分散配置した 4 つのマイクロホンによる音源位置推定
Estimation of sound source position by spatially dispersed four microphones
5112E016-1
中村 康祐 指導教員 及川 靖広 教授NAKAMURA Kosuke Prof. OIKAWA Yasuhiro
概要: 本研究は自由度・携行性の高い音源位置推定の手法を確立しようとするものである.当研究室でこれまで長年 に渡り研究されてきた音場解析手法である近接
4
点法では,測定時に予め位置が既知である近接4
点法マイクロホン を用いることが一般的だが,昨今のコンピュータや無線通信の性能向上に伴う自由度・携行性の高い音場解析分野の 盛り上がりを鑑み,本研究では空間上に任意に分散配置した4
つマイクロホンを用いる音源位置推定の手法の提案を 行う.具体的には校正信号を用いることでマイクロホン位置を推定しこれを可能とする.本論文ではマイクロホン位 置を推定する手法として直上直下型とドプラ効果型の2
つを提案し,実際に両手法を用いて行ったマイクロホン・音 源位置推定実験について論じる.キーワード:近接
4
点法、音源位置推定、ドプラ効果Keywords: Closely Located Four Microphones Method, Estimation of sound source position, Doppler effect
1.
ま え が き当研究室ではこれまで音場の空間情報を把握する手法 として近接
4
点法の提案・研究を行ってきた[1]
.近接4
点法では予め位置が既知である近接4
点法マイクロホン を用いることが多いが,そのような特殊な機器は簡単に 用意できるものではなく,またそれを用いない場合,正 確な位置の測定は困難である.そこで本研究では,近接4
点法マイクロホンなどの専用装置を用いず,同一平面 上にない任意の点に分散配置した4
つのマイクロホンを 用いて音源位置を推定する手法を提案する.さらに,そ れを可能とするためにマイクロホン位置を推定する手法 を2
つ提案しその検討を行った.2.
音源位置推定近接
4
点法とは同一平面上にない近接した4
つのマイ クロホンに収録された信号の僅かな時間情報の相違に着 目し,短時間相互相関などから音源位置などを算出する 手法である.例えば一辺5cm
の正四面体の頂点にマイク ロホンを配置した近接4
点法マイクロホンを用ることが 多いが,本研究では任意に配置した同一平面上にないマ イクロホンを用いる.2. 1
分散配置したマイクロホンによる音源位置推定 分散配置した4
つのマイクロホンから任意に1
つを原点O
とし,各マイクロホンの座標をO(0, 0, 0), A(x
a, y
a, z
a), B(x
b, y
b, z
b), C(x
c, y
c, z
c, )
とすると被推定音源の座標P (x, y, z)
を通る4
つの球
x2
+
y2+
z2=
r2o(x
−xa)
2+ (y
−ya)
2+ (z
−za)
2= (r
o−δra)
2(x
−xb)
2+ (y
−yb)
2+ (z
−zb)
2= (r
o−δrb)
2(x
−xc)
2+ (y
−yc)
2+ (z
−zc)
2= (r
o−δrc)
2(1)
X Y
Z
MicC
MicO
MicA MicB
dh2b
dh2a
dh2c
dh1a
dh1c dab
dac h1b
d doa
dob
doc h2
h1 H2
H1
図―1 直上直下型のマイクロホンと校正点
が得られる.ただし,
r
oはO
からマイクロホンまで距 離,δr
a〜cはO
を基準とした音波の到達距離差である.上式を整理すると
r
oに関する2
次方程式が得られるの で,解の公式より求められたr
oをさらに上式に代入する ことでP
は得られる.3.
