ヽ/1SI(D NO.39 117‑123. 2009
福 田
117
「物質・エネルギー」分野における小学校理科新学習指導要領の実際
靖
Teaching the Field of Energy and Substances ln Accordance wlth Course of Sciencc Study
the New Elementary School
は じめ に
平成20年 (2008年
)3月
28日 、新 しい小 学校 学 習 指 導 要領 が公 示 され た。 小 学校 で は 平成21年 度 か ら理 科 の 内容 の一 部 を先 行 して 実施 す る こ とに な って い る。 小 学校 6年生 の場 合 、平成21年 度 は現 行 学 習 指 導 要領 の 内容 に加 えて 「月 と太 陽」 な どを指 導 す る こ とにな る。 そ して 、 平成22 年 度 か らは 「て この規 則性 」や 「電 気 の利 用」 が 、 さ らに追加 され る。 新 学 習 指 導 要領 全 体 は平 成 23年 度 か ら全 面 実施 とな る。 そ の 間 、小 学校 にお い て教科 書 に掲 載 され て い ない 内容 を指 導 す る こ とに な る。 そ の た め、文部 科 学 省 はそ の 間 、補助 教材 を作成 し配 布 す る こ とに して い る。 こ の よ うに今 回 の改訂 はそ の移 行措 置期 間 が発表 か ら1年とい う異 例 の短 い期 間 で あ る点 も特 記 す べ き こ とで あ る。新指 導 要 領 で は子 ど もの 「生 き る力 をは ぐ くむ 」 こ とを現行 の学 習指 導 要領 と同様 に重視 して い る。そ の具体 的 な 手 立て と して 、文部科 学省 は学 力の 重要 な要素 で あ る基礎 的・基 本 的 な知識 ・ 技 能 の習 得 、思 考 力 0判断 力・ 表 現 力等 の育成 お よび 学 習意 欲 の 向 Lを図 るた め に、授 業 時数 増 を図 り、特 に 言語 活 動 や 理 数 教 育 を充 実す る こ と と して い る。 また 、新 学 習 指 導要領 の趣 旨を実 現 す るた め に指 導 体 制 の確 立 を含 む 教 育 条 件 の整備 、教 科 書や 指 導 方 法 の改 善 な どの諸 施 策 を総 合 的 に展 開 して い くこ とが極 めて重 要 で あ る と文部 科 学 省 の 中央 教 育審議 会 は指摘 して い る1。
小学校 理 科 で は従 来 の3区分 か ら2区分 に内容 が再構 成 され た。 現 在 のA区分 「生物 とそ の環 境 」 とC区分 「地 球 と宇 宙 」 を ま とめてB区分 「生命 0地球 」 に統 合 され た。 物 質 とエ ネル ギー は新 学 習指 導 要領 でA区分 「物 質 ・ エ ネル ギー 」 と して 、化 学 と物 理 分 野 を ま とめて あ る。 小 学 校 にお い て 、 この よ うに2区分 制 に整 理 した の は 中学 校 理 科 の2分野制 との接 続 な どを考慮 した 結 果 で あ る。 また 、次 の高 等 学 校 へ と粒 子、エ ネル ギー 、生命 、地 球 の各概 念 形成 と系統性 を持 たせ るた めで もあ る。「物 質・エ ネル ギー 」区分 で はエ ネ ル ギー と粒 子 とい う概 念 の基礎 0基本 を 発 達段 階 に応 じて 、体験 的 に学 び 、 自然 の不思 議 と驚 きの感 覚 や 科 学 へ の興 味 ・ 関心 を育 て る学 習 指 導 が必、要 で あ る し、指 導 法 の 工 夫 も必、要 で あ る。 この分野 は抽 象 的概 念 が 多 く児童 に とって 理 解 が 困難 な 内容 が 多 い。 そ の た め に、学 年 を越 えて繰 り返 し、 発達段 階 に応 じて学 習 させ る こ
とが大 切 で あ る。
福 田 靖
A区
分 「物質 ・エネルギー」分野の小学校 における各学年の 目標 および内容小学校 理 科 の 目標 は 「自然 に親 しみ 、見通 しを もって観 察・ 実験 な どを行 い 、問題 解 決 の能 力 と 自然 を愛 す る心情 を育 て る と ともに、 自然 の事物 ・現象 につ い ての実感 を伴 った理解 を図 り、
