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レセプションアタックに着目した バレーボールの戦術提案

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(1)

中央大学理工学部情報工学科  

卒業研究論文

レセプションアタックに着目した  バレーボールの戦術提案 

               

学籍番号 

02D8101022J

  柏木  達也 

 

指導教員  田口  東  教授 

2006

3

月 

(2)

あらまし

  本研究ではバレーボールのレセプションアタックに着目し,ゲーム理論を用いてバレー ボールの戦術提案を行なう.まず,バレーボールの試合をレセプションアタックに限定し て,データを収集する.さらに,攻撃側のセッターがローテーションによって後衛にいる 時に限定し,攻撃側の前衛の動きとアタックを分析する.また,この攻撃に対する守備側 の各ブロックフォーメーションによるブロックの枚数とその評価を分析する.これらをゲ ーム理論における戦術と見立て,各ブロックフォーメーションの最適な割合を求める.最 後に,実際に行われた試合に対し,ゲーム理論から得られた各ブロックフォーメーション を用いる最適な割合を適用し,その効果を検証する.

キーワード:バレーボール,レセプションアタック,ゲーム理論,ブロックフォーメーショ       ン,ブロックの枚数

(3)

目次

1 はじめに... 1

2 ゲーム理論... 2

2.1 二人ゼロ和ゲーム...2

2.2 ミニマックス戦略...2

2.3 優越される戦略...3

2.4 混合戦略...3

3 使用データ... 6

3.1 データの概要...6

3.2 データの収集方法...6

3.2.1 データバレー...6

3.2.2 データビデオ...9

3.3 データの編集...9

4 試合分析... 13

4.1 分析する試合の決定...13

4.2 分析する項目の決定...13

4.2.1 アタックの名称の簡略化...13

4.2.2 分析する項目の決定...16

4.3 日本体育大学が行なった全試合の分析...18

4.3.1 対戦チームの前衛の動きとアタック...18

4.3.2 日本体育大学のブロックの枚数と評価...19

4.4 日本体育大学対嘉悦大学の分析...22

4.4.1 嘉悦大学の前衛の動きとアタック...22

4.4.2 日本体育大学のブロックの枚数と評価...23

4.5 日本体育大学対筑波大学の分析...26

4.5.1 筑波大学の前衛の動きとアタック...26

4.5.2 日本体育大学のブロックの枚数と評価...26

5 ブロックの戦略提案... 30

5.1 ゲーム理論の適用...30

5.1.1 日本体育大学が行なった全試合...30

5.1.2 日本体育大学対嘉悦大学の試合...31

(4)

5.1.3 日本体育大学対筑波大学の試合...32

5.2 ゲーム理論の適用によるブロックの枚数の変化...33

5.2.1 日本体育大学が行なった全試合...33

5.2.2 日本体育大学対嘉悦大学の試合...35

5.2.3 日本体育大学対筑波大学の試合...36

5.3 ゲーム理論の適用のまとめ...37

6 おわりに... 38

6.1 まとめ...38

6.2 今後の課題...38

謝辞... 39

参考文献... 39 付録A  バレーボール用語

付録B  日本体育大学のブロックのコード

(5)

1

章  はじめに

2008年,北京にて第29回夏季オリンピックが行なわれる(日本オリンピック委員会[7]).

夏季オリンピックでは,水泳,野球,サッカーなど様々な競技が行なわれる.バレーボー ルも夏季オリンピックで行なわれる競技の 1 つである.このオリンピックに向けて,バレ ーボール戦術ソフトの開発が計画された.このバレーボール戦術ソフトは,リアルタイム にデータを更新する機能をもつ.さらにこの戦術ソフトは,ゲーム理論を用いたアルゴリ ズムにより戦術を提案する.この戦術提案ソフトには,既存のバレーボール戦術ソフトと は異なる特徴がある.その特徴とは,セッターがトスを上げてから任意の選手がアタック を打つまでの間,全選手がどのように動いたかを入力する機能をもつことである.この機 能により,チーム全体としての攻撃の戦術を分析できる.

バレーボールはネットを挟んで自陣,敵陣に分かれるスポーツである.その為,攻撃と 守備を明確に分けられる.よって,攻撃,守備,それぞれの戦術を分析する.分析するプ レーは,レセプションアタックとそれに対するブロックである.

レセプションとは,サーブをレシーブすることであり,レセプションアタックとはレセ プション直後のアタックである.レセプションにより,セッターへ正確に返球された時に 着目する.セッターへ正確にボールが返球されれば,クロスやフェイントなど様々な戦術 に合わせてトスを上げられると考えられる.

一方,ブロックは現代のバレーボールにおいて,選手のアタック技術の向上により重要 視されている.一般的に,アタックの速度が55km/hを越えると,人間の反射速度では追い つけないといわれている.アタックの最高速度は,女子トップレベルで65km/h,男子トッ プレベルで100km/hを越える.よって,ブロックにより,ワンタッチでアタックの速度を 落としたり,アタックコースを狭めたりすることで,レシーブを容易にする必要がある.

ブロックの枚数が増えれば,アタックのコースは狭くなり,ワンタッチの確率も増えると 考えられる(バレーボール上達法[2]).つまり,ブロックの枚数を増やすことが重要である.

そこで,ブロックの枚数をできるだけ増やす戦術の提案を考える.

以上のことから,本研究では,この戦術提案ソフトを用いることを想定して,バレーボ ールのレセプションアタックとそれに対するブロックを分析する.その後,分析によるレ セプションアタックとそれに対するブロックのデータからブロックの戦術提案をする.

