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第四紀地殻変動から見た静岡・大崩海岸の山崩れ災 害

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第四紀地殻変動から見た静岡・大崩海岸の山崩れ災

著者 土 隆一

雑誌名 静岡大学地学研究報告 : 地学しずはた

巻 3

号 1

ページ 37‑41

発行年 1972‑09‑30

出版者 静岡大学理学部地学教室

URL http://doi.org/10.14945/00005797

(2)

静両大学地学研究報告 3巻 第 1 1972

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第四紀地殻変動から見た静岡・大崩海岸の山崩れ災害

1  . ま え が き

昭和46年7月5

B

に発生した大崩海岸の山崩れ と同様な崖崩れ、あるいは崩壊、滋石等は、従 来もしばしばこの海岸で、起っているO このような崩壊の原悶については基本的にはこの地域が属する フオッサマグナの地質学的特徴からきていると考えられ、地質構造、岩石の性質、風化状態等色々な 面から指摘することができるが、ここでは第四紀地殻変動の観点から考察してみるO

2 .   大崩海岸の地形的特徴

岡北方の竜爪山 (1040m) をつくるアルカり火山岩類を主とした地層(竜爪層群〕およびその 山稜の甫への延長が海に突き出したところ、そこが大崩海岸であるO 地形図 (1 :25,000,焼津〉を 見ればすぐわかるように、 449mの山地が海に迫り、谷部分の凹所を除いて浜は発達していない〈第 l関A)。そして、海の方にのびる尾根を三角形に裁った典型的な急斜面の海食崖地形が数ケ所発達 しているのが見られる(第 l図C)0 今回の山崩れもその海食崖地形の 1つで生じているO ここでは 海食躍の高さは 250m、平均傾斜370に達するOつまり、この地域では現在海食が進行しつつあると考

えてよい。

海食の状態を調べるため、明治 22年 (1889年〉 の地形図 (1 20,000,宇津谷峠〉を見ると (第 1図B)、当時は虚空蔵山を除いでほぼ全海岸にわたって巾 60 160 mの浜が発達し、そこに 道路がつくられていることがわかるO 現在では道路は崖をカットして斜面上にとりつけてあるO 地 形 図の精度が当時と現在では違うとしても、当時から現在にかけて浜の砂擦はほとんど運び去られ海食 がすすんだと考えることができるO こ の 地 域 の 地 形 に つ い て は 岩 橋 ・ 木 宮 (1972 )にも詳しく述べ

られているO

海底地形調査(三沢・星野・杉山, 1972)に よ る と ‑15 mまでの面が海岸に沿って 1Kmの巾で発 達しているが、これは最近地質時代、おそらく約 6,000年B.九以来の波食の進行を示すものと筆者は

考えているO

静岡大学理学部地学教室

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3 .   大崩海岸の第四紀地殻変動における位置

第2図は東海地方の第四紀地殻変動図で、これについてはすでに詳しく述べた(土, 1968; TSU  CHI, 1970)ように、現在の沖積海岸平野Aに比較すると B、Cはそれぞれ洪積世牧ノ原期、(下末

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2図 東臨地方第四紀地殻変動因

:.現在の沖積海岩手野の等高線、 B:牧ノj京期沖積搬岸平野(洪積世後期)の変位をあらわす C:小笠期沖積海岸平野(洪積世中期〉の変位をあらわす

‑40 

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吉期〉、小笠期の沖積海岸平野面が変位した姿をあらわしていると考えてよい。

ここで、静岡市西南方にあたる大崩海岸の位置を見ると、この地区はまさに舟底型沈降区の中心近 くにあたっているO つまり、この地区は洪積世中頃の小笠期以来沈降をつづけているわけであるO

前述したように、大崩海岸の海食が現在進行しつつあるのもその背景としてそこが最近地質時代以 来の沈降区にあたっていることによると筆者は考えているO

この地区が沈降域にあたることについては、付近に段丘が顕著に発達しないことや、焼津側で低地 が山地の谷奥まで入りこみ、沈降山地の地形をあらわしていることO またE 現在、沈降しているかど うかについても、最近の東海道に沿う水準線路の検測結果を見ると、静岡一焼津地民がひきつづき沈 降していることがよくあらわれているO この速度は最近66年間の駿河湾沿岸の沈降速度最大4肌/年

(檀原, 1968)に近いものと思われるO

このように沈降がすすむとも海岸に多量の砂礁が供給されて堆積することでもない限り当然、海食崖 の後退はつづくであろうO 明治時代当時の浜辺の発達については、大井川河口からの砂礁の多量の供 給が考えられないこともなし¥ 0 しかし、そうとしても現在は大井川における人工的な砂磯の採取で 時より供給が多くなることは期待できなし1 0 そうすると海食崖は後退することによってますます高く な れ か っ 、 急 斜 面 を な す よ う に な り 、 そ の 結 果 必 然 的 に 特 に 海 食 崖 部 分 で の 崩 壊 が 今 後 も ひ き つ づ

くことが予測されるのであるO したがって、今後の防災にあたっては、海岸侵食の進行あるいは海食 の後退を考慮、して対策をすすめる必要があるO

文 献

樟掠 毅 (1968)  : Iヨ本における過去的年間の上下変動 ,N.中部地方測地学会誌M3(2), 66‑74. 

岩橋 徹・木宮ー邦(1972) :静岡市石部大崩梅岸道路の大崩壊の実態・要因および防災上の問題点 静岡大学地学研究報 3(1), 

三沢良文・星野通平・杉山隆二(1972) :大崩海岸沖の権底地形と地質 静岡・大崩海岸の山崩れ災害研究報告論文集, 51 

‑ 57. 

土 隆 一 (1968) :開析扇状地から知られる地殻変動第四紀研究, 7 (4), 225"‑' 234 . 

TSUCHI .R. (1970) : Quaternary Tectonic Map of Tokai  Region

, 

Pacific Coast  of  CentraI  Japan. Rep' Fαc. S c iShizuokαUniv 5, 103 ‑114 . 

参照

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