システム開発 21-F-8
三次元構造 LSI 用樹脂コア通電ボールの全数検査装置 システムの開発に関するフィージビリティスタディ
報告書 要旨
平成22年3月
財 団 法 人 機 械 シ ス テ ム 振 興 協 会 委託先 特定非営利活動法人 JRCM産学金連携センター
この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです
http://ringring-keirin.jp
序
わが国経済の安定成長への推進にあたり、機械情報産業をめぐる経済的、社 会的諸条件は急速な変化を見せており、社会生活における環境、都市、防災、
住宅、福祉、教育等、直面する問題の解決を図るためには技術開発力の強化に 加えて、多様化、高度化する社会的ニーズに適応する機械情報システムの研究 開発が必要であります。
このような社会情勢の変化に対応するため、財団法人機械システム振興協会 では、財団法人JKAから機械工業振興資金の交付を受けて、システム技術 開発調査研究事業、システム開発事業、新機械システム普及促進事業を実施し ております。
このうち、システム技術開発調査研究事業及びシステム開発事業については、
当協会に総合システム調査開発委員会(委員長:東京大学名誉教授 藤正 巖氏)
を設置し、同委員会のご指導のもとに推進しております。
本「三次元構造 LSI 用樹脂コア通電ボールの全数検査装置システムの開発に 関するフィージビリティF/S」は、上記事業の一環として、当協会が特定 非営利活動法人JRCM産学金連携センターに委託し、実施した成果をまとめ たもので、関係諸分野の皆様方のお役に立てれば幸いであります。
平成22年3月
財団法人 機械システム振興協会
目 次
序 はじめに
1.F/Sの目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2.F/Sの実施体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 3.F/Sの内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 3-1.粒子供給技術開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 3-2.高速超微粒画像検査技術開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
3-3.多品種通電ボール検査技術開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 3-4.実装評価による装置設計開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 4. F/Sの成果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 5. F/Sの今後の課題および展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
1.F/Sの目的
1-1.背景・必要性・目的
(1)本事業の背景
パソコンや携帯機器に使われている 半導体パッケージは多機能化・高機能・
大容量高速情報処理化に伴い図1.1の ように小型化、三次元構造化が進んでい る。
集積率を増やすために回路の微細化 が進むと同時にウエハの厚みも50μm
を下回りつつある。このため、回路の位置の精度、平面度など加工不能な精度に加えハン ドリング時の外圧による変形などが発生する。こうしたパッケージ基板の高機能化(薄型 化)のために、組立接続端子として、従来の「はんだボール、銅コアはんだボール」など の金属ボールだけでは硬くて弾力性がなく、塑性変形したままで形状が復元しないという 問題点が出てきた。
図1.1 三次元構造LSI模式図
これらの問題点を解決できる接続端子として図1.2の右のような構造の樹脂コアはん だボール、特に30-100μm範囲の超微細樹脂コアはんだボールが注目されている。
樹脂コアはんだボールは復元性があるため、図1.3のように安定接続が可能となる。
100μm以下の樹脂コアはんだボールは現状では試作開発段階であるが、100μm 以下のサイズの製造が可能となれば性能面だけでなくボールを置いてリフローするだけの 工程となり大幅にLSIパッケージの製造効率がアップする。
