視覚及び定量評価 ---

3-4. 考察:X 線 CT 装置による病変検出の可能性 --- 3-5. 小括:急性期脳梗塞部検出 ---

4. Dual-energy CT 装置による脳梗塞部検出の試み

4-1. 序論:Dual-energy CT ---

4-2. 方法:Dual-energy CT 装置の撮影条件の検討及び

Virtual monochromatic imaging --- 4-3. 結果:Virtual monochromatic images 及び定量評価 --- 4-4. 考察:Dual-energy CT 装置による病変検出の可能性 --- 4-5. 小括:Dual-energy CT 装置による脳梗塞部検出 ---

- ⅴ-

1 4 5 6

7 7 10 13 16

17 17 20 25 25

26

26

29

35

35

(6)

5. X 線 CT の頭部被ばく線量測定

5-1. 序論:X 線 CT 装置による被ばくの現状 ---

5-2. 方法:TLD による線量測定及び Size-specific dose estimates の検討 ----

5-3. 結果:頭部 X 線 CT における吸収線量 --- 5-4. 考察:頭部被ばく線量評価 --- 5-5. 小括:X 線 CT の頭部被ばく線量 ---

6. 結語(総括) ---

7. 今後の課題 ---

8. 謝辞 ---

9. 引用文献 ---

10. 付録 ---

11. 業績目録 ---

- ⅵ-

36 37 40 45 46

47

48

49

50

54

57

(7)

- 1 -

1. 緒論

1-1. 本研究の概要

わが国における死亡率の推移を死亡別にみると,「がん,心臓病,脳血管疾患」が 上位を占めていたが,近年,肺炎の増加に伴い脳血管疾患の死亡率は第 4 位となった

(Fig.1, Fig.2).脳血管疾患の中でも,日本は脳出血が多い国として有名であった が,食生活の欧米化や生活習慣病の増加に伴い,脳梗塞が急激に増加し問題とされて いる.脳血管疾患の死亡率は世界的に減少傾向にあるが,有病率は高く,後遺症の問 題もあり,今日でも重要な疾患である1)

救急医療に課せられる重要性は社会的に高まり整備されつつあるが,脳血管疾患の 診断は,その分野の専門技術が要求され,困難を伴うことがある.大規模医療施設を 除く大半の医療施設では,夜間救急時間帯等を中心に,専門医(脳神経外科医,神経 内科医,放射線科医等)が不在の施設が多数を占める.よって,研修医,若年医師お よび他科医師が診断をしなければならないため,急性期脳梗塞等の脳血管疾患の見落 としによる生命の危険性がある.特に急性期脳梗塞においては,救急搬送初期の X 線 CT 検査による描出は現在のところ難しいとされている.「Time of brain」および「 Time loss is brain loss」と言われる脳梗塞治療の大前提があり,治療までの時間が予後 に大きく影響することから,早期の診断が必要である 2).その治療法の 1 つであり,

昨今,薬事承認された tissue plasminogen activator(t-PA)使用による血栓溶解療 法の適応時期は,「脳梗塞発症 4.5 時間以内に静脈内投与すること」と日本脳卒中学 会等のガイドライン上に示され,脳出血等の副作用の問題から厳しく時間制限されて いる.多くの臨床施設では,急性期脳梗塞の検出精度が高い MRI 検査について 24 時 間の救急体制は整備されていない.救急 MRI 検査の場合には,体内金属(インプラン ト)の確認や撮像時間が長い等の問題点も有している.そのため,大規模医療施設だ けでなく,小規模施設にも設置され, 全国の設置台数が多く,検査の迅速性・簡便性,

救命救急においての第一選択となる検査を考慮すると,X 線 CT による急性期脳梗塞の 検出が望まれ3-8),可能となれば t-PA 適応による予後改善により,脳卒中医療が飛躍 的に改善することが予想される.

一般的に X 線 CT 画像による急性期脳梗塞は,X 線吸収差(低コントラスト)が少な く,脳実質と同程度の CT 値となり,通常の X 線 CT 検査による描出が困難である 2) CT 画像は,対象構造の X 線吸収差とシステムのノイズにより決定される.特に画像ノ イズは,X 線検出効率を左右する検出器等の電気系ノイズや画像信号収集および画像 再構成時に発生するノイズ等が,画像上のノイズとして現れる.上記のように低コン トラストを示す急性期脳梗塞では,このノイズの影響が支配的で大きいと濃度差の識 別が困難となる.よって,この画像ノイズの減少や梗塞部のコントラストを向上させ ることができれば,急性期脳梗塞部の画像診断が可能になると考えられる.

(8)

- 2 -

Fig.1 主な死因別死亡数の割合(平成 23 年)

(厚生労働省人口動態統計月報年計より引用1)

Fig.2 主な死因別にみた死亡率の年次推移

(厚生労働省人口動態統計月報年計より引用1)

(9)

- 3 -

X 線 CT による画像評価のために,水やアクリル(PMMA)を使用した既製ファントム や低コントラスト分解能ファントムが開発され,それらを使用した装置の性能評価が 行われている9,10).しかし,本来は対象物の CT 値,人体組成を反映する疾患に近似し たファントムを使用することが望まれる.特定の疾患評価用ファントムの開発に関し,

国立がんセンターの村松らが胸部検診用の肺がん模擬ファントムを開発して描出能 の評価を行い11),大阪大の畑澤らは急性期脳梗塞模擬ファントムを開発し撮影条件の 検討がなされている 12).後者は模擬病変径が 10mm 以上と大きく,微小な脳梗塞には 対応していない等の問題を有している.そこで,本研究では脳血管疾患の画像診断支 援法の確立をめざし,疾患描出能及び撮影条件評価を目的に,人体構成及び形状に着 目した画像評価用ファントムの開発を行った.本ファントムは,これまでの X 線 CT 撮影条件の検討を基とした試作実験による基礎データから13),脳梗塞を模擬した診断 能評価用に開発し,急性期脳梗塞の検出について基礎的実験を行った.

