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−学習形態と木材塗装の現状分析−

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(1)

奈良県内中学校の木材加工教育に関する調査研究 

−学習形態と木材塗装の現状分析−

著者 谷口 義昭, 真井 英司, 水谷 克己, 吉田 誠

雑誌名 教育実践研究指導センター研究紀要

巻 4

ページ 15‑22

発行年 1995‑03‑31

その他のタイトル A Questionnaire Survey on Woodworking

Technological Education at Junior High School in Nara Prefecture −Analyses of the Actual Circumstances of the Learning Form and the Study of Wood Painting in the Woodworking Technologlcal Education Program−

URL http://hdl.handle.net/10105/4395

(2)

谷口義昭・真井英司・水谷克己(木材加工教室)

吉田誠(奈良教育大学附属中学校)

A Questionnaire Survey on Woodworking TechnologicalEducation atJunior High School in Nara Prefecture

Analyses of the Actual Circumstances of the Learnlng Form and

the Study of Wood Paintingln the Woodworking TechnologlCalEducation Program

平成5年度から新しい学習指導要領の基で、中学校技術・家庭科の授業が展開されている。奈 良県内の技術担当の教師を対象にして、授業の形態、塗装学習について実態調査を行った。その 結果、つぎのことが明らかになった。(1)1授業当たり30〜39名の生徒を対象としている学校が約 66%を占めている。男女共学になってから、個別指導に要する時間が著しく多くなっている。(2)

教材に使用する材料はアガチス材が最も多く、スギ、ヒノキ材等の国産針葉樹材の使用も多い。

教材費は1人当たり1,000〜1,999円が約半数を占めるが、材料費の高騰で上昇する傾向にある。

(3)塗装学習に対して教師の80%が「大変重要だ」「重要だ」と回答し、認識は高い。実際に過半 数以上の学校で塗装実習が行われている。(4)使用塗料は65%の学校で水性ニスが採用されている。

塗料を選定する理由として、生徒の安全面、仕上がりの美くしさ、作業の簡易さ、短い乾燥時間、

火気の安全性があげられた。(5)塗装学習に対する問題点として、塗装時間が取れないこと、乾燥 場所の確保の難しさが指摘された。

Key word:Woodworking technologlCal education,Learnlng Form,Wood palntlng Study l.はじめに

学習内容や形態が大きく変更した新学習指導要領の基で、中学校では平成5年度から新しい技 術・家庭科の授業が展開されている。新学習指導要領への移行期問を入れると現在までに数年が 経過しているが、この過程で学習上の問題が多々発生していると思われるが、これに関する異体 的な検討はまだ見られない。

さて、実践的・体験的な学習を通して知識や技術を習得することを目標とする技術・家庭科に あって、とりわけ木材加工領域においは実習学習にウェイトが置かれていることから、新学習指 導要領が授業の学習展開に及ぼす影響が大きいと考える。

木製品の製作は、一般に設計、部品加工、組み立て及び塗装の4つの工程からなっている。こ

のうち設計から組み立てまでの工程は、製品を製作する上で必ず必要であるが、塗装は仕上げ処

理であり、美的・化粧的な要素が強いために中学校の事情によっては省かれることがあると聞い

ている。そこで、新学習指導要領の実施によって塗装についての学習内容が最も大きく変わるこ

(3)

とが予想され、この実態を把握する必要があると考える。

これらの状況を考慮して、本研究は技術の授業形態の分析と、塗装の現状を把握して中学校で 適する塗装法を検討する基礎資料を得ることを目的に、県内の中学校を対象に実態調査を行い、

検討を加えた。

2.研究の方法 2.1調査対象

調査の対象は、奈良県内の国・公立中学校107校で技術教科を担当する教諭である。

2.2 調査方法

平成5年6月に奈良市以外の県内の中学校86校にアンケート紙を郵送した。奈良市内の国・公立 中学校21校は実際に訪問して、技術担当教諭と面接してアンケートの記入と、さらに詳しい内容 を聞き取り調査した。配布したアンケート紙を図1に示す。その主な内容は、①授業の規模、② 教材用の木材とその費用、③塗装学習に対する教師の意識、④実施状況、⑤問題点、である。

11授業当たりの生徒数は何名ですか㌧

(     )名 2 技術の櫻業で不都合なことはないですか。

3.木材加工の実習で使用されている木材は何ですか。また、材料にどのく らいのt用をかけていますか。

木材(      )  貞用(      円)

