確率論 I 練習問題
2011/01/12, 西岡
1 組み合わせ
問題1.1. 10人から 4人のリレーチームを選ぶ. (i) 走る順番を考えると,何通りのチームが選べるか?
(ii) 走る順番を考えずに, 4人を選らぶと何通りのチームが選べるか?
問題1.2. (i) 3 を2 個, 5を3 個使い, 5桁の数字を作る. 何種類の数字ができるか? (ii) 3を2個, 5を3個, 4を2 個使い, 7桁の数字を作る. 何種類の数字ができるか? 問題1.3. 下の図は AからB までの経路図だが↑,→,%方向のみに移動が可能である.
(i) AからB という道筋で最短のものは幾つあるか? ただし「斜めの移動」は「縦+横」や「横+縦」より短い. (ii) AからB という道筋は幾つあるか? ただし最短と2番目に短い道筋のみを考えよ.
A
B X
Y
Z
2 確率空間, 条件付き確率, ベイズの定理
問題 2.1. ある銀行への融資申し込みは 40 %が優良企業である. 優良企業からの申し込みは 90 %の確率,そ うでない企業からの申し込みは20 %の確率で審査を通る. この銀行の審査を通過した企業が優良である確率を 求めよ.
問題2.2. ある試験では,問題が 5問,解答が4 択になっている. 全ての問題にランダムに解答したとき, 2問正 解となる確率を求めよ.
問題2.3. 2 つの箱がA, Bあり,箱Aは 赤玉60個,白玉40個,箱Bには 赤玉10個,白玉20個が入ってい る. 箱A, Bのどちらかを等確率で選び,玉を一つ取り出す.
(i) 取り出した玉が 赤である確率p1を求めよ.
(ii) 取り出した玉が赤であるとき,それが 箱 Aから取り出された確率p2を求めよ.
問題2.4. 100 枚の中に2 枚の当たりa, bがあるクジ引きを行う. Xが4枚のクジを引いた. (i) Xが 当たりa を引くとするとき,彼が両方の当たりを引く確率p1を求めよ.
(ii) Xはa, bのうち少なくとも1つを引くとするとき,彼が両方の当たりを引く確率p2 を求めよ.
問題2.5 (1999年アクチュアリー,難問). 1家族に子供がn人いる確率は (1−p)pn (
n >0, 0< p <1) で ある.
子供が男である確率および女である確率は, ともに1/2 とする. 有る家庭に男の子供がk 人いる確率を求 めよ.
3 確率変数の平均, 分散, 共分散
問題3.1. 次の確率変数X にたいし,E[X], σ2[X], E[2X], σ2[2X],を計算せよ.
確率 2/6 1/6 2/6 1/6
X の値 0 1 2 3
問題3.2. 不良品発生率10%の製品がある. その中から,サンプルを四つ取り出す. k回目に取り出したサンプ ルにたいし,
Xk ≡
{ 1 サンプルが不良品
0 サンプルが良品, k= 1,· · · ,4 とおく.
(i) 確率変数X1 の平均と分散を求めよ. (ii) 確率変数X2 の平均と分散を求めよ.
(iii) 確率変数S≡X1+· · ·+X4 の平均と分散を求めよ. (ヒント: X1,· · ·, X4 は,それぞれ独立なベルヌイ試行.)
問題3.3 (2006年公認会計士試験). 表が出る確率がp,裏が出る確率1−pのコインをn 回投げた. このとき, 表が出た回数をSn とする.
(i) 確率変数Sn の平均 E[Sn]および分散 V[Sn]を求めよ.
(ii) p= 0.5 であるコインを10回投げ,各回毎に表が出れば1歩前に進み,裏が出れば1 歩後ろに進む. 10回 投げ終わったときに元の位置にいる確率を求めよ.
(iii) p= 0.5であるコインを10回投げたとき, 6歩以上前進している確率を求めよ.
問題3.4. 2つの株式A, B の1期当たりの収益率( 1単位当たり)を,それぞれRA,RB とする. 更に固定金利 2%の国債がある.
RA, RB は確率変数で,
E[RA] = 0.05, E[RB] = 0.1, σ2[RA] = 4, σ2[RB] = 16, で,両者の相関係数は-0.5である.
このとき,株式Aにx単位,B にy 単位,国債に z単位,投資する.
