1.はじめに
本工事は,静岡県藤枝市から島田市へ通じる第二東高 速道路島田第一トンネル(下り線)の建設工事である.
本トンネルは,大井川の東に位置しており大部分を新第 三紀〜古第三紀の瀬戸川層群(泥岩および泥岩優勢層:
弾性波速度3.4〜3.6km/s)がしめている.
東側坑口部235m 区間においては,新第三紀の大井川 層群(含礫泥岩等:弾性波速度2.0あるいは3.4〜3.6 km/s)となっており,地山等級は E と非常に脆弱であ る.このような地山に大断面トンネル(掘削面積約175 m2,扁平率0.68)を構築するため,側壁導坑と中央導 坑(掘削面積約28m2×3断面)を先進掘削する分割掘 削(機械掘削方式)が計画されている(図−1,写真−1,2 参照).本報告では,東側坑口における脆弱地山の施工 について示す.
2.工事概要
西側坑口からは,TBM 先進上半拡幅工法が採用され ている.西側発進坑(L=140m)および東側到達坑(L
=235m)を除く約2,300m 間は,TBM 導坑を施工貫通 後,上半拡幅掘削(爆破掘削方式)にて施工を行う.施 工は西側と東側から行う.
施工延長:2,685m
トンネル延長:2,675m(TBM 導坑2,278m)
土工延長:10m 橋台下部工 1式 付 帯 工 1式
3.実施工
中央・側壁導坑掘削
施工は,中央導坑→側壁導坑→本坑の順で行った.中 央導坑,側壁導坑掘削において,変位が大きく,切羽も 自立しない状態であった.掘削は約30m2の断面コンク リートでの施工となった.湧水発生箇所では,特に切羽 の保持は困難であったため,必要に応じて鏡ボルトの打
設を行った.
中央導坑において,数回1m〜2m 程度の天端の崩落 が生じた.そのため,天端フォアポーリングを注入式フォ アポーリング L=3.0m(注入材:シリカレジン)に変 更した.しかし,側壁導坑においては,約6m 程の天端 崩落(写真−3参照)が生じたため,フォアポーリング を L=4.0m に変更し,天端保持に努めた.
中央導坑・側壁導坑の A 計測結果を表−1に示す.
低土被り・脆弱地山における 扁平大断面トンネルの施工
柳澤 修
*
Osamu Yanagisawa
金丸 信一
* Shinichi Kanemaru
*
横浜(支)道公島田(出)図−1 支保パターン
写真−1 導坑掘削後坑口状況
写真−2 本坑掘削後坑口状況
西松建設技報 VOL.27 抄録
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【 中央導坑内空変位経時変化図(STA554+60)】
-100.0 -90.0 -80.0 -70.0 -60.0 -50.0 -40.0 -30.0 -20.0 -10.0 0.0 10.0 20.0
3/15 3/25 4/4 4/14 4/24 5/4 5/14 5/24 6/3 6/13 6/23 7/3 7/13 7/23 8/2 8/12 8/22 9/1 9/11 9/21 10/1 日 付
変位量(mm)
-20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
天端沈下 脚部沈下−左 脚部沈下−右 測線−A 測線−B 測線−C 中央導坑 側壁導坑-右 側壁導坑-左 凡例 切羽との距離(m)
測線の位置
JH静岡建設局 静岡工事事務所 第二東名 島田第一Tn下り線工事
西松・鴻池・フジタ共同企業体 内空変位測定(中央導坑)
A B
C
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
【 本坑沈下経時変化図(STA.554+60)】
-150 -140 -130 -120 -110 -100 -90 -80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50
03/9/9 03/9/19 03/9/29 03/10/9 03/10/19 03/10/29 03/11/8 03/11/18 03/11/28 03/12/8 日 付
変位量(mm)
-20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 切羽からの距離(m)
天端沈下(F1) 左肩部沈下(F2) 右肩部沈下(F3) 左脚部沈下(F4) 右脚部沈下(F5) 左下半沈下(F6) 右下半沈下(F7) 相対沈下(F2-F3) 相対沈下(F4-F5) 相対沈下(F6-F7) 中央導坑 側壁導坑-右 側壁導坑-左 本坑上半 凡例 測線の位置
JH静岡建設局 静岡工事事務所 第二東名 島田第一Tn下り線工事
西松・鴻池・フジタ共同企業体 内空変位測定(本坑) F6
. F5
F7 F3 F2
F4 F1
管理基準値
(相対沈下)
レベルⅠ レベルⅡ レベルⅢ
地表面沈下は最大250mm を示した.坑口部においては 右肩下がりの傾斜地形で,山側からの偏圧を受け,水平 方向に20mm 変位した.導坑では,最大内空変位80mm,
脚部沈下90mm であり,変形モードも山側より変圧を 受ける傾向が見られた.そのため吹付けコンクリートに は,変位によるクラックが生じ,クラックの間からはタ イロットが変形しているのが確認できた.変位を抑制す るため,インバートストラット(H‐150)+インバート 吹付けコンクリート(t=15cm)を施工することとした.
変 位 は,ト ン ネ ル 幅(D)に 対 し て,約3D(15m)後 に収束傾向を示した.
中央導坑および側壁導坑において平板載荷試験を行 い,地耐力の確認を行った.結果として当初計画の地耐 力が得られないことが確認できたため,底盤幅約4m の 側壁コンクリートを打設した.しかし,上半拡幅掘削の 際,低土被り(1D=18m 以下)のため,全土被りがト ンネルに作用することに加え,傾斜地形に伴う偏圧が懸 念された.そのため,上半拡幅掘削においても,脚部沈 下および支保工応力,吹付けコンクリート応力測定が課 題となった.
本坑掘削
上半拡幅掘削では,まず天端の安定を目的として,
AGF 工法(注入材:シリカレジン)を採用した.注入 は,初期圧+100N 程度しか圧力がかからず,導坑掘削 による緩み領域が大きいことが想定された.本坑掘削時 における,A 計測および B 計測結果を表−2に示す.A 計測は,坑口より5m ピッチで7測点/断面行った.側 壁コンクリートおよび AGF 工法の施工の結果,天端沈 下において最大40mm,脚部沈下においては,50mm に 押えることができた.B 計測においても,トンネル支保 耐力を超えるような大きな作用荷重はなかった.
掘削中は中央・側壁導坑同様鏡吹付けコンクリート(t
=10cm)を行ない,安全に配慮し施工をおこなった.
また大きな天端崩落もなく施工することができた.
4.おわりに
上半拡幅掘削は坑口より50m まで行った.現在,中 央導坑掘削を再開した.地質調査から,坑口より140m 地点では,弾性波速度2.0km/s の低速度帯が確認され ている.また,土被りも大きくなっていくため.トンネ ル作用荷重も増大することが想定される.今後も,今ま で同様計測体制を強化し,施工に努めたい.
最後に本工事の施工に当り,御指導御協力を頂いてお ります本社土木設計部の皆様に深く感謝いたします.
写真−3 崩落状況
表−1 中央・側壁導坑計測結果
表−2 本坑計測結果
抄録 西松建設技報 VOL.27
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