• 検索結果がありません。

平成16年地価公示について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "平成16年地価公示について"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

[ 第 9 8 回 講 演 録 ]

平成16年地価公示について

国土交通省土地・水資源局 地価調査課地価公示室長 森 義一

ただいまご紹介いただきました国土交通省地価調査課地 価公示室長の森でございます。

本日は、平成16年地価公示の結果の概要につきまして 資料に沿ってご説明いたします。

例年ですと、地価調査課長が参って説明しておりました が、ただいま地価公示法の一部を改正する法律案が国会に 提出されておりまして、各関係機関方面へ根回しに奔走し ております。本日、参ることができませんので、私がかわ ってご説明をさせていただきます。

なお、この地価公示法の一部改正と申しますのは、都市 計画区域外の一部地域についても地価公示の対象にしよう というような改正でございます。

1.概要

地価公示は標準地と申します全国の都市計画区域内の3 万余りの地点につきまして、毎年1月1日時点の正常な土 地の価格を土地鑑定委員会が判定し、公示するものであり ます。まず16年度の概要を申しますと、地価は13年連 続して下落しております。しかし、昨年の地価公示で見ら れました東京都区部を中心とした地価の下げ止まり傾向が 今年は一段と拡大、鮮明化してきております。更に他の圏 域の中心都市、名古屋、札幌、福岡の一部にも現れてきて いることから、地価の動向に変化の兆しが見られるという ふうに考えております。しかしながら一方では、それ以外 の地方では下落傾向が続いていまして、むしろ拡大傾向に あるというのが今回の地価公示の結果でございます。

まず住宅地ですが、16年は5.7%下落しております

(P. 1)。そしてその下の三大都市圏平均でも5.7%、

一番下の地方圏でも5.7%とちょうど5.7%でそろい

ました。この中で一番ましなのが東京圏で4.7%の下落 でございまして、14年から3年間見ますと、次第に下落 の幅が小さくなってきていると思います。大阪圏、大阪、

名古屋は8%台で出たり入ったりということでございます。

地方圏は逆に年々下落が拡大していると傾向にございます。

そして、今年はとうとう全国平均と地方圏が並んでしまっ たということでございます。

その下の商業地ですが、7.4%の下落をしております。

住宅地よりも下落幅は大きいのですけれども、下落傾向は 少しずつ小さくはなってきているということが見てとれる と思います。三大都市圏は5.8%の下落でございまして、

明らかに良くなっています。その中でも東京圏は4.5%

の下落となっており、顕著に良くなってきていると言える と思います。大阪圏は良くはなっていますものの、まだま だ10%ぐらいの大きな下落はしております。それから、

一番下の地方圏は8.7%の下落で昨年と同じになってお りますが、下落幅は拡大傾向にあるということが言えると 思います。

この東京圏、大阪圏、名古屋圏の区別はこの(注)4に 書いていますように、首都圏整備法、近畿圏整備法等の既 成市街地、近郊整備地域を含む市町村の区域がその主な圏 域でございます。例えば埼玉県でしたら一部が東京圏、一 部が地方圏というふうになるわけでございます。

次にバブルのピーク時からの下落率はどのぐらいかとい うことでございます。 2ページに全国における地価の推 移がございますけれども、住宅地の方が296.4でござ いました。これは昭和49年を100としております。地 価公示が始まったのは昭和45年からでございますが、当 初は三大都市圏の市街化区域だけで920地点からスター トしまして、だんだん増やして昭和49年に初めて全国の 都市計画区域に拡大しましたので、それをベースにしてお

【第98回 定期講演会 講演録】

 日時:平成16年3月31日  場所:東海大学校友会館

(2)

ります。49年に比べますと平成3年が296.4、それ が16年の今回は168.5となっておりまして、4割強 ぐらい下がってきております。商業地の方は271.6が ピークですから、それが88.0まで下落しておりまして、

3分の1になってきているということでございます。

三大都市圏はもっと顕著で、バブルのピークが商業地で 421というふうに4倍以上になり、それが今度は88.

2となっておりますので、21%、ピーク時の約5分の1 ぐらいに下がってきていると。住宅の方は40%台でござ います。三大都市圏、地方圏を通じてピークから一番下落 が大きいのは大阪圏の商業地でございます(P. 3)。ピ ーク時には493、昭和49年に比べて約5倍になってい たのですが、それが16年は75.6%になっていますの で、ピーク時の15%に下がっているということでござい ます。なお、平成3年の大阪府における商業地の平均価格 は550万円でございました。今の大阪府で一番価格の高 いところというのは499万円でございますので、今の一 番高いところよりも平成3年の大阪府全体の商業地の平均 価格の方がより高いということです。いかに大阪圏、大阪 府におけるバブルの影響が大きかったかということが言え ると思います。

ちなみにこの499万というのは、東京都以外では一番 高い価格でございます。

4ページを見ていただきますと、地方圏につきまして はバブル時の地価の高騰も比較的小さかったとも言えます が、住宅地の場合は49年を100としますと約2倍強ぐ らいの213になったわけでございます。それが162に なっておりますので、ピーク時のまだまだ4分の3の価格 を維持しているということです。商業地の方はピークの約 2倍になっていますけれども、それは87%、これはずっ と下落していまして、この下落の傾斜がずっと一定の割合 で下落している傾向がございます。

後で申し上げますけれども、地方圏の中でも特に商業地 の場合は地方の県庁所在地のような比較的大きな都市の中 心商業地の下落が大きい。そして人口5万、10万程度の 小さな都市、町の商業地の方の下落の方が小さいというこ とでございます。なぜかということは後の方で詳しく申し 上げたいと思います。

2.東京圏などでの下げ止まりの兆ざし

次に5ページです。まず住宅地の平成16年と15年の 比較をしたものでございます。右下の参考というところを 見ていただきますと、上昇地点は31地点ございまして、

昨年は10地点しかなかったのです。真ん中が横ばいです。

これは今回130地点あり、昨年は107地点です。その 下の、ほぼ横ばいというのは、下落はしているけれども、

下落の幅が1%未満というものです。これはご承知のとお り物価もデフレ傾向ですから、あるいは給料も下がってい ますので、1%未満であればむしろ実質的に横ばいと言え るのではないかということで、ほぼ横ばいも横ばい扱いに しているわけでございます。そのほぼ横ばいというのが2 78ございまして、これは昨年は129しかありませんで した。そして横ばいとほぼ横ばい以上を足しますと400 になります。それに対応する全標準地の数を、選定替をし た地点は変動率が出ませんので除外していますけれども、

継続地点と言われる地点が992あります。992のうち の400地点がほぼ横ばい以上になっているということで、

40.3%です。4割強がほぼ横ばい、実質的にも横ばい になっていますので下げ止まっていると、こういうふうな ことでございます。

平成15年の一番大きな特徴は、浦安のところにずっと 丸がついています(P. )。浦安は昨年は7カ所の印が ついていまして、全部横ばいだったのです。今回は7カ所 のみならず、下落していた2地点も加えて9地点が上昇地 点になっています。つまりこの浦安の湾岸道路より南東側 はすべて上昇しているわけです。旧市街地、浦安市の新興 住宅地でないところの方は下落をしていますが、ただ小さ な下落になっているということで、浦安なども明らかに下 げ止まっていると言えると思います。これは住宅地ですが、