科 学 的 な見 方や 考 え方 を養 う」 こ とで あ る。 この 中で特 に、「実感 を伴 った理解 を図 り」 とあ る。
理 科 で は特 に実験 ・ 観 察 な どの体験 を通 して事 物 ・現象 の理解 を深 め る こ とが大 切 で あ る。 現行 で は3年〜6年の授 業時数 合 計 が350時間 か ら55時間 多 くな り、合 計 で405日寺間 と増 大 し充実 が は か られ て い る2。
A区分 「物 質 ・エ ネル ギー 」 につ い て は、児童 が物 質 の性 質 や はた らき、状 態 の変化 につ いて 観 察 実験 を通 して探 求 した り、物 質 の性 質 な どを活 用 して ものづ く りを した りす る科 学 的 な体験 に対 して の指 導 に重 点 を置 い て 内容 を構 成 す る。 また 、「エ ネル ギー」や 「粒 子」 とい つた科 学 の 基 本 的 な見 方や 概 念 を柱 と して 内容 が 系統性 を持 つ よ うに留意 す る3。 各 学 年 で の 目標 と内容構 成 は 下記 の とお りで あ る。
(1)3学
年 の 目標 と内容3学年 の 日標 は物 の重 さ、風 や ゴムの 力 な らび に光 、磁 石 及 び電 気 を働 かせ た ときの現 象 を比 較 しな が ら調 べ 、見 い だ した 問題 を興 味 ・ 関心 を もつて追 究 した り、 ものづ く りを した りす る活 動 を通 して 、それ らの性 質 や働 きにつ い て の 見方や 考 え方 を養 うこ とに あ る。 本学 年 で は学 習 の 過 程 にお い て 、 自然 の事物 。現 象 の差 異 点や 共 通 点 に気 付 い た り、比較 した りす る能 力 を育 む と い う点 に 重点 が置 かれ てい る。 ① 物 と重 さで は粘 土 な どを使 い 、物 の重 さや 体積 を調 べ 、物 の性 質 につ い て の 考 え を もつ こ とが で き る よ うにす る。 特 に、
i)物
は形 が変 わ って も重 さは変 わ ら な い こ とを知 る。)物は体 積 が 同 じで も重 さは違 うこ とが あ る こ とな どを体験 させ る。 ② 風 や ゴムの働 きで は風や ゴムで物 が動 く様 子 を調べ 、風や ゴムの働 きにつ いての考 えを もつ こ とがで き る よ うにす る。
i)風
の 力 で動 くもの をつ く り、風 を 当てた ときの物 の動 く様 子 を比較 しなが ら、風 の強 さに よって物 の動 く様 子 に違 い が あ る こ とを調 べ 、風 の 力は物 を動 かす こ とが で き る こ とを知 らせ る。)ゴム の 力 で動 くもの をつ く り、 ゴム をひ っぱ った り、ね じった りす る とき の物 の動 く様 子 を比較 す る。 ゴムの元 に戻 ろ うとす る力 の強 さに よって物 の動 く様 子 に違 いが あ る こ とを調 べ 、 ゴム の 力 は物 を動 かす こ とが で き る こ とを学ぶ よ うにす る。 ③ 光 の性 質 で は鏡 な どを使 い 、光 の進 み 方や 物 に光 が 当た った ときの 明 る さや 暖 か さを調 べ 、光 の性 質 につ い て の考 え を もつ こ とが で き る よ うにす る。 ここで は光 の性 質 につ いて興 味・ 関心 を もつて追求 す る活 動 を とお して光 の 明 る さや 暖 か さの違 い を比較 す る能 力 を育 て る。
i)平
面鏡 に 日光 を 当て た とき の様 子 につ い て調 べ 、 平面鏡 に 日光 を 当て る と 日光 が反 射 して直進 す る こ とを と らえ る よ うにす る。 日光 は集 めた り反 射 させ た りす る こ とが で き る。)日 光 を重 ね た ときの物 の 明 る さや 暖 か さの違 い を比 べ て 、 日光 の 当て 方 と物 の 明 る さや 暖 か さ との係 りを学 ぶ。 ④磁 石 の性 質 で は磁 石 に付 く物 や磁 石 の働 き を調 べ 、磁 石 の性 質 につ い て の考 えを もつ こ とが で き る よ うにす る。 i)