また,近年,臨床現場に登場した Dual-energy CT 装置による急性期脳梗塞の検出 についても検討した.この装置の特徴は,1 回転で 2 つのエネルギーの撮影画像を同 時に取得できることである.一般に,種々の物質が混合された人体を種々のエネルギ ーを含む白色 X 線(連続 X 線)を使用して撮影するが,各物質が有する X 線実効エネ ルギーの質量減弱係数を正確に計算することができないため,体内の異なる物質を弁 別できない.この問題を解決する手段の 1 つとして,Dual-energy CT を利用した撮影 が考えられる.質量減弱係数は,X 線のエネルギーに依存するため,異なる管電圧で 別の CT 値を得ることができる14).本研究では,Dual-energy CT を用い,異なるエネ ルギーを用いて撮影し,任意のエネルギーの仮想単色画像(Virtual monochromatic image)を作製した.通常の連続 X 線における撮影画像に比較して,単色 X 線におけ る撮影画像は,ある物質に対して高いコントラストを得ることができる.そこで,仮 想的にではあるが,単色 X 線撮影画像に近似させることによって,コントラストを向 上可能である15).故に,急性期脳梗塞部のコントラストを上昇させることができる最 適なエネルギー(keV)を選択するための実験も行った.この時,Dual-energy CT 装 置を使用した実験に,人体組成を基礎とした密度・CT 値,および脳,頭蓋骨等の形状 を反映した脳梗塞模擬ファントムを使用した.

昨今の X 線 CT の被ばく線量の問題から,本研究においても被ばく線量の測定を行 った.一般的に,CT による被ばく線量は,他の X 線診断機器に比較して多いとされる.

その中でも頭部撮影時の線量は高く,低減の必要性がある17).そこで,線量測定の指 標とされる CTDI 法を応用した線量計測法にて実験を行った.

この時,新たに開発した頭部線量測定用ファントム(北里大学,京都科学共同開発)

を使用した.本ファントムは,先に開発した脳梗塞模擬ファントムと同様の材質・形 状を採用した.線量計測には熱ルミネセンス線量計( TLD:thermoluminescence dosimeter)法を用いた.

(10)

- 4 -

以上,最初に脳血管疾患に対して行われる X 線 CT 検査で,急性期脳梗塞の検出を 可能とする撮像手法について,①脳梗塞を模擬した診断能評価用・円筒及び人体ファ ントムの開発,②既存の X 線 CT 装置による疾患検出の可能性,③Dual-energy CT 装 置による脳梗塞部検出の試み,④X 線 CT の頭部被ばく線量測定を中心に論述し,急性 期脳梗塞の検出について考察する.

1-2. 虚血性脳卒中

虚血性脳卒中とは,脳血管疾患に分類される脳梗塞の一種で,脳内の血管(動脈)

が血栓などに塞がれることによって起こる局所的な脳梗塞である.虚血性脳卒中の虚 血性とは,血管が詰まって血流不足になることを示し,脳に十分な血液と酸素が供給 されなくなることで生じる脳組織の一部の壊死として現れる.血管の閉塞と出血を伴 った場合には梗塞後脳出血となる.

虚血性脳卒中は,血管が詰まることを指し示すが,その原因は「脳塞栓」と「脳血 栓」に大別することができる.脳塞栓とは,心臓にできた血栓,アテロームの破片,

動脈壁にできた血栓などが,その場所からはがれて脳の血管に血液の塊が流れ着き,

血流が低下または途絶する状態を示す.脳血栓とは,動脈硬化によって脳の血管その ものに血液の塊,脂肪の沈着物(アテローム,プラーク)などが形成されることによ り,血管の血液が流れる道筋自体が細くなることで,血流が悪くなる状態を示す.脳 塞栓と脳血栓を比較すると,前者の脳塞栓の方が突然に重大で深刻な症状となり,病 状の悪化も急激であることに対し,後者の脳血栓は徐々に病状が進展することが多い.

つまり,虚血性脳卒中とは,脳塞栓や脳血栓などに起因して血管が詰まり脳の血流低 下になることで起こる脳梗塞を示している18)

症状としては,多くの場合に突然起こり,発症後 2~3 分を超えた血流の低下は,

最初に神経症状が現れ,局所的な壊死(梗塞)を形成する.ほとんどの虚血性脳卒中 は突然に始まり急速に進展し,数分から数時間以内に脳の壊死が起こると考えられて いる.その後,多くの虚血性脳卒中では状態が一定となり,それ以上の損傷が起こる ことは少ない.安定した状態が 2~3 日続く状態を「完成した脳卒中」と呼ぶ.

また,少数ではあるが症状がゆっくり進行することもあり,脳組織の壊死が徐々に 広がった結果,脳卒中が数時間から 1~2 日かけて悪化することもある.このような 状態を「進行性脳卒中」と呼び,症状が安定する期間を挟んで症状と障害が進行する ことが多く,その安定期間中は脳組織の壊死の拡大が休止し,状態が若干改善するこ ともある.通常,こうした虚血性脳卒中は,狭窄した動脈に血栓ができることで起こ ることが多い.

症状は様々で,どのような症状が起こるかは,どの動脈が塞がれたか及び血液と酸 素の供給が絶たれた部位は脳のどこの箇所なのかによって異なる.例えば,内頸動脈

(11)

- 5 -

から枝分かれする動脈が詰まった場合は,片目が見えない,両目の右半分または左半 分が見えない,左右どちらかの腕・脚または右半身・左半身に感覚異常・筋力低下・

麻痺が起こる.椎骨動脈から枝分かれする動脈が詰まった場合は,めまいと回転性め まい,福視,体の両側で全体的に筋力が低下する.他に,ろれつが回らないなどの発 話困難や錯乱などの意識障害,協調運動の喪失,尿失禁などの多くの症状が起こるこ とがある19)

予後については,虚血性脳卒中を起こした人の約 10%が正常機能をほぼ完全に取り 戻し,約 25%は機能の大部分を取り戻すことができる.約 40%の人は,特別の介護 が必要な中等度から重度の障害が残り,約 10%の人は,介護施設などの長期療養施設 の介護が必要となる.中には,身体的・精神的に損失が大きく,動くこと,話すこと,

食べることも正常に行えなくなる人もいる.脳血管疾患を起こした人の約 20%は,入 院中に死亡している現状があり,死亡率は高齢者が高い傾向にある.また,脳血管疾 患から回復した人の約 25%で 5 年以内に別の脳血管疾患が起こることがあり,再発す ると脳の機能がさらに損なわれることになる18,19)

1-3. 画像診断の現状と血栓溶解療法

虚血性脳卒中における画像診断の現状として,通常,X 線 CT 検査を最初に行うこと が多く,出血性脳卒中,脳腫瘍,膿瘍などの脳の構造的異常等を除外する.低血糖で も虚血性脳卒中と似た症状が起こることがあるため血糖値も測定し,低血糖の可能性 を除外する.現状では,CT 検査によって,急性期の虚血性脳卒中を描出することが困 難であるため,可能な場合には,発症後から数分以内の虚血性脳卒中を検出できる拡 散強調磁気共鳴画像(拡散強調 MRI)検査を行う.他に,虚血性脳卒中の原因となり うる血栓の発現部位等の特定のために,心臓超音波検査(心エコー)で心臓に血栓,