昨年と比較していただきますと、まず密度が濃くなってい ますし、かつ区域がぐっと広がってきているのがおわかり いただけると思います。それから、例えば昨年、右上の柏 市などというのは全然なかったのが、今回柏でも上昇地点 が現れていたりしていますし、埼玉県の和光市なども、昨 年なかったのが横ばい地点が増えてきているということで ございます。

次が商業地です(P. )。右下の枠の中で申しますと、

上昇地点が52地点ですね。昨年は39地点でございまし た。横ばい地点が68地点、昨年は51地点でございます。

ほぼ横ばいが97地点、昨年は27地点ということで、そ れを合計いたしますと、217地点がほぼ横ばい以上でご ざいます。対象となる継続地点数は777地点ございます ので、ほぼ横ばい以上の割合は27.2%です。約3割弱 がほぼ横ばい以上になっているということでございます。

住宅地に比べると少ないではないかと思われますけれども、

やはり商業地の場合は土地の個別化ということで、中央区、

あるいは千代田区と言えども下落しているところはしてい るわけでございます。その中でも区部都心部ということで

(3)

申しますと、千代田、中央、港、新宿、渋谷などの8地区 の地域につきましては、住宅地で言いますと地点数が18 0地点、それに対し横ばい以上が141ありますから、7 8.3%になります。つまり8割近くがほぼ横ばい以上と いうことでございます。商業地の方は425地点に対し1 20ですから28.2%となります。大体商業地の方は約 3割ぐらいでございますが、横ばい以上になっております。

商業地の昨年と今年を比べてみますと、千代田区、中央 区の大手町なり銀座なり、あるいは渋谷方面が上昇してい るのは推測がつくと思いますけれども、やはり上昇地点数 がずっと増えたとともに、新しく例えばこの図の右の一番 上の千葉県の柏市ですね、昨年はずっと下落だったのです けれども、柏市の駅前の東側、西側の地点につきまして、

両方とも上昇地点になっているということもあります。そ れから、世田谷区でも初めて上昇地点が1地点現れており ます。東京の中心は、地点が重なって図示されておりまし て、本当は上昇地点はもっと多いのですけれども、全部図 示できませんので、見かけより少ないような印象を受けま すけれども、そうではないわけでございます。

こういう東京圏の傾向が名古屋、札幌、福岡にも現れて ございまして、13ページに名古屋以下ございますので、

見ていただきたいと思います。名古屋市、これは左右にな っています。右からいきますと15年は上昇したのが1カ 所、栄で1カ所、それから横ばいが1カ所しかなかったの ですね。16年は公示では上昇しているのが11カ所、名 古屋駅の東側は6カ所ですね。それから一番繁華街の栄の 方では4カ所、この下の大須というところ1カ所だけ、合 計では11カ所の上昇地点が現れているということです。

横ばい地点も増えていますし、ほぼ横ばい地点も2カ所ご ざいます。こういうふうに明らかに面的な広がりを持って 上昇、横ばい地点が出てきているということが名古屋市に おける特色でございます。

次に名古屋の住宅地の方ですけれども、住宅の方は余り 自慢して言えるほどの広がりではないのですが、多少増え ているだけでございます。

次は札幌市ですけれども、住宅地の方から申し上げます

(P.15)。今回初めて円山公園の北側のところに上昇地 点があらわれました。ここは昨年は横ばい地点でしたが、

今回上昇に転じました。それ以外に横ばい地点が11カ所 ございまして、地下鉄の東西線と南北線の沿線沿いの、比 較的環境が良くて交通の便がいい住宅地に横ばいが相当現 れてきています。

それから商業地です。札幌の商業地は上昇地点はござい ませんが、横ばい地点はここに書いていますように幾つか 面的な広がりを持って現れてきているということでござい

ます。

福岡市ですが、ここでも横ばい地点が倍というわけには いきませんが、ある程度、昨年よりは広くなってきている ということが言えると思います。

それからが福岡の商業地ですが、天神のところ以外にも やや西側に広がりを持って横ばい地点が現れてきています。

ここがまとめでございますので、やや重複しますけれど も申し上げます(P. 1)16年の公示地価は引き続き 下落しているけれども、商業地では2年連続して下落幅が 減少し、また住宅地では6年ぶりに下落幅が縮小した。住 宅地は6年ぶりといってもわずか0.1ポイントではあり ますが、昨年のマイナス5.8がマイナス5.7というこ となので、下落幅は縮小したと言わせていただいておりま す。三大都市圏では住宅地、商業地とも下落幅は縮小して おります。地方圏では住宅地の下落幅は拡大しています。

商業地は昨年と同じ8.7の下落となっているわけでござ います。

三大都市圏を中心に下落幅が縮小した背景には、経済に 回復の兆しが見られるということ、それから都心回帰の動 きが続いていること等、それから都市再生の取り組みによ って集客力が高められたことなどが挙げられると思います。

東京都区部都心部では上昇や横ばいの地点が増加し、そ れから区部南西部や区部の北東部、これは江東区等でござ いますけれども、それから多摩の一部、吉祥寺が横ばいや ほぼ横ばい地点が広がっております。千葉県の東京近接地、

浦安でも上昇地点があらわれるなど、これらの地域では下 げ止まりの傾向が強まってきているというわけでございま す。そして、名古屋市、札幌市、福岡市でも上昇、横ばい 地点の広がりが見られます。

なお、大阪圏につきましては、大阪市で横ばい地点が昨 年の1つから5つになりましたし、京都は横ばいがゼロか ら3つになりましたので、若干横ばいになってきています けれども、まだまだ不十分で、その面的な広がりに欠ける ということでございます。

そして結論ですけれども、前回の地価公示において東京 都区部を中心にして見られた地価の下げ止まり傾向が他の 圏域の中心都市にも一部現れてきておりまして、地価の動 向に変化の兆しが見られるというわけでございます。

次に、三大都市圏を具体的に見ていきたいと思います(P.

09)。東京の住宅地では、ほぼすべての地域で下落幅が縮 小しております。そしてこのページにありますように、千 代田区がプラス1.0%、それから港、渋谷、この3区は 区全体で全地点を平均しても上昇に転じているということ でございます。特に渋谷区では2年連続して上昇している ということでございます。

(4)

それから区部南西部でも品川区、目黒区、大田区、世田 谷区、中野区、杉並区、いずれも1%未満の、ほぼ横ばい でございますので、これも物価下落等を考えますとむしろ 横ばいであるというふうに考えております。ただ、区部北 東部は江東区は0.4の下落ですから、ほぼ下げ止まって いるけれど、他のところはまだ2%台下落しておりますの で、ここはもう少しだということでございます。そして都 区部全体で、一番下の欄にありますように1.3%の下落 になっていると。平成13年からの公示価格を見ていきま すと、一番下の13年がマイナス3.4だったのが、2.