物 には磁 石 に 引 き付 け られ る物 と引 き付 け られ な い物 が あ る。 また 、磁 石 に引 き付 け られ る物 に は磁 石 に付 け る と磁 石 にな る物 が あ る こ とな どを学 ぶ。
)磁石 の異 極 は 引 き合 い 、 同極 は退 け 合 うこ とを知 る。 ⑤ 電 気 の通 り道 で は乾電 池 に豆電 球 な どをつ な ぎ、電 気 を通す つ な ぎ方や 電 気 を通す 物 を調 べ 、電 気 の回路 につ い て の考 え を もつ こ とが で き る よ うにす る。
i)電
気 を通 す つ な ぎ方 と通 さないつ な ぎ方 が あ る。)電気 を通 す 物 と通 さな い物 が あ る こ とな どを学 習 す る。
小学校理科A区分 にお け る新学習指導要領 の実際
3学年 での 「物質・エネル ギー」 の指導 に当た っては、3種類以 上の ものづ く り実験 を行 な うも の とす る。
(2)4学
年 の 目標 と内容4学年 の 目標 は空 気 や 水 、物 の状 態 の変 化 、電 気 に よ る現象 を力 、熱 、電 気 の働 き と関係 付 け な が ら調 べ 、見 い だ した 問題 を興 味 ・ 関心 を もつて追 究 した りものづ く りを した りす る活 動 を通 して 、それ らの性 質 や働 きにつ い て の見 方や 考 え方 を養 う。 自然 の事物 ・ 現 象 の変化 に着 目 し、
変 化 とそれ に係 る要 因 とを関係 付 けな が ら調 べ 、問題 を見 い だす。 さ らに、見 いだ した 問題 を興 味・関心 を もつて追 究 す る活 動 を通 して 、物 の性 質や そ の働 きにつ い て の見方 や 考 え方 を深 め る。
そ して 、 自然 の事物 ・ 現象 の変 化 とそ の要 因 とを関係 付 け る能 力 を育成す る こ とに重点 が置 かれ て い る。 ① 空 気 と水 の性 質 で は 閉 じ込 めた空 気 及 び 水 に力 を加 え、そ の体積 や圧 (お)し返 す 力 の変 化 を調 べ 、空気及 び水 の性 質 につ い ての考 え を もつ こ とが で き る よ うにす る。 特 に、
i)閉
じ込 めた 空気 を圧 (お)す と、体積 は小 さ くな るが 、圧 (お)し返 す 力 は大 き くな る こ とを学 習 す る。 )閉 じ込 めた空気 は圧 (お)し縮 め られ るが 、水 は圧 (お)し縮 め られ ない こ とを知 る。
②金属 、水 、空気 と温度 では金属 、水及 び空気 を温 めた り冷や した りして、それ らの変化 の様子 を調べ、金属 、水及び空気 の性 質 についての考 えを もつ ことがで きるよ うにす る。
i)金
属 、水 及 び空気 は、温 めた り冷や した りす る と、その体積が変 わ ることを学ぶ。)金属 は熱せ られ た 部分か ら順 に温 まるが、水や空気 は熱せ られ た部分が移動 して全体が温 まることを知 る。 i)水
は温度 に よつて水蒸気や氷 に変わ ること。 また、水が氷 になる と体積 が増 えることな どを学習す る。③電気 の働 きでは乾電池や光電池 に豆電球やモー ターな どをつ なぎ、乾電池や光電池の働 き を調べ、電気 の働 きについての考 えを もつ ことがで きるよ うにす る。
i)乾
電池 の数やつ な ぎ方 を変 える と、豆電球 の明 る さやモー ターの回 り方が変 わ ることを知 る。 )光電池 を使 つてモーター を回す ことな どができる実験 をす る。③ の i)につ いては特 に、直列つなぎと並列つ なぎを 扱 うもの とす る。
(3)5学
年の 目標 と内容5学年の 目標 は物 の溶 け方、振 り子 の運動 、電磁石 の変化や働 きをそれ らにかかわ る条件 に 目 を向けなが ら調べ、見いだ した問題 を計画的に追究 した りものづ く りを した りす る活動 を通 して、