(i) 1期当たりの平均収益額が6 単位となるポートフォリオI(z)をz で表せ. ただし
x+y+z= 100単位. (ii) このポートフォリオI(z)のリスクが最少となるz を求めよ.
4 解答
[問題1.1解答] (i) 10·9·8·7 = 5040. (nPk =n·(n−1)·(n−k)と表記するので,答えは 10P4 でもよい.) (ii) 10C4= 10·9·8·7
4·3·2·1 = 210.
[問題1.2解答] (i) 5 個の箱があり,数字3 を2個入れる場所を選ぶ. 5C2= 5!
2! 3! = 5·4 2! = 10.
(ii) 7個の箱があり,まず数字 3を2個入れ,次に 数字5 を3 個入れる場所を選ぶ.
7C2·5C3= 7!
2! 5! · 5!
3! 2! = 5·4
2! = 7!
2! 3! 2! = 210. 2
[問題1.3解答] (i) 最短で行くには,%を使うので,Y に到着しなければならない. Y にいく最短路は 3C1 = 3.
(ii) X に行く道筋は3C1= 3,X →B の道筋は1. Z に行く道筋は 1で,Z →B も1. またY →B という 道筋は3. よって3·1 + 3·3 + 1· · ·1 = 13.
[問題2.1解答] 優良企業の申し込み件数をx,それ以外の企業からの申込件数をyとする. 審査を通過した企業 の数zはz= 0.9x+ 0.2y. 一方 y/x= (1−0.4)/0.4 = 1.5. これより
審査を通過した企業が優良である確率= 0.9x
z = 0.9x
0.9x+ 0.2y = 0.9x
0.9x+ 0.2·1.5·x= 0.75. 2 [問題2.2解答] 「1 問当たりの正答確率は1/4」のベルヌイ試行. よって2 問正答である確率は
5C2(1 4
)2(3 4
)3
= 135
512 ∼0.264. 2
[問題2.3解答] 事象を次で定義: A =箱Aを選ぶ, B =箱Bを選ぶ, R =取り出した玉が赤, W = 取り出し た玉が白.
p1=P[R] =P[R∩A] +P[R∩B] =P[R/A]·P[A] +P[R/B]·P[B] = 60 100 ·1
2+10 30· 1
2 = 7 15. p2=P[A/R] =P[A∩R]
P[R] =P[R/A]·P[A]
P[R] = 60 100 ·1
2 ·15 7 = 9
14. 2
[問題2.4解答] A で当たりクジaを引く, B で当たりクジbを引く事象とする. まず P[A] = 99C3
100C4 = 99!
96! 3!· 96! 4!
100! = 4
100 =P[B].
P[A∩B] = 98C2
100C4 = 98!
96! 2!·96! 4!
100! = 4 100 · 3
99. P[A∪B] =P[A] +P[B]−P[A∩B] = 2· 4
100 − 4 100· 3
99 = 13 165. あとは条件付き確率の定義に従って,
p1=P[B/A] = P[A∩B]
P[A] = 4 100 · 3
99·100 4 = 1
13. p2=P[A∩B/A∪B] = P[A∩B]
P[A∪B] = 4 100· 3
99·165 13 = 1
65. 2 [問題2.5解答] (難問) Step 1. n人子供がいて,男の子がk人で有る確率Q(k, n)は
Q(k, n) = (1−p)pnnCk (1 2)k(1
2)n−k = (1−p)nCk (p
2)n, n≥k.
よって,男の子供が k人いる確率は
∑∞ n=k
Q(k, n) =
∑n
n=k
(1−p)nCk (p 2)n この和は直接計算できない. 母関数を使う.
Step 2. |s|<1 なる実数sにたいし, R(s)≡
∑n k=0
sk ∑
n≥k
Q(k, n) =
∑∞ n=0
∑n k=0
Q(k, n)sk
=
∑∞ n=0
∑n
k=0
(1−p) (p
2)n nCk sk = (1−p)
∑∞ n=0
(p
2)n (1 +s)n= 1−p 1−p(1 +s)/2. となり,
∑∞ n=k
Q(k, n) = 1 k!
dkR(s) d sk
s=0
を計算すればよい. Step 3. dk
d xk 1
1−x = k!