拍動や構造異常,弁の疾患の有無を確認する.さらに,必要であればカラードップラ ー超音波検査,磁気共鳴血管造影検査,CT 血管造影検査,脳血管造影検査等の画像診 断検査を行い,動脈,特に内頸動脈の塞栓の有無もしくは,狭窄の有無を調べること がある.画像検査では頸動脈の狭窄の程度を確認できるので,次の脳卒中や TIA(一 過性脳虚血)のリスクの予測やどの治療が必要か判断する情報を得ることができる19)

虚血性脳卒中に対する治療として,血栓を溶かす薬剤(血栓溶解薬),血を固まり にくくする薬剤(抗血小板薬と抗凝固薬),手術等がある.その中でも特効薬として 期待される血栓溶解薬は,日本において虚血性脳卒中の治療の使用に 2005 年に厚生 労働省より承認された.当初は,脳梗塞発症後 3 時間以内に静脈内投与すること等が 定義されていたが,2012 年にその時間が,4 時間 30 分までに延長された.血栓溶解 薬(フィブリン溶解薬)は,ある種の状況下において血栓を溶かし,脳への血流を回 復させるために組織プラスミノゲンアクチベーター(t-PA)と呼ばれる薬剤を静脈内

(12)

- 6 -

に投与する 18).t-PA は,脳などで出血を引き起こす恐れがあるために次のような人 には使用することができないとされる.過去に出血性脳卒中,脳動脈瘤,その他の脳 の構造的な異常,脳腫瘍などが起こしたことがある,脳卒中が始まった時に痙攣発作 が起きた,出血し易い,最近に大手術を受けた,最近に消化管または尿路に出血があ った,最近に頭部の怪我または他の重大な外傷を負った,血糖値が極端に高いあるい は極端に低い,心臓に感染症がある,抗凝固薬(ワルファリン)を現在使用している,

虚血性脳卒中の範囲が大きい,降圧薬で治療した後も血圧が高いままである,急速に 症状が改善している等である20)

t-PA を投与する前に,脳内の出血がないことを確認するために CT 検査を行い,t-PA を有効かつ安全に使用するためには,虚血性脳卒中が起きてから 4.5 時間以内に静脈 内投与を開始しなければならない.4.5 時間経過すると脳の損傷の大半は回復するこ とができなくなり,薬剤に期待される有益性よりも出血のリスクが高くなる.しかし,

脳卒中が始まった時間を正確に判断することは難しい場合がある.したがって医師は,

患者が健康であった最後の時刻を脳卒中の発症時間とみなす.このような理由から t-PA を使用できる脳卒中患者は少数に限られる.脳卒中が発症して 3~6 時間(最大 18 時間)後に病院に到着した場合でも,t-PA または他の血栓溶解薬が投与されるこ とがある.ただし,この場合は薬剤をカテーテルで投与しなければならないため,皮 膚(通常,鼠径部)に切り込みを作り,動脈内にカテーテルを挿入する.大動脈等の 動脈を経由して血栓がある患部まで送られ,ガイドワイヤー等で血栓をある程度に崩 してから t-PA を注入する.この治療は通常,脳卒中治療の専門施設のみ受けること ができる21)

1-4. X 線 CT 装置による被ばくの現状

現在,世界中で年間に約 36 億件の医療放射線検査が行われている.近年の X 線撮 影の急速なデジタル化,X 線 CT の多列化などの新しい X 線技術や手法により,臨床的 な有益性が高まり,多くの国々で放射線検査数は急激に増加している.我が国の放射 線検査も海外と同様に増加傾向にあり,放射線診断に伴う医療被ばくは,国民 1 人あ たりの年間実効線量で約 3.9mSv と報告され,そのうち 2.3mSv を X 線 CT から受けて いる 22).これは,自然放射線による被ばくの約 2.1mSv をはるかに超える状況となっ ており,X 線 CT 単独で自然放射線に匹敵する医療被ばくを受けていることになる.我 が国は,人口 100 万人当たりの X 線 CT 装置台数が 92.6 台と世界で最も多く,また,

国民皆保険制度によって CT 検査へのアクセスも諸外国に比べて容易なため,CT 検査 による被ばくが国民の医療被ばくに大きく影響する.

(13)

- 7 -

2. 脳梗塞を模擬した診断能評価・線量測定用ファントム開発 2-1.序論:X 線 CT による画像評価の現状と問題点

X 線 CT による画像評価は,水やアクリル(PMMA)を使用した既製ファントムや低コ ントラスト分解能ファントムが開発され,それらを使用した装置の性能評価を主体と したものが多い9,10).本来は対象物の CT 値,人体組成を反映する疾患に近似したファ ントムを使用することが望まれる.特定の疾患評価用ファントムの開発は,国立がん センターの村松らが胸部検診用の肺がん模擬ファントムを開発して描出能の評価を 行い11),大阪大の畑澤らは急性期脳梗塞模擬ファントムを開発し撮影条件の検討が行 われている 12).しかし,後者は模擬疾患径が 10mm 以上と大きく,微小な脳梗塞には 対応していない等の問題を有している.そこで,本研究では脳血管疾患の画像診断支 援法の確立をめざし,病変描出能及び撮影条件評価を目的に,人体構成及び形状に着 目した画像評価用ファントムの開発を行った.本研究では,ファントム試作実験によ る基礎データを用い13),脳梗塞を模擬した診断能評価用ファントムを開発した.

また,画像評価のみならず,正確な被ばく線量測定を行うための線量測定用ファン トムの開発も行った.