物 の変化 の規貝J性についての見方や考 え方 を養 う。特 に、5学年 では 自然 の事物・現象 の変化 と その要因 とを関係付 ける能力 に加 えて、変化 させ る要 因 と変化 させ ない要因 を区別 しなが ら、観 察・実験 な どを計画的 にお こなってい く条件制御 の能 力 を育成す ることに重点が置 かれ てい る。
①物 の溶 け方では物 を水 に溶 か し、水 の温度や量 に よる溶 け方の違 いを調べ 、物 の溶 け方の規則 性 につ いての考 えを もつ ことがで きるよ うにす る。特 に、
i)物
が水 に溶 ける量には限度 があ るこ とを知 る。
)物が水 に溶 ける量 は水 の温度や量、溶 ける物 に よつて違 う。 また、 この性質 を 利 用 して、溶 けてい る物 を取 り出す ことがで きることな どを学ぶ。 )物が水 に溶 けて も、水 と 物 とを合 わせ た重 さは変わ らない ことを学習す る。②振 り子 の運動 ではお も りを使 い、お も りの 重 さや 糸の長 さな どを変 えて振 り子 の動 く様子 を調べ、振 り子の運動 の規則性 についての考 えを もつ こ とがで きるよ うにす る。
i)糸
につ る したお も りが1往復す る時間は、お も りの重 さな ど に よつては変 わ らないが、糸の長 さに よって変 わ ることを学習す る。③電流の働 きでは電磁石 の 導線 に電流 を流 し、電磁石 の強 さの変化 を調べ 、電流 の働 きにつ いての考 えを もつ ことがで きる靖 田
よ うにす る。i)電流 の流 れ て い る コイ ル は鉄 心 を磁 化 す る働 きが あ り、電 流 の 向 きが変 わ る と、
電磁 石 の極 が変 わ る こ とを知 る。
)電磁 石 の強 さは電 流 の強 さや 導線 の巻 数 に よつて変 わ る こ とを学 ぶ。 この学 年 で は振 り了^と 電 流 の働 き を利 用 した ものづ く り実験 を2種類 以 上お こな うも の とす る。
(4)6学
年 の 目標 と内容6学年 の 目標 は燃 焼 、水 溶 液 、 て こ及 び電 気 に よ る現 象 につ い て の 要 因や 規則性 を推 論 しなが ら調 べ 、 見い だ した 問題 を計画 的 に追 究 した り、 もの づ く りを した りす る活 動 を通 して物 の性 質 や 規則 性 につ い て の 見 方や 考 え方 を養 う。 6学年 で は 自然 の事 物 ・現 象 の変 化 や働 きにつ い て そ の 要 因や 規貝1性、 関係 を推 論 す る能 力 を育成 す る こ とに重 点 が置 かれ て い る。 ①燃 焼 の仕組 み で は物 を燃 や し、物 や 空 気 の変 化 を調 べ 、燃 焼 の仕 組 み につ いて の 考 え を もつ こ とが で き る よ うに す る。
i)植
物 体 が燃 え る ときに は 、空気 中の酸 素 が使 われ て 二酸 化 炭 素 が で き る こ とを知 る。② 水溶 液 の性 質 で はい ろい ろな水 溶 液 を使 い 、 そ の性 質 や 金 属 を変 化 させ る様 子 を調 べ 、水 溶 液 の性 質や働 きにつ い て の考 え を もつ こ とが で き る よ うにす る。 特 に、
i)水
溶 液 に は酸性 、 アル カ リ性 及 び 中性 の もの が あ る こ とを知 る。)水溶 液 に は 、気 体 が溶 けて い る もの が あ る こ とを 学 ぶ。i )水溶 液 に は 、金属 を変 化 させ る もの が あ る こ とを学 習 す る。 ③ て この規 則性 で は て こ を使 い 、 力の加 わ る位 置や 大 き さを変 えて、 て この仕 組 みや働 き を調 べ 、 て この規貝J性につ い て の考 えを もつ こ とが で き る よ うにす る。
i)水