8になり、1.9になり、1.3になっておりますので、

次第次第に下げ止まってきているという傾向が見てとれる と思います。

20ページを見ていきますと、区ごとの地点数を書いて おります。例えば千代田区というのは住宅地の標準地が1 1カ所ございます。そして上昇が8カ所ですね。昨年は上 昇が2カ所しかなかったのが、一気に8カ所、11地点中 の8カ所が上昇しています。そして、下の欄にいきますと 横ばいしているのが1カ所あります。ということは差し引 きしますと2カ所は下落をしているわけですね。それはど こかと言いますと、これは飯田橋駅から南に早稲田通りを 行きまして、日本歯科大付近の富士見1丁目、2丁目の地 点がございます。ここだけは、昨年も下落しており今年も また下落しておりますが、下落幅は非常に小さいというこ とで、11カ所全部を足しますと1%の上昇になるという ことでございます。以下、一々見るのは省略いたしますけ れども、港区の場合は30カ所地点ございまして、上昇は 5カ所、横ばいが25カ所です。これは昨年は港区は30 カ所全部が横ばいだったのが、5地点が上昇になっている ということでございます。

ちょっとここで余談ですけれども、例えば港区の場合は 30地点すべて横ばいというのがおかしいではないかとい うふうなこともありますので、ごく簡単に、ここはちょっ とオフレコで申し上げますと、結局こういうふうに一部が 上昇しますと目立ちますから、どうしてもここを厳しく分 析せざるを得ないのですね。評価員に対して厳しく原因を 求めるわけでございまして、そうすると一般的に都市再生 なり、集客力が高まったということは言えるのですけれど も、定量的になぜ1%上がったかということは、それは言 いにくうございまして、これは評価員も大変苦労するとこ ろでございます。そういうわけで、横ばいから上昇へと判 断するというのは非常に勇気のいることでございます。そ ういう中でこういう上昇地点を出すというのは、やはり鑑 定評価員としても、確かに自信もって調査しているという 判断があるからでございます。

それで港区を見ていきますと、21ページの真ん中より 下の方、青山霊園の左側のところに、Hフロラシオン青山 というところがございます。それから南青山小学校があり ます。このあたりの住宅地、ここが4.5%の上昇地点が 2カ所ございますし、このあたりに上昇地点があります。

それから、渋谷区の方でも、渋谷の5-33という商業地 の上昇地点がございますけれども、それの西側、つまり左 側ですね、このあたりが渋谷区の住宅地の上昇地点がござ います。

なぜこの南青山ないしは表参道、あるいは神宮前あたり が上昇しているのかというと、地域としましては海外ブラ ンドの店舗の立地が進んでおりまして、これらの店舗が面 する通りを中心に人々の回遊が盛んになってきております。

各店舗の集客力の高さが地区全体の商業地としてのポテン シャルを高めているわけです。むしろこれは商業地として の説明ですから、住宅地ではないのですけれども、その近 くにある住宅地の地点につきましても当然影響があるわけ で、この地域全体としての地価を上昇させていると考えら れます。結局、住宅地域と言えども、商業店舗的な利用が 一部混在してきておりますので、条件が許せば商業店舗と して、そういう海外ブランドがそこを店舗として利用する ことも可能ですので、住宅地としても価格は上がっている ということでございます。

それから、港区、上昇5地点と申しましたけれども、4 地点がこの南青山にございます。もう1点はと言いますと、

高輪ですね。これはJR品川駅の西側の高輪4丁目でござ いまして、ここのところに上昇地点が現れている理由は、

やはり新幹線駅が品川にもとまることになったこともござ いますし、それから品川駅の東側の再開発、品川インター シティができまた。それに昨年秋にはグランドコモンズが 完成したことの影響があると思います。それから区部南西 部では大田区、目黒区あたり、これは上昇地点もございま すが、大田区あたりでは昨年もございましたので、今年目 立った現象ではないと思います。

22ページに年間上昇上位ポイントの全国ベスト10が ございます。今申しましたように、渋谷あるいは南青山、

そういうところで高い上昇をしております。特色は浦安市 が全国ベスト10に4つ出ていることですね。都心が6つ と浦安が4つということで、この全国の上昇ポイント、住 宅地のベスト10に都心と東京周辺でそろったのはこれは バブル以来初めてのことでございます。下落の方で上位を 占めたことはいっぱいありましたけれども、上昇で占めた のは初めてなのですね。昨年はと申しますと、昨年は東京 は5、北海道3、九州2でした。その前は東京は2で、そ れ以外の8つは全部田舎の無名なところでございました。

(5)

田舎と言うと大変失礼な言い方ですけれども、私は田舎は 好きなので田舎と親しみを込めてそう言っておりますけれ ども、住宅地で東京が上位を占めるということは去年から の兆しがあって、今年でほぼそろったということでござい ます。明らかに土地の価格の大きな循環の流れの走りのよ うなものが感じられるのではないかというふうにも考えら れます。

浦安の説明をいたします(P.23)。ここで浦安の湾岸 道路の全部、東、あるいは南側、この浦安14という一番 左の端のところだけは違いますけれども、それ以外全部新 興住宅街でございまして、いずれも上昇地点になっており ます。これは都心への接近制にすぐれていて、京葉線で東 京まで10分程度でございます。それから区画整然として おりまして、まちも非常にきれいで住環境が良くなると。

そして現地に行きますと、普通こういう新興住宅地で区画 整理をしたところというのは空き地が多く、地主の持って いる土地などは空いているというのは珍しくないのですけ れども、ここはほとんど空地がない。特に新浦安駅の方、

つまり右側の方は若干空き地というか、宅地のままのとこ ろがありますけれども、左側の浦安の14なり、16あた りは全く空き地がありません。全部きちっと埋まっている わけです。そいうことから、結局需要があるということで すね。それも、非常に好物件の供給もあって人気も高いと いうことでございます。

大体価格的には坪90万ぐらいでございます。これは実 際現地に行っても中古物件が上物セットで約8,000万 から1億弱ぐらいなので、地元で聞いてみるとほぼ坪90 万ぐらいだと、こういうふうなことを聞いております。こ ういう意味では、地価公示と実勢はあってないのではない かという批判もありますけれども、ここはそうじゃないと いうことでございます。余談ですけれども。

あとは武蔵野市の住宅地につきましても横ばい地点が昨 年に比べて6地点あります。ほぼ横ばい地点も16ござい まして、これは武蔵野市周辺ではかなり下げ止まってきて いるということでございます。それから実際の収集した事 例を見ましても、標準地価格よりもむしろ高いような取引 がいっぱいありまして、むしろいつ上昇と判断してもおか しくないというふうな状況にございます。

それから、今良いことばかり申しましたけれども、悪い ことも言わないとバランスが悪いわけでございまして、2 4ページを見ていきますと、東京圏でも八王子とか、ずっ と郊外に行きますとまだかなり下落しております。10%