従来のハンダボール 樹脂コアハンダボール
図1.2 はんだボール模式図
はんだ層 銅層
樹脂コアボール はんだ層
図1.3 基板のたわみによる不具合
(2)樹脂コア高性能通電ボールの検査の重要性
高 密 度 半 導 体 パ ッ ケ ー ジ の 多 ピ ン 化 に よ り 1 パ ッ ケ ー ジ に 数 百 個 の 接 続 ボ ー ル が使われる。その中の1個に不良品があるとパッケージ全体が不良となるので、不 良率はできれば0%が望まれる。そこで全数検査量産方法の開発が必要となってきた。
現状、吸着器具に配列したボールを顕微鏡を使って目視により確認し、エアーピンセッ トで不良品を摘出しているが、1日3万個/人が限界であり確実性に欠ける。
(3)目的
画像解析により数値的に確実に規格外寸法を測定し不良品流出率0%を目標とし、自動 化により1時間100万個/装置1台の量産に適応可能な全数検査装置システムの開発を 目的とする。
1-2.F/Sのポイント・独自性・特筆すべき点
サイズ30~100μmの製品を全数検査するにあたり表面メッキの状態により色彩、
光沢度が異なり画像解析条件が異なる。そこで図1.4に示すように、不良品のもととな るメッキ未着品、規格外寸法、傷などを粒子を回転しつつ画像処理により素早く検出し、
不良品を識別し、多品種、数億個の量産に適用可能な検査技術と装置の開発を実施する。
図1.4 不良ボールの例
1-3.当分野における本テーマの位置づけ・ポイント
本テーマは高度な情報化社会実現にむけて半導体パッケージの超小型三次元構造化を 推進することにより、誰もが快適かつ安全に参加ができる情報経済社会の実現を目指す 社会ニーズへの対応である。
2008 年版技術戦略マップによると NEDO における電子・情報技術開発の取り組みとして、
情報通信(IT ) 社会を実現するとともに、我が国経済の牽引役としての産業発展を促進す るため、高度情報通信機器・デバイス基盤技術等の課題について重点的に取り組んでいる。
その中で、我が国が得意とする「デジタル情報家電系」による高度IT 社会実現に向けた戦略的 技術開発に重点化し、そのための差別化戦略として、情報家電のキーデバイスであるシステムLSI
の強化に注力している。
表1.1は半導体技術分野のロードマップのうち、実装プロセスの部分を抜粋したものであ るが、32nmレベルになるとピン数が増え、三次元積層数の増大が示されている。その内部 に搭載されるはんだボール等の通電マイクロボールの供給は、この進展に寄与するために本提 案の超微細樹脂コアはんだボールの検査装置システム開発が不可欠である。
表1.1 技術戦略マップにおける半導体技術分野ロードマップ(抜粋)
分野構造
評価パ
ラメータ 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 技術
分野 大項 目
中項 目
小項目 重要 課題
DRAM ハ ーフピッ チ(nm)
65 57 50 45 40 36 32 28 25 22
単一チ ップ実装
単一 チップ 実装
ピン数
(Cost-Per formance チップ)
600- 2140
600- 2400
660- 2801
660- 2783
720- 3061
720- 3367
800- 3704
800- 4075
880- 4482
880- 4930
垂直方 向の積 層数
7 8 9 10 11 12 13 14 14 15
半導 体
実装 実装
プロ セス
SiP実 装(複数 デバイスを 同一パッケ ージに組
み込む)
三次 元チッ
プ積 層
チップ数 / パッ ケージ
8 8 9 11 12 13 14 14 14 15
1-4.内外の開発状況
現在の世界のはんだボール製造企業は図1.5のとおりで日本企業占有度が高い。
また、世界の市場は図1.6のグラフのとおりであり、大部分はアジアで消費さ れる。したがって、これらボールの検査装置についても国内開発が進んでいる。
図1.5 はんだボール製造企業別生産比率 図1.6 世界のはんだボール市場
2.F/Sの実施体制
財団法人機械システム振興協会内に「総合システム調査開発委員会」を、また、特定非 営利活動法人JRCM産学金連携センターのもとに有識者や関連企業研究者からなる 「ボ ール検査システム構築検討委員会」を設置し、F/S実施にあたっての技術的検討、指導 助言、進捗推進を行った。また、ボール検査装置改造作業およびボール検査作業について は、外部企業((株)ヒューブレイン、(有)共進パーツ)に、樹脂ボールの製造とめっきはそ れぞれ旭有機材工業㈱と㈱目テック関東に外注した。