4 中学校技術で塗握を学ばせることrこついてどのように思われますか。該 当するものに○印を付けてください。また、そのように思われる理由も ご記入ください。

大Il霊j﹇ 饗だと思う。

が、確論だけで十分である が、実習だけで十分である 王事でない。

5.規在木製品の製作で塗装を行っていますか。隷当するものに○印を付け てください。

a はい        b いいえ 6.前質問目上にrはいJと答えられた方に質問します。

(1)塗装の捜叢はどのように行われていますか。該当するものに0印を 付けてください。

a.舘■を前もって行い、組立てが緒了した生徒から照次塗装させる。

b.組立てが終7した生徒から、随時講■をしつつ塗装させる。

C議義を前もって行い、組立ての終了を見計らって一斉に塗装させる。

d組立ての終了を見計らって讃我を行い、一斉に塗装させるn

(2)塗装の搾業には、どのくらい時間をかけていますか。また、なぜその ような時間数を絆川振られているか、その理由をご記入ください。

講義(        分)  作集暗闇(        分)

[理由      ]

(3)塗料は何を用いていますか。

〔       〕

(4)なぜ(3)の塗料を用いてLlるか、つぎの該当する項目rこ○印を付けて ください。

︑h′

らなて かれえらいら考かなけらて在る少かかえ性あがをい考全で間間Lを蛮半時時真性的簡るりが全体がかまり変身業かあ︵が的の作にに他上気徒義務叢の仕火生塑塗塗そ

(5)どのような工程で塗装を行ってい奮すか。

(例)素地研磨→日止め−Ⅰ下塗り−ナ研磨→上塗り

7 前質問5にrいいえJと答えられた方に質雇日.ます。

梁瀬を行わない理由をご記入ください。

[理由

8 塗装に関する問題点、ご意見がございよしたら自由にご妃入ください。

[      ]

アンケートにご協力いただき、ありがとうございよしたい

図1 配布したアンケート紙 3.結果と考察

奈良市以外の県内の公立中学校から50校の回答があり(回収率58.1%)、また対面調査を行った 奈良市内の国・公立中学校17校(残り4校は調査できず)を合わせると合計67校(合計回収率62.6

%)となり、これが分析の対象である。

はじめに、新しい指導要領の基での木材加工教育の実態を把握し、つぎに塗装学習について検

(4)

討を行う。

3.1技術・家庭科木材加工教育の実態調査 3.1.1授業の規模

質問『1授業当たりの生徒数は何名ですか。』に対する結果を図2に示す。30〜39名が約66%を 占め、多くの学校で多数の生徒を対象に授業が行われていることがわかる。19名未満の学校は15

%であり、これらは山間部に位置している。

『技術の授業で不都合なことはないですか。』の質問に対して、「男女共学になって、人数が2 倍になったことや、女子生徒に拇導時間の多くが費やされることから、授業が昨年に比べて大変

になった。」という意見があり、製作実習における個別の技術指導、安全教育等に細心の注意を払 わなければならなく、現場の教師の苦労が推察できる。また、「前期と後期に分けて授業を行った とき、生徒の評価が難しい。」という意見も多く見られた。このことについて奈良県技術・家庭科 研究会・木材加工部会が平成6年に行った調査1)では、授業形態を前期と後期に分けている割合が 41%、1年通しが59%の結果が示され、本研究のアンケートで指摘していた事項に対応している学 校が増えていることがわかる。

3.1.2 教材用木材とその費用

図3に教材用の木材名を示す。この結果から、使用されている樹種は南洋材のアガチス(アル マシガを含む)材が27%と最も多く、スギ、ラワン材の順である。以前の調査2)で最も多かった ラワン材は後退していることがわかる。これは南らが行った大阪府内の調査結果3)に類似してい る。ラワン材は合板の製造に多く用いられる樹種であり、昨今伐採量の過多で問題になっている 環境破壊に関係していることから、東南アジア諸国でその伐採量が著しく制限されて使用量が少 なくなったと推察できる。なお、アガチス材も南洋材ではありながら、使用量はラワン材ほど多 くないことから、現在のところあまり問題にはなっていない。なお、アガチス材は南洋材の中で は数少ない針葉樹材であり、加工が容易であること、狂いが少ないこと、道管がないために目止 め処理の必要がない、塗膜の密着性が良好な性質があることから、中学生の教材用木材として多 く採用されていると考える。

