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9 2重積分と累次積分

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Academic year: 2021

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Revised at 08:08, December 11, 2015 解析学B 第9 http://my.reset.jp/˜gok/math/ 1

9 2重積分と累次積分

9.1 先週の演習問題の検討

基本演習 1 (教科書問題8.1) 次の累次積分を計算し、積分順序を交換した場合も 計算して下さい。

(4)

Z 2 0

ΩZ x

x

x2y2dy æ

dx

まずこの順番で積分すると、

Z 2 0

ΩZ x

x

x2y2dy æ

dx= Z 2

0

1 3x2y3

x

x

dx= Z 2

0

2 3x5dx=

1 9x6

2 0

=64 9 となります。

次に積分の順序交換をするために、まずこの積分領域(Dとします)を不等式で表し:

xyx 0y2

更にこれを図示すると下図(真ん中)のようになっています。

これを上図左のようにたて切り にして不等式で表したものが先ほどの不等式でした。

従って積分順序を交換するためには、今度はこの領域をよこ切りにして(上右図)不 等式で表現すれば良いのですが、この領域を横に切ろうとするとどうしても全体を一つ の不等式で表すことが出来ません。

なぜなら、y >0で切る場合とy <0で切る場合では、切り口のxの範囲の左側を決 定する直線が違う直線になってしまうからです。

仕方がないので2つに分けて(上からD+, Dとします)書くことにします:

D+ :

yx2

0y2 D :

yx2

2y0

この様に2つの連立不等式に分かれてしまう場合にはどうやって累次積分すれば良いの でしょうか。

9.2 2重積分

先週見たように累次積分は体積の計算に関連していました。

一般に床が領域Dで、領域D内の各点(x, y)における屋根の高さがF(x, y)である 様な立体の体積V は次のように計算されます。

床に座標軸に平行な線を沢山書いて細かいタイルで分割したようにし、それに応じて 立体を細長い いもけんぴ に分割します。

このタイル1枚1枚は横dx、縦dyであるとすればタイル1枚の面積はdxdyです。ま た、1本のいもけんぴは大体直方体であると思えば、その底面タイル内に点(x, y)があ る場合(3次元空間内では正確には点(x, y,0)でしょうか)その高さは大体F(x, y) すから、大雑把に言って1本のいもけんぴの体積はf(x, y)dxdyとなります。

これを全てのタイルで足し合わせれば全体の体積になりますから、これを V =

ZZ

|{z}D 領域D内で 全て足し合わ せると云う記号

F(x, y)dxdy

| {z }

いもけんぴ 1本の体積

と書くことにするわけです。これが2変数関数F(x, y)を領域Dで積分すると云う事で、

2重積分と呼ばれています。

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9.3 2重積分と累次積分の関係

また、この同じ体積は、前回見たように立体をスライスして断面積を積分する事によっ て累次積分でも計算出来ましたから、結果的に(体積と云う考え方を媒介として)累次 積分と2重積分が等しい事が判ります。これをまとめると次のようになります。

2変数関数F(x, y)を領域Dで2重積分する事を考えます。積分領域Dをたて切り にしたとき、切り口、すなわちyの動く範囲はどこで切るかによって違いますからそれ を下図の様にf(x)yg(x)としましょう。

 このとき、領域Dは不等式:

D :

f(x)yg(x) axb

で表され、2重積分は次の様な累次積分と等しく なります:

定理 9.1 axbにおいてf(x)g(x)であって、領域Dが不等式:

f(x)yg(x) axb

で表されるならば、(連続関数)F(x, y)Dにおける2重積分RR

DF(x, y)dxdy 次の累次積分に等しい:

ZZ

D

F(x, y)dxdy= Z b

a

Z g(x) f(x)

F(x, y)dydx.

全く同様に横切りにして累次積分に帰着させる事も出来ます

定理 9.2 cydにおいてv(y)w(y)であって、領域Dが不等式:

v(y)xw(y) cyd

で表されるならば、(連続関数)F(x, y)Dにおける2重積分RR

DF(x, y)dxdy 次の累次積分に等しい:

ZZ

D

F(x, y)dxdy= Z d

c

Z w(y) v(y)

F(x, y)dxdy.

9.4 記号に関する注意

2重積分と(ヨコ切りの)累次積分において一見同じ記号『dxdy』が使われています が、これらは全く別のものですので注意して下さい。

後者(累次積分に現れるもの)は、これは本来あるべき括弧を省略して書いた記法で あって本当はdxdyの間に括弧があった筈です:

Z d c

(Z w(y) v(y)

F(x, y)dx )

dy.