  本論文中に出てくるバレーボール用語は基本から戦術までバレーボール[4],スポーツル ール.com[5],バレーボールガイド[9]を参考にする.これを付録に示す.

(6)

2

章  ゲーム理論

  本章では,ブロックの戦術提案に用いるゲーム理論を戦略ゲームのはなし[1],ゲーム理 論[3]にもとづいて述べる.

2.1 2

人ゼロ和ゲーム

  ゲーム理論では,利害関係が同じである組織体を1人とみなす.よってバレーボールは2 人ゲームである.さらにバレーボールは一方のチームが得点すると,もう一方のチームは 失点したと考えられる.このことからバレーボールは2人ゼロ和ゲームである.

2.2

ミニマックス戦略

  2人ゼロ和ゲームは,支払行列を基にして,それぞれの参加者が最適な選択をする.支払 行列とは,参加者A,参加者B2人が対戦した時の参加者Aの受け取る金額を行列で表 したものである.参加者Aが選べる戦術が 通り,参加者Bが選べる戦術が

n

通りあると

して,参加者Ai番目の戦術を選び,参加者Bが 番目の戦術を選んだ時の参加者A 受け取る金額を とする.この時,支払行列は

m

j

aij

⎥ ⎥

⎥ ⎥

⎥ ⎥

⎥ ⎥

⎢ ⎢

⎢ ⎢

⎢ ⎢

⎢ ⎢

=

mn mj

m m

in ij

i i

n j

n j

a a

a a

a a

a a

a a

a a

a a

a a

A

L L

M M

M M

L L

M M

M M

L L

L L

2 1

2 1

2 2

22 21

1 1

12 11

(2.1)

である.

  参加者Ai番目の戦術を選ぶ時には,参加者Bがどの戦術を選ぼうが,参加者Ai の最小金額

n ij

j

a

1

min

(2.2)

を得られる.また,参加者 A はどの戦術も自由に選べるので,これら最小金額のうち最大 のものを選べる.この最大金額は

n ij j m

i

a

1

1

min

max

  (2.3)

である.最小金額のうち最大のものを選ぶことを参加者Aのミニマックス戦略という.

(7)

B

j

行の最大金額

m ij

i a

1

max (2.4)

以上支払うことはない.参加者Bも参加者Aと同様にどの戦術も自由に選べるので,これ らの最大金額のうち最小のものを選べる.この最小金額は

m ij i n

j

a

1

1

min max

  (2.5)

である.このことは,参加者Aが自分自身で

n ij m j i

a

1

1

min max

  (2.6) を得るように戦術を選べるが,参加者Bによって

m ij n i

j

a

1

1

min max

  (2.7) 以上得られないように妨げられていることを表している.

つまり,

m ij i n ij j n j m

i

a a

1 1 1

1

min min max

max

(2.8)

という関係が成り立っている.

  参加者Aが得られる最小金額のうち最大のものと参加者Bが支払う最大金額のうち最小 のものが一致した時,つまり

m ij i n ij j n j m

i

a a

=

1 1 1

1

min min max

max

(2.9)

となった時,2人ゼロ和ゲームの平衡状態が得られる.この時の組

( ) i, j

は支払行列Aの鞍

点といい,この時の を鞍点の値という.また,このように特定の1つの戦術を用いるこ とを純粋戦略という.

aij

2.3

優越される戦略

  支払行列では相手の選ぶ戦術とは関係なく,必ず他の戦術より損をする戦術が存在する 場合がある.このような場合は,必ず損をする戦術を前もって除いておく方が簡単である.

そのように必ず他の戦術より損をするような戦術を,優越される戦略という.優越される 戦略の削除によって,鞍点が簡単に見つけられる場合がある.

2.4

混合戦略

  2人ゼロ和ゲームでは必ず鞍点が存在するわけではない.混合戦略とは,鞍点が存在せず,

(8)

参加者 A,B は戦術を 1 つに決められない時,様々な戦術を混ぜて使う戦略である.混合 戦略は,参加者 A,B が用いる戦術の割合を指定することにより,戦略を 1 つに定める.

参加者Aの選べる戦術を 通りとする.それらの戦術を用いる確率を とした 時,これらの確率の集合

m x

1

, x

2

, L , x

m

X

( x x x

m

)

X =

1

,

2

, L ,

となる.これが参加者Aの混合戦略である.これらの確率の集合X

=

=

=

m

i i

i

x

m i

x

1

1

, , 2 , 1 ,

1

0 L

(2.10)

を満たす.同様に,参加者 B の選べる戦術を

n

通りとする.それらの戦略を用いる確率を とした時,これらの確率の集合Y

y

n

y y

1

,

2

, L ,

( y y y

n

)

Y =

1

,

2

, L ,

となる.これが参加者Bの混合戦略である.これらの確率の集合Y

=

=

=

n

j j

j

y

n j

y

1

1

, , 2 , 1 ,

1

0 L

(2.11)

を満たす.

  参加者A,Bがそれぞれの戦術を

( )

(

n

)

m

y y y Y

x x x X

, , ,

, , ,

2 1

2 1

L L

=

=

の割合で用いる時,参加者 A の得る金額は一定ではなく,混合戦略により与えられる確率 で得る金額が異なる.そこで,参加者 A の得る期待金額を考える.期待金額とは,各金額 にその金額を得る確率を掛けたものを,すべての場合について加えたものである.参加者A がとる混合戦略をX ,参加者Bがとる混合戦略をYとした時,参加者Aの得る期待金額を

とすると

( X Y

E , )

( ) ∑∑

= =

=

m

i n

j

j i ij

x y a Y

X E

1 1

,

      (2.12) となる.