あるいは15%ぐらい下落している点もございます。

八王子でも一番の下落の小さいところは1%ぐらいのと ころがございますし、一番高いところは15%を超える下

落もございます。下のグラフは八王子駅から一番近い八王 子-2というのが駅から350メートルのところ、八王子

-52というのが駅から8キロ離れたところでございます。

八王子-2の方はバブルがはじけた当時の下落は猛烈だっ たのですね。もう20%ぐらい下落したわけです。そして、

今はと言うと、この数年下落はしているものの、かなり下 落幅は小さくなってきいるということでございます。これ はつまり最初の平成4、5、6、7あたりの下落は結局バ ブルがはじけたということでございます。最近数年の下落 はバブルではなくて、日本経済が良くないということで、

景気が冷え込んでいて有効需要が少なくなっているという ことが原因だと思いますが、16年は大分良くなっている と。それに対して八王子-52ですが、これはむしろ当初、

余り下落していないのですね。数%しか下落してない、あ るいは一時、平成7年、8年というのは逆に横ばいになっ ています。下がってないわけです。ところが今になると十 数%の下落になってきているということで、そういう意味 で言うと、逆説的ですが土地取り引きが活発になっている のですね。むしろ正しく評価されて取り引きされていると いうことが言えると思います。つまり地価の個別化と言え るのではないかと考えております。以上が東京圏の住宅地 でございます。

次に東京の商業地を申します。 9ページで今度は右側 の商業地の方を見ていただきますと、区部都市部の千代田 区の場合、2%の下落になっています。例えば千代田区で すと13年が6.4の下落、それから14年、6.9とい うふうに下落が拡大して、昨年は4.0の下落、今年は2.

0の下落と。上昇地点も結構多いのですけれども、下落幅 は小さくなっていますが、神田周辺の地点が下落しており ますので、区平均ではやはり2%下落しているということ でございます。一番いいのは渋谷区ですね。ここは昨年に 引き続いて区全体で商業地は0.8%上昇しております。

それから比較的良いのは区部南西部の大田区と世田谷区で すね。大田区は0.7%の下落、世田谷は0.8の下落に とどまっておりまして、そして区部全体で2.2%の下落 です。

3.変動率の出し方

そこで、3月23日に地価公示発表になりまして、24 日の日経朝刊に非常に興味深い記事がございました。原文 を紹介しますと、「驚くべきデータがある。東京都心3区、

千代田、中央、港区の商業地は前年比0.4%上昇! 発 表された公示価格は1.2%の下落だったが、これは各調

(6)

査地点の変動率の単純平均値である。地価合計額の変動率 を示す加重平均で見ると、都心部は下げ止まりから上昇に 転じている」と、こうふうに日経新聞は分析しているので すね。これはどういうことかと言いますと、私どもの変動 率を出しているのは、全地点分の変動率を1地点ごとに全 部足して、そして足した数字を全地点で割っているわけで すよね。いわば単純に、つまり価格は2,000万のとこ ろも100万のところも1%上昇すれば、その1%上昇し たという価値は同等と見るわけです。これが単純平均です。

ところが、加重平均というふうに日経新聞は言っているの ですけれども、具体的に言いますと、例えば丸ビルですと、

前回2,000万円で今回2,100万円になっているわ けです。5%上がったのですね。その意味は分母が2,0 00万ですね。分子が2,100引く2,000、ですか ら引くと100ですよね。だから、2,000万円分の1 00万円になるわけですね。これを私どもは5%上昇とこ ういうふうにするわけですけれども、日経新聞の加重平均 なるものは、そこでは5%を出さずにそのまま2,000 万分の100万と、こうするわけです。そして次の地点が 例えば200万円の地点としますよね。200万円の地点 があって、それが5%逆に下がったとします。そうすると 分母が200万円、分子は10万円です。だから、200 万分の10万になります。そのとき、単純平均で計算する と5%同士、上昇5%、下落5%ですから、足すと横ばい になります。ところが加重平均するということは分母が2,

000万プラス200万、2,200万です。分子の方は丸 ビルは100万と、その地点は10万ですから210万に なっています。どういうことかというと、横ばいではなく 上昇していることになるわけです。つまり丸ビルの価値は 他の5ポイント分の価値があるということになるわけです。

千代田区の商業地の全地点の平均価格は410万円です。

丸ビルは今回2,100万円ですからちょうど5倍ですね。

つまり丸ビルが5%上昇するということは、他の地点の5 倍分の価値があると、加重平均で計算をすればこうなるわ けです。つまりどういうことかと言うと、価格の高い、単 価の高い地点が上昇していると加重平均すると高く出ます。

そして逆に言うと、価格の高いところが下落していると逆 に低く出ると、こうなるわけですよね。ですから、やっぱ り残念ながらこの分析は正しくないのです。ここは加重平 均で見るべきではない、単純平均で見ないと判断を誤りま す、ということです。

そして、実は、3月18日付の読売新聞の論点というと ころで、ある鑑定士の方の公示地価は高過ぎるというふう な記事がございました。その方の根拠なるものが、この加 重平均なのです。つまりその方のいう公示地価はおかしい

という意味は、単純平均の変動率が、バブル前後の一定期 間で見ると4倍になっているのですね。いったん4倍にな って、そしてその後の下落を通じて今4分の1に下落して いると、元に戻っていると、こういうふうなことを言って、

ところが一方では地点の選定替によって価格の高いところ に地点を置いた、そうして平均価格を計算してみると7倍 になっている、ですから下落率も7分の1倍に落ちないと 元に戻らないのではないかと。変動率が4分の1になって いるということは、下げ止まってないという状態、高止ま っている証拠だと、こういうのがその論拠なのですね。し かし、それはおかしいのであって、あくまで変動率、つま り平均価格というのは新しい価格の高い地点が付け加わり ますと計算上当然上がるわけですから、平均価格が上昇し たからといってそれで地価は上昇したとは言えないわけで ございます。平均価格はあくまでその年におけるある地点 とある地点と比べるのは意味がありますけれども、経年的 変化を見るために平均価格で計算した加重平均で見るのは おかしくなるわけです。

そういうわけで、読売新聞掲載の鑑定士の地価公示が高 いという主張は論拠がないということでございますので、

どうかご理解を賜りたいと思います。

4.東京圏の地価動向(続き)

それから次に、25ページです。上昇地点と横ばい地点 しか図示していませんので、どの辺が下落しているのかと いうことを申します。本当はむしろ下落している地点を書 いた方が良くわかると思うのですけれども、どうも良いと ころを強調するくせがあるものですから恐縮ですが。この 図の上の方の神田須田町とか、神田周辺、それから日大病 院、ここら辺は下落しています。

それからずっとこの図の東側、切れていますけれども、

新大橋通りがずっと南から北に走っているのですけれども、

そういうところの東側はずっと下落していますね。それか らここで一番の下落地点は、この中央5-48というのが 東京駅北口から永代通りがずっと西から東へ延びています。

そして中央5-48というのは永代通りに面したところ南 側にあります。こっちの5-48と中央と書いたところの 位置あたりにちょうど日本橋で、ここは昔の白木屋の後で すね、ここに商業ビルがつい最近完成しましたが、そこの ずっと東側にいったところが兜町ですね、ここの地点が9.