2-2.脳梗塞診断用・円筒ファントム

本研究では,救急医療における X 線 CT 検査による急性期脳梗塞の検出能を検証す るため,診断能を評価用の円筒ファントムを開発した.前述の t-PA 適用時の確認事 項の 1 つである脳出血の有無や副作用発生時の確認のために,脳出血を合わせて模擬 したファントムを設計した.急性期脳梗塞の CT 値は,発症約 1~3 時間で 2HU,6 時 間以降では 4HU 以上の低下,さらに軽度の脳出血の CT 値は 2~4HU 程度増加すると報 告されている21,23).そのため,CT 値差±2~4HU 程度で微小な塊形状の early CT sign を対象とすることが必要で24),脳実質部 160mmφ,CT 値 36HU,頭蓋骨部 10mm 厚,500HU 程度,脳実質部に 2,3,5,7,10mmφの 32HU,34HU および 40HU の模擬疾患を配置し

25,26)

,ICRU report 46 等を参考に Table 1 に示す Composition にてウレタン樹脂とエ ポキシ樹脂を調整して作製した27,28)

また,前述の急性期脳梗塞を模擬した診断能評価ファントム(円筒ファントム)は,

一般に実験等に使用されている水やアクリル(PMMA)等の円柱状のファントムと異な り,ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂のように人体組成(密度・CT 値)を反映し,頭蓋 骨部を付加した人体に近似したファントムで,頭部の形状(長径・短径)の計測値を 楕円と仮定し,さらに円径に近似した外形寸法に対応させて作製した.

(14)

- 8 -

円筒ファントムの設計図と外観を Fig.3 に示す.脳実質部及び頭蓋骨を含めたファ ントム寸法については,産業技術総合研究所による人体計測点30)を参考に,長径 [眉 間点から後頭点(眉間点から正中矢状面内で最も離れた点)までの直線距離],短径 [矢状面に対して垂直に測った左右の側頭点(同一前頭面内で脳頭部の最も外側に突 出している点)間の距離]と定義した.次に長径,短径から楕円の円周(周囲長)を 求め,楕円を円に近似した時の直径を本ファントムの直径とした.これを成人 100 例 に対して計測し,その平均値から直径 180mm とした.頭蓋骨形状に近似した円筒・砲 弾型を採用した.本形状を採用することにより,180mmφ,161mmφの 2 断面に疾患部 を得ることができ,後頭蓋部と頭頂部を模擬することを可能とした.脳実質部,模擬 疾患である脳梗塞部,脳出血部の CT 値は,X 線 CT 臨床画像の計測値平均より算出し た(Table 2)

Element

Table 1 Composition of the phantom Spheres

36HU 34HU 32HU 40HU 500HU

Annulus

H C N O Na Mg Al P S Cl K Ca

Data are in wt %.

8.5 69.6 4.4 15.7

0.68 0.0 0.0 0.0

1.47 0.0 0.0 0.0

8.5

8.5 8.5

70.2

4.4 4.3

15.4 15.5

70.1

0.42 0.4

0.9 0.9

0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

68.8 4.5 16.0

0.69

1.81 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

5.11 42.45 1.73 28.1

8.0 0.1 15.49

0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 Element

Table 1 Composition of the phantom Spheres

36HU 34HU 32HU 40HU 500HU

Annulus

H C N O Na Mg Al P S Cl K Ca

Data are in wt %.

8.5 69.6 4.4 15.7

0.68 0.0 0.0 0.0

1.47 0.0 0.0 0.0

8.5

8.5 8.5

70.2

4.4 4.3

15.4 15.5

70.1

0.42 0.4

0.9 0.9

0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

68.8 4.5 16.0

0.69

1.81 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

5.11 42.45 1.73 28.1

8.0 0.1 15.49

0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

500HU shows the skull bone .

(15)

- 9 -

Fig.3 頭蓋骨部を有し,脳実質部,脳梗塞および脳出血に近似した組成,寸法にて作製した 診断能評価用円筒ファントム設計図(A)と外観(B)

Imitation disease : 32 , 34 , 40HU , Polyurethane resin Base : 36HU , Polyurethane resin

0.4(%×mmφ )~4(%×mmφ ) Bone : 500HU, Epoxy resin

Imitation disease : 32 , 34 , 40HU , Polyurethane resin Base : 36HU , Polyurethane resin

0.4(%×mmφ )~4(%×mmφ ) Bone : 500HU, Epoxy resin

B

(16)

- 10 -

2-3.脳梗塞診断用人体ファントム

より正確な画像・病変検出能の評価を目的に,脳梗塞模擬ファントムを新たに開発 した.開発コンセプトとして外観(見た目)も重視し,X 線一般撮影用の位置決め練 習用ファントム(ポジショニングファントム)のフォルムを採用し,外観からも人体 の頭部であることがわかるようにした(骨が透けて顔面骨,眼球部,鼻部,歯などが 観察できる).また,皮膚の部分を精巧に近似することで,頭蓋骨周辺部の改善や骨 にも皮質骨を加えた.脳内部に至っては,左右の脳(本ファントムでは,白質・灰白 質までの区別はできていない)や小脳,脳層・脳室,眼球等の形状や人体組成を反映 した.

本ファントムの概要は,脳実質部,脳梗塞部及び頭蓋骨部の 3 つのセクションで構 成し,ウレタン樹脂とエポキシ樹脂にて作製した.CT 値を脳実質部 36HU,頭蓋骨部 900HU 程度,脳梗塞部は,急性期を模擬した直径 20mm,30mm の球形状の CT 値 32HU,

34HU とし,大脳基底核レベル(松果体を通る断面に近い)および側脳室体部レベルの 中大脳動脈の血管支配領域内に各 2 箇所を配置した.ファントム物質の構成表を Table.3 に示す.脳梗塞部は脳実質部の CT 値よりも急性期脳梗塞を反映した,-2HU,

-4HU の低い値とした29)

Table 2 CT value for the infarctlesion and normal structure by measuring the X-ray CT clinical data.

Average (HU)

Standard deviation (HU)

Normal gray matter

Acute cerebral infarction

Light cerebral hemorrhage & SAH 35.8

2.2

33.2 3.4

38.7 4.1

36.0 34.0 32.0 40.0

Selection (HU)

It is calculatal from 100 cases of the CT images.

Table

Average (HU)

Standard deviation (HU)

Normal gray matter

Acute Light cerebral hemorrhage & SAH 35.8

2.2

33.2 3.4

38.7 4.1

36.0 34.0 32.0 40.0

Selection (HU)

(17)

- 11 -

Table. 3 Elemental compositions of the X-ray CT phantom to evaluate cerebral stroke.