  混合戦略の場合も,純粋戦略と同様に,参加者A が得られる最小の期待金額のうち最大 のものを選べ,その期待金額は

(

i j

)

n j m

i

min E x , y

max

1

1     (2.13)

である.同様に,参加者Bが支払う最大の期待金額のうち最小のものは

( x

i

y

j

)

E , max

min

    (2.14)

(9)

である.

  また,混合戦略において鞍点が存在する条件も純粋戦略と同様に

( ) (

i j

)

m i n j j

n i j m

i

min E x , y min max E x , y

max

1 1 1

1

=

    (2.15)

である.

  混合戦略まで考えれば,必ず鞍点が存在し,2人ゼロ和ゲームを解ける.

(10)

3

章  使用データ

  本章では,研究に使用するデータとソフトウェア,作成するデータの構造について述べ る.

3.1

データの概要

本研究で使用するデータは,平成16年度秋季関東大学バレーボールリーグ戦女子1部の 40 試合中の33試合であり,日本体育大学の伊藤雅光氏,根本研氏からいただいた.関 東大学バレーボールリーグは,全日本大学バレーボール連盟に加盟する関東の 107 大学を 13部に分け,勝敗を競うリーグである.平成16年度の秋季関東大学バレーボールリーグ戦 女子 1 部は筑波大学,嘉悦大学,青山学院大学,東京女子体育大学,早稲田大学,東海大 学,日本体育大学,日本女子体育大学の8大学が所属する(全日本大学バレーボール連盟[6]).

3.2

データの収集方法

3.2.1 データバレー

  データバレーとは,イタリア製のスカウティングソフトであり,世界のナショナルチー ムやクラブチーム,大学に幅広く使用されている.データバレーは,サーブの種類,アタ ックの種類,コース,評価,スコアなど細かい情報を入力できる.データバレーは情報を 入力する際に,その内容をレグファイルというファイルに保存する(バレーボールアンリ ミテッド[8]).

対戦したチームをチーム1,チーム2とする時,チーム1の選手には背番号の数字(0 50までの数字),チーム2の選手には背番号に50を加えた数字(50から99までの数字)

を割り当て,これらの数字を選手番号と定義する.データバレーのサーブ,レセプション

(サーブレシーブ),アタックのコードの読み方を説明する.サーブ,レセプション,アタ ックのコードは,レグファイルから抽出したデータである.サーブのコードは,選手番号,

サーブの名称,サーブの評価,サーブ地点,レシーブ地点で構成される.サーブの名称,

サーブの評価,サーブ地点とレシーブ地点を表3.1,表 3.3,図3.1に示す.レセプション のコードは,選手番号,レセプションの名称,レセプションの評価,サーブ地点,レシー ブ地点で構成される.レセプションの名称,レセプションの評価,サーブ地点とレシーブ

地点を表3.2,表3.3,図3.1に示す.アタックのコードは選手番号,アタックのテンポ,

アタックの評価,アタックの名称,ボールが相手選手又はコートに当たった場所で構成さ れる.アタックのテンポと名称,アタックの評価,ボールが相手選手又はコートに当たっ

(11)

番号を割り当てたものである.図3.2におけるアタックの位置は,攻撃側から見た位置であ る.また,図3.2におけるアタックのテンポは,トスの滞空時間の長さを指す.図3.3に,

これらを視覚的に示す.図3.2におけるアタックのテンポは,テンポがAQである時のトス の滞空時間が最も短く,テンポがALである時のトスの滞空時間が最も長い.必ずしもトス の最高点でアタックをするわけではないので,アタックのテンポは,アタックの高さでは ない.また,図3.2におけるアタックのテンポAQのコート右にあるアタックPDとアタッ PLの違いは,アタックPDが両足でジャンプし,アタックPLは片足でジャンプする点 である.

3.1  サーブの名称 記号 サーブの名称

SQ ジャンプサーブ SM ジャンピングフローター SH フローター

3.2  レセプションの名称 記号 レセプションの名称

SQ ジャンプサーブに対するレセプション SM ジャンピングフローターに対するレセプション SH フローターに対するレセプション

3.3  各コードの評価

評価 アタック レセプション サーブ

# 成功 Aカット(セッターのいるところへ正確に返せた) サービスエース

+ 相手につなげられる Bカット(コンビは使えるがセッターが動いてし

まう) 相手がコンビを使えないサーブ

! なし Cカット(2段トス,オープンしか使えない) 相手にBカットされる

なし !と同様 !と同様

/ ブロックされる ダイレクトで相手に返る ダイレクトで相手に返る

= ミス ミス ミス

(12)

1 6 5

3.1  コートの番号割り当て

3.2  アタックの名称

9 8 7 2 3 4

AL 7 8 9 AL

AH P1 P2 P3 P4 P5 AH

AM PV PW PX PY PZ AM

AT PG PK PI PT PJ PK AT

AQ PB PA PC PO PR PD,PL AQ

L(コート左) C(コート中央) R(コート右)

アタック 方向

ネット

アタックのテンポ

アタック位置 L(コート左)

アタック位置 R(コート右)

トスの滞空時間が アタックテンポ

アタック方向

(13)

3.2.2 データビデオ

  データビデオとは,データバレーと同じくイタリア製のソフトウェアである.データビ デオは,試合の映像をコンピュータのハードディスクに映像ファイルとして取り込み,デ ータバレーで入力されたコードを元に,映像ファイルの編集と試合の分析を行なう.デー タビデオは,第 1 セットの最初のサーブの瞬間と,データバレーに最初のサーブを入力し た時刻を同期させ,それ以降のコードで表されるプレーが映像ファイルの何秒後に存在す るかを計算する.