F/Sの実施体制図を下図2.1に示した。
また、「総合システム調査開発委員会」委員名簿および「ボール検査システム構築検討 委員会」委員名簿を次ページ以降に示した。
委託
外注
総合システム調査開発委員会
JRCM産学金連携センター
(有)共進パーツ 旭有機材工業(株) (株)メテック関東 ヒューブレイン㈱
ボール検査システム構築検討委員会
(財)機械システム振興協会
図2.1 実施体制図
総合システム調査開発委員会委員名簿
(順不同・敬称略)
委員長 東京大学 藤 正 巖 名誉教授
委 員 埼玉大学 太 田 公 廣 総合研究機構
教授
委 員 独立行政法人産業技術総合研究所 金 丸 正 剛 エレクトロニクス研究部門
研究部門長
委 員 独立行政法人産業技術総合研究所 志 村 洋 文 デジタルものづくり研究センター
招聘研究員
委 員 早稲田大学 中 島 一 郎 研究戦略センター
教授
委 員 東京工業大学大学院 廣 田 薫 総合理工学研究科
教授
委 員 東京大学大学院 藤 岡 健 彦 工学系研究科
准教授
ボール検査システム構築検討委員会委員名簿
委員長 東洋大学 名誉教授 清澤 文弥太
(機械工学)
委員 旭有機材工業株式会社 松本 泰宏 開発本部
委員 有限会社共進パーツ 松本 征久 代表取締役
委員 株式会社メテック関東 塩谷 裕俊 品証部技術課
オブザーバ 株式会社ヒューブレイン 蒲田 喜彦 代表取締役
順不同・敬称略
3.F/Sの内容
検査の対象となる樹脂コアはんだボールの製造は、それぞれ専門の技術を有するメーカ ーから供給され、それらの粒子について以下の5項目について検査技術開発を行った。
平成20年度のF/Sの段階では図3.1のような基本構造が構築された。
図3.1 平成20年度開発の検査装置
平成21年度はその結果をもとに以下の装置・技術についてフィージビリティスタディを 行った。
(1)粒子供給・回転技術開発
トレイにスムースに粒子を供給し配列する。配列された各番地の粒子を回転させてほぼ 粒子全面の検査ができるようにする。 回転は超音波振動器を一瞬作動させて回転させ、
静止させて各粒子について以下の画像解析を行う。
(2)寸法検査技術開発 評価①ボール径 (長辺/短辺)
不良判定値 :ボール径±1%
評価①ボール径 (長辺/短辺)
不良判定値 :ボール径±1%
図3.2 ボール寸法検査図 原料樹脂の分級工程でふるいにかけても楕円
形の粒子で通過するものが出てくる。また、め っき工程で不均一電着により真球に近い形状で ない粒子ができてしまうことがある。そこで図 3.2のように粒子の縦横比を計測し、その比 率がある範囲内に収まっていることを確認する。
ある比率以上であれば不良品とする。
(3)画像解析技術開発
評価②ボールメッキ剥がれ、傷、異物
不良判定値 :ボール径の5%
評価②ボールメッキ剥がれ、傷、異物
不良判定値 :ボール径の5%
図3.3 画像解析による不良検出 さらに、樹脂ボールの段階では正常なボール
であっても、めっき工程でめっきムラや図3.
3のような剥離、割れなど不良が発生すること がある。これらはいずれも導通不良の原因とな るので完全に検出除去しなければならない。そ のための画像解析技術を確立する
(4)不良品除外技術開発
上記不良が検出された粒子の番地を特定し、その粒子だけを瞬時にトレイから除去する 技術を開発する。
本F/Sでは量産装置で求められる機能を一通り網羅した図3.4のような装置を開発 した。
図3.4 平成 21 年度開発装置
図3.5 検査工程図
本装置で検査されたボールを顕微鏡にて合否判定を行ったところ合格品の中に不良品は混 入していない。ダミー半導体基板に搭載し通電テストを実施、電気特性良好な結果が得られ た。
3-1.粒子供給技術開発
実験では100個単位で実証実験を実施した。トレイにスムースに約100個の微粒はん だボールをトレイに供給し瞬時に配列する技術を確立する。配列された各番地の各粒子を 回転させてほぼ各粒子全面の検査ができるようにする。回転は超音波振動器を一瞬作動さ せて回転させ、静止させて各粒子について以下の画像解析を行う。
図3.6に今回開発した検査装置のうち、ボール供給部分を示した。
図3.6 ボール供給装置