018 1(ト19 沿−29 :n−ノ39  華卜′

人 数  (人)

図2 1授業当たりの生徒数 図3 教材用の木材

(5)

以前あまり使用されていなかった国内産の針葉樹材が多く使われだしたことは注目される。特 にスギ及びヒノキ材の利用が高いのは、国内でも有数な林業地である県南部の吉野地方と高度な 加工技術を有する工場が多く集まっている桜井市周辺の中部地域であり、地理的な特性も大きく 作用していると考える。また、かねてから国産材を学校教育へ利用することを振興している林業

界の積極的な活動が、ここにきて効果が出てきている結果とも考えられる。

図4に教材用木材の費用を示す。1生徒当た  駒 り1,000〜1,999円が約半数を占め、続いて2,000

〜2,999円が35%である。地域の森林組合や製 材所に隣接する学校では、端材を利用するため 翌 に費用はゼロとの回答も見られ、地域との関わ 40 り合いも重要であることを示している。1986年 掛 の堀場の調査によると2)、1,000円以下が16%、沖 1,000〜2,000円が78%、2,000円以上が6%であ

り、本調査結果と同様に1,000〜2,∽0円の範囲 が妥当な教材費であることが分かる。なお、堀 場の調査に比べ本結果で2,000円以上の比率が 高くなったのは、近年の木材価格の高騰が影響 していることが明らかであり、このことが製作 実習費の上昇を招き、ひいては塗装学習の有無 に影響を及ぼすと考える。

0 1欄1∝沿、1!脚2∝X)ト2⑩9 3姐)、

費  用  〈円)

図4 教材用木材の費用

3.2 塗装学習

中学校指導書技術・家庭編のなかで、木材の塗装に関してつぎのように記述されている4)。「美 観を増し、製作品の吸湿を押さえて変形を防ぎ、傷や汚れを防ぐなどの目的を持っていることを

しらせる‥・。‥・使用する塗料の性質を考えて、刷毛塗り塗装などが的確にできるように する。塗装に当たっては、塗装面が湿度、日光、ほこりなどに影響されやすいので、塗装環境を 考えさせる。また、塗料や溶剤による火災や中毒などの事故のないように安全の確保に十分注意 をさせる。」。すなわちその内容は、塗装の意義、塗料の性質と種類、刷毛塗り塗装法、塗装環境、

安全性に大きく分けられる。ここでは、塗装学習についての教師の意識とその実態及び問題点を 検討する。

3.2.1塗装学習に対する教師の意識と実態   (0.胱)

1)塗装学習の意識

生徒に塗装実習を行わせることに対する教師 の意識をみると、図5に示すように「大変重要 だ」「重要だ」の回答が80%におよび、「重要で ない」の11%よりはるかに高い数値を示し、塗 装の重要性に対する教師の認識は高いことがわ かる。ここで重要だと思う理由の主なものは、

「木製品は塗装して完成品であり、素地だけで

皿大変重要である

E需要だが理論だけで十分である 屈重要だが実習だけで十分である 日あまり重要でない

麹必要ない 日その他

図5 塗装に関する教師の意識

(6)

は不完全である。美観と耐久性が向上するから。木製品を大切に扱うことが学ばせられる。塗装 作品に対して生徒の満足感が高い。将来塗装を行う機会が多い等々。」である。一方、重要でない 理由として、「実生活で塗装することはほとんどない。無塗装作品は手触りや暖かみを生かせるか

ら。塗装すると作品が汚くなるから。」であった。

2)塗装学習の実施状況

塗装学習の実施状況についての結果を図6に 示す。これから実際に塗装を行っているとの回 答が57%、行っていないが39%であり、過半数 の学校で塗装が実施されていることがわかる。

そこでさきの塗装に対する教師の意識と実際の 塗装学習の実施状況の関連性をみることにする。

結果を表1に示す。これから、数値が高いのは

「大変重要であり、実際に行っている。」が22%、 図6 塗装実習

つぎに「重要であるが塗装実習だけで十分であり、実際に行っている。」が19%である。なお、塗 装の重要さを認識しつつも実施していない学校が13%あり、これは諸般の事情により実施できな いと推察される。このことについては次項の塗装学習における問題点で触れることにする。教師 の意識と塗装実習の相関性をカイ2乗検定した結果、5%の有意水準で関係ありとはいえなかった。