データビデオによる試合の分析は,分析ウィンドウを用いる.分析ウィンドウは選手番 号,コードの種類,コードの評価などの項目から構成される.データビデオは,分析ウィ ンドウに抽出したい項目を入力することにより,任意の試合中に行なわれた全プレーのコ ードの中から該当するコードを抽出し映像を再生する(バレーボールアンリミテッド[8]).

3.3

データの編集

  本研究では,レセプションの評価が#(セッターがいる位置へ正確に返球した)の時の アタックに着目する.この段落で出てくる選手は全て攻撃側の選手である.レセプション の評価が#の時のアタックに着目する理由は,セッターがいる位置へ正確に返球できた時,

セッターは狙った所にトスを上げられる為である.セッターへの返球が正確であった時,

前衛にいるアタッカーの戦術はクロスやフェイントなど様々な種類がある.逆に,セッタ ーへの返球が乱れた時やセッター以外の選手がトスを上げた時は,レフトへのトスが多く 戦術の種類が少ない.

データは対戦大学名と日付,サーブのコード,レセプションのコード,アタックのコー ド,試合開始からの経過時間(試合開始は第 1 セットのサーブを打つ瞬間とし,その時間 000秒とする),セット数,チーム1のポイント数,チーム2のポイント数,チー 1のセッターの位置,チーム2 のセッターの位置,前衛の動き①,前衛の動き②,ブロ ックフォーメーション,ブロックの枚数,ブロックの評価で構成される.

試合開始からの経過時間は,第 1 セットの最初のサーブを打つ瞬間から各レセプション アタックを打つ瞬間までの経過時間である.チーム1,チーム2のセッターの位置は,ロー テーションでセッターがどの位置にいるかを表す.前衛の動き①はアタックの際,攻撃側 の任意の選手がアタックを打つまでの,攻撃側の前衛にいる各選手の動きである.前衛の 動きIIIを図3.3,前衛の動きXIを図3.4,前衛の動きIXを図3.5に示す.前衛の動き① は,攻撃側の前衛にいるアタッカーの動きを守備側から見た動きである.前衛の動き②の コードは,アタックの際,コート内の位置 2,9,3,7,4にいた全選手が,どのようなア タックを打とうとしたかを表す記号で,コート内の位置2,9,3,7,4の順に5文字の記 号で構成される.使用する記号は図3.2で示したアタックの名称を用いる.それ以外の記号

(14)

としてʻ/ʼがある.これは,セッターがその位置にいた,もしくはその位置からの攻撃が なかったことを示す.

ブロックフォーメーションは,攻撃側の前衛のアタッカーが助走をする直前における守 備側の前衛にいるブロッカーの配置である.以下,ブロックフォーメーションを説明する.

スプレッドは,守備側の前衛にいるブロッカーの間隔を広く配置するフォーメーション である.スプレッドを図3.6に示す.スプレッドは,両サイドからの速い攻撃に遅れずに対 応する為のフォーメーションである.ブロッカーの間隔が広い為,ブロッカーが 1 人しか 反応できないことが多い.また,ブロッカーの間を狙った速いアタックに対応できない場 合がある.

バンチは,守備側の前衛のブロッカーをコート中央付近に集めて配置するフォーメーシ ョンである.バンチを図3.7に示す.バンチは全ての攻撃に対し,ブロッカーの人数を増や す為のフォーメーションである.ブロッカーがコート中央に集まる為,コート左右の速い 攻撃に対応できない場合がある.

デディケートは,ブロックを片寄らせて配置するフォーメーションである.デディケー トを図 3.8 に示す.デディケートはアタックを打ちそうな選手や,アタックを打ちそうな 位置を予想し,それらを重点的にマークするフォーメーションである.ブロックを片寄ら せる為,予想外のアタックに対応できない場合がある.

次に,ブロックの枚数を説明する.ブロックの枚数は,アタックに対し,ブロックが何 枚飛んだかを表す.ブロックの枚数は,0.0枚から3.0枚までを0.5枚刻みで表す.ブロッ クの枚数が0.5枚とは,タイミングがずれてブロックが飛んだ場合や,片手でブロックが飛 んだ場合を表す.バレーボール選手の一般的な感覚として,完全にコースを遮れない0.5 のブロックは,ブロッカーの人数によらず0.5枚とみなされる.よって,ブロックが2人と 0.5枚である時は0.5枚と評価する.ブロックの評価は,ブロックをした結果である.

サーブのコード,レセプションのコード,アタックのコード,各プレーが行なわれた時 刻,セット数,チーム1のポイント数,チーム2のポイント数,チーム 1のセッターの位 置,チーム 2 のセッターの位置はデータバレーのレグファイルから抽出する.前衛の動き

①,前衛の動き②,ブロックフォーメーション,ブロックの枚数,ブロックの評価はデー タビデオを用いて独自に収集したデータであり,評価方法を以下に示す.実際に編集した データを付録に示す.

(15)

3.4  評価方法

項目 評価方法

前衛の動き① 1:III(レフト,センター,ライトがストレート)

2:XI(ライトとセンターがクロス)

3:IX(レフトとセンターがクロス)

4:その他

前衛の動き② アタックの名称とʻ/ʼを用い,5文字の記号で構成する.

ブロックフォーメーション 1:スプレッド(選手の間隔を広く配置する) 

2:バンチ(選手をコート中央付近に集めて配置する) 

3:デディケート(選手を片寄らせて配置する) 

4:その他 

ブロックの枚数 0.0枚から3.0枚までを0.5枚刻みで表す.