Spheres

Element 36HU 34HU 32HU

Annulus 900HU

H 8.16 8.16 8.17 7.74 C 70.00 70.08 70.15 67.31 N 4.47 4.47 4.48 2.74 O 15.56 15.53 15.50 18.10 P 0.58 0.56 0.54 0.0 S 0.0 0.0 0.0 0.78 Ca 1.24 1.20 1.16 0.0

Ba 0.0 0.0 0.0 3.33

Data are in wt %

Spheres

Element 36HU 34HU 32HU

Annulus 900HU

H 8.16 8.16 8.17 7.74 C 70.00 70.08 70.15 67.31 N 4.47 4.47 4.48 2.74 O 15.56 15.53 15.50 18.10 P 0.58 0.56 0.54 0.0 S 0.0 0.0 0.0 0.78 Ca 1.24 1.20 1.16 0.0

Ba 0.0 0.0 0.0 3.33

Data are in wt %

次に人体ファントムの設計図と外観を Fig.4 及び Fig.5 に示す.ファントムの各部 の CT 値については,X 線実効エネルギーが 60keV 時においての各物質の密度における 質量減弱係数を計算から求め,CT 値を算出した.通常,X 線 CT 装置は,実効エネル ギーに対応した線減弱係数により CT 値の計算が行われる.各装置メーカーにおいて,

装置の種類,バージョンでその値が異なる 31).一般的には,55keV~65keV の範囲の 値が多いことから,本研究では,60keV を選択した.外観からも人体の頭部であるこ とがわかるようにした.

900HU shows the skull bone.

(18)

- 12 -

229.5mm 75.5mm 55mm

110mm

187mm

OM Line

Ⅰ 34HU

(-2HU) 32HU

(-4HU) 20mm

30mm

32HU (-4HU) 34HU

(-2HU)

22.2mm

64.6mm

44.5mm

229.5mm 75.5mm 55mm

110mm

187mm

OM Line

Ⅰ 34HU

(-2HU) 32HU

(-4HU) 20mm

30mm

32HU (-4HU) 34HU

(-2HU)

22.2mm

64.6mm

44.5mm

Fig.4 The schematic draw of the X-ray CT phantom to evaluate cerebral stroke.

Fig.5 The picture of the X-ray CT phantom to evaluate cerebral stroke. (a) lateral view, (b) frontal view.

(19)

- 13 -

2-4.頭部線量測定用ファントム

頭部線量測定用ファントム(北里大学,京都科学共同開発)は,画像評価用の脳梗 塞模擬ファントムと同様の材質・形状を採用し,頭部形状を精巧に反映した脳実質部,

頭蓋骨部の 2 部位で構成され, 実効エネルギー60keV 時の値にて,各々36HU,900~

1500HU 程度の CT 値を有し,眼窩耳孔線(OML)に沿った角度で厚さ 30mm の眼窩部か ら頭頂部まで A から F の 6 スライス断面で作製した(Table.4,Fig.6,Fig.7).各ス ライス断面には,線量計挿入用の腔を A:8 個,B:10 個,C:11 個,D:11 個, E:9 個及び F:5 個の計 54 箇所を設置した(Fig.8)

Table. 4 頭部線量測定用ファントムの構成要素.

Fig.6 頭部線量測定用ファントム設計図.

(20)

- 14 -

Fig.7 頭部線量測定用ファントムの外観.

(21)

- 15 -

Fig.8 頭部線量測定用ファントムのスライス断面(A~F 断面)

(22)

- 16 -

2-5.小括:診断能評価・線量測定用ファントム開発

一般的に CT の画像評価に用いられる水やアクリル(PMMA)製のファントムでは,

疾患に対応した正確な病変検出能を評価することが難しい.そこで,我々は対象とす る部位(頭部)や疾患部(脳梗塞)の CT 値を反映したファントムを作製した.

円筒ファントムに関しては,頭部径 180mm と人体の形状に近似させ,頭蓋骨を付加 した.内部に急性期脳梗塞と脳出血を模擬した CT 値を有する病変部を配置し,正確 な病変検出能の評価を可能とするファントムを開発した.

また,人体ファントムに関しては,円筒ファントムをさらに人体に近似させるため に,脳内部や頭蓋骨の形状を精巧に反映させた.内部に急性期脳梗塞を模擬した CT 値を有する病変部を脳梗塞の好発部位である中大脳動脈の血管支配領域内に配置し た.我々が目的とする急性期脳梗塞のような低コントラスト域の病変を対象とする場 合に,その病変の配置環境(例えば,X 線が透過する経路の構成物)の影響が,画像 ノイズとなる場合が多いと考えられる.故に,人体頭部(脳)の内部の形状や頭蓋骨 の形状,頭部の長径,短径等のリアルな形状が要求される.急性期脳梗塞部を模擬し た病変部に関しても,脳内の適切な配置や病変径,急性期病変の組織変化に近似した 密度・CT 値の設定も考慮しなければならない.これらの要件を満たしたファントムに より,脳梗塞の正確な検出の評価が可能になると考えた.

さらに,線量測定用ファントムは,上記ファントムと同様の材質・形状で作製し,

正確な被ばく線量測定を可能とした.これにより,画像評価と線量評価を関連させて 評価できると考えた.

(23)

- 17 -

3.既存の X 線 CT 装置による梗塞病変検出

3-1.序論:X 線 CT 装置による急性期脳梗塞検出の現状

一般的に X 線 CT 画像による急性期の脳梗塞部は,X 線による吸収が少なく低吸収域 として描出され,脳実質と同程度の CT 値となり,通常の X 線 CT 検査による描出が困 難である2).脳梗塞発症・数時間後の急性期には,脳浮腫に近い状態のため脳実質と の X 線吸収が近似し,CT 値の差が極端に小さくなり,画像上の識別能が低下するため と考えられる.

さらに,低コントラストを示す急性期脳梗塞部の検出に関し,X 線 CT 画像上のノイ ズの影響が大きくなり,小さな濃度差の識別が困難となる.よって,この画像ノイズ を減少させ,梗塞部のコントラストを向上させることができれば,急性期脳梗塞部の 検出が可能になると考えられる.

3-2.方法:従来型 X 線 CT 装置による病変検出のための撮影条件の検討

前述の急性期脳梗塞を模擬した診断能評価用ファントム(円筒ファントム)を使用 し病変検出を行うため,X 線 CT 装置(Aquillion ;東芝)を使用し(Fig.9),撮影条 件の検討を行った.撮影条件は Table.5 に示す.急性期脳梗塞部 10mmφにおいて contrast-to-noise ratio(CNR)による画像評価法を採用し(Fig.10),CNR 値 1.0 以上で疾患の検出が可能と定義した.