9%下落していますので、これが都心では最大の下落地点 です。それと、それから汐留のずっと南に行きまして、こ の5-33というところがあります。これは新橋、港区で

(7)

すけれども。港区ではなく、その東側の築地市場の中に地 点がありまして、まさに市場の中にあるのですけれども、

ここが9.2%の下落していまして、この2地点だけが断ト ツに下落しています。築地の地点はやはり市場の移転が予 定されておりますので、そういうこともあって下落が大き いのではないかと考えております。

それから先程の9.9の下落のところ、なぜかというこ とでございますけれども、単価が高過ぎたこともございま して調整的な意味もございますが、やはりそこは個別化だ ということで申しておきたいと思います。

それから、そのページで申し上げますと、一番の特色を 申しますと、25ページの上の方に、千代田5-2という ところがございます。これは学士会館の一本東側の通りで ございまして、小笠原ビルのところです。これはちょうど 再開発、この神保町の三井ビルディング、それから東京パ ークタワーが完成しました。このちょうど本当の真南にあ る地点でございまして、ここが非常に良くなっていまして、

上昇に転じております。これは昨年は3.5%の下落でし て、今回5.8%上昇になっていまして、その前は10%

近い下落、4年前は十数%の下落だったのですね。それが 見る見るうちに上昇に転じているということでございます ので、やはり再開発の効果がてき面にあらわれている地点 でございます。

それから、世田谷区の二子玉川園の駅近くのところの上 昇地点が初めて現れています。ここのところは昨年9月に 玉川川高島屋が完成しまして、2万3,000平米ぐらい の店舗面積を持っています。最大級の、5,200平米ぐ らいの食品売り場がオープンし、非常に集客力が高いとい うことで、この商業圏が活性化しまして地価上昇に転じて おります。

それから柏市ですね。駅前の東口、西口、ここも柏駅近 くにも、そごう、高島屋、丸井、イトーヨーカドーなどの 大型の集客施設が充実しており、茨城県を含めた周辺の地 域からの顧客が集まっているということから、柏市の2地 点は上昇しております。

それから、あと港区の商業地を申し上げますと、港区は 上昇地点が8カ所ございますけれども、その特色は港区の 場合は上昇地点が非常にちらばっていまして、2地点が汐 留近くと新橋駅前のところ、2地点上昇でございます。そ れから青山通りとか、ここに2カ所上昇地点がございます。

それから六本木ヒルズの影響もありまして、麻布十番のと ころに2カ所上昇地点がございます。それから品川の駅の 西側、東側に1カ所ずつ上昇地点がございまして、都合8 カ所上昇地点がございます。品川駅の東側はずっと3年連 続して上昇しているのです。これは品川駅の再開発の効果

でございますけれども、今回、新たに品川駅の西側でも、

去年は下落をしていたのですけれども、一気に上昇地点に なった地点がございます。それは26ページです。この5

-24というのがございますけれども、7%の上昇、昨年 は9.1%の上昇でございまして、ここ数年ずっと上昇し ていますけれども、ここは品川駅のインターシティの近く でございます。そして5-4ですね。品川駅の西側、この 第一京浜、国道15号線に面したところですけれども、昨 年は2%の下落だったのが0.4の上昇に転じております。

そして20ページの上、港5-11、それから港5-46、

ここ2地点が上昇地点がございます。今申しましたここで 4つと、それから汐留、新橋方面2つと、それから青山2 つと、8カ所が港区では上昇していまして、それ以外の新 橋の四丁目、五丁目、六丁目とか、あるいは浜松町とか、

そういうところは下落していますので、トータル的にはや はり港区は2%台の下落にはなっております。

5.その他の大都市圏の地価動向

次に名古屋圏の方にいきます(P.27)先ほど申しま したように、ここの6カ所、名古屋駅の東側、駅周辺では JRセントラルタワーズも完成しましたし、それから今、

豊田・毎日ビルの再開発も進んでいますし、まさしく大規 模な再開発が目白押しになっております。今後の都市再生 の期待が非常に高まっておりまして、こうやって軒並み上 昇に転じております。

それから栄でも上昇地点、あるいは横ばい地点が出てお ります。ナディアパーク、あるいはオアシス21の完成に よりまして栄地区の集客力も、繁華性が高まりましたし、

ブランドショップ、あるいは有名店の出店が続いておりま して、ティファニーとかブルガリと続いております。それ から大須通りとございますが、ここを中心にブランドショ ップ等がずらっと並んでおります。それから高島屋、三越 も新しく改築しておりまして地区全体のポテンシャルが高 まってきております。そういうところから上昇しています。

それから下の方の大須地区ですね。大須地区というのは 東京で言いますと秋葉原的なところなのですけれども、パ ソコン、あるいは中古衣料とか、中古のブランド品等、顧 客集客集員力の高い店舗が集積しております。若年層の顧 客を中心に集客力を高めていまして、コメ兵などを通じて 中古ブランド店舗の出店が相次いでおりますので上昇して いるということでございます。

それから名古屋の場合は住宅地は東京ほど目だって良く はありませんが、千種区とか東区の方では横ばい地点もご

(8)

ざいますし、名古屋市近接の東側、例えば東武丘陵線とい う鉄道の新線の延伸などによって、そういうところでは横 ばい地点が幾つか現れてきております。

大阪の方でございますけれども、大阪は御堂筋沿いだけ がいいといいましょうか、昨年は一番上の大阪北5-1と いうところ、ヘップナビオ、ここは横ばいでした(P. 29)。 499万円で西日本で一番高いところでございます。大阪 ではこれを含めて5カ所横ばい地点が現れていまして、一 番下の中央5-23、この心斎橋のところは昨年5.2の 下落だったのが横ばいになっていますので、大分改善をさ れてきているということは言えます。

大阪球場の跡地開発、難波パークスの開発したところが ございまして、その成果を申しますと、この難波パークス の北の方は5%ぐらいの下落になっていて、横ばいという わけにはいきません。しかし大阪府全体の商業地の下落と いうのは9%ですから、比較的小さい下落になっている。

それはいいのですが、難波パークスの南側に行きますと、

大阪府で一番大きい19%ぐらい下落した商業地もござい ますので、再開発しても地域的な関係によっては全然効き 目がないというか、下落しているという地点もあるわけで ございます。