ブロックの評価 1:ブロックポイント 

2:味方のチャンスボール 

3:相手に拾われる 

4:攻撃できないくらい乱される 

5:ブロックアウト 

6:アタック成功

7:アタックミス,フェイント,ネットタッチなど

3.3  前衛の動きIII        図3.4  前衛の動きXI        図3.5  前衛の動きIX

(16)

アタッカー

セッター

3.6  スプレッド      図3.7  バンチ      3.8  デディケート

(17)

4

章  試合分析

  本章では,分析する試合と分析する項目を決め,日本体育大学が対戦したチームの攻撃 と日本体育大学の守備を分析する.分析では,3.3節で述べた前衛の動き①(以下,前衛の 動き),アタック,ブロックフォーメーションに着目する.日本体育大学が対戦したチーム の攻撃を分析する目的は,前衛の動きによるアタックの特徴を考察することである.日本 体育大学の守備を分析する目的は,相手の攻撃による各ブロックフォーメーションの特徴 を考察することである.

4.1

分析する試合の決定

3章ではデータビデオを用いて,レセプションアタック,前衛の動き,ブロックフォーメ ーションなどで構成されるデータを作成した.このデータを用いて,データの提供元であ る日本体育大学が行なった試合における,対戦チームの攻撃と日本体育大学の守備を分析 する.

分析する試合は,平成16年度秋季関東大学バレーボールリーグ戦女子1部において,日 本体育大学が行なった全試合である.日本体育大学が行なった全試合とは,筑波大学,嘉 悦大学,青山学院大学,東京女子体育大学,早稲田大学,東海大学,日本女子体育大学と 行なった7試合である.さらに,日本体育大学が行なった7 試合のうち,ブロックの回数 が多い日本体育大学対嘉悦大学,日本体育大学対筑波大学の 2 試合を個別に分析する.日 本体育大学が行なった全試合を分析する目的は,平成16年度秋季関東大学バレーボールリ ーグ戦女子 1 部に所属するチーム全体の攻撃の特徴と,これに対する日本体育大学の守備 の特徴を考察することである.日本体育大学対嘉悦大学,日本体育大学対筑波大学の 2 合を個別に分析する目的は,それぞれの試合における対戦チームの攻撃の特徴と,これら に対する日本体育大学の守備の特徴を考察することである.

4.2

分析する項目の決定

4.2.1 アタックの名称の簡略化

アタックの名称は煩雑である為,アタックの名称を簡略化する.アタックの名称を表す 記号は,図3.2で示した.これをわかりやすくするために,アタックテンポATからアタッ クテンポALまでに含まれるアタックは各アタックテンポに分けてまとめる.アタックテン AQに含まれるアタックはコート中央とコート右に分けてまとめる.これを図4.1に示す.

アタックテンポでまとめた記号により,日本体育大学が行なった全試合における対戦チ

(18)

ームの攻撃を分析する.対戦チームのセッターの位置による各前衛の動きのアタックを図 4.2に示す.また,セッターの位置と各前衛の動きにおけるアタックの割合を表4.1に示す.

セッターが後衛である時,全ての前衛の動きにおいて,AMの割合はAQC,AQRの割合よ り多い.なお,ここでいうセッターの位置とは,ローテーションによる位置を指す.セッ ターの位置が前衛である時の前衛の動きXIにおけるアタックはAQCの割合が5.0%,AQR

の割合が70.0%である.一方,セッターの位置が後衛である時の前衛の動きXIにおけるア

タックはAQCの割合が31.6%,AQRの割合が7.9%である.これらのことから,AMが攻

撃の中心であることがわかる.また,前衛の動きXIにおけるアタックは,セッターの位置 が前衛である時と後衛である時で,クロスする選手のどちらがアタックをするかが異なる と考えられる.図4.2におけるアタックテンポはAQC,AQR,AM3通りである.また,

アタックテンポでまとめることにより,アタックテンポATからアタックテンポALまでの アタックテンポは,アタック位置の情報を含まない.

そこで,アタックの名称をアタック位置でまとめる.これを図4.3に示す.コート右,コ ート中央,コート左からのアタックを,アタックR,アタックC,アタックLとする.ア タック位置でまとめた記号により,日本体育大学が行なった全試合における対戦チームの 攻撃を分析する.対戦チームのセッターの位置による各前衛の動きのアタックを図4.4に示 す.また,セッターの位置と各前衛の動きにおけるアタックの割合を表4.2に示す.セッタ ーが後衛である時の前衛の動きIIIの各アタックはほぼ同じ割合である.一方,セッターの 位置が前衛である時の前衛の動きIIIの各アタックは,アタックRの割合が少ない.セッタ ーの位置が前衛である時の前衛の動きXIにおけるアタックCの割合が15.0%,アタックR

の割合が70.0%である.一方,セッターの位置が後衛である時の前衛の動きXIにおけるア

タックはAQCの割合が47.4%,AQRの割合が15.8%である.これらのことから,セッタ

ーの位置が前衛である時は,前衛の動きIIIのアタックC,アタックLと,前衛の動きXI のアタックRの割合が多い.また,前衛の動きXIにおけるアタックは,セッターが前衛に いる時と後衛にいる時で,クロスする選手のどちらがアタックをするかが異なる.

4.2と図4.4を比較する.図4.2において,アタックテンポAMの割合が多いことがわ かる.しかし,アタックテンポによる特徴は少ない.図4.4において,前衛の動きとアタッ クの位置の特徴が表れている.これにより,各ポジションの選手のアタック回数が予測で きる.よって,以後の分析において,アタックの名称はアタック位置により簡略化した名 称を用いる.