図3.7に示すように原料ボールを蓄えたタンクからホースを伝わり、検査前のボール 貯蔵タンクへ供給される仕組みになっている。
図3.7 原料ボール貯蔵タンクから検査前ボールタンクへの供給方法
球形物は水と同じように流動性がよいため動力を使わず「鳥の水飲み器」と同じ原理で、
取り出されて減った分だけボックスからホースを伝わり自然に流れ落ちる構造とした。
図3.8に示すようにボールの取出しにはボールを破損させないようにポリエチレン多 気孔シートを使用しエアー吸引に成功しトレイ搬送させることに成功した。
図3.8 ボール取り出し装置
(上は全体写真、下左がボールをエアー吸引で取り上げる図、下右は吸引に使う膜
図3.9は検査ステージへボールが運ばれる様子を示した。
図3.9 ボール取出し装置で運ばれたボールは検査ステージに置かれる
3-2.高速超微粒画像検査技術開発
サイズ300μmの超微粒樹脂コアはんだボールについて、粒子の縦横比を計測し、そ の比率がある範囲内に収まっていることを確認する。ある比率以上であれば不良品とする。
さらに、めっき工程でめっきムラや剥離、割れなど不良が発生することがある。これらは いずれも導通不良の原因となるので完全に検出除去しなければならない。
実験では 100 個のボールを同時に XY 寸法を測定し球形であること球形が一定寸法の範囲 内に入っている合格品であることを 1 検査0.25秒で可能とした。メッキのはがれ亀裂 は寸法測定、影をとらえて判別できた。図3.10では500万画素の工業用カメラを使 用して測定している様子を、図3.11にその図解を示した。
図3.10 カメラで撮影して各種検査を行う様子
図3.11 下からの照明で寸法を判別
寸法検査では、光の直進性を利用して下から照明をあてボールの輪郭を映し出し寸法を 検出する。
まず、図3.12に示すように球形であることを確認するプログラムを完成させた。数 値は任意に設定可能にした。
図3.12 ボールの寸法を判別している様子
さらに、図3.13に示すように白黒反転させる試験も行い、判定の精度を向上させた。
図3.13 白黒反転による精度向上
ボール表面の傷の確認については下からの光や上からの光で検討し、さらに図3.14 に示すように裏側に傷が隠れている場合もあり、振動を与えて転がし繰り返し観測する。
図3.14 振動を与えて転がし繰り返し観測する例
3-3.多品種通電ボール検査技術開発
三次元積層 LSI 用の通電ボールとしては、はんだボールのほかに金ボールや銀ボールな どの導電性ボールも存在する。また、はんだボールも全はんだボールや銅コアはんだボー ル、樹脂コアはんだボールの多種類が使われる。これらの多品種通電ボールの検査ができ るように図3.15に示したカラー画像解析技術の開発を行った。
図3.15 カラー画像解析事例
画像解析を行う上で、樹脂コアボール特有の問題が生じた。
図3.16に示すようにボールは非常に小さく質量が小さいため季節、環境により静電気 で浮き上がり動く(踊る)現象が確認された。
図3.16 静電気による樹脂コアボールの浮き
これは季節的要因による静電気によりボールが不安定になる現象であり、図3.17に 示すように装置検査機構を密閉式にして内部を静電バリアーすることで解決した。
図3.17 静電気対策のための装置密閉化
以上のように静電気対策に検査機構部分は密閉式とし内部は図3.18の静電気除去装 置(イオナイザー)を稼動させ使用する構造とした。
図3.18 静電気除去装置(イオナイザー)
不良ボールの排出方法は図3.19に示すようなボールよりやや小さいノズルにより吸引 し図3.20のように不良品箱へ搬送できた。
図3.19 不良品ピックアップノズル
図3.20 不良品ボールを1個ずつ取出して不良品ボックスに運ぶ
F/Sの結果、図3.21の上の図のように 1 個づつ運ぶのは時間がかかり生産性が低 下する。図3.21の下の図のように吸込んでホースを伝わり不良品ボックスに回収する 方法が良い。
F/Sでは50個~100個で検証したが、500個~1000個にした場合不良品ボ ールも複数発生することから 1 個ずつ運ぶ方式だと数回の往復を行う必要があり時間的ロ スが大きくなる。吸込み方式であればステージ上の次の不良品ボールまでの動作となる。
図3.21 不良品搬送方法の改善策 (上は1個ずつ搬送、下は多数個吸引式)
以上のような不良品回収方式で回収されたボールを図3.22に示す。