分散配置したマイクロホンの位置推定3. 1
直上直下型直上直下型とは
O
の上下2
点に校正点を設定し,O
ともう1
つ任意に選んだA
の計4
点から校正信号を 発信することでマイクロホン位置の把握を試みる手 法である.座標系を定めるべく分散配置された各マイ クロホンの座標をO(0, 0, 0), A(x
a, 0, z
a), B (x
b, y
b, z
b), C(x
c, y
c, z
c, )
とし,O
の直上直下にそれぞれ校正点をH
1(0, 0, h
1), H
2(0, 0, h
2)
のように設定する.この関係 を図―1
に示す.各マイクロホンで収録された校正信号をもとに相互相 関関数などを用いて計算すると,それぞれ
hb
ha
ho
hc
x z
MicA MicB
MicO
MicC
(a) x-z
lo
lb
la
lc
x y
MicA MicB
MicO
MicC lac lab lob
loc
(b) x-y 図―2 自由落下する音源とマイクロホン
O (0, 0, 0) A (√
d
2oa− z
2a, 0,
d2 h1a−d2
h2a−h2 1+h2
2 2(h2−h1 )
) B
(
−d2ab+d2oa+d2ob−2zazb
2xa
,
±√d2ob−x2b−zb2
,
d2h1b−2 (hd2h2b−h21+h222−h1)
) (2) C
(
−d2ac+d2oa+d2oc−2zazc
2xa
,
±√d2oc−x2c−z2c
,
d2h1c−d2h2c−h21+h222 (h2−h1)
)
と書ける.ただし各変数は図―
1
から分かるとおり校正 信号発信点と各マイクロホンの距離を示す.3. 2
ドプラ効果型3. 2. 1
ドプラ効果の式ドプラ効果とは観測点と音源との間に相対的な速度の 差があるときに,観測点における信号の周波数が元の音 源の原周波数と異なって観測される現象のことである.
本研究においては自由落下運動を考えるので,観測点を 原点にとり,重力加速度を
g
,初期位置をh
とするとド プラ効果による周波数変動はF (T ) = cf
0c − √
gt(2h−g(t0+T)2)4l2+(2h−g(t0+T)2)2
(3)
と書ける.ただし
t
0を音源が落下し始めた時刻,T
がt
0を
0
とした際の時刻とし,t
0+ T < 0
でF = f
0とする.3. 2. 2
ドプラ効果によるマイクロホン位置推定ドプラ効果型とは
F(T )
と各マイクロホンが収録した 周波数変動をカーブフィッティングし,得られた校正音 源と各マイクロホンの関係からマイクロホン位置の推 定を試みる手法である.直上直下型と同様にマイクロ ホンを任意に配置後,全てのマイクロホンよりも高くh
x> 0, h
y> 0
の条件を満たすH(h
x, h
y, h
z)
から音源 を自由落下させる.その様子を図―2
に示す.さらに
O, A
から校正信号を発信し,ドプラ効果によ る校正情報と合わせて計算を行うとマイクロホン位置は 最終的にO (0, 0, 0) A (l
oa, 0, h
o− h
a) B
(
−l2ab+l2ob+x2a2xa
,
−lb2+lob2+x2y2h+y2h−2xaxhh
, h
o− h
b) (4) C
(
−l2ac+l2oc+x2a 2xa,
−l2c+l2oc+x2h+y2h−2xaxh2yh
, h
o− h
c)
となる.ただし,図―2
より分かるとおり,h
は各点同-0.8 -0.6
-0.4 -0.2
0 0.2
0.4 0.6
0.8
-0.6-0.8 -0.2 -0.4 0.2 0 0.6 0.4 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5
x [m]
y [m]
z [m]
: Measured microphone positions : Estimated microphone positions : Measured sound-source position : Estimated sound-source position
図―3 直上直下型による推定
-0.8 -0.6
-0.4-0.2 0
0.2 0.4 0.6
-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 -0.2 0 0.2 0.4 0.6
x [m]
y [m]
z [m]
: Measured microphone positions : Estimated microphone positions : Measured sound-source position : Estimated sound-source position
図―4 ドプラ効果型による推定結果図
士の高低差を表し,
l
は各点をx-y
平面上に写した際の 平面上の距離である.4.
実 験両提案手法を用いて行ったマイクロホン・音源位置推 定実験の結果を図―
3
,図―4
に示す.どちらの手法でも マイクロホン・音源位置推定が可能であると確認できた が,音源位置は諸誤差の影響を強く受ける様子も把握で きた.全体的にドプラ効果型のほうが誤差が小さいこと も確認できた.5.
む す び本研究では,配置が未知である
4
つのマイクロホン位 置を推定する手法を二つ提案し,さらに推定されたマイ クロホン位置を用いて音源位置推定を行う手法の提案を 行った.実験の結果マイクロホン・音源位置共に推定が 可能であることが確認された.今後は独立したスマート ホン端末による音源位置推定などについても検証を行う.参 考 文 献