表1 塗装に対する教師の意識と塗装実習の関係

塗 装 に 対 す る 教 師 の 意 識 大 変 重 要 だ 重 要 だ が 理 論 重 要 だ が 実 習 あ ま り重 要 で そ の 他

塗 装 だ け で 充 分 だ だ け で 充 分 だ な い

行 っ て い る 。 2 2 .4  4 ,4  19 .4  6 .0  4 .4 行 っ て いな い 。 13 .4  7 .5  7 .5  3 .0  7 .5 行 う と き も あ り 、 行 わ な い と きも あ る 。 1 .5  0  0  0  3 .0

カイ2乗値(め=8)こ12.75

3)使用塗料及び工程

塗装実習で使用されている塗料の種類を図7 に示す。塗料は製品によって多くの呼び名があ るが、ここではアンケート紙に記述されたなか で性状及び成分の別で6つの種類に分類した。

この結果から、中学校では水性ニスの使用が過 半数以上の65%を占め、最も一般的な塗料であ ることがわかる。つぎにウッドワックス、ラッ カ1の順である。このうちウッドワックスは刷 毛塗り学習でないために塗料として扱うかどう かは問題であるが、一応表面仕上げ剤であるこ とからここでは塗料の一種とみなした。聞き取 り調査によると、ウッドワックスは作業が簡単 で、失敗がないために使用される量が近年次第 に増えてきているとのことである。また、スギ 材を教材に使っている学校では、仕上げ処理と して「焼きすぎ」を行っているとの回答が数校

ウッドワックス

油性ニスポリウレタン

ラッカー水性ペイント

水性ニス

図7 使用する塗料の種類

(7)

あったが、この処理は分析対象からは除外した。

そこで、教師にこれらの塗料を選定した理由 を求めた。その結果を図8に示すが、このなか で一番多かったのは生徒にとって安全であるこ とである。つぎに仕上がりが美しいから、塗装 にあまり時間がかけられないから、作業が簡単 だから、火気の安全性を考えての順である。そ の他には、値段が安いこと、後始末が簡単であ ること等がある。

塗装の工程は、①素地研磨、②目止め、③下 塗、④塗膜研磨、⑤仕上げ塗りの2回塗りが64

%、①素地研磨、②冒止め、③仕上げ塗りの1 回塗りが23%、3回塗りが10%であった。技術・

家庭の教科書5)6)には水性塗料(ここでは水性 ニスが該当する)の2回塗りが塗装の工程例と して示されており、多くの学校もこれに準拠し ていることがわかる。

つぎに塗装実習に費やされる時間を図9に示 す。これから、90〜120分が最も多く、120分以 上、60〜90分の順である。2時限から3時限が塗 装に当てられていることがわかる。つぎに塗装 実習時間を製作のどの過程で取っているかをみ た結果を図10に示す。最も多かったのは、「講 義を前もって行い、組立てが終了した生徒から 順次塗装させる」で、つぎに「組立てが終了し た生徒から、随時講義をしっっ塗装させる」で ある。「一斉に塗装させる」のは24%であるこ とがわかる。なお、1回塗りは授業時間内に教 師の指導の基で行われるが、2回目は次週の授 業になったり、また空きの時間、例えば放課後 等でも行われている。塗装が早く終わった生徒 に対して、乾燥時間中に何をさせるかが問題だ との指摘もあった。

3.2.2 塗装学習における問題点

中学校指導書には、塗装の意義、塗料の性質 と種類、刷毛塗り塗装法、塗装環境、及び安全 性の学習が扱われていることは前述した。

塗装は木材の変形や硬さを増す性質があるこ とから、木材の性質に関する基礎的学習を行う

∬生絶房臓性を考えて   ∬火宗の安全性を考えて 田仕上がりカ嘆しいから     □塗装山一かる喝問力りなし功一ら 遥塗装にあまり嘲野かけちれないから囲その他

毘瑚悌1簡単だから

図8 塗料の選定理由

0〜40  40−・側 杖)、′謀) 恥120 12〔トノ

時 間 (分)

図9 塗装時間

組立ての終了を見計らって

図10 塗装実習の順序

(8)

ときに合わせて教示しているとの回答が多かった。塗料の性質と種類では、日常使う家具、什器 等の塗装は授業で使う水性ニスではないことから、授業での製作品と日常生活品の間には大きな 隔たりがある。水性ニスやその他の塗料で塗装した見本板等を準備して、生徒に提示することに よってこのことは解決できると考える。なお、家具、什器等に用いている塗料名は明記するよう に義務づけられており、これを見て塗料の性質、例えば熟や水に対する耐久性が理解できるだけ の基礎知識が習得できる教授法が必要と考える。