図3.22 回収された不良品ボール
一方合格品の回収は図3.23のようにトレイと同寸法のノズルによりホースを伝わり 良品のみを良品回収ボックスに蓄積させることができた。検査ステージと同じ大きさを持 つ吸引口で一気に吸い上げて図3.24の回収ボックスに回収する。
図3.23 良品回収原理図
図3.24 良品回収ボックス
F/Sにおいて一通り結果を踏まえ量産機を製作する上で重要になることが洗い出せた。
そのひとつがボール供給装置についてであるが、量産期においてもF/Sで製作した「鳥 の水飲み器」方式をそのまま拡大することで対応が可能である。
また、ボールの取出しであるが検査する際にランダムに置かれたボールが近接している と寸法検査、傷の検出の障害になり誤った結果を出すことが時々発生した。
特に図3.25のように球形であるがために焦点深度がボール上で異なること、金属色 のメッキのため鏡面反射し合いカラー隣のボールとの距離の違いで反射して移りこみの具 合が異なることが原因である。
図3.25 焦点深度の違い
また、図3.26のように近接する粒子があると誤判別することがある。
図3.26 近接する粒子の判別
実際には合格品であるが近接している2個分の寸法を検出してしまい不良品と判定する。
この問題を解決するためには図3.27に示すように整列させて検査することが望ましい。
図3.27 ボールの整列観察
カラー解析による異物、傷の確認においても図3.28のようにランダムに置かれてい ると近接したボール同士の乱反射で繋がって見え、傷が見えにくくなる現象が発生する。
この点からも整列させて検査することが望ましい。
図3.28 カラー画像における近接粒子の判別
3-4.実装評価による装置設計開発
検査装置を通過した良品ボールについて半導体パッケージ基板に配置され、実装による 評価を行って、その結果をフィードバックし、検査装置システムの性能を確認した。さら に図3.29に示すように模擬的な半導体基板への搭載、実装試験を実施した。
図3.29 模擬基板へのボール搭載
試験としては図3.30のような電気特性の分析を行った。他の検査基準がクリアされ ていれば電気的に良好であるという根拠になりうる。品種ごとに時折、電気テストを実施 してデータ化しておくことで十分と考えられる。
図3.30 電気特性評価結果
個数保障についても調査を行った。調査の結果、非常に小さな部品であり大量に使用さ れる物である。正確に数えることは不可能であり、取り扱い時にこぼれ落ちても気づかな い場合も多い。業界では正確に数えることは行われておらず、容積で個数を推定している のが現状である。
計算式
10000÷ボール寸法の 3 乗×1,27で 1cm3 あたりの個数となる。
保管および出荷については、酸化してしまう材質であり検査終了後は直ちにビンに規定 数量を入れた後に窒素ガスで内部を充満させ、蓋をした後にビン全体を真空パックを行い、
酸素と遮断する。保管はもちろんのこと出荷梱包も同様である。
4.F/Sの成果
今までのF/Sの成果をまとめてみる。
検査の対象となる樹脂コアはんだボールの製造は、それぞれ専門の技術を有するメーカ ーから供給され、それらの粒子について以下の 4 項目について検査技術開発を行った。
1.粒子供給技術開発
実験では100個単位で実証実験を実施した。
ボールの取出しにはボールを破損させないようにポリエチレン多気孔シートを使用し、
エアー吸引に成功しトレイ搬送させることに成功した。
不良ボールの排出方法はボールよりやや小さいノズルにより吸引し、不良品箱へ搬送 できた。良品はトレイと同寸法のノズルによりホースを伝わり、良品のみを良品回収 ボックスに蓄積させることができた。
季節的要因による静電気によりボールが不安定になる現象は、装置検査機構を密閉式 にして内部を静電バリアーすることで解決した。
2.高速超微粒画像検査技術開発
実験では 100 個のボールを同時に XY 寸法を測定し球形であること、球形が一定寸法の 範囲内に入っている合格品であることを、1 検査0.25秒で可能とした。
メッキのはがれ亀裂は寸法測定、影をとらえて判別できた。
3.多品種通電ボール検査技術開発
検査プログラムをカラー解析、カラー濃度を調整できる設計にし多種多様なボール検 査を可能にした。
4.実装評価による装置設計開発
本装置で検査されたボールを顕微鏡にて合否判定を行ったところ、合格品の中に不良品 は混入していない。
