1. 緒 言
近年, 「自分の責任で自由に遊ぶ」 をモットー に, 従来の都市公園では禁止されている廃材を利 用した木工, たき火, 料理, 穴掘り, 木登りなど, 子どもの遊び心を刺激する遊びを可能にする 「冒 険遊び場」 の活動が, 日本各地で増加している。
冒険遊び場とは, 年にデンマークで造園家 によって始められた 「廃材遊び場」 の活動に端を 発し, その後, ヨーロッパ, アメリカの各地に波
及した 1) 。 日本では, 年に東京・世田谷区に おいて 「羽根木プレーパーク」
注1)が行政と住民 の協同運営により開設された。 その後, 年代 後半より日本各地に広まり, 年 月現在, 全 国で約 ヶ所の冒険遊び場が活動している
注2)。 冒険遊び場は主に小学生対象の遊び場であると 捉えられがちであるが, 日本におけるその成り立 ちをみると, 乳幼児の保護者や子育てサークルが 遊び場を立ち上げ, 運営や活動に参加している例 神戸女子大学家政学部紀要, ,
冒険遊び場における乳幼児を対象とした活動実態
―首都圏の冒険遊び場運営団体を対象とした調査結果―
梶 木 典 子
神戸女子大学 家政学部 梶木研究室
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が多いことがわかる。 都市化が進み閉塞的な育児 環境のなかでの, 乳幼児期だからこそ冒険遊び場 が必要とされているともいえる。
これまで, 冒険遊び場における小学生の利用実 態に関する研究は行われているが 2〜5) , 乳幼児 を対象とした研究はみられない。 そこで, 本研究 では, 乳幼児の冒険遊び場の利用実態を明らかに し, 乳幼児の冒険遊び場の活用を推進するために は何が必要であるのかを明らかにすることを目的 とする。
2. 研究方法 2.1 調査の概要
本研究では, 冒険遊び場活動団体が多く存在す る首都圏 (一部, 川崎市を含む) で実施した。 活 動中の冒険遊び場運営団体を対象に, 利用実態や 乳幼児の遊びに対する環境づくりへの実践やニー ズなどについて, 留置自記法によるアンケート調 査を行った。 調査期間は 年9月〜 月。 配布 数 票のうち回収数は 票, 回収率は %であっ た (表1)。
2 2 回答団体の概要
回答団体の概要を表2に示す。 運営主体は,
「主たる活動として冒険遊び場を行う市民活動グ ループ」 ( 団体) が最も多く, 対象児の年齢は, 表1 調査の概要
調査対象 首都圏で活動中の冒険遊び場運営団体 調査方法 質問紙調査 (留置自記法) 配布/回収方法 郵送配布/郵送・回収
調査期間 年9月〜 月
回収率 %(有効回収数 票 配布数 票)
表2 回答団体の属性
無回答を除く
*1 全国は,
法人冒険遊び場づくり協会が実施した 「第3回冒険遊び場実態ア
ンケート調査」 (年5月〜7月実施)」 結果より引用
回答団体 全国
*実数 % % 運営主体
( )
主たる活動として冒険遊び場
を行う市民活動グループ
上記以外の市民活動グループ
行政
その他
対象児の年齢 ( 複数回答)
乳幼児
小学生低学年
小学生高学年
中学生
〜 歳 歳以上 活動回数
( )
週5回
週3〜4回
週1〜2回
月1回〜数回
年数回
不定期
主な活動場所 ( )
都市公園・児童遊園等
その他の公共管理地
私有地
その他
プレイリーダー ( )
いる
いない
大半の団体が 「小学生低学年」 ( 団体), 「乳幼 児」 ( 団体) を対象としていた。 活動回数は
「月1回〜数回」 ( 団体), 「週5回」 7団体であ る。 主な活動場所は, 「都市公園・児童遊園」 ( 団体) が最も多かった。 プレーリーダーは, 「い る」 ( 団体) が 「いない」 ( 団体) より多かっ たものの, その雇用形態は常勤, アルバイト, ボ ランティアなど様々であった。
3. 結果および考察
3−1 乳幼児を対象にしたプログラムの実施状 況
回答団体の冒険遊び場において, 乳幼児を対象 にしたプログラムがあるかどうかをたずねた (図 1)。 「ある」 が %, 「ない」 が %であっ た。 「ある」 と回答した 団体のプログラムの内 容は, 「乳幼児向けの遊びの会」 ( 団体) が最も 多く, 「親のための講座・学習会」 (9団体) と続 く。 プログラムを実施した動機や経緯は, 「小学 生の利用が少ない平日の午前中を, 乳幼児の外遊 びのきっかけをつくるため」, 「乳幼児を持つ親同 士の出会いの場やたまり場を提供するため」 とい う回答が多かった。 乳幼児対象のプログラムは, 乳幼児に対し外遊びの楽しさを体感させることが 大きな目的ではあるが, 「子育て支援」, 「親育て」
をも意識して実施している団体が多いことがわか