ですから、このdxdyは たまたま隣に座っただけ の赤の他人です。この2つの記 号の間には何の関係もありません。

しかし、2重積分に現れているdxdyは、いもけんぴ1本の底面の微小面積を表して いて、dxdyで1文字だと考えた方が良いでしょう。

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9.5 積分領域がスプリットする場合

従って床が2つにスプリットしている場合は、当然ですがそれぞれの上の体積を計算 して足し合わせれば全体の体積になる筈です。つまり、それぞれの不等式に対応した累 次積分を計算してそれらを足し合わせれば良いことになります。

事実 9.3 積分領域Dが交わらない(境界線を共有するのは構いません)2つの領 D1, D2の和集合になっているとき(これをD=D1D2などと書きます)、D

での関数F(x, y)の2重積分はそれぞれの領域での積分の和になります:

ZZ

D

F(x, y)dxdy= ZZ

D1D2

F(x, y)dxdy

= Z

D1

F(x, y)dxdy+ Z

D2

F(x, y)dxdy.

今日考えていた問題で実際やってみると:

ZZ

D

x2y2dxdy= ZZ

D+

x2y2dxdy+ ZZ

D

x2y2dxdy

= Z 2

0

ΩZ 2 y

x2y2dx æ

dy+ Z 0

2

ΩZ 2

y

x2y2dx æ

dy

= Z 2

0

1 3x3y2

2 y

dy+ Z 0

2

1 3x3y2

2

y

dy

=1 3

Z 2 0

(8y2y5)dy+1 3

Z 0

2

(8y2+y5)dy

=1 3

8 3y31

6y6

2 0

+1 3

8 3y3+1

6y6

0

2

=1 3

µ82 3 26

6

+1

3 µ82

3 26 6

=64 9

ちゃんと同じ値になります。

9.6 絵を描かずにやってみると・

例題 9.4 ZZ

(0y

x32x2x+ 2 0x3

2y dxdy

この不等式はたて切りの形をしていますからそのまま累次積分に直せば ZZ

(0y

x32x2x+ 2 0x3

2y dxdy= Z 3

0

Z x32x2x+2 0

2y dydx

= Z 3

0

£y2§x32x2x+2

0 dx

= Z 3

0

(x32x2x+ 2)dx

=

1 4x42

3x31

2x2+ 2x

3

0

=15 4

となりますが、この計算は間違いです。どこが間違っているのか分かりますか?

一見さっき確認した定理9.1の通りに累次積分している様に見えますが、実は定理の 最初の部分、

axbにおいてf(x)g(x)であって が成り立っていません。

具体的に書くとは0x3において0

x32x2x+ 2が成り立つかと云う部 分ですが、これは成り立ちません。え? ルートは正だから成り立つ筈ですが…

実はルートの中身は簡単に因数分解出来て

x32x2x+ 2 = (x2)(x1)(x+ 1)

なんですが、1< x <2の範囲ではルートの中身が負になってしまいます。と云う事は ルートをとると複素数と云う事になってしまい、不等号は成り立ちません(複素数に大 小関係はありません)。

(4)

Revised at 08:08, December 11, 2015 解析学B 第9 http://my.reset.jp/˜gok/math/ 4 この不等式

0y

x32x2x+ 2 0x3

を満たす実数の組(x, y)全体を図示すると下図の斜線部分になります:

従って、正しいたて切りの不等式は

0y

x32x2x+ 2 0x1

または、

0y

x32x2x+ 2 2x3

となり、2重積分が家の体積を求めることだったことを思い出せば、2つの領域それぞ れでの積分を計算して足せば正しい値が出て来る筈です。

正しい計算をすれば ZZ

(0y

x32x2x+ 2 0x3

2y dxdy

= ZZ

(0y

x32x2x+ 2 0x1

2y dxdy

+ ZZ

(0y

x32x2x+ 2 2x3

2y dxdy

= Z 1

0

Z x32x2x+2 0

2y dydx+ Z 3

2

Z x32x2x+2 0

2y dydx

であって、計算を進めれば

= Z 1

0

£y2§x32x2x+2

0 dx+

Z 3 2

£y2§x32x2x+2

0 dx

= Z 1

0

(x32x2x+ 2)dx+ Z 3

2

(x32x2x+ 2)dx

=

1 4x42

3x31

2x2+ 2x

1 0

+

1 4x42

3x31

2x2+ 2x

3

2

= 1 42

3 1

2 + 2 +1 4342

3331

232+ 6 µ1

4242 3231

222+ 4

= 386 + 24 + 358·3354 + 7248 + 64 + 2448 12

= 25 6

となります。これが正解。絵を描いてみないと分からないものですね。

Exercise

基本演習 2 (教科書問題8.2) 次の2重積分を2通りの積分順序で累次積分にして 計算して下さい。

(1)

ZZ

D

xy dxdy, D : 0x1,1y3

(2)

ZZ

D

(1xy)dxdy, D : x0, y0, x+y1

(3)

ZZ

D

xy dxdy, D : x0, y0, x2+y24

(4)

ZZ

D

exydxdy, D : 0x1, xy1

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