(19)

0 5 10 15 20 25 30

AQC AQR AM AQC AQR AM AQC AQR AM AQC AQR AM AQC AQR AM AQC AQR AM

III XI IX III XI IX

前衛 後衛

セッターの位置,前衛の動き,アタック

アタック回数[回]

4.1アタックテンポによりまとめたアタックの名称

4.2  日本体育大学が行なった全試合における対戦チームの攻撃(アタックテンポ)

4.1  対戦チームのセッターの位置と前衛の動きにおけるアタックの割合

(アタックテンポ)

セッターの位置,前衛の動き AQC(%) AQR(%) AM(%)

前衛,III 42.9 7.1 50.0

前衛,XI 5.0 70.0 25.0

前衛,IX 66.7 0.0 33.3

後衛,III 25.6 14.0 60.5

後衛,XI 31.6 7.9 60.5

後衛,IX 27.3 0.0 72.7

AL AL AL

AH AH AH

AM AM AM

AT AT AT

AQ AQC AQR AQ

L(コート左) C(コート中央) R(コート右)

アタックのテンポ

(20)

0 5 10 15 20 25 30

R C L R C L R C L R C L R C L R C L

III XI IX III XI IX

前衛 後衛

セッターの位置,前衛の動き,アタック

アタック回数[回]

4.3アタックテンポによりまとめたアタックの名称

4.4  日本体育大学が行なった全試合における対戦チームの攻撃(アタック位置)

4.2  対戦チームのセッターの位置と前衛の動きにおけるアタックの割合

(アタック位置)

セッターの位置,前衛の動き R(%) C(%) L(%)

前衛,III 7.1 42.9 50.0

前衛,XI 70.0 15.0 15.0

前衛,IX 0.0 66.7 33.3

後衛,III 30.2 34.9 34.9 後衛,XI 15.8 47.4 36.8

後衛,IX 54.5 45.5 0.0

4.2.2 分析する項目の決定

日本体育大学が対戦したチームの攻撃は,セッターの位置が後衛である時の前衛の動き AL AL AH AH AM AM AT AT AQ

アタックL アタックC アタックR

AQ

L(コート左) C(コート右) R(コート右)

アタックのテンポ

(21)

合は,それぞれに特徴があると考えられる.初めに,日本体育大学が行なった全試合を分 析する.分析結果より,平成16年度秋季関東大学バレーボールリーグ戦女子1部に所属す るチーム全体(日本体育大学を除く)における,各前衛の動きによるアタックの特徴を考 察する.なお,日本体育大学が行なった全試合とは,筑波大学,嘉悦大学,青山学院大学,

東京女子体育大学,早稲田大学,東海大学,日本女子体育大学と行なった 7 試合である.

さらに,この日本体育大学が行なった 7 試合のうち,ブロックの回数が多い日本体育大学 対嘉悦大学,日本体育大学対筑波大学の 2 試合を個別に分析する.分析結果より,各チー ムの各前衛の動きによるアタックの特徴を考察する.

日本体育大学が対戦したチームの攻撃は,攻撃側のセッターの位置が後衛である時に限 定する.この理由は2つある.1つ目の理由は,攻撃側の前衛のアタッカーの人数と守備側 の前衛のブロッカーの人数の差である.攻撃側のセッターの位置が前衛である時,攻撃側 の前衛のアタッカーは2人であるのに対し,守備側の前衛のブロッカーの人数は3人であ る.よって,守備側の前衛のブロッカーの人数が 1 人多い.一方,攻撃側のセッターが後 衛である時,攻撃側の前衛のアタッカーは 3 人であり,攻撃側の前衛のアタッカーと守備 側の前衛のブロッカーの人数が等しい.2つ目の理由は,攻撃側の前衛のアタッカーの人数 による戦術の偏りである.攻撃側の前衛のアタッカーが 2 人である時は,攻撃側の前衛の アタッカーが 3 人である時より戦術の選択肢が少ない.つまり,攻撃側のセッターの位置 が前衛である時は,戦術が偏りやすいと考えられる.一方,攻撃側のセッターの位置が後 衛である時は,攻撃側の前衛のアタッカーが 3 人なので,攻撃側の前衛のアタッカーが 2 人である時より戦術の選択肢が多い.つまり,戦術が偏りにくいと考えられる.

日本体育大学の守備は,対戦チームのセッターが後衛である時の,各前衛の動きのアタ

ックR,アタックC,アタックLに対するブロックに限定する.また,これを各ブロック

フォーメーションについて考察する.各ブロックフォーメーションによるブロックの枚数,

ブロックの評価は,対戦したチームの各前衛の動きのアタックにより,特徴があると考え られる.初めに,日本体育大学が行なった全試合を分析する.分析結果より,平成16年度 秋季関東大学バレーボールリーグ戦女子1部に所属するチーム全体(日本体育大学を除く)

における,各前衛の動きによるアタック,ブロックフォーメーションによるブロックの枚 数とブロックの評価を考察する.なお,日本体育大学が行なった全試合とは,筑波大学,

嘉悦大学,青山学院大学,東京女子体育大学,早稲田大学,東海大学,日本女子体育大学 と行なった7試合である.さらに,この日本体育大学が行なった 7試合のうち,ブロック の回数が多い日本体育大学対嘉悦大学,日本体育大学対筑波大学の 2 試合を個別に分析す る.分析結果より,各前衛の動き,アタック,ブロックフォーメーションによるブロック の枚数とブロックの評価を考察する.各チームの前衛の動きによるアタックの特徴を考察 する.