平につ り合 った棒 の 支点 か ら等 距離 に物 をつ る し て棒 が水 平に な つた とき、物 の 重 さは等 しい こ とを知 る。)力 を加 え る位 置 や 力の大 き さを変 え る と、 て こを傾 け る働 きが変 わ り、 て こがつ り合 うときにはそれ らの 間 に規 則性 が あ る こ とを 学 ぶ。 )身の 回 りに はて この規則 性 を利 用 した道 具 が あ る こ とを学 習す る。 ④ 電 気 の利 用 で は 手 回 し発電機 な どを使 い、電 気 の利 用 の仕 方 を調 べ 、電 気 の性 質 や働 きにつ い て の考 え を もつ こ とがで き る よ うにす る。
i)電
気 はつ く りだ した り、蓄 えた りす る こ とが で き る こ とを知 る。 )電 気 は光 、音 、熱 な どに変 え る こ とが で き る こ とを調 べ る。 )電熱線 の 発熱 はそ の 太 さに よつ て変 わ る こ とを学 ぶ。r)身の 回 りには電 気 の性 質や働 きを利 用 した道 具が あ る こ とを学 習す る。
この学 年 で は2種類 以 上の ものづ く り実験 を行 な うもの とす る。 て この規 則 性 を活 用 した ものづ く りと して は 、 て こや 天秤 を利 用 した は か りな どが考 え られ る。 また 、電 気 の働 き を活 用 した も のづ く りと して は、風 力発電 や 蓄電 池 を利 用 した 自動 車 な どが考 え られ る1。
A区
分 「物質・エネルギー」分野の学習内容上の特性 と課題 (1)幼稚 園教 育 と小 学校 生 活 科 との 関連文部 科 学 省 は 平成 21年 4月 1日 か ら新幼 稚 園教 育 要 領 を実施 す る と して い るcその改 善事項 に
「幼稚 園及び小学校 の 円滑 な継続 を図 るた め、規範意識 や思考 力の芽生 えな どに関す る指導 を充 実す る と と もに 、幼 稚 園 と小 学校 との連 携 に関す る取 り組 み を充 実 した こ と」 とあ る5。 何 よ りも 大 切 な こ とは幼 稚 園期 間 に 自然 と触 れ 合 う機 会 を十 分 もつ こ とで あ る。 この幼 稚 園 にお い て 自然 の 中で の体験 不 足 のた めに、小学校 や 中学校 で の 自然 科 学 へ の興 味 を持 た な い学 生 が育 つ原l■lと
な る。 そ の た め に幼 稚 園 の時 期 か ら 自然 の事 象 に深 く係 りを持 って生活 す る こ とが必ヽ要 で あ る。
この点 が小 学 校 との連 携 にお いて最t)重要 な こ とで あ る。 幼 稚 園 時代 か ら 自然 へ の興 味 ・ 関心 を
高 め、 さ らに科 学 の芽 生 え を育 て る活 動 が求 め られ る。 そ の た め に野外 活 動 の実践 や 園 内 での飼 育 動物 や 栽 培植 物 の役 害Jが重視 され る6,7,8。
小 学校 生活 科 改 定 の趣 旨 と して 「児童 の知 的 好 奇 心 を高 め、科 学 的 な見 方・ 考 え方 の基礎 を養 うた めの指 導 の充 実 を図 る必 要 が あ る こ と」 とあ る。 また 「児 童 の生活 の安 全 ・安 心 に対す る懸 念 が広 ま る 中、安 全 教 育 を充 実す る こ とや 、 自然 事 象 に接 す る機 会 が乏 しくな って きて い る状 況 を踏 ま え、生命 の尊 さや 自然 事 象 につ い て体験 的 に学 習 す る こ とを重視 す る こ と」 と記載 され て い る9。 生活 科 の要 点 を集約 す る と 「具体 的 な活 動 や 体験 を通 して 自立へ の基礎 を養 うこ と」に あ る。 科 学 的 な見 方・ 考 え方 の基礎 を養 う観 点 か ら 「自然 の不 思議 さや 面 白 さを実感 す る学 習活 動 を取 り入 れ る」 とあ るが 、小 学校 理 科 との 関連 が 不確 実 で あ る と筆者 は判 断す る。 小学校 理 科 の 場 合 は基 本 的 な概 念 と して 、「エ ネル ギー 」、「粒 子 」、「生 命 」、「地 球 」に対す る基本 的 な 見方 の上 に成 り立 って い る。