次に,Duke University の Schindera らの RSNA 2006 Report 32)を参考に,各管電 圧(135kV,120kV,100kV,80kV)で撮影した場合の画像ノイズとコントラスト増強 能を検討した 33).撮影に際しては急性期脳梗塞を描出するための撮影条件報告から,

一般的な頭部ルーチン撮影時の 400mAs に比較して 1.5 倍以上の線量が必要であるこ とから 600mAs を基準として用いた 12).この実験では,管電圧差の影響のみを評価す るため,低管電圧撮影時に問題となるフォトン数の減少を mAs 値(管電流時間積)を 大きくして代償した.臨床検査時の X 線 CT 装置での撮影時の最大設定値(Table.6)

を満たし 32),スライス厚は,4mm(1mm スライス厚の 4 スタック)を使用し,画像再 構成関数は,通常使用する頭部専用関数の FC21 を採用した.

(24)

- 18 -

Fig.9 本論文で実験に使用する X 線 CT 装置の外観.東芝社製の Aquillion.

Table 5

Tube voltage (kV) Tube current ( mA Gantry Rotation (sec)

mAs

Conventional scan.

100

5 0

8 00 ( 50mA interval)

Slice thickness (mm) 4 )

80 120

1 .0

135

5 0

8 00 ( 50mAs interval)

8 16

Scan conditions of X-ray CT for phantom imaging

(25)

- 19 -

Fig.10 急性期脳梗塞を模擬した診断能評価用ファントムにおける CNR 測定時の計算式 と ROI 設定位置.

Table 6 Scan conditions of X-ray CT for phantom imaging

Tube voltage (kV)

Gantry Rotation (sec) mAs

Conventional scan .

135 120 100 80

200 250 300 400

3.0 3.0 3.0 3.0

600 750 900 1200

Slice thickness (mm) 4.0 4.0 4.0 4.0 Reconstruction kernel

135 80

200 250 300 400

3.0 3.0 3.0 3.0

600 750 900 1200

FC21 FC21 FC21 FC21

Tube current (mA)

(26)

- 20 -

3-3.結果:急性期脳梗塞の検出を目指した視覚及び定量評価

急性期脳梗塞を模擬した診断能評価用の円筒ファントムを用い,X 線 CT 装置

Aquillion ;東芝)で撮影条件に関する基礎的検討を行った.

各管電圧で撮影した画像結果を Fig.11 に示す.実際の CT 画像では,管電圧の高い 画像ほど,ザラツキが低下したが,管電圧が低いとザラツキが非常に目立った.

急性期脳梗塞部 32HU におけるスライス厚 4mm,8mm,16mm の各 mAs 値の CNR の結果 を Fig.12,Fig.13 及び Fig.14 に示す. CNR が 1.0 を超える条件(Table.7)は,スラ イス厚 4mm で,135kV・450mAs,120kV・500mAs,100kV・550mAs, 80kV・750mAs,ス ライス厚 8mm で,135kV・350mAs,120kV・400mAs,100kV・400mAs,80kV・650mAs,

スライス厚 16mm では,135kV・750mAs,120kV・550mA,100kV・650mAs であった.

135kVp 120kVp 100kVp 80kVp

135kVp 120kVp 100kVp 80kVp

Fig.11 各管電圧における診断能評価用・円筒ファントムの撮影画像.

(27)

- 21 -

Fig.12 各管電圧における CNR 値と mAs 値の関係.

スライス厚 4mm 時.

Fig.13 各管電圧における CNR 値と mAs 値の関係.

スライス厚 8mm 時.

(28)

- 22 -

Fig.14 各管電圧における CNR 値と mAs 値の関係.

スライス厚 16mm 時.

Table 7 Scan conditions of more than CNR value of 1.0 of phantom imaging

Tube voltage (kV) Slice thickness (mm) 120

4

135 100

80

8 16

450mAs 500mAs 550mAs 750mAs

350mAs 400mAs 400mAs 600mAs

750mAs 550mAs 650mAs

(29)

- 23 -

スライス厚 4mm とした時,管電圧(135kV,120kV,100kV,80kV)を変えて撮影し た時の急性期脳梗塞部の CT 値を Fig.15,SD 値を Fig.16 に示す.管電圧の違いのみ を評価したいため,低管電圧撮影時には,管電圧の低下によるフォトン数の減少を代 償するよう mAs 値(管電流時間積)を大きくした.

急性期脳梗塞部の CT 値は,管電圧を変えても大きな差は見られなかったが,SD 値 には大きな差が表れた.一般的に低コントラストを示す疾患は,画像ノイズの影響が 支配的であるとされている.本ファントムで模擬した急性期脳梗塞部では,高管電圧 ほどノイズ量は低下したため,CNR が増加した(Fig.17).

0 10 20 30 40

135kV 600mAs

120kV 750mAs

100kV 900mAs

80kV 1200mAs

Acute cer ebral infar ction (HU ) -1.3HU

Fig.15 各管電圧における急性期脳梗塞部の CT 値.

135kV:34HU,120kV:33.4HU,100kV:33.0HU,80kV:32.7HU.

(30)

- 24 -

0 1 2 3 4 5 6

1 2 3 4

S ta ndard d evi ati on (SD )

135kV 600mAs

120kV 750mAs

100kV 900mAs

80kV 1200mAs +10%

+39%

+91%

0 1 2 3 4 5 6

1 2 3 4

S ta ndard d evi ati on (SD )

135kV 600mAs

120kV 750mAs

100kV 900mAs

80kV 1200mAs +10%

+39%

+91%

Fig.16 各管電圧における診断能評価用・円筒ファントムの撮影画像の SD 値.

SD 値の割合(%)を示す.

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

135kV 600mAs

120kV 750mAs

100kV 900mAs

80kV 1200mAs

Co nt rast -to -noi se rat io (C NR )

Fig.17 各管電圧における CNR 値.

急性期脳梗塞部径 10mm の値を示す.

(31)

- 25 -

3-4.考察:X 線 CT 装置による病変検出の可能性

急性期脳梗塞を模擬した診断能評価用の円筒ファントムを用い,X 線 CT 装置

Aquillion ;東芝)で撮影条件に関する基礎的検討を行い,直径 10mm の模擬梗塞部 位検出の条件,CNR が 1.0 を超える管電圧と mAs 値を決定した.

管電圧(135kV,120kV,100kV,80kV)の時,スライス厚が 4mm から 8mm と厚くな るに従い mAs 値は,いずれの場合も低下した.しかし,本実験で,スライス厚を 16mm とした時に CNR の改善は見られず,逆に mAs 値は増加した.通常,急性期脳梗塞のよ うな低吸収域の検出には,厚いスライスが有効であるとガイドライン上に示されてい る.しかし,今回対象とした模擬病変径は 10mm で,径がスライス厚よりも小さくな り,前後の加重平均により CNR は低下してしまった.すなわち病変の検出には,体軸 方向の厚さも考慮した撮像パラメータの設定が必要と考えられた.