(1−x)k+1 だから 1
k!
dk
d skR(s) = 1
k! (1−p) k! (p/2)k (1−p(1 +s)/2)k+1. よって,
∑∞ n=k
Q(k, n) = 1 k!
dkR(s) d sk
s=0
= (1−p) (p/2)k (1−p/2)k+1 . 2 [問題3.1解答] X の分布表より
確率 2/6 1/6 2/6 1/6
X の値 0 1 2 3
X2の値 0 12 22 32 となるので,「平均値/分散の計算ツール」を使うと,
E[X] = 0·2 6 + 1·1
6 + 2· 2 6+ 3·1
6 =8 6. σ2[X] =E[X2]−(
E[X])2
= 02·2
6 + 12·1
6 + 22· 2
6+ 32·1 6 −(8
6)2= 11 9 . 2X はX から作られた新しい確率変数で,その確率分布は以下の通り:
確率 2/6 1/6 2/6 1/6
X の値 0 1 2 3
2X の値 20= 1 21= 2 22= 4 23= 8
E[ 2X] = 20·2
6 + 21·1
6 + 22· 2
6+ 23·1 6 = 10
3 σ2[ 2X] =E[ 22X]−(
E[ 2X])2
= 22·0· 2
6+ 22·1·1
6 + 22·2·2
6 + 22·3·1 6 −(10
3 )2= 17−100 9 =53
9 . 2 [問題3.2解答] ベルヌイ試行Y が
P[Y = 1] =p, P[Y = 0] = 1−p
とすると,
(4.1) E[Y] = 1·p+ 0·(1−p) =p, σ2[Y] = 12·p+ 02·(1−p)−p2=p(1−p).
(i) X1 はベルヌイ試行で, (4.1)でp= 0.1. つまり
E[X1] =p= 0.1, σ2[X1] =p(1−p) = 0.1(1−0.01) = 0.09.
(ii) X2 もX1 と同じ確率分布をもつから,
E[X2] = 0.1, σ2[X2] = 0.09.
(iii) X1,· · ·, X4 は独立で同分布. 「平均値/分散の計算ツール」から E[S] =E[X1] +· · ·+E[X4] = 4·0.1 = 0.4,
σ2[S] =σ2[X1] +· · ·+σ2[X1] = 4·0.09 = 0.36. 2 [問題3.3解答] 確率変数 Xk を
Xk=
{ 1 k回目のコイン投げで表がでた時 0 k回目のコイン投げで裏がでた時 とおく. すると Sn=X1+X2+· · ·+Xn であり, ‘勝率pの2項分布’に従う:
P[Sn=k] =nCk pk (1−p)n−k, k= 0,1,· · ·, n.
(i) Sn の平均と分散を2項分布から求めるのは面倒. Sn は独立, 同分布の確率変数の和だから E[Xk] = 1·p+ 0·(1−p) =p, σ2[Xk] = 12·p+ 02·(1−p)−p2=p(1−p).
これより
E[Sn] =n p, σ2[Sn] =n p(1−p).
(ii) 10回投げて元の位置にいるから,表が出た回数は5 回. P[S10= 5] =10C5(1
2)5 (1
2)5= 10!
5! 5! (1
2)10= 252
1024 '0.247. . . (iii) 10回投げて6 歩以上前進しているから,表が出た回数は8 回以上.
P[S10≥8] =P[S10= 8] +P[S10= 9] +P[S10= 10]
=10C8(1 2)5 (1
2)5+10C9 (1 2)5 (1
2)5+10C10 (1 2)5 (1
2)5= (45 + 10 + 1) (1 2)10
= 56
1024 '0.0547. . . 2 [問題3.4解答] (i) 次の連立方程式の解:
x+y+z= 100, 0.05·x+ 0.1·y+ 0.02·z= 6,
⇒x= 80−1.6z, y= 20 + 0.6z.
(4.2)
(ii) I(z)のリスクは分散で評価できる. (4.2)を使って,
σ2[I(z)] =σ2[x·RA] +σ2[y·RB]−2 Cov[x·RA, y·RB]
=x2·4 +y2·16−2xy·0.5·√ 4·16
= 4x2−8xy+ 16y2= 4(x−y)2+ 12y2
= 592
25 z2−768z+ 19200
= 592 25
(z− 25 592·768
2 )2
+ 19200− 25 592·(768
2 )2
= 592 25
(z−600 37
)2
+48×104 37 . よって,z= 600
37 のときσ2[I(z)]は最低となる. (0≤z≤50でないと,xが負になるがこの条件はOK. ) 2