それから大阪の住宅地の方を申します。この右下の天王 寺区の方に、価格51万の、西日本では一番価格の高い住 宅地でございます。その一帯周辺では2%前後の小さな下 落にとどまっている箇所が広がっていますので、一部では 下げ止まりの兆がみえますけれども、全体としてはまだま だ下落が大きいものになっています。また、この大阪圏の 特色は、中心のコアが大阪、京都、神戸というふうに分散 していますので、地価の動きがやや複雑なことでございま す。特に住宅地の場合は下落の目立った地点が変わってき ているのですね。最近では、大阪の摂津の方、大阪から兵 庫にかけてのあたりの下落が大きくなっております。特に 阪急沿線のいいところは1%ぐらいの下落にとどまってい ますけれども、悪いところは20%近い下落というふうに、

非常に極端になっております。

それから、京都の八幡市とか、京田辺市など、かなり高 級な住宅地の区域の下落は、この数年で次第に下落幅が大 きくなってきているという傾向がございます。5年ぐらい 前を見ますと、ほとんど下落していなかったのが、7%、

8%の下落になっているという傾向がございます。

それから京都の方を見ていきます。商業地の方に、初め て横ばい地点が出ています。P.30の右下の下京5-1 です。これは京都における最高商業価格地で、213万円。

昨年8.2%もの下落だったのが横ばいになっています。

それから三条通のところ、御幸町通でも横ばい地点がござ

います。ここは京都らしさを求めて町家を改装した、要す るに昔風の京都風のおうちを改装して店舗に変えて、飲食 関連の小さなしゃれた店舗に改装していまして、非常に集 客力が高まってきております。そういうことから、大分賑 わいを取り戻しつつあるということで、一部だけですけれ ども横ばい地点が現れておるようでございます。

それから札幌でございます(P.31)。札幌駅の西側の 地点、これは上昇地点はないのですが横ばい地点がありま す。札幌西5-7の琴似駅の南側です。これは昨年9.8%

の大きな下落であったのが横ばいになっているということ でございます。

それから福岡でございますが、これは住宅地ですね(P.

32)。昨年と比べたら大分上昇地点が増えているというこ とでございまして、33ページの商業地でいきますと、右 の福岡中央5-9ですね、これは福岡市として近年では初 めて3%の上昇になっています。価格は417万円で、こ れは九州で一番高いところで、横ばいだったのが上昇地点 になっております。それから、この他のところ、中央5-

1とか、あと3地点につきましては下落があったのが横ば いになっております。ここのところはNHK跡地の再開発 などが進んでおりますし、非常に商業施設の集積が増大し て繁華性が高まっているということ。それから大名地区の 方では若者を対象としたブティックや飲食店等が増えつつ ありまして、相変わらず店舗事情が多いということでござ います。それからこの中央5-13の方では、天神地区の 再開発の影響によりまして需要が根強いということもござ います。そういうことで横ばい、上昇地点が増えているわ けです。

6.地方圏の地価動向

今まで、随分いいところばかりつまみ食いして説明した ような傾向がございますが、問題はその他の地方圏でござ います。ここは正直言いまして引き続き下落していると。

商業地も住宅地も下落の幅は拡大しているということでご ざいます。なぜかというと、普通言われますのは、何とい っても地方経済が低迷していること、そして、土地需給バ ランスが悪過ぎるということですね。宅地供給は幾らでも あるにもかかわらず需要はないということが1点と、商業 地の下落率の上位ポイントの右下の地方圏というところで すが、今年はトップが秋田5-1で25%下落しておりま す(P.34)。そして、あとは甲府、姫路ということでご ざいまして、いずれも都道府県の県庁所在地の一番高い商 業地でございます。ちなみに昨年の下落1位だったのが姫

(9)

路5-1でございまして、昨年は25.4%下落していま すが、今回は6位にランクされています。

これ以外でも比較的地方では大きな都市の一番高いとこ ろが下落しています。まず秋田5-1の下落はなぜかとい うことですが、実は秋田市の秋田駅前で通行量調査をした のです。そうすると平成5年が一日平均15万2,000 人いたのが、14年にはほぼ半減したと、半分になってい るわけです。しかも、普通は日曜日の方が平日より多いは ずなんです。ところが平日より日曜の通行量が下回りまし て、その14年調査によると、結局休日の買い物客が激減 しているということですね。客はどこへ行ったかというと、

秋田市の南側の郊外の御所野ニュータウンというところが ございます。そこにイオン、あるいはヤマサン百貨店など という大きなショッピングセンターがでて、そっちへ客足 が流れているわけですね。結局、何と言ってもやっぱり社 会構造の変化です。つまり、皆さんマイカーを持っておら れるわけですから車で郊外へ行くわけです。駅前に行きま すと、駐車場に困るわけです。置くところがないわけです ね。あっても立体駐車場ですから上に上げなければいけな いわけで、非常に面倒くさいのです。

大規模店舗の立地条件からいえば、交通手段が従来の鉄 道やバスからマイカー中心に移行した今日、駐車場は不可 欠で、しかも、車の出入りが簡単な平面駐車場が求められ ます。この点、郊外は地価が安く広いスペースが得られま すし、ロケーションから見て目的外駐車は考え難く、有料 にする必要はありません。これが駅前などであれば、買い 物客以外の者が駐車するおそれが高いため、監視要員が必 要になってきますし、また立体駐車場は出し入れが面倒で、

手軽に買い物をするには向いていません。つまり、一通り のニーズを満たす施設を取り揃えた大規模店舗を立地しよ うとする場合は、中心市街地を選ぶ必要はなく、商業施設 の集積がない郊外であっても、道路事情さえよければむし ろ中心部よりも有利になってきています。

地方の小さな都市より大きい県庁所在地の方が下落率が 大きいと申しましたけれども、その原因はやはり価格にあ るのではないかと思います。価格が高いから下がる余地が あるわけです。価格が安ければ下がるにしても下がり方は 小さいのですが、まだまだ100万円とか、あるいは60 万円というふうな、それなりに高い地価水準を維持してい ますから、下がる余地はあるということでございます。こ れは一見非常に乱暴な議論で、学者先生が聞いていたら怒 り出しそうですけど、やはり下落の原因はここにあると私 は考えています。

甲府なども同様で、見ていただきますと4つも入ってい ます。昨年も4つもワースト10に入っていました。甲府

市内の南側に国道20号線が走っているのですが、そこへ 次から次へとドンキホーテとかガリバーなどの大規模店舗 ができています。全部そこに客をとられて、めったに甲府 の中心街に買い物には行かないという状況になっているわ けです。それに加えて全国規模での企業の支店が次から次 へと統廃合されています。甲府市から次から次へと撤退し ている。甲府に限らず、姫路もそうですが、事務所や店舗 などビルの需要減が大きく空室率も高いということからも 下落が大きくなっているということでございます。このよ うなことから、都市再生や容積緩和などの地域活性化策は、

東京都心など一部の大都市では有効な施策でしょうが、地 方都市ではすでに供給過剰でオフィスや店舗の需要そのも のが決定的に不足しているため、その効果は薄いと言わざ るを得ません。

このように、集客能力を半減させ、収益力を失った地方 都市の中心市街地の地価水準を維持していくことはもはや 無理です。むしろ地価が高い分、それだけ価格下落の余地 が残されている悲惨な状況になっています。平成16年地 価公示においても、比較的価格水準の低い地域の商業地の 方がかえって下落幅が小さい傾向がみられます。人口10 万人以上の107の地方都市の商業地の平均価格は10.