本実験結果から,病変径を超えない範囲内で厚いスライスとなる 8mm が撮影には最 適で,高い管電圧 100kV 以上での撮影が有効であった.実際の臨床の場でも,スライ ス厚に関しては,脳卒中ガイドライン上において,厚いスライスの使用が推奨され,

小さな脳梗塞の検出を考えると上記の条件が適していると考えられる.

3-5.小括:急性期脳梗塞部検出

X 線 CT 画像による急性期脳梗塞部は,X 線による吸収が少なく(低コントラスト) 通常の CT による描出が困難となる.脳実質部を 36HU 程度とすると-2HU,-4HU の 32HU,

34HU 程度の CT 値差が少ない状態として描出される.低コントラストを示す急性期脳 梗塞部では,画像ノイズの影響が支配的なため,識別能が低下する.よって,この画 像ノイズを減少させることや梗塞部のコントラストを向上させることができれば,急 性期脳梗塞部の画像診断が可能となる.

撮影画像の視覚評価より,100kV,120kV において急性期脳梗塞部の描出が良好であ った.CNR 値 1.0 以上になった管電圧は 100kV,120kV および 135kV であり,ほぼ同様 の傾向を示した.この時の管電流時間積は,スライス厚 4mm で 500mAs 程度,8mm で 400mAs 程度が必要であった.被ばく線量等を考慮し,さらに病変径を超えない範囲内 での厚いスライスとなる 8mm が撮影には最適で,管電圧は 100kV 以上での撮影が有効 と考えられた.

(32)

- 26 -

4.Dual-energy CT 装置による脳梗塞部検出の試み 4-1.序論:Dual-energy CT

近年,臨床現場に登場した Dual-energy CT 装置による急性期脳梗塞の検出につい て検討した.この装置の特徴は,1 回転で 2 つのエネルギー(kV)の撮影画像を同時 に取得できることである.一般に,複数の物質が混合された人体では,各物質が有す る X 線実効エネルギーの質量減弱係数を正確に計算することができない.この問題を 解決する手段の 1 つとして,Dual-energy CT を利用した撮影が考えられている.質量 減弱係数は,X 線のエネルギーに依存するため,異なる管電圧での撮影で異なる CT 値が得られる 14).本研究では,Dual-energy CT を用いて,異なるエネルギーで撮影 されたデータから,仮想単色画像(Virtual monochromatic image)を作製した.通 常の連続 X 線における撮影画像に比較して,単色 X 線画像では,ある物質に対して高 いコントラストを得ることができる.そこで,仮想的にではあるが,単色 X 線撮影画 像に近似させ,コントラストを上昇させる事ができる 15).そこで,急性期脳梗塞部

(30mm 径)のコントラストを上昇できる最適なエネルギー(keV)を選択するための 基礎的実験を行った.

4-2.方法:Dual-energy CT 装置の撮影条件の検討及び Virtual monochromatic imaging

本研究で使用する X 線 CT 装置は,SIMENS 社製の SOMATOM Definition Flash 128DAS

(Fig.18)である.次に Dual-energy CT における撮影条件の概要を以下に示す.通 常 の 臨 床 撮 影 条 件 の 範 囲 内 の 管 電 圧 , 80kV , 100kV 及 び 140kV を 使 用 し た . Single-energy の 画 像 と 比 較 す る た め に , 120kV で 撮 影 し た . SIEMENS 社 製 の Dual-energy CT の管電圧の組合せは,80kV/Sn140kV, 100kV/Sn140kV,及び 140kV/80kV の 3 パターンがあり,このうち 80kV/Sn140kV と 100kV/Sn140kV の管電圧では,スズ

(Sn)による薄いフィルタ(0.4mm 厚)が,側に付加されていた.これは,140kV 時 に発生する低エネルギー成分をカットし,低エネルギー,高エネルギーの差(厳密に は,同物質における線減弱係数もしくは質量減弱係数の差)を広げることで,2 種類 の情報を明確に分けることができる14).その他の条件として,管電流時間積 400mAs,

600mAs 及び 800mAs,スライス厚 10mm,20mm を使用した(Table.8).スライス厚につ いては,急性期脳梗塞ガイドライン上で推奨されている 10mm 以上の厚いスライス厚 の使用を参考とし,前述の診断能評価用ファントム(円筒ファントム)による結果も 参考とした.厚いスライスの使用の利点として,脳梗塞検出に弊害となる画像ノイズ を軽減させる効果が期待できる.そこで,実際の実験時には,検出器のセルサイズ 0.625mm×64 列によるスライス厚 5mm 間隔のデータを収集し,PC ワークステーション

(33)

- 27 -

(Syngo, SIMENS)による MPR(多断面画像再構成)の画像再構成から 10mm,20mm ス ライスの画像を作製した.

仮想単色画像(Virtual monochromatic image)については,任意の仮想単色エネ ルギーの画像を作製した.本研究では,40keV から 100keV の範囲を 10keV 間隔で 7 画像を作製し,60keV~80keV の範囲を 1keV 間隔で 21 画像を作製した.この過程は,

管電圧 80 kV/Sn140kV, 100kV/Sn140kV 及び 140kV/80kV の各々に対して行った.単色 エネルギーを選択した理由として,先行研究において使用装置や通常の頭部撮影にお ける描出能を対象としている点は異なるが, 65keV から 70keV で有意に頭部の signal-to-noise (S/N) ratio が上昇した結果を参考として,この値の前後にエネル ギー範囲を設定した34,35)

急性期脳梗塞の検出を画像学的に定量評価するため,各管電圧の組合せの仮想単色 画像について CNR を求めた.計測対象を OM ラインから頭頂部へ 55mm の位置に挿入さ れている急性期脳梗塞模擬疾患部の 32HU,30mm 径を対象として,約 120mmの関心領 域を設定し,(| ROIM - ROIB |) / SDBの計算式を用いて算出した(Fig.19).上記の式 において ROIMは模擬疾患部の中央部に配置して平均 CT 値を求め,ROIB及び SDB は,

模擬疾患部から近い位置で脳の構造(脳層・脳室)が影響しない脳実質部内に配置し て平均 CT 値及び SD 値を求めた.また,CNR 値が 1.0 以上で,急性期脳梗塞の検出の 可能性があると定義した.これは,現在までの予備実験を含めた研究成果より 36,37) 導いた値で急性期脳梗塞ようなのコントラストが少ない疾患を対象としているため である.