不良品の中に少量の良品が混入しているがわずかであった。原因は不良品を吸引する際 に稀に近接する 2~3 個を吸引してしまう現象が発生する。
ダミー半導体基板に搭載し通電テストを実施、電気特性良好な結果が得られた。
以下に今回開発した装置仕様を示す。
1-1.概 要
このシステムは、2次元CCDカメラにてボールグリッドアレイ(以下BGAという)
ボールの表面外観検査を行うものである。
*対象ワーク :BGAボール *ワークサイズ :φ0.3mm球形 *ワーク色 :銀、金、銅 *検査回数 :表面3回
*仕様カメラ :カラー500万画素2次元カメラ *分解能 :1.5μm/pix 寸法設定5μ単位 *視野 :約3.6mm×3mm
*検査タクト :10mm視角、カメラ固定により1検査毎に1タクト
1-2.装置構成
項 目 数量
1.画像処理装置 1式
2.検査ステージ 1式
3.本体フレーム 1式
1-3.画像処理装置構成
項 目 数 量
1.画像処理装置 HU-3100型 1台 2.カラー500万画素2次元CCDカメラ 1台
3.レンズ 1本
4.照明 1式
5.液晶モニター 1台
6.キーボード・マウス 1式
7.専用ケーブル 1式
1-4.検査ステージ構成
項 目 数 量
1.3軸ステージ 1台
2.カメラ・照明固定冶具 1式
3.ワークトレイ 1台
4.NGワーク吸引ヘッド 1台
5.ボール供給機 1台
6.良品ワーク回収機 1台
7.コントロールタッチパネル 1台
2.検査仕様 2-1.対象ワーク
ワークサイズ 品 種
φ0.3mm
2―2. 検査項目
項 目 内 容
形状不良 異常変形
寸法不良 寸法異常
2―3. 検査動作
1.ワークトレイ内にワークを手動で投入する 2.検査スタートボタンを押す
3.カメラ・照明が最初の分割範囲に移動する
4.分割範囲内のワークを一括で撮像し、検査処理を行う
5.全て良品であった場合はX-Yステージをジョグ駆動させてワークトレイを揺らし、
最大で3回撮像・検査を行う。
6.不良品があった場合はバキュームにて不良品を排出する。
(周辺状況によって他のワークも吸い上げられる可能性があります)
7.次の分割範囲に移動し、4~6を繰り返す。
8.良品を手動でトレイから取り出す。
2―4. 検査方法
・撮像範囲内の個別のワークに対して寸法・面積等の計測を行い、寸法異常・異常形状 の検査を行う。
・接触しているワーク同士は画像上繋がって写るため、収縮・復帰膨張処理を用いて分 割してから処理を行う。
5.F/Sの今後の課題および展開
今後の課題と対策については大きく以下の3点が考えられる。
(1)不良品を取出す時間ロスが大きい量産機ではボールは碁盤上に整列させて検査する。
検査途中で不良は取出さず、全ての検査が終了した時点で碁盤状目のアドレスから 不良品を同時、または複数の不良排出ノズルで集中して処理する。
(2)装置をコンパクトにするため、円形ターンテーブル上で処理をする機構に改める。
(3)さらにスピードアップさせるために1200万画素CCD工業用カメラの採用、複数カ メラによる順送り検査方法を行う。
以下に詳細対策について述べる。
まず、ボールの吸引技術については図5.1のようなはんだボール吸着ヘッドを考える。
図5.1 はんだボール吸着ヘッド
吸引するボールの形状も重要であり、図5.2に示すような形状の工夫が必要となる。
図5.2 ボール吸引ヘッド部形状
以上のようなヘッドを用いてトレイに整列させる様子を図5.3に示した。
図5.3 ボール吸引とトレイ上への配列図
以上の工夫をすることにより、はんだボール吸着ヘッドを用いて整列配列したはんだボ ールは図5.4に示すようにきれいに配列することができる。
図5.4 はんだボール吸着ヘッドを用いて整列配列したはんだボール また、上記ボール配列方式をとることで不良品の除去も効率化できる。
図5.5に示すようにランダムに置かれていると近接する合格品ボールも吸込んでしま うことが発生する。
図5.5 ランダム配列からの不良品除去例
しかしながら整列した状態であれば図5.6に示すように隣のボールとの距離が一定で 複数吸込んでしまうことがない。
図5.6 整列したボール配列からの不良品除去例
本F/Sではカメラは1台で各種検査を行う方式で実施した。
裏側にある傷は振動を与えることで回転して前面を検査する方式を取ったが配列させた 場合には転がすことができない。