1%の下落ですが、最高商業地の平均価格は12.6%の 下落になっています。

このようなことから、昨年公示で下落1位となった姫路 の商業地をはじめ、ほぼ全国の県庁所在地の地方都市の中 心商業地では大幅な下落が続いているとに考えられます。

次に、地方の住宅地はどうかといえば、住宅需要そのも のが減少気味なところに加え、商業地ほどドラスチックで はないにせよ、やはりマイカー通勤が可能な範囲内での郊 外への需要が移っており、市街地の住宅価格は比較的高い 水準の地域ほど下落傾向が強まってきています。

7.土地の流動化の促進

さて、次にこの議論をもう少し突っ込んで見てみたらど うかということで考えてみました。実は国土交通省では土 地の流動化を促進しないと地価が回復しないだろうという ことで、土地の流動化の阻害要因の一つであった税制、つ まり過去の右肩上がりを前提にした税制を中立に戻すべき 努力しました。今回個人の譲渡所得に対する課税が26%

から株式並みの20%になりまして恒久化されたというこ ともあります。それから、昨年、登録免許税も少し安くな ったりしましたし、今回は何と言っても固定資産税、これ は高い高いと言われていますが、商業地の場合は地元自治

(10)

体の判断で負担調整措置の上限を7割から6割に下げられ ることになりましたので、税制面では改善されたというこ とでございます。

流動化の阻害要因は改善されたわけですが、問題は、土 地の流動化とは何かということに立ち戻って考えたいので すが、例えば地方の場合で言いますと、都市計画法の改正 で市街化区域と市街化調整区域の線引きを自治体の裁量で 必ずしもしなくてもいいというふうになりまして、そして 線引きを廃止しようという動きが実際にも高まってきてい ます。そうしますと、調整区域で住宅が建たない、あるい は店舗が建たなかったところでも住宅地になる、店舗にな るわけですから、新しい宅地が供給されるわけです。今は 土地が足らないのかと言うととんでもない話で、需給バラ ンスが悪くて需要がないのです、供給はいっぱいあるわけ です。そこに調整区域をやめて新しい宅地が供給されたら どうなるかと言いますと、それは需給バランスがますます 悪くなって地価が下がるのは当たり前ですよね。

土地の流動化とは何かということですが、後継者もいな いという状態の農地がある。休耕地になっているのがあり ますよね。そのままでは困るという現実があって、それが 市街化区域になれば、あるいは線引きが廃止されれば宅地 として売れると。それを土地の流動化というのならば、そ れもそうでしょう。しかし、そこはやっぱり土地利用のあ り方の問題だと思うのですね。やはり農地にふさわしい地 域は農地であるべきで、そこが宅地化されないからといっ て土地が流動化されていないというのはどうかということ です。むしろ、本来住宅地化、あるいは商業地化されるべ き土地が遊んでいるというのを何とかするというのが土地 の流動化であるはずなのです。

実は、あるいくつかの新聞に、線引きを廃止したり、調 整区域を狭くしたりする記事と、地元の市長さんなどの取 材記事が載っていて、これで土地が流動化されて良くなっ た、地域が活性化するなどというふうに発言しているわけ です。地域が活性化する、ある意味ではそうでしょう。新 たに家が建ったりすれば、景気回復効果は一部あるのでし ょうが、長い目で見た場合に、土地利用のあり方としては それでいいのかということもございます。それに何と言い ましても今申しましたように、地方都市の中心商業地が下 落している。明らかに郊外の国道や県道沿い、本来は店舗 や住宅が建つべきではないところ、つまり国土利用計画法 及びそれを受けた個別法に定める土地利用計画をふまえた 筋としては、農地のままあるべきところがどんどん店舗化 している、あるいは住宅化しているということから、中心 の方の地価が下がっていくということになるわけですから、

ある意味では地価下落は当たり前のことであります。それ

がいいか悪いかを私のような者が批判することはおこがま しい話ではありますけれど、やはり政治的な大きな価値観 の問題でありますが、正直に言えばそういうことでござい ます。

それから、地価公示の対象の技術的なことを申しますと、

地点は3万1,866地点で、そのうち67地点を除いた ものが全部宅地です。基本的に地価公示法では対象として いるのは農地や山林、森林は含んでおりません。あくまで 宅地を対象にしています。農地、あるいは森林の場合でも 宅地の転用目的の取引については、そういった取引を踏ま えてその正常な取引価格を出していますので、その意味で 転用目的の農地は入りますが、農地を農地として売り買い する場合の価格は対象外であります。森林も同様でこの点 は地価調査と違います。都道府県地価調査の場合は農地を 農地としての取引については対象外というのは地価公示と 同じですけれども、森林は森林として取り引きする場合の 取引は対象になります。その分地価調査の場合はターゲッ トが広いわけでございます。

もっと詳しく言いますと、地価公示では市街化区域につ いては、住宅地、商業地、準工業地、工業地を対象にして いますが、これは宅地です。もう一つは市街化区域内の農 地や雑種地であります。これは現況は農地ですけれども、

宅地見込み地として評価しています。宅地見込みの価格の 状況を紹介しますと、東京都なり、あるいは千葉、埼玉、

大阪の大都市圏の宅地見込み地は猛烈に下落しています。

逆に東北なり九州なりの地方の宅地見込み地はほとんど下 がっていない傾向がございます。それからもう1つ、市街 化調整区域内につきましては、集落を形成している地域に ある現実の宅地、それから現況林地と呼ばれる、林地では あるが10年以内に宅地への転用が予想される地域の林地 については地価公示の対象にしています。この現況林地は 67地点あります。これは変動率を出す算定にはしており ません。と申しますのは、現況林地ですから宅地になりま すと、どんと地価が上がってしまいますからほとんど変動 率を出す意味がないわけでございます。ここのところは個 別地点を見ていくしかないということでございます。

それで、一番最初に申しました、国会に上程します地価 公示法及び鑑定評価法の一部改正法案でございますが、都 市計画区域外につきましても地価公示の対象にしたいとい うことで出しております。これは結局、今申しましたよう に、郊外に新たに店舗なり住宅が建っていると、そこでは 土地取引が盛んになっているわけです。ところがそこには 地価公示の地点がないので地価の動向を追えないわけです。

そこでは地価が上がっているはずなのですが、地点がない

(11)

から地価公示を発表する時、評価できません。一方、地方 都市の昔からある地点はどんどん地価が下がっていますか ら、そこがまた下がったという評価につながるわけです。

そうすると地価公示の発表をするたびに下がった下がった という印象しか出てこないわけです。一方で上がったとこ ろがあるにも関わらず、そこは追えないというわけで、ど うも日本経済にとって良くない印象を国民に与え過ぎてい る面もないわけではないのです。そこで都市計画区域外も 地点を置いて、そういう土地取引が活発になった地点を捉 えよう、そうすると地方でも上昇地点もあるということが 出てくるのではないかというねらいもございます。