る。 一方, 実施していない団体のその理由は 「特 に乳幼児に限定していないから」, 「まだ, 活動を 始めてから日が浅いため」, 「人材不足・資金不足 のため」 などであった。
3−2 乳幼児の遊びのための遊具や道具の配備 状況
乳幼児の遊びのために, 遊具や道具を用意して いるかどうかをたずねたところ, 「用意している」
団体は %, 「用意していない」 は %であっ た (図2)。 用意している遊具や道具の内容は, 多い順に, 「ロープ遊具」, 「乗り物遊具」, 「工具 や工具台」 であった。 乳幼児のための遊具や道具 に施している工夫・対策としては 「遊びやすいよ うに, 乳幼児の体寸法に応じた (小さめ) 遊具を 用意している」, 「危険防止対策を施している」,
「休息場所を設ける」 などがみられた。 一方, 用 意していない理由は, 「特に乳幼児用としては用 意していない」, 「乳幼児は自然の素材 (草花, 土, 木, 水) で遊んでいるので, 特に必要ないから」
など, あえて用意していないという意見がある反 面, 「資金・人材が不足」, 「そこまで, 手が回ら ないから, 考えが至っていないから」, 「活動が未 成熟」, 「保管場所がないから」, 「活動場所が固定 されていないから」 など運営側の事情によるもの もみられた。
( )
図1 乳幼児を対象にしたプログラムの有無
( )
図2 乳幼児の遊びのための遊具・道具の配備状況 ある, %
( 団体)
ない, % ( 団体)
用意している % ( 団体)
用意していない
% ( 団体)
3−3 乳幼児の遊び内容
冒険遊び場において展開されている遊び内容 ( 内容) を予め抽出し, 「冒険遊び場だからこ そ可能な乳幼児の遊び」 と, 「乳幼児の心身の発 達過程において必要だと思われる遊び」 をたずね た (表3)。 「冒険遊び場だからこそ可能な乳幼児 の遊び」 の遊び内容では, 「土に穴を掘る」, 「火 で物を燃やす」, 「炎を見る」, 「木に登る」, 「火を あおぐ」 が上位を占め, いずれも 「火・土」 を利 用した遊びであった。 「乳幼児の心身の発達過程 において必要だと思われる遊び」 は, 「泥の感触 を楽しむ」, 「斜面をのぼる, すべりおりる, かけ
おりる」, 「裸足の感覚を体験する」, 「動物を抱く, なでる」 が上位を占め, 五感を使った遊びが中心 であった。
3−4 乳幼児の親の冒険遊び場に対するニーズ 乳幼児の親は何を求めて冒険遊び場に来ている のかをたずねた (図3)。 「子どもを自由に遊ばせ ること」 ( %) が最も多く, 「子どもを土や泥や 水などで遊ばせること」 ( %) と続き, 次いで
「 親 自 身 が 遊 び 場 に 興 味 や 関 心 が あ る の で 」 ( %) や, 「親自身が仲間や友人を作ること」
( %) が多かった。 親自身が自己のためにも何
表3 遊び内容
◆ 「冒険遊び場」 だからこそ可能である乳幼児の遊び ◆乳幼児の心身の発達過程において必要だと思われる遊び
順位 遊び内容 実数
土に穴を掘る
火で物を燃やす
炎を見る 木に登る
火をあおぐ
掘った穴に自分が入る
ノコギリやナイフで木を切る, 削る
たき火で温まる
火を消す (踏む, 何かをかける)
泥の感触を楽しむ
クギを打つ・クギを抜く
煮炊きをする
順位 遊び内容 実数
泥の感触を楽しむ
斜面をのぼる, すべりおりる, かけお
りる
裸足の感覚を体験する
動物を抱く, なでる
声を出す
土を丸める・形づくる
寝転ぶ
人と力を合わせる
葉や石の下や土の中の生き物を見つけ
る
土に穴を掘る
虫を捕まえる
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図3 乳幼児の親が冒険遊び場に求めているもの
かを求め (子育て情報や仲間・友人など), 子ど もと一緒に冒険遊び場に遊びに来ていることがう かがえた。
3−5 乳幼児の遊び場としての冒険遊び場の活 用推進方策
乳幼児の遊び場として冒険遊び場の活用を推進 するのに必要な 「活動内容」 (図4) と 「遊び環 境」 (図5) をたずねた。
活動内容は, 「乳幼児の外遊びの大切さをアピー ルする活動に力を入れる」 が %で最も多く,
「乳幼児向けの遊びの会などをミニイベント的に 開催する」, 「子育ての場の情報発信基地として, 地域の子育て情報などを発信する活動を行う」
(各 %) と続いた。 一方, 「今のままで十分で ある」 ( %) は最も少なかった。
遊び環境は, 「乳幼児でもダイナミックに遊べ るように工夫する」 ( %) が最も多く, 「親が
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図4 冒険遊び場の活用を推進させる方法:遊び内容
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