しか し、 それ との 関係 が生活 科 で は全 くみ られ な い の で あ る。 生活 科 の基 本 は あ くまで 自立 の基礎 を養 うこ とに あ る。 そ の た め に、小学校低 学 年 で の理 科 の基本 ・基礎 が不 十 分 な ま ま3年生 へ と持 ち上 が って い く。この点 が改 定 され た新 指 導 要領 の大 きな問題 点 で あ る。
また 、生 活 科 にお い て指 導 す る教 師 に も小 学校 理 科 の概 念 との 関連 で総合 化 して教 え る こ との で き る能 力 に疑 間 が あ る。
(2)小学 校 理 科 改 訂 の趣 旨 と改 善 の基 本 方 針 との 関連
21世紀 は 、新 しい知識 ・ 情 報 ・ 技 術 が政 治 ・経 済・ 文化 をは じめ社 会 の あ らゆ る領域 で の活 動 の基盤 と して飛 躍 的 な重要性 を増 す 、い わ ゆ る「知識 基盤 社 会 」の時代 で あ る と言われ て い る10。
この よ うな知識 基盤 社 会化や グ ロー バ ル化 に対応 して 、確 か な学 力 、豊 か な心 、健 や か な体 の 調 和 を重視 す る 「生 き る力」 をは ぐ くむ こ とが ます ます 重 要 に な って い る。 他 方 、
OECD(経
済 協 力開発機 構)のPISA調
査 な ど各種 の調 査 か らは 、我 が 国 の児 童 生徒 につ いて 、例 えば 、① 思 考 力・判 断 力・表 現 力等 を問 う読解 力や 記述 式 問題 、知識・技 能 を活 用 す る問題 に課題 が あ る。② 読解 力 で成 績 分布 の分散 が拡 大 してお り、そ の背 景 に は家 庭 で の学 習 時 間 な どの学 習 意 欲 、学 習 習慣 ・ 生活 習慣 に課題 が あ る。 ③ 自分 へ の 自信 の欠 如 や 自 らの将 来へ の不 安 、体 力 の低 下とい つた課題 な どが 見 られ るЮ。 これ らの 問題 点 を考慮 して 文部 科学 省 は新 学 習指 導 要領 にそ の改 善 と して 、次 の7項目を挙 げ て い る。 ① 改正 教 育 基本 法 等 を踏 まえた学 習 指 導 要領 改訂 、② 「生 き る力」 とい う理 念 の共 有 、③ 基礎 的 ・ 基本 的 な知識 ・ 技 能 の習得 、④ 思 考 力・判 断 力・ 表 現 力等 の育成 、⑤ 確 か な学 力 を確 立す るた め に必、要 な授 業 時 数 の確 保 、⑥ 学 習 意 欲 の 向 上や 学 習 習慣 の 確 立 、⑦ 豊 か な心や 健 や か な体 の育成 の た めの指 導 の 充 実 を基本 的 な考 え方 と して 、学 習 指 導 要 領 の改 善 の方 向性 を示 して い る3。 今 回 の指 導 要領 の改 善事 項 の 中 に理 数 教 育 の 充実 が 挙 げ られ る。
具 体 的 に は「科 学 技 術 の 士台 で あ る理 数 教 育 の 充 実 を図 るた め、国 際 的 な通 用性 、内容 の 系統性 、 小 ・ 中学 校 で の学 習 の 円滑 な接 続 を踏 まえて 、指 導 内容 を充 実 した こ と」 とな って い る。 そ の 中 で 「物 質・エ ネル ギー 」につ い て は 、「児童 が物 質 の性 質 や はた らき、状 態 の変 化 につ い て観 察 ・ 実験 を通 して探 究 した り、物 質 の性 質 な どを活 用 して ものづ く りを した りす る こ とにつ い て の指 導 に重 点 を置 い た 内容 を構 成 す る5。 また 、「エ ネル ギー 」 や 「粒 子 」 とい つた科 学 の 基本 的 な 見 方 や概 念 を柱 と して 内容 が 系統性 を もつ よ うに留 意 す る」 とな って い る。 例 えば、第3学年 にお
け る 「風 や ゴム の働 き」や 第6学年 「電 気 の利 用 」 の よ うに 、 これ まで に類 似 の 内容 の な い新 し い もので 、新 た な教材研 究 と と もに指 導 法 の開 発 が必、要 とな る もの が あ る。
122 福 田 靖
(3)A区