塗装学習では刷毛塗り塗装法について習得することを目標としているが、塗装の善し悪しは技 術だけでなく塗料や刷毛の種類にも影響を受ける。刷毛の始末が悪いために、後で塗装する生徒 が良好な塗装ができないことがあり、後始末の徹底を図る必要の指摘もある。貝体的な事例とし て、刷毛スジが出て困ったとか、末乾燥の塗膜の上に塗装をすることによって悪くなったことが あげられる。最近DIY店等にはラッカーを主流とするスプレー式塗料が多く販売され、日常生 活でも使われる機会が多くなったことから、これの使用法についても少し触れておく必要がある

と考える。

塗装の環境として、粉じん、湿度、通風条件の良いことが必要であるが、現実には生徒各自の 製作の進度にばらつきがあることから、狭い教室で片方では研磨を行い、もう片方では刷毛塗り 塗装を行っているという事例が多い。また、大規模校では塗装作業が重なると、乾燥する場所に 問題があるようだ。

塗料の選定理由で最も多かったものに、塗料に対する生徒の安全性があった。シンナー等の有 機溶剤を含む塗料は性能が良好であることは充分認識されてはいるが、中毒や火気の安全性を考 慮すると実際に使わせることができないのが現状であろう。有機溶剤の塗料やシンナーは鍵付ロッ

カー等に保管することが義務づけられているため、管理が難しく、塗料が盗難にあってもさほど 問題にならない水性ニスを多用しているとの具体的な記述も見られた。

3.1.1で既に指摘したが、塗装ができない理由として、男女共学になったことによって個別指導 の時間が多くなり、設計から組み立てまでの工程に授業の大部分の時間が費やされることにある としている。このため教師の指導があまり必要でないワックス処理が適すると指摘している。

最後に、学校によって事情は異なるが、塗料及び刷毛は教科に充当される製作実習費からの持 ち出しがあり、金銭的に苦しいとの指摘も見られた。

4.まとめ

本研究は奈良県内の技術の教師を対象に、平成5年度から実施された新学習指導要領の基での 授業形態と木材塗装の現状について調査を行った。得られ結果をまとめるとつぎのようである。

1授業当たり30〜39名の生徒を対象としている学校が約66%を占め、実習学習が多い技術の授業 ではその展開が厳しい現状である。また、男女共学になって個別指導の時間が著しく多くなって いる。教材に使用する材料はアガチス材が最も多いが、スギ、ヒノキ材等の国産針葉樹材の使用 も多く、奈良県が林業・木材加工県であるという地域性が顕著に現れたことがわかる。教材費は 1人当たり1,000〜1,999円が約半数を占めているが、材料費の高騰によって上昇する傾向にある。

塗装学習に対する教師の意識として、「大変重要だ」「重要だ」の回答が80%におよび、認識は

高いことがわかる。実際に塗装を行っているとの回答数が57%、行っていないが39%であり、過

半数の学校で塗装が実施されている。

(9)

使用する塗料は、生徒の安全面、仕上がりの美くしさ、作業の簡易さ、短い乾燥時間、火気の 安全性を考慮して、水性ニスが65%に及んでいる。また、最近塗料に変わってワックス仕上げを 行っている学校も次第に増加する傾向にある。

塗装の問題点として、塗装に要する時間が取れないことと、乾燥する場所の確保が難しい点が 指摘されている。

謝辞

本研究の調査にご協力くださいました、奈良県内の中学校技術科の先生方にお礼を申し上げま す。

文献

1)奈良県技術・家庭科研究会:平成6年度奈良県中学校技術・家庭科研究大会要旨集(1994).

2)日本木材学会編:木材と教育,海青社,p.93(1991).

3)南良治,宮川秀俊,高部和子:日本産業技術教育学会誌,34(D,pp.49−53(1992).

4)文部省:中学校指導書技術・家庭編,開隆望,pp.11−20(1989).

5)石田晴久,中馬敏隆,阿部明子,渋川祥子編集代表:新しい技術・家庭上,東京書籍,p.45(1992).

6)鈴木寿雄編修代表:技術・家庭上,開隆堂,pp.48−49(1992).

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