8.その他

それから、平成17年度から減損会計が完全実施される ので、固定資産の含み損を早く処理するために遊休地等を 早期に処分して、これが市場への供給圧力になって需給バ ランスに影響を与えているのではないかという指摘もござ います。ここを鑑定評価員に聞いてみましても、どうもそ れは余りないようだということでございます。ご存じのよ うに50%地価が下がって、かつ回復の見込みがないとき に減損会計を適用するわけです。つまりもう下がってしま って回復の見込みがないわけですから、処分して現金化し ても結局バランスシート上は何ら意味はないということで ございます。むしろ、そうではなくて企業がバランスシー トを軽くして、貸借対照表の固定資産の部門、あるいは負 債の部分を小さくして経営の健全化を図ろうとして、そし てSPCや投資法人を活用してその不動産の証券化をして いると、そのために売っているというふうな事例はかなり あるように聞いております。そして証券化物件も商業ビル、

住居系のマンションに加えて、物流倉庫なども対象にして きていると聞いています。

それから、あとは2003年問題ということで、ご承知 のように都心で多くの大規模な大型商業施設ができ上がり まして、その影響で空室率が上がり商業地の地価が下落す るのではないかという心配がございましたが、これは結果 としては下落してないですね。大型のAクラスビルがたく さんできましたが、その玉突き現象で中小規模のビルの空 室率が高まって地価が下がったというとき、空室率は中小 規模のビルについては必ずしも補足されてないのですけれ ども、少なくとも地価がその原因で下がったというのは余 り聞いてないというのが評価員の感触でございました。

土壌汚染につきましてはやはり住宅地、商業地に標準地 として地点を置くのはふさわしくないので、基本的には選

定替えをして、今年は104地点選定替えをしています。

今回全部で641地点を選定替えしまして、昨年より10 0地点ほど多いのですけれども、総地点数からいえば2%

なのです。3万1,866あって641地点の選定替えで すから、そんなにべらぼうに選定替えているわけではござ いませんけれども、選定替えしますと変動率は出ませんか らなるべく避けたほうが好ましいのですが、しかしビルも 家も時の経過とともにやはり変わって、その地域の状況が 変わっていきますので、2%と言ったら50年に1回は選 定がえすることになりますから、それぐらい選定替えをし ていかないと、かえって適切でないところに地点があると いう状況になりますから、2、3%の選定替えというのは 当然だと思います。

それで、土壌汚染を理由とする選定替えは、昨年は34 地点ありましたが、今回は104地点しました。大幅に増 えた理由はガソリンスタンドを対象としたことにあります。

そこが土壌汚染されているかは本当に掘ってみないとわか らないのですが、掘るわけにはいきませんので、結局、商 業地にあるガソリンスタンドにつきましては選定替えして 別の地点に移しています。

工業地につきましては、土壌汚染があっても継続的使用 をする場合は何ら支障がございませんので、仮に将来転用 されるにしても、それは将来の話で、今の価格には影響が ないということで、選定替えせずそのまま評価しています。

もう1点、ぜひここで申し上げたいことがございまして、

それは地価公示と実勢価格との関係です。一般に地価公示 は実勢より高いとか、あるいは乖離していると、これはも う昔からずっと言われ続けてきました。せっかくのこの機 会で時間がまだございますので一言説明をさせていただき たいと思います。

実勢価格とは何かということなのですけれども、実はあ る国会議員の方のホームページを見ますと、こう書いてい ました。紹介しますと、実際の土地取引の現場では公示価 格は参考に過ぎず、取引実績である実勢価格が目安になる。

年間50億もかけてやる必要があるのだろうかと書かれて おられまして、仮に地価公示を参照して取り引きしたとし ても、将来の下落に対する政府保障は何もないと、こう書 かれてあるのですね。

こういうふうな書き方をされて、これを読むとなるほど というふうに思ってしまいますから、ちょっと申し上げた いと思うのですけれども、まず実勢価格とは何かというこ とです。仮に生の取引情報を一つ一つつかんで、そしてそ の価格はどうしてその値段で取り引きされたかという個別 事情まで全部理解した上で、かつ広範囲にそういう取引価 格を把握し形成された感覚が、実勢価格であるならば、そ

(12)

れはもう間違いなく公示価格より正確です。つまり、公示 価格は2,651人の鑑定士の意見を聞いて、土地鑑定委 員会が慎重に判定しているものではありますけれども、し ょせんは人が、生身の人間がしていますから、それは絶対 に完璧かと言ったらそうでもないでしょう。

ですから、理想的な実勢価格なる理念としてある価格は、

公示価格よりも正確でしょうが、そういうものが本当にあ るだろうかということを考えていただきたいわけです。土 地鑑定委員会の役目は実勢価格なるものをつかむ努力をす ることです。だからこそ鑑定評価理論ができて、地価公示 制度ができて、国民の貴重な税金を使って実施しているわ けです。

結局、公示価格が高いか安いかというのは目に見えない ものですからわからないわけで、結局は鑑定評価理論で指 し示された形式や手順をきちんと踏んで合理的に咀嚼して 初めて客観的な信頼できる価格になるのではないかと思う わけです。だから、確かに現場の感覚で裏付けられた健全 なその方々の相場観、常識で高い、安いと言うのももちろ ん1つの心情をあらわしており理解はできますが、やはり 公に認められた手続を踏んだ、手続面というのは地味なこ とではありますけれども、そういうやり方をして作られた 指標というのが地価公示でございますので、相対的に正し いといえるのではないかと考えております。

最後に、もう1点だけ。地価公示の制度は昔は地価高騰 の抑制のためにつくられた制度であるわけです。今は逆に デフレですから、だからもう要らないのではないかという 議論もございますけれども、やはりそうではなくて資産デ フレが続く局面では、どうしても心理的にキャピタルロス を大きく見る傾向があると思うわけです。ですから、むし ろ今こそ公示価格をきちっと出して毎年の変動状況を見る というのがますます必要になっているのではないかという ふうに考えておるわけでございます。

ご静聴ありがとうございました。

参照

関連したドキュメント

賠償請求が認められている︒ 強姦罪の改正をめぐる状況について顕著な変化はない︒

単に,南北を指す磁石くらいはあったのではないかと思

○国は、平成28年度から政府全体で進めている働き方改革の動きと相まって、教員の

次に、 (4)の既設の施設に対する考え方でございますが、大きく2つに分かれておりま

きも活発になってきております。そういう意味では、このカーボン・プライシングとい

   縮尺は100分の1から3,000分の1とする。この場合において、ダム事業等であって起業地

都内の観測井の配置図を図-4に示す。平成21年現在、42地点91観測 井において地下水位の観測を行っている。水準測量 ※5

【フリーア】 CIPFA の役割の一つは、地方自治体が従うべきガイダンスをつくるというもの になっております。それもあって、我々、