分 「物 質 ・ エネル ギー 」 分 野 の指 導 法 の 改 善「エネル ギー」 とい った科学 の基本 的 な見方や概 念 は、 さらに 「エネル ギー の見方」、「エネル ギー の変換 と保 存 」、「エネル ギー 資源 の有効利 用」に分 けて考 え られ る。「粒 子 」とい つた科 学 の 基 本 的 な見方 や 概 念 は 、 さ らに 「粒 子 の存在 」、「粒 子 の結 合 」、「粒 子 の保 存性 」、「粒 子 の もつ エ ネル ギー 」に分 けて考 え られ る3。 物 質 とエ ネル ギー領 域 の教材 は 、抽 象 的概 念 が多 く児 童 生徒 に とつて理 解 が 困難 な 内容 で あ り、観 察 。実験 も検 証 的 な性 格 が強 い。児 童 が 自 ら問題 を見 い だ し、
目的意識 を もつて観 察・ 実験 を行 な うこ とは 、 なお さ ら難 しい。 自然 を探 求す る能 力や 態度 を育 成 し、科 学 に対 す る知 的好 奇 心 を喚起 し将 来 にわ た って科 学 に興 味 を持 ち続 け させ る こ とも大変 な こ とで あ る。 上記 の点 を踏 まえて、物 質 ・ エ ネル ギー分 野 で は 「問題 解 決 の能 力 の育成 」 が最 も重 要 なテ ー マ とな ってい る。 このテ ー マ を実現 す るに は科学 的 な体験 を伴 った観 察 0実験 を各 学 年 ご とに繰 り返 し行 な うこ とが必 要 で あ る。 この こ とが実感 を伴 った理解 へ と進 展す る。
この分 野 の指 導 法 の改善策 と して次 の3点に絞 って要約 した。
①
「物 質・ エネル ギー」 にお いては内容構成 と して、児童 が物質 の性 質や働 き、状態 の変化 につ い て観 察 、実験 を通 して探 求 した り、物 質 の性 質 な どを活 用 して ものづ く りを体験 した りす る こ とにつ い て の指 導 に重 点 を置 い た 内容 の構 成 を図 る こ とで あ る。また 、「エ ネル ギー 」や 「粒 子 」 とい つた科 学 の基 本 的 な見 方や概 念 を柱 と して 内容 が系統性 を もつ よ うに常 に留意 して指 導 に あた る こ とも大切 で あ る。 これ に よ り子 どもた ちに、科 学 的思 考 力 を身 につ け させ 、科 学 的 な 探 究活 動 に親 しみ を感 じさせ る と ともに、論 理 的 ・合 理 的 に判 断す る力や 、適切 に表 現す る力 を 身 に付 け させ る こ とが重 要 で あ る。 また 、基礎 ・ 基 本 の定着 を 目指 す理 科 学 習指導 の充 実 が はか
られ る。
②
子 ども一 人 一 人 が観 察 、実験 の手続 きや 操 作 の意 味 を理解 し、用語や 技 能 の習得 を図 る指 導 の工夫 が必 要 で あ るc子 どもた ち 自 らの観 察 記 録 や 実験 デ ー タ を表 に整 理 した り、 グラ フに処 理 した りす る こ とに よ り考 察 を充 実 させ る こ とが で き る。 また 、それ らの表 や グラフを活 用 しつ つ 科学 的 な言葉 や概 念 を使 用 して考 えた り、説 明 した りす るな ど言語 活動 の充実 も深 め る こ とが で き る。
③
環 境 教 育 の推 進 の観 点 か らA区分 で は環 境 へ の負 荷 に留 意 した学 習 指 導 をす る。 環 境 につ い て は 「持続 可能 な社 会 の構 築 」 が世 界 的 な主要 テー マ にな つて い る。 そ の持続 可能 な社会 の構 築 のた め に理 科 にお い て 、環 境 に配 慮 した学 習 の 充 実 を図 る こ とが大切 で あ る。A区分 で は環 境 を と らえ る視 点 と して 、循 環 (具体 的 に は4年生 で の流 水 の働 きで取 り扱 う)、 有 限性 (具体 的 に は3年生 で の風 や ゴムの働 き、電 気 の通 り道 、光 の性 質 ;4年生 で は電気 0電流 の働 き とそ の利 用 、6年生 で は燃 焼 の仕組 み で取 り扱 う)、 保 全 (具体 的 には5年生 で の流 水 の働 きで取 り扱 う)
の3つが あ る。B区分 で は さ らに共 生 、多様 性 、生命 尊 重 、生命 の連 続 性 の視 点 が あ るll。