よってボールを吸引した際に図5.7に示すように上下からカメラで検査する。
図5.7 配列ボールの上下検査の例 このやり方で図5.8のような欠陥を検出できる。
図5.8 ボールの欠陥の例
本F/Sにおいて検査時間をロスする要因は不良品を取出す時間である。
よって整列した状態で検査を行い、検査中は不良品の取出しは行わない。
図5.9に示すように整列し、ボールが一定位置にとどまっていることから、不良品ボ ールの位置をアドレス化して記憶し、各種検査がすべ雌雄了した時点で記録したアドレス を元に不良品を取出した後に良品のみを回収する方式とするのが良い。
量産機構想図
図5.9 整列したボールから不良品回収工程図
もう一つの改善は図5.10のような回転式機構の導入である。
図5.10 回転式機構
図5.11のような直列コンベア方式と比較してみる。
図5.11 直列コンベア方式
回転式では装置をコンパクトに構成できるメリットがあるがとなりのターンテーブルに 移動させる際に両方に1ステージずつ増える移し替えに必要な吸着ヘッドも1台増えるデ メリットがある。
直列式は装置が横長になるデメリットがあるが移し替えがないことでステージを二つ節 約できる。
3番目の改善点は1200万画素の CCD カメラの導入である。
一つのステージで1200万画素のCCDカメラを利用すればボールのサイズおよび寸 法制度により必要とする画素数が上下し一度に検査できる個数が前後するが概ね500個
~1000個単位で検査して行くことが可能である。
一番時間をロスするのが不良品の回収であるため不良品を1個回収したら次のステージ
に移動して再度1個の不良品を回収し4回繰り返すことで時間的ロスを最小限にとどめる。
検査時間が0.25秒であり次のステージに移動するまで0.75秒と予測する。
不良品が4個以内であれば1秒で500個~1000個の検査効率となる。
そのほかに以下の二つの留意点をあげる。
①出荷時の留意点
・材質特性の確認
・樹脂コアとなるプラスチック球状粒子の硬さ耐熱性は重要な項目であり下記の検査を分 級前に行う必要がある。
・耐熱測定 基準となる270℃においての耐熱性能
・加熱による重量軽減量の測定
・耐熱性が基準を満たしていない場合、加熱によりプラスチック成分が炭化および分解に より重量が減少していく。
・柔軟性が維持されているかの確認
・弾力性が重要であり圧縮弾性率、復元回復性を行う必要がある。
②メッキ密着性
樹脂と金属は異なる性質を有しており結合が弱い材質である。対策としてプラスチック に金属と結合する分子構造を持たせているがこれが十分に形成されているかの確認は図5.
12に示すようなプル・シェアテストが必要になる。
図5.12 プル・シェアテスト図
図5.13にはプル・シェアテスト装置の外観を示した。
図5.13 プル・シェアテスト装置
③はんだ成分分析
リフローにより溶接して使用する製品でありはんだの組成は重要である。はんだを構成 する材料比率の違いで溶融温度に違いが発生する。また組成が基準外である場合、耐久性 にも違いが出ることからX線などによる元素分析による確認が必要である。
④はんだメッキ酸化防止策
はんだを問わず金属は酸化すると硬度が増したり電気抵抗が高くなる物質である。特に はんだは酸化すると溶融温度が上昇するので注意が必要である。メッキ工程が終わった時 点で直ちに真空パックによる梱包が必要である。検査においても検査直前に開封し検査終 了後はビンに窒素封入して保管する必要がある。
⑤メッキ膜厚分析
外観検査では外形寸法など表面上の確認しか行うことができない。寸法は基準に合格し ていても樹脂コアが大きく金属皮膜が薄いという不具合も発生している可能性もある。し かし全数を膜厚検査することは不可能であるため製造ロット毎にX線または図5.14の ような断面カットによる金属皮膜の厚さ確認は必要となる。
図5.14 メッキ層断面図
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システム開発 21-F-8
三次元構造 LSI 用樹脂コア通電ボールの全数検査装置シス テムの開発に関するフィージビリティスタディ
要旨
平成22年3月
作 成 財団法人機械システム振興協会 東京都港区三田一丁目 4 番 28 号
TEL 03-3454-1312
委託先名 特定非営利活動法人JRCM産学金連携センター 東京都港区西新橋一丁目5番11号
TEL 03-3592-1381