Fig.18 本研 究で 実験 に使 用し た Dual-energy CT 装置 の外 観. SIMENS 社 製の SOMATOM Definition Flash 128DAS.

(34)

- 28 -

Fig.19 脳梗塞模擬ファントムにおける CNR 測定時の計算式と ROI 設定位置.

Table 8 Scan conditions of Dual-energy CT for phantom imaging

Tube voltage (kV) Tube current (mA) Gantry Rotation (sec)

mAs

* It creates form 5 mm slice thickness data

100/Sn140

4 00 60 0 8 00

4 00 60 0 80 0

Slice thickness (mm) 10* 20*

80/Sn140 140/80

1 .0

(35)

- 29 -

4-3. 結果:Virtual monochromatic images 及び定量評価

急性期脳梗塞の検出には,コントラストの増強が必要であるため,本研究では,

Dual-energy CT を用い,異なるエネルギーで撮影したデータから,仮想単色画像

(Virtual monochromatic image)を任意のエネルギー(keV)で再構成した.

撮影画像例として,スライス厚 10mm における画像を示す.Fig.20 に管電圧 80kV/Sn140kV , 600mAs に お け る 40keV か ら 100keV の 画 像 , Fig.21 に 管 電 圧 100kV/Sn140kV,600mAs における 40keV から 100keV の画像,及び Fig.22 に管電圧 140kV/80kV,600mAs における 40keV から 100keV の画像を示す.

Fig.20 Virtual monochromatic images from 40 to 100 keV in 10 keV steps obtained at 80 kV / Sn 140 kV, (a) 40 keV, (b) 50 keV, (c) 60 keV, (d) 70 keV, (e) 80 keV, (f) 90 keV, (g) 100 keV. with of 10 mm slice thickness and 600 mAs.

(36)

- 30 -

Fig.21 Virtual monochromatic images from 40 to 100 keV in 10 keV steps obtained at 100 kV / Sn 140 kV, (a) 40 keV, (b) 50 keV, (c) 60 keV, (d) 70 keV, (e) 80 keV, (f) 90 keV, (g) 100 keV. with of 10 mm slice thickness and 600 mAs.

Fig.22 Virtual monochromatic images from 40 to 100 keV in 10 keV steps obtained at 140 kV / 80 kV, (a) 40 keV, (b) 50 keV, (c) 60 keV, (d) 70 keV, (e) 80 keV, (f) 90 keV, (g) 100 keV. with of 10 mm slice thickness and 600 mAs.

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視覚評価では,全ての画像において低エネルギーから高エネルギーに向かって画像 のザラツキが低減していることが判定できる.急性期脳梗塞部の描出能をコントラス トと画質の関係から観察すると,80kV/Sn140kV では,60keV 及び 70keV が最適なエネ ルギー画像と考えられた.同じく 100kV/Sn140kV 及び 140kV/80kV においても 60keV 及び 70keV が良好であった.

Virtual monochromatic images において,CNR による画像評価を行った.Fig.23 に 40keV から 100keV の範囲を 10keV 間隔で作製した 7 画像の CNR の結果を,Fig.24 に 60keV~80keV の範囲を 1keV 間隔で作製した 21 画像の CNR の結果を示す.

40keV から 100keV の範囲の CNR は,mAs 値の増加に伴い改善した.400mAs 時では,

140kV/80kV で CNR 1.2 が最大値,600mAs 時では,100kV/Sn140kV と 140kV/80kV で CNR 1.38 が最大値となり,800mAs 時には,140kV/80kV で CNR 1.5 を超える結果となった.

また,80kV/Sn140kV では,CNR の最大値が 70keV,100kV/Sn140kV では 70keV と 80keV,

140kV/80kV では,70keV となり,視覚評価と同様の結果が得られた.

60keV~80keV の範囲を詳細に評価した実験では,mAs 値の増加に伴い CNR 値が改善 した.80kV/Sn140kV で 68keV,100kV/Sn140kV で 72keV,140kV/80kV で 67keV の時に 最も高い CNR 値を示し,800mAs 時には,CNR 1.7 程度であった.概ね,70keV 前後の エネルギーが急性期脳梗塞部の検出に適している事が明らかとなった.120kV 撮影時 と比較した Dual-energy CT の最適エネルギーと CNR 値を Table.9 に示す.120kV の CNR 値は 0.74,Dual-energy の撮影では,1.57 以上の値を示した.各管電圧における Virtual monochromatic images の最適エネルギー画像を Fig.25 に示す.いずれの画 像においても梗塞部が明瞭に見えた.

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Fig.23 Contrast-to-noise ratio of virtual monochromatic images from 40 to 100 keV at 10 keV interval in (a) 400 mAs, (b) 600 mAs, (c) 800 mAs. with three image acquisition at 80 kV / Sn 140 kV, 100 kV / Sn 140 kV, and 140 kV / 80 kV.

(39)

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Fig.24 Contrast-to-noise ratio of virtual monochromatic images from 60 to 80 keV at 1 keV interval in (a) 400 mAs, (b) 600 mAs, (c) 800 mAs. with three image acquisition at 80 kV / Sn 140 kV, 100 kV / Sn 140 kV, and 140 kV / 80 kV.

(40)

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Fig.25 Virtual monochromatic image will the highest CNR value, at (a) 68 keV under 80 kV / Sn 140 kV, (b) 72 keV under 100 kV / Sn 140 kV, and (c) 67 keV under 140 kV / 80 kV. CNR value is (a) 1.57, (b) 1.72, and (c) 1.71.

Table 9 Optimal energy of virtual monochromatic images for the detection of acute cerebral infarction.

Tube voltage (kV) 80/140

10 mm slice thickness and 800 mAs . Virtual monochromatic

images ( keV )

120

0.74

68

100/140 140/80

CNR value 1.57 1.72 1.71

72 67

Table 1 Composition of the phantom Spheres
Table 2 CT value for the infarctlesion and normal structure by measuring  the X-ray CT clinical data.
Table 6 Scan conditions of X-ray CT for phantom imaging      Tube voltage (kV)
Table 7 Scan conditions of more than CNR value of 1.0 of  phantom  imaging  Tube voltage (kV) Slice thickness (mm) 120 4 135 100 ‐80816
+4

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