ブロックフォーメーションは,デディケートを省く.この理由は,デディケートが他の ブロックフォーメーションとは異なる特徴をもつ為である.スプレッドとバンチにおける

(22)

前衛のブロッカーの配置の違いは,それらの選手の間隔である.一方,デディケートは,

アタックを打ちそうな選手や,アタックを打ちそうな位置に前衛のブロッカーを配置する.

つまり,デディケートは対戦相手のチームの傾向や,試合の状況によって配置する.この 配置の考え方が他のブロックフォーメーションと異なる点である.セッターの位置による ブロックフォーメーションの割合を表4.3に示す.日本体育大学が行なった全試合において,

デディケートが多く用いられたのは,攻撃側のセッターが前衛の時である.今回は,攻撃 側のセッターが後衛の時に限定するので,ブロックフォーメーションがデディケートであ る回数は少ない.よって,デディケートを省く.

4.3  セッターの位置におけるブロックフォーメーションの割合

セッターの位置 スプレッド(%) バンチ(%) デディケート(%)

前衛 27.8 27.8 44.4

後衛 42.4 44.6 13.0

4.3

日本体育大学が行なった全試合の分析

  本節では,日本体育大学が行なった全試合における,対戦チームの各前衛の動きのアタ ック,日本体育大学のブロックの枚数と評価を分析する.日本体育大学が行なった全試合 におけるブロックの枚数は0.0枚から2.0枚である.ブロックが1.5枚である時は,少なく とも2人がブロックする為に飛んでいる.ブロッカーの人数が1人と2人では,対戦チー ムのアタッカーに与えるプレッシャーに差があると考えられる.そこで,ブロッカーの人 数が2人である時,つまりブロックの枚数が1.5枚以上である時に着目する.ここでいうブ ロッカーの人数2人とは,その中の少なくとも 1人は,アタックのコースを遮っているも のとする.また,ブロックが成功したか判定するために,3.3節で述べたブロックの評価を 用いる.3.3節で述べたブロックの評価の1(ブロックポイント),2(ワンタッチ),3(対 戦相手に拾われる)をブロック成功とする.これらのことから,ブロックの枚数が1.5枚以 上である割合とブロックが成功する割合を用いて,対戦チームの前衛の動きとアタック,

日本体育大学のブロックの枚数と評価を分析する.これらの分析は,対戦チームのセッタ ーの位置が後衛である時に限定する.同様に日本体育大学対嘉悦大学,日本体育大学対筑 波大学の試合における,対戦チームの前衛の動きとアタック,日本体育大学のブロックの 枚数の分析を4.4節,4.5節で行なう.

4.3.1 対戦チームの前衛の動きとアタック

(23)

0 5 10 15 20 25 30

R C L R C L R C L

III XI IX

前衛の動き,アタック

ック回数[]

に示す.前衛の動きがIIIの時,アタックR30.2%,アタックC34.9%,アタックL

34.9%である.つまり,セッターが後衛である時の前衛の動きIIIにおいて,全てのアタ

ックをほぼ均等に用いている.前衛の動きXIの時,アタックCの割合が47.4%である.つ まり,対戦チームの攻撃はライトとセンターがクロスし,ライトがアタックC を打つ割合 が多い.また,前衛の動き III,前衛の動き XI において,レフトがアタックする割合は一 定である.

4.5  日本体育大学と対戦したチームの前衛の動きにおけるアタックの回数

4.4  対戦チームの前衛の動きにおけるアタックの割合

前衛の動き R(%) C(%) L(%)

III 30.2 34.9 34.9

XI 15.8 47.4 36.8

IX 54.5 45.5 0.0

4.3.2 日本体育大学のブロックの枚数と評価

各フォーメーションのブロックの枚数が1.5枚以上である割合と,ブロックの成功率を表 4.5に示す.

まず,日本体育大学の全フォーメーションにおけるブロックの枚数と評価を図4.6,図4.7 に示す.日本体育大学の全フォーメーションにおけるブロックは,以下の特徴がある.

長所:前衛の動きIII,前衛の動きXIのアタックLに対し,ブロックの枚数が1.5枚以 上である割合は高く,ブロックの成功率も高い.

短所:前衛の動きIIIのアタックRに対し,ブロックの枚数が1.5枚以上である割合は高 いが,ブロックの成功率は低い.

以上より,日本体育大学の全フォーメーションにおけるブロックは,左右のアタックに 対しブロックの枚数が1.5枚以上である割合は高いことがわかる.しかし,前衛の動きIII のアタックRは,ブロックの枚数が1.5枚である割合は高いが,ブロックの成功率は低い.

よって,前衛の動きIIIのアタックRに対するブロックの成功率を上げる必要がある.

(24)

次に,日本体育大学のブロックフォーメーションがスプレッドである時のブロックを図

4.8,図 4.9に示す.日本体育大学のブロックフォーメーションがスプレッドである時のブ

ロックは,以下の特徴がある.

長所:前衛の動きIIIのアタックLに対し,ブロックの枚数が1.5枚以上である割合が高 く,ブロックの成功率も高い.

短所:前衛の動きIIIのアタックRに対し,ブロックの枚数が1.5枚以上である割合は高 いが,ブロックは成功しない.前衛の動きIIIのアタックCに対し,ブロックの枚 数が1.5枚以上である割合は低く,この時のブロックは成功しない.

以上により,日本体育大学のブロックフォーメーションがスプレッドである時のブロッ クは,全フォーメーションにおけるブロックの時と同様に,2つの特徴があることがわかる.

1つ目の特徴は,左右のアタックに対しブロックの枚数が1.5枚以上である割合が高いこと である.2つ目の特徴は,前衛の動きIIIのアタックLに対するブロックの成功率は高く,

前衛の動きIIIのアタックRに対するブロックの成功率は低いことである.攻撃側が前衛の 動きIIIのアタックL以外を多用してくる時は,スプレッドは有効な戦術ではないと考えら れる.