ま とめ
今 回 の改訂 で は、児 童 が 自然 との か か わ りの 中で 問題 を見 い だ し、見通 しを もつた観 察 、実験 な どを通 して 自然 の事 物 ・ 現 象 と科 学 的 にか か わ り、結 果や 結論 を生活 とのか かわ りの 中で見直 し、実感 を伴 った理解 を図 る こ とを重視 してい る。 そ の た めに、指 導 計 画 の作成 に 当た って は、
自然 の事 物 ・ 現 象 を対 象 と して観 察 、実験 や 自然 体 験 、科 学 的 な体験 を充実 させ る よ うな工 夫 が
小 学校理科A区分 にお け る新学習指導要領 の実際 123
必 要 で あ る。A区分 で は3つの新 しい 内容 (風や ゴム の動 き、物 と重 さ、電 気 の利 用)が追加 さ れ た。 また 、「理 科 で の ものづ く り体 験 活 動 の充 実 」、「理 科 で の言語 活 動 の 充 実 」、「理 科 で の環 境 教 育 の推 進 」 も指 導 要領 改 定 の重 要 な項 目で あ る。 これ か らの小 学校 理 科 教 育 の在 り方 と して 、
「生 き る力」 と しての科学 的 リテ ラシー の育成 と科 学技術 系人材 の育成 が、今 日の理科教育 に期 待 され て い る。
脚 注
1.新しい幼 稚 園 教 育 要領,小学 校 学 習 指 導 要領 及 び 中学 校 学 習 指 導 要領 の公 示 につ い て 。 http:www.mext.go.jp/b― menu/hOudou/20/0308032702.htm, 2009.
2.平成 20年 (2008年)告示,学習 指 導 要領,小学校 理 科. http://wwwo shinko― keirino co.」 p/, 2009.
3.文部 科 学 省 (2008)。 小学校 学 習 指 導 要領解 説,理科 編 。
http://www.mexto go.jp/a̲menu/shotou/new― cs/youryou/syokaisetsu/index.htm, 2008。
4.新しい学 習指 導 要 領 「生 き る力」 一文部科 学省.
http://www.mext.go.jp/a̲menu/shotou/new― cs/youryou/syo/rio htm, 2009.
5。 文部 科 学省 (2008)。 学校 教 育 法 施 行 規則 の一部 を改 正 す る省令 の制 定並 び に幼 稚 園 教 育 要領 の 全部 を改訂 す る 告示,小学校 学 習 指 導 要 領 の 全 部 を改 正す る告 示 及 び 中学校 学 習 指 導 要 領 の全部 を改 正 す る告示 等 の公 示 につ いて (通知)。 6 pp.
6.福田 靖 (2006a)。 幼稚 園教 育 要領 にそ く した野 外観 察 の 実践 ―動物 ・植 物 ・ 自然 を学 ぶ ―。九州 ル ー テ ル 学 院 大 学紀 要VIS10,No。 34:3136。
7.福田 靖 (2006b)。 保 育環境 にお け る飼 育動物 と栽培植 物 の役害1.九 州ルー テル学院 大学紀 要VIS10,No。 34:25‑29.
8.福田 靖 (2006c)。 幼 児 と育 て る飼 育 動物 ―魚類,両生類,甲殻 類,昆虫類 を中心 に した事 例 ―。九州 ル ー テ ル 学院 大学 紀 要VIS10,No.35:89‑95。
9。 文部科 学 省 (2008)。 小学校 学 習指 導 要領 解 説,生活編.
http://wwwo hao shotoku.ac.jp/gifusskenkyu/pdf/seikatsu.pdf#search, 2008.
10。 幼稚 園,小学校,中学校,高等 学校 及 び特 別 支援 学校 の学 習 指 導 要領 等 の 改 善 につ い て (答申).
wwwo mext.goo jp/a̲menu/shotou/now― cs/neWS/20080117.pdf, 2008.
11.小学 校 理 科 実践研 究 会 (2008)。 小 学校 新 学 習指 導 要領 の展 開 理 科編 。 180pp.,明 治 図 書 出版 株 式 会 社.