最後に,日本体育大学のブロックフォーメーションがバンチである時のブロックを図

4.10,図4.11に示す.日本体育大学のブロックフォーメーションがバンチである時のブロ

ックは,以下の特徴がある.

長所:前衛の動きIII,前衛の動きXIのアタックLに対し,ブロックの枚数が1.5枚以 上である割合が高く,ブロックの成功率も高い.前衛の動きIIIのアタックCに対 するブロックの成功率を,スプレッドである時と比較すると,バンチである時は 成功率が高い.

短所:前衛の動きXIのアタックCに対し,ブロックの枚数が1.5枚以上である割合が低 く,ブロックの成功率も低い.

以上より,日本体育大学のブロックフォーメーションがバンチである時のブロックは,

前衛の動きIIIのアタックに対し,スプレッドである時より成功率が高いことがわかる.し かし,前衛の動きXIのアタックCに対し,ブロックの枚数が1.5枚以上である割合が低く,

この時のブロックの成功率も低い.よって,攻撃側が前衛の動きXIを多用してくる時の対 策が必要である.

(25)

4.5  前衛の動きとアタックにおける各フォーメーションでの ブロックの枚数が1.5枚以上である割合とブロックの成功率

全フォーメーショ

スプレッド バンチ 前衛の動きと

アタック

1.5枚以 上(%)

成功率

(%)

1.5枚以 上(%)

成功率

(%)

1.5枚以 上(%)

成功率

(%)

III,R 53.8 7.7 60.0 0.0 33.3 33.3

III,C 20.0 20.0 16.7 0.0 14.3 28.6

III,L 60.0 46.7 44.4 44.4 83.3 50.0

XI,R 33.3 16.7 100.0 0.0 20.0 20.0

XI,C 5.6 16.7 0.0 25.0 10.0 10.0

XI,L 78.6 57.1 75.0 50.0 80.0 40.0

IX,R 83.3 50.0 100.0 100.0 100.0 33.3

IX,C 60.0 20.0 33.3 33.3 100.0 0.0

IX,L

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

R C L R C L R C L

III XI IX

前衛の動き,アタック

ブロ[回]

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

R C L R C L R C L

III XI IX

前衛の動き,アタック

ブロ[回]

1 2 3 4 5 6

4.6  全フォーメーションにおける        4.7  全フォーメーションにおける

ブロックの枚数      ブロックの評価

(26)

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

R C L R C L R C L

III XI IX

前衛の動き,アタック

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

R C L R C L R C L

III XI IX

前衛の動き,アタック

ック回数[回]

1 2 3 4 5 6

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

ブロ[回]

4.8  スプレッドにおけるブロック        4.9  スプレッドにおけるブロック

の枚数       の評価

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

R C L R C L R C L

III XI IX

前衛の動き,アタック

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

R C L R C L R C L

III XI IX

前衛の動き,アタック

回数[]

1 2 3 4 5 6

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

ブロ[回]

4.10  バンチにおけるブロックの枚数    4.11  バンチにおけるブロックの評価

4.4

日本体育大学対嘉悦大学の分析

  本節では,日本体育大学対嘉悦大学の試合における,嘉悦大学の前衛の動きとアタック,

日本体育大学のブロックの枚数と評価を分析する.

4.4.1 嘉悦大学の前衛の動きとアタック

  嘉悦大学の前衛の動きとアタックを図4.12に示す.嘉悦大学の攻撃の割合を表4.6に示 す.前衛の動きIIIが嘉悦大学の攻撃のほとんどを占めている.前衛の動きIIIの時,アタ

ックRの割合は50.0%,アタックCの割合は18.8%,アタックLの割合は31.3%である.

表 3.4  評価方法  項目  評価方法  前衛の動き①  1:III(レフト,センター,ライトがストレート)  2:XI(ライトとセンターがクロス)  3:IX(レフトとセンターがクロス)  4:その他  前衛の動き②  アタックの名称とʻ/ʼを用い,5 文字の記号で構成する. ブロックフォーメーション  1:スプレッド(選手の間隔を広く配置する)  2:バンチ(選手をコート中央付近に集めて配置する)  3:デディケート(選手を片寄らせて配置する)  4:その他  ブロックの枚数 0.0 枚から 3.0
図 3.6  スプレッド              図 3.7  バンチ          図 3.8  デディケート
表 4.5  前衛の動きとアタックにおける各フォーメーションでの  ブロックの枚数が 1.5 枚以上である割合とブロックの成功率  全フォーメーショ ン  スプレッド  バンチ 前衛の動きとアタック  1.5 枚以 上(%)  成功率 (%)  1.5 枚以 上(%) 成功率(%) 1.5 枚以 上(%)  成功率 (%)  III,R  53.8  7.7 60.0 0.0 33.3 33.3  III,C  20.0 20.0 16.7 0.0 14.3  28.6  III,L  60.0  46.7
表 4.9  前衛の動きとアタックにおける各フォーメーションでの  ブロックの枚数が 1.5 枚以上である割合とブロックの成功率  全体  スプレッド  バンチ 前衛の動きと アタック位置  1.5 枚以 上(%)  成功率 (%)  1.5 枚以 上(%) 成功率(%) 1.5 枚以 上(%)  成功率 (%)  III,R  0.0 0.0 33.3 0.0 −  −  III,C  40.0  20.0 0.0 0.0 −  −  III,L  40.0  40.0 25.0 50.